BlogPeople


2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« ウェンディ・ウェーランほか4人のプリンシパルがNYCBを退団予定 | トップページ | ワガノワ・アカデミー問題続報 »

2013/11/22

11/17 新国立劇場バレエ団 バレエ・リュス ストラヴィンスキー・トリプル・ビル

新国立劇場バレエ団のバレエ・リュス ストラヴィンスキー・トリプル・ビルを、別キャストでも観てみた。前日は1階前方席だったので、この日は3階センターで。観る場所を変えると、また違った見方ができるので面白い。特に「火の鳥」と「結婚」はフォーメーションの変化が見えるのが、大変興味深かった。

指揮:クーン・カッセル
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

「火の鳥」 Firebird
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
衣装:ナタリア・ゴンチャローワ
ステージング:デニズ・ボナー

火の鳥 米沢 唯
イワン王子 菅野英男
王女ツァレヴナ 本島美和
カスチェイ 古川和則

米沢さんの火の鳥は、小野さんのような細かい動きは見せなかったが、大きくて強く威厳のある鳥だった。跳躍は高く、腕の動きも柔らかく大きく、それでいて、王子と打ち解けてくると優しさと暖かさを見せた。自分の羽を一枚彼に与えるときの心の交流が見えたのが良かった。カスチェイの古川さんは、ちょっとオヤジっぽかったけど、マイレンほどの芸の細かさはない。でも背中の曲げ方とか、指の使い方はうまくて的確に表現。魑魅魍魎たちが繰り広げるおとぎ話の世界は楽しいけど、欲を言えばさらに弾けていて禍々しさが出せればもっと良かった。乙女たちのりんご投げは今日も失敗なしで完璧だった。


「アポロ」 Apollo
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
ステージング ベン・ヒューズ

アポロ コナー・ウォルシュ
テレプシコール 本島美和
カリオペ 米沢 唯
ポリヒムニア 奥田花純
レト 千歳美香子

アポロの母、レト役は千歳さん。前日の湯川さんの表現力も素晴らしかったが、千歳さんも負けず劣らず。出産の様子をここまで描いたバレエ作品ってあるのかしら。かなり強烈。産道から出てきたアポロのおくるみを剥がす二人の女性ダンサーの名前がキャスト表に載っていないのは残念。

アポロ役は、去年のマノンに続き、コナー・ウォルシュがゲスト出演。長身できれいな体つきは太陽神アポロによく合っているし、柔らかい着地、腕を伸ばしてグーパーさせたり、両腕を開いたポーズがカリスマ性を持ち美しく決まっている。一人ずつソロを披露する3人のミューズの中で、唯一ファースト・アーティストながら抜擢された奥田さんも健闘していた。詩の女神カリオペの何かを吐き出すポーズや、劇の女神ポリヒムニアのしーっと指を口に当てるポーズなど、象徴性がある振付は観れば観るほど興味深い。まさにギリシャ彫刻や建築を思わせる作品だ。


「結婚」 Les Noces
振付:ブロニスラヴァ・ニジンスカ
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
装置・衣装:ナタリア・ゴンチャローワ
ステージング:クリストファー・ニュートン クリストファー・サンダーズ

花嫁:湯川麻美子                   
花婿:福岡雄大 
花嫁の父 マイレン・トレウバエフ
花嫁の母 千歳美香子
花婿の父 輪島拓也
花婿の母 堀口純
友人 奥田花純、奥村康祐、丸尾孝子、大和雅美、福田圭吾、古川和則
ソリスト歌手:前川依子(ソプラノ)、佐々木昌子(アルト)、二階谷洋介(テノール)、塩入功司(バス)

この作品で3階席だと、オーケストラピットの中まで見えるのが大変面白い。指揮者の前、中央に4台のピアノが並べられ、奥にソロの歌手たち、左側に合唱団、右側には打楽器が配置されていた。ピアノも打楽器として使うのが「結婚」の音楽のユニークなところであるが、蓋がほぼ閉じられていたこともあり、ピアノの響きはあまり聞こえてこない。

主役二人が踊る場面が少なく、群舞が実質的な主役を務めるこの作品、正面の高い位置から観ると、打楽器やピアノの音と群舞が刻むリズムがぴったり合っているのがよくわかって、大変気持ち良い。幾何学的なフォーメーション、男女の踊りの違い、花嫁の友人たちが頭を重ねて積み上がる様子の象徴性も、メロディのような踊りを奏でるソリストたちの動きも、よりいっそう明確になる。そして最後のシーンでは、一段と高い位置で座って微動だにしない花嫁、花婿そして彼らの両親たちの前で、表情もないまま絶えずマスゲームのように踊り続ける群舞という二重構造がいかにも儀式的で祝祭的で、この様式美的な作品の魅力にどっぷりと浸かることができた。

花嫁の母千歳さんが別れの悲しみに切々と涙を流し続ける場面を除けば、登場人物たちは終始無表情なのだが、そんな中でも少女時代と家族に別れを告げ、結婚生活の不安に慄きながらも少しずつ花婿への愛を感じ始める内面の変化を湯川さんは見事に表現していた。堀口さん、輪島さんは花婿の両親を演じるには少し若すぎる印象。古川さんが唯一、10年以上前に東京バレエ団で「結婚」を上演した時にこの作品を経験しているようだ。圧倒的な音の洪水の中で、扉が開き、しずしずと扉へと歩んでいく花嫁と花婿。その奥にはベッドが見える。世継ぎを早く産み労働力を提供されるこの時代の結婚の暗黒面を感じさせるような幕切れは、なかなかぞっとしないものなのだが、ニジンスカの冷静な視線は今の時代においても新鮮だ。

変拍子や不協和音も多い特殊な音楽に合わせ、にこりともしないで首を傾げながらポワントで立ったままずっと整然と踊り続けなければならないこの作品、コール・ド・バレエの皆さんはさぞかし大変だったかと思うが、世界有数の優秀な群舞を誇るだけあって、実に見事な上演だった。新国立劇場合唱団の歌唱も素晴らしい。この劇場ならではのレパートリーとして、再演を強く希望したい。バレエファンだけでなく、クラシック音楽ファンも多く足を運んでいたようだが、これを機会に、バレエの方にも音楽ファンを沢山呼び込めるようにできれば良いと思う。

« ウェンディ・ウェーランほか4人のプリンシパルがNYCBを退団予定 | トップページ | ワガノワ・アカデミー問題続報 »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ウェンディ・ウェーランほか4人のプリンシパルがNYCBを退団予定 | トップページ | ワガノワ・アカデミー問題続報 »