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2013年11月

2013/11/30

ABT(アメリカン・バレエ・シアター)来日公演鑑賞スペシャルプラン

来年2月~3月のABT(アメリカン・バレエ・シアター)来日公演。豪華なスターの競演が楽しみですが、ちょっと舞台裏を覗いてみたい方のために、スペシャルプランが用意されています。

http://entame.knt.co.jp/ABT_2014/

Banner1

『アメリカン・バレエ・シアター スペシャルプラン』

「くるみ割り人形」Bunkamuraオーチャードホール
http://entame.knt.co.jp/ABT_2014/tour.html
1.2014年2月21日(金)13:00~ シオマラ・レイエス、エルマン・コルネホ主演
2.2014年2月22日(土)13:00~ 加治屋百合子、アレクサンドル・ハムーディ主演 

公演チケット(S席)と、バーレッスン見学、公演パンフレット、”ドゥ マゴ パリ”にて昼食
22,000円

「マノン」東京文化会館
http://entame.knt.co.jp/ABT_2014/tour2.html
2014年2月28日(金)13:00~ ポリーナ・セミオノワ、コリー・スターンズ主演

公演チケット(S席)と、バックステージ見学、公演パンフレット、精養軒”カフェラン・ランドーレ”にて昼食
24,000円

募集期間(先着): 2013年11月28日(木)~ 定員各20名


「くるみ割り人形」のS席が20,000円、「マノン」のS席が22,000円なので、2,000円の差額でランチと公演パンフレット、さらにバーレッスンもしくはバックステージの見学がついているのは、大変お得ですね。

先日開催された「マチュー・ガニオに出逢う パリ・オペラ座の夕べ」やニーナ・アナニアシヴィリのファンパーティを開催された近畿日本ツーリストの主催なので、安心できます。

お問い合わせ先:
近畿日本ツーリスト(株) トラベルサービスセンター東日本
『アメリカン・バレエ・シアター スペシャルプラン』事務局
〒130-0022 東京都墨田区江東橋3-4-2錦糸町マークビル3F
TEL:0570-064-826 FAX:03-6730-3230
※ひかり電話・PHSからはご使用いただけません。お持ちの携帯電話よりお問い合せください。
E-mail:tourdesk46@or.knt.co.jp

ABT来日公演の詳しい情報はこちらへ。
http://www.japanarts.co.jp/abt2014/index.html

2013/11/29

映画館中継 ボリショイ・バレエ「スパルタクス」Bolshoi Ballet Spartacus

ボリショイ・バレエ「スパルタクス」
http://www.theatus-culture.com/bolshoi/movie/
20 october 2013
http://www.bolshoi.ru/en/performances/47/roles/#20131020190000

Spartacus, Leader of the Gladiators Mikhail Lobukhin ミハイル・ロブーヒン
Crassus, leader of the roman army Vladislav Lantratov ウラディスラフ・ラントラートフ
Aegina, courtesan            Svetlana Zakharova スヴェトラーナ・ザハロワ
Phrygia, sweetheart to Spartacus    Anna Nikulina アンナ・ニクーリナ
Gladiator                 Denis Savin  デニス・サヴィン
Three Shepherds Denis Medvedev Alexander Smoliyaninov Igor Tsvirko
Four Shepherds   Vitaly Biktimirov Yegor Khromushin Anton Savichev Alexander Vodopetov
Conductor        Pavel Sorokin
音楽:アラム・ハチャトリアン
振付:ユーリ・グリゴローヴィチ
台本:ニコライ・ヴォルコフ

グリゴローヴィチの「スパルタクス」は、圧倒的なオープニングから、主要登場人物たちのモノローグを挟むという構造がよくできている。美しく切なくダイナミックなスパルタクスとフリーギアのアダージオ、ラスト、磔のキリストのようにスパルタクスが串刺しにされる衝撃的なシーン、クラッススの派手なソロと、独創的で見事な構築性のある作品であり、やはりボリショイの魅力を最も伝えるバレエである。映画館上映と去年の来日公演を反芻し、これを書いているうちに、また生で「スパルタクス」の舞台が観たくなってしまった。

スパルタクス要員として、マリインスキー・バレエからボリショイに移籍したといわれているロブーヒン。彼のスパルタクスは、想像以上に素晴らしかった。スパルタクスに必要なカリスマ性、英雄らしさ、苦悩の表現、どれをとっても一級品だったし、舞台を横切るグランジュッテもダイナミックで高く、迫力があった。奇をてらわず、必要以上に派手なものは見せず、正統派の踊りで見せてくれたところに好感が持てた。フリーギアとのパ・ド・ドゥで見せるアクロバティックなリフトもスムーズで安定していた。中でも、フリーギアに見せる優しさや包容力が彼の魅力だと感じた。休憩時間に、初演キャストのウラジーミル・ワシリエーフのインタビューがあるのだが、金髪のロブーヒンはどこか彼を思わせるところがあった。剣闘士として戦って、仲間を殺してしまった時の慟哭の表情も印象的だった。

クラッスス役のラントラートフは、ケガで降板したヴォルチコフの代役だったという。この役を演じるにはやや線が細い印象があったが、こってりとしたメイクをして傲慢な悪党らしさを出していた。クラッスス役のトレードマークである体をコの字に曲げる跳躍や連続グランドバットマンなどテクニックは軽々とこなし、スパルタクスに一度敗れてブチ切れるところでは、小物感たっぷりでヒステリックになっているのがよく分かった。

ただ、ラントラートフだと、やはり小物過ぎて明らかにザハロワが演じるエギナの迫力に対して負けているのが残念だった(あと彼は脚が短い)。ザハロワのエギナは、その女王様ぶりで久々に当たり役だといえる。実に楽しそうに、ノリノリで悪女を熱演していた。ザハロワの、あのうっとりするほどの美しい脚を色っぽく見せつけるところなどはたまらない感じで、こんな美女に色仕掛けで迫られたら、誰だってコロッと行ってしまうだろう。踊りのほうも絶好調で、グランジュッテしながらしなる脚、エシャッペの時の美しい甲、高速のシェネ、突き刺さるポワントとほれぼれする限りだ。彼女はお姫様よりこういう役のほうが実は似合うのだと新たな魅力を発見した。

フリーギヤを演じたアンナ・ニクーリナは、派手な存在ではないけれども、はかなげな外見の中にある芯の強さを表現していて、スパルタクスに寄せる一途な愛情が伝わってくる。特に3幕のパ・ド・ドゥで高々とスパルタクスにリフトされているときの姿勢の美しさは鮮烈だった。スパルタクスが死に、彼の亡骸を聖母のように抱えて「ピエタ」の姿となるときの清らかさも心に残った。

予告編
http://youtu.be/KCclcfVReUU

休憩時間のワシーリエフと広報官ノーヴィコワとのトークでも、「スパルタクス」を上演できるのはボリショイくらい(実際にはノヴォシビルスク・バレエや韓国国立バレエも上演しているものの、やはり「スパルタクス」はボリショイのトレードマークの一つ)、なぜならば、これだけ多くの踊れる男性ダンサーを取り揃えているバレエ団はほかにはないから、という話となった。映像を見てもそれは一目瞭然である。大きなボリショイの舞台で、圧倒的な迫力で大勢の男性ダンサーたちが大きく跳躍する姿には圧倒されるし、映画館の大スクリーンで観る甲斐もあるというものだ。2幕のカーテンコールで、ローマ軍側、そして反乱軍側がそれぞれ腕を上げて掛け声をあげるところや、盾を使って隊列を組むところもバレエでは他に類を見ないもので、興奮させられる。


ワシーリエフのトークでは、ヌレエフとの逸話も披露された。ヌレエフはボリショイ劇場の舞台で踊ったことはないのだが、ボリショイ劇場にやって来た時に大変うれしそうにして、リハーサル中のワシーリエフの前で靴のまま跳躍したというのだ。また、当初、ワシーリエフとマリス・リエパの初演キャストは、お互いスパルタクスとクラッスス役を途中で取り換える予定だったというエピソードも興味深かった。

しかし、去年の来日公演の時に主演していたイワン・ワシーリエフ、パーヴェル・ドミトリチェンコ、そしてスヴェトラーナ・ルンキナはもうボリショイにはいないのであった。現在ボリショイではスパルタクス役を演じられるのがロブーヒンとデニス・ロドキンしかおらず、ゲストでワシーリエフとマトヴィエンコ、さらにクラッスス役でイーゴリ・ゼレンスキーが出演していた。ボリショイの騒動はこんなところにも影を落としているのが、残念なことである。特に、この3人はそれぞれ素晴らしい演技と踊りを見せてくれていただけに。


今シーズンより、シアタスカルチャーでボリショイ・バレエの映画館上映が始まった。ただし、同じシアタスカルチャーで上映しているロイヤル・バレエと違って、上映されている映画館がイオンシネマ系列のみとなっているため、上映している映画館が辺鄙な場所にばかりあって、非常に行きにくい。都内だと、板橋、多摩センター、武蔵村山と遠いとこばかりだし、現在上映されている「眠れる森の美女」は、ほとんどの劇場で上映開始時刻が18時と、会社勤めの人が行くには無理のある時間帯だ。

日程がなかなか合わなくて、「スパルタクス」は、新国立劇場バレエ団のバレエ・リュス ストラヴィンスキープロが終了してから、家から一番近いイオンシネマみなとみらいで観たのだけど、初台から結局1時間半近くかかる場所で、冒頭少し見逃してしまった。せめてロイヤル・バレエの上映のように、新宿や品川で一回でもいいから上映してほしいと思う。日曜日の夜だったけど、みなとみらいでもあまり人は入っていなかった(品川で上映されているロイヤル・バレエは結構人の入りが良い)


これはカルロス・アコスタがゲスト出演した映像。アコスタも悪くなかったけど、今回の上映での映像でもDVD化してほしいと思う。

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2013/11/27

ソチ・オリンピックの開会式にロパートキナが出演予定

来年2月に開催されるソチ冬季オリンピック開閉会式で、指揮者のヴァレリー・ゲルギエフ、ヴィオラ奏者・指揮者のユーリ・バシュメット、マリインスキー・バレエのウリヤーナ・ロパートキナ、ピアノ奏者のデニス・マーツエフが出演することが決まっているようです。

http://roshianow.jp/arts/2013/11/25/46155.html

ロシア連邦文化省は、ソチ冬季オリンピックおよびパラリンピックの開会式と閉会式の運営者を決める、コンテストの実施を発表しています。開閉会式の参加者は、 指揮者4人、独唱者3人、バレエ・ダンサー6人、ピアノ奏者またはバイオリン奏者1人、オーケストラ、合唱団、サーカス団員などを含む、1069人の予定だそうです。文化省がコンテストの優勝者を発表するのは12月13日ですが、開閉会式のすべての参加者は実はかなり前から決まっているとのことです。

イズベチヤ紙も、このことを報道しています。
http://izvestia.ru/news/560845

すでに、ゲルギエフは9月に行われた自身が率いる全ロシア合唱協会の幹部会議ですでに、五輪への出演を事実上認めていたとのことです。

バンクーバー・オリンピックでも閉会式で踊ったウリヤーナ・ロパートキナも、出演が決まっているとのことです(ちなみに、ニコライ・ツィスカリーゼも出演しました)。彼女は、イズベチヤの問い合わせにはノーコメントと返事しましたが、出演は間違いないとされています。

第22回ソチ冬季オリンピックの開会式は2014年2月7日に開催されます。ロシアのおとぎ話の 主人公、ニコライ・ゴーゴリの長編小説「死せる魂」のトロイカ、5隻の艦隊を率いるピョートル1世などが登場する予定で、観客を帝政ロシアから20世紀に導く歴史絵巻が繰り広げられるというコンセプトも決まっています。

閉会式は2月23日。第11回冬期 パラリンピックの開会式は2014年3月7日、閉会式は3月16日に行われる予定です。

2013/11/26

オハッド・ナハリンのドキュメンタリー映画「Mr.GAGA」製作費募集中

バッドシェバ舞踊団の芸術監督で振付家のオハッド・ナハリン。GAGAというダンスメソッドを生み出し、世界中に広げている彼を追ったドキュメンタリー映画「Mr.GAGA」が現在製作中です。

http://www.mrgagathefilm.com/

ナハリンは、ニューヨークタイムズで「世界で現在最も重要な振付家」と評され、彼の「マイナス16」などの作品は世界中のバレエ団やダンスカンパニーで踊られています。また、GAGAのメソッドは、ダンサーだけでなく、一般の人々にも幅広く愛好されてきました。日本でも、バレエスタジオなどで定期的にGAGAのクラスが開催されており、高い人気を博しています。私も実際、ナハリンが指導するGAGAピープルのクラスを受けたことがありますが、目から鱗が落ちる、とても楽しい体験でした。しかし、ナハリンという人物自体は、謎に包まれた部分も多いようです。創造の過程や私生活はほとんど明らかにされていません。

このドキュメンタリー映画では、今まで知られていなかったナハリンという人物像に迫っているということです。若い頃のオハッドの映像までも満載とのこと。すでに数百時間ものフィルムが撮影されているそうです。しかし資金が不足しているため、Kickstarterを利用して、出資者を募っています。寄付は10ドルから可能で、寄付する金額に応じて、完成した映画のDVDがもらえる、GAGAのクラスを無料で受けられる、映画へのサンクスクレジットの掲載などの特典が用意されています。

http://www.mrgagathefilm.com/#!japanese-kickstarter/c1maw
こちらのKickstarterのサイトは、日本語版があります。なかなか楽しい紹介サイトになっているので、ぜひご覧ください。

目標としている金額が集まった場合のみ、Amazon.comのシステムを利用して、支援者に課金されるというのがKickstarterの仕組みです。

ナハリンと同じイスラエル出身の女優ナタリー・ポートマンも、GAGAの実践者の一人であり、この映像で彼女はGAGAの素晴らしさについて語っています。
http://youtu.be/bFPx10T00bw

「Mr.GAGA」の予告編
http://youtu.be/eFD8Pf1j9yc

追記:日本語字幕付きの支援お願い動画もアップされています。
http://youtu.be/mShiUPnW_bg

2013/11/25

10/21 シュツットガルト・バレエ「オテロ」 Othello Stuttgart Ballet

http://www.stuttgart-ballet.de/schedule/othello/

OTHELLO Constantine Allen
DESDEMONA Elisa Badenes
JAGO Evan McKie
EMILIA Anna Osadcenko
CASSIO David Moore

BRABANTIO Petros Terteryan
BIANCA Alessandra Tongnoloni
DER WILDE KRIEGER Roland Havlica

LA PRIMAVERA Katarzyna Kozielska
Heather MacIsaac
Paula Rezende

CHOREOGRAPHY AND PRODUCTION John Neumeier
MUSIC Nana Vasconcelos, Arvo Pärt, Alfred Schnittke u.a.,
WORLD PREMIERE 27. Januar 1985, Hamburg Ballett
PREMIERE AT THE STUTTGART BALLET 24. April 2008
CONDUCTOR James Tuggle

