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« シルヴィ・ギエムの2015年引退宣言 | トップページ | ABTミスティ・コープランドの自伝が映画化 »

2014/08/16

必見、勅使川原三郎&オーレリー・デュポン「睡眠-Sleep-」

勅使川原三郎とオーレリー・デュポンがコラボレーションした「睡眠―Sleep」の初日を観てきました。

http://www.st-karas.com/sleep/

『睡眠-Sleep-』オーレリー・デュポンからのメッセージ
http://youtu.be/vhKc3yDMsOY

これがとにかく素晴らしい公演で、圧倒的に美しいものを観たと強い感銘を受けましたので、強力にお勧めしておきます。こんなハイクオリティの、芸術作品としても最高レベルの作品の世界初演が、東京で観られるなんて、興奮してしまいました。

まず、勅使川原さん、佐東利穂子さんの踊りが半端ないのです。強靭そのもので、勅使川原さん独特の腕を大きく広げて回したり上半身を大きく反らしたり回転させたり、すさまじい速度での横移動。明らかに異質なオーレリーの、浮遊感がある、硬質さの中のしなやかな動きとの異化作用が見事に働いていました。ふわふわとたゆたうようなオレリーがまさに睡眠を思わせます。天へと腕を伸ばした彼女は、夢遊病の中にいるようで、生と死、夢とうつつ、強さと弱さ、二つの世界を行ったり来たりしているようでした。

大スターであるはずの彼女なのに、そのスターらしさは打ち消して、カンパニーの一員として溶け込みつつ、異質な存在として舞台上にいるのが面白いのです。存在感という意味では佐東さんが一歩も引かない、むしろ際立つ強さがあり、オーレリーと勅使川原さんが対となって踊る真ん中で、佐東さんが核として機能して圧倒的なカリスマ性を見せていました。オーレリーと佐東さんが同じ振付を踊るところで、二人の踊りの質の違いを観られたのも興味深かったです。

舞台美術は、東京芸術劇場の広い舞台空間を巧みに使い、何枚もの並べられた透明のアクリル板が、時には迷路のように、そして時には檻のようになり、照明でキラキラ光ったり、ダンサーの姿を幾重にも増幅させたり。暗闇をベースに逆光が中心の照明も計算つくされています。音楽の使い方もユニークで、アルヴォ・ペルトの「鏡の中の鏡」が出てきたと思ったら、、まさかのローリング・ストーンズの「黒く塗れ」が出てきてびっくり。極めつけは、引っ掻くような不快なノイズを挿入させた「くるみ割り人形」の葦笛の踊りの音楽。「くるみ割り人形」がこんな暴力的な音楽に聞こえたのは初めてでした。鰐川枝里さん、加藤梨花さんという若い二人のダンサーも、デュオで、すさまじいハイパワーの踊りを見せてくれました。

勅使川原三郎さんの作品は以前も観たことがあったのですが、今回は彼の作品の中でもキャッチ―でわかりやすく、しかしその中でもエッジ―な部分は失っていない、いやむしろ過激な部分も存在させているのが凄いのです。1時間半休憩のない作品ですが、次はどんな展開を見せてくれるのか、という緊張感がずっと続き一瞬たりとも目が離せません。

そもそも、今回の作品のきっかけは、昨年勅使川原さんの振付作品「Darkness is hiding black horses」がパリ・オペラ座で上演され、オーレリーが出演したことにあるのですが、この「睡眠」も、パリ・オペラ座で上演したらきっと素晴らしいだろうなと感じました。今のオペラ座にマッチしているような作品です。ただし、勅使川原さんや佐東さんのように踊れる人はオペラ座にはいないでしょう。

最初のうちは少し硬さを感じさせたオーレリーが、舞台が進むにつれて他のダンサーたちと近い踊りへと変化していくところも興味深かったです。勅使川原さん独特の舞踊言語も咀嚼し、時には驚くようなスピードで精緻な踊りを見せてくれたのにはゾクゾクしました。上演を重ねるにつれて、彼女もどんどん進化するのではないかという予感を感じさせたので、リピート鑑賞も楽しそうですし、見る角度や位置、違った会場で観ることでも、まるで違った作品に見えそうです。

