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2013/11/22

ワガノワ・アカデミー問題続報

ワガノワ・アカデミーの人事問題はさらに混乱しているようです。

まず、ワガノワ・アカデミーの芸術監督と校長の職務を統一することがロシア文化省より発表されました。今までは、校長が芸術監督の上の立場となっていたのですが、校長は主にアドミニストレータとして経営上の仕事がメーンで、学校の芸術的な側面は芸術監督が権限があったわけです。2014年に行われる校長の選挙の後に、職務が統一されます。

http://lifenews.ru/#!news/122956

そして、それを受けて、一度は職務に復帰する予定だったアスィルムラートワが、ついに辞表を提出したとのことです。このような屈辱には耐えられないとして。このことにより、ワガノワ・アカデミーの他の教師たちの間でも退任する人たちが出てくるのではないかと言われています。

こちらのGuardianの記事によれば、現校長のヴェラ・ドロフェーワの更迭とツィスカリーゼの就任は、ツィスカリーゼのパトロンであるエカテリーナ・イグナトワとその夫であるセルゲイ・シェメツォヴがプーチン大統領と親しいことが大きく影響しているのではないかとのことです。さらに、校長選挙での対抗馬であるワガノワ・アカデミーの副校長、フォムキンは文化省やツィスカリーゼより立候補しないようにとの進言があり、フォムキンは現在高血圧により病気療養中です。

一方で、一時ワガノワ・アカデミーの校長に推挙されていたイリーナ・コルパコワは、ツィスカリーゼの校長就任について賛成であるとイズベスチヤ紙のインタビューで答えています(以下はブラウン氏の翻訳)。
http://www.ismeneb.com/Blog/Entries/2013/11/21_Kolpakova_backs_Tsiskaridze%2C_anti_his_rivals.html
コルパコワの言葉によれば、ワガノワとボリショイのスタイルは異なっているものの、ワガノワ/マリインスキーはボリショイ的なダイナミズムも必要であると。彼女が言うには、マリインスキー自体、プティパがフランスから来たり、チェケッティがイタリアから来たりして、それをアグリッピナ・ワガノワがひとつにしたのがワガノワ/メソッドであるということだそうです。ツィスカリーゼの師は、彼女の同時代のワガノワ出身者であり、ヴェトロフ、マラーホフ、ラトマンスキー、最近ではエヴァン・マッキーら名男性ダンサーを数多く育てた故ピョートル・ペストフであること。特に男子生徒を育てるには、ツィスカリーゼは適しているのではないかと彼女は言います。

実際、コルパコワはゲルギエフに、ワガノワ・アカデミーの校長に就任しないかと要請をされたのですが、NYで生活していて80歳と高齢の彼女は、それを固辞したとのことです。ゲルギエフの、ワガノワ・アカデミーとマリインスキー・バレエを一つの組織にすることについても、彼女は、組織として統一する必要性は感じないけれども、バレエ学校と劇場は一つの魂を持つべきであるとして賛成しています。ツィスカリーゼに、ワガノワ・アカデミーで教えることを要請されたら喜んで飛んで行くと語っています(ただし、現在のところ、彼からの声はかかっていないとのこと)

なお、ゲルギエフの、マリインスキー劇場とワガノワ・アカデミー、さらには音楽院を統合して一つのアーツセンターという組織にするという構想は、プーチンにより正式に却下されたそうです。


こちらの記事では、ワガノワ・アカデミー出身であるエフゲーニャ・オブラスツォーワとツィスカリーゼのコメントが紹介されています。
http://voiceofrussia.com/uk/news/2013_11_18/Dancers-talk-to-VoR-about-ructions-in-the-Russian-ballet-world-7160/

ボリショイではツィスカリーゼの同僚であったオブラスツォーワは、彼の教師としての手腕は素晴らしいとしつつも、彼はまずはワガノワ・アカデミーの教師として仕事をしてから、もっと高い立場になるべきだったと言っています。275年もの伝統を持つ優れた学校の伝統を失うのはこんなにもたやすいことなのか、それを立て直すことは難しいことなのに。子供を教えるのは、精神的に強い大人のダンサーを教えるのとは訳が違うし、子供を教えるための専門的な知識も必要だと。そしてアカデミーの中での教育プロセスを系統立てることも大事であると。現在の騒動は彼女にとっても大きな心配事となっていて、自分の仕事に集中することも難しい、なぜながら、ワガノワには自分の大切な先生たちがいるから、彼らのことが気にかかってしまう、のだそうです。同じように懸念を抱いているのは、自身の子供向けのバレエ学校も持っている、マリインスキー・バレエのファースト・ソリスト、イリヤ・クズネツォフ。彼は、校長選挙の対抗馬の一人だとされています。また、ディアナ・ヴィシニョーワも、既報の通り懸念を表明しています。