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Photo: Stuttgarter Ballett

この日のキャストは、初役が3人。オテロ役のコンスタンティン・アレン、デスデモーナ役のエリサ・バデネス、そしてキャッシオ役のデヴィッド・ムーアと若手ダンサーを中心にしていた。中でも、オテロ役のコンスタンティンは、入団2年目、20歳という若さであり、ドゥミ・ソリストの彼は全幕作品の主役を踊るのも初めてだった。少し浅黒い肌、ほっそりとしていて長身。身長190cmのエヴァン・マッキーと並んで同じくらいの高さだ。

言うまでもなく、オテロ役は大変難しい役だ。ヴェネツィア共和国のムーア人将軍オテロのカリスマ性と誇り高さを体現しなければならない一方で、愛する妻に疑念を持ち、ついには殺してしまうまでの心の揺れ動きと苦悩をも表現する必要がある。また、デスデモーナとのパ・ド・ドゥも、リフトが多くてパートナーリングがとても複雑だ。コンスタンティンのような若くて経験の少ないダンサーを、このような難役にキャストすることは大きな賭けであったと思う。しかも、パートナーであるデスデモーナ役も、やはりまだ若く初役のエリサ・バデネスが演じているのだ。だが、この大胆なキャスティングは見事に成功し、昨年ジョンクランコスクールを卒業して入団したばかりのコンスタンティンは、公演終了後2階級昇格、最年少プリンシパルに来シーズンからなることが決定した。

コンスタンティンのオテロはとても若いが、賢く切れ者である印象があり、将軍という設定にも説得力があった。幼さを残した甘い顔立ちの持ち主の彼だが、それが、彼の若き秀才というイメージも与え、一方でその若さ、そして未熟さゆえイアーゴの奸計にはまって最愛の妻への猜疑心を募らせてしまうというストーリーにも説得力を与えている。デスデモーナとの出会いでは、虎のようにしなやかに踊り、最初のパ・ド・ドゥではひたむきな愛と、神々しいほどの清らかさを感じさせて心に染み入るようだった。それに対して、終幕のパ・ド・ドゥでは、心が引き裂かれ、苦悶し、精神的に崩壊して妻を手にかけてしまう姿があまりにも痛ましかった。輝かしいコンクール入賞歴を誇るコンスタンティンは、テクニックも鮮やかで、トリプルトゥールザンレールも見せてしまうほどの驚くべき跳躍力を見せ、難しいリフトやサポートも滑らかにこなし、末恐ろしいところを見せてくれた。技術だけでなく、演技力も備えたコンスタンティンは、将来のスターの一人となることだろう。最後のパ・ド・ドゥでは、あまりの苦しみに涙も涸れるのではないかというほど涙を流れるままにしていた彼の姿に、心を打たれた。見事なデビューだった。

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一足先に最年少プリンシパルとなったエリサ・バデネスは、小柄で少女らしいかわいらしい容姿。天真爛漫で奔放さがあるけれども、アリシア・アマトリアンが演じた時ほどのエキセントリックさは感じさせず、あくまでもイノセントで純粋な存在。彼女もとてもテクニックが強く、このような演劇性の高い作品は初めてだったので、まだこれから表現は深められることだろう。コンスタンティンとは若いペアなので、少し青春ドラマのような爽やかさと痛切さを体現していて、良いデビューを飾ることができた。今まではキトリやオデット、じゃじゃ馬ならしのビアンカやオネーギンのオルガのような、技術中心の役が多かったが、今後はジュリエットなどよりドラマティックな役に挑戦して、シュツットガルトらしいドラマティック・バレリーナへの成長が期待される。

そしてもう一つの重要な役、イアーゴにはエヴァン・マッキー。もともとオネーギンなど、ダークな役も似合う人だけど、今回は明らかな悪役である。マライン・ラドマーカーのイアーゴは、あまり理由もなく天然の悪意をオテロに対して抱いていて、もともと黒天使のような人って感じなのだが、エヴァンは、最初は感じの良い人物として登場するものの、少しずつオテロに対しての反感を募らせていき、可愛さあまって憎さ百倍という感じに増幅していっている。オテロに対する感情があまりにも膨れ上がっていって、これはもはや彼に対する愛なのだと思えるほどだ。このイアーゴは、オテロのことが好きだったのにデスデモーナと結婚し、さらに自分ではなくキャッシオを副官に取り立てた彼が許せないと感じたのだろう。印象的なソロでは、長い脚を高く蹴り上げる様子も恐ろしいほどエキセントリックで激しく、地面にキスする姿からも愛憎のもつれが感じられる。イアーゴが妻エミリアを脅迫してこの奸計に引き入れるところでは、イアーゴは1,2,3と数字を数えて叫ぶ。カナダ人のエヴァンは英語で数えるのだが、とてもよく通るいい声をしていて、この人はきっと舞台俳優としても成功するだろうと思わせた。その強迫シーンのすさまじい緊張感と暴力性。何しろ自分の妻を突き飛ばし蹴るなどのドメスティック・バイオレンスが炸裂するわけなのだが、心底ぞっとさせられた。かつてのロシア・バレエでよく見られた「不和のパ・ド・ドゥ」のモチーフが、イアーゴとエミリアのパ・ド・ドゥで使われていたことも大変興味深い。

イアーゴといえば、1幕で仮面をかぶって正体を隠し、女装し踊るところも印象的なのだが、長身ながら細身のエヴァンはドレス姿もよく似合い、異形の美しさを見せてくれる。この役は、相当演じる人を選ぶようで、ノイマイヤーはシュツットガルト・バレエでは二人しか役を許可しなかったとのことだ。

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Photo: Stuttgarter Ballett

ハンブルグ・バレエで「オテロ」を再演した時には、イアーゴはスーツ姿で登場し、スマホを片手にしていたとのこと。ラストシーンでは、デスデモーナの遺体にスマホを向けて写真を撮影することまでして、イアーゴという人物の残忍性を表現したそうだ。だが、エヴァンが演じたイアーゴは、デスデモーナをオテロが殺してしまって呆然とする姿を目にしても、にやりと笑って去っていく姿だけでぞっとさせるものがあり、これぞアンチヒーローだった。

エミリアを演じたアンナ・オサチェンコも、普段の彼女とは印象の違う演技派ぶりを見せた。彼女の演じるエミリアは、イアーゴとは共依存の関係で、足蹴にされ脅され悪事に加担させられても、そのことに快感すら覚えてしまっている。強圧的なイアーゴに怯えてびくびくしながらも、その中にある被虐的な歓びをも表現したアンナの演技力には恐れ入った。数を数える場面では、彼女はロシア語で叫んでいた。デスデモーナに接する態度でも、何かを隠している負い目を常に感じさせており、それが最後にデスデモーナの亡骸を目の前にしてその罪悪感に押しつぶされる姿に説得力を与えていた。

主要登場人物4人の火花散る演技も素晴らしかったが、忘れてはならないのがアンサンブルのクオリティの高さ。シュツットガルト・バレエの誇る若く長身で技術も備えた男性ダンサーたちが演じる兵士たちがあってこそ、観客はこの作品の世界に浸ることができる。しなやかで官能的な女神プリマヴェーラたちの駆け抜ける姿。デスデモーナが夢見たオテロの分身、ワイルドな戦士のエネルギッシュさ。エロスを体現するビアンカ。このような濃密な舞台は、ハンブルグ・バレエとシュツットガルト・バレエでしか表現できないだろう。

こちらは、ハンブルグ・バレエが上演した時の映像(公式チャンネルより)
http://youtu.be/1tqFFiGsxfU

おまけ。コンスタンティン・アレンがコンクール「タンツオリンプ」に出場して優勝した時の「グラン・パ・クラシック」の動画。脚が長い!
http://youtu.be/GBdYo9ItvGk

2013/11/24

「ロマンティック・バレエの世界 妖精になったバレリーナ」展

ニューオータニ美術館で開催されている「ロマンティック・バレエの世界 妖精になったバレリーナ」に行ってきました。

http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201311_ballet/index.html

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約90点の図版、楽譜、台本、そしてダンサーからの書簡などはすべて兵庫県立芸術文化センター 薄井憲二バレエ・コレクションからの出展。さらに、井上バレエ団の『ラ・シルフィード』『松葉杖の悪魔』の衣装、神戸ファッション美術館所蔵の19世紀の靴も展示してあった。兵庫の薄井コレクションは、膨大なコレクションから小出しに展示することが多く、今回のような大きなスペースで展示されることはめったにないということで、貴重な機会だった。

今回は、ちょうど、舞踊研究家で兵庫県立芸術文化センターのキュレイターである芳賀直子さんとこの美術館の学芸員太田美喜子さんのギャラリートークも聴いたのだが、このトークが、様々な裏話をはさんだ、大変興味深いものだった。

今でも時々上演される『パ・ド・カトル』は、カルロッタ・グリジ、マリー・タリオーニ、ファニー・チェリート、ルシル・グラーンの4人の人気バレリーナが共演したことでとても有名な作品だけれども、当時同じくらいの人気を誇ったファニー・エルスラーは踊っていない。彼女はちょうどその時にはアメリカ巡業に行っていたからだそうだ。そして、この作品、実は6回しか上演されていないというから、驚きである。(現在踊られているのは、アントン・ドーリンが図版を参考に振りつけたもの)

ロマンティック・バレエの時代に中でも人気を博したマリー・タリオーニと、ファニー・エルスラーの二人を中心としたこの展覧会。タリオーニは「ラ・シルフィード」で知られるように妖精役、白いバレエが得意だった一方、エルスラーは地上的、情熱的な役を得意とした。そんな中でも、タリオーニが踊った「エスメラルダ」の版画なども今回は展示されている。

オリエンタル的な要素も、ロマンティック・バレエではポピュラーなモチーフで、「ル・ディアブル・ア・カトル」のようにオリエンタルとロマンティックが混ざった作品も人気があった。

エルスラーがカチュチャを踊って人気を得た『松葉杖の悪魔』(ジャン・コラーリ振付)のストーリーが面白い。瓶に閉じ込められた悪魔が、瓶から出してほしいと学生に頼み、お礼に3人の女性を紹介してあげるというもの。学生が結局選んだのはパキータという貧しい女性だったが、エルスラーが踊ったのは美しい踊り子フロリンダの方だった。この作品は井上バレエ団が復刻して上演しているため、今回衣装が展示されている。色彩が鮮やかで、スペイン的な印象のある衣装だ。

さらに、エルスラーがカチュチャを踊っている様子の美しい陶器人形も展示されていた。繊細なレース状の陶器のドレスを着ているのだが、これは陶土にレースを巻きつけて焼くと、陶器がレース状になるというものだ。

「大理石の娘」は、大理石の彫刻に彫刻家が恋をして、彫刻が人間になるというストーリー。生きていないものが命を吹き込まれるというモチーフは、『コッペリア』や『ペトルーシュカ』『人形の精』などにも見られる。この作品の版画では、ファニー・チェリートとともに初演者のアルトゥール・サン・レオンが描かれているが、彼はもちろん「コッペリア」の振付家でもあるが、もともとヴァイオリニストだったので、ヴァイオリンを持って踊ることもあったそうだ。

しかしながら、テオフィール・ゴーティエなどは、舞台の上で男の赤くて太い首なんか見たくない、と言っていたとのことで、ロマンティック・バレエの時代には男性ダンサーは冷遇され、また女性が男性役を演じることも多かった。男性ダンサーの活躍が少なくて表現の幅が狭くなってしまったことが、ロマンティック・バレエの衰退の原因とも言えるようだ。1870年の「コッペリア」がロマンティック・バレエの最後の作品であるとされている。

あと大変興味深かったのが衣装の話。マリー・カマルゴが初めてチュチュを少し短くしたのだが、彼女が踊っている様子を描いた版画では、おなじ舞台に乗っている演奏者たちの視線が彼女の足首に集中していることが可笑しい。ギリシャ風のチュニックを初めて着たマリー・サレの肖像もあったが、それまでは、チュチュはすべてコルセットで締めあげられていたので踊る方も大変だったようだ。体を自由にするチュニックは、アンチバレエ的なものであり、後にイサドラ・ダンカンも着用していた。

1830年~40年代においては、貴族が普段はいている靴がまるでトウシューズのような形をしている時代があった。当時のポワントも展示されていたが、つま先はかがってあり、足先には綿が詰められていたようである。そして、その頃は、バレリーナが引退した際には彼女のポワントで熱心なファンがシャンパンを飲む、という習慣もあったそうだ。

1840年代に活躍したローラ・モンテスの版画もあった。彼女は、スパイダーダンスという、蜘蛛を飲み込んでしまった時の踊りで人気を博し、エロティックな魅力があった。バイエルンのルードヴィヒ1世の愛人でもあったが、日本人の新聞記者、黒田礼二は「舞姫ローラ・モンテス」という小説を出版していてその本も展示されていた。

そして最後に、タリオーニ、エルスラーらの直筆の手紙や名刺が展示してあった。彼女たちは実にエレガントな文字で手紙を書いていたが、内容はチケットが取れました、といった他愛のないものが多いようだ。エルスラーの使った便箋など、とても繊細で美しい。

また、当時の楽譜やバレエ台本などもあり、その中には、表紙や挿絵に美しいバレリーナの版画が使われているケースもあった。バレエ台本は公演会場で販売されていたため、それを読んで予習したバレエファンも多かったようだ。


繊細なリトグラフ中心の美しい図版もさることながら、これらの図版から、当時のバレリーナの生態、バレエがどのように上演されていたのか、どんな人がファンだったのかといったことが伝わってきたのが、大変面白かった。当時任期のバレリーナたちは、容姿も可憐で美しく、顔が小さくてなで肩でウェストが細い、という現代の美意識にも近い姿をしている。ただ、腰を締めあげてポワントで踊っているので、脚が強くないといけなくて、脚は比較的太い。熱心なファンは、バレリーナが家に帰る時には自ら馬の代わりになって馬車を引いていたというからすごい。

19世紀の文化を知る上でも大変面白いこの展覧会、12月25日までの開催です。

開館時間 : 10:00~18:00(入館は17:30まで)
休 館 日 : 月曜日(但し12/23は開館)
入 館 料 : 一般¥800 高・大生¥500 小・中生¥300
           宿泊者無料、20名以上の団体は各¥100割引
主  催 : ニューオータニ美術館
後  援 : 公益社団法人 日本バレエ協会
協  力 : 兵庫県立芸術文化センター 薄井憲二バレエ・コレクション

芳賀さん、太田さんのギャラリートークはもう1回開催されます。トークが大変面白いので興味のある方はぜひ。
12月7日(土) 14:00~

2013/11/23

ウラジーミル・マラーホフ、東京バレエ団アーティスティック・アドバイザー就任 & 50周年ガラ

2014年の夏にベルリン国立バレエ団の芸術監督を退任するウラジーミル・マラーホフが、2014年8月より東京バレエ団のアーティスティック・アドバイザーに就任することが発表されました。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/renew/50.html#001841

マラーホフは、東京バレエ団の「創立50周年祝祭ガラ」に出演し(「ペトルーシュカ」を踊る予定)、その後、11月から翌年3月まで日本に長期滞在し、アーティスティック・アドバイザーとして、2014年12月に上演予定のワイノーネン版『くるみ割り人形』、2015年2月のマラーホフ版『眠れる森の美女』、3月の『ジゼル』で東京バレエ団の指導にあたることが発表されました。

