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2015/06/18

テロ・サーリネン・カンパニー『MORPHED-モーフト』、テロ・サーリネンにインタビュー

フィンランドを代表する振付家のテロ・サーリネン。彼が率いるテロ・サーリネン・カンパニーが、6月20日、21日に最新作『MORPHED-モーフト』を引っ提げて、彩の国さいたま芸術劇場で公演を行います。

http://saf.or.jp/arthall/stages/detail/2333

2015年6月20日(土)開演:15:00
  6月21日(日)開演:15:00
彩の国さいたま芸術劇場大ホール

サーリネンは、フィンランド国立バレエ団でダンサーとして活躍した後、1996年に自身のカンパニーを設立し本格的に振付活動を始動、意欲的な作品を多数発表し、その実力は世界のコンテンポラリー界で高く評価されています。

今回、カンパニーの初来日にあたり上演されるのは、同じく現代フィンランドを代表するアーティスト、作曲家・指揮者であるエサ=ペッカ・サロネンの3つの楽曲に振り付けた『MORPHED』。8人の男性ダンサーによって展開される力強く変化に富んだサーリネンならではの動きに加え、舞台の三方を取り囲むように垂れ下がる無数の紐がダンスの起伏とともに揺れ動き、またあるときは静寂を湛える。そこに投影される光と影。タイトルのとおり(MORPHED=変形された)、刻々と形をかえる人々や自然の営みの移ろいを想起させるものです。

『MORPHED』初演の際には、エサ=ペッカ・サロネン自身が指揮を行い、諏訪内晶子がソリストとしてヴァイオリンの演奏を行うという大々的なものでした。サロネンとサーリネンは長年の友人だとのこと。
(サロネンのインタビュー。大変興味深いものです)
http://saf.or.jp/arthall/information/detail/261

フィンランド国立バレエで7年間バレエダンサーとして活躍し、ソリストだったサーリネンは退団後、92年に来日し、大野一雄の下で舞踏を、そして日本舞踊を通して日本の伝統舞踊を学びました。さらにネパールにも旅したり、様々なジャンルのダンスを取り入れてユニークな振付活動を行っています。NDT、バットシェバ舞踊団、リヨン・オペラ座バレエ団、フィンランド国立バレエなど多くのカンパニーに作品を提供しています。

今回、フィンランド大使館にて、このテロ・サーリネンの合同インタビューに参加するという素晴らしい機会を与えて戴きました。今年50歳というテロですが、ダンサーとしても活動しているだけに若々しく、エネルギッシュで魅力的な方でした。

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カンパニーのマネージング・ディレクターのイリス・オーティオさんと、テロ・サーリネン


Q サーリネンさんは、昨年日本に一か月滞在し、埼玉舞踊協会のために「MESH」を振付けるなど日本との縁は深いわけですが、今回の来日公演が実現する経緯について話してください。

私は2002年にソロ作品「HUNT」をフェスティバルで踊ったのが、日本での初めてのパフォーマンスでしたが、カンパニーを持ってくるのは初めてです。日本でカンパニーのパフォーマンスを行うのは夢でした。「MESH」ではこの劇場で、バレエ、舞踏などバックグラウンドも年齢も違う26人の日本人ダンサーと作品を創りましたが、さいたま芸術劇場は空間として美しい劇場です。

テロ・サーリネン自身が踊る「HUNT」 (音楽は「春の祭典」)これは、ものすごい作品です。

代表作の一つである「Borrowed Light」(2004)と、この「MORPHED」のどちらを持ってくるか考えましたが、最新作を上演したいと思ってこの作品にしました。照明のミッキ・クントゥは20年間一緒に仕事をしていますし、衣装デザインのテーム・ムーリマキはマリメッコのデザインも手掛けているデザイナーです。プレミアでは、エサ=ペッカ・サロネンが指揮をして、フィンランドの才能を結集させました。


Q:『MORPHED』は8人の男性ダンサーが踊る、男性だけの踊りですがなぜですか?

この作品は自分の人生を反映させたものだからです。50歳となり、自分自身のダンサーとしての人生を振り返る機会だと思いました。そして、ダンスの男らしさについて突っ込むという機会でもあります。人間性、男らしさ、人間の持つ力、メタモルフォーゼ、新しい何かををダンスで表現したいと思ったのです。人間が集まって更生し、新しいフォルムや新しい何かを生み出したい。より複雑で、より豊かな男性を表現したい。

私は30年間踊ってきています。ここではステロタイプではなく、大野一雄の肌を出したかったのです。今までもカロリン・カールソンの作品を踊っていますが、私は女性振付家の作品でも、女らしさとしてではなく、男らしさを作っていました。舞踏では、女装して踊るような作品もありますが、女として演じるのではなく男でも女でもない、両性具有的に踊ってきています。

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Q テロ・サーリネン・カンパニーはカンパニーと名乗りつつも、固定したメンバーは少ないそうですが、どのようにダンサーを選んでいますか?

