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2013年10月

2013/10/31

ワガノワ・アカデミー人事に関するディアナ・ヴィシニョーワのコメント

今回の唐突なワガノワ・アカデミーの人事に関しては、多くのダンサーや関係者が戸惑いを感じているようです。

ディアナ・ヴィシニョーワも、今回のワガノワ・アカデミーの人事についての見解を表明しています。
彼女のFacebookでアップされた意見を訳してみました。(原文は英語)
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=692640967413219&id=252826048061382

「ワガノワ・アカデミーはバレエの世界において大きな意味を持っており、私個人にとっても同じです。学校そのものとは無関係の政争のために人事が行われたことを非常に残念に思い、またそれが関係者に敬意を払われない形で行われたことに対して怒りを感じています。学校の伝統を大切に思う者、ここで教える者、そして舞台の上で学校を代表し、学校で培われたバレエへの愛を広げる人々にとっても、これは共通の認識です。学校の首脳人事の変更についての必然性はなく、またサンクトペテルブルグのバレエ界においてもそのことは問題になっていませんでした。少なくとも、ワガノワ・アカデミーの校長となるには、ふさわしいアカデミックな資格を持つべきです。そして何よりも、この学校を率いるということは、壊れやすい子供たちを扱うということであり、そのリーダーには申し分のないモラルが求められます。私は、これがこの偉大なる学校の歴史の終わりではないと信じたいです」

いうまでもなく、ヴィシニョーワはワガノワ・アカデミーの卒業生です。

また、この件については、彼女は新聞のインタビューも受けています。
http://ria.ru/spb/20131030/973593864.html

このことは、多くの関係者の共通認識であるようです。しかし、この状況で声を上げるのは大変勇気のある行為であるといえるでしょう。

AFPの記事
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5jL3dUOxLZkpNUPM0V4jMlpSVHBcg?hl=en

ワガノワのスポークスウーマン、ユリア・テレピナは、アカデミーはこのニュースに非常に動揺しているとAFPに伝えました。「彼らは、人事を発表する前に学校に知らせるべきでした。ここの職員は長年ここで働いており、それは当然そうするべきでした」
前校長ヴェラ・ドロフェーワは、発表のわずか1時間前に自分が解雇されることを知ったそうです。この知らせを受けて辞任を表明した教師も数人いるとのことです。

一方、ゲルギエフは、月曜日に発表されたドロフェーワ解任の決定を絶賛しており、RIAノヴォスチ通信に、ニコライ・ツィスカリーゼを校長に起用したことは素晴らしい解決策だと語っています。今回の件は、ワガノワ・アカデミーがゲルギエフに宛てた公開書簡への報復ではないかという見方が強いようです。

コメンルサント紙は、この意外な人事は、スキャンダルに見舞われていたツィスカリーゼに新しい仕事を提供するとともに、「頑固すぎる」前校長ドロフェーワを追い出すという「一石二鳥」の解決策だと書いています。

英テレグラフ紙でも、ヴィシニョーワのコメントの件は記事になっていました。(AFP配信)
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/russia/10415329/Ballerina-Diana-Vishneva-criticises-change-at-Vaganova-Ballet-Academy.html

マニュエル・ルグリ、ウィーン国立バレエ芸術監督の契約を2017年まで延長

ノイマイヤーのハンブルク・バレエ芸術監督の契約延長の話をお伝えしたばかりですが、ウィーン国立バレエ芸術監督のマニュエル・ルグリも契約の延長をしたことが発表されました。2017年8月までが任期となりました。

http://www.wiener-staatsoper.at/Content.Node/home/staatsballett_neu/aktuelles/Manuel_Legris_Vertragsverlaengerung.de.php

2010/11シーズンにウィーン国立バレエの芸術監督に就任したルグリは、日本、モンテカルロ、ベオーグラードへのツアー、そして今年の夏のパリ公演を成功させるなど手腕を発揮しています。従来は有名なオペラ劇場の名前の裏に隠れ、ゲストスターを呼ぶことが中心でしたが、ルグリはカンパニー全体の底上げを実現させ、観客動員も増加させました。2015年8月までの任期となっていたのが、2年間延長されたということになります。

http://www.leparisien.fr/flash-actualite-culture/ballet-national-de-vienne-le-francais-manuel-legris-prolonge-30-10-2013-3271907.php

英語の記事もAFPで配信されてました。
http://www.globalpost.com/dispatch/news/afp/131030/vienna-ballet-director-legris-stays-until-2017
就任初年度には、ウィーン国立バレエではなんと8本も新作を上演するなど、非常に意欲的にルグリは取り組んでいます。

2013/10/30

ジョン・ノイマイヤー、ハンブルク・バレエの芸術監督の契約を2019年まで締結

ハンブルク・バレエの芸術監督を40年間続けているジョン・ノイマイヤー。彼が2015年まで締結していた芸術監督の契約が4年延長されることになり、2019年まで続けることが火曜日に締結されました。

http://www.globalpost.com/dispatch/news/afp/131029/hamburg-extends-contract-ballet-chief-john-neumeier

現在71歳のノイマイヤーですが、あと6年間、77歳までは続けることになったということです。まだまだ創作意欲は旺盛で、今シーズンは新作「タチヤーナ」(「エフゲニー・オネーギン」のノイマイヤー版)を振付ける予定です。40年間芸術監督を続けている例は、バレエの世界ではほかに例がありません。

ノイマイヤーは、「ハンブルグでの仕事を続けることになってうれしい。4年間契約が延長されることによって、40年間の間に作り上げた作品と伝統を守ることに貢献できる」と語りました。ノイマイヤーは、ハンブルク市の名誉市民となっています。また、今年はブノワ賞で名誉賞も受賞しています。

なお、プリンシパル・ダンサーのロイド・リギンスが2015年に副芸術監督に就任することも発表されました。

2013/10/28

ワガノワ・アカデミーの人事―ロパートキナとツィスカリーゼが就任/追記

ここ数日、マリインスキー劇場の芸術監督ワレリー・ゲルギエフがワガノワ・バレエ・アカデミーの育成方針に不満を表明し、現在アルティナイ・アスィルムラートワが務めている芸術監督に別の人物を据えようとしている動きが、ロシアのメディアを賑わせていました。

そして、今日、イズメチヤ紙の記事によれば、ウリヤーナ・ロパートキナがワガノワ・バレエ・アカデミーの芸術監督に、そしてニコライ・ツィスカリーゼが校長に就任することが、文化大臣ウラジーミル・メディナから発表されたと報道されています。ロパートキナは引退するわけではなく、引き続きマリインスキー・バレエで踊り続けるそうです。

http://izvestia.ru/news/559618

ゲルギエフは、当初、かつての大スター、イリーナ・コルパコワをワガノワ・アガデミーの芸術監督に就任させようと考えており、先月コルパコワがサンクトペテルブルグに来た際にはアカデミーに立ち寄り、また最近ではゲルギエフがニューヨークに飛んで彼女を説得しようとしていました。1980年代ににアメリカに渡り、ABTで長年バレエミストレスを務めているコルパコワは、現在80歳の高齢。ロシア時代には共産党の幹部だったという事実もあります。彼女は、ワガノワのレベルの低下は嘆かわしいと語っていたそうです。もう一人の候補が、ニコライ・ツィスカリーゼでした。

この動きに関して、ロシア語の記事をまとめたIsmene Brown氏による英語の記事がここにあります。
http://www.ismeneb.com/Blog/Entries/2013/10/27_Gergiev_attacks_Vaganova_school_amid_Kolpakova_rumours.html

もともと、ゲルギエフは、マリインスキー劇場、リムスキー=コルサコフ音楽院、そしてワガノワ・アカデミーを一つの組織に統合して、自分が統合された組織の頂点を務めようという構想がありました。さらにミハイロフスキー劇場までも傘下に収めようと考えていたようです。この構想は、劇場関係者などには反対されてとん挫していたかのように見えました。しかし、ワガノワ・アカデミーの人事に介入することによって、ゲルギエフは政治的な力を強めようとしています。

ゲルギエフは、現在のマリインスキー・バレエのニーズに合った人材を、ワガノワ・バレエ・アカデミーが生み出していないとして、アスィルムラートワを解任する動きに出たのです。ウリヤーナ・ロパートキナやディアナ・ヴィシニョーワといったスターはいるものの、それに続くスターが出てきていないと。ところが、アスィルムラートワは優れた生徒を育てるために身を捧げており、現在のマリインスキー・バレエの団員の98%はワガノワ・バレエ・アカデミー出身です。

ワガノワ・アカデミー側では、この動きに抗議し、ゲルギエフ宛の公開書簡を発表しました。
http://www.vaganova.ru/page.php?id=265&pid=265&level=1

その中で、ボリショイアカデミー出身でボリショイ・バレエのプリンシパルだったツィスカリーゼと、長年アメリカで活動してきたコルパコワは、ワガノワ・アカデミーの首脳としてふさわしくないとしています。現在のワガノワ・アカデミーの教師陣はほとんどすべてワガノワ出身で、1738年設立の帝室バレエ学校以来の長い伝統を守り抜き、アグリッピナ・ワガノワの教授法を受け継いできました。

一方で、ここ4年の間、ワガノワ出身者のマリインスキーからの流出が顕著なことも、ワガノワ・アカデミーは指摘しています。近年に限らず、スヴェトラーナ・ザハロワに始まり、ミハイル・ロブーヒン、オルガ・スミルノワ、エフゲーニャ・オブラスツォーワがボリショイに移籍したのをはじめ、ミハイロフスキー、モスクワ音楽劇場バレエ、ウィーン国立バレエ、ドレスデン・バレエなど多くのバレエ団に才能が去って行ってしまいました。それは、ひとえにマリインスキー劇場でのマネジメント上の問題によるものとしています。

また、新たに新劇場マリインスキーIIが開場したものの、リハーサル室が不足しているためにワガノワ・アカデミーのけいこ場を借りてリハーサルが行われるなど、アカデミーの授業に支障が出る事態が起きているということでした。


さらに、ゲルギエフの縁故採用が常軌を逸しているとして、マリインスキー劇場の従業員145人が彼の解任を要求する署名を行うという動きもありました。
http://top.rbc.ru/spb_sz/14/10/2013/881983.shtml


実際、マリインスキー・バレエでは特に深刻な男性プリンシパル不足に見舞われており、現在の男性プリンシパルはたったの4人。しかもイーゴリ・コールプは最近はほとんど王子役を踊っていなくて、エフゲニー・イワンチェンコも年齢による衰えが顕著となってきました。ダニーラ・コルフンツェフは頑張っているもののすでに40代であり、若いプリンシパルはウラジーミル・シクリャーロフただ一人となっています。ワガノワ・アカデミーが指摘したように、ワガノワ卒業の優秀な生徒が他のバレエ団へと行ってしまう例も増えていて、カンパニーのレベルの低下は否めないところです。

こちらも、ツィスカリーゼのアカデミー校長を報道する記事です。
http://ria.ru/spb/20131028/973069558.html

6月30日にボリショイ劇場との契約を打ち切られたツィスカリーゼは、ボリショイ劇場のウリン総裁に、引退公演として大晦日に「くるみ割り人形」に主演することを提案されましたが、もう踊る意欲はなくなったとして断ったそうです。現在のワガノワ・アカデミーの校長は2004年より現職のヴェラ・ドロフェーワですが、その地位を彼が引き継ぐそうです。そして、アルティナイ・アスィルムラートワの後任である芸術監督にロパートキナが就任することになります。

