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« ソチオリンピック閉会式の出演者 | トップページ | バーミンガムロイヤルバレエ 厚地康雄さんのインタビュー »

2014/02/26

ABT、2015年にラトマンスキー振付で「眠れる森の美女」の新制作

今日は、ABTの「オールスター・ガラ」を観に行きました。メンバーの世代交代があったとはいえ、やはり輝けるスターの多いバレエ団だなと感じました。そして、中でもラトマンスキー振付のショスタコーヴィチ ピアノ・コンチェルトは大変面白い作品でした。ロシア表現主義を思わせる舞台デザイン、赤とシルバーを効果的に使った衣装。ラトマンスキーの振付は非常に音楽性豊かで、ショスタコーヴィッチのユニークな音楽を見事に舞踊化し、ジリアン・マーフィ、コリー・スターンズらの見事な技術も見せつつ群舞のフォーメーションも斬新で面白くて、とても素晴らしかったです。もう一度明日別キャストで観るのも楽しみです。また、演奏の方も素晴らしかったので、ショスタコーヴィッチの音楽が好きな音楽ファンも楽しめたことでしょう。

ABT常任振付家として、来日公演でも踊られた「くるみ割り人形」をはじめ、大成功を収めているラトマンスキー。彼が、2015年に「眠れる森の美女」を新たに振付けることが発表されました。


WORLD PREMIERE OF ALL-NEW PRODUCTION OF THE SLEEPING BEAUTY CHOREOGRAPHED BY ALEXEI RATMANSKY
http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=468

現行のABTの「眠れる森の美女」は、2007年6月に初演されたマッケンジー版なのですが、批評家には大変受けが悪くて、有名なデザイナーを起用した衣装デザインも酷評されてきました。まだ7年しか経っていないプロダクションを新しいものに取り換えるのは、英断だと思います。某国立バレエ団も見習ってほしい姿勢ですね。

初演は、 2015年3月3日に、カリフォルニア州コスタ・メサのSegerstrom Center for the Artsで行われる予定です。衣装デザインは、1921年にレオン・バクストがバレエ・リュスのためにデザインしたものを元に、トニー賞を受賞したリチャード・ハドソンがデザインするそうです。リチャード・ハドソンは、ラトマンスキー版「くるみ割り人形」の衣装デザインも手掛けています。

ABTのパトロンであるDavid H. Koch氏による $250万ドルの寄付と、それに彼が集め、マッチングした一般の寄付で制作費は賄われるそうです。

ラトマンスキーがABTのために振付けた作品は、これで11作品目となるそうです。


私が書いた「くるみ割り人形」の英文レビューが掲載されました。瀬戸秀美さんによる美しい写真も使用されていますので、よろしければお読みください。

http://bachtrack.com/review-feb-2014-american-ballet-theatre-nutcracker-japan

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ABT(アメリカン・バレエ・シアター)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、

英文レヴュー拝見しました。
いつもながらの分かりやすい解説でした(ツリーが大きくならないってがっかりですよね!)。
ただ日本発としては、Kバレエの子供たちの活躍がもう少し具体的であれば・・・

解説文からすると、クララもくるみ割りも2人1役ということですよね。
松林の場面では子供のクララと人形が踊ったのでしょうか?
(マリインスキーのソーモワなどはすでにこの場面で変わってしまっていますが・・・)
2人1役に対するご意見とか2人のつながり状態に対するコメントなど
があれば、さらに面白く読めたのでは?

見てもいない輩の妄言お許しください。

(写真は3枚とも絶妙の瞬間を凄く綺麗に撮られていますねえ)

やすのぶさん、こんにちは。

子役については、主要な役はアメリカのジャクリーン・ケネディ・オナシススクールの生徒たちが踊っていて、その他がK-バレエスクール、Kの子たちも達者ではあるけど、やはりアメリカの子たちはめちゃめちゃ上手だったんですよね、ちょっと差がついているなとは思いました。

松林のところは、くるみ割り人形(少年の姿をすでにしている)とクララが踊っています。つながり状態はちょっと説明しづらいというか、実際のところはそれほど動きがリンクをしていないんです。2幕のディヴェルティメントのところは、子供クララと子供くるみ割り人形は基本的には見ているだけです。

なるほど、そういう事情でしたか。
観てない者には分からないことでした。
余計なことを言ってすいません。

写真、1枚目はパドドゥ、2枚目は2幕の最初、
3枚目は2枚目と同じ人たちですよね(どの場面?)。
新国に似て、ソリストを複数使いたいための処理?

