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2014/04/28

ボリショイ・バレエ「マルコ・スパダ」映画館中継

ニューヨーク滞在中に、ちょうどボリショイ・バレエの「マルコ・スパダ」の映画館中継があったので観に行きました。5月14、15日に日本でも映画館で上映されるけれども、映画館の場所が不便なうえ、都合が悪くて観に行けなさそうだったので。そして、代金もニューヨークだと20ドルと日本で観るよりちょっと安いのでした。

上映された映画館は、イースト・ヴィレッジにあるヴィレッジ・イースト・シネマズ。今どき珍しい、劇場を思わせるようなクラシックな内装の、古くて素敵な映画館。この映像が上映された一番大きいスクリーンでは、シャンデリアが下がり二階建て構造になっていました。上映前に二人のダンス評論家による解説もありました。前日のYAGPのガラで見かけたNYのバレエマニアたちが集結していたし、オルガ・スミルノワとセミョーン・チュージンはそのガラで踊るのを生で観たばかりだったのでなんだか不思議な感じでした。

http://youtu.be/jXeFr3JiN1U

Music : Daniel Francois Esprit Auber
Choreography :Pierre Lacotte

Marco Spada : David Hallberg
His daughter Angela : Evgenia Obraztsova
Marquesa Sampietri Olga Smirnova
Prince Frederci : Semyon Chudin
Count Pepinielli : Igor Tsvirko
Governor of Rome : Andrei Sitnikov

「マルコ・スパダ」はもともとは、『パキータ』や『海賊』を振付けたことで知られる、ジョゼフ・マジリエが1857年にパリ・オペラ座で初演した作品。1981年にピエール・ラコットがこの作品をルドルフ・ヌレエフに再振付し、ローマ歌劇場バレエで上演した。ヌレエフがマルコ・スパダ役、ギレーヌ・テスマーが彼の娘アンジェラ役、そしてミカエル・ドナールがアンジェラの恋人、フレデリッチ公爵を演じていて、これはDVD化もされている。この作品を踊った当時、ヌレエフはすでに44歳でダンサーとしての全盛期は過ぎていたものの、ヌレエフの好んだステップ、ロン・ドゥ・ジャンブ・アンレールなどが多用されていて高度な技術が必要な振付となっている。また、上映前の解説によれば、アンジェラとマルケサが競うように踊るパ・ド・ドゥが登場するのが特徴的であり、ライバル関係にあったファニー・エルスラーとマリー・タリオーニの踊りを意識したものとなっているとのことだった。

舞台はイタリア。マルコ・スパダは貴族に化けているものの名の知られた盗賊で、彼の犯罪について農民たちは市長に苦情を申し立てている。提督であるペッピリーニ伯爵は、市長の娘である美しいマルケサと恋に落ちる。父マルコ・スパーダが盗賊であることを、娘アンジェラは知らない。ペッピリーニとマルケサは山の中で道に迷い、マルコ・スパーダの自宅で庇護される。市長の家での宴にマルコ・スパダとアンジェラは招待されるが、その宴の招待客が、お金を盗まれていることに気が付き、マルコ・スパダが犯人であることがばれてしまう。父の正体を知ったアンジェラは、盗賊の娘である自分は恋人フレデリッチ公爵とは結婚できないと打ちひしがれ、フレデリッチはマルケサと婚約すると宣言する。

一方ペッピリーニ伯爵はマルケサへの愛を誓おうと決意するが、盗賊たちが彼らを誘拐する。連隊が近づいてくることに気が付いた彼らは洞窟に避難し、通りかかったフレデリッチ公爵と市長も誘拐する。アンジェラが間をとりなして彼らを助けるが、銃声が聞こえ、アンジェラをかばおうとしたマルコ・スパーダは弾が当たって瀕死の重傷を負う。彼はアンジェラは自分の本当の娘ではないと告白し、彼女が恋人フレデリッチと結婚するようにと言い残して息を引き取る。