来年にはパリ・オペラ座を引退するオーレリーですが、この「睡眠ーSleep」で見せた姿こそが、最も彼女らしいのではないかと感じました。すべてを削ぎ落した中での彼女の純粋な芸術性がここでは際立っていました。このような、純粋で研ぎ澄まされた踊りを見せてくれる彼女をもっと観たいと思いました。

8/14(木)15日(金)16(土)17(日)東京芸術劇場 プレイハウス
8/21(木)
愛知県芸術劇場大ホール
8/23(土)
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
構成・振付・美術・照明:勅使川原三郎
出演:オーレリー・デュポン 佐東利穂子 鰐川枝里 勅使川原三郎 他

なお、7000円のS席が、東京芸術劇場ボックスオフィス限定の高校生割引でなんと千円で観られます。25歳以下(A席)4,000円というチケットもあります。また、イープラスの得チケでの割引もありますので、迷っている方はぜひ。
http://www.geigeki.jp/performance/theater057/

勅使川原さんのインタビュー記事
http://no-border.co.jp/archives/25866/

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさん こんばんは

睡眠初日、見ました。勅使河原さんの舞台を見たことがなく、オーレリーとの共演というのでちょっと期待という感じで出かけましたが、あまりの美しさになぜか涙が流れてきて・・ 。生きていることに感謝がわいてきました。眠りって本当に神秘ですね。勅使河原作品を全く知らなかった私には衝撃でした。こんなに素晴らしい舞台が東京発で発信されるなんて!世界初演を見られたことに興奮。勅使河原さんの圧倒的な身体もすごかったですが、勅使河原さんたちと身体が違うオーレリーの異質さが舞台を際立たせていたような。naomiさんのおっしゃるように彼女の質感が舞台が進むにつれてどんどん変わっていたので公演ごとに作品も深化しそうで、最終日のチケットだったらどんな舞台を見ることになったかと今もつい考えてしまいます。勅使河原さんの力に、オーレリーの進化し続ける勇気に、脱帽です。

コメント連投ですみません;
naomiさんも、もしかしたらご覧になられたかもしれません。本日の東京芸術劇場の最終公演に当日券で再度足を運びました。舞台冒頭の出から・・オーレリーが変貌していました・・  自由で限りなくたたずまいの美しい、感激のパフォーマンス。その素晴らしさに、この人の底力に、心から賞賛を送りたいと思いました。舞台はさらに密度が濃くなってあっという間の1時間半。勅使河原さんも佐東さんも、二人の若いダンサーの方も、オーレリーと共振して充実の時間を過ごされているのだろうと思いました。素晴らしい。これぞ、共演の醍醐味ですね。

keyさん、こんにちは。

2回ご覧になられたのですね!私も予定が空いていれば絶対に2回目を観に行ったのに、今週末はお盆ということもあり実家に行ったり今月末に自分の発表会があったのでバレエのお稽古に行ったりで、行けなくて本当に残念でした。オーレリーの変貌、観たかったです。おっしゃる通り、あまりの美しさに涙が出てきてしまうほどでしたね。勅使川原さんって、60歳だと聞いて驚きました。その年齢にはとても見えない強靭さ、スピード、若々しさ。本当に凄いアーティストですよね。お互いにとって大きな刺激となったのではないでしょうか。

naomiさん、こんばんは。
お忙しい中をたくさん活動されているのですね。バイタリティにあふれてらっしゃるのが伝わってきます。

ロイヤルエレガンスの夕べを見て、意欲作を多く作り続ける土壌を持つ英国が正直羨ましく、naomiさん押しのRotaryrottatoryも今の時代らしくてとても気に入ったりしましたので、よけいに日本ですぐれた新作は果たしてどうやったら生まれるのか、などと思っておりました。でもすぐに、この舞台でそんな心配は杞憂でよけいなお世話だとわかりました。