『くるみ割り人形』ではマラーホフによる一部改訂の可能性も検討され、「『眠れる森の美女』には出演も考えています」と、カラボス役で日本のファンの前に登場する予定があることを明かしたとのことです。


なお、こちらの記事によれば、8月下旬に開催予定の「創立50周年祝祭ガラ」においては、バレエ団と最も共演回数の多い3人、シルヴィ・ギエム、マラーホフ、マニュエル・ルグリがゲスト・ダンサーとして参加する予定だと発表されたようです。『ドン・キホーテ』全幕公演では、演出・振付にあたったウラジーミル・ワシーリエフも13年ぶりに来日する予定だそうです。

http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/AUT201311220005.html

ベルリン国立バレエのサイトにも、このマラーホフのニュースは掲載されていました。
http://www.staatsballett-berlin.de/en_EN/press/detail/1471/21114

こちらのイープラスの記事は、マラーホフの会見の詳細を伝えています。
http://dance.eplus2.jp/article/381211536.html

【東京バレエ団創立50周年記念シリーズ】

1.「ザ・カブキ」全幕(モーリス・ベジャール振付)
2013年12月14日(土)、15日(日) 東京文化会館

2. 第26次海外公演 ギリシャ
2013年12月25日(水)~30(月)
上演作品:子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」、
フレデリック・アシュトン振付「マルグリットとアルマン」(客演:シルヴィ・ギエム、マッシモ・ムッル)/
ハラルド・ランダー振付「エチュード」

3.「ロミオとジュリエット」全幕(ジョン・ノイマイヤー振付)
2014年2月6日(木)、7日(金)、8日(土)、9日(日) 東京文化会館

4. 第27次海外公演 ポーランド、ベルギー、オーストリア、ドイツ、イタリア
2014年5月7日(水)~6月14日(土)予定
上演作品:モーリス・ベジャール振付「ギリシャの踊り」、「ドン・ジョヴァンニ」、「舞楽」、「チェロのための5つのプレリュード」、「ザ・カブキ」、「詩人の恋」、「春の祭典」/ジョン・ノイマイヤー振付「スプリング&フォール」/フェリックス・ブラスカ振付「タムタム」
  
5.〈創立50周年祝祭ガラ〉
2014年8月30日(土)~8月31日(日) NHKホール
上演予定作品:ミハイル・フォーキン振付「ペトルーシュカ」(客演:ウラジーミル・マラーホフ)、モーリス・ベジャール振付「ボレロ」、マリウス・プティパ/ナタリア・マカロワ振付「ラ・バヤデール」"影の王国"、イリ・キリアン作品、他

6.「ドン・キホーテ」全幕(マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴールスキー/ウラジーミル・ワシーリエフ振付)
2014年9月19日(金)~9月21日(日) 会場:ゆうぽうとホール
 
7.「第九交響曲」(モーリス・ベジャール振付)
2014年11月8日(土)~11月9日(日) NHKホール
(共演:モーリス・ベジャール・バレエ団)
(指揮:ズービン・メータ/演奏:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団)

8.「くるみ割り人形」全幕(レフ・イワーノフ/ワシリー・ワイノーネン振付)
2014年12月19日(金)~12月21日(日) 東京文化会館 

9.「眠れる森の美女」全幕(マリウス・プティパ/ウラジーミル・マラーホフ振付)
2015年2月7日(土)~2月8日(日) 東京文化会館
(客演:ウラジーミル・マラーホフ)

10.「ジゼル」全幕(マリウス・プティパ/レオニード・ラヴロフスキー振付)
2015年3月13日(金)~3月15日(日) ゆうぽうとホール

番外 めぐろバレエ祭り
2014年8月 めぐろパーシモンホール


ちなみに、ポリーナ・セミオノワは、ベルリン国立バレエ学校の教師に就任しました。
http://www.morgenpost.de/kultur/berlin-kultur/article121953381/Berlins-Primaballerina-Semionova-kehrt-als-Professorin-zurueck.html

ポリーナは現在もベルリンに居住しており、マラーホフの退任とともに、ベルリン国立バレエにも復帰するものだと予想されています。新芸術監督のナチョ・ドゥアトは彼女を大変気に入っており、すべてのプレミア公演に彼女を起用すると発言しています。

2013/11/22

ワガノワ・アカデミー問題続報

ワガノワ・アカデミーの人事問題はさらに混乱しているようです。

まず、ワガノワ・アカデミーの芸術監督と校長の職務を統一することがロシア文化省より発表されました。今までは、校長が芸術監督の上の立場となっていたのですが、校長は主にアドミニストレータとして経営上の仕事がメーンで、学校の芸術的な側面は芸術監督が権限があったわけです。2014年に行われる校長の選挙の後に、職務が統一されます。

http://lifenews.ru/#!news/122956

そして、それを受けて、一度は職務に復帰する予定だったアスィルムラートワが、ついに辞表を提出したとのことです。このような屈辱には耐えられないとして。このことにより、ワガノワ・アカデミーの他の教師たちの間でも退任する人たちが出てくるのではないかと言われています。

こちらのGuardianの記事によれば、現校長のヴェラ・ドロフェーワの更迭とツィスカリーゼの就任は、ツィスカリーゼのパトロンであるエカテリーナ・イグナトワとその夫であるセルゲイ・シェメツォヴがプーチン大統領と親しいことが大きく影響しているのではないかとのことです。さらに、校長選挙での対抗馬であるワガノワ・アカデミーの副校長、フォムキンは文化省やツィスカリーゼより立候補しないようにとの進言があり、フォムキンは現在高血圧により病気療養中です。

一方で、一時ワガノワ・アカデミーの校長に推挙されていたイリーナ・コルパコワは、ツィスカリーゼの校長就任について賛成であるとイズベスチヤ紙のインタビューで答えています(以下はブラウン氏の翻訳)。
http://www.ismeneb.com/Blog/Entries/2013/11/21_Kolpakova_backs_Tsiskaridze%2C_anti_his_rivals.html
コルパコワの言葉によれば、ワガノワとボリショイのスタイルは異なっているものの、ワガノワ/マリインスキーはボリショイ的なダイナミズムも必要であると。彼女が言うには、マリインスキー自体、プティパがフランスから来たり、チェケッティがイタリアから来たりして、それをアグリッピナ・ワガノワがひとつにしたのがワガノワ/メソッドであるということだそうです。ツィスカリーゼの師は、彼女の同時代のワガノワ出身者であり、ヴェトロフ、マラーホフ、ラトマンスキー、最近ではエヴァン・マッキーら名男性ダンサーを数多く育てた故ピョートル・ペストフであること。特に男子生徒を育てるには、ツィスカリーゼは適しているのではないかと彼女は言います。

実際、コルパコワはゲルギエフに、ワガノワ・アカデミーの校長に就任しないかと要請をされたのですが、NYで生活していて80歳と高齢の彼女は、それを固辞したとのことです。ゲルギエフの、ワガノワ・アカデミーとマリインスキー・バレエを一つの組織にすることについても、彼女は、組織として統一する必要性は感じないけれども、バレエ学校と劇場は一つの魂を持つべきであるとして賛成しています。ツィスカリーゼに、ワガノワ・アカデミーで教えることを要請されたら喜んで飛んで行くと語っています(ただし、現在のところ、彼からの声はかかっていないとのこと)

なお、ゲルギエフの、マリインスキー劇場とワガノワ・アカデミー、さらには音楽院を統合して一つのアーツセンターという組織にするという構想は、プーチンにより正式に却下されたそうです。


こちらの記事では、ワガノワ・アカデミー出身であるエフゲーニャ・オブラスツォーワとツィスカリーゼのコメントが紹介されています。
http://voiceofrussia.com/uk/news/2013_11_18/Dancers-talk-to-VoR-about-ructions-in-the-Russian-ballet-world-7160/

ボリショイではツィスカリーゼの同僚であったオブラスツォーワは、彼の教師としての手腕は素晴らしいとしつつも、彼はまずはワガノワ・アカデミーの教師として仕事をしてから、もっと高い立場になるべきだったと言っています。275年もの伝統を持つ優れた学校の伝統を失うのはこんなにもたやすいことなのか、それを立て直すことは難しいことなのに。子供を教えるのは、精神的に強い大人のダンサーを教えるのとは訳が違うし、子供を教えるための専門的な知識も必要だと。そしてアカデミーの中での教育プロセスを系統立てることも大事であると。現在の騒動は彼女にとっても大きな心配事となっていて、自分の仕事に集中することも難しい、なぜながら、ワガノワには自分の大切な先生たちがいるから、彼らのことが気にかかってしまう、のだそうです。同じように懸念を抱いているのは、自身の子供向けのバレエ学校も持っている、マリインスキー・バレエのファースト・ソリスト、イリヤ・クズネツォフ。彼は、校長選挙の対抗馬の一人だとされています。また、ディアナ・ヴィシニョーワも、既報の通り懸念を表明しています。

11月13日には、イーゴリ・コールプ、イリヤ・クズネツォフ、ユーリ・スメカロフ、アントン・コルサコフらマリインスキー・バレエのダンサーやワガノワ・アカデミーの教師たちが記者会見を開き、公正な校長選挙の実施を訴えていました。
http://www.rosbalt.ru/piter/2013/11/13/1198665.html

上記Voice of Russiaでは、ツィスカリーゼのコメントも掲載しています。ツィスカリーゼは、人々がゴシップをするのをやめて、自分たちに仕事をさせてほしいと言っています。彼がサンクトペテルブルク入りして3週間がたちました。いろいろな人に会って話を聞き、自分が何者であるかということについて話して回っているそうです。彼の教師たちはみなワガノワ・アカデミーの出身であるので、ワガノワには深い敬意を持っているそうです。ゲルギエフは自分の指揮者としての仕事が忙しいために、会って話はしていないものの、連絡は頻繁に取り合っているそうです。ゲルギエフは彼に、教師たちとよく話し合うことを伝え、ワガノワの現状を変えるべきだということは彼には言っていないそうです。

また、文化相メジンスキーが、ワガノワ・アカデミーとボリショイ・アカデミーが統合すべきであると語ったことについては(ワガノワは優れた女性ダンサーを、そしてボリショイは優れた男性ダンサーを生み出しているから一緒にすれば、と文化相は言ったそうです)、ツィスカリーゼは否定的だったようです。

11/17 新国立劇場バレエ団 バレエ・リュス ストラヴィンスキー・トリプル・ビル

新国立劇場バレエ団のバレエ・リュス ストラヴィンスキー・トリプル・ビルを、別キャストでも観てみた。前日は1階前方席だったので、この日は3階センターで。観る場所を変えると、また違った見方ができるので面白い。特に「火の鳥」と「結婚」はフォーメーションの変化が見えるのが、大変興味深かった。

指揮:クーン・カッセル
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

「火の鳥」 Firebird
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
衣装:ナタリア・ゴンチャローワ
ステージング:デニズ・ボナー

火の鳥 米沢 唯
イワン王子 菅野英男
王女ツァレヴナ 本島美和
カスチェイ 古川和則

米沢さんの火の鳥は、小野さんのような細かい動きは見せなかったが、大きくて強く威厳のある鳥だった。跳躍は高く、腕の動きも柔らかく大きく、それでいて、王子と打ち解けてくると優しさと暖かさを見せた。自分の羽を一枚彼に与えるときの心の交流が見えたのが良かった。カスチェイの古川さんは、ちょっとオヤジっぽかったけど、マイレンほどの芸の細かさはない。でも背中の曲げ方とか、指の使い方はうまくて的確に表現。魑魅魍魎たちが繰り広げるおとぎ話の世界は楽しいけど、欲を言えばさらに弾けていて禍々しさが出せればもっと良かった。乙女たちのりんご投げは今日も失敗なしで完璧だった。


「アポロ」 Apollo
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
ステージング ベン・ヒューズ

アポロ コナー・ウォルシュ
テレプシコール 本島美和
カリオペ 米沢 唯
ポリヒムニア 奥田花純
レト 千歳美香子

アポロの母、レト役は千歳さん。前日の湯川さんの表現力も素晴らしかったが、千歳さんも負けず劣らず。出産の様子をここまで描いたバレエ作品ってあるのかしら。かなり強烈。産道から出てきたアポロのおくるみを剥がす二人の女性ダンサーの名前がキャスト表に載っていないのは残念。

アポロ役は、去年のマノンに続き、コナー・ウォルシュがゲスト出演。長身できれいな体つきは太陽神アポロによく合っているし、柔らかい着地、腕を伸ばしてグーパーさせたり、両腕を開いたポーズがカリスマ性を持ち美しく決まっている。一人ずつソロを披露する3人のミューズの中で、唯一ファースト・アーティストながら抜擢された奥田さんも健闘していた。詩の女神カリオペの何かを吐き出すポーズや、劇の女神ポリヒムニアのしーっと指を口に当てるポーズなど、象徴性がある振付は観れば観るほど興味深い。まさにギリシャ彫刻や建築を思わせる作品だ。


「結婚」 Les Noces
振付:ブロニスラヴァ・ニジンスカ
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
装置・衣装:ナタリア・ゴンチャローワ
ステージング:クリストファー・ニュートン クリストファー・サンダーズ

花嫁:湯川麻美子                   
花婿:福岡雄大 
花嫁の父 マイレン・トレウバエフ
花嫁の母 千歳美香子
花婿の父 輪島拓也
花婿の母 堀口純
友人 奥田花純、奥村康祐、丸尾孝子、大和雅美、福田圭吾、古川和則
ソリスト歌手:前川依子(ソプラノ)、佐々木昌子(アルト)、二階谷洋介(テノール)、塩入功司(バス)

この作品で3階席だと、オーケストラピットの中まで見えるのが大変面白い。指揮者の前、中央に4台のピアノが並べられ、奥にソロの歌手たち、左側に合唱団、右側には打楽器が配置されていた。ピアノも打楽器として使うのが「結婚」の音楽のユニークなところであるが、蓋がほぼ閉じられていたこともあり、ピアノの響きはあまり聞こえてこない。

主役二人が踊る場面が少なく、群舞が実質的な主役を務めるこの作品、正面の高い位置から観ると、打楽器やピアノの音と群舞が刻むリズムがぴったり合っているのがよくわかって、大変気持ち良い。幾何学的なフォーメーション、男女の踊りの違い、花嫁の友人たちが頭を重ねて積み上がる様子の象徴性も、メロディのような踊りを奏でるソリストたちの動きも、よりいっそう明確になる。そして最後のシーンでは、一段と高い位置で座って微動だにしない花嫁、花婿そして彼らの両親たちの前で、表情もないまま絶えずマスゲームのように踊り続ける群舞という二重構造がいかにも儀式的で祝祭的で、この様式美的な作品の魅力にどっぷりと浸かることができた。

花嫁の母千歳さんが別れの悲しみに切々と涙を流し続ける場面を除けば、登場人物たちは終始無表情なのだが、そんな中でも少女時代と家族に別れを告げ、結婚生活の不安に慄きながらも少しずつ花婿への愛を感じ始める内面の変化を湯川さんは見事に表現していた。堀口さん、輪島さんは花婿の両親を演じるには少し若すぎる印象。古川さんが唯一、10年以上前に東京バレエ団で「結婚」を上演した時にこの作品を経験しているようだ。圧倒的な音の洪水の中で、扉が開き、しずしずと扉へと歩んでいく花嫁と花婿。その奥にはベッドが見える。世継ぎを早く産み労働力を提供されるこの時代の結婚の暗黒面を感じさせるような幕切れは、なかなかぞっとしないものなのだが、ニジンスカの冷静な視線は今の時代においても新鮮だ。