Marco_spada_invite_generalevent_ima

ロマンティック・バレエは異国情緒のある舞台で行われるという定説通り、このバレエの舞台はイタリア、ローマ。全体的な雰囲気やストーリーは、同じラコットによる「パキータ」にも似ている。ストーリーにはあまり深みがあるわけではないが、とにかく主要キャスト5人が踊りまくる上、1幕ではアナスタシア・スタシュケヴィッチとヴャスチェスラフ・ロパーティンが演じる花嫁と花婿のパ・ド・ドゥまで登場するなど、ダンスシーンがてんこ盛りだ。解説にもあった、アンジェラとマルケサが競うように踊るパ・ド・ドゥも見ごたえがあり、二人のタイプの違いが明白になっている。さらに、場面転換が多く、またボリショイの素晴らしくクオリティの高いコール・ド・バレエまでたっぷりと観ることができるので、とても楽しい作品になっている。

ヌレエフのために振付けられた大変難しいステップを、ホールバーグはやすやすと踊りこなしており、ボリショイに移籍してヴェトロフに師事したことによりテクニックも大幅に向上したのを感じることができた。ボリショイらしいダイナミックさと、ラコット&ヌレエフらしい足技の冴え、そして美しいつま先。幕間にホールバーグのインタビューもあり、パリ・オペラ座学校で学んだことがこの作品を踊るうえで大いに役に立ったとも語っていた。このインタビューでは、やはり踊るのが難しい作品だったのでどうしても踊りに集中してしまって、演技の方まで気を回すのが大変だったと彼は語っていた。確かに、演技に関してはもう少し頑張ってほしかった感がある。盗賊であり、しかもアンジェラの父親であるという役なのだが、外見的には貴公子タイプのホールバーグには全く合っていない。コミカルなところも見せるのだけど、そういうところには照れも感じられてしまった。劇場で観れば演技はそこまで気にならないと思うのだけど、映画館で大写しになると演技の方もクローズアップされてしまうので悩ましいところだ。いずれにしても、彼の踊りは本当に素晴らしいので、それを観るだけでも楽しめることは請け合い。

ホールバーグ演じるマルコ・スパダの娘アンジェラ役は、エフゲーニャ・オブラスツォーワ。ロマンティックバレエを踊るのはお手の物の彼女は、1、2幕では可憐な娘、一方3幕では父が盗賊であることを受け入れ、盗賊っぽい衣装に変わっていた。踊りもエキゾチックなテイストが加わって変身しているという演じ分けが巧みだった。一方、スミルノワの演じるマルケサはお嬢様なので、気品があってエレガントな踊りで特に上半身の美しさはため息もの。競争のパ・ド・ドゥでは、確かにタリオーニとエルスラーが競い合うようだと感じられた。ただスミルノワって、たまに軸足がアンドゥオールしていないのが気になるのであった。

アンジェラの恋人フレデリッチ公爵は、セミョーン・チュージン。オブラスツォーワ、スミルノワの両方と踊る役だけども、両ペアとも、とても息が合っていてパートナーリングが上手く、また踊りの方も洗練されていた。以上、主要キャスト5人のうちの4人までもが、実のところルーツがボリショイ・バレエでないところが、現在のボリショイっぽいと感じさせられた。そんなメーンキャストの中で唯一ボリショイ・アカデミー出身のイーゴリ・ツヴィルコは気を吐いて、ボリショイのダンサーらしい男性らしさも発揮しての勇壮な踊りを見せてくれた。

http://youtu.be/Lk44bV57nuc

やはり休憩時間のインタビューで、ピエール・ラコットは、「マルコ・スパダ」という作品はオベールの音楽に敬意を払って創った作品だと語っていた。この音楽はもともとオペラのために作られたので音楽性もしっかりしており、楽しくて、イタリアらしい明るさが感じられて作品のエンターテイニングな雰囲気に大きく貢献している。

内容の深い作品ではないのだけど、豪華なキャストでたくさんの素晴らしく華やかな踊りを観ることとができる「マルコ・スパーダ」、気楽に楽しめるバレエなので、映画館で観るにはちょうど良いし、実際の舞台はきっともっと楽しめることだろう。いつかボリショイが来日公演で持ってきてくれたらいいな、と思った。

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「マルコ・スパダ」は5月14,15日に日本でもイオンシネマ系の「シアタス・カルチャー」で劇場公開されます。
http://www.theatus-culture.com/bolshoi/movie/index.html#a7

これだけ豪華キャストで踊りが盛りだくさんの作品も珍しいので、映画館で大画面で観ると本当に楽しいですよ。

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