クロアチア、ボスニア他旅行記(その6)ドブロヴニク
クロアチアで一番の人気観光地といえば、ドブロヴニク。「アドリア海の真珠」と評され、旧市街は1979年に世界遺産に登録されました。歴史的に海洋貿易によって栄えた都市で、中世のヴェネチア主権下のラグーサ共和国はアマルフィ、ピサ、ジェノヴァ、ヴェネツィアなどと共に5つの海洋共和国に数えられていたそうです。19世紀初頭までは、このラグーザ共和国は隆盛を極めており、その後ナポレオンの支配を経てオーストリア=ハンガリー帝国の一部となり、そして第一次世界大戦後はユーゴスラビアの一部となるものの、独立心旺盛で誇り高い都市だったとのことです。しかし、戦争の傷跡は少しですが残っている場所でもあります。
旧市街をぐるっと取り巻く城壁は1900mの長さがあり、高さは20メートルですが階段でのアップダウンもかなりあります。城壁の上は一方通行ながら歩けるようになっていて、山側からスタートし、海沿いまで回って一周。旧市街の中、そしてアドリア海やそこに浮かぶロクルム島、ヨットハーバーそして海岸にある要塞などを見下ろすことができる絶景を堪能できます。
途中にはカフェ、土産物店などもあります。一周してだいたい1時間半くらいでしょうか。ドブロヴニクに行ったら、まずはこの城壁歩きは絶対に欠かせません。晴天率の高いドブロヴニクですが、たまたまあまり天気は良くなかったものの、雨に降られることはなく、青い海とオレンジ色の屋根と素晴らしい風景を楽しみました。また、城壁の上から、この旧市街に住んでいる人々の営みも垣間見ることができたのも楽しかったです。
ピレ門近くのフランシスコ会修道院。ロマネスク様式の回廊が美しい。いろんな国の旗をデザインしたポスターが張ってあって、日本の旗があるところを見てみたら「清子」というサインが。各国の要人のサインが並べてあって、清子とは、黒田清子さんのことだった。教会は様々な宝物が展示してあったのだけど、驚いたのは、壁の二か所にわたって大きな穴があって、91年からの戦争でミサイルが貫通していたとのこと。
さて、このフランシスコ会修道院の回廊の脇には、「マラ・ブラチャ」という薬局があります。14世紀に創設された、ヨーロッパでも3番目に古い薬局とのこと。この薬局が有名なのは、700年前から伝わるレシピに基づいた化粧品やハーブティーなどを売っているから。特にラヴェンダーやローズ、ローズマリーなどを使ったクリームや化粧水は人気があって、日本のテレビ、雑誌やガイドブックにも必ず取り上げられています。(日本の雑誌の切り抜きも言えば見せてくれるし、試供品もある)とても香りがよく、天然成分しか使っていない上に値段も手ごろなので、もちろん買って帰りました。
プラツァ通りという大通りがメーンストリートとなっていて、そこから路地がたくさん分かれ、土産物、食べ物などいろいろなお店があります。観光客に交じって修道女なども歩いていて、中世と現代が混じった風景は不思議だけど素敵。そしてドブロヴニクといえば、猫もたくさんいます。野良猫でも人馴れしていて可愛いコがたくさんいました。そして教会もいくつもあります。聖母被昇天の大聖堂の主祭壇には、ティッツィアーノが15世紀に描いたゴージャスな「聖母被昇天」があります。
プラツァ通りの行き止まりあたりには、ルジャ広場、ドブロヴニクの守護聖人、聖ヴラホを祀った聖ヴラホ教会があります。この教会は憧れの結婚式場だそうで、ちょうど訪れたのが金曜日ということもあって、夕方には新郎新婦の姿や、結婚式に参列する着飾った若者たちを見ることができました。聖ヴラホ教会の前には、オルランド像があります。ドブロヴニクでは自由の象徴として1418年に制作された、美しい騎士の像です。
そしてこのルジャ広場にあるスポンザ宮殿、アーチの美しい建物ですが、そこで小さな展覧会をやっていました。ドブロヴニクはユーゴ紛争で1991年にユーゴスラビア人民軍によって攻撃され包囲され、114人が死亡しました。その亡くなった人たちの顔写真、遺品、そして攻撃された時の映像などが上映されていました。亡くなった人たちがみな若い人ばかりだったのがとても痛ましかったです。城壁なども甚大な被害を受けたそうです。そのため一度は危機にさらされた世界遺産リストにも挙げられましたが、見事に復旧したというわけです。
また昼頃まではマーケットも開かれていて、ラヴェンダーのグッズ、クロアチア名物の刺繍、野菜や果物、様々なモノが売られていました。添乗員さんに教えてもらったのですが、塩、干しイチジクのアーモンド詰めをサラミ状にしたもの、ハーブなどを売っているお店では、日本語が流暢な女性が商品を売っていて、思わずハーブとオレンジで香りづけされた塩を買い求めました。このお店です。http://www.opg-sardi.com/en/index.html
昼食を食べたら、とても騒がしくて何事か、と思ったらこの日は高校生が終業式の日ということでした。学校が終わるということで、卒業したり夏休みに入る子供たちが、音楽を大音量でかけたり、羽目を外して街中で踊ったりしているのです。Tシャツに思い思いに落書きをしたり、盛り上がっていました。
午後は、ケーブルカーに乗ってスルジ山を上ります。スルジ山から旧市街を見下ろすと、目の前には絶景が広がっているのです。シーズンオフの今でもかなり人気があって結構並びます。運よく、海側の場所に立つことができ、見下ろすと、旧市街の全貌が徐々に広がっていきます。頂上には、ナポレオンが贈ったという大きな十字架があり、展望台で旧市街を一望できます。お天気はそれほどよくなかったものの、それでも視界は良く開けていました。できれば戦争資料館も観に行きたかったけど時間が無くなってしまい。
旧市街に戻り、食事の時間までお買い物。ザグレブに本店がある、アロマティカというアロマやバスグッズのお店。日本人観光客にも人気があるようです。私はバスソルトとハーブティを買ったのですが、エッセンシャルオイルやマッサージオイルなども人気があるそう。ここのパッケージのデザインも可愛いです。
レストランがある旧港付近も、観光船などが発着するところで雰囲気があります。ラグーサ共和国時代には各国の商船でにぎわったそう。
多くの人が歩いて磨かれ光に反射する石畳が美しい夜も、ドブロヴニクは美しいそうですが、ホテルに戻らなくてはならないのでバスに乗り込みました。途中、橋があるところがドブロヴニクを遠くから見渡せるということで、運転手のマリオさんが止めてくれました。夕刻の淡い光の中の旧市街や、海を進んでいくクルーザーの姿も、また違った感じで素敵でした。ドブロヴニク、またいつか訪れたい。今度は晴れるといいな。
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