変拍子や不協和音も多い特殊な音楽に合わせ、にこりともしないで首を傾げながらポワントで立ったままずっと整然と踊り続けなければならないこの作品、コール・ド・バレエの皆さんはさぞかし大変だったかと思うが、世界有数の優秀な群舞を誇るだけあって、実に見事な上演だった。新国立劇場合唱団の歌唱も素晴らしい。この劇場ならではのレパートリーとして、再演を強く希望したい。バレエファンだけでなく、クラシック音楽ファンも多く足を運んでいたようだが、これを機会に、バレエの方にも音楽ファンを沢山呼び込めるようにできれば良いと思う。

2013/11/20

ウェンディ・ウェーランほか4人のプリンシパルがNYCBを退団予定

先日の来日公演も大成功だったニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)。

現在AOLで公開されているドキュメンタリー「city.ballet」も大好評です。こちらは続々と新しいボーナスエピソードがアップされていて、とても興味深い内容となっています。(週に2本追加)

さて、NYCBを代表する偉大なバレリーナの一人、ウェンディ・ウェーランは、2014年の秋シーズンをもって対談することを表明しました。89年に入団し、現在46歳の彼女は、先日大怪我をしてしまったために来日公演には出演できませんでしたが、精力的に活動しています。この表明は、イェール大学のでのミーティングで行われました。
http://yaledailynews.com/blog/2013/11/13/whelan-discusses-career-dance/

バランシン作品でよく知られている彼女ですが、クリストファー・ウィールダンやアレクセイ・ラトマンスキーなどとのコラボレーションでも知られています。さらに、自身の活動も活発に行なっており、新しいことに挑戦するために退団することにしたとのこと。

自身のプロジェクト「Restless Creature」では、彼女は若手の振付家たちとともに新作を作り、今年8月のジェイコブス・ピローでの公演を成功させました。今後の予定として、すでにこれだけ決まっています。

March 18, 2014 - McCarter Theatre - Princeton, NJ
March 20, 2014 - The Harris Theater - Chicago, IL
March 22, 2014 - Byham Theatre - Pittsburgh, PA
March 25, 2014 - Power Center for the Performing Arts - Ann Arbor, MI
March 28 - 29, 2014 - Shubert Theatre - Boston, MA
April 1 - 6, 2014 - The Joyce Theatre - New York, NY
April 9, 2014 - Kentucky Center for the Performing Arts - Louisville, KY
April 11, 2014 - Carolina Performing Arts - Chapel Hill, NC
July 22 - 26, 2014 - Linbury Studio Theatre, Royal Opera House - London, UK

ロイヤル・オペラハウスのリンバリー・スタジオでの公演も行うというのは素晴らしいです。

http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2013/11/19/four-principal-dancers-at-city-ballet-to-retire/?smid=pl-share&_r=0

一方、New York Timesでは、4人のプリンシパルが冬シーズンにNYCBを去ることが発表されています。ジェニファー・リンガー、セバスチャン・マルコヴィッチ、ジェイニー・テイラー、そしてジョナサン・スタッフォードです。

ジェニファー・リンガーは89年から在籍している40歳のベテランです。先日、夫君でやはり元NYCBのジェイムズ・ファエット(現在は、アーティストのための労働組合の役員)と小さな息子さんが通り魔に襲われるという恐ろしい事件に遭遇しましたが、ふたりとも軽傷で済んだとのこと。最後の舞台は、2月9日の「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」と「ユニオン・ジャック」。2月には自伝を出版する予定だそうです。以前、NYタイムズの批評家アライスター・マコーリーに、金平糖の精を踊った彼女が「金平糖を食べ過ぎたのでは?」と太り過ぎを批判され、大騒動になったことも記憶に新しいところです。この時にテレビに出演した彼女は、もちろん、少しも太っていませんでした。

パリ・オペラ座学校で学んだセバスチャン・マルコヴィッチは、2012年にジェイニー・テイラーと結婚しました。最後の舞台は3月1日の「ラ・ヴァルス」とロビンスの「牧神の午後」です。二人はロサンゼルスに引っ越し、マルコヴィッチは、バンジャマン・ミルピエ率いる「L.A.ダンスプロジェクト」のバレエマスターとなるそうです。ジェイニー・テイラーはまだ若く今後の活躍も期待されるのですが、今後の活動は不明です。彼女は映画「センターステージ」に出演しています。

ジョナサン・スタッフォードは、怪我が多かったことが引退の理由のようです。最後の公演は5月の「ジュエルズ」が予定されています。引退後は、NYCBでのバレエ・マスターとしての仕事、および2006年から務めているスクール・オブ・アメリカン・バレエの教師の仕事を続けるそうです。

12/9 NHKプレミアムシアターでパリ・オペラ座バレエ「ベジャール&キリアン プログラム」放映/追記「バレエの饗宴2013」再放送

12月9日(月)に、NHKーBSのプレミアムシアターでパリ・オペラ座バレエ「ベジャール&キリアン プログラム」が放映されます。

http://www.nhk.or.jp/bs/premium/

12月9日(月)【12月8日(日)深夜】午前0時~午前4時5分

◇プロムス2013 ラスト・ナイト・コンサート 【5.1chサラウンド】

◇パリ・オペラ座バレエ
ベジャール&キリアン プログラム
『火の鳥』 『ヌアージュ』 『ボレロ』

<演 目>
「火の鳥」
音楽: イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付: モーリス・ベジャール

「ヌアージュ」
音楽: クロード・ドビュッシー
振付: イリ・キリアン

「ボレロ」
音楽: モーリス・ラヴェル
振付: モーリス・ベジャール

<出 演>
「火の鳥」
バンジャマン・ペッシュ
カール・パケット
パリ・オペラ座バレエ団

「ヌアージュ」
ドロテ・ジルベール
マニュエル・ルグリ

「ボレロ」
ニコラ・ル・リッシュ
パリ・オペラ座バレエ団

<管弦楽>
パリ・オペラ座管弦楽団

<指 揮>
ヴェロ・パーン

収録:2008年12月
パリ・オペラ座バスチーユ

再放送になりますが、それでも嬉しいですよね。


以前もお知らせしましたが、その翌週には、同じ枠でマシュー・ボーンの「眠れる森の美女」とマリインスキー・バレエの「くるみ割り人形」も放映されます。

12月16日(月)【12月15日(日)深夜】午前0時~午前4時

◇マシュー・ボーンのバレエ『眠りの森の美女』

<演 目>
バレエ「眠りの森の美女」 (チャイコフスキー)

<出 演>
ハンナ・ヴァサッロ (オーロラ)
ドミニク・ノース (レオ)
クリストファー・マーニー (ライラック伯爵)
アダム・マスケル (カラボス、カラドック)

<振 付>
マシュー・ボーン

<テレビ演出>
ロス・マクギボン

収録:2013年5月10日
ブリストルのスタジオ


◇マリインスキー劇場 バレエ『くるみ割り人形』

<演 目>
バレエ「くるみ割り人形」 (チャイコフスキー)

<出 演>
アリーナ・ソーモア (クララ)
ワレリー・シクリャーコフ (王子)
ほか

マリインスキー・バレエ団

<振 付>
ワシーリー・ワイノーネン

<管弦楽>
マリインスキー劇場管弦楽団

<指 揮>
ワレリー・ゲルギエフ

収録:2011年11月21・22日
マリインスキー劇場
(初回放送:2012年6月13日)

追記

バレエ関連テレビ放映について追記です。
「NHKバレエの饗宴2013」が再放送されます。

2013年12月29日(日)午前0時~午前2時26分(28日の深夜)

2013/11/19

ローザンヌ国際バレエコンクールの出場者

ローザンヌ国際バレエコンクールの出場者(ビデオ審査通過者、およびドレスデンとアルゼンチンでの予選を通過した6名)71名が決定しました。

http://www.prixdelausanne.net/v4/index.php/2014-selected-candidates.html

今回も日本人の予選通過者が多くて21名もいます。一方で、英国人がゼロだったりとヨーロッパからの出場者は少ないようです。

応募者は295名だったとのことです(女性224名、男性71名)
http://prixdelausanne.tumblr.com/post/67372401105/candidates-selected-for-the-2014-competition-a

本戦は、2014年1月24日から2月1日までです。

なお、2012年のローザンヌ国際バレエコンクールで1位だった菅井円加さんの活躍ぶりがテレビでも紹介されていました。ドイツのナショナルユースバレエ(ハンブルグ)所属です。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00258105.html

シュツットガルト・バレエのロンドン公演

シュツットガルト・バレエのロンドン公演がサドラーズウェルズ劇場にて、今日11月18日から始まります。18,19日はミックスプロ「Made in Germany」、22,23日は「じゃじゃ馬ならし」です。

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「Made in Germany」は同名のプログラムが先月シュツットガルトで上演されていますが、少し演目が変更されており、若手振付家の作品の他に、クランコ、ノイマイヤー作品も加わって、よりカンパニーの魅力がアピールできるものとなっています。7作品が、英国での初めての上演となります。

http://www.sadlerswells.com/whats-on/2013/Stuttgart-Ballet-The-Taming-of-the-Shrew-Made-in-Germany/

Made in Germany
November 18th and 19th

Hommage à Bolshoi 「ボリショイへのオマージュ」
Choreography: John Cranko
Dancers: Maria Eichwald, Filip Barankiewicz

Fancy Goods 「ファンシー・グッズ」
Choreography: Marco Goecke
Dancers: Friedemann Vogel (and Ensemble)

Solo from Ssss…「ギルティ」
Choreography: Edward Clug
Dancer: Pablo von Sternenfels

Little Monsters 「リトル・モンスターズ」
Choreography: Demis Volpi
Dancers: Elisa Badenes, Daniel Camargo

Le Grand Pas de Deux 「ル・グラン・パ・ド・ドゥ」
Choreography: Christian Spuck
Dancers: Alicia Amatriain, Jason Reilly

Third Movement from Initials R.B.M.E. 「イニシャルズR.B.M.E.」より第三楽章
Choreography: John Cranko
Dancers: Maria Eichwald, Evan McKie (and Ensemble)

Pas de Deux from Kazimir’s Colours 「カジミールの色」
Choreography: Mauro Bigonzetti
Dancers: Anna Osadcenko, Friedemann Vogel

Pas de Deux from Romeo and Juliet 「ロミオとジュリエット」よりパ・ド・ドゥ
Choreography: John Cranko
Dancers: Hyo-Jung Kang, Alexander Jones

Pas de Deux from Lady of the Camellias 「椿姫」よりパ・ド・ドゥ
Choreography: John Neumeier
Dancers: Sue Jin Kang, Marijn Rademaker

Fanfare LX 「ファンファーレLX」

Choreography: Douglas Lee
Dancers: Anna Osadcenko, Evan McKie

Äffi 「エフィ」
Choreography: Marco Goecke
Dancer: Marijn Rademaker
Dancer on November 19th: Robert Robinson

Mono Lisa 「モノ・リサ」
Choreography: Itzik Galili
Dancers: Alicia Amatriain, Jason Reilly

Finale from The Seventh Blue 「7番目の青」よりフィナーレ
Choreography: Christian Spuck
Dancers: Soloists and Corps de Ballet


The Taming of the Shrew 「じゃじゃ馬ならし」
Choreography: John Cranko

November 22

Katherina: Sue Jin Kang
Petruchio: Filip Barankiewicz
Bianca: Anna Osadcenko
Lucentio: Marijn Rademaker
Gremio: Arman Zazyan
Hortensio: Damiano Pettenella


November 23, 2013 (Matinee)

Katherina: Alicia Amatriain
Petruchio: Alexander Jones
Bianca: Elisa Badenes
Lucentio: David Moore
Gremio: Özkan Ayik
Hortensio: Roman Novitzky


November 23, 2013 (Evening)

Katherina: Maria Eichwald
Petruchio: Jason Reilly
Bianca: Hyo-Jung Kang
Lucentio: Evan McKie
Gremio: Brent Parolin
Hortensio: Roland Havlica

「じゃじゃ馬ならし」は主役は来日公演の時の組み合わせとほぼ同じですが、とても豪華なキャストですね。

シュツットガルト・バレエのサイトでは、ロンドン公演のツアーダイヤリーとして、写真レポもアップされています。毎日更新される予定なので、楽しみですね。
http://www.stuttgart-ballet.de/schedule/on-tour/tour-diary1314/


ところで、先シーズンのアレクサンドル・ザイツェフに続き、今シーズンは、マリア・アイシュヴァルトとフィリップ・バランキエヴィッチが退団することについて、芸術監督のリード・アンダーソンは批判にさらされているようです。

インタビュー記事
http://www.stuttgarter-nachrichten.de/inhalt.reid-anderson-stuttgarter-ballettchef-wehrt-sich-gegen-kritik-an-kuendigungen.30200a31-0356-430a-8ac3-5c98c22e4464.html

ドイツの劇場においては、そこで15年間雇用されたアーティストは、定年(60歳)まで継続雇用しなければならないというルールがあります。したがって、多くのドイツの劇場(オペラ、バレエ)においては、15年に達する直前に契約を更新しないということが往々にして起きていました。ただし、ザイツェフ、バランキエヴィッチに関しては、すでに15年間シュツットガルト・バレエで働いてきています。インタビューでは、アンダーソンは、必ずしもこの15年ルールに固執しているわけではない、たとえば、宮廷舞踊手の称号を持つスージン・カンは20年以上このバレエ団に所属していることを話しています。一般的には、女性のほうがダンサーとしてのキャリアは長いようです。

アンダーソンは、ダンサーというのは観客に見えるのは氷山の一角であって、舞台の上では美しく完璧に踊っていても、加齢や怪我などで傷めつけられて衰えていくもので、踊りをたやすく見せて観客にそのような面を見せないのがダンサーであると語っています。そして観客は、まだ踊れそうなダンサーが去っていくことについて嘆くけれども、ダンサーも人間であり、第二の人生への扉を開くことも大切だと言います。カンパニーを去った後のダンサーの人生をサポートすることも芸術監督である自分の仕事だと。

フィリップ・バランキエヴィッチの場合は、ジョン・クランコスクールで教職につき、定年まで働ける地位をオファーしたものの、彼はそれは断ったとのことです。しかし、バランキエヴィッチはスターであったし、教えることについても経験豊富なので、アンダーソンは彼については敬意を払っているし、全く心配していないとのことです。

スターがカンパニーを去ることは、観客にとっては突然のニュースとなりますが、カンパニーのメンバーにとってはそれはゆるやかな移行プロセスだそうです。今回去ることになる二人についても、2,3年前から話し合ってきたそうです。

自身の進退については、アンダーソンは、ジョン・クランコスクールの新しい建物がオープンする時までは芸術監督を続けたいと語っています。彼の任期は2016年までです。

追記:ロンドン公演「Made In Germany」のフォトギャラリーがアップされています。
http://www.johnrossballetgallery.co.uk/index.php?twg_album=Stuttgart+Ballet+-+Made+in+Germany

