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« 6/2、3 シュツットガルト・バレエ「Wayfarers」 | トップページ | 『SHOKO 美しく、強く。バレリーナを生きる』発売記念 SHOKOトーク&サイン会開催 »

2014/07/22

7/20 アリーナ・コジョカル ドリームプロジェクト

2012年の第一回に続いてのアリーナ・コジョカルドリームプロジェクト。この公演ではコジョカルの強い意向のもと、期間中に会場内に東日本大震災被災者支援のために義捐金箱を設置するとともにチャリティオークションも実施していた。オークションの収益は、全額を東日本大震災・津波遺児への支援金としてあしなが育英会に寄付するとのこと。

http://nbs.or.jp/stages/1407_Cojocaru/index.html

コジョカルは、「Hospice of Hope」という、故国ルーマニアでのホスピスのためのチャリティ公演を行っているなど、かなりこのような社会的な活動に力を入れているようだ。


◆第1部◆

「オープニング」
振付:ペタル・ミラー=アッシュモール 音楽:アレクサンドル・グラズノフ
アリーナ・コジョカル
オヴィデュー・マテイ・ヤンク、ロベルト・エナシェ、堀内尚平、クリスティアン・プレダ、ルーカス・キャンベル

ルーマニア国立バレエの5人の男性ダンサーたちは黒いシャツとパンツでスタイリッシュに決めて、星がキラキラひかる中、チュチュ姿のコジョカルはとても美しい。


「眠れる森の美女」より グラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・I. チャイコフスキー
ローレン・カスバートソン、ワディム・ムンダギロフ

ローレンもワディムもとても美しく、ソロの時には動きがのびやかで綺麗なのだが、パートナーリングがあまりうまくいっていなかった。特にアダージオでのフィッシュダイブがもたついたのが気になった。ローレンは相変わらず控えめながらも気品にあふれてイングリッシュローズさながら。ワディムもマネージュが高速で良く伸びたつま先も美しいのだが、十分合わせる時間がなかったのかもしれない。


「HETのための2つの小品」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:エリッキ=スヴェン・トゥール、アルヴォ・ペルト
ユルギータ・ドロニナ、イサック・エルナンデス

楽しみにしていたファン・マネン作品。男性のシースルー衣装がセクシーなこの作品は、以前、シュツットガルト・バレエの50周年記念ガラでアリシア・アマトリアンとマライン・ラドマーカーが踊ったのを観たことがある。前半のスピーディーさと、後半の叙情性が対をなしている。リリカルなのに、わざと外してユーモラスに作った部分があるのがファン・マーネンらしい。ストーリーはないのだが、男女の間の濃密な駆け引き、距離感、息遣いが伝わってきていてどきどきしてしまう。ユルギータ・ドロニナは実演に接するのが初めてなのだが、高い身体能力、小柄ながらも美しい肢体、そして一つ一つの動きにドラマ性を込められて内面の深みを感じさせて素晴らしい。イサック・エルナンデスはまだ若いようでほっそりとしていて官能性は薄いけれども、動きは美しく大いなる可能性を感じさせてくれた。


「エスメラルダ」
振付:マリウス・プティパ 音楽:チェーザレ・プーニ
日高世菜、ダヴィッド・チェンツェミエック

ヨハン・コボーがバレエ団初めてのプリンシパルに指名したという日高さん。長い手脚でプロポーションに恵まれ、ワガノワ出身者ならではの上半身の使い方の美しさ。タンバリンを叩く脚の高く上がること。柔軟性に優れていながらも軸がしっかりしているので安定感も抜群だし、ピルエットはきれいにトリプルが決まり、グランフェッテもスピードはゆっくりめだけどとても正確。今現在でも素晴らしいけど将来、どこまで育つのかとても楽しみ。ロイヤルから移籍したチェンツェミエックは、脚はきれいだしノーブルさを感じさせてくれるけど着地が決まらないなど、ちょっと不安定だった。


「ラプソディー」より
振付:フレデリック・アシュトン 音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
吉田都、スティーヴン・マックレー