教師として優れた手腕を持つと評判ではあったものの、ワガノワ・アカデミー出身ではないツィスカリーゼが、ワガノワの校長に就任するというのは、いったいなんなんでしょう…。

**********
日本語の記事も出ました。
名門バレエ校長に=ボリショイ劇場内紛で解雇のダンサー-ロシア
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013102800945&g=int

Isemene Brown氏のブログで、ツィスカリーゼのインタビューが紹介されています。
http://www.ismeneb.com/Blog/Entries/2013/10/28_Tsiskaridze__schooling_needs_to_be_as_good_as_Soviet_times.html

この件につき、初めて話が出たのは2012年9月のことだったそうです。ツィスカリーゼは、法律をモスクワ大学のロースクールで学んでおり、この経験も今回の人選において考慮に入れられたとのことです。

ツィスカリーゼは、マリインスキー・バレエとワガノワ・バレエ・アカデミーが統一した組織になることに賛成しており、ワガノワでは学んでいないものの、ロシア・バレエの継承者として自負しており、ソ連時代のバレエの教育水準が維持されるべきと語っています。(彼の師の一人は、ワガノワで学んだ名教師の故マリナ・セミョーノワであり、またもう一人の師故ピョートル・ペストフは、ヌレエフやバリシニコフを教えたワガノワの伝説的な教師プーシキンの教え子だった) ロシア・バレエの教育は間違いなく世界一であり、他の国からの品質保証は必要としないと。

なお、現ワガノワ・アカデミーの芸術監督、アスィルムラートワおよびワガノワで教えている夫君コンスタンティン・ザクリンスキーの今後については、まだ未定のようです。現校長のヴェラ・ドロフェーワについては、ミハイロフスキー・バレエの副芸術監督に就任することが内定しているとのことです。

オランダ国立バレエのガラ映像配信

今年㋈7日に行われたオランダ国立バレエのガラ公演の映像がオンラインで視聴できます。全部で59分ほど。

http://www.uitzendinggemist.nl/afleveringen/1375883

このガラ公演のプログラムはここで見ることができます。ただし視聴できるのは全演目ではありません。インタビュー映像もあります。

http://www.het-ballet.nl/media/library/2013/09/Gala_PB_web.pdf

注目は、オペラ座からマチアス・エイマンがゲスト出演し、ユルギータ・ドロニナと「グラン・パ・クラシック」を踊っていることです(この中の映像では一番手、3分過ぎに見られますが、ヴァリエーションはなくてアダージオとコーダのみ)。また、マライン・ラドマーカーが、「マラーホフの贈り物」でも踊ったソロ「ギルティ」を踊っています。もちろん、マシュー・ゴールディングも登場して「ドン・キホーテ」をアンナ・ツィガンコワと披露しています。

Jurigita Doronina and Mathias Heymann "Grand Pas Classique"
Marijn Rademaker ”Ssss” (Edward Clug)
Remi Wortmeyer and Maia Makhateli "Tchaikovsky Pas de deux"(George Balanchine)
Company "Overture"(David Dawson)
Igone de Jongh and Jozef Varga, Matthew Golding and Anna Tsygankova "Variations for two couples" (Hans van Manen)
Junior Company "Lollapalooza" (Ernst Meisner) .
Vito Mazzeo "Five Tangos" (Hans van Manen)
Matthew Golding and Anna Tsygankova Don Quixote (Alexei Ratmansky)
Larissa Lezhnina and Artur Shesterikov "In Light and Shadow" (Krzystof Pastor)


今度井上バレエ団の「くるみ割り人形」に出演するレミ・ヴォルトマイヤーが、マイア・マッカテリと「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」を踊っていますが、彼はなかなか良いですね。

また、今シーズン新しく誕生したジュニア・カンパニーのメンバーがエルンスト・マイズナーの作品を踊っていますが、その中にドキュメンタリー映画「ファースト・ポジション」に出演したミケーラ・デ・プリンスもいます。

タマラ・ロホ出演のポール・マッカートニーPV、エドワード・ワトソン出演のPV

ポール・マッカートニーの新アルバム「NEW」の収録曲「クイーニー・アイ」のプロモーションビデオには、数々の有名人が出演しています。

ジョニー・デップ、メリル・ストリープ、ケイト・モス、ジュード・ロウ、ショーン・ペンなど。収録はアビー・ロード・スタジオで行われました。スタジオでピアノを弾きながら歌うポールのまわりに人が増えていき、それぞれが思い思いのポーズで一緒に歌い、踊っています。その中で、タマラ・ロホも出演して、とてもセクシーなダンスを披露しています。タマラの登場は1分22秒ごろからで、有名人の中でも3番目の登場とかなり早いほうです。

http://youtu.be/5CfLUmVso30


一方、ロイヤル・バレエのエドワード・ワトソンは、英国の人気ロックバンド、ザ・フィーリングの4枚目のアルバムからの曲「Boy Cried Wolf」のプロモーションビデオに出演しています。こちらは、全面的にエドワードのしなやかな踊りをフィーチャーしたもので、振付けは、彼が主演した「変身」も振付けたアーサー・ピタ。口パクもしているのでまるで彼が歌っているかのよう。

http://www.theguardian.com/artanddesign/2013/oct/26/edward-watson-the-feeling-video


ついでといっては何ですが、すでに話題になっていて見た方も多いでしょう。東京ガスの「ガスの仮面」のキャンペーン、とっても面白いですよね!エピソード2まで公開されています。サイトでは、CMのアフターストーリー映像も公開されています。
http://cp.tokyo-gas.co.jp/

12月のバレエ本公演に向けてバレリーナ、舞の成長する物語が全5話で展開されるそうで、続きがとても楽しみです。竹野内豊さんの素晴らしいグラン・パ・ドシャは誰が吹き替えているのでしょうか。井脇幸江さんのブログによれば、井脇さんもどこかで出演されているそうですし、新国立劇場バレエ団のダンサーも出ているようです。

2013/10/26

10/23 ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)2013 Bプロ

10月23日(水)19:00 Bプロ Bunkamuraオーチャードホール

http://nycb2013.jp/

指揮:ダニエル・キャプス
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

SWAN LAKE 「白鳥の湖」 バランシン版
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
Reichlen, T. Angle, LeCrone, Lowery, Dieck
オデット:テレサ・ライクレン、王子:タイラー・アングル
ミーガン・ルクローン、ザヴァンナ・ロウェリー
ロットバルト:キャメロン・ディーク

http://youtu.be/Y9Q_Xb8nmAU

バランシン版「白鳥の湖」は、2幕を中心に4幕も組み合わせた1幕物、40分ほどの作品で初演は1951年、今回が日本初演。オデット以外の白鳥はすべて黒鳥となっているが、バランシン存命中は白鳥で彼が亡くなった後変更された。亡くなる前に、バランシンが黒いモスリンを400ヤード購入していたことが変更のきっかけだという。

ユニークなのは衣装だけではない。ベースこそ本来のイワーノフ振付をなぞったものであるものの、オデットの振付ひとつとっても白鳥的なものはあまりなく、アン・ドゥダンのフェアテを入れたりバランシン的だ。それにも増して30人のコール・ドの動きが個性的。とても白鳥とは思えない動きをしながらフォーメーションを変幻自在に変化させる。黒いチュチュ、しかも少しだけ長いものであることから、白鳥の純粋な姿というよりは、ロットバルトの手下のように見えて、オデットと王子が愛を奏でると邪魔をしようとする。また、10人の王子の友人が登場するのだが、なんとこの友人たち一人一人に、2人ずつ黒鳥が寄り添って踊るという場面まであるのだ。2幕の曲を使っていたと思えば、通常4幕で使われる曲(セルゲイエフ版の4幕で使われている音楽など)で群舞が行われ、そして「大きな白鳥」の曲で王子がソロを踊る。ロットバルトは終盤に申し訳程度に登場するのみで、最後は、オデットは2幕のときのように、ロットバルトに操られるように去っていき、王子が取り残される。コール・ドのダンサーたちは腕がとてもたくましくて肉感的。しかし細かいステップ満載の振付なのに、足音がほとんどしないところは素晴らしい。オデットは、当初マリア・コウロスキーが踊る予定だったのが、テレサ・ライクレンに変更。ライクレンは金髪で長身、腕も脚も長くて美しいけど、オデットの儚さはなかった。でも、この振付では儚さは表現できないだろう。いわゆるプティパ/イワーノフ版「白鳥の湖」を期待すると裏切られるが、全くの別物と考えて観れば大変面白い作品だ。王子のタイラー・アングルは、ちょっとウィリアム王子系だった。


THE FOUR TEMPERAMENTS 「フォー・テンパラメンツ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:パウル・ヒンデミット
Theme
1. Arthurs, Catazaro,
2. King, Peiffer,
3. Laracey, J. Peck,
First Variation Melancholic
Suozzi,
Second Variation Sanguinic
A. Stafford, Danchig-Waring
Third Variation Phlegmatic
la Cour
Forth Variation Choleric
Bouder
[Solo Piano: Walters]

テーマ
1.フェイ・アーサーズ、ザハリー・カタザーロ
2・ローレン・キング、アレン・ピーファー
3・アシュリー・ララシー、ジャスティン・ペック
憂鬱 ショーン・スオッツィ、
快活 アビ・スタッフォード、エイドリアン・ダンチグ・ワーリング
無気力 アスク・ラ・クール
いらだち アシュリー・ボーダー

バランシンの「ブラック・アンド・ホワイト・バレエ」。こういうモダンな演目を上演すると、NYCBは本当にうまい。ヒンデミットの音楽を奏でるピアノの音にぴったりと寄り添う踊り。「憂鬱」のショーン・スオッツィが切れのあるソロを見せてくれた。男女のパ・ド・ドゥ中心の「快活」、男性一人に4人の女性の「無気力」、そして女性一人とアンサンブルの「いらだち」。最後に登場したアシュレー・ボーダーが、さすがの音感の良さとみなぎるパワーでひときわ光っていて、吸引力が強烈だった。この演目は、6月にシュツットガルト・バレエでも観ているのだけど、同じ作品でも違ったように見える。シュツットガルトの方がドラマティックな作品に感じられた。NYCBが連れてきたピアニストによるピアノ演奏も見事だった。


SYMPHONY IN C 「シンフォニー・イン・C」
FIRST MOVEMENT: M. Fairchild, Veyette; ミーガン・フェアチャイルド、アンドリュー・ヴェイエット
SECOND MOVEMENT: Mearns, J. Angle; サラ・マーンズ、ジャード・アングル
THIRD MOVEMENT: Pereira, Carmena; エリカ・ペレイラ、アントニオ・カルメナ
FOURTH MOVEMENT: T. Peck, Huxley タイラー・ペック、アンソニー・ハクスリー