2013/11/17

11/16 新国立劇場バレエ団「バレエ・リュス ストラヴィンスキーイーヴニング」

新国立劇場バレエ団のシーズン・オープニング作品は、「バレエ・リュス ストラヴィンスキーイーヴニング」。「火の鳥」「アポロ」「結婚」という、バレエ・リュスの作品の中でもストラヴィンスキーが作曲を手がけた3つの傑作が並んだ。中でも、「結婚」はカンパニー初演であり、まためったに日本では上演されない作品であるということで、貴重な上演だった。(10年以上前に東京バレエ団が上演)

シーズン初めに、バレエ・リュスのトリプルビルを持ってきたというところに、デヴィッド・ビントレーの強い矜持を感じる。世界的に通用するカンパニーとなるには、このような新しい古典を上演しなければならないし、バレエ・リュスの精神からダンサーも観客も学ぶところはほんとうに多い。合唱団も持っている新国立劇場ならではの、音楽的にも高度で総合芸術としての舞台が実現できるというのも、意義が大きい。

http://www.atre.jp/13russes/

指揮:クーン・カッセル
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

「火の鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
衣装:ナタリア・ゴンチャローワ

火の鳥 小野絢子
イワン王子 山本隆之
王女ツァレヴナ 寺田亜沙子
カスチェイ マイレン・トレウバエフ

「火の鳥」のみ今回は再演だが、小野さんの火の鳥を観るのは初めて。小柄な彼女が、存在感の大きな火の鳥役が似合うかどうか、見る前は少し不安だったけどそれは無用だった。確かに小さいのだが、手足の使い方は大きくしなやか。軽やかで大きなジュッテは飛翔する鳥そのもの。そして細かい腕や手先の動きもとても繊細かつ動物的で、人ならざる者という感じが非常によく出ていた。目力もとても強い。舞台の上で放つ輝きは尋常では無いほどだった。イワン王子の山本さんは、ベテランならではの安定したサポートと演技の上手さ。今シーズンからオノラブルダンサーとなり、出番が減ってしまうと思われるが、彼の演技はもっともっと観たい。可憐な王女寺田さんと、12人の乙女たち。彼女たちの一糸乱れぬ踊り、りんごの投げ方もとても堂々としていて落とす人もいなかった。カスチェイ役のマイレンは、はまり役。本当に楽しそうに魔王を演じていて、憎々しげに眉を上げる演技や指先の使い方、腰の曲げ方、そして卵を割るときの慌てっぷりまで、実に役者である。カーテンコールでの小野さんとの掛け合いもユーモラスだった。ストラヴィンスキーの奔放なメロディに乗せて、様々な姿をした物の怪たちが出てくるモブシーンもこなれていて、お伽話っぽさを盛り立てる。

それにしても、「火の鳥」という演目は、いかにもバレエ・リュスらしい、音楽、踊り、美術の見事な融合である。ラストシーンでのナタリア・ゴンチャローワによるロシア的なのにモダンでもある背景幕が登場し、印象的な荘重な旋律が聞こえてくると、こんなディズニーっぽいストーリーなのに得も知れずジーンとくる。


「アポロ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

アポロ 福岡雄大
テレプシコール 小野絢子
カリオペ 寺田亜沙子
ポリヒムニア 長田佳世
レト 湯川麻美子

日本人がアポロ役を演じるのを観るのは初めてなのだが、福岡さんは堂々としていて風格があり、細かい足さばきも美しくてよかった。テレプシコール、カリオペ、ポリヒムニア役の3人も実力者を取り揃えていて、息もよく合っており、バランシンの新古典主義的で彫刻的な振付をものにしていた。中でも、この直前に火の鳥役を演じていた小野さんはひときわ表現力が豊かで、伸びやかで美しかった。今回は、レトからアポロが産み落とされるところから、アポロと美神たちが丘を登っていくラストまでの完全版を上演しており、レトを演じた湯川さんの演技力、出産の時の苦悶までも表現したパートにも感銘を受けた。85年経った今でも、バランシンは古くて新しい。古典的でありながら斬新で、何回も観たあとですら、目を瞠る瞬間が幾つもあると感じさせられた。


「結婚」
振付:ブロニスラヴァ・ニジンスカ
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
装置・衣装:ナタリア・ゴンチャローワ

花嫁:本島美和                   
花婿:小口邦明 
花嫁の父 マイレン・トレウバエフ
花嫁の母 千歳美香子
花婿の父 輪島拓也
花婿の母 堀口純

友人 古川和則、奥田花純、丸尾孝子、大和雅美、貝川鐵夫、清水裕三郎
ソリスト歌手:前川依子(ソプラノ)、佐々木昌子(アルト)、二階谷洋介(テノール)、塩入功司(バス)

今回最も楽しみにしていた作品。映像でしか観たことはないのだが、とにかくすべてが大好きなのだ。ピアノ4台、打楽器、そして独唱と合唱による斬新な音楽がまず最高に美しい。白と茶で統一された衣装、構築的で独創的な振付。ロシアの農村における結婚式、そこには祝祭性よりも、結婚の喜びよりも、少年少女時代との別れ、両親との別れという痛み、労働力として期待されるという待ち受ける現実、そんな中でも芽生えてくる愛情という陰影深いテーマが、この作品が振り付けられた当時はなんと革命的なものだったんだろうと考えさせられる。そんなテーマなのに、紛れもないハイ・アートであり、芸術、バレエにおけるイノベーションでもある。ニジンスカという人は天才で、フェミニストで、モダニストだった。間違いなく20世紀最大の傑作。象徴的な、花嫁の友人達が花嫁の長いお下げを持って、頭を積み上げていくシーンのかっこ良さと言ったら、もううっとりしてしまう。

無表情な人々によって淡々と、厳粛に行わる結婚の儀式、抑えた表情の中に、なんとも言えない悲しみ、痛みが漂ってくる。花嫁役の本島さんは、ほとんど踊らない役だが、髪を白い布に包んだ姿でも輝くばかりの美しさ、その美しさの中の虚ろな表情が痛ましい。そしてもうひとつの主役は、群舞。中でも6番ポジションでずっとパドブレし続ける女性コール・ドの統一性が、まるでマスゲームのようで、儀式性を盛り上げる。アクセントとなる、古川さん、奥田さんのソロは、振付も独特で土着的なのにスタイリッシュでしびれた。群舞のフォーメーションの変化に伴って生まれる後半の高揚感を味わうのは、まさに至福の時だった。

コール・ド・バレエの高い実力とともに、合唱やソリストの素晴らしさ、クーン・カッセルの指揮ぶりも見事だった。ピアノ4台の演奏も良かったのだが、オーケストラ・ピットに配置され、蓋を閉じた状態で演奏されると、ピアノの音の響きがやや弱く感じられてしまったのが残念な点だった。この素晴らしい舞台の再演を、ぜひとも遠くない将来に期待したい。この公演を見逃してしまうことは、大きな損失である。バレエ団の宝として持ち続けてほしい。

それから、プログラムには、ソリストの名前しか載っていないのが非常に残念であった。「結婚」にしても「火の鳥」にしても、コール・ド・バレエの持つ役割が非常に大きいので、必ず出演者全員の名前を載せてほしいと切に思う。

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2013/11/16

11/14〈シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013〉エックの「カルメン」/東京バレエ団 Sylvie Guillem in Ek's Carmen

2013年11月14日
「カルメン」「エチュード」/東京文化会館

http://www.nbs.or.jp/stages/1311_carmen/index.html

「エチュード」
振付:ハラルド・ランダー
音楽:カール・チェルニー、クヌドーゲ・リーサゲル

エトワール:上野水香、高岸直樹、梅澤紘貴、松野乃知
白の舞踊手(ソリスト):吉川留衣、岸本夏未

ほか、東京バレエ団

高岸さんが怪我のために後半部分を急遽梅澤紘貴さんが踊ることになった。でもどうせだったら梅澤さんが全部踊ったほうが良かったと感じた。彼が登場してくる時の、指パッチンしながらのドヤ顔はケレン味があって良かった。松野さんは、まだ不安定なところがあるけど、伸びしろを感じる。
最初のバーレッスンのシーンで、東京バレエ団の女性ダンサーたちが非常によく揃っていて、ポジションも正確で容姿も美しくクオリティが高いと感じた。女性ダンサーのレベルの高さに男性ダンサーが追いついていないのが、問題。


「カルメン」
振付:マッツ・エック
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロジオン・シチェドリン

カルメン:シルヴィ・ギエム
ホセ:マッシモ・ムッル
エスカミリオ:柄本弾
M:高木綾
オフィサー:木村和夫
ジプシー:岡崎隼也
女性たち:奈良春夏、
矢島まい、川島麻実子、河谷まりあ、伝田陽美、三雲友里加
兵士たち:氷室友、松野乃知、岸本秀雄、入戸野伊織、岩村暁斗

マッツ・エック版カルメンは初見。音楽はアロンソ版と同じシチェドリン編曲のもの。大きな水玉のついた背景が、巨大なチーズのようだった。銀紙のようなメタリックな衣装の女性たち。後半にギエムが着用するメタリック・レッドのドレスは後ろのトレーンが長くて、まるでゴジラのしっぽのようだった。エック特有の重心をしたに置いた振付、2番プリエの多用、スペイン語で繰り広げられる叫び声とともに、一歩間違えたら悪趣味の極みとなってしまうのだが、これが洗練されていて時代を超越したように見えつつも、独特の生命力や力強さを感じさせて好ましい。

カルメンを殺してしまったドン・ホセが死刑となる前の回想から始まる。大きな黒い玉の上に腰掛けたホセ。長身で華奢なマッシモ・ムッルは、美しくて、気弱で繊細でセクシーで、肉食系カルメンに絡め取られてしまった男のどうしようもなさを体現。長い腕が描く軌跡は美しく、そしてギエムとのパートナーシップも完璧だった。カルメンを殺してしまった時に上げる叫び声、口を大きく開けて慟哭する姿。自己主張は強くないが、彼がいてこそカルメンが輝いていたのだと実感させられた。ここでのカルメンはファム・ファタルではないけど、ムッルのホセは、オム・ファタルだ。嬉しそうに大きな花束を持って、つかの間の幸せな時間を過ごす姿がせつない。

ギエム。現在48歳の彼女がここまで踊れるのは奇跡だといえるだろう。自由自在に身体を操り、誰のものにもならない、自分の生き方を貫き通す強い女。怪物じみた、突出した凄さが彼女のカルメンをカルメンたらしめている。彼女の踊りはエックにしては少しクラシカルではあるが、カルメンの自由で奔放な精神をエッジの効いた身体表現で完璧に体現している。特に、まるで昆虫のような足の甲の表現力が凄い。後半の巨大な髪飾りにゴジラドレスが、更にその怪物性を強調している。官能性はほとんど感じさせないけど、ホセ、そしてエクカミリオと股間から赤い布を引き出すところも、肉食系の女らしくて様になっていた。シルヴィは、敬意を込めて化物だと呼びたい。

ミカエラ、そしてホセの母親、さらには「死」をも体現するM役の高木さん、彼女が素晴らしかった。古典のイメージの強い彼女が、エックの振付言語をものにしていて、大胆な動きを見せてくれる様子が爽快だった。存在感もしっかりとしていて、時には聖母、時には死、演じ分けも堂に入っていた。オフィサー役の木村さん、学生服のような詰め襟の服と口ひげが似合いすぎていて、まるで人間ではないかのような人形っぽい感じが怖くてはまっていた。途中でオフィサーは死んでMに死体をズルズル引きずられているのに、最後にまた登場したりして、ゾンビか、と思った!柄本さんのエスカミリオは、色気もありなかなか魅力的ではあったけど、少し若いかな。

東京バレエ団、中でも女性の群舞がものすごく良くて目を瞠った。上半身を大きく反らせたり重心を低く保ったりのエックの動きが入っている感じで、とても猥雑でスタイリッシュで葉巻を吸う姿も決まっていて、活き活きとしていて。もちろん、これから良くなる余地もあるのだろうけど、エック作品はこのバレエ団に合っている。今後は古典なんか踊るのをやめて、ベジャールとエックなど現代作品に特化したバレエ団になればいいのに。

カーテンコールでは、マッツ・エック、カルメン役初演のアナ・ラグーナ、そして振付指導のラフィ・サディも登場。エック本人を見るのが初めてで嬉しかった。長身で哲学者のような紳士。ぜひ再演を期待したい。

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マックレー、ソアレス、サレンコ出演のベイリーズ、クリスマスCM

ロイヤル・バレエのスティーヴン・マックレー、ティアゴ・ソアレス、そしてロイヤルの「ドン・キホーテ」にゲスト出演していたヤナ・サレンコが、リキュール、ベイリーズのクリスマスCMに出演しています。

http://www.marketingmagazine.co.uk/article/1221023/baileys-recreates-the-nutcracker-ballet-sumptuous-christmas-ad

「くるみ割り人形」をモチーフにしたこのCM、クリスマスパーティに参加したクララがくるみ割り人形の王子と出会い踊り始めるけど、同時にネズミの王様にも目をつけられて、争いが始まり、クララが蹴りを入れることで決着するというもの。バレエのテクニックがふんだんに盛り込まれています。踊りの振付はバンジャマン・ミルピエ。

メイキング映像(なぜか年齢制限がかかっています)マックレー、ソアレス、サレンコのインタビュー映像も。
http://youtu.be/sg-tbMEPNss

本編映像
http://youtu.be/w-1XB00Ss8I

グランジュッテで戦うところは、マックレーのコミック「バレエ・ヒーロー・ファンタジー」(ダンシン連載)みたいですよね。

英国で、11月16日、映画「ブラック・スワン」のテレビ放映時に最初に放送されるとのことです。

2013/11/14

YAGP予選のネット中継

世界最大のバレエコンクール、YAGP(ユース・アメリカ・グランプリ)。このコンクールの予選を、自宅にいながらネット中継で観ることができるようになりました。

http://www.visualartsmasters.com/

中継は有料で、2時間、4時間、6時間または12時間の視聴パッケージを購入することができます(11.99ドルから) 

日程は、東京予選は11/20, 11/21, 11/22, 11/24、ブリュッセルが12/6、12/7、12/8日です。

日本語ページもできていました。
http://www.visualartsmasters.com/purchase-live-broadcast-access-japanese

http://youtu.be/v7A3MGLjhoE

2013/11/13

新国立劇場バレエ団2014/15シーズンは新制作「眠れる森の美女」

来年1月下旬に予定されている新国立劇場バレエ団2014/15シーズンラインアップ発表に先駆けて、バレエ、ダンス公演のオープニング公演が先行発表されました。

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/131113_003564.html

【バレエ オープニング公演】
2014年11月公演

「眠れる森の美女」

2014/2015シーズンに大原永子が舞踊芸術監督に就任するにあたり、新国立劇場バレエ団のオリジナル版を新制作します。
今回の演出・改訂振付は、ウェイン・イーグリング。イーグリングは英国ロイヤル・バレエの元プリンシパル・ダンサーで、オランダ国立バレエやイングリッシュ・ナショナル・バレエの芸術監督を歴任した振付家です。

