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2013/11/29

映画館中継 ボリショイ・バレエ「スパルタクス」Bolshoi Ballet Spartacus

ボリショイ・バレエ「スパルタクス」
http://www.theatus-culture.com/bolshoi/movie/
20 october 2013
http://www.bolshoi.ru/en/performances/47/roles/#20131020190000

Spartacus, Leader of the Gladiators Mikhail Lobukhin ミハイル・ロブーヒン
Crassus, leader of the roman army Vladislav Lantratov ウラディスラフ・ラントラートフ
Aegina, courtesan            Svetlana Zakharova スヴェトラーナ・ザハロワ
Phrygia, sweetheart to Spartacus    Anna Nikulina アンナ・ニクーリナ
Gladiator                 Denis Savin  デニス・サヴィン
Three Shepherds Denis Medvedev Alexander Smoliyaninov Igor Tsvirko
Four Shepherds   Vitaly Biktimirov Yegor Khromushin Anton Savichev Alexander Vodopetov
Conductor        Pavel Sorokin
音楽:アラム・ハチャトリアン
振付:ユーリ・グリゴローヴィチ
台本:ニコライ・ヴォルコフ

グリゴローヴィチの「スパルタクス」は、圧倒的なオープニングから、主要登場人物たちのモノローグを挟むという構造がよくできている。美しく切なくダイナミックなスパルタクスとフリーギアのアダージオ、ラスト、磔のキリストのようにスパルタクスが串刺しにされる衝撃的なシーン、クラッススの派手なソロと、独創的で見事な構築性のある作品であり、やはりボリショイの魅力を最も伝えるバレエである。映画館上映と去年の来日公演を反芻し、これを書いているうちに、また生で「スパルタクス」の舞台が観たくなってしまった。

スパルタクス要員として、マリインスキー・バレエからボリショイに移籍したといわれているロブーヒン。彼のスパルタクスは、想像以上に素晴らしかった。スパルタクスに必要なカリスマ性、英雄らしさ、苦悩の表現、どれをとっても一級品だったし、舞台を横切るグランジュッテもダイナミックで高く、迫力があった。奇をてらわず、必要以上に派手なものは見せず、正統派の踊りで見せてくれたところに好感が持てた。フリーギアとのパ・ド・ドゥで見せるアクロバティックなリフトもスムーズで安定していた。中でも、フリーギアに見せる優しさや包容力が彼の魅力だと感じた。休憩時間に、初演キャストのウラジーミル・ワシリエーフのインタビューがあるのだが、金髪のロブーヒンはどこか彼を思わせるところがあった。剣闘士として戦って、仲間を殺してしまった時の慟哭の表情も印象的だった。

クラッスス役のラントラートフは、ケガで降板したヴォルチコフの代役だったという。この役を演じるにはやや線が細い印象があったが、こってりとしたメイクをして傲慢な悪党らしさを出していた。クラッスス役のトレードマークである体をコの字に曲げる跳躍や連続グランドバットマンなどテクニックは軽々とこなし、スパルタクスに一度敗れてブチ切れるところでは、小物感たっぷりでヒステリックになっているのがよく分かった。

ただ、ラントラートフだと、やはり小物過ぎて明らかにザハロワが演じるエギナの迫力に対して負けているのが残念だった(あと彼は脚が短い)。ザハロワのエギナは、その女王様ぶりで久々に当たり役だといえる。実に楽しそうに、ノリノリで悪女を熱演していた。ザハロワの、あのうっとりするほどの美しい脚を色っぽく見せつけるところなどはたまらない感じで、こんな美女に色仕掛けで迫られたら、誰だってコロッと行ってしまうだろう。踊りのほうも絶好調で、グランジュッテしながらしなる脚、エシャッペの時の美しい甲、高速のシェネ、突き刺さるポワントとほれぼれする限りだ。彼女はお姫様よりこういう役のほうが実は似合うのだと新たな魅力を発見した。

フリーギヤを演じたアンナ・ニクーリナは、派手な存在ではないけれども、はかなげな外見の中にある芯の強さを表現していて、スパルタクスに寄せる一途な愛情が伝わってくる。特に3幕のパ・ド・ドゥで高々とスパルタクスにリフトされているときの姿勢の美しさは鮮烈だった。スパルタクスが死に、彼の亡骸を聖母のように抱えて「ピエタ」の姿となるときの清らかさも心に残った。

予告編
http://youtu.be/KCclcfVReUU

休憩時間のワシーリエフと広報官ノーヴィコワとのトークでも、「スパルタクス」を上演できるのはボリショイくらい(実際にはノヴォシビルスク・バレエや韓国国立バレエも上演しているものの、やはり「スパルタクス」はボリショイのトレードマークの一つ)、なぜならば、これだけ多くの踊れる男性ダンサーを取り揃えているバレエ団はほかにはないから、という話となった。映像を見てもそれは一目瞭然である。大きなボリショイの舞台で、圧倒的な迫力で大勢の男性ダンサーたちが大きく跳躍する姿には圧倒されるし、映画館の大スクリーンで観る甲斐もあるというものだ。2幕のカーテンコールで、ローマ軍側、そして反乱軍側がそれぞれ腕を上げて掛け声をあげるところや、盾を使って隊列を組むところもバレエでは他に類を見ないもので、興奮させられる。


ワシーリエフのトークでは、ヌレエフとの逸話も披露された。ヌレエフはボリショイ劇場の舞台で踊ったことはないのだが、ボリショイ劇場にやって来た時に大変うれしそうにして、リハーサル中のワシーリエフの前で靴のまま跳躍したというのだ。また、当初、ワシーリエフとマリス・リエパの初演キャストは、お互いスパルタクスとクラッスス役を途中で取り換える予定だったというエピソードも興味深かった。