バランシンの作品の中でも最も好きな作品の一つが「シンフォニー・イン・C」。新国立劇場バレエ団のレパートリーでもあるし、最近ではロイヤル・バレエの来日公演のガラで最終楽章が踊られた。新国立劇場バレエ団が踊ると、とてもクラシカルでエレガントで、ぴったりそろえた群舞も見事だったのだが、NYCBの「シンフォニー・イン・C」はまた別の味わい。バランシンって、クラシックのテクニックは使っているけど、クラシックとは違うのだと実感。まずダンサーたちの音楽性が素晴らしくて、まさに音楽の舞踊化そのもの。音符が舞っているのが見える感じだ。ダンサーたちの体つきはしっかりしていて、くっきりと音楽を表現していた。一斉に女性ダンサーたちがグラン・バットマンを決めるところも気持ち良い。第一楽章のミーガン・フェアチャイルドは、かわいらしいダンサーで、ポーズを音に見事に合わせて取り、決めるところでは微動だにしない。テクニックの強さを伺わせる。第二楽章のサラ・マーンズは、とても大柄で胴回りも太めなのだが、抒情的な音楽に合わせた高貴な雰囲気があって優雅だった。第三楽章のエリカ・ペレイラは、この中では若手のようで、元気の良さが光り、パートナーのアントニオ・カルメナは明るい笑顔がまぶしく、はつらつとしていて好感度が高い。そして最終楽章のペアは、パートナーシップという意味では一番。フィナーレで50人余りの出演者が舞台に立ち、スワロフスキー・クリスタルがきらめくチュチュを着て見事に音楽を奏でる様子はまさに圧巻だった。4楽章の女性ダンサーたちが一斉に回転するところも、実力が拮抗していてきっちりと合っていた。これぞまさに至福の時。そしてこれだけのダンサーたちが踊っているのに、足音もあまり大きくないところが、足音に対してうるさいバランシンの精神が引き継がれているようだった。

4年前の前回の来日公演と比較して、世代交代は進んでいるが、一層ダンサーたちのレベルが上がっているように感じられた。特に女性ダンサーたちは、ヨーロッパやロシアのカンパニーにいるようなほっそりした人は少なくてみなたくましいのだが、技術がとても高くてエネルギッシュ。それと比較すると、男性ダンサーに個性のある人が少なく感じられたのだが、バランシン自身が、バレエは女性のものだというポリシーを持っていたので致し方ないのかもしれない。

また、音楽に対するカンパニーのこだわりの高さは伺っていたが、実際、カンパニーが指定したという新日本フィルの演奏も素晴らしく、指揮者、パーカッション、ピアニストも複数帯同して作り上げられた舞台のクオリティは、見事としか言いようがない。(「ウェストサイド・ストーリー組曲」のために歌手も数人来日していた)普段のバレエ公演も、これくらいの演奏で観られたらいいのに、としみじみ思った。

今回は、Aプロの「ウェストサイド・ストーリー組曲」(ロビンス振付)以外はすべてバランシン作品で、バランシンのカンパニーとして非常に正しい姿ではあったと思うし、粒ぞろいの演目を持ってきてくれてとても贅沢だった。一方で、NYCBは、ソリストのジャスティン・ペックや、元専任振付家のクリストファー・ウィールダン、さらにはラトマンスキーらの作品、さらにはカンパニーに振付機関を設けて若手振付家の育成にも積極的だ。イリ・ブベニチェクやダグラス・リーなどもここで作品を振りつけている。バランシン以外の作品も少し観てみたかった気がする。前評判の高さから、チケットの売れ行きも大変良くて初日はソールドアウト。公演数がもう少しあって、土日の公演もあったらさらに良かったと感じた。次回の来日公演が近い将来に行われ、公演数も増えているといいな、と思う。スタイリッシュで現代性の高いNYCBは、バレエファン以外にも強くアピールするから、ますますそう感じるのであった。実際、観客席はいつものバレエ公演と比較して、男性客の比率が高かったように思えた。

2013/10/25

マリア・アイシュヴァルトとフィリップ・バランキエヴィッチが退団/追記(確定情報)

これは確定情報ではないのですが、こういう話が流れているということで、ご参考までに掲載します。

Ballet.coフォーラムで、シュツットガルト在住のジャーナリスト、アンジェラ・ラインハルト氏が、マリア・アイシュヴァルトとフィリップ・バランキエヴィッチが今シーズン限りでシュツットガルト・バレエを退団すると書いています。ラインハルト氏は、地元の新聞で舞踊評を書いていたり、ドイツのTanz誌などに記事を書いており、ガセネタであるとは考えにくいので、ここにも転載しました。

アイシュヴァルトは、バレエのノーテーション(舞踊記述法)を現在学んでおり、バランキエヴィッチはバレエ教師になる予定だそうです。二人とも、退団後もフリーランスで舞台に立ち続けるとのことです。

マリア・アイシュヴァルトもフィリップ・バランキエヴィッチも、来日公演や世界バレエフェスティバルへの出演で日本でも人気の高い、カンパニーを代表する実力派ダンサーです。最近本拠地での出演機会は減っているとはいえ、まだまだカンパニーの中核ダンサーとして活躍していたので、驚きました。

シュツットガルト・バレエは最近特に若手ダンサーを積極的に登用している傾向が高く、21日の「オテロ」公演では、入団2年目、まだ20歳のデミ・ソリスト、コンスタンティン・アレンがオテロ役を演じ、終演後、2段階昇進でプリンシパル昇進が決まったとのことです。世代交代の波が押し寄せているということでしょうか。

なお、11月にはシュツットガルト・バレエはロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で公演を行いますが、アイシュヴァルト、バランキエヴィッチともども「じゃじゃ馬馴らし」に主演する予定です(出演日は未発表)。なので、彼らのファンはここで観るのもよい機会なのではないかと思います。


10/31追記

アイシュヴァルト、バランキエヴィッチ、およびソリストのオイハネ・ヘレーロの退団に関する記事が出ました。

http://www.der-neue-merker.eu/stuttgart-maria-eichwald-oihane-herrero-und-filip-barankiewicz-auf-neuen-wegen

マリア・アイシュヴァルトは2004年にシュツットガルト・バレエにプリンシパルとして入団しました。彼女は2012年より、RAD傘下の英国のノーテーション専門機関であるベネッシュ・インスティチュートにて舞踊記録法を学んでおり、2015年に修了する予定です。「今は、私のバレリーナとしての人生の後のキャリアにより集中する時期が来ました。私は踊ることを愛しており、勉強と教えと並行しながら機会があればフリーランスとして踊り続けたいと思っています」

フィリップ・バランキエヴィッチは、1996年、リード・アンダーソンが芸術監督に就任した年に入団し、2002年にプリンシパルに昇進しました。「素晴らしい年月を過ごすことができ、たくさん踊ることができました。自分が夢見ていたすべての主役を踊ることができました。私が方向転換する時が来たようです。教師として、そして振付家として自分の知識を伝えていきたいと思っています。これらの経験を積む一方で、フリーランスのダンサーとして踊り続けます」

オイハネ・ヘレーロはジョン・クランコ・スクールを卒業して1997年に入団しました。10月31日をもって退団しダンサーを引退しました。現在36歳の彼女は、ジャイロトニックの教師としての勉強を始めます。「私の体は、バレエシューズを脱ぎ捨てる時が来たというサインを出しました。長いこと踊り続けていて、新しいことを始めたいという気持ちになっています。この年月の間に自分の体で経験してきたことを、多くの人々、ダンサーだけでない人々に伝えていきたいと思います」

芸術監督のリード・アンダーソンは3人のアーティストを讃えました。
「マリア・アイシュヴァルトは、シュツットガルト・バレエに素晴らしい舞台の瞬間を届けてきました。その優れた音楽性とクリアなラインによって、観客をいつも魅了してきました。オイハネ・ヘレーロは、長年の間、信じられないほど多くの役柄にベストを尽くし、その優れたパーソナリティによって多くの作品に豊かさをもたらしました。フィリップ・バランキエヴィッチは、あらゆる意味において、私たちのダンサーのためのお手本となるべき人です。高いプロ意識、働き者で、ステージ上での存在感が大きく、多くのパートナーに心を配り、そして何よりも、完璧なジェントルマンです。私たちは3人がいなくなることをとても寂しく思うとともに、彼らがシュツットガルト・バレエ、特に本拠地のみならず世界中の観客たちにもたらしたものに対して心からのお礼を申し上げたいと思います。それは、心をこめ、そしてすべてを捧げて踊られた、最高のレベルの踊りでした」

2013/10/24

ARCHITANZ 2014 2月/3月公演 

国内外の有名講師を招聘しているバレエスタジオ、スタジオアーキタンツでは、『ARCHITANZ 2014』をプロデュースしています。2月と3月に公演が行われますが、特に2月公演では、ロバート・テューズリーの現役最後の公演となる「マノン」(マクミラン振付、酒井はなさんとの共演)が上演されますので、注目されます。

http://architanz.exblog.jp/18805098/

ARCHITANZ 2014 2月公演/3月公演 オフィシャルサイトはこちら
http://a-tanz.com/dance/architanz2014.html

<公演概要>
◆2月公演 新国立劇場 中劇場
ネオ・クラシック作品から、ポアントで踊るコンテンポラリー作品、日本の能とバリ島の音楽とを結びつけるコンテンポラリー・ダンス作品まで!
【公演日時】
2014年2月11日(火・祝)、 12日(水) 19:15開演 (18:30開場)
【会場】
新国立劇場 中劇場 [Play house]
【演目】
『マノン』より 第1幕 第2場 寝室のパ・ド・ドゥ 出演:ロバート・テュ―ズリー、酒井はな 
『火の鳥のパ・ド・ドゥ』 振付:マルコ・ゲッケ 出演:ロバート・テュ―ズリー、酒井はな 
[未定] 演出・出演:森山開次 出演:津村禮次郎 音楽・演奏:デワ・アリット
[新作] 振付:アレッシオ・シルヴェストリン 
      出演:横関雄一郎、イ・ソン、金田あゆ子、富村京子 他

◆3月公演 新国立劇場 小劇場
ARCHITANZ2011で評判となった、ウヴェ・ショルツ作品、現在話題のマルコ・ゲッケ作品をご紹介。また、香港バレエ団が、日本未公開のナチョ・ドゥアト作品を伴って、初来日公演を行います。
【公演日時】
2014年
3月20日(木)19:15(18:30開場)
3月21日(金・祝)14:00(13:30開場)
3月21日(金・祝)19:15(18:30開場)
【会場】
新国立劇場 小劇場 [The pit] 
【演目】
『The Second Symphony』 振付:ウヴェ・ショルツ 出演:酒井はな、西田佑子 アレクサンダー・ザイツェフ、ヤロスラフ・サレンコ
『Mopey』 振付:マルコ・ゲッケ 出演:酒井はな
『CASTRATI』 振付:ナチョ・ドゥアト 出演:香港バレエ団
『Boy Story』 振付:ユーリ・ン 出演:香港バレエ団

【チケット一般発売】
2013年11月1日(金)11:00より
一般発売チケット料金
<2月公演>
S席:7,800円 A席:6,800円 ペア券(S席):14,000円(2名様)
<3月公演>
S席:5,800円 A席:4,800円 ペア券(S席):9,000円(2名様)
<2月、3月公演 セット券>
S席:11,000円 A席:9,500円

公演詳細、チケットお求め方法はこちら
http://www.a-tanz.com/dance/architanz2014.html

11月1日の一般発売に先駆けて、10月25日(金)~10月31日(木)の期間限定で、アーキタンツにて先行販売を行います。
特別価格でお買い求めいただけますので、この機会に是非!