11月13日には、イーゴリ・コールプ、イリヤ・クズネツォフ、ユーリ・スメカロフ、アントン・コルサコフらマリインスキー・バレエのダンサーやワガノワ・アカデミーの教師たちが記者会見を開き、公正な校長選挙の実施を訴えていました。
http://www.rosbalt.ru/piter/2013/11/13/1198665.html

上記Voice of Russiaでは、ツィスカリーゼのコメントも掲載しています。ツィスカリーゼは、人々がゴシップをするのをやめて、自分たちに仕事をさせてほしいと言っています。彼がサンクトペテルブルク入りして3週間がたちました。いろいろな人に会って話を聞き、自分が何者であるかということについて話して回っているそうです。彼の教師たちはみなワガノワ・アカデミーの出身であるので、ワガノワには深い敬意を持っているそうです。ゲルギエフは自分の指揮者としての仕事が忙しいために、会って話はしていないものの、連絡は頻繁に取り合っているそうです。ゲルギエフは彼に、教師たちとよく話し合うことを伝え、ワガノワの現状を変えるべきだということは彼には言っていないそうです。

また、文化相メジンスキーが、ワガノワ・アカデミーとボリショイ・アカデミーが統合すべきであると語ったことについては(ワガノワは優れた女性ダンサーを、そしてボリショイは優れた男性ダンサーを生み出しているから一緒にすれば、と文化相は言ったそうです)、ツィスカリーゼは否定的だったようです。

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バレエ(情報)」カテゴリの記事

コメント

いつも有益な情報をありがとうございます(^^)

ワガノワバレエアカデミー問題…コメントさせてください。
(私のブログ記事にこの記事へのリンクを貼っても宜しいでしょうか?)

ワガノワ・メソッドが、プティパやチェケッティがもたらしたものをアグリッピナ・ワガノワがひとつにしたのだとしても、フランスやイタリアにこれほどまで世に広く認知され且つ、完成度の高いメソッドが存在しない以上、ロシアの偉大な無形文化財だと思います。

そういった意味でも、ツィスカリーゼはワガノワ・メソッドを理解することは重要だと思います。彼の師がピョートル・ペストフだとしても。

それに、Evgenia Obraztsova が言うように、子供を教えるための専門的な知識が必要であり、アカデミーの中での教育プロセスを系統立てることに、本件を解決に導く糸口があると思うのです。

あくまで個人的な意見ですが…

ワガノワ・メソッドに、現代医学における機能解剖学的根拠を見出す(誤りがあれば修正する)ことは、複数の教師による解釈の差異を埋めることに繋がり、教育プロセスを洗練させ、系統立てることの一助となるでしょう。

そのように考えていくと、逆に国やメソッドを越えた共通性も見え、ルーツがフランスやイタリアにもあることが理解できるとも思います。


もちろん、この問題に限らず、バレエ教育を純粋論理学でのみ構築するということではありません(^^)

「純粋論理学は精神の破滅です。」
(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)

横谷俊昭さん、こんにちは。

以前Twitterフィローさせて頂いていました!専門家の方にも読んでいただいて恐縮です。
もちろん、ブログにリンクを張って頂いて構いません。

おっしゃるとおり、ワガノワメソッドは、重要な無形文化財であり、まとめたのはアグリッピナ・ワガノワ氏ではあるけど200年以上の歴史の積み重ねですものね。

なので、ツィスカリーゼはワガノワ校長に就任したらば、この伝統を尊重して、しっかりと学びなおしてから指導に携わってほしいと私も思います。また、特に教育という面で、オブラスツォーワの言うこともとても正しいと感じます。

さすが横谷さん、専門家らしいご意見ですね。ワガノワ・メソッドにおいて、現代医学における機能解剖学的根拠を見出すこと、そして必要とあれば修正することは、今後のバレエのテクニックの発展に大いに役立ちそうですね。うまいこと、様々な流派のベストの部分を取り入れていくことも必要かもしれません。

naomi さん

リンクの承諾ありがとうございます。先のコメントに加筆・修正した記事をアップしたいと考えています。
naomiさんのブログ、読み応えがありますし、バレエ関連の多岐にわたる情報が得られるので、感謝しつつチェックさせていただいています。コメントされる方々も豊富な知識をお持ちで、それが読めることも大変ありがたいです(^^)
Twitterは、本音をストレートに書き過ぎてしまう馬鹿な自分が嫌で離れていましたσ(^_^;)

横谷さん、こんにちは。

ありがとうございます!私もまだまだ不勉強なところがあるので、何かお気づきの点や間違いなどあったらご指摘くださいね。基本的にバレエは大人バレエしか経験していないので(子供の時もちょっとやったけど昔過ぎて忘れました…)いろいろと教えていただければ幸いです。

Twitter、大変楽しく拝読していましたが、ちょっと気を使わなくちゃいけないこともありますよね。自分のやりたいペースでできることが一番です(^^)

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