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2014/04/17

4/10 YAGP 15th Anniversary “Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow” Gala

YAGP(ユースアメリカグランプリ)のファイナルの後は、2つのガラ公演が行われます。YAGPの出身者をメーンに、世界中のスターダンサーが集結する公演です。1つ目の「YAGP 15th Anniversary “Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow” Gala」は、YAGPで受賞したダンサーの卵たちも観られる公演となっています。

Dance Europeのサイトで、写真をいくつか見ることができます。
http://www.danceeurope.net/gallery/yagp-stars-of-today-meet-the-stars-of-tomorrow-gala-2014


ACT I: “Stars of Tomorrow”
まずは、ジュリアード音楽院の生徒によるピアノ演奏から始まりました。それから、ポルトガルの10歳のトリオによる「人形の精」ものすごくかわいいんだけど、テクニックはしっかりしていて、男の子はちゃんとリフトもできるところが凄いです。女の子も、しっかりきっちりとピルエット3回転を軽々とこなしていました。
ジュニア女子1位のAviva Gelfer-Mundi「パキータ」 、ジュニア男子グランプリのHarrison Lee の「パリの炎」、シニア男子1位の二山治雄さん「ラ・バヤデール」、そしてシニアグランプリのセザール・コラレス「ドン・キホーテ」が演技を披露。ここでも見事だった二山さんは大きな歓声を浴びていました。シニア女性3位のMadalyn Wooはバレエシューズで「Incognito」というスタイリッシュなコンテンポラリーの作品を踊りました。

そして、凄かったのが、アンサンブル部門銀メダルのEscuela Superior de Music y Danza de Monterrey, Mexicoの「Jaime Sierra's Legion」。23人の男性ばかりの群舞なのですが、みんな並外れた身体能力の持ち主で、ずらり並んだダンサーたちの上を一人のダンサーが駆け抜けて行ってジャンプ、とか、ものすごい迫力です。かっこよかった。

間に、NYCBのサラ・マーンズとタイラー・アングルがロビンスの「In G Major」をピアノの演奏に合わせて踊ります。しっとりした作品でサラ・マーンズの音感の良さ、情感が光りました。

1部の最後はグラン・デフィレ。YAGPに出場した300人以上もの生徒たちが一つの作品を踊ります。デフィレといっても、歩くだけではなく踊る場面が多くて、真ん中でソリストが超絶技巧を披露するシーンも挿入されています。チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」の曲に合わせてCarlos dos Santos, Jrが振付けた作品。全体で合わせるリハーサルも数回しかできなかったということで、たまに振りを間違えている子がいるのはご愛嬌だけど、これだけの人数が舞台の上に乗って回転したり跳躍しているとやはり圧倒的なものを感じます。

グラン・デフィレのリハーサル映像
http://youtu.be/sN6l3-SiqTw

YAGPの紹介ビデオということで、世界中のバレエ団の芸術監督のコメント映像と、コンクール出身ダンサーたちの映像が流れました。このコンクール出身のダンサーは、世界中で活躍していて、スターダンサーも多いです。たとえば、シュツットガルト・バレエでもっと最近プリンシパルになった若手の二人、ダニエル・カマルゴとコンスタンティン・アレンは二人ともYAGPで賞をもらい、ジョン・クランコスクールへのスカラシップを得ています。ABTの団員のうち、このコンクールに参加したのは実に31人、ロイヤル・バレエには13人、NYCBは10人、オランダ国立バレエも10人(「ファースト・ポジション」に出演したミケーラ・デ・プリンスもオランダ国立バレエに入団)、などと、世界中で出身者は活躍しています。


ACT II: “Stars of Today”

それぞれの演目の上演前に、出演ダンサーや振付家のインタビュー映像が流れていて、これもまた楽しみの一つでした。

Pas de Duke – Excerpt
Choreography: Alvin Ailey
Music: Duke Ellington
Linda Celeste Sims (Alvin Ailey American Dance Theater)
Daniil Simkin (American Ballet Theatre)

アルヴィン・エイリーがミハエル・バリシニコフとジュディス・ジャミソンのために1976年に振付けられたという作品。本来はやはりアルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアターのアリシア・グラフ・マックが踊る予定だったのが、怪我により同じカンパニーのリンダ・セレステ・シムズが踊った。背の高い女性と背の低い男性が踊ることによっての笑いが含まれる作品なのだけど、リンダはシムキンよりは小柄なのでその辺のおかしみはなかった。男女の掛け合いが特徴的な、とてもユーモラスな作品なのだけど、シムキンは腰振りダンスなどに遠慮が見られてしまってその辺のジャジーで遊び心あるニュアンスはあまりうまく出せていなかった。カンパニーでもよくこの作品を踊っているというリンダのほうが、動きが体に入っているのは致し方ない。でも、二人とも素晴らしいテクニックの持ち主だし、シムキンの驚くほど柔らかな跳躍はたくさん観ることができた。


Being Natasha - WORLD PREMIERE
Choreography: Gemma Bond
Music: Karen LeFrak

Skylar Brandt*
Sarah Lane*
Lauren Post*
Katherine Williams*
Calvin Royal III*
Luis Ribagorda
and Gabe Stone Shayer*
(American Ballet Theatre)
Accompaniment by Eileen Moon (Cello)
and Theodore Primis (Horn)

ABTのコール・ド・バレエの女性ダンサーであるジェマ・ボンドがこのガラのために振付けた。作曲をしたKaren LeFrakも舞台に登場し、この曲に振付けるというのがコンセプトのよう。黒い衣装のダンサーたちが、何人かずつ幅広のひも状のもので繋がれながら踊るというものだったのだけど、まとまりもなく、せっかく良いダンサーを取り揃えていたのに面白くない作品だった。生演奏ではあったけど、現代的な音楽もあまりダンス向きとは思えなかった。


