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« BBC主催のダンスコンクール「BBC Young Dancer 2015 」 | トップページ | World Ballet Dayの成果 »

2014/10/07

「白鳥の湖」125年ぶりのチャイコフスキー初演版再振付で上演

ロシアのクラスノヤルスクで5-9日に開かれる第3回国際フォーラム「21世紀のバレエ」は、チャイコフスキー作曲によるバレエ「白鳥の湖」で幕を開けます。
http://opera.krasnoyarsk.ru/news/festival/

1879年以来となる初演版をクラスノヤルスク国立オペラ・バレエ劇場のセルゲイ・ボブロフ芸術監督が再振付したものです。

バレエ「白鳥の湖」 125年ぶりにチャイコフスキーのオリジナル版で上演
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_10_06/278231909/

クラスノヤルスク国立オペラ・バレエ劇場の「白鳥の湖」
http://krasopera.ru/play/view/lebedinoe-ozero/

「白鳥の湖」は1877年にボリショイ・劇場で初演されました。振付はヴェンツェル・ライジンガーによるものでしたが、6年間の間に41回上演したのち(バフルーシンによれば32回など諸説あり)、上演はいったん途絶えてしまいます。作品としての評判がよくなかったということになっておりますが、それについても、この時代に41回も上演されたのはまずまず成功の部類に入るのではないかという評価もあります。上演が打ち切られた理由は、度重なる上演により装置や衣装が摩耗してしまったということと、当時の政策により経費が削減されダンサーが半減したため上演不能になったことによる、と「永遠の白鳥の湖」(森田稔)はしています。

マリインスキー劇場においてプティパとイワノフによって「白鳥の湖」の再振付がなされました。台本は、チャイコフスキーの弟であるもでスト・チャイコフスキーが改訂。音楽についてはリッカルド・ドリゴが編曲し、チャイコフスキーの没後2年目の1895年に蘇演されました。現在上演されている「白鳥の湖」は、この1895年版をベースにしたものです。舞踊的には、やはりこちらの1895年版がはるかに優れているというのが定説です。

現在上演されている「白鳥の湖」は、原曲の順番もかなり入れ替わっており、新たな曲も付け加えられております。有名な「黒鳥のパ・ド・ドゥ」の音楽はオリジナルのチャイコフスキーの「白鳥の湖」の3幕にはなく、1幕に登場します。(音楽の順番としては、ブルメイステル版の「白鳥の湖」の方がオリジナルに近いものとなっています)

劇場のサイトには、セルゲイ・ボブロフが今回の再振付について語っているインタビューが載っています。ロシア語ですが大変興味深いものです。
http://krasopera.ru/press/interview/lebedinoye-ozero-vozvrashcheniye-k-chaykovskomu.htm

「「白鳥の湖」のオリジナル台本はチャイコフスキーと協力して作られているため、彼が愛した18世紀のロマンティック主義のテーマやイメージを反映しています。夢と現実の極性、理想を追い求めながらもそれが手に入らないこと、幸せを求めながらも得られないこと、裏切りそしてその代償、償い、それらが彼の音楽のキーとなるものです。

白鳥の女王であるオデットは、ここでは生まれながらにしての妖精であり、人間の騎士と恋をおち、それが悲劇的な結末に終わることをわかっていても、愛を追及する自由を大切にしています。ここでは、恋におちることの自由、そして裏切りを回避し愛の名の下に死ぬという選択をする自由、ということをチャイコフスキーはこの作品で歌っています。王子ジークフリートは、愛するオデットの死により絶望して、死を選ぶのです。

一方、ドリゴ編曲のオデットは、もともと人間で、悪魔の魔法によって白鳥に変えられてしまい、その運命に従うことを強いられた囚われの身です。ここが、チャイコフスキーの本来の意図tのコンセプトの違いです」

「オデットとオディールは異なったバレリーナによって踊られます。また、2幕のアダージオはコール・ド・バレエなしで上演されます。そしてアダージオは聞きなれたリリカルなフレーズで終わるのではなくて、軽快なギャロップで終わります。チャイコフスキーはそのように作曲をしています。

悪魔はフクロウの形をしており、オデットに取りついて彼女を滅ぼそうとします。しかしオデットは悪によって滅ぼされるのではなくて、人間の男性を愛したことによって死ぬのです。彼女の母は、人間の騎士を愛したことによって悪いフクロウによって殺されました。母と同じ運命をオデットはたどるのです。プティパ版では、悪魔はロットバルトと名付けられ、彼女を白鳥に変えたというところが、異なっています。プティパ版では、他の白鳥たちはいったいどこから現れたのか、ということを疑問に思っていました。彼女たちは全員ロットバルトによって姿を変えられてしまったのでしょうか?」