勅使河原さんの年齢、知って私も本当に驚きました。年齢で人を見るのはまったく正しくないことの証明のような方ですね。オーレリーはこの短期間で完全に勅使河原流を消化した模様です。何かに溶け込むような存在の仕方はすっかり周囲と同化しており、舞台の一構成としてもはや何の違和感も感じませんでした。しかも、それが本当に自然で彼女の存在自体が美しいのです。観に行った甲斐がありました。以前バレエフェスでルグリと小さな死を踊った時の彼女が作り出した緊密な空間を今でも思い出すのですが、今回は一人で、動きを感じさせないゆったりした動きの中で、すばやいキレの対比の中で、息をのむような時間を生み出し続けていました。オペラ座を引退してしまったとしても、彼女はすばらしい芸術家であり続けるでしょう。naomiさんのおっしゃるように、すべてを削ぎ落として立ち現れる本質としての彼女が、どれだけ美しかったことか!

keyさん、こんにちは。

日本発でもこんなにオリジナリティがあってクオリティの高い作品が作れるのは、本当に素晴らしいことですよね。そしてオーレリーってやはり天才なんだな、というのを感じました。ゆっくりした動きでも、完璧にコントロールされていてとても精緻な動きをしているんですよね。今後も、勅使川原さんとのコラボレーションが観られるといいな、と思いました。彼女がオペラ座でメートル・ド・バレエになったら、勅使川原さんの作品もまた上演されるかもしれませんね。

naomiさん、こんばんは!

私は8月16日(土)の15:00の部を観ましたが、観られて良かったなぁ!!と感激しましたヽ(´▽`)/
コンテンポラリー作品は難解だというイメージがあり、しかも前日寝不足だったこともあり、自分がスリープしてしまったらどうしようと心配していたのですが、全く平気でした(笑)

佐藤利穂子さんのダンスを初めて観たのですが、竹を割ったようなキレのある力強さと、日本女性らしいたおやかさを併せ持った、素晴らしいダンサーだと思いました。世界屈指のダンサーと言われるていることに納得です。
勅使河原三郎さんのダンスも、ただのダンスという感じではないですね。人の目を惹きつけるすごいパワーを持った方だと思います。60歳なんて信じられない!!
また、若いお二人がスピード感ハンパなくて大迫力でした。

今回ほとんどオレリー・デュポン目当てで行ったのですが、また好きなダンサーが増えました(*^-^)
オレリーのダンスも、とても良かったです。身体の動き以上の何かを感じさせるのは、さすがエトワールの頂点ですね!貴重な舞台を観ることができ、幸せでした。

そして、舞台装置にも感動しきりでした。アクリルの板や、卓、椅子などが照明によって様相を変えて、舞台上で様々な雰囲気を出すことに驚きました。特に、家具の上昇と反対に板が下降するシーンでは、錯視が起こって、フワーっと心地の良いような悪いような浮遊感を味わいました。こんなシンプルな道具で「睡眠」を表してしまうなんて…

勅使河原三郎さんのダンスは、ぜひ再び観たいと思っています‼

長文になってしまって、すみません。

キャラウェイさん、こんにちは。

そうそう、私もこの「睡眠」というタイトルだったし、寝不足だったので自分がスリープしちゃったらどうしようと思っていたのですが、大丈夫でした(笑)。

佐東さん、本当に凄いダンサーですよね。バレエというよりはコンテンポラリー寄りのテクニックではあるのですが、おっしゃる通り、たおやかさと切れ味鋭さを併せ持っていて、すごい表現力です。勅使川原さんのダンスも、彼にしかできない、とても個性的だけど強靭ですごいパワー!若手ダンサー二人も凄かったです。

