BlogPeople


2018年8月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« ウラジーミル・マラーホフのさよなら公演からの映像 | トップページ | ロイヤル・バレエの昇進発表 »

2014/07/03

ブリヂストン美術館「描かれたチャイナドレス」展

日本人の描いた油絵の中での、中国服を着た女性像ばかりをあつめたユニークな企画展「描かれたチャイナドレス展」のブロガーナイトに呼んでいただいたので、参加してきました。

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/

展示会場の画像は特別に主催者の許可を得て撮影したものです。

Resize0281

昨年8月から8か月という異例の短さの準備期間でしたが、それでも約30点を集めることができました。1910年代から40年代にかけての作品群です。実は、6~70年前の日本では、意外と日本人がチャイナドレスを着ているというのが一般的であり、村松梢風(村松友視の祖父でもある作家)の文章にも登場します。1933年ごろは、日本人の半数が和服を着用していた時代でしたが、その頃が中国服ブームの頂点でした。

藤島武二の「匂い」について解説するブリヂストン美術館学芸部長の貝塚さん

Resize0283

「匂い」は帝展に出展された作品。藤島武二はパリ、ローマに留学して帰国しました。そのため、イタリア、フランスから見た東洋という視点を持っており、日本から見た朝鮮半島や中国を観るまなざしも、その視点を適用しています。藤島は、60点もの中国服を収集しており、これらを日本人モデルに着せて作品を描いたとのことです。

また、彼はイタリア・ルネッサンスの絵画に憧れ、真横からの肖像画を描きました。古代のメダルやコインなどは横顔を描いたものが多く、その人の個性を最も表すことができるのは横顔だと彼は感じました。「東洋振り」や「女の横顔」などがその代表的な作品です。彼はイタリア・ルネッサンスに憧れを抱いており、ルーブル美術館にあるピサネルロの作品の模写なども残されています。

「女の横顔」のモデルは、竹久夢二の恋人であった佐々木カ子ヨ(お葉)。「日本人には横顔の美しいモデルは少ない」と藤島は嘆いていましたが、お葉の横顔は美しく、彼はもう一枚、彼女をモデルにした「芳惠」(本展には未出展)も描いています。

関東大震災に罹災し、30歳と若くして亡くなった久米民十郎。早世したために、あまり知られてなかったが、留学時代にアーネスト・ヘミングウェイと交流していており、関東大震災の時には彼の安否を気遣っていたそうです。弟の権九郎は建築家として成功し、久米建築事務所(現在の久米設計)を設立した。この「支那の踊り」は摩訶不思議な曲線で描かれた鮮烈な作品。87年ぶりに永青文庫の倉庫から発見されたとのことです。

Resize0282
(「支那の踊り」は左から二番目の作品)

矢田清四郎の「支那服の少女」(撮影禁止作品)は東京芸術大学の卒業制作で、少女がとても愛らしい。彼は小林萬吾に師事したそうで、やはり中国服の作品を制作した小林の影響を受けたようである。(小林萬吾の「銀屏の前」という作品も今回出展されている)

三岸好太郎の「支那の少女」は、どこか幻想的な雰囲気のある作品。彼の唯一の海外旅行が上海旅行だったそうで、大きな転機だったそうです。当時の上海はヨーロッパを思わせる街で、特に外灘や租界は異国情緒がありました。上海はヨーロッパに船で行く際の最初の寄港地であり、ヨーロッパに行けない人にとって、ヨーロッパの香りを感じさせる場所だったようです。

小出楢重の「周秋蘭立像」は、現在も大阪のリーガロイヤルホテルのメインラウンジに飾られている作品で、彼が亡くなった後、未亡人はこのホテルでこの作品を見るためにお茶を飲みに行っていたそうです。彼は口ぐせのように「支那服を描きたい」と言っており、中国人のダンサーをモデルに描いたとのことです。

(右端が「周秋蘭立像」)
Resize0280

児島虎次郎の「中国の少女」は京劇の女優が普段着をしている姿を描いたものです。そして「西湖の画舫」は、南京の情景を描いたもの。「画舫」とは屋形船のことで、音曲を楽しむ催しが開かれていました。児島虎次郎はパリで作品を多く出品し、極めて東洋的なモチーフをパリに送り込みました。

Resize0285

梅原龍三郎は、4年間に6回も北京を訪れています。数か月滞在し、北京飯店の508号室で作品を描きました。ここで描かれた中国人の姉妹の作品は非常に印象的で、今回出展されたもののの他3点、彼女たちを描いた作品があったということです。

そして、この展覧会のインスピレーションのもととなったのが、安井曽太郎の「金蓉」。細川護立が発注した作品で、普段から中国服を着ていた小田切峯子という女性がモデルとなっています。「金蓉」とは彼女のニックネームでした。直線と曲線のバランスが絶妙で、1930年代日本美術の代表作ともいえる傑作です。

Resize0284

最後に、藤田嗣治の「力士と病児」という、これまた大変インパクトのある作品がありました。力士と言っても実際には大道芸人なのだそうです。藤田は30年代に北京に滞在しましたが、その後作風が変わりました。日本人から見た中国、ヨーロッパから見た日本という二つの視線を使って描かれた作品です。秋田県立美術館にも同系統の作品があります。

会場には、アンティークの華やかなチャイナドレスも6点飾られ、それぞれ年代別の流行の違いを見せてくれました。真っ赤に塗られた壁も美しい会場です。
Resize0279

中国文化への憧れ、ヨーロッパで学び取ったものをどうやって日本に持ち込んだのか、エキゾチックなまなざしを感じることができて、とても素敵な展覧会でした。


休館日 月曜日
開館時間 10:00〜18:00(毎週金曜日は20:00まで)

※7/7(月)、7/14(月)、祝日の月曜日は開館します。
※入館は閉館の30分前まで。
※上記の開館時間も不測の事態の際は変更する場合があります。
※最新情報は公式Pおよびハローダイヤル(03-5777-8600)でご確認ください。
住所ブリヂストン美術館 〒104-0031 東京都中央区京橋1丁目10番1号

« ウラジーミル・マラーホフのさよなら公演からの映像 | トップページ | ロイヤル・バレエの昇進発表 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ウラジーミル・マラーホフのさよなら公演からの映像 | トップページ | ロイヤル・バレエの昇進発表 »