【2月/3月公演チケット、特別価格にて先行発売】
10月25日11:00より10月31日までの期間限定でスタジオアーキタンツにて先行販売を行います。(メール、お電話による受付は行いませんのでご注意下さい。)

追記:3月公演『The Second Symphony』には、元シュツットガルト・バレエのプリンシパル、アレクサンダー・ザイツェフ、そしてヤロスラフ・サレンコ(ヤナ・サレンコの兄で元キエフ・バレエ)が出演することが発表されました。
http://architanz2014.blogspot.jp/2013/11/3.html?view=classic

3月公演もとっても観たいのですが、この時期は、何しろパリ・オペラ座バレエ来日公演、新国立劇場バレエ団のトリプルビル、ピナ・バウシュヴッタパール舞踊団のコンタクトホーフ、さらにK-Balletの新作「ラ・バヤデール」と時期が重なっています。お互い、もう少し日程調整できなかったものなんでしょうかね…。

2013/10/20

新国立劇場バレエ団 小野絢子さんと福岡雄大さんがバーミンガムロイヤルバレエ「パゴダの王子」にゲスト出演

新国立劇場バレエ団 小野絢子さんと福岡雄大さんが2014年春に上演されるバーミンガム・ロイヤル・バレエ「パゴダの王子」にゲスト出演することが発表されました。

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/131020_003463.htm

 『パゴダの王子』はビントレー舞踊芸術監督が新国立劇場バレエ団のために振付した全幕バレエで、2011年新国立劇場での世界初演の際、絶賛されました。
 小野絢子は「さくら姫」役、福岡雄大は「王子」役での出演で、出演日は未定です。

小野さんと福岡さんは、バーミンガム・ロイヤル・バレエで「アラジン」が上演された時にもゲスト出演し、大変好評でした。今回もきっと評判になることと思います。日本をモチーフにしたこの作品ともども、反響が今から楽しみです。

2013/10/18

ロイヤル・バレエ「ドン・キホーテ」劇場中継 Royal Ballet Don Quixote Live Relay

ロイヤル・バレエの新制作、カルロス・アコスタ再振付「ドン・キホーテ」の映画館中継を観てきました。(シアタス・カルチャー

http://www.roh.org.uk/productions/don-quixote-by-carlos-acosta

Original Choreography Marius Petipa
Choreography Carlos Acosta
Production Carlos Acosta
Original Music Ludwig Minkus
Arrangement and Orchestration Martin Yates
Designs Tim Hatley
Lighting design Hugh Vanstone

キャスト

ドン・キホーテ クリストファー・サウンダーズ
サンチョ・パンサ フィリップ・モズリー
キトリ マリアネラ・ヌニェス
バジル カルロス・アコスタ
メルセデス ラウラ・モレーラ
エスパーダ 平野亮一

キトリの友達 崔由姫、ベアトリス・スティクス=ブルネル
二人の闘牛士 ヴァレリー・ヒストリフ、ヨハネス・ステパネク
闘牛士 エリック・アンダーウッド、フェルナンド・モンターニョ、ヴァレンティノ・ズケッティ、ダヴィッド・トレゼンシミエッチ
ジプシー・カップル/ファンダンゴ・カップル イツァール・メンディツァバル、トーマス・ホワイトヘッド
ドリアードの女王 メリッサ・ハミルトン
アモール エリザベス・ハロッド
ドルシネア クリスティーナ・アレスティス
酒場の女 クリスティン・マクナリー

本編上映前に流れた映像

http://youtu.be/D8aqXKu27gE

休憩後に流れた映像
http://youtu.be/dcPkXCAvZ3U

http://youtu.be/8xKGRD2GuJ8

本編上映前に流れた映像の最中にノイズが出たり、音が出なかったところがあるというトラブルが起きましたが、本編に関しては大きな映像上の問題はありませんでした。(イオンシネマでは映画の招待券が出たそうですが、私が見た品川ではそのような対応はなし)

さて、アコスタの再振付の大きな特徴は、ストーリーが理解しやすいように噛み砕いて説明しているシーンを付け加えていること。プロローグでドルシネアの幻が出てきたり、また2幕のジプシーの野営地でも登場して、ドン・キホーテが彼女の姿を追い求めて物語が展開するというのが伝わってきます。ただ、説明的になりすぎたために、全体的に上演時間が長くなってしまいました。休憩2回とインタビュー映像を入れると3時間15分。また、2幕ジプシーの野営地では、キトリとバジルの愛のパ・ド・ドゥに加え(音楽は「ラ・バヤデール」から使用)、ジプシーのシーンではギターの演奏によるシーンも入っているので、特に長く感じられてしまいました。他に、通常1幕ではバジルと二人のキトリの友達で踊られるパ・ド・トロワが、4人の物乞いの少年によるダンスに変更になったり、3幕、通常2つあるブライドメイドのヴァリエーションがひとつになって、キトリの友人二人で踊られるなど、細かい変更点があります。そして、これらの変更点については、成功しているとは思えない感じがしてしまいました。

ジプシーの踊りをややコンテンポラリー・ダンス的に改変したり、最後にみんなで祝福しつつ、ドン・キホーテの旅立ちをメーンに据えるところなどは、意欲的な物を感じてよかったと思います。いずれにしても、今後手を入れていけば、より良いプロダクションにはなることでしょう。

また、随所に掛け声が入ることについては、観た人の中でも賛否両論があるようです。

「ドン・キホーテ」という演目については、今のロイヤル・バレエにはとても向いている作品だと感じられました。何よりも主演の二人、マリアネラ・ヌニェスとカルロス・アコスタが素晴らしい。特にマリアネラの持つラテンの血から出てくる明るさ、幸福感あふれるキラキラの笑顔とおきゃんさはキトリにぴったり。二人の掛け合い、息もぴったりなので主役を観ているだけで幸せになれます。その上、彼女のテクニックは非の打ちどころがない完璧さ。サポートつきピルエットは7回転くらい軽く回ってしまうし、バランスもまったくぶれない回転も柔軟性もばっちりです。つま先の美しさとリズム感も特筆もの。ドルシネアを踊った時の気品あふれる様子や、ポアントで進む時の安定感、柔らかいポール・ド・ブラ、夢の女性にふさわしい美しさ。コジョカル、ロホが去った今、ロイヤルの一番の女性スターは彼女をおいてほかはないと実感したし、当代最高のキトリの一人と言えるでしょう。

カルロス・アコスタは、年齢的なこともあって観る前は大丈夫かな、と思っていたのですがそれは全くの杞憂でした。バジルにふさわしい、男らしい魅力も素敵だったし、テクニックもまったく衰えず、キューバでの教育が功を奏した正しいアカデミックで美しいバレエを踊れる人であるのが実証されました。ヴァリエーションでは方向転換などのひねりを入れるなど小技も盛り込んで技術の高さをアピールしていますが、基本に忠実なので、とても品があります。振付を担当しつつも、これだけの高い技術水準を保てるとは、どれほど日頃努力しているのだろうと思うほどでした。

エスパーダの平野さん、泥棒ひげは気になりましたが、すらりとした長身のプロポーションの良さは際立つし、スタイリッシュでセクシーで素敵でした。日本人の男性がこんなにカッコいい役をロイヤルで踊れるなんて!闘牛士たちはかなりの豪華なメンバーをそろえてありますが、その中でも断然際立ちます。2幕、3幕ではグリーンの衣装にピンクの靴下という頭が痛くなりそうな色合わせでしたが、それすら着こなしてしまう。メルセデスのラウラ・モレーラもちゃきちゃきで確実なテクニック。キトリとメルセデスがテーブルの上に乗ってダンス合戦を繰り広げるところがありますが、ラウラもしっかりとした存在感があります。なぜ今回、彼女がキトリ役にキャスティングされなかったのが、不思議。

二人の友達は、崔由姫さんと、ベアトリス・スティクス=ブルネル。ユフィさん、とてもきれいで可愛らしくよかったです。二人並ぶと、ユフィさんの踊りのエレガンス、アラベスクの美しさが目立ちました。ベアトリスはまだ雑な感じがしてしまいます。

闘牛士グループはソリスト、ファーストソリストクラスの踊れる男性をそろえていて、見ごたえがありました。ドン・キホーテは闘牛士がカッコよくて、よく跳んでくれないと楽しくないですからね。また、4人の乞食の少年たちもよく跳んでくれるコミカルな役です。蔵健太さんがそのうちの一人なのを確認できました。

夢のシーンは、さすがにロイヤルは群舞のばらばらさが目立ってしまいます。でも、キューピッド役のエリザベス・ハロッド(スティーヴン・マックレー夫人という説明はもはや不要)は非常に魅力的で、小気味良い踊り。このプロダクションは、キューピッドもクラシックチュチュなので、踊り始めるまでは他の役と見ただけでは見分けづらいのが難点。森の女王のメリッサ・ハミルトンは古典が不得手なようで、イタリアン・フェッテは踊りきりましたが、軸がずれたり、エカルテが低かったり、今一つでした。

ロイヤル・バレエの場合、キャラクター的な役を演じる人たちが充実しているのが大きな魅力。品があって演技のうまいクリストファー・サウンダースのドン・キホーテ、小芝居が笑えたガマーシュのベネット・ガートサイド、普段のすらりとした姿からは想像できないロレンツォのギャリー・エイヴィス。ガマーシュが結局酒場の女にプロポーズしてめでたし、というサブプロットは微笑ましてくよかったです。

プロダクション自体には改善の余地はありますが、全体的なキャストは非常に充実していて、とても楽しいドン・キホーテでした。とにかく、マリアネラの魅力には心を射抜かれた、そんな舞台でした。市販映像化してほしいと願う次第です。→発売されます。

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BBC / Opus Arte 2014-04-29
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テレビ東京「ありえへん世界」22日放映でベラルーシ国立バレエの待山さん

10月22日(火)19:45~のテレビ東京「ありえへん世界」。99%行かない!?世界の秘境の国(6) 独裁国家SPということでベラルーシが取り上げられます。

http://www.tv-tokyo.co.jp/ariehen/

この番組の中で、ベラルーシ国立ボリショイ劇場バレエのソリスト、待山貴俊さんが登場する予定になっています。

待山貴俊さんは、今年のモスクワ国際コンクールにも出場し、2011年のワガノワ・バレエ学校卒業公演では「海賊」の奴隷のパ・ド・ドゥを踊っています。(DVD「ワガノワ・バレエアカデミー卒業公演~天使たちの旅立ち」に収録)オルガ・スミルノワと同じ学年ということになりますね。

テレビ東京「ありえへん世界」10月22日(火)19:45~

2013/10/17

ウィーン国立歌劇場でオペラ、バレエをインターネット中継

ウィーン国立歌劇場でオペラ、バレエをHDでインターネット中継することが発表されました。

http://www.wiener-staatsoper.at/Content.Node/home/aktuelles/neuigkeiten/Live-Streaming.en.php

第一弾は10月27日の「薔薇の騎士」。オペラ6作品、オペレッタ1作品、バレエが1作品、年内に中継されます。

バレエは12月28日上演のヌレエフ版「くるみ割り人形」。11月23日「魔笛」、12月13日「トリスタンとイゾルデ」、12月27日「チェネレントラ」、29日「フィデリオ」、31日「こうもり」