ウェイン・イーグリングといえば、アレッサンドラ・フェリと共演した「ロミオとジュリエット」の映像が有名ですね。どんな作品になるか、楽しみです。


【ダンス オープニング公演】
2014年8月公演

 JAPON dance project 


モンテカルロ・バレエ、国立マルセイユバレエ、スウェーデン・ロイヤル・バレエ、NDT1など世界の一流バレエ団での実績を持ち、海外で活躍中のダンサーたち(小池ミモザ、遠藤康之、柳本雅寛、青木尚哉、児玉北斗、小尻健太)が、新国立劇場で新作を上演します。
新国立劇場バレエ団の小野絢子、八幡顕光、米沢唯とのコラボレーションにも注目です。

JAPON dance projectには、オフィシャルサイトもできています。

http://www.japondanceproject.com/

舞台美術にはアクラム・カーン/シルヴィ・ギエムの作品等で美術を担当する針生康を迎え、JAPONならではのユニークな新作を届けるとのことで、こちらも期待できますね。


なお、新国立劇場バレエ団で2014年4月に上演する「ファスター/カルミナ・ブラーナ」の主役キャストも決定していて発表されました。バーミンガム・ロイヤル・バレエから、イアン・マッケイがゲスト出演します。

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/131113_003568.html

「ファスター」

【FIGHTERS】
福岡雄大      (4月19・25・27日)
 イアン・マッケイ (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ プリンシパル) (4月20・26日)
 
 小野絢子     (4月19・25・27日)
 本島美和     (4月20・26日)



「カルミナ・ブラーナ」

【運命の女神フォルトゥナ】
湯川麻美子      (4月19・25・27日)
米沢 唯 (4月20・26日)
 

【神学生3】
 イアン・マッケイ (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ プリンシパル) (4月19・25・27日)
福岡雄大       (4月20・26日)

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新国立劇場バレエ団紹介ムービー
http://youtu.be/kIrWKf1lMqc

K-Ballet Company の新制作「ラ・バヤデール」2014年3月

K-Ballet Company の2014年春の新制作作品として、「ラ・バヤデール」が上演されることが発表され、キャストも発表されました。

Tetsuya Kumakawa
K-BALLET COMPANY
Spring 2014
「ラ・バヤデール」
http://www.k-ballet.co.jp/performances/2014-labayadere

主催
TBS/Bunkamura
会場
Bunkamuraオーチャードホール

一般問合せ先
チケットスペース 03-3234-9999
http://www.ints.co.jp
Bunkamura 03-3477-3244 (10:00~19:00)
一般発売日
2013年12月15日(日)

3月20日(木)~3月26日(水)までの10回公演で、すべてBunkamuraオーチャードホールでの上演。キャストは、ニキヤ、ソロル、ガムザッティ役が発表されていますが、この中には熊川哲也さんの名前はありません。その分、チケット代は抑えめとなっています。

「ラ・バヤデール」といえば、ロイヤル・バレエ在籍時代に熊川哲也さんがブロンズ・アイドル役でセンセーションを巻き起こしたことが鮮烈に記憶されます。この名パフォーマンスは、DVDにも収録されています。彼以上のブロンズ・アイドルは世界中を見ても果たしているのだろうかと言われています。したがって、熊川さんにとっては特別の思い入れのある作品のはず。熊川さんの古典改訂版の演出は、物語性に富んでかつ非常にユニーク、ビジュアルセンスも素晴らしいので、きっと力作になることでしょう。(もしかして、ブロンズ・アイドル役にびっくりの熊川さん出演が実現したりして?)

今回、看板プリマの荒井祐子さんの出演がない一方、浅川紫織さん、日向智子さん、佐々部佳代さんという若手の成長株、そして熊川さんの信望厚い神戸里奈さんがニキヤを演じます。とても楽しみですね。


なお、K-Ballet Companyは、来年1月にTBS系で放映されるドラマスペシャル「眠りの森~新参者スペシャル」(仮)に協力することが発表されています。阿部寛演じる刑事が、柄本明演じるベテラン刑事とタッグを組みバレエ団で起きた殺人事件に挑み、Kバレエカンパニーが振り付けから美術まで全て監修するそうです。

劇中で描かれる「白鳥の湖」「眠りの森の美女」の振り付け、音楽、舞台美術、衣装まですべて熊川が率いるKバレエカンパニーが監修し、ダンサーの益子倭、宮尾俊太郎もダンサー役で出演、他のダンサーもステージのシーンでドラマに出演。また、バレリーナ役を演じる出演者へはカンパニーのプロフェッショナルなスタッフによる丁寧な指導を行い、本格的な仕上がりに。バレエファンの方にも存分に楽しんでいただける映像も見どころだ。阿部は同カンパニーの東京文化会館公演を観賞しており、「撮影でも何日も前からけいこし、挑戦しようという思いに感動しました」と感激していた。

阿部寛×東野圭吾×熊川哲也Kバレエ カンパニーという強力タッグが実現!『眠りの森~新参者スペシャル』(仮)累計1,000万部を超える加賀恭一郎シリーズで加賀の分岐点となる人気作をドラマ化2014年新春に放送決定!
http://www.tbs.co.jp/hot-jyouhou/201310211430.html

http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20131021-1207092.html

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2013/11/12

ワガノワ・アカデミー人事続報

ワガノワ・アカデミーの芸術監督交代、およびツィスカリーゼが校長に就任するという件で、色々と動きがあったようなのでアップデートします。

Isemene Brown氏のブログより。
http://www.ismeneb.com/Blog/Entries/2013/11/5_Asylmuratova_to_remain_Vaganova_artistic_director.html

まず、芸術監督の交代の件については、現役ダンサーとしての活動を続けたいロパートキナの就任は白紙となり、アスィルムラートワが留任することになったようです。ただし、それが、芸術監督としての契約が更新されたのか、それとも、選挙で校長人事が正式に確定するまでの暫定的なものなのかどうかは不明です。ワガノワ・アカデミーにおいては、芸術監督の任命権が校長にあるからであり、従来は、校長が交代すると、その校長の下で働いていたスタッフも同時に更迭されることになっています。

ツィスカリーゼは、11月5日に、アスィルムラートワを「教育プロセスの継続性のために」留任させたと発表しました。そして彼女は任期の満了まで留任すると。ただし、この任期がいつまでのものかははっきりしません。ツィスカリーゼが実際に校長としての職務に入るまでの期間だと解釈することもできます。校長の選挙はあるものの、人事権はツィスカリーゼが持っており、現在の教師陣全員が彼に反対したとしても、彼らを全員解雇することも可能です。ツィスカリーゼは、文化大臣メディンスキーの強力な後ろ盾があります。

そして、もう一つ、こちらはさらに衝撃的なニュースがあります。

http://www.ismeneb.com/Blog/Entries/2013/11/9_Russias_two_ballet_schools_could_unite_under_Tsiskaridze%2C_says_Minister.html

ワガノワ・アカデミーとモスクワ舞踊アカデミー(ボリショイ・バレエ学校)を統合させ、その統合された学校をツィスカリーゼが傘下に収めるという構想を、文化大臣メディンスキーがテレビ番組のインタビューで語ったそうです。これは、メディンスキー大臣がロシア・バレエの伝統について全く無知であるか、破壊しようとしているとしか考えられない暴言です。

もちろん、過去にガリーナ・ウラノワ、最近ではスヴェトラーナ・ザハロワなどがマリインスキーからボリショイに移籍した例がありますが、モスクワとサンクトペテルブルグのスタイルはかなり異なったものであり、お互いをライバル視してきました。歴史的にも、この2つの街の文化は大きく異なっています。

なお、ツィスカリーゼが就任することになっているワガノワ・アカデミーの校長選挙には、他にも候補者がいると取り沙汰されています。一人は、なんと現マリインスキー・バレエの芸術監督、ユーリ・ファテーエフ。もう一人は、現ワガノワ・アカデミーの教師のアレクセイ・フォムキン。さらにもう一人、ボリショイ・アカデミーの教師としてよく知られている(訂正:マリインスキーのファーストソリストである同姓同名の)イリヤ・クズネツォフも立候補するのではないかと言われています。

http://www.ismeneb.com/Blog/Entries/2013/11/11_Ministry_may_try_to_obstruct_Tsiskaridze_rivals.html

しかしながら、文化省はツィスカリーゼを強力にプッシュして、立候補の要件を厳しくすることを考えているのだそうです。選挙の日程は、今月中には発表されるそうです。

なお、ワガノワ・アカデミーのサイトには、すでに暫定の校長として、ツィスカリーゼの写真とプロフィールが掲載されています。
http://www.vaganova.ru/page.php?id=21&pid=265

こちらには、モスクワ舞踊アカデミーで開催された国際バレエ学校フェスティバルのニュースが掲載されており、ツィスカリーゼがワガノワ・アカデミーの校長としてマスタークラスを教えている様子の写真も載っています。このフェスティバルには、ワガノワ・アカデミー、ABT付属ジャクリーン・ケネディ・オナシス・スクール、ハンブルク・バレエ学校、ミラノ・スカラ座バレエ学校などのほか、日本から新国立劇場バレエ研修所も参加し、写真がアップされています。
http://japanese.ruvr.ru/2013_11_08/124122117/

2013/11/10

11/9 マチルド・モニエ&ジャン=フランソワ・デュルール「ピュディック・アシッド/エクスタシス」

『PUDIQUE ACIDE』『EXTASIS』 Mathilde Monnier and Jean-François Duroure
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2013/d1109.html

振付:マチルド・モニエ、ジャン=フランソワ・デュルール
出演:ソニア・ダルボワ、ジョナタン・プランラ
初演:
『ピュディック・アシッド』1984年3月(ニューヨーク)
『エクスタシス』1985年11月メゾン・ドゥ・ラ・ダンス (リヨン)
再演:2011年モンペリエ・ダンス・フェスティバル
音楽:クルト・ヴァイル、ベルナール・エルマン
彩の国さいたま芸術劇場

モンペリエ国立振付センター(ラングドック=ルシヨン)の芸術監督であるマチルド・モニエは、80年代のヌーヴェルダンスを代表する振付家の一人。今回上演された『ピュディック・アシッド』は、彼女のデビュー作品。彼女の作品が日本で上演されるのは初めてだそうだ。

『ピュディック・アシッド』
http://youtu.be/LYYQRRQLOgY

『エクスタシス』
http://youtu.be/0g8Ne9d78yk

2つとも、20分ちょっとの小品で、音楽も同じくクルト・ヴァイル、男女一組のペアによるダンスなので雰囲気は似ており、前後編と言ってもいい感じ。『ピュディック・アシッド』では、赤いキルトスカートを着用した男女二人の踊り。シンプルな舞台装置と明るい照明。無音の中で始まるが、やがてドイツ語の歌が。クルト・ヴァイルの「三文オペラ」だ。ダンサー、ソニア・ダルボワ、ジョナタン・プランラはふたりともすらりとしていて長身。ソニア・ダルボワは中性的なイメージで、ふたりともほぼ同じ振りをユニゾンで踊るのが多いのだが、時にはパ・ド・ドゥ的になってお互いをリフトしたりする。そしてスカートを脱いでショートパンツにサスペンダー姿に。手を一緒に動かしたり、明るくユーモラスな振りが多いけれども、クラシックバレエ的な動きがあり、さらにヒップホップ的な部分や、他の作品からの引用も観られる時々、ドキッとするほど色っぽかったり、情感を感じさせる場面も。同じ衣装、同じような振付、性差を感じさせない姿の二人で、観ているうちに、男女の違いの意味ってなんだろう、ってことが炙りだされて来る気がするのが面白い。あまり複雑なことや難解なことはやっていないようだが、素晴らしくしなやかでダイナミック、かつ美しい動きで、ふたりとも大変優れた表現者であることが感じられた。

『エクスタシス』では、スタジオを思わせるような舞台装置で、スタジオ用の照明器具がいくつも立てられている。ふたりとも、ベージュ色のトレンチコートのようなコートの裾から、白い長いチュールスカートを覗かせていて、それがまるでチュチュのように見える。長身の男性がそんな姿をしているのに、少しも滑稽ではなく、かえってスタイリッシュに見えるから面白い。古典バレエのパ・ド・ドゥのようなパートナーリングも見受けられる。正面を見据えて、観客に目線を送っている様子は、やや挑発的だ。タンツテアター的な影響も感じられる。こちらもコートを脱いで、と少しずつ衣装が変わっていくが、『ピュディック・アシッド』では、ラストは女性が白いレオタード一枚に、前にチュールを垂らして短いドレスのような姿となる。音楽の調子が一変してメロディアスになりシリアスでリリカルな雰囲気に。照明も暗転した中青白い光が差し込んでいる。女性が去っていき男性が取り残される。

シンプルでコンパクト、洗練されているけどユーモラス。音楽と照明、衣装のセンスが素晴らしく良い上、ずっと踊りっぱなしの二人のダンサーもテクニック、表現力が見事で、現代ダンスの最良の部分を抽出したような舞台だった。30年近く前の作品なのに古さはほとんど感じない。衣装は、初演ダンサーたちが自分たちで買いに行ったものをそのまま使っているとのこと。フランス人のモニエがドイツ語の歌を使っているのは、彼女がフランスでもドイツとの国境地帯近くで育ち、ドイツ語に親しみつつも、様々なアンビバレントな感情を持っていたことが反映されているからだそうだ。

モニエは現在も年に1作品ほど新作を振りつけており、コミックなど他分野とのコラボレーションも積極的に行っている。また、モンペリエ国立振付センターでは教育にも力を入れているそうだ。新作はまた全く違った雰囲気の作品なのだそうで、ぜひそれらも日本で見る機会があると嬉しいと思った。

パリ・オペラ座バレエ昇進コンクールの結果(女子) オニール八菜さんがコリフェに昇進

パリ・オペラ座バレエの昇進コンクールの結果が発表されました。

http://www.operadeparis.fr/actualites/Resultats-du-concours-du-ballet-artistes-femmes-janv-2014

Première Danseuse プルミエール・ダンスーズ

1. Amandine Albisson アマンディーヌ・アルビッソン(昇進)
2. Laura Hecquet
3. Aurélia Bellet
4. Charline Giezendanner
5. Héloïse Bourdon
6. Sabrina Mallem


Sujets スジェ

1. Sae Eun Park セウン・パク(昇進)
(以下順位付けなし)

Coryphees コリフェ

1. Hannah O'Neil オニール八菜 (昇進)
2. Léonore Baulac レオノール・ボーラック (昇進)
3. Leila Dilhac
4. Laura Bachman
5.Jennifer Visocchi
6. Alice Catonnet


スジェに昇進する枠は2人分ありましたが、1人しか昇進できず、残りは順位もつかなかったのはかなり厳しかったと言えます。審査員の中で表が割れて順位決まらなかったようですね。

今年の入団試験で正規団員として入団したばかりのオニール八菜さんが、1回めの試験でコリフェに昇進できたのは素晴らしいことですね。彼女は自由演目は「ラ・バヤデール」のガムザッティのヴァリエーションを踊ったようです。