セルゲイ・ボブロフは、10年前からこのオリジナル版に準拠した「白鳥の湖」の構想を立てていたそうです。現ボリショイ劇場の総裁、ウラジーミル・ウリンが「新しい『白鳥の湖』はどのようなものであるべきだろうか?」という質問を投げかけ、その答えがこの版の再振付でした。

第3回国際フォーラム「21世紀のバレエ」
http://krasopera.ru/festival/view/2

国際フォーラム「21世紀のバレエ」では、A.A.バフルシン演劇博物館の収蔵品の展示会「革命前のバレエ『白鳥の湖』の舞台の歴史」や、国際バレエコンクール「シベリア・グランプリ」、そしてガラ公演も開かれます。コンクールの審査員長を務めるのは、ソ連人民芸術家で、レーニン賞および国家賞の受賞者のユーリー・グリゴローヴィチ氏。

タス通信のニュース記事
http://itar-tass.com/sibir-news/1458839

永遠の「白鳥の湖」―チャイコフスキーとバレエ音楽永遠の「白鳥の湖」―チャイコフスキーとバレエ音楽
森田 稔

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バレエ(情報)」カテゴリの記事

コメント

naomiさんこんばんは、

たいへん興味深い試みですねえ・・・・・
ロシア語が全く分かりませんが、貼っていただいた
40枚の写真から少しは雰囲気が伝わってきます。
まず第一印象。オディールは映画のブラックスワンみたいな化粧!(笑)
ロートバルト男爵の写真がないのが変ですね。なぜ?
でも、衣装や装置はシンプルながらもなかなか意欲的だと
感じました。映像で見れるようになるのが楽しみですね。

しかし、初演版というのは問題が多き過ぎて、万人を納得させる
ことが出来るようなプロダクションにすることは不可能かと思います。
それは、主要な4つの資料:
(1)チャイコフスキーの原曲(序奏と29曲の音楽)
(2)初演の台本
(3)初演のポスター
(4)初演の舞台の版画
をいかに折り合いをつけて1つのものに仕上げるかというのが
難問だからです。
台本に合わせて選曲することは割と容易でしょうが、
ポスターの記述に辻褄を合わせることは大変難しいでしょう。
オデットを踊ったカルパコワは3幕ではロシアの踊りを踊るん
ですからねえ・・・・ダンサーのかけもちはあたりまえでも、
主役のかけもちはどうかと思うのですが・・・・
第4幕の16人の子役も使ってなさそうですし・・・
とにかく、ポスターにはダンスの配役はあっても、マイムのことには
触れてないので、マイムに関してはスコアのト書きに沿った演出
をしないと、まあクレームは避けられないでしょうね(笑)
それと、オデットとオディールの二役問題、ブルメイステル版でも
問題になったソベシチャンスカヤのパドドゥをどうするか
という難問もありますからねえ・・・・ここでは別役らしいですが。

はたしてこの振付家はどの程度説得力のある折り合いをつけてくれるのか????

やすのぶさん、こんにちは。

初版は、やはり大きな成功は結局のところおさめていないということで、問題はご指摘の通りいろいろとあったんでしょうね。そして、初演ではロットバルト自体が存在していなかったはずです。悪魔はフクロウでしかも女性だったとか?

いずれにしても、多くの人がこの初演版をよみがえらせようとして失敗しているわけですが、とにかく作ってしまったことがすごいですよね。初演の精神に立ち返る、というのは大変興味深いと思いました。機会があればぜひ見てみたいです。どうやら、このクラスノヤルスクのコンクールでは、岩田守弘さんが審査員を務められているようなので、岩田さんはご覧になったのかな。

<とにかく作ってしまったことがすごいですよね。>
仰る通り、結構ありそうな周辺ネタ(批評や手紙などの
二次資料)の何を捨てて何を強調するかはたいへんですからねえ。
少なくとも振付は完全に失われているので創作しないといけない。
写真の中で「4羽の白鳥」みたいなのがありますが
イワノフのままなんでしょうかねえ? そうなら御愛嬌(笑)

<初演ではロットバルト自体が存在していなかったはずです。>
これはボブロフ氏のアイデアですかねえ? それとも何か別のネタ?
以前御紹介いただいた渡辺真弓さんの本ではロートバルトはソコロフ
が演じたということになってますがねえ・・・・・