ライブ・ストリーミングは2種類あり、8台のカメラによる通常の映像に加えて、平土間に置いた固定カメラでの中継なので臨場感があり、また高画質なのですが、有料で、14ユーロとちょっとお高いです。オペラは字幕が付くのですが、英語、ドイツ語、韓国語で、なんで日本語はないのかな、ってちょっと思ってしまいます。(ウィーン国立歌劇場のサイトは、今は素晴らしい日本語版があるのです) また、過去の公演のアーカイヴ放送も5ユーロで提供する予定。

時差に考慮して、ディレイ中継も行う予定だそうです。

また、プログラム冊子がGoogle Play StoreとiTunesのAppストアでダウンロード販売されます。

中継のサイトはこちら
http://www.staatsoperlive.com/en/

2013/10/16

10/14 東京バレエ団「ジゼル」 The Tokyo Ballet "Giselle" with David Hallberg

2013年10月14日
「ジゼル」/東京文化会館
http://www.nbs.or.jp/stages/1310_giselle/index.html

◆主な配役◆

ジゼル:吉岡美佳
アルブレヒト:デヴィッド・ホールバーグ
ヒラリオン:柄本弾

【第1幕】

バチルド姫:高木綾
公爵:高岸直樹
ウィルフリード:森川茉央
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
乾友子-岸本秀雄、吉川留衣-杉山優一、
川島麻実子-梅澤紘貴、河谷まりあ-入戸野伊織

ジゼルの友人(パ・ド・シス):
渡辺理恵、矢島まい、小川ふみ、伝田陽美、二瓶加奈子、政本絵美

【第2幕】

ミルタ:奈良春夏
ドゥ・ウィリ:矢島まい、川島麻実子

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

デヴィッド・ホールバーグをゲストに迎えての「ジゼル」。ちょうど今ボリショイ・バレエで「オネーギン」を上演しているので、なんでホールバーグは出演しないのかな、と思っていたら、日本に来ていたので出演できなかったのだった。

ホールバーグの持ち味としては、なんといってもその貴公子ぶりにある。容姿もさることながら、長くて絶妙なカーヴを描く脚と綺麗に出た甲は比類のない美しさ。たたずまいひとつにも品の良さが漂い、一挙一動がエレガントで、最初から下々の者とは別格なのが伺える。貴族的な風貌から、ジゼルのことは完全に遊びだったという演じ方をすると思いきや、そうではなく、真面目な人柄が伝わってくるかのように普通にジゼルを愛している青年に見えた。難を言えば、彼の演技は全体的に薄味なので、ジゼルとの感情の交わりが、彼女の狂乱シーンになるまでは見えづらかったことくらいだろうか。しかしこれだけ美しかったら、ほぼ文句のつけようはない。サポートはそれほど上手い方ではないけれども(2幕のリフトは不安定なところも)、ソロの美しさは当代最高のうちに入り、ミルタに踊らされる時の細かいブリゼの足先の美しさや、ふわりとしたグランジュッテ、完璧なアンドゥオールとクラシックバレエの美しさを存分に見せてくれる。ヴァリエーションも、ボリショイにいる割にはそれほどマニエリズムに流れず、アカデミックで古典的な美を見せてくれた。(ボリショイでの彼の指導に当たっているのは、アレクサンドル・ヴェトロフだとのこと)百合の花束を持ってジゼルの墓参りへと歩んでいく、そのマント姿の麗しさは言うまでもない。

怪我が長引いていた吉岡さんは、今回完全に復活したようだった。彼女のジゼルは以前見たときも、その儚さと透明感に感銘を受けたのだったが、今回も、とても繊細で、向こうが透けて見えそうなほどの透明感を持った病弱で薄幸な少女に見えた。少し大人っぽくはあるけれど、とても内気で触れば壊れそうで、すぐにあの世に呼ばれてしまいそうなジゼル。年齢的に、もう観られる期間は長くないのかなと思っていたのだが、今回観る限りではまだ当分踊れそうだし、大きなミスもなかった。長く細い肢体を生かしたアラベスク、柔らかく1幕からウィリっぽい腕の使い方は彼女ならではの表現。狂乱のシーンの壊れ方はすごかった。最近は、ジゼルの狂乱のシーンは静かに壊れていって、あまり乱れることなく死んでいくことが多いのだが、吉岡さんの場合、最初は幸せだった時代を思い起こして微笑んでいたりしたものの、途中から歯止めが利かなくなって、明らかに狂ってしまって壊れた人形のようになっていって死に至るというドラマティックな演じ方をしていて、鮮烈な印象を残した。それが決して大げさではなく、愛を失った衝撃のあまり狂って死んでしまったというのがきちんと伝わってきたのはさすがだ。その彼女の壊れ方を見て、それまで理性をある程度保っていたホールバーグのアルブレヒトも動転し、どうしていいのか分からずすがりつくも追い払われる、その混乱した様子が演じられたため、ずしんと来るドラマティックなシーンに仕上がった。

東京バレエ団は、しばらく観ないうちに退団した団員がたくさん出て、舞台を観てもおなじみのダンサーが見られないのでちょっとさみしく思った。そのためか、1幕については随分と平坦な印象となってしまって盛り上がりに欠けてしまった。ヒラリオン役の柄本弾さんは長身でホールバーグと釣り合いが取れており、普通のまっすぐな若い男性として等身大の演技をしており、木村和夫さんの濃厚な名人芸には及ばないが好感が持てる役作り。一方、特筆すべきは2幕の群舞で、ウィリについては文字通り一糸乱れぬ統一されたコール・ドとなっていて見事だった。特にアラベスクで左右から交差するシーンはよく揃っていて脚が下がってしまい人もおらず、非常にハイレベルでぞっとさせらるほど。ただし、ミルタの奈良さんやドゥ・ウィリについては、これといった欠点もない代わりに、威厳はあまり感じられず印象が弱い。

二幕のパ・ド・ドゥについては、とても美しく、またホールバーグの誠実さが伝わってきて実に目の保養にはなったけれども、もう少しジゼルとアルブレヒトの間に通いあう感情が見えても良かったのではないかと感じた。だが、最後の別れのシーンは忘れ難い印象を残してくれた。アルブレヒトが助かって、ジゼルはお墓の中へと消えていく。アルブレヒトは彼女の姿をずっと目で追い、手に触れながら、ついには手が離れてしまう。その離れてしまった手の先を彼が見つめると、そこにはおそらく天へと上って行ったジゼルの魂があったのだろう。そのように、完全に死んでしまっても今なお繋がり続ける心、愛を感じさせて、美しくも感動的な幕切れだった。このエンディングが見事だったので、今回の公演はとても素晴らしいものになったと思う。今後のホールバーグの成長ぶりが楽しみとなるとともに、吉岡さんももう少し現役を続けて、また感動的な舞台を届けてほしいと願った。

ニューヨーク・シティ・バレエ・ワークショップ体験

NYCB(ニューヨークシティバレエ)の来日公演関連イベントである、ニューヨーク・シティ・バレエ・ワークショップに参加してきました。好評につき、予定されていた講座が満員となったために追加まで行われた盛況ぶり。
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=224030&userflg=0

まったくバレエの知識がない人でも、また、どんな体力・年齢の人でもできるように開発されたのが、“ニューヨーク・シティ・バレエ・ワークアウト”。バーを使わないので、自宅で気軽にできます。

日本人唯一のNYCBワークアウト公認トレーナーである稲垣領子さんとアシスタントの金子さんが指導。まずは、「白鳥の湖」「タランテラ」などNYCBの映像を見て、その舞台の魅力の一端に触れます。それから、実際にこのワークアウトを体験しました。このエクササイズは、NYCBの芸術監督であるピーター・マーティンスが提唱したもので、体を鍛えるだけでなく、心と体にも効くエクササイズだということです。

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まずは、基本姿勢(立ち方)を習得し、バレエで言えばプリエ的なエクササイズをやります。音楽は白鳥の湖。それからヨガマットを使って、ピラティスのエクササイズ。ロールアップ、プッシュアップなど、腹筋、腹横筋、背筋を中心に鍛えていきます。呼吸の大切さについても学びます。

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マットを片づけると次はセンターレッスン。タンデュ、デガジェ、グラン・バットマンなどです。ちょっと特徴的なのは、ターンアウトはあまり使わないということでしょうか。バレエ経験のない人でもできそうな感じで、楽しいです。

http://youtu.be/s84tH7U3gUY

そして、最後は、20分ちょっとをかけて、あの「タランテラ」の音楽に合わせての振付をみんなで踊ってしまいました。これは、ハードだったけどすっごく楽しかったです!最初に「タランテラ」の映像を見ていたのでイメージしやすかったのもあります。もちろんバランシンの振付そのままを踊れるわけではないのでアレンジしてありますが、それっぽい雰囲気だったのが良かったです。やってみてわかったのが、「タランテラ」って変則リズムがすごく多い。通常8拍子でカウントすることが多いわけですが、その中に、5とか6とか入ってくるのです。ターンアウトとターンインもあったりします。2分間の踊りだったのですが、実際の「タランテラ」って10分くらいの作品なので、ダンサーって涼しい顔でこんなのを踊っちゃって本当に凄い!って思いました。

Nycb_2
(どこかに私が写ってますが、探さないように(笑))

最後はクールダウンということで、ストレッチをしていきます。

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大人バレエ歴9年の私ですが、その私からしても、今回は運動量もとても多くて体力が必要だったし、また実際に踊っている気分になったのでとっても楽しかったです。稲垣先生のはきはきとした指導と素敵な笑顔も良かったです。

稲垣先生のDVDも発売されています。

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会場では、NYCB公演のチケットの特別販売も行われていました。チケットの売れ行きは大変良くて、Aプロ初日のチケットはほぼソールドアウトなのだそうですが、他の日程は少しずつですが残っています。バランシン作品は、上のフロアから観るとフォーメーションがわかって綺麗なので、2階席や3階席もお勧めです!(私も実際2階バルコニー席を買いました)

今回の来日公演、海外ではめったに上演されないバランシン版「白鳥の湖」の日本初演、しかも主演は9.11の美しい映像「NEW BEGINNINGS」を踊ったマリア・コウロスキーが踊るのが注目です。バランシンの「白鳥の湖」は、オデット以外はすべて黒い白鳥だというのが特徴。また、音楽にも徹底的にこだわりぬいているため、演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団(バレエ団からの指定)、指揮者2名、ピアニストも演目ごとに交代、そしてドラマー、歌手もNYから来日しています。「観る音楽」のバランシン作品は、音楽ファンにもお勧めです。「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ」は来年3月に新国立劇場バレエ団も上演するので、予習にも良いと思います。

また、大阪での公演は、旧大阪フェスティバルホールのこけら落としでNYCBの公演が行われたという縁もあって行われるので、新しくなったフェスティバルホールでの公演となるこちらも注目ですね。

NY以外での公演はなかなか行わないNYCB、今回はアシュレー・ボーダー、ホアキン・デ・ルースなど注目のダンサーも多数出演する豪華な公演なので、ぜひ皆さん足を運んでほしいと思う次第です。私もとても楽しみにしています。今回は出演キャストも事前に発表されたので楽しみも倍増です!

http://nycb2013.jp/

また、現在、Bunkamura1階にあるフラワーショップにオーナーのエルべ・シャトラン氏がパリから来日しており、
NYCB「セレナーデ」をテーマにしたウィンドウアレンジを行っています。
衣裳と同じ水色のネット状の布を花器の中に入れていたり小さな花器にチュチュのように羽をまとわせたりしていて幻想的でありつつモダンです。Bunkamuraにお立ち寄りの際にはぜひ覗いてみては!