Solo from Manfred
Choreography: Rudolph Nureyev
Music: Peter Tchaikovsky

Mathias Heymann* (Paris Opera Ballet)

意外にもマチアス・エイマンはYAGPのコンクールに出場した経験があるのだった。オペラ座学校から出場したなんて珍しい。この「マンフレッド」は、去年のヴィシニョーワ・ガラでも踊っているので、日本のファンにもおなじみの作品。ヌレエフ特有の難しいパを含み、とても情熱的で悲劇的なソロは、今のマチアスのドラマティックな表現力や輝かしいテクニックを見せるにもピッタリの作品。


Pas de Deux from Onegin
Choreography: John Cranko
Music: Kurt-Heinz Stolze after Peter Tchaikovsky

Olga Smirnova (Bolshoi Ballet)
Evan McKie - NEW YORK DEBUT
(Stuttgart Ballet / National Ballet of Canada)

昨年夏にボリショイ・バレエが「オネーギン」を上演した際に、エヴァン・マッキーがゲスト出演して踊ったのを観て、オルガ・スミルノワが彼と共演したいと熱望し、実現したのがこのガラでの共演だった。スミルノワは落ち着いた雰囲気がありながらも若いタチヤーナで、心が揺らいでいるのが良く伝わってきて、特にオネーギンが去った後の心が乱れる雰囲気は繊細かつ表現力豊かで、彼女の新しい一面を見せた感じがする。イザベル・シアラヴォラのタチヤーナを観たときも思ったのだけど、タチヤーナ役のダンサーは、スカートの裾から見せる足の甲が美しくなければ話にならない。そういう点でも、甲の美しいスミルノワには適役だったと言える。エヴァンのオネーギンは、いつもの彼のオネーギンだけどやはり相手が若い分、こちらもより若い青年らしい情熱を出していたように見えた。初めての共演とは思えないくらい息は合っていたが、「オネーギン」って全幕で観たい作品だから、これは今後この二人の共演を改めて観たい。お客さんの喝采はスタンディングオベーションが飛び出す大きなもので、この後に登場するラカッラの「白鳥」とこれが一番盛り上がったと言えるだろう。


Ameska – WORLD PREMIERE
Choreography: Derek Hough
Music: Ameska
Costumes: Vesa Designs
Projection Design: José Parla

Misty Copeland (American Ballet Theatre)
with Paul Barris
Alexander Demkin
and Roman Kutskyy (Ballroom Guest Artists)

人気番組「Dancing with the Stars」の振付家が、ABTのミスティ・コープランドと3人の社交ダンスの人気ダンサーに振付けた作品。ラテンダンスがベースだけどミスティはポワントを履いて踊った。まだプリンシパルにはなれないミスティだが、かのプリンスが惚れ込んだだけあってスター性、華やかさは抜群で、3人の男性たちを翻弄する魅力的な女性を情熱的に演じていた。


White Swan Pas de Deux from Swan Lake
Choreography: Marius Petipa
Music: Peter Tchaikovsky

Lucia Lacarra and Marlon Dino
(Bavarian State Ballet)

このガラの白眉の一つ。ラカッラの白鳥は、見事にしなる脚、腕の繊細な表現、詩情とドラマティックさに、思わず息を呑み引き込まれてしまう。白鳥のグラン・アダージョでこれだけ饒舌でいて、それでいて彼女の心に寄り添わずにはいられないような悲劇的で限りなく美しいものを観たことがない気がする。ロシア系の白鳥とはまた別物だけど、クラシックバレエの美しさを見せて、圧倒的だった。


Millenium Skiva
Choreography: Moses Pendleton
Music: Brainbug

Nicole Loizides and Steven Ezra* (MOMIX)

銀色の全身タイツに身を包んだ男女二人のダンサーが、スキー板を履いて驚異的なバランス芸を見せる。センス・オブ・ワンダーにあふれていて、なんとも楽しい逸品。とてもコミカルなんだけど、この振付をこなすのにどれほど強靭な身体能力が必要なことなんだろう。翌日上演された作品も楽しかったし、このカンパニーMOMIXの作品はもっといろいろ観てみたいなと思った。今まで全然知らなかったアーティストのことを知ることができるのも、ガラの醍醐味である。

男性ダンサーは別の人だけど、ここに映像があるのでぜひ。
http://youtu.be/BmTt9pEkRaA


Pas de Deux from Don Quixote
Choreography: Marius Petipa
Music: Ludwig Minkus

Iana Salenko (Berlin State Ballet)
with Joseph Gatti* (Principal Guest Artist)

ガラの最後は、やはり盛り上がらなくちゃ、ということで「ドン・キホーテ」。先に踊ったセザール・コラレスのバジルも見事だったけど、やはりプロは魅せ方が違う。ジョセフ・ガッティは小柄だけどテクニシャンで、軽やかに跳躍を決めるし、特にコーダでのア・ラ・スゴンドのピルエットは一度減速したと思ったら再び加速して綺麗にフィニッシュした。ヤーナ・サレンコは、得意の長いバランスを決め、グラン・フェッテでは後半を全部ダブルにしてやはりテクニックの強さを見せた。ただ、この二人はとてもうまいのだけど意外と地味なのであった。アメリカだともう少しお祭り感があったほうが盛り上がるのかもしれない。


最後のカーテンコールには、グラン・デフィレに出演した子供たちも全員登場した。世界のスターたちと同じ舞台に立てた経験は、彼らにとってかけがえのないものだっただろう。

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