ロイヤル・バレエのモスクワ公演でも、スティーヴン・マックレーの踊る「ラプソディ」は大絶賛を浴び、バリシニコフの再来だと大評判だったそうだが、この演目での彼は本当に凄かった。最初はガラ向けのアレンジとして、マックレーのソロから始まったが、とにかくすさまじいヴィルトゥオーゾぶり。まるで悪魔に魂を売って踊りの才能を授けられた人のよう。超絶技巧を音楽通りに決めていく。吉田都さんが登場する。二人ともたぐいまれなる豊かな音楽性の持ち主で、性質は違っているように思えるのに一緒に踊るとピタッと合う不思議さ。都さんの細かいパドブレ、ふわっとした腕の動きはエレガントそのものなのに、サポートつきピルエットはものすごい速さでありながらも、音楽にぴったりと寄り添っている。凄いものを観たという思いとともに、観る者すべてを幸福感で包んでしまう都さんは、バレエ界の至宝そのもの。(最近、宣伝文句に至宝って言葉を乱発しすぎだと思うのだが、都さんにこそこの言葉はふさわしい)


〈本日の特別プログラム〉 「5つのタンゴ」よりソロ
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:アストル・ピアソラ
イサック・エルナンデス

この日はスペシャルプログラムとして一つ加わったので、ファン・マーネン作品を二つ観られてとてもうれしかった。ピアソラのタンゴに合わせて、黒い衣装のエルナンデスが踊るソロ。とてもセクシーでスタイリッシュ、タンゴ的な要素がありながらも動きはクラシックバレエが基本。若豹のような細身でしなやかなエルナンデスにはぴったりだった。
(これは、同じオランダ国立バレエのヴィットー・マッツェオが踊ったもの)
http://youtu.be/4mqfSFskFyA


「リリオム」より ベンチのパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ミシェル・ルグラン
アリーナ・コジョカル、カーステン・ユング

ノイマイヤーの2012年の作品「リリオム」の最初のほう、ジュリーとリリオムが出会う場面のパ・ド・ドゥ。ノイマイヤー作品の一部を取り出してガラで上演するのはなかなか難しく、初めて観る人にとっては意味が分かりづらいところもあった。が、純粋無垢なジュリー、心優しいけど粗暴なリリオムのキャラクターづけははっきりわかるのは、さすが初演キャストによるものだけのことはある。コジョカルは、ノイマイヤーの舞踊語彙をしっかりと自分のものにしており、彼独特のフレックスの足先の使い方や上半身の動きも巧みで、ノイマイヤーダンサーになりきっていた。今の彼女にとっては、古典よりはノイマイヤー作品のほうがずっと向いているように思えた。

カースティン・ユングの演技力の高さは言うまでもなく、不器用な二人の心が少しずつ近づき寄り添っていくのが伝わってきた。ラスト、ベンチの上で膝枕するシーンは愛らしいし、ミシェル・ルグランの音楽もノスタルジックな雰囲気を作り上げるのに役立っていた。ぜひとも全幕を観てみたい作品。(そのためには、ここしばらく来日していないハンブルグ・バレエに来日してほしいところ)


◆第2部◆

「白鳥の湖」 第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー
東京バレエ団

昨年のロイヤル・バレエの来日公演で予定されていたコジョカルとコボーの「白鳥の湖」が、コジョカルの怪我のためにキャンセルになってしまったための埋め合わせだった。が、残念ながらコジョカルは、オデット向きではない。小柄なダンサーでもオデットが似合う人はいるのだが、腕が短く筋肉質の彼女には、オデットの悲劇性はあまり表現できていないように感じられてしまった。ただ、コボー王子の腕に抱かれているコジョカルの表情には、今まで感じられなかった生身の女の部分が観られたのは興味深い。東京バレエ団の出演者たちの細かいキャストがわからなかったのは残念だが、四羽の白鳥の揃いっぷりは実に見事で、これだけよく揃っている四羽を観たのは久しぶりだった。

◆第3部◆

「海賊」 ディヴェルティスマン
振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ
アリーナ・コジョカル、ユルギータ・ドロニナ、日高世菜、ローレン・カスバートソン
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ダヴィッド・チェンツェミエック、
ワディム・ムンタギロフ、イサック・エルナンデス

ガラ公演のお祭りらしい構成でとても楽しかった。ベースになっているのは、ENBで上演されているアンナ・マリー・ホームズ版だろうか(ほぼ同じ版は、ABTでも上演されている) まずは、コジョカルとコボーによる寝室のパ・ド・ドゥ。サポート巧者のコボーによる見事なサポートで、コンラッドとメドーラの甘いパ・ド・ドゥが展開する。次に、奴隷のパ・ド・ドゥということで、マックレーとドロニナによるランケデムとメドゥーラの踊り。マックレーは2年くらい前にABTでランケデム役でゲスト出演しているので、この役もお手のもの。奴隷商人らしい狡猾で強欲な感じも良く出しており、またトゥール・ザン・レールとグリッサードの連続技や柔らかいジャンプ、さらには背中を地面に向けた高いクペ・ジュッテ・アン・トゥールナンや540などのダイナミックなテクニックも見せてくれた。ドロニナは、ここではクラシックテクニックの確かさを見せてくれて、グランフェッテは少し左にずれたもののダブルも入れてきれいに回った。