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2013/10/13

NYCB(ニューヨークシティバレエ)来日公演のキャスト発表

10月21日から始まるNYCBの来日公演のキャストが本国オフィシャルサイトで発表されています。

http://www.nycballet.com/NYCB/media/NYCBMediaLibrary/PDFs/Press/Casting/NYCB-Casting-Japan-102113-102713.pdf

日本語ではこちらです。
http://nycb2013.jp/dl/casting_jp.pdf

追記;来日するダニエル・ウルブリックとミーガン・フェアチャイルド(「タランテラ」などに出演)のコメント映像もアップされています。
http://youtu.be/tBKgCFsNjYw

東京公演 Bunkamuraオーチャードホール

10月21日(月)Aプロ

SERENADE: Mearns, Bouder, Reichlen, J. Angle, la Cour
サラ・マーンズ、アシュリー・ボーダー、テレサ・レイクレン、ジャード・アングル、アスク・ラ・クール

SYMPHONY IN THREE MOVEMENTS: Hyltin, Scheller, Krohn, Ramasar, Ulbricht, Danchig-Waring
スターリン・ヒルティン、アナ・ソフィア・シェラー、レベッカ・クローン、アマール・ラマザール、ダニエル・ウルブリック、エイドリアン・ダンチグ・ワーリング

TARANTELLA: M. Fairchild, De Luz [Solo Piano: Chelton]
ミーガン・フェアチャイルド、ホアキン・デ・ル-ス

WEST SIDE STORY SUITE: R. Fairchild, J. Peck, Veyette, Lovette, Pazcoguin, Smith
ロバート・フェアチャイルド、ジャスティン・ペック、アンドリュー・ヴェイエット、ラーレン・ラヴェット、ジョルジーナ・パスコギン、グレッチェン・スミス

10月22日(火)Bプロ

SWAN LAKE: Kowroski, T. Angle, LeCrone, Lowery, Dieck
マリア・コウロスキー、タイラー・アングル、ミーガン・ルクローン、ザヴァンナ・ロウェリー、キャメロン・ディーク

THE FOUR TEMPERAMENTS: Arthurs, Catazaro, King, Peiffer, Laracey, J. Peck, R. Fairchild, A. Stafford, *Danchig-Waring, la Cour, Reichlen [Solo Piano: Walters]
フェイ・アーサーズ、ザハリー・カタザーロ、ローレン・キング、アレン・ピーファー、アシュリー・ララシー、ジャスティン・ペック、ロバート・フェアチャイルド、アビ・スタッフォード、エイドリアン・ダンチグ・ワーリング、アスク・ラ・クール、テレサ・レイクレン


SYMPHONY IN C:
FIRST MOVEMENT: M. Fairchild, Veyette; ミーガン・フェアチャイルド、アンドリュー・ヴェイエット
SECOND MOVEMENT: Mearns, *J. Angle;  サラ・マーンズ、ジャード・アングル
THIRD MOVEMENT: Hyltin, Garcia; スターリン・ヒルティン、ゴンザロ・ガルシア
FOURTH MOVEMENT: T. Peck, Huxley タイラー・ペック、アンソニー・ハクスリー


10月23日(水)14:00 Aプロ

SERENADE: Taylor, M. Fairchild, Krohn, R. Fairchild, Danchig-Waring
ジェイニー・テイラー、ミーガン・フェアチャイルド、レベッカ・クローン、ロバート・フェアチャイルド、エイドリアン・ダンチグ・ワーリング

SYMPHONY IN THREE MOVEMENTS: T. Peck, Pereira, Lowery, Stanley, Huxley, Suozzi
タイラー・ペック、エリカ・ペレイラ、サヴァンナ・ロウェリー、テイラー・スタンリー、アンソニー・ハクスリー、ショーン・スオッツィ

TARANTELLA: Bouder, Ulbricht [Solo Piano: Chelton]
アシュリー・ボーダー、ダニレル・ウルブリック

WEST SIDE STORY SUITE: R. Fairchild, Ramasar, Veyette, Lovette, Pazcoguin, Smith
ロバート・フェアチャイルド、アマール・ラマザール、アンドリュー・ヴェイエット、ローレン・ラヴェット、ジョルジーナ・パスコギン、グレッチェン・スミス

10月23日(水)19:00 Bプロ

SWAN LAKE: Kowroski, T. Angle, LeCrone, Lowery, Dieck
マリア・コウロスキー、タイラー・アングル、ミーガン・ルクローン、ザヴァンナ・ロウェリー、キャメロン・ディーク

THE FOUR TEMPERAMENTS: Arthurs, Catazaro, King, Peiffer, Laracey, J. Peck, Suozzi, A. Stafford, Danchig-Waring, la Cour, Reichlen [Solo Piano: Walters]
フェイ・アーサーズ、ザハリー・カタザーロ、ローレン・キング、アレン・ピーファー、アシュリー・ララシー、ジャスティン・ペック、ロバート・フェアチャイルド、アビ・スタッフォード、エイドリアン・ダンチグ・ワーリング、アスク・ラ・クール、テレサ・レイクレン

SYMPHONY IN C:
FIRST MOVEMENT: M. Fairchild, Veyette; ミーガン・フェアチャイルド、アンドリュー・ヴェイエット
SECOND MOVEMENT: Mearns, J. Angle; サラ・マーンズ、ジャード・アングル
THIRD MOVEMENT: Pereira, Carmena; エリカ・ペレイラ、アントニオ・カルメナ
FOURTH MOVEMENT: T. Peck, Huxley タイラー・ペック、アンソニー・ハクスリー


大阪公演 大阪フェスティバルホール

10月26日(土)18:00 Aプロ

SERENADE: Taylor, Bouder, Reichlen, R. Fairchild, la Cour
ジェイニー・テイラー、アシュリー・ボーダー、テレサ・レイクレン、アスク・ラ・クール

SYMPHONY IN THREE MOVEMENTS: Hyltin, Scheller, Krohn, Ramasar, Ulbricht, Scordato
スターリン・ヒルティン、アナ・ソフィア・シェラー、レベッカ・クローン、アマール・ラマザール、ダニエル・ウルブリック、アンドリュー・スコダート

TARANTELLA: T. Peck, De Luz [Solo Piano: Chelton]
タイラー・ペック、ホアキン・デ・ル-ス

WEST SIDE STORY SUITE: R. Fairchild, J. Peck, Veyette, Lovette, Pazcoguin, Smith
ロバート・フェアチャイルド、ジャスティン・ペック、アンドリュー・ヴェイエット、ローレン・ラヴェット、ジョルジーナ・パスコギン、グレッチェン・スミス

10月27日(日)18:00 Bプロ

SWAN LAKE: Mearns, J. Angle, Laracey, King, Dieck
サラ・マーンズ、ジャード・アングル、アシュリー・ララシー、ローレン・キング、キャメロン・ディーク

THE FOUR TEMPERAMENTS: Wellington, Dieck, Pollack, Applebaum, LeCrone, *Hall, Garcia, Scheller, Danchig-Waring, Ramasar, Bouder [Solo Piano: Walters]
リディア・ウェリントン、キャメロン・ディーク、ブリタニー・ポラック、ダニエル・アップルバうム、ミーガン・ルクローン、クレイグ・ホール、ゴンサロ・ガルシア、エイドリアン・ダンチグ・ワーリング、アマール・ラマザール、アシュリー・ボーダー

SYMPHONY IN C:
FIRST MOVEMENT: M. Fairchild, Veyette; ミーガン・フェアチャイルド、アンドリュー・ヴェイエット
SECOND MOVEMENT: Kowroski, T. Angle; マリア・コウロスキー、ジャード・アングル
THIRD MOVEMENT: Pereira, Carmena; エリカ・ペレイラ、アントニオ・カルメナ
FOURTH MOVEMENT: T. Peck, Huxley タイラー・ペック、アンソニー・ハクスリー

「ヴィシニョーワの新しい世界」に出演したアシュレー・ボーダーはAプロは東京初日と大阪のセレナーデ、Bプロは水曜日マチネの「タランテラ」と大阪の「フォー・テンペラメンツ」。ホアキン・デ・ルースは、Aプロ初日と大阪のタランテラの予定ですね。

オフィシャルサイト
http://nycb2013.jp/

読売新聞のサイトにも、来日予定プリンシパルダンサーのリストはアップされています。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/classic/clnews/02/20131008-OYT8T00811.htm

<来日予定プリンシパル>

 ジャード・アングル、タイラー・アングル、アシュレイ・ボーダー、エイドリアン・ダンチグ・ワーリング、ホアキン・デ・ルース、ミーガン・フェアチャイルド、ゴンザロ・ガルシア、スターリン・ヒルティン、マリア・コウロスキー、レベッカ・クローン、アスク・ラ・クール、セバスチャン・マルコヴィッチ、サラ・マーンズ、タイラー・ペック、アマール・ラマザール、テレス・レイクレン、アナ・ソフィア・シラー、アビ・スタフォード、ジョナサン・スタフォード、ジェイニー・タイラー、ダニエル・ウルブリック、アンドリュー・ヴェイエット

10/5,6 シュツットガルト・バレエ「オテロ」Stuttgart Ballet "Othello"

OTHELLO
http://www.stuttgart-ballet.de/schedule/2349/othello/

Othello04juli13_028Foto: Stuttgarter Ballett

CHOREOGRAPHY AND PRODUCTION
John Neumeier

MUSIC
Nana Vasconcelos, Arvo Pärt, Alfred Schnittke u.a.