同じような価値観を持っていて、掘り下げる能力を持っていて、創りたいという欲求を持っている人です。Depth, Focus,そしてDesireですね。私は変化が好きですし、起伏があるのが好きなのです。固定したメンバーはほとんどいません。10年間私のカンパニーで踊りつつ、他の振付家たちの作品も踊っているダンサーもいます。オーディションというのは特にしていませんが、様々な出会いがあります。ワークショップで才能を見つけて、フィンランドに移り住んで一緒にやっているアメリカ人ダンサーもいます。

今回の『MORPHED』も、いろんな年代のダンサー、26歳から45歳までいます。違うバックグラウンドの出身で、ストリートダンス出身の人もいれば、バレエ出身の人もいます。フィンランドの舞台芸術のハイスクールを卒業したばかりの人もいますし、海外で活躍してきた人もいて、彼らの才能を発信しなければならないと思っています。カンパニーのスクールはありません。スタッフのうち9人は常任で、2人のアシスタントリハーサルディレクターがいます。ダンサーも、ダンサーとしてだけではなく、他の仕事もできるようにしてもらっています。カンパニーはフレキシブルな構成で、教えたり、新しい才能を見つけたり、効果的に運営しています。国からの補助金もいただいており、一つの機関として成り立っています。昨年「MESH」に参加した高橋純一は、文化庁の在外研修で、現在テロ・サーリネン・カンパニーで研修中です。


Q 別々のバックグラウンドのダンサーをまとめるためのメソッドはありますか?

私は大野一雄に舞踏を学んできたし、クラシックバレエも経験してきました。私のクラスでは、私が考えたトレーニングとワークショップを行っています。五感を目覚めさせ、その場を生きることです。360度の好奇心を持って目覚める方法を適合させながら行っています。ダンサーだけでなく、誰でも体の力、感覚を目覚めさせることは必要なことです。今立っているというのは、いつもの立っているのとは違うので、それを感じること、指先に注意する、目を使って焦点を絞ることなどを行います。自分の内面を探る人、ヴィルトゥオーゾを持っている人が好きですし、共鳴できる人を求めています。内面の力とコネクトできる人です。4つの「A」を持つことが必要です。Alert、Attentive, AwakeそしてAliveです。究極的には、Alive=生きていることが一番大事です。


Q バレエから舞踏に移行したのはなぜですか?

90年代に私はクラシックバレエでは限界を感じていました。ちょうどそのころ、ヨーロッパでは舞踏のムーブメントが起きており、カルロッタ池田や大野一雄らが注目されていました。彼らの踊りは強くて魅力的に感じていました。自由への道を提供してくれました。正しいムーブメントはないけれど、聖なる真実はムーブメントの中にあるというのがわかりました。透明で、今日の気持ちを出す自由、新しいチャンネルを提供してくれ、打ちのめされるような経験でした。土方巽には会えなかったのが残念です。

私自身は舞踏のダンサーではなく、クラシックバレエ、武道、そして舞踏が自分の中で統合されて、パフォーマンスの中で共鳴して、ダンサーもお客さんとも共鳴しているのを感じています。

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Q サロネンの音楽を今回使うことになったのはどういう経緯からでしょうか?

1994年に彼と一緒に仕事をしたのですが、それ以降は機会がありませんでした。彼の音楽は好きでCDは集めていたのです。クラシック音楽を使った作品を創りたいと思っており、ショスタコーヴィチかサロネンを使おう、ということで彼と話してサロネンになりました。出来上がった作品に対してのサロネンの反応は、とてもいいコラボレーションができたとのことです。違うように音楽の蓋を開いて、ありがたく思ったと言ってくれました。今回は、彼の初期、中期、後期の作品(《フォーリン・ボディーズ》、《ヴァイオリン協奏曲》)をそれぞれ一曲ずつ使い、プレミアではオーケストラの生演奏でサロネンの指揮、諏訪内晶子の演奏で実現して、壊れやすい部分も表現できました。


Q 日本とフィンランドの共通点はなにがありますか?

似通った心の情景があります。大野一雄さんには、私にはフィンランドの魂があると言われました。ミニマリズム、繊細さ、自然に対する尊敬の念などが共通しています。自然との共存、そしてデザインのミニマリスティックなところもそうです。孤立していて、二元性が存在しているところもそうです。イノベーションが盛んでありながら、過去にさかのぼるという衝動があるのも似ています。

私は「HUNT」の中では、自分を孤立させているのではないか、自分たちの息を殺しているではないかと問い、踊りの中で漂っている人を描き、皮膚の消滅、神経を失っていることを表現しました。「HUNT」をもう一度日本で踊りたいと思いますが、今はもう自分では踊れないので、他のダンサーに振り移しているところです。

北欧各国は、精神的なランドスケープは全体的でつながっています。陰影の深い場所です。自然がドラマチックです。一年のうち7~8か月は暗いわけですから、明るい季節には力があります。


Q 「MORPHED」について

変化、動き、新しい可能性、生命、強力で透明で共鳴している、そんな作品です。


「HUNT」と並んでサーリネンの代表作である「Borrowed Light」は、8人の歌手と8人のダンサーが繰り広げる作品。この作品と共に旅した10年間を描いたドキュメンタリー映画「A Chair Fit for an Angel」も制作されました。

A Chair Fit for an Angel - Trailer - Canada/Finland co-production from Michel Ouellette on Vimeo.



サーリネン、そしてダンサーたちの様々なバックグラウンドをもとに作りあげられ、サロネン作曲の音楽をはじめ、総合芸術として完成度の高い作品である「MORPHED」、非常に楽しみです。パワフルで知的なテロ・サーリネンの話は刺激に満ちていました。


テロ・サーリネンのインタビューも載っていて、大変興味深い一冊です。

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