2人1役の場合、はっきりと同一人物であるという
処理がなされないと、観客の感情移入がしにくいと
思うのですが・・・・
前に貼った、シアトルのプロダクションでは、
鼠の王様の体内ですり変わることが
はっきり分かるんですがねえ・・・
(鏡のようなものに映るということは、
原作の波間に映る姿を上手くアレンジしています)


やすのぶさん、こんにちは。

3枚目とも同じダンサーです。なので新国立劇場とは全然違います。雪のシーンは大人のソリストはいなくて、子供クララと子供くるみ割り人形王子が踊ります。

雪のシーンでは、子供ペアが踊っている後ろで大人ペアが踊るので、二人の間のつながりはわかるんですよ。この辺のところ、言葉足らずで十分説明できなくてすみません。字数制限がけっこう厳しいので。

Naomi様
こんにちは!
2月はあまりに忙しくて、twitterも含めまったくネットを追い切れていませんでした。そんな中で、ラトマンスキーの新制作のニュース、お知らせ下さいまして、とても嬉しいです。
やっぱりABTの古典は、なんだかなーなプロダクションも多くて(正直今年のMETシーズンを観に行く気起きない・・・)、せっかくラトマンスキーを抱えているのだから、彼も忙しいでしょうけれど、もっともっとABTのために活用して欲しいなと思っています。楽しみ~♪

あと、横レスで。
ラトマンスキー版くるみ割り人形での1人二役の私なりの解釈(印象だけで言っているのでどれが正解とかはないと思いますけど)。
やっぱり大人の演じるクララと王子(Nutcracker Prince)は、クララの夢の中の存在なのかな、と思います。子供のクララとくるみ割り人形=王子が、空想の世界を覗くようにした時に、大人のクララと王子が出て来て、舞台上での役割をバトンタッチする・・・様に私には見えました。これ、なんどか見ると、大人のクララと王子の振りの中に、少しだけ子供のクララと王子を彷彿とさせる茶目っ気のある振りや表情が見え隠れするのですよ。あと、大人王子も、「くるみ割り人形の動作」をなぞるような決めポーズがあったりします。1回だけ観てはなかなか気づきにくいかもしれませんが、そういうのを発見してみると、また面白いと思いますよ。

YUIOTOさん、こんにちは。

私も6,7年、METシーズンにABTを観に行っていないことに気が付きました。噂の「眠り」もまだ観ていないんですよね。おっしゃる通り、世界中で引っ張りだこのラトマンスキーがせっかく常任振付家としているのだから、全幕を作らせない意味はないわけで。

ラトマンスキーのくるみの解釈について教えていただきありがとうございます。やはり、この版は何回も観ると理解が増すんだろうなと感じました。おっしゃる解釈が一番自然ですよね。で、大人の中に子供のキャラクターを彷彿とさせる振り、これは私も十分気が付いていたとは言えないので、また機会があったら観たいなと思いました。私自身はこれは気に入ったので!興味深い視点をありがとうございます。

YUIOTOさん、こんにちは,
レスありがとうございました。
してみると、このユニークな2組の関係について、
ラトマンスキーは、役名だけを示しただけで、
プログラムなどで解説を加えるということはしないで、
観衆の想像に任せているということなのでしょうね。

以前動画で、人間大のくるみ割り人形を手足に
くっつけて踊るような演出を見たことがありますが
(あまり良い趣味とは見えなかったけど)、
そういったものや、《眠りの森の美女》の第2幕
『幻影の場』辺りからイメージを膨らませて
そういうものを作り出したのかも知れませんね。

外野席からの印象でした。

バレエには関係ないですが、来月映画マレフィセントが
日本でも公開されるようです。結構アニメを忠実に実写化した
ような感じですが、アニメの時は『死ぬ』だったのが↓

http://www.youtube.com/watch?v=kCV0hy6ex1c


『永遠に眠る』に変えられていますね↓新しい筋書き
上の都合なのか? どんな話なのか観てみたいです。

http://www.youtube.com/watch?v=GTu5piG9Leg

 『死ぬ』はペローの童話通りですが、『永遠に眠る』は
初演の台本通りですね。ディズニーは多くの人が観る
ので影響力は大きいですが、さて、来年のラトマンスキー
の物語はどんなものになるんでしょうね。

やすのぶさん、こんにちは。

お返事が遅くなってしまってすみません!ここしばらくバタバタしてしまいまして…。

「マレフィセント」面白そうですよね、アンジェリーナ・ジョリーの悪役は見ごたえがありそうです。最近のおとぎ話系の映画化はちょっとひねったものが多くて興味深いです。「アナと雪の女王」は私も好きでした。

ラトマンスキー振付「眠れる森の美女」は、ミラノスカラ座との共同制作のようですね。こちらも、とても興味を惹かれるところです。

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