シンシア・ハーヴェイがバレエ財団を設立
ABTの元プリンシパルであるシンシア・ハーヴェイ。ミハイル・バリシニコフと共演した「ドン・キホーテ」の映像で彼女の素晴らしい踊りを観た方も多いと思います。96年に引退してからは、教師、そして振付指導で活動してきましたが、最近のバレエ界には何かが欠けていると感じてきたそうです。
彼女と親しい、エドワード・ヴィエラ(マイアミ・シティ・バレエ元芸術監督)、イザベル・ゲラン(パリ・オペラ座バレエ元エトワール、現在はNY在住)、アンヘル・コレーラ(元ABTプリンシパル、バルセロナ・バレエ芸術監督)、そしてスティーヴン・ヒースコート(元オーストラリア・バレエ プリンシパル)も同じように感じてきました。
昨年の夏、シンシア・ハーヴェイは、 En Avantという、マスタークラスを行うとともにスカラシップやメンターを提供する財団を、匿名のドナーの寄付により発足させました。今年の6月7、8日には、バリシニコフ・アーツ・センターで1回目の公開マスタークラスを行います。
http://www.enavantfoundation.com/
シンシア・ハーヴェイは、ニューヨークタイムズへのメールの中で、このように述べています。「同僚やパトロン、そして現役ダンサーたちと話していると、バレエ芸術の現状においてかなりの不満が語られています。質よりも量が重視され、音楽性は無視され、見せかけのものだけがはびこっているというのを、ソーシャルメディアを見ても感じてきました。私自身も、舞台を観ていて何回か、不満を感じて帰ることがありました。この現状に対して不満を言う代わりに、これを何とかしたいと思いました。また、多くの、素晴らしい評判を持っていた元ダンサーたちがあまり活躍できないことも感じてきました。芸術にお返しがしたいと願っている多くの偉大なアーティストをアドバイザリーボードに迎えることができました。彼らは一人ひとり、音楽性、存在感、ドラマティックさそして純粋さにおいて傑出していました」
バリシニコフ・センターで行われるマスタークラスは、シンシア・ハーヴェイ、イザベル・ゲラン、エドワード・ヴィエラによるソロとパ・ド・ドゥ指導、元ダンサーで心理医学者のリンダ・ハミルトンとスポーツ、ダンスセラピストで、レッスン中のダンサーを分析し、ダンサーの強度とスタミナを強化するコンピュータ解析による手法を開発したパトリック・ランプによるレクチャーなどが含まれています。また、財団は、クラスの前にスカラシップも提供する予定です。
「私の目標は、来年3つのクラスを開講し、その翌年には4つか5つにすることです。私は、ダンスの分野にも取り組んできた演技の教師とともに役柄の教授法を開発し、音楽とその重要性について語る指揮者も招きたいと思っています。
多くのダンサーにおいて、これらの要素にかける時間はスタジオでは後回しにされがちであると、私はダンサーたちから聞いてきました。高い技術を持つダンサーたちは、キャラクター作り、そして彼らが取り組んでいることの深みを理解することにあまり時間をかけることができません。感情的な要素に取組ことが、観客を感動させることなのに」
アドバイザリーボードのメンバーは大変豪華です。エドワード・ヴィエラ、イザベル・ゲラン、アンヘル・コレーラ、スティーヴン・ヒースコートの他にも、ダーシー・バッセル(元ロイヤル・バレエプリンシパル)、デズモンド・ケリー(BRB元副芸術監督、エルムハースト・スクール元校長)、ヴィオレット・ヴェルディ(元NYCBプリンシパル、パリ・オペラ座バレエ元芸術監督)
このような動きがバレエ界に広がっていくと素晴らしいですね。
![]() | ミハイル・バリシニコフの「ドン・キホーテ」 [DVD] ワーナーミュージック・ジャパン 2012-03-07 売り上げランキング : 10579 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
« バスティアン・ヴィヴェのバレエ・コミック「ポリーナ」をプレルジョカージュが映画化 | トップページ | クロアチア、ボスニア他旅行記(その1)ミュンヘン、ザルツブルグ »
「バレエ(情報)」カテゴリの記事
- 彩の国さいたま芸術劇場で、ノエ・スーリエ 『The Waves』公演とさいたまダンス・ラボラトリ(2024.01.21)
- 『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23』、開幕は平野亮一主演「うたかたの恋―マイヤリング―」(2022.12.06)
- 英国ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズン、ロイヤル・バレエ「くるみ割り人形」2月18日より劇場公開(2022.02.17)
- 英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2021/22が、2月18日ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』で開幕(2022.01.23)
- 「ボリショイ・バレエ inシネマ2021-2022 Season」5上映作品が12月より劇場公開(2021.10.16)
« バスティアン・ヴィヴェのバレエ・コミック「ポリーナ」をプレルジョカージュが映画化 | トップページ | クロアチア、ボスニア他旅行記(その1)ミュンヘン、ザルツブルグ »
コメント