日高さんはピルエットの美しいオダリスクの第三ヴァリエーション、カスバートソンはメドーラのヴァリエーションを見せてくれて、チェンツェミエックはコンラッドのヴァリエーション。そして、コジョカル、ムンタギロフ、エルナンデスによる2幕のパ・ド・トロワ。ムンタギロフのマネージュが、今まで観たことがないような超絶技巧を織り込んだもので、片脚をルティレの位置にしながらのアティチュード・アン・レールっていうのだろうか、大技を入れてくれた。それに比べたらエルナンデスのアリは少々地味目だったが、彼もテクニックは非常にしっかりとしていた。コジョカルのヴァリエーションは、ガムザッティが踊っているもの。最初のエカルテでのグランド・スゴンドのバランスが凄かった。

コーダでは、まずはコジョカルがバランスのくっきりとしたイタリアン・フェッテを見せて、それから女性陣が全員登場してのグラン・フェッテ合戦。そして男性陣によるピルエット・ア・ラ・スゴンド合戦というお約束ながらとても盛り上がるフィナーレとなった。


Aプロの白眉は何と言っても都さんとマックレーによる「ラプソディ」だったが、オランダ国立バレエの二人、日高さん、「リリオム」もとても印象に残ったし、最後の「海賊」はエンターテインメント性たっぷりだったし、全体的に良い公演だった。Bプロの方も楽しみである。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさん、こんにちはhappy01
アリーナ・コジョカル ドリームプロジェクト、20日、21日、二日間、観てきました。
都さんとマックレーの「ラプソディー」、本当に素晴らしかったですよね!
この二人は、最近では一緒に踊ることはほとんどないと思いますが、どうしてこんなにピッタリ合うのでしょう!
この作品が二人に似合っているというのもあると思いますが、とってもとっても良かったです。
これとは逆に、コジョカルのオデットは似合っていないですね。
英国ロイヤルバレエで降板した埋め合わせとはいえ、ドリームプロジェクトにコジョカルらしさが発揮できない演目は、残念でした。カスバートソンとムンタギロフの「眠れる森の美女」のパートナリングがあまり良くなかったのも残念でした。
この二人は、体格のバランスとしてはぴったりだと思うのですが、何か持っているもの(個性?)が噛み合わないのではないかという感じがします。
今後を期待していいのかな?
「海賊」は、文句なしの楽しさでしたね!両日とも盛り上がりましたが、二日目の割れんばかりの拍手(手拍子ではなく)は、本当に凄かった!女性ダンサーのグランフェッテは、個々なのに凄い一体感!感動しました。
ムンタギロフ、特別プログラムの「ゴパック」もすごかった!
あのジャンプ力、のびは何なんでしょう。
生き生きとして、若さ溢れる、いい踊りでした!
今回、オランダ国立のペアと日高さんは初めて観ましたが、とても良かったです。
Bプロも期待できますね。

ashitaさん、こんにちは。

ドリームプロジェクトAプロ、2日間ご覧になったんですね!羨ましい~!初日楽しかったのでもう一日観たいな、特に特別プログラムにはそそられたのですが先立つものがなく。

都さんとマックレー、以前のロミオとジュリエットもそうでしたが、とても良く合っていたんですよね。二人とも音楽性が素晴らしいダンサーだからでしょうか。身長のバランスもちょうど良いし。これが観られたのは本当に幸せでした。コジョカル、確かに白鳥向きではないですよね。なのにかなり長い抜粋で、それだったらもっと彼女の得意な演目、マクミランやアシュトンが観たかったと思ったのでした。

ムンタギロフのゴパック、観たかったです!こういうのはガラならではのお楽しみなので、やっぱり無理してでも観に行けばよかったかなと思いました。来シーズン、新国立劇場でたっぷりみられるのが楽しみです。ローレンも私はとても好きなダンサーなのですが、息があまり合っていなかったのは残念。彼女らしい演目で観たかったな、と思いました。意外とコンテンポラリーも上手いですしね。Bプロも楽しみです!

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