スジェに昇進したのは、やはり去年入団したばかりの韓国出身のセウン・パク。テクニックの強さには定評があり、今年のカルポー賞を受賞しています。

そしてプルミエール・ダンスーズに昇進したアマンディーヌ・アルビッソンは、「眠れる森の美女」で12月21日の一日だけ、オーロラ役を踊る予定です。6月の「ラ・シルフィード」でも主演。ちょっとタレ目が特徴的。ダンス・キューブにはインタビューも掲載されています。2009年にカルポー賞を受賞しています。
http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-paris/paris1307b.html

2013/11/09

国立新美術館で2014年6月~9月「バレエ・リュス展」開催

東京の国立新美術館で2014年6月~9月に「バレエ・リュス展」(仮題)開催が開催されることとなり、チラシが配布されています。

The Art of Costumeという副題がついており、オーストラリア国立美術館が所蔵するバレエ・リュスの衣装約140点を中心に、これまでにない規模でその魅力の全貌が紹介されるとのことです。

バレエ・リュスといえば、およそ100年前にバレエのみならず、アートの世界を根本から変えた、ディアギレフに率いられた大革命的バレエ団。ピカソ、マティス、シャネル、ローランサン、ストラヴィンスキー、サティ、コクトーらが舞台芸術に結集し、アートのあり方を変革しました。

「バレエ・リュス展」(仮題)
会期 2014年6月18日(水)から9月1日(月)まで(予定)
会場 国立新美術館

オーストラリア国立美術館では、2011年にBallet Russes The Art of Costumeという展覧会が開催されていますので、おそらくはこちらの展覧会が巡回してくるということではないでしょうか。

http://nga.gov.au/Exhibition/BALLETSRUSSES/Default.cfm

こちらの展覧会では、ナタリア・ゴンチャロワ、パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、アンドレ・ドラン、ジョルジュ・ブラック、ジョルジュ・ド・キリコ等による衣装が展示されていたということなので、これらを観ることができると思います。1909年から1939年までの34作品を網羅しているようです。

バレエ・リュス100周年ということで、世界中で様々な展覧会が行われましたが、2009年に庭園美術館で開かれた展覧会以来、日本ではあまり大規模な展覧会が開かれませんでした。今年は10月まで、ワシントン・ナショナル・ギャラリーで大規模な展覧会が開かれましたが(私も観に行った、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館からの巡回展)、さすがにこれを持ってくるのは難しかったのかもしれません。でも、オーストラリア国立美術館のコレクションも素晴らしいようなので、とても楽しみです。

こちらのニュース映像で、オーストラリア国立美術館での展覧会が紹介されていますが、うっとりします。
http://youtu.be/8RLVEYQcVpY

もう一つ紹介映像
http://www.abc.net.au/local/videos/2010/12/09/3089415.htm

こちらはワシントン・ナショナル・ギャラリーで開催されたDiaghilev and the Ballets Russes, 1909-1929: When Art Danced With Music展の解説DVD。ナレーションは女優のティルダ・スウィントン。バレエ・リュスについての基本的な知識を学ぶにはとてもわかり易い映像でした。(作品映像は、ジョフリー・バレエのものが中心)展覧会に出品された衣装などのスライドショーもついています。リージョンALL。

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ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館でのDiaghilev and the Golden Age of the Ballet Russes展のカタログ。図版が豊富で、大変読み応えがあります。

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オーストラリア国立博物館で開催された展覧会のカタログ。こちらが、今回の展覧会とほぼ同じ内容になるのではと思われます。

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英国ナショナル・ダンス・アワード2014のノミネート発表

英国ナショナル・ダンス・アワードのノミネートが発表されました。英国批評家連盟に加入している批評家が選ぶ賞で、2012年8月31日から2013年9月1日までに英国で上演された作品が対象。バレエだけでなく、コンテンポラリーダンス、そしてフラメンコまでカバーしている賞です。

http://www.theguardian.com/stage/2013/nov/08/2014-national-dance-awards-shortlist

受賞者は来年1月末に発表されます。


Best male dancer 男性ダンサー賞

Dane Hurst (Rambert) デーン・ハースト(ランベール)
Vadim Muntagirov (English National Ballet) ワディム・ムンタギロフ(ENB)
Sergei Polunin (Moscow Stanislavsky Ballet and guest artist, Royal Ballet) セルゲイ・ポルーニン(モスクワ音楽劇場バレエ)
Edward Watson (Royal Ballet) エドワード・ワトソン(ロイヤル・バレエ)


Best female dancer 女性ダンサー賞

Maria Kochetkova (San Francisco Ballet) マリア・コチェトコワ(サンフランシスコ・バレエ)
Natalia Osipova (Mikhailovsky Ballet and guest artist, Royal Ballet and Bolshoi Ballet) ナタリア・オシポワ(ミハイロフスキー・バレエ)
Olga Smirnova (Bolshoi Ballet) オルガ・スミルノワ(ボリショイ・バレエ)
Eva Yerbabuena (Ballet Flamenco Eva Yerbabuena) エバ・ジェルバブエナ


Outstanding company カンパニー賞
 
Boston Ballet ボストン・バレエ
Mikhailovsky Ballet ミハイロフスキー・バレエ
Rosas ローサス
San Francisco Ballet サンフランシスコ・バレエ


Best classical choreography クラシック・バレエ振付賞

Mark Morris (Beaux for San Francisco Ballet) マーク・モリス(「Beaux」サンフランシスコ・バレエ)
David Nixon (The Great Gatsby for Northern Ballet) デヴィッド・ニクソン(「グレート・ギャッツビー」ノーザン・バレエ)
Alexei Ratmansky (24 Preludes for Royal Ballet) アレクセイ・ラトマンスキー(「24のプレリュード」ロイヤル・バレエ)
Christopher Wheeldon (Aeternum for Royal Ballet) クリストファー・ウィールダン(「Aeternum」(ロイヤル・バレエ)


Best modern choreography 現代作品振付賞

Guilherme Botelho (Sideways Rain for Alias) 
Matthew Bourne (Sleeping Beauty for New Adventures) マシュー・ボーン「眠れる森の美女」ニュー・アドベンチャーズ
Sidi Larbi Cherkaoui (Puz/zle for Eastman) シディ・ラルビ・シェルカウイ (「(Puz/zle」)
Russell Maliphant (Fallen for Ballet Boyz the Talent) ラッセル・マリファント(「Fallen」バレエ・ボーイズ)


Outstanding female performance classical クラシック部門女性ダンサー賞(若手もしくは発展途中のダンサー、バレエ、フラメンコ、カタックなど伝統的な舞踊言語をベースとしたダンススタイルが対象)

Nancy Osbaldeston (for the ballerina in Petrushka for English National Ballet) ナンシー・オスボールデストン(「ペトルーシュカ」バレリーナ役、ENB)
Cira Robinson (in War Letters for Ballet Black) シーラ・ロビンソン(「War letters」バレエ・ブラック)
Akane Takada (for Olga in Onegin for Royal Ballet) 高田茜 (「オネーギン」オルガ役 ロイヤル・バレエ)
Yuan Yuan Tan (in RAkU for San Francisco Ballet) ヤンヤン・タン (「RAKU」サンフランシスコ・バレエ)


Outstanding male performance classical クラシック部門男性ダンサー賞(同上)

Jeffrey Cirio (in Plan to B for Boston Ballet) Jeffrey Cirio (「プランB」ボストン・バレエ)
Israel Galvan (for flamenco performances at Sadler's Wells) イスラエル・ガルバン(サドラーズウェルズでのフラメンコ公演)
Nicolas Le Riche (in Le Jeune Homme et la Mort for English National Ballet) ニコラ・ル=リッシュ(「若者と死」ENB)
Brian Maloney (for Bratfisch in Mayerling for Royal Ballet) ブライアン・マロニー(「マイヤリング」ブラットフィッシュ役、ロイヤル・バレエ)


Outstanding female performance modern モダン部門女性ダンサー賞

Julie Cunningham (in New Works 2012 for Michael Clark Company) 
Rocío Molina (in Danzaora at Sadler's Wells)
Clemmie Sveaas (in Witch-Hunt for Bern Ballett)
Hannah Vassallo (for Aurora in Sleeping Beauty for New Adventures) ハンナ・ヴァサロ (「眠れる森の美女」オーロラ役、ニューアドベンチャーズ)


Outstanding male performance modern モダン部門男性ダンサー賞

Nathan Goodman (in Madcap for Richard Alston Dance Company)
Christopher Marney (Count Lilac in Sleeping Beauty for New Adventures) クリストファー・マーニー (「眠れる森の美女」リラ伯爵役、ニューアドベンチャーズ)
Liam Riddick (in Buzzing Round the Hunisuccle for Richard Alston Dance Company)
Paul White (in The Oracle for Meryl Tankard)


Best independent company ベスト・インデペンデント・カンパニー賞

bgroup 
Ballet Boyz the Talent バレエ・ボーイズ
New Movement Collective 
Shobana Jeyasingh Dance

「Outstanding Female Performers/Male Performers が若手もしくは発展途中のダンサーを対象にしているというのに、ベテランのヤンヤン・タンとニコラ・ル=リッシュがノミネートされているのが謎なのですが、英国の批評家たちは彼らを知らなかったのかもしれませんね。

2013/11/07

アレッサンドラ・フェリの舞台復帰「シェリ」/追記

2007年に引退したアレッサンドラ・フェリが、NYで舞台に本格的に復帰します。

今年の11月19日に初日を迎えるオフ・ブロードウェイの舞台「シェリ」にフェリは主演します。映画化もされているコレットの有名な小説をバレエ化したこの作品で、彼女は高級娼婦レアを演じ、その30歳年下の恋人を演じるのは、ABTのエルマン・コルネホ。振付・演出は、ABTやNDT、ジョフリー・バレエ、マーサ・グレアム・カンパニーなどにも振付をしていた振付家・演出家のマーサ・クラーク。脚本は、オビー賞を受賞しアカデミー賞にもノミネートされたエイミー・アーヴィング。

http://youtu.be/6nbk1tmH3rg

この動画を見る限りでは、50歳となったフェリは以前と少しも変わっていなくて、相変わらずのしなやかな踊りを見せてくれています。

http://www.signaturetheatre.org/tickets/production.aspx?pid=3099

ここではリハーサルの写真なども見ることができます。

こちらの記事によれば(「BALLET2000」誌の記事の引用)、フェリは今年6月にイタリアのスポレート・フェスティバルでThe Piano Upstairsという自身の作品を振り付けて踊り、これは海外ツアーでも踊るとのことです。
http://haglundsheel.typepad.com/haglunds_heel/2013/10/alessandra-ferris-return-to-the-stage.html

また、ミュージカルに出演する予定もあるほか、ジョン・ノイマイヤーが彼女のために新作を振りつけ、ミラノ・スカラ座で上演する計画もあるだそうです。女優Eleanor Duseの人生を描いたものになるとのこと。

こちらの記事では、イタリアで彼女が受けたインタビューの内容が紹介されています。
http://www.gramilano.com/2013/06/alessandra-ferri-returns-to-dance-the-end-of-her-marriage/

追記
公演の舞台写真がアップされています。公表につき、上演期間も延長されたそうです。とても美しいですね。
http://www.broadwayworld.com/off-broadway/article/Photo-Flash-First-Look-at-Herman-Cornejo-Alessandra-Ferri-and-More-in-Signature-Theatres-CHERI-20131125

New York Timesにフェリのインタビューが載ってます。
http://www.nytimes.com/2013/12/08/arts/music/alessandra-ferri-returns-to-the-stage-in-cheri.html?partner=rss&emc=rss&smid=nytimesarts&_r=0

また短いですが舞台の動画も。
http://www.nytimes.com/video/theater/100000002591697/excerpt-chri-.html?ref=reviews

パリ・オペラ座バレエ 昇進コンクールの結果(男子)

パリ・オペラ座バレエの恒例の昇進コンクール、11月6日に男子の審査がありました。

http://www.operadeparis.fr/actualites/Resultats-du-concours-du-ballet-artistes-hommes-janv-2014

Quadrilles

1. Hugo Marchand - promoted
2. Germain Louvet - promoted
3. Cyril Chockroun
4. Florent Melac
5. Antonio Conforti
6. Antonin Monié

Coryphees

1. Axel Ibot - promoted
2. Sébastien Bertaud - promoted
3. Alexandre Gasse
4. Adrien Couvez
5. Maxime Thomas
6. Hugo Vigliotti

Sujets

1. Pierre-Arthur Raveau - promoted
2. François Alu - promoted
3. Fabien Revillion
4. Marc Moreau
5. Daniel Stokes
6. Florimond Lorieux

プルミエに昇進したのは、ピエール・アルチュール・ラヴォーとフランソワ・アリュ。ふたりとも、昨年の「ドン・キホーテ」でバジル役を踊っていた期待の星です。ラヴォーは、パリ・オペラ座学校の2009年来日公演で主演していたので覚えている方も多いでしょう。パリ・オペラ座バレエの若手ダンサー4人を追ったドキュメンタリー番組にも出演していて注目されていたので、順当なところです。現在20歳のアリュは昨年スジェに昇進したばかりなので、トントン拍子での出世です。彼は、去年、将来を嘱望されるオペラ座の26歳以下のダンサーに与えられるカルポー賞とAROP賞も受賞していますね。

スジェに昇進したのは、アクセル・イボとセバスチャン・ベルトー。アクセル・イボは「マニュエル・ルグリと輝ける仲間たち」公演でも来日していたり、「スーパーバレエレッスン」にも出演していたので、日本でもおなじみです。セバスチャン・ベルトーは、「パリ オペラ座バレエと街歩き」 という本にインタビューが掲載されたり、日本で講習会や発表会に出演したりもしているので、彼も比較的知名度が高いです。

コリフェに昇進したのは、ヒューゴ・マルシャンドとジェルマン・ルーヴェ。ジェルマン・ルーヴェは、今年のカルポー賞に輝いています。昇進した皆様、おめでとうございます。女子の昇進試験は、9日(土曜日)に行われます。

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2013/11/06

10/19 シュツットガルト・バレエ「オテロ」  Stuttgart Ballet"Othello"

http://www.stuttgart-ballet.de/schedule/othello/

OTHELLO Damiano Petenella
DESDEMONA Miriam Kacerova
JAGO Marijn Rademaker
EMILIA Carolina Agüero a. G.
CASSIO Alexander Jones

BRABANTIO Petros Terteryan
BIANCA Alessandra Tongnoloni
DER WILDE KRIEGER Roland Havlica

LA PRIMAVERA Katarzyna Kozielska
Mariya Batman
Paula Rezende

CHOREOGRAPHY AND PRODUCTION John Neumeier
MUSIC Nana Vasconcelos, Arvo Pärt, Alfred Schnittke u.a.,
WORLD PREMIERE 27. Januar 1985, Hamburg Ballett
PREMIERE AT THE STUTTGART BALLET 24. April 2008
CONDUCTOR James Tuggle

Othello_092
Foto: Stuttgarter Ballett

「オテロ」、キャスト違いで観たくなってもう一度シュツットガルトへ。直前に、エミリア役に予定されていたダンサーの体調不良により、キャスト変更があり、急きょハンブルク・バレエのプリンシパル、カロリーナ・アギュエロがゲスト出演することとなった。