WORLD PREMIERE
27. Januar 1985, Hamburg Ballett

PREMIERE AT THE STUTTGART BALLET
24. April 2008

CONDUCTOR
Wolfgang Heinz

ORCHESTRA
Staatsorchester Stuttgart


OTHELLO Jason Reilly
DESDEMONA| Alicia Amatriain
JAGO Marijn Rademaker
EMILIA Myriam Simon
CASSIO Alexander Jones

BRABANTIO Nikolay Godunov
BIANCA Alessandra Tognoloni
DER WILDE KRIEGER Arman Zazyan

LA PRIMAVERA Elizabeth Wisenberg
Maria Batman
Julie Marquet


1985年にハンブルグ・バレエで初演された「オテロ」は、2008年にシュツットガルト・バレエでの初演が行われた。今年シュツットガルト・バレエのレパートリーに帰ってきたとともに、ハンブルク・バレエでも今シーズン久しぶりに再演が行われた。ちょうど同時期にハンブルクでも上演されていたのだが、そちらの公演を観に行った友人によると、シュツットガルトとだいぶ演出を変更していたところがあったという。具体的にはイアーゴが登場するときにはスーツを着用していたのと、スマートフォンを持って写真を撮影する場面が登場するといったところが挙げられる。

27年前の作品であるからして、少々古臭さは否めない部分がある。音楽は、シュトニケのConcerto Grosso No.1、Naná Vasconcelosによるブラジル音楽、そしてアルヴォ・ペルト(ガラでもよく上演されるパ・ド・ドゥは「鏡の中の鏡」、2幕のデスデモーナ殺害に至るまでのシーンは「タブラ・ラサ」の美しくリリカルなメロディ)。 口タブラなども使っているVasconcelosのエキゾチックな音楽は、オテロのルーツであるアフリカ的な熱気を盛り上げるとともに、オテロらの関係について噂をする人々の声をも象徴させているようだが、センスが古い印象を与える。衣装も、ルネッサンス的な美しさのあるデスデーモナやプリマヴェーラの長く柔らかい白い服は素敵なのだが、兵士たちの迷彩服などの衣装やイアーゴの黄色いシャツなどは、現代風ではあるものの古さを感じてしまう。兵士たちやイアーゴが大きな声を張り上げることで暴力性を強調する演出も、当時としては斬新だったかもしれないのだが、今としてはどうなのか。

だが、全体の構成や舞台装置の使い方の巧みさは、さすがのノイマイヤー・マジックである。特に、同時進行的に、ポリフォニックに進んでいくめくるめく展開は、見事なものだ。オーケストラピットを潰して舞台が客席に大きく張り出しているため、客席と舞台の距離が非常に近い上、客席前方の扉からダンサーが出入りするため、観客は舞台の真っただ中に自分たちがいるような感覚に襲われる。1幕では演奏は録音されたものが大部分だったが、2幕では、舞台後方のテントの上に指揮者と弦楽器の小編成が出現する。この後方のテントが、ある時は軍の司令本部、ある時はキプロスへと旅立つ帆船、またある時はデスデモーナとオテロの寝室として機能している。ダンスの種類も様々で、静かで美しいパ・ド・ドゥがあったと思えば、兵士たちによるダイナミックでアクロバィックな群舞、モダンダンス的なオテロのソロ、そしてエロティックなモブシーンまでヴァラエティに富んでいるのだが、一つ一つのシーンがばらばらな印象を与えず、統一した世界観を保ち続けていて、心理的な悲劇を盛り上げる。この作劇手法が、やがて、「ニジンスキー」など後期のノイマイヤー作品へと昇華していったのがわかる。

ヴェネチア。Nana Vasconcelosのリズミカルな音楽に乗って、叫び声をあげながら入ってくる兵士たち、舞台の淵を平均台を渡るようにバランスを取りながら歩いてくる白い服のイアーゴは美しい姿をしている。白いドレスのデスデモーナと、浅黒いオテロはお互いに引き寄せられるように出会う。彼らの分身として現れる、小花が散らされたドレスの、ボッティチェルリ的な美女プリマヴェーラと、全身を黒く塗って顔は赤く塗っている裸のワイルドな戦士。オテロも、デスデモーナも、お互いをこれらの移し身として見ている。華奢だが、強靭な身体能力を持つアリシア・アマトリアンは、イノセンスの中にエキセントリックさを隠し持っているようだ。ジェイソンのダイナミックで虎のようにしなやかな踊りには思わず目を瞠るとともに、彼の誇り高さをも感じさせる。

「鏡の中の鏡」のパ・ド・ドゥ。ガラでもおなじみのシーンだが、派手な動きはなくどこか厳かで静謐で情感が漂い、デスデモーナのまるで聖母のような、いつくしむような優しい感情があふれているのだが、同時に後の悲劇を予感させるものとなっている。ノイマイヤーは、ハンカチのモチーフを使うのがとても巧みだ。最初はオテロの腰のまわりに巻かれたハンカチがほどかれてデスデモーナの腰に巻かれる。同時にジェイソン・レイリーの気高さと野性を同居させた、セクシーな肢体に目も吸い寄せられる。ハンカチーフのモチーフはのちにもたびたび登場する。

次のシーンでは、ヴェネチアのカーニバルでの鈴を鳴らしながらの踊りで、仮面をかぶって赤いドレスを着た女装した男性が、黒い仮面をつけた男と、兵士たちとともに、官能的に、そして奔放に踊る。悪魔的で非常に色っぽいこの踊り手はのちに仮面を外し、実はイアーゴであったことが明かされる。

嫉妬でオテロに対する憎しみを増幅されるイアーゴ。天使のように美しく少年の面ざしを残したマライン・ラドマーカーが、次第に感情を高ぶらせ、脚を高く蹴り上げ、跳躍したと思ったら地を這い、地面に口づけをし、叫ぶ様子には天然の悪意が感じられ、強烈なインパクトがある。妻であるエミリアをそそのかし、オテロを陥れる謀略を進めるのだが、その際に1,2,3とオランダ語で叫ぶ。(「オテロ」では、イアーゴ役とエミリア役はそれぞれの母国語でせりふを言う。オランダ人のラドマーカーはオランダ語で、フランス系カナダ人のミリアム・サイモンはフランス語で)狂気がみなぎってくる様子は凄まじく、エミリアに対してはDVとしか思えないようなサディスティックで暴力的なアプローチを行い、ついに彼女は加担することになってしまう。自分が望む地位を手に入れられなかったからオテロを陥れたのではない、もはや理由のない憎しみがそこにはある。イアーゴの声も、少年のようにやや高い声であることが、さらに空恐ろしい。この場面の緊張感たるや、あまりにも鮮烈であり、そこで彼に取り込まれてしまうエミリアを演じるミリアムも、恐怖におののき服従してしまう受けの演技が見事である。


2幕、寝室から出てくるオテロは不安におののいている。副官キャッシオが加わっての踊り。すらっとして清潔感のある若いアレクサンダー・ジョーンズは、端正でアカデミックに跳躍し回転する。そしてイアーゴは、デスデモーナとキャッシオが不貞を働いていることをオテロに信じ込ませようとする。執拗に疑惑を吹き込むイアーゴ。彼のオテロに対する強い執着と憎悪は、もはやゆがんだ愛の発露に見えてくる。ジェイソンとマラインは背格好も近いこともあり、ユニゾンで踊る丁々発止の緊張感が凄まじい。オテロは膨れ上がった疑念のために正常な判断力を失う。彼の妄想の中では、デスデモーナとキャッシオが二人の寝室で愛を交わしている。ヴェネチアの人々が肉欲の宴を繰り広げ、プリマヴェーラも妖しく体をくねらす。エロスの女神のようなビアンカを女王のように捧げ持つ兵士たち。ハンカチーフを自分の首に巻きつけ、首を絞める真似をしてエミリアを再び脅すイアーゴ。そしてハンカチーフを証拠に、イアーゴはデスデモーナの不貞をオテロに伝える。何も知らないデスデモーナは、なぜ彼が彼女を疑っているのか分からず苦悩する。

アルヴォ・ペルトの「タブラ・ラサ」の不安感を盛り上げながらも、絶望的に美しい旋律が鳴り響く。猜疑心のとりこになったオテロが、デスデモーナと繰り広げる悲劇的な長い長いパ・ド・ドゥ。高々とデスデモーナを持ち上げて、愛と憎しみ、苦悶を表出させるオテロ。プリマヴェーラがその姿を見つめているが、やがて倒れる。そして走り回っていた黒い戦士も。ついにデスデモーナを殺してしまう。彼女の死体を前に茫然としているオテロの前にイアーゴが現れるが嘲笑しながら去っていく。一方エミリアはこの結末に混乱し、激しく心乱され悔恨の念に責められる。オテロは、ハンカチーフを自らの首に巻いて自害する。


オテロ、デスデモーナ、イアーゴ、エミリアの演技合戦、複雑に展開していく心理劇にずっと緊張感を強いられて、終わった時にはどっと疲れてしまうほどの舞台だった。特に後半は息詰まる展開となっている。中でも、ノイマイヤーはオテロとイアーゴの間のホモエロティックなまでの愛憎に焦点を当てた。強く誇り高いムーア人の将軍の中にある不安と疑念。その疑念を巧みに突き、またエミリアを支配してオテロを陥れるイアーゴ、美しい外見に潜む悪魔と、その一方でオテロに抱くゆがんだ愛。オテロとイアーゴが同等のレベルの演技者でなければ生まれない化学作用が、この舞台にはあった。アリシア・アマトリアンの透明感と儚さ、一方での天使のような奔放さ。ミリアム・サイモンの、支配されることに喜びを抱くような被虐性。役者がそろったシュツットガルト・バレエならではの舞台だった。また、粒ぞろいの男性群舞のクオリティが、この作品の持つ暴力性と官能性を増幅させていたことは言うまでもない。

こちらは、ハンブルク・バレエでの「オテロ」のトレーラー。
http://youtu.be/rlZ97I7wI44

2013/10/12

ユニバーサル・バレエ2014年1月来日公演

創立30周年を迎える韓国のトップカンパニー、ユニバーサル・バレエは2014年1月29日、30日に来日公演を行います。

http://universalballet.jp/?p=2906

「30th アニバーサリー・ガラ」
ユニバーサル・バレエ 2014年 日本公演

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[第1部 クラシック・バレエ ガラ]
1.白鳥の湖 – オデットとジークフリートのグラン・パ・ド・ドゥ 
2.海賊 – アリとメドーラのグラン・パ・ド・ドゥ
3.ジゼル – ジゼルとアルブレヒトのグラン・パ・ド・ドゥ
4.パリの炎 – ジャンヌとフィリップのグラン・パ・ド・ドゥ
5.グラン・パ・クラシック
6.ドン・キホーテ – キトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥ

[第2部 This is Modern]
1.ハンス・ファン・マネン -Black Cake-
2.ナチョ・ドゥアト -Duende-
3.イリ・キリアン -SechsTänze(Six dances)-


■開催日時・場所
1月29日(水)ゆうぽうとホール(東京・五反田)
1月30日(木)同上

-29日- 19時00分開演(18時30分開場)
-30日- 15時00分開演(14時30分開場)
チケット料金:S席10,000円 A席8,000円 B席6,000円 C席4,000円

主催:MCJ
主催 連絡先:047-329-6120(月~金AM9:30~PM6:00)
info@universalballet.jp

■チケットのお申込
・ぴあ 0570-02-9999
【東京公演】(Pコード:431-583)
各チケットぴあ店舗、サークルK・サンクス、セブン-イレブンにて購入いただけます。

・イープラス (PC、モバイル共通)
サイトから”座席選択”いただけます

出演
白鳥の湖 – オデットとジークフリートのグラン・パドドゥ
オデット - 東京シティ・バレエ団 / ジークフリート – オム・ジェヨン (Jaeyong Ohm ユニバーサル・バレエ プリンシパル)
12羽の白鳥 – ユニバーサル・バレエ団員

海賊 – アリとメドーラのグラン・パドドゥ
アリ – イ・ドンタク (Dongtak Lee ユニバーサル・バレエ プリンシパル)
メドーラ – イ・ヨンジョン (Yongjung Rhee ユニバーサル・バレエ ソリスト)

ジゼル – ジゼルとアルブレヒトのグラン・パドドゥ
ホワン・ジェン (Zhen Huang ユニバーサル・バレエ プリンシパル)
キム・ナウン (Naeun Kim ユニバーサル・バレエ ソリスト)

