バレエに愛された男 熊川哲也とKバレエ展
松屋銀座で開催されている「バレエに愛された男 熊川哲也とKバレエ展」に行ってきました。
http://www.matsuya.com/m_ginza/exhib_gal/details/20150226_kumakawa_8es.html
第1章 天才ダンサーの誕生~世界への扉を開く
第2章 世界の頂点へ~英国ロイヤル・バレエ団時代
第3章 バレエ芸術への飽くなき探求~熊川版グランド・バレエの世界
第4章 偉大なる歴史との対話~芸術監督の部屋
第5章 未来に向かって~熊川哲也のプロジェクト
という構成で、バレエを始めたころから、現在までの熊川さんの歩みをたどることを主軸に、彼のK-Ballet Companyの足跡も振り返っていくというものでした。
想像以上に充実した展示で非常に面白かったです。
まずは、東京新聞バレエコンクールやローザンヌ国際コンクールに出場した時の記録。コンクールの映像、衣装やメダルがありました。熊川さんはバレエを始めたのは10歳の時とやや遅かったのですが、頭角を現すのは本当に早かったようです。東京新聞のコンクールも、一年目は「リゼット」で、その翌年は「ドン・キホーテ」。映像を見ると、一年間でどれだけ進歩したかがよくわかります。東京新聞やローザンヌの時の出場者リストも展示してあり、彼の同期にはすごいダンサーたちがいたのかもわかって興味深いです。ローザンヌコンクールで練習をしている時の写真を見ると、他の出場者より跳躍が全然高いのがわかりますね。ロイヤル・バレエスクール時代の試験の映像も、画質は悪いですが、当時の彼のものすごいテクニックをうかがうことができます。
ロイヤル・バレエ時代については、ロイヤル・バレエで使われていて所蔵されている衣装を借りてきているのがすごいです。「ラ・バヤデール」、「エリート・シンコペーションズ」、「くるみ割り人形」、「ミスター・ワールドリー・ワイズ」など。ソロルの衣装は、フリオ・ボッカとブルース・サムソンも着用したようです。当時のキャスト表などもありました。また、舞台写真のパネルなども。
26歳という若さでロイヤル・バレエを電撃退団した時は、ガーディアン紙のトップを熊川さんのカラー写真が飾りました。赤いスポーツカーにもたれかけてポーズをとる熊川さん。「この男はロイヤル・バレエを壊そうとしているのか」という見出し。でも、足元はサンダルなのがちょっとお茶目です。
K-Balletの今までの歩み、歴史がパネルで紹介されていましたが、設立時の写真を見ると、彼について行ったロイヤル・バレエのダンサーたちも写っています。ギャリー・エイヴィスやスチュアート・キャシディも若い。ロイヤル退団後にも、ENBなどに客演していたのですね。
入口に飾ってあった「眠れる森の美女」の衣装を始め、K-Ballet Companyで上演した数々のバレエの衣装が飾ってありました。このカンパニーの衣装は、毎回毎回とてもセンスがよく、手が込んでいて豪華なものばかりです。特に、「眠れる森の美女」や「ラ・バヤデール」の華麗さは目を惹きます。ニキヤの白いチュチュは、チュールが円を描いていてとてもユニークなもの。「シンデレラ」のティーポットの精などは、ロイヤルコペンハーゲンの陶器のようで可愛らしいです。ねずみなどの着ぐるみも凝っているし、様々な小道具も、近くで見ても良くできているのがわかります。チュチュというのが、刺繍など繊細な手仕事で作られているものなのかがわかります。かなり近くで細かいところまで見られるのがいいですね。「カルメン」の舞台装置の模型などもありました。
ジュニア・カンパニー「K-Ballet ユース」の紹介や、Ballet Gentsの紹介、K-Balletスクールなど、これからのダンサーを育てる様々なプロジェクトの紹介や映像もありました。ただ、ちょうど行ったときに、神戸里奈さんと井澤諒さんのトークショーをやっていた会場に展示してあったので、ちゃんと見られなかったのが残念です。K-Ballet ユースが4月に上演する「トム・ソーヤの冒険」の舞台装置のデッサンなどもありました。
トークショーの方も、土曜日の昼間ということもあって非常に混雑していたため、ゆっくり聞くことができなかったのですが、3月に上演される「シンデレラ」について、神戸さんが演じてみたいキャラクターは意地悪お姉さんだという話がとても面白かったです。
最後に、熊川さんはバレエの歴史に関する貴重なコレクションを持っているということで、その一部が展示されていました。これが、かなりのお宝が含まれていました。主にバレエ・リュス関係です。ニジンスキーの直筆サイン入り写真、レオニード・マシーンの直筆サイン入り写真、そしてバレエ・リュス公演の美しいプログラム、写真などです。ベートーヴェンの第九交響曲の初版楽譜などもありました。
こうやってこの展覧会を見ると、熊川さんという人が、若い時から自分のやりたいこと、目標を明確に持って、強い意志でやり遂げて、旧態依然としたバレエ界に風穴を開けるべく果敢に挑んできたということが改めてよくわかりました。26歳という若さでロイヤル・バレエのプリンシパルという地位を捨てて、自分のカンパニーを育てて15年。大きな成功を手にすることができましたが、40代となり、次世代を育てていく必要性を実感されているのだな、ということも。最初から一流の舞台を提供できるように努力し、古典の再振付中心ですが、自前のプロダクションで次々とユニークな改訂版を生み出してきました。本当に彼は凄い人です。
会場を出たところでは、ポストカード、クリアファイル、スイーツなどオリジナルのグッズもたくさん売られていて、とても楽しい雰囲気です。6階のスタンプラリーのクイズに正解すると、ポストカードも一枚もらえました。
http://www.welci.jp/matsuya/user_data/kumakawa/top.php
また、5階と6階の間の階段の踊り場には、「海賊」の衣装が飾ってあって、ここは撮影も自由にできました。スモーキーな色遣いが素敵な衣装です。
明日までの開催ですが、熊川さんやK-Balletファンのみならず、バレエ・リュスに興味がある人や、舞台衣装などに関心がある方は楽しめると思います。
【開催期間】2015年2月26日(木)~3月9日(月)
【場所】松屋銀座8階 イベントスクエア
【開場時間】午前10時~午後8時
(最終日は5時閉場 入場は閉場の30分前まで)
【お問合せ】松屋銀座 03-3567-1211
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