しかし、去年の来日公演の時に主演していたイワン・ワシーリエフ、パーヴェル・ドミトリチェンコ、そしてスヴェトラーナ・ルンキナはもうボリショイにはいないのであった。現在ボリショイではスパルタクス役を演じられるのがロブーヒンとデニス・ロドキンしかおらず、ゲストでワシーリエフとマトヴィエンコ、さらにクラッスス役でイーゴリ・ゼレンスキーが出演していた。ボリショイの騒動はこんなところにも影を落としているのが、残念なことである。特に、この3人はそれぞれ素晴らしい演技と踊りを見せてくれていただけに。


今シーズンより、シアタスカルチャーでボリショイ・バレエの映画館上映が始まった。ただし、同じシアタスカルチャーで上映しているロイヤル・バレエと違って、上映されている映画館がイオンシネマ系列のみとなっているため、上映している映画館が辺鄙な場所にばかりあって、非常に行きにくい。都内だと、板橋、多摩センター、武蔵村山と遠いとこばかりだし、現在上映されている「眠れる森の美女」は、ほとんどの劇場で上映開始時刻が18時と、会社勤めの人が行くには無理のある時間帯だ。

日程がなかなか合わなくて、「スパルタクス」は、新国立劇場バレエ団のバレエ・リュス ストラヴィンスキープロが終了してから、家から一番近いイオンシネマみなとみらいで観たのだけど、初台から結局1時間半近くかかる場所で、冒頭少し見逃してしまった。せめてロイヤル・バレエの上映のように、新宿や品川で一回でもいいから上映してほしいと思う。日曜日の夜だったけど、みなとみらいでもあまり人は入っていなかった(品川で上映されているロイヤル・バレエは結構人の入りが良い)


これはカルロス・アコスタがゲスト出演した映像。アコスタも悪くなかったけど、今回の上映での映像でもDVD化してほしいと思う。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさん、こんばんわ

ボリショイの海賊を映画館でみました。
日曜日の夜、港北ニュータウンの映画館の2階席(3500円の席)でみたのですが、
なんと2階席は2名で、私のほかには男性が1名。ちょっと怖くなってしまいました。
1階のほうも数名。
暗い映画館で少ない人って結構怖いものがありました。
もう行きたくありません。

buminekoさん、こんにちは。

ボリショイ・バレエの映画館上映自体は素晴らしいのですが、上映館が不便な場所にあるのと、宣伝が行き届いていないのが残念ですよね。以前、ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」を観に私も港北ニュータウンのイオンシネマに行ったのですが、その時は盛況だったし、渋谷で「くるみ割り人形」を見に行ったときは満席でした。開演時間も夜7時15分と行きやすい時間だったんですよね~。もう少しその辺のことは考えてほしいとは思います。

残念!本当に残念!!時間がなくて観にいくことができなかった。

バレエ「スパルタクス」を外国バレエ団の日本公演の演目として選んで、いくつかの招聘元が客の入りの悪さに泣いたというのはご存知でしょうか?
先般のモスクワのボリショイの「スパルタクス」だけは例外のようですが、エリザリェフ版を持ってきたベラルーシ国立劇場バレエ、バージョンが誰のか忘れましたがベルリン国立バレエ(まだマラホフが来る前です)それにモスクワのボリショイと同じグリゴローヴィチ版でもノボシビルスクの劇場バレエ団が、いずれも東京での「スパルタクス」で、かなりチケットの売れ行きが良くなかったようです。以来、バレエ「スパルタクス」は、興行会社の間では「呪いの演目」と言われるようになったとか、ならないとか・・・。
映画の客席が盛況でなかったお話を見て、その話を思い出してしまいました。

ちょうちょさん、こんにちは。

この「スパルタクス」、上映されている劇場が不便な場所だったので、せっかくの素晴らしいパフォーマンスだったのですが行きにくかったのですよね。

「スパルタクス」実は入りが悪かったのですか!そうですか~。あらあら…。NYで公演をやった時は、NYはロシア人が多いこともあって、「スパルタクス」も大盛況だったようですが、なかなかそういうわけにはほかの場所ではいかないですよね。
ノヴォシビルスクといえば、最近ゼレンスキーが、ボリショイの「スパルタクス」にクラッスス役でゲスト出演したんですよね。ヴォルチコフがけがをしていて、クラッスス要員不足だったようで…。

naomiさんのおかげで思い腰を上げてみることができました。大好きなザハロワという事もあって、見て本当に良かったと感謝しています!!

はまり役のイワン・ワシリーエフがいなくなってちょっと寂しかったのですが、ロブーヒンはほんと昔のウラジミール・ワシリーエフを彷彿とさせるオーソドックスな素晴らしいスパルタクスでした。

ラントラートフのクラッスス‘小物感たっぷり’、名言です^^!!
ほんとに美女の手玉に取られて操られている彼の役作りはいい味が出ていましたね。ボルチコフの冷血な怖さとは違う怖さでした。

生スパルタクス、また見たいです!!

ずずさん、こんばんは。

先日は、「スパルタクス」の上映、ご一緒していただいて楽しかったですね。ちょっと映画館が遠いので、一人だとなかなか腰が重く、でも観に行って良かったです!

本当にザハロワは美しかったですね~。役の幅が広くなって凄いなと思いました。ロブーヒン、ラントラートフも良くて、楽しめましたね。ホント、また生で「スパルタクス」観たいです。あれはやっぱり今度はオーケストラの演奏で聴きたいですよね。

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