SWAN MAGAZINE 2015 春号 Vol.39 (スワンマガジン)
SWAN MAGAZINE 2015 春号が発売されました。
http://swanmagazine.heibonsha.co.jp/
今回は「エトワールに夢中」はお休みで、代わりにパリ・オペラ座で年末に上演された2演目、「泉」と「くるみ割り人形」を巻頭で大きく取り上げています。
「くるみ割り人形」に主演した、注目の若手(スジェ)のレオノール・ボーラックのインタビューが掲載されています。金髪に小さな顔に大きな瞳、愛くるしいレオノールは、「ダフニスとクロエ」でも目立つ役を踊っていました。彼女だけでなく、「くるみ割り人形」では、11月の昇進試験でスジェに昇進したジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャンも主演し、また「泉」ではやはりスジェのパク・セウンが抜擢されるなど、若手の起用が目立ちます。
特集は「ロシア・バレエに夢中!」。
年末から年始にかけて来日したロシア系カンパニー、ボリショイ・バレエとミハイロフスキーバレエを大きく取り上げています。また、キエフ・バレエの「バレエ・リュスの祭典」の公演のレビューも。ボリショイは、瀬戸秀美さんの美しい写真がたくさんあり、世界最高峰のバレエを見せてくれた公演を懐かしく反芻することができます。
ミハイロフスキー・バレエについては、公演の紹介とともに、レオニード・サラファーノフとイリーナ・ペレンというカンパニーを代表するプリンシパルのインタビューがあります。サラファーノフは「白鳥の湖」が大嫌いだと語り、「ジゼル」のアルブレヒトは意志が弱くて無責任、ダメな男だと言いきったりしていて、本音が見えて面白いインタビューでした。サラファーノフ、ペレンとも、ナチョ・ドゥアトが芸術監督を務め、彼の作品を踊ったことでいろんな表現を手に入れ、新しい目で作品を理解することができるようになったと語っていたのも印象的でした。
また、来日公演で旋風を引き起こした二人の若手、ヴィクトル・レベデフとアナタスタシア・ソボレワに着目し、彼らのメッセージも掲載しています。ワガノワ・バレエ学校ではトップだったのにもかかわらず敢えてマリインスキーではなくミハイロフスキーに入団したレベデフ、ボリショイ・バレエから移籍したソボレワ。二人が共演した「ジゼル」はとても初々しく、伸び盛りの2人のきらめきを観ることができた素敵な公演でした。
今年の一月には、パリのオペラ・ガルニエでスウェーデン王立バレエ団によるマッツ・エック振付「ジュリエットとロミオ」の公演がありました。この作品で栄えあるブノワ賞に輝いた木田真理子さんが主演し、また第2キャストでは、鳴海令那さんもジュリエット役を演じたということで、鳴海さんのインタビューが掲載されています。マッツ・エックは振りは全部彼が踊って見せてくれているのだそうですね。このジュリエット役を創ったのが木田さんなのですが、鳴海さんは彼女自身のアプローチで演じたそうなので、2キャストを観た方は、より一層この作品を楽しめたことでしょう。
「世界の劇場から、こんにちは」、はヒューストンバレエのソリスト、飯島望未さんをインタビュー。
ヒューストン・バレエは団員数55人と比較的大きなカンパニーで、日本人は、昨年移籍したプリンシパルの加治屋百合子さんをはじめ7人。飯島さんは昨年ソリストに昇格し、「白鳥の湖」のオデット/オディール、デヴィッド・ビントレー振付「アラジン」のプリンセスなどの主役も踊っています。現在は疲労骨折で舞台を休んでいるそうですが、そのような逆境の中でも強い気持ちを持ち、自分にしかできないことをやっていこうという気概で前進し続けています。
[連載] ハンブルク便りも5回目となりました。
今回は、来シーズンよりノイマイヤーに指名され芸術監督代理となるロイド・リギンスが初めて振付けた「ナポリ」を紹介。ブルノンヴィルのオリジナルをベースにしながら、失われた2幕をリギンスが復元。デンマークロイヤルバレエで7年間踊り、ブルノンヴィルに精通した彼ならではの、ブルノンヴィルテイストの2幕に仕上がったようです。
また、団員の石崎双葉さんのインタビューが掲載されています。ローザンヌ国際コンクールでファイナリストとなり、ハンブルグ・バレエ学校を経て2011年に入団しました。学校時代から見込まれ、オーディションを受けずに入団で来て順調満帆だった彼女ですが、ノイマイヤーからは内面の感情を表現することの大切さを学んだそうです。いろいろな踊りを踊ってみたいという意欲を持つ彼女、「ナポリ」ではパ・ド・シス、「ジゼル」ではドゥ・ウィリを踊るなど活躍しています。
そしてちょうど昨日、トロントで行われた、権威あるエリック・ブルーンプライズ・コンクールに石崎さんはハンブルグ・バレエを代表して出場しました。「ジゼル」とコンテンポラリー作品を同僚のクリストファー・エヴァンスと踊りました。ナショナル・バレエ・オブ・カナダ、ハンブルグ・バレエ、ロイヤル・デンマーク・バレエ、サンフランシスコ・バレエ、ボストン・バレエを代表して若手ダンサーが1組ずつ出場するコンクール、1回目はロイド・リギンスも出場しました。石崎さんは残念ながら受賞は逃したものの、素晴らしいパフォーマンスを見せたようです。
有吉京子さんの連載「SWAN ドイツ編」は第三回に。
ノイマイヤーの「オテロ」を巡り、レオンの今まで見られなかった意外な側面が描かれます。謎の美青年、クリスも登場し、あっと驚くどきどきの展開となります。これはぜひ手に取ってお読みください。
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コメント
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こんばんは。
スワンマガジンを購入寸前で諦めてしまいました。汗
サラファーノフ!踊りは個人的には好きで演技性もちょっと個性的かな〜と思います。
ですが、「白鳥」嫌いと言われちゃうと、かなり引いてしまいます。涙
前々回で美しい王子が見れたのに。。
まあ、好き嫌いありますよね。ダンサーだって。
ダンスマガジンでも彼のインタビュー、またでないかな?と待ちわびるくらい気になります。が、次回何を言うか正直不安です。苦笑
ずっとファンでいたいので、色んな意味でもっと魅力的になってほしいです。だって、かっこいいんですもの!笑
一応スワンマガジン買うか検討します(⌒-⌒; )
投稿: パド | 2015/04/27 01:35
パドさん、こんにちは。
大変お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。30日までロシアに旅行に行っていて、そのあともバタバタしていてお返事がかけず…。
サラファーノフは、別のインタビューでも白鳥が嫌いだと言ってましたね。まあ、実は私も白鳥があまり好きではないし、白鳥ばっかり踊っていると飽きるような気がします、特に男性ダンサーは。
サンクトペテルブルクでミハイロフスキーバレエの「ラ・フィユ・マル・ガルデ」を観てきました。サラファーノフではなく、レベデフとソボレワだったのですが、ミハイロフスキーバレエ、また冬に日本に来てくれるようです。
投稿: naomi | 2015/05/03 23:33