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« 魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展【国立新美術館】 | トップページ | ウィリアム・フォーサイスがフォーサイス・カンパニーの芸術監督を退任 »

2014/03/08

「シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界」

1月にアンスティチュ・フランセで監修者である美術史家エメ・ブラウン・プライス氏の講演会を聴きに行ったにも関わらず、ちょっと忙しくてようやく会期末に行けた「シャヴァンヌ展」。

Chavanne

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_chavannes/index.html

2月にパリに行った際には、オルセー美術館で、本展にも出展されている「気球」「伝書鳩」の大きい方の作品などを観ることができて、早くこちらの展覧会も観に行きたい!と思っていたのでした。

19世紀フランスを代表する壁画家として知られるピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌは、フランスでは大変有名な画家で、多くの画家、セザンヌ、ゴーギャン、スーラ、はては黒田清輝にまで影響を与えた大家。しかし、壁画が中心であるため、日本ではあまり知名度がなくて、彼の展覧会が日本で開かれるのは初めてだそうです。壁画が中心であるけれども、持ち運べないという壁画の特性があるため、同じ作品の縮小版を彼は描いていて、それが今回の展覧会に出展されています。

こちらの展覧会では、35分にもわたる映像を観ることができますが、そこでは、彼がパリのパンテオンや市庁舎、ソルボンヌ大学、そしてリヨン美術館のために制作した壁画が紹介されています。思わず、パリに行きたくなってしまいますが、どれだけ彼がフランスでは著名な画家だったかということがよくわかります。エメ・ブラウン・プライス氏によれば、壁画の場合には、作品の中に登場する岩を、建築物の漆喰の色に合わせて彩色していたり、環境に合わせて色を使っていたりするのが、美術史的に興味深いのだそうです。

特に、リヨン美術館の壁画である「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」(チラシに使用されている作品)は、展示されている様子も会場で再現されているのですが、いつか行ってみたいと思わせるものでした。この作品の縮小版は、シカゴ美術館に収蔵されていて、今回実物を観ることができます。水辺のアルカディアに、さまざまな芸術の美神たちが集ってポーズをとっているのですが、バランシンの「アポロ」に登場するテレプシコーラ、カリオペ、ポリュヒュムニアも登場するので、バレエファンにとってはますます興味深いです。この作品の構図の絶妙なこと。スーラ、マティスにも大きな影響を与えているのが感じられます。また、同時に象徴主義にも影響を与えていることも。

シャヴァンヌは美術学校には通わず、独学で絵画を学んだそうですが、短期間ドラクロワに師事したりしており、展示されている習作やデッサンを観ると画力があったことが感じられます。

数少ない国内で所蔵されているシャヴァンヌの作品として出展されている「幻想」(大原美術館蔵)。これは、高名な評論家・作家であるマダム・ヴィニョンによって依頼された作品で、鮮やかな青の使い方がとても印象的だし、「マヨルカ陶器のよう」と形容されています。ペガサスのかもし出す幻想的なムードにはうっとりします。この作品は、ピカソの「青の時代」に影響を与えたのが良くわかります。

普仏戦争、パリ・コミューンもシャヴァンヌの作品に影響を与えています。前述の「気球」「伝書鳩」は、普仏戦争の時の通信手段として使われたものですが、大変モダン、スタイリッシュでまるでポスターのようです。黒い縁は訃報をあらわし、黒い服の女性はパリそのものの象徴です。印象が似ている「警戒」は、古典的な服装をしている女性が、アトリビュートであるかがり火を掲げている作品。自由の女神のような印象を与える姿で寓話性が感じられます。

「聖ジュヌヴィエーヴの幼少期」も、島根県立美術館に所蔵されている作品。この壁画は、パンテオンにあります。聖ジュヌヴィエーヴは、パリの守護聖人であり、パンテオンは彼女に献堂するために建てられた建物であるからして、シャヴァンヌがどれほど当時高名な画家であったかというのが伺えます。この作品は、幼く愛らしい少女でありながら、ジュヌヴィエーヴの聖人らしい神々しさが感じられておごそかな気持ちになる逸品。パンテオンには、老年となった彼女がパリを見守る壁画もあります。

オルセー美術館から今回貸し出された「海辺の乙女たち」は、3人の乙女たちがそれぞれ違った方向に顔を向けており、一人の乙女は上半身だけのみで切り取られている独特の構図がとても斬新です。この手法は、ドガがバレエをモチーフに描いた作品にも使われているものです。

http://youtu.be/qrQgqiYPuzs

普仏戦争、そしてパリ・コミューンの悲劇に心を痛めたシャヴァンヌが、戦争のない理想郷を描き続け、また一方でより直接的に戦争のモチーフを描いた「気球」「伝書鳩」のような作品を描いたのも興味深いです。

最後に、日本近代洋画を確立することとなる画家・黒田清輝が、助言を求めて1893年にシャヴァンヌに会っていたということで、東京国立博物館蔵の黒田清輝の作品も展示されていたり、また他の日本の画家が彼の作品を模写したものも観られるというのは、日本の美術に彼が影響を与えたということもわかって面白かったです。

あと2日間の開催ですが、お時間がある方はぜひ。


開催期間:2014年1月2日(木)~3月9日(日)
会期中無休
開館時間:10:00-19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/

主催:Bunkamura、日本経済新聞社
協賛・協力等:
[後援]
在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
[協力]
エールフランス航空、日本航空
[企画協力]
島根県立美術館
[特別協力]
東京国立博物館

この後、島根県立美術館へ巡回します。(2014年3月20日~6月16日)

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