<悪魔はフクロウでしかも女性だったとか?>
初演の台本自体の疑問点。森田本の台本によると:
オデットの身の上『私の母は善良な妖精です。・・・・・ある高貴な騎士を心から熱烈に愛してしまい彼のところに御嫁に行きました。しかし、彼は母を破滅させてしまい、母は死にました。父は別の女性と結婚しました。継母は魔法使いで、私のことをひどく憎んでいます。・・・・フクロウの鳴き声が響く。・・・・ごらんなさい。あそこに継母が見えます。』
3幕末『舞台は一瞬のうちに真っ暗になりフクロウの叫び声が聞こえてフォン・ロートバルトの体から衣服が落ちて、悪魔の姿に変わる。オディールは大声で笑う。』
となっており、継母=フクロウ=悪魔=ロートバルトの関係が非常に
あやふやで変です。2幕で女性が悪魔なら1点は解決しますよね(笑)
僕の勝手な推測ですが、3幕でオディールらしき7枚の写真を見ると、
それは黒鳥ではなくフクロウのように見えます。最初の3枚
で着ていたチョッキのような上着を脱いだらあとの4枚の姿になる?
オディール=継母ってこと????

やすのぶさん、こんにちは。

インタビューの中で振付家は、小さな四羽の白鳥は観客に大変人気のある場面で、彼らからそれを奪いたくないと言っています。なのでご愛嬌ですね。

ロットバルトの設定は確かにオリジナルは複雑ですが、フクロウが女性だと理屈の上ではだいぶ合ってきますね~。確かにツッコミどころ満載の設定です。

なるほど! インタビューではそういったことが述べられているんですか。
それじゃあ、当然4幕のコールドの衣装の色がオーストラリアバレエ↓
に似ている(黒ではなく茶色に見えるが)ことの説明もされているんでしょう。
とにかく、フクロウを重視した演出・衣装のようです。

http://www.youtube.com/watch?v=pS4LsFRZVE0

ありがとうございました。
このコメントにレスの必要はありません。
新たな情報や映像が出てくれば、また御紹介くださいね。

naomiさんこんにちは、

このボブロフ版を整理しようと思って、初演ポスターの記載を整理してみました。
お暇な折に御笑覧ください。
なお、長文の一部ですので『4、初演と追加曲』までスクロールしてください。

http://www.cwo.zaq.ne.jp/kawasaki/MusicPot/lelacdescygnes.htm


4幕での黒いコールドは以前ご紹介いただいたカナダのクデルカ版にもありましたね。↓
最近流行りなんでしょうか・・・・
オデットだけ白いのはなんか変な感じですがねえ。

http://www.youtube.com/watch?v=lHJ4_un1AzI

やすのぶさん、こんにちは。

お返事が遅くなってしまってごめんなさい。体調が悪く、また父の急逝後の後始末などでなかなかブログをやる気力がなくなってしまっておりまして…。
やすのぶさんのそのサイト、以前何かを調べていた時に見つけていて拝読したことがありました。また改めて読ませていただきますね。

4幕黒いコール・ドは、セルゲイエフ版でもあるのでそんなに新しいわけではないようです。

ロシアのTVアーカイヴからクラスノヤルスク国立オペラ・バレエ劇場での「世界的バレエ・スター達によるガラ・コンサート」。収録年不詳。ボロチコワ、ルジマトフ、アントニーチェワ、ヴォルチコフ、アリフリン。
xfs.jp/UHMZT

セルゲイエフ版もグリゴロヴィッチ版も黒鳥が6羽か8羽出てきますが、
それらは白鳥コールドではないと思います。白鳥たちがちゃんといる中に
彼女たちが闖入してくるのですから・・・
このクラスノヤルスクやクデルカ版は白鳥コールド自体が変質したのか、
取って代わられたのか、白鳥としてはオデット以外は
いないということですよね。
まあ、台本を比較してみないと、それぞれの主張ははっきりしないですが・・・・

クリスマスをひかえて下記をアップしました。原作は再読されましたか?

http://www.cwo.zaq.ne.jp/kawasaki/MusicPot/nutcrackerandmouseking.htm

やすのぶさん、こんにちは。

セルゲイエフ版の4幕の黒鳥は、白鳥の雛ということだそうです。でも、グリゴローヴィッチ版のは明らかにオディールの手下でしょうね。

クラスノヤルスク版は、ロシアバレエの研究で知られている赤尾雄人さんがご覧になったようですので、いつかレポートを読めることもあるのではないでしょうか。今忙しくて、なかなか本を読む時間が取れません。文章の方は拝読させていただきますね。

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