この日のオテロ役は、ダミアーノ・ペテネッラ。ミラノ・スカラ座出身のイタリア人ベテランソリストで、普段は「オネーギン」のグレーミン、「ロミオとジュリエット」のティボルト、「白鳥の湖」のロットバルトなどキャラクター寄りの役を演じることが多い。長身で渋いハンサム、演技力に定評のある彼は、オテロ役にうってつけだと言える。オテロは人々の尊敬を集める将軍であるが、その役にふさわしい威厳と気品を持ちあわせていた。デスデモーナ役のミリアム・カチェロワもベテランのデミ・ソリストで、すらりと長身、落ち着いた雰囲気を持つダンサー。そういうわけで、ファーストキャストのジェイソン・レイリーとアリシア・アマトリアンとは打って変わって、成熟した大人のカップルに見えた。アリシアが演じるデスデモーナは少女のようで、天真爛漫さや奔放さを感じさせたのだが、ミリアム・カチェロワだと、そういった部分は感じられない。その分、二人の愛のシーンはより痛切に感じられ、またオテロの疑念が焚き付けられて二人の気持ちにすれ違いが出てくるところは、より切なく、痛ましいものだった。(余談だけど、「鏡の中の鏡」のパ・ド・ドゥでオテロの腰に巻き付けられた白い布がはずされるところ、ペテネッラのお尻が一番形が綺麗だと感じた)疑念が高まるあまり、ついにデスデモーナを殺してしまうオテロ、その行為に至るまでの苦悶も、ペテネッラが一番苦しんでいたように感じられた。横たわるデスデモーナの遺体の横で呆然と佇む姿にも、思わず胸が締め付けられた。

エミリア役が、ハンブルグ・バレエからのゲスト、カロリーナ・アギュエロ。急遽の出演となり、一度の通し稽古と一度のゲネプロだけで本番に臨んだと聞いた。だが、さすがはノイマイヤーのバレエ団でこの役を演じてきただけあって、インパクトの強い熱演を見せてくれた。エミリアもかなり複雑なキャラクターで、デスデモーナの侍女であるにもかかわらず、夫イアーゴにそそのかされて彼女を裏切ることになる。エミリアは、イアーゴにDVとしか言いようがない虐待を受けているにもかかわらず、ある意味支配されることに喜びを感じてしまい悲劇の引き金を引く。ところが、カロリーナが演じたエミリアは、自分の意志を持った強い女であり、イアーゴの脅迫にもかなり抵抗する。アルゼンチン出身のカロリーナは、スペイン語でイアーゴとやりとりをするのだが、ラテン女の激しさが出ていて、イアーゴに歯向かった挙句にねじ伏せられてしまうところがよく出ていた。そしてイアーゴを演じたマライン・ラドマーカーも、2週間前に共演したミリアム・サイモン相手とは違った演技を見せた。エミリアが強く出ている分、彼もより容赦のない、暴力的で抑圧的な人物として描かれ、怒りの炸裂も鮮烈で、純粋な悪としての存在感が圧倒的だった。

このように、相手役が変わっただけでもガラリと違った作品となるのが、ノイマイヤー版「オテロ」の醍醐味の一つである。5人の兵士たちは他日の公演とほぼ同じキャストであるが、男性ダンサーのレベルの高いシュツットガルト・バレエらしく、若々しく、荒々しく、時にはエロティックな存在として、エキゾチックながらも無国籍なイメージの作品世界を作り上げるのに大いに貢献していた。


2013/11/05

NYCB(ニューヨーク・シティ・バレエ)のドキュメンタリーcity.ballet公開

ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)のドキュメンタリー、city.balletが11月4日にWeb上で公開されました。1本が6~8分の長さで全12エピソードに加え、メイキングやインタビュー映像などの特典映像もあります。

http://on.aol.com/show/cityballet-517887470/episode/517995636

NYCBのボードメンバーで、かつてはシンシナティ・バレエの団員だった女優、サラ・ジェシカ・パーカーがプロデュースしたこのシリーズ。彼女の持つ製作会社が制作し、彼女自身がナレーションも担当しています。

「アプレンティス(準団員)」や「コール・ド・バレエ」「ソリスト」「プリンシパル」などカンパニー内ランクの話から始まり、「パートナーリング」「怪我」「白鳥の湖」「男性ダンサー」といった切り口、さらには、「犠牲」「人間関係」など、バレエそのものより、バレエダンサーの人生についてのエピソードもあります。例えばバレエ団内の恋愛関係、家族(NYCBには、ミーガン・フェアチャイルドとロバート・フェアチャイルドなど、兄弟団員が3組います)、家族や子供を持つ決断、バレエのために犠牲にしたこと、引退した後の人生について、などです。芸術監督ピーター・マーティンス、そして様々なランクの団員のインタビュー映像が登場します。日本でお馴染みのアシュレー・ボーダー、ホアキン・デ・ルース、サラ・マーンズなども。

ボーナス映像、舞台メイクやトウシューズについての話も大変興味深いものでした。特にサラ・ジェシカ・パーカーがシューズ部門の担当者にインタビューしたところは面白いです。年間8500足ものポワントを購入するそうですから…。ぜひ字幕付きで日本でも放映できたらいいなと思います。

この番組の狙いとしては、バレエ・ダンサーがいかに凄くて大変な仕事であるかということもありますが、そのような厳しい仕事についている彼らも一人の人間であり、時には私生活も映すことによって、より親しみを持てる存在として幅広い層に知ってもらえるようにする、というのがあるように感じられました。その分、バランシン作品がこのバレエ団でどれほどの重要性があるのか、そしてテクニック等、バレエそのものについての内容は少なめになっています。まずは、バレエの世界ってどんな感じなのかを、多くの人々、特に若い人に知ってもらうのが目的の映像シリーズなのですね。

面白いなと思ったのは、ある男性ダンサーが、バレエって8割がメンタルで残り2割が肉体だと語っていたこと。メンタルが強くなければプレッシャーに晒され続け、毎晩舞台に立つ仕事はできないなと思った次第でした。

こちらのWSJの記事によれば、組合との関係でホームグラウンドのDavid H. Koch Theaterでの撮影は少ししかできず、本来バレエ団の休日である月曜日に撮影が行われたとのことです。

今も随時、ボーナス映像が続々と追加されています。サラ・ジェシカ・パーカーがピーター・マーティンスにインタビューしたり、衣装セクションの話など。

http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304171804579119333574571584






2013/11/04

ゆずのPV「守ってあげたい」はバレエのストーリー

ゆずの新曲「守ってあげたい」(11/13発売、両A面シングル「雨のち晴レルヤ / 守ってあげたい」)のPVはバレエがモチーフとなっています。

http://youtu.be/mNluKSM6IZQ

11月22日公開の映画「すべては君に逢えたから」の主題歌なのだそうです。
いじめられているバレエ少女とくまのぬいぐるみとの心温まる交流を描いたショートムービーです。「百万円と苦虫女」のタナダユキが監督しており、主演は二階堂ふみさん。二階堂さんは、バレエの経験があり、この撮影のために数年ぶりに改めてバレエの練習をしたとのことです。

子供時代からずっとヒロインふゆを見守ってきたぬいぐるみのクマタロが、コンクールに出場した彼女を励ますという内容にはちょっとホロリときます。

脚本・監督:タナダユキ

[出演]

二階堂ふみ

酒井彩音
クマタロ(新井希望)

加藤彩 小室咲英子 藤原凪 井上奈々

西條妃華 小川花怜 菊池麻衣

内藤瑠美 清水桃子

ウェザフォード美輝 瀬尾智美

安齋肇

[エキストラのみなさん]
風間美玖 藤田麗 前嶋優奈 白砂愛海 坪内夕起子 金澤希美­ 瀧田悠乃 飛騨風花 平井莉香子 新井沙奈 岩田摩由璃 石塚ななみ 縄田花怜 尾­花瑠海 秋山こうこ 才野彩水 鈴木恵美里 喜多萌乃 菊池凛 小川泰代 菊池美紀 ­石塚かち江 縄田瑞穂 徳永真子 林信裕 佐山優佳 西村理佐 廣坂華 戸祭朝美 李­世 得居玲那 山田実緒 佐々木あゆみ 我妻義一 榊原俊之 立松智彦 岩澤昌子 重­盛雄一郎 松倉広美 石毛裕一 佐伯啓 鈴木薫 廣木俊文 Sarina Clarke Victoria Robinson Jeremy Mazzoleni Anthony Bedard 黒沢久子

ピアノ:森貴子
振付:桜木涼介
着ぐるみ・ぬいぐるみ製作:有賀信子

撮影協力 内藤瑠美バレエスタジオ

雨のち晴レルヤ / 守ってあげたい雨のち晴レルヤ / 守ってあげたい
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2013/11/01

エトワール・ガラ2014の演目一部発表

2014/7/30(水)~8/3(日)にBunkamuraオーチャードホールで開催されるエトワール・ガラ2014。

4回めの開催となる今回は、パリ・オペラ座バレエから7人ものエトワールが出演するという贅沢な公演の、演目が一部発表されました。

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/14_gala.html

豪華な出演陣はもちろん、出演ダンサーらが自ら公演をプロデュースすることも最大の魅力の1つ。今回も、本拠地パリでも見られない貴重な共演が目白押しのゴージャスな演目が並びます。

「イン・ザ・ナイト」 In the Night

振付: ジェローム・ロビンズ 音楽: フレデリック・ショパン
出演: エレオノラ・アバニャート&バンジャマン・ペッシュ
イザベル・シアラヴォラ&マチュー・ガニオ
ドロテ・ジルベール&エルヴェ・モロー

「眠れる森の美女」より “ローズ・アダジオ” “第2幕の王子のヴァリエーション” “第3幕のグラン・パ・ド・ドゥ” Sleeping Beauty/La Belle au bois dormant

振付: ルドルフ・ヌレエフ(プティパ原振付に基づく) 音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演: エフゲーニャ・オブラスツォーワ、オードリック・ベザール、バンジャマン・ペッシュ (ローズ・アダジオ)
マチアス・エイマン(第2幕の王子のヴァリエーション)
ドロテ・ジルベール&マチュー・ガニオ(第3幕のグラン・パ・ド・ドゥ)

「マーラー交響曲第3番」 Third Symphony of Gustav Mahler/Troisième Symphonie de Gustav Mahler

振付: ジョン・ノイマイヤー 音楽: グスタフ・マーラー
出演: エレオノラ・アバニャート、オードリック・ベザール、エルヴェ・モロー
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

※本公演の演奏は録音テープを使用いたします。
※演目は2013年11月1日現在のものです。出演者の病気や怪我等、やむを得ない事情で変更となる場合があります。
※その他の演目/プログラム毎の詳細は決定次第、こちらで発表いたします。


映画館で中継された「マーラー交響曲第3番」は、オペラ座のダンサーだけでなく、ノイマイヤーお膝元の二人、アッツォーニとリアブコが出演するのが魅力。
http://www.dailymotion.com/video/xytwpv_troisieme-symphonie-de-gustav-mahler-ballet-de-l-opera-de-paris_creation

Troisième Symphonie de Gustav Mahler - Ballet... 投稿者 operadeparis

今年の12月にオペラ座で上演されるヌレエフ版「眠れる森の美女」も早速上演され、産休で現在お休みしているドロテ・ジルベールの舞台への復帰も観ることができます。ヌレエフ版「眠れる森の美女」で最も技術的に難しい2幕王子のヴァリエーションを、輝かしいテクニックを誇るマチアス・エイマンで観られるのも嬉しい。

そしてDVD「ジェローム・ロビンスヘのオマージュ」に収録されている美しい作品「イン・ザ・ナイト」。収録時には怪我で出演していなかったエルヴェ・モローの華麗な踊りが期待できます。来年3月に定年でオペラ座に別れを告げるイザベル・シアラヴォラにもまた出会えます。

出演
エレオノラ・アバニャート(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
イザベル・シアラヴォラ(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
ドロテ・ジルベール(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
バンジャマン・ペッシュ(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
マチュー・ガニオ(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
マチアス・エイマン(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
エルヴェ・モロー(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
オードリック・ベザール(パリ・オペラ座バレエ プルミエ・ダンスール)
エフゲーニャ・オブラスツォーワ(ボリショイ・バレエ プリンシパル)
シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ プリンシパル)
アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ プリンシパル)

※出演者は2013年11月1日現在のものです。出演者の病気や怪我等、やむを得ない事情で変更となる場合があります。

公演日程
2014/7/30(水)~8/3(日) 全5回公演

料金
※チケット情報等の詳細は後日発表予定です。

一般発売
2014/02/08(土)

[主催]
フジテレビジョン/Bunkamura
[企画協力]
ベルチェ・アソシエイツ

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NHKBSプレミアムで、12/15マシュー・ボーン「眠れる森の美女」マリインスキー「くるみ割り人形」放映

NHKのBSプレミアム「プレミアム・シアター」で、12月15日(日)0時(実際には月曜日)より、マシュー・ボーン振付、ニューアドベンチャーズの「眠れる森の美女」とマリインスキー・バレエ「くるみ割り人形」が放映されます。

http://www.nhk.or.jp/bs/lineup/pdf/bspremium_nextmonth.pdf

マシュー・ボーンの「眠れる森の美女」(ニューアドベンチャーズ)
音楽:チャイコフスキー
出演:ハンナ・ヴァサッロ(オーロラ)、
    ドミニク・ノース(レオ)、
    クリストファー・マーニー(ライラック伯爵)、
    アダム・マスケル(カラボス、カラドック)ほか
振付:マシュー・ボーン

マリインスキー・バレエ「くるみ割り人形」
音楽:チャイコフスキー
出演:アリーナ・ソーモア(クララ)
    ワレリー・シクリャーコフ(王子) ほか
    マリインスキー・バレエ団
振付:ワシーリー・ワイノーネン
管弦楽:マリインスキー劇場管弦楽団
指揮:ワレリー・ゲルギエフ

マシュー・ボーンの「眠れる森の美女」は現在アメリカツアー中ですね。DVD/Blu-rayが発売されたばかりで買ったのですが、まだ観ていません。早く観なくては。

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http://youtu.be/VikwwOcRONw


マリインスキーの「くるみ割り人形」は再放送で、こちらもDVD/Blu-rayが発売されています。

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なお、 12月22日の「プレミアムシアター」と、その週はミラノ・スカラ座のオペラが集中的に放映されます。

12月22日(日)
ミラノ・スカラ座シーズン開幕公演
歌劇「椿姫」(ヴェルディ)
出演:ディアナ・ダムラウ (ヴィオレッタ)、
    ピオトル・ベツァラ (アルフレード)、
    ツェリコ・ルチェチ(ジョルジョ・ジェルモン)、
    ジョゼッピーナ・ピウンティ(フローラ)  ほか
合唱:ミラノ・スカラ座合唱団
管弦楽:ミラノ・スカラ座管弦楽団
指揮:ダニエル・ガッティ
演出:ディミトリ・ツェルニアコフ

12月23日(月)
華麗なるオペラの世界
ミラノ・スカラ座~生誕200年 ヴェルディ&ワーグナー~
「ナブッコ」

12月26日(木)
華麗なるオペラの世界
ミラノ・スカラ座~生誕200年 ヴェルディ&ワーグナー~
「トリスタンとイゾルデ」

12月27日(金)
華麗なるオペラの世界
ミラノ・スカラ座~生誕200年 ヴェルディ&ワーグナー~
「神々の黄昏」

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