舞台装置も本当に美しくて、工夫が凝らされていて効果的でしたよね。ダンスにアートなどの相乗効果もあって、芸術作品として本当に美しかったです。

以前も、ラ・フォル・ジュルネなどで勅使川原さんの踊りを観たことがあるとはいえ、これを観ると、もっとほかの作品も色々と観てみたいと思いました。最近は相当意欲的にいろいろな公演をたくさん上演されているようですね。

naomiさん、こんにちは。
最終日に、この舞台を観てきました。緊張感あふれる美しい作品でした。
勅使河原さんの最近の作品のなかでも、美しさという点では際立っていたように思います。
もっとコラボレーションを全面に出した作品なのかと思っていましたが、オレリーを変にゲスト扱いせず、KARASのメンバーのように振り付けていたので驚きました。
オレリーも「オペラ座のエトワール」という肩書きを脱いで、とても謙虚に、真摯に、作品に挑んでいるように見えました。それにしても勅使河原さんの世界になじんでいましたね。。。
最近の勅使河原さんは、共演者や劇場などによって作品を作り分けているというか、ずいぶん幅があります。
この舞台で興味をもたれたなら、是非、他の作品も観に行ってみてください!
僕のおすすめは、シアターXでの一連の作品。この作品とはまったく別の勅使河原さんの魅力が観れますよ!

hiroshiさん、こんにちは。

そう、コラボレーション作品というよりは、本当にKARASの一員としてオーレリーが出ているというのが良かったと思います。けっこうリハーサル期間も長くて、そして関係者に聞いた話では、リハーサルが終わっても彼女は一人で残って自習していたそうですね。その真摯な姿勢は、舞台の上の姿から伝わってきました。とても美しい作品だったし、できればもう一回見たかったです。

勅使川原さんの作品を舞台で観たのは初めてではないのですが、最近本当にあちこちでご活躍されているようですし、また違った面も観てみたいなとおもうので、シアターXにも足を運んでみたいです!ダンサーとしても、勅使川原さん、佐東さん、本当に素晴らしいですよね。

兵庫公演を観てきました。naoniさんの“必見”に、それなら…と行ったんですが、本当に凄かったです。理解を越えるというか、人間の身体、表現の可能性は無限なんだとゾクゾクしました。5人ともそれぞれに凄かったですが、佐東さんの存在感が半端なく圧倒的でした。本当に必見でした。観れて良かったです。ありがとうございました!

naomiさん、こんばんは。

睡眠、すばらしかったです。
終演後もしばらく興奮がおさまらないほどでした。

振付はもちろん、舞台美術から音楽のミックスまで勅使川原さんがされると聞いて驚きました。睡眠というテーマから、あんなに豊かで美しく、面白くもあり時に恐ろしいものを生み出せるなんて、、驚きです。

それを具現化するダンサーのレベルの高さ。佐東さんはじめKARASダンサー皆さんすばらしかった!その中でオーレリーは良い意味で異質で、naomiさんが言われるように時折ふわふわとたゆたう睡眠そのものに見えました。

オーレリーはカーテンコールでの無垢な表情も美しかったです。
パリオペのエトワールではなくKARASダンサーでした。

東京と兵庫で2回観れて幸運でした。
海外でも公演予定とのこと、今後この作品がどのようになっていくのか楽しみです。
勅使川原さんのほかの作品も観てみたいと思います。

rinさん、こんにちは。

ご覧になれたのですね!良かった~。おすすめした甲斐がありました。身体表現の無限さ、私も感じてぞくぞくしましたね!5人ともう素晴らしいダンサーなのですが、確かに佐東さんは圧倒的でした。もっといろいろと勅使川原さんの作品を見なくちゃいけないと思ったのでした。

すみれさん、こんばんは。

お返事が遅くなってしまってごめんなさい!今週とても忙しくて…東京と兵庫の2回で観られたのは幸せでしたね!

勅使川原さんの多才ぶりは凄いですよね、照明や装置まで手がけられて。ものすごいクリエイティビティ、イマジネーションを感じました。

今後、公演を重ねて行って、海外での公演も経てどのように進化していくのか、とても楽しみです!

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