パリの炎 –ジャンヌとフィリップのグランパドドゥ
カン・ミヌ (Minwoo Kang ユニバーサル・バレエ ソリスト)
ホン・ヒャンギ (Hyanggi Hong ユニバーサル・バレエ ドゥミ・ソリスト)

グラン・パ・クラシック
ファン・ヘミン (Hyemin Hwang ユニバーサル・バレエ プリンシパル)
コンスタンチン・ノヴォショーロフ (Konstantin Novoselov ユニバーサル・バレエ プリンシパ
ル)

ドン・キホーテ – キトリとバジルのグラン・パドドゥ
バジル – イ・スンヒョン (Seunghyun Lee ユニバーサル・バレエ プリンシパル)
キトリ – カン・ミソン (Misun Kang ユニバーサル・バレエ プリンシパル)

ハンス・ファン・マネンの <ブラック・ケーキ Black Cake>
ナチョ・ドゥアトの <ドゥエンデ Duende->
イリ・キリアンの は出演者未定

ユニバーサル・バレエはレベルの非常に高いバレエ団で、素晴らしいダンサーを取り揃えています。中でも、看板プリマのファン・ヘミンの華奢な身体からは想像できない強靭さ、ワガノワ卒業のコンスタンチン・ノヴォショーロフの正統派ロシアンテクニック、香港映画スターのように美形なホワン・ジェン、ルックスと実力を兼ね備えたカン・ミヌやイ・スンヒョン、そしてクラシックテクニックも演技力も素晴らしいカン・ミソンなど、世界的なレベルのダンサーが揃っています。

そして第二部の「This Is Modern」。昨年の来日公演でも、フォーサイスなどコンテンポラリー演目を見せてくれましたが、今回はキリアンに加え、あまり上演される機会の少ないファン・マネン作品、そして人気のドゥアトの作品も披露してくれるので、こちらもとても楽しみです。

Duende
http://youtu.be/wbHcE-BFytM

Black Cake
http://youtu.be/QqAzAxWPmrQ

2013/10/11

10/3 シュツットガルト・バレエ「Made In Germany」

10/2~7の日程でシュツットガルトに行ってきました。

http://www.stuttgart-ballet.de/schedule/made-in-germany/

コンテンポラリー作品のミックスプロ。ゲッケ、シュプック、ビゴンゼッティなどある程度知名度のある作品から、若手振付家、現役のダンサーの作品までバラエティに富んだプログラム構成。このプログラムは、11月にロンドンのサドラーズ・ウェルズでの公演でも上演される予定だが、まったく同一の作品というわけではなくて、いくつか作品の入れ替えがあり、クランコの「イニシャルR.M.B.E」や「椿姫」の黒のパ・ド・ドゥなどを上演する予定だとのこと。

シュツットガルト・バレエは、Noverre-Societyという組織が主催する「若手振付家の夕べ」を毎年行っており、その中から、ノイマイヤー、キリアン、フォーサイスなどの振付家が育っていったという伝統がある。コンテンポラリー作品もカンパニーの重要な柱の一つであり、今回の12作品はすべてシュツットガルト・バレエのために振りつけられた作品であり、そして振付家の多くがこのバレエ団のダンサーであったという意味でも、非常にユニークな公演であった。


Ssss... (Solo) ギルティ
Choreography: Edward Clug
Music Frédéric Chopin
Dancer:
Marijn Rademaker

今年の「マラーホフの贈り物」でも上演されたソロ。今年の2月に初演されたばかりの作品「Ssss... 」の一部で、デニス・マトヴィエンコのためにエドワード・クルーグが振付を手直ししたものにさらに修正を加えている。ショパンの美しいピアノ生演奏に合わせて、ラドマーカーのクールでありながら抑制された熱情が伝わってくるような、上場的かつスピーディな動きが映える一品。


Fancy Goods ファンシー・グッズ
Choreography: Marco Goecke
Music Sarah Vaughan
Dancers:
Freidemann Vogel
Jesse Fraser, Clemens Fröhlich, Fabio Adorisio, Roger Cuadrado, Cédric Rupp

2009年4月のリード・アンダーソン誕生日記念公演のために振りつけられた作品で、2010年にはシュツットガルト・バレエ50周年記念ガラでも上演された。サラ・ヴォーンのジャジーな歌声に合わせてマルコ・ゲッケらしい痙攣系の動きが見られる前半、後半にはショッキングピンク色のファン(扇)を持った群舞が現れて華やかにしていくというもの。フォーゲルの動きはしなやかなのだが、多分彼はゲッケの踊りを踊った時が一番似合っているし生き生きしているのではないかと思う。


Kazimir’s Colours (Pas de deux) カジミールの色
Choreography: Mauro Bigonzetti
Music Dmitri Schostakowitsch
Dancers:
Rachele Buriassi
Arman Zazyan

ビゴンゼッティ振付のこのパ・ド・ドゥは、日本でも多く踊られているのでおなじみ。ショスタコーヴィッチのピアノ・コンチェルトに合わせて、彫刻的な形を作りながら、ゆっくりとしたよどみない動きが展開される。非常に音楽的な振付なのだけど、この二人はややぎこちなかったか。


Little Monsters リトル・モンスターズ
Choreography: Demis Volpi
Music Elvis Presley
Dancers:
Elisa Badenes
Daniel Camargo

「クラバート」の大成功で、専任振付家となったデミス・ヴォルピ。これは、2011年のエリック・ブルーン・プライズのためにバデネス、カマルゴのために振りつけられた作品で、このコンクールで振付賞を受賞したことで、一躍彼の名は有名となった。エルヴィス・プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」など3曲を使用した作品で、長身の男性と小柄な女性のミスマッチも楽しむ、かわいらしくてユニークな作品。とても個性的で魅力的だ。男性ダンサーの真後ろに隠れるように登場した女性ダンサーの腕だけが現れてなぞったりひらひらしたり。エリサ・バデネスのコケティッシュな魅力も大きい。


Le Grand Pas de Deux ザ・グラン・パ・ド・ドゥ
Choreography: Christian Spuck
Music Gioacchino Rossini
Dancers:
Alicia Amatriain
Jason Reilly

これはもちろん、いろんなダンサーが踊っているので有名な作品。でもジェイソンとアリシアが踊った時が一番面白いし笑える気がする。特にアリシアのユーモアのセンスは抜群で、彼女の可愛さとドジっ子ぶりにはだれもが笑ってしまうことだろう。ジェイソンも、ちゃんと踊っているところでは本当に踊りが美しいんだけど、この二人で組むと可笑しくてたまらない。ジェイソンが牛と対話するところも、絶妙の間が最高。


Symph シンフ
Choreography: Katarzyna Kozielska
Music Ludwig van Beethoven, Antonio Vivialdi u.a.
Dancers:
Myriam Simon, Oihane Herrero Magdalena Dziegielewska Jelena Bushuyeva
Constantine Allen, Daniel Camargo, Pablo von Sternenfels, Robert Robinson

カタルツィナ・コツィエルスカは、女性デミ・ソリストなのだが、いくつか作品を振りつけている。こちらの作品は、今年の1月の若手振付家の夕べのために初演されたもの。いきなりベートーヴェンの「運命」を使っていてびっくりするが、この音楽に合わせるものとは思えない振付にまたびっくり(他にヴィヴァルディも使用)。4組の男女が繰り広げる作品で、構成は巧みで面白い。

Allure アリュール
Choreography: Demis Volpi
Music Nina Simone
Dancers:
Hyo-Jung Kang

ヴォルピの作品をもう一つ。ヒョジュン・カンが踊ったスタイリッシュなソロ。コンテンポラリーに強い彼女らしい、スピーディで、それなのに女らしくてセクシーさもある。こちらの作品はそれほど個性が際立っているわけではないのだが、ヒョジュンの新たな魅力を見せてくれた。


Are you as big as me? アー・ユー・ビッグ・アズ・ミー?

Choreography: Roman Novitzky
Music Hazmat Modine
Dancers:
Matteo Crockard-Villa
Jesse Fraser
Alexander McGowan

これも現役ダンサー、ソリストのロマン・ノヴィツキーによる作品。3人の若い男性ダンサーがそれぞれスポットライトに立ち、三馬鹿大将って風情でユーモラスな動きを見せてくれる。半分コントみたいだけど、とてもキュートだ。(この作品はロンドンでは上演しないとのこと)


Äffi エフィ 
Choreography: Marco Goecke
Music Johnny Cash
Dancer:
Marijn Rademaker

去年の世界バレエフェスティバルで上演され、テレビ放映もされたので観た人も多いだろう。少し振付に手を入れたようで、少々違っていたところがあった。口笛を吹くところも少し長くなっている。マライン・ラドマーカーは少し痩せたようだった。この作品、長すぎる、背中ばかり見せていて面白くないと感じた人が日本では多かったようなのだが、なんとも言えないせつなさ、哀しみと熱情がこもっていて私は好きなのだ。観客の拍手もとても熱かった。


Fanfare LX ファンファーレLX 
Music Michael Nyman
Choreography and stage design: Douglas Lee
Dancers:
Anna Osadcenko
Alexander Jones

こちらもガラでよく踊られているし、日本でも上演されたことがあるので知っている人もいるだろう。非常にスピーディでダイナミックでパワフルで、ダンサーの柔軟性とパートナーシップが求められる。アンナ・オサチェンコはこれを踊ると強靭でしなやかで大胆で本当に素晴らしい。ただアレクサンダー・ジョーンズは、この作品には向いていないかもしれない。彼はもう少し王子様系のダンサーで、テクニックもしっかりしているのだけど、いい意味で品がありすぎてちょっと違和感があった。

これはサドラーズ・ウェルズのサイトにアップされている映像。アンナ・オサチェンコとエヴァン・マッキー。


Mono Lisa モノ・リサ 
Choreography: Itzik Galili
Musical concept and composition Thomas Höfs with Itzik Galili
Dancers:
Alicia Amatriain
Jason Reilly

去年の世界バレエフェスティバル、それからマラーホフの贈り物でも踊られている、タイプライターの音を使ったハイパーパワーの作品。いろんなダンサーが踊っているけど、これに関しては、このアリシア・アマトリアンとジェイソン・レイリーが最強。アリシアの驚異的な柔軟性、よく開く股関節と突き刺さるようなエクステンションそしてエキセントリックさ。シャツを脱いだ時のジェイソンのセクシーな肉体とサポート力の強さ、スピード感。二人とも音感が抜群なのもいい。この日一番多くの喝采を集めたパフォーマンスだった。


das siebte blau (Finale) The seventh blue
Choreography: Christian Spuck
Music Franz Schubert
Dancers:
Rachele Buriassi, Oihane Herrero, Miriam Kacerova, Anna Osadcenko Alessandra Tognoloni, Elisa Badenes, Angelina Zuccarini
Damiano Pettenella, Roland Havlica, David Moore, Jesse Fraser, Robert Robinson, Arman Zazyan, Roman Novitzky

クリスチャン・シュプックの作品で、基本的にはよくあるネオクラシックの作品だが、ブルーをベースにした衣装が素敵。パ・ド・ドゥも登場する。四重楽奏は生演奏で非常に耳に快く、振付もとても音楽的。14人のダンサーが登場するので、群舞の処理が非常にうまい。今回上演された作品の中では古い部類に入る、2000年の作品だけどやはり少々の古さは否めない。

今回のガラで一番面白いと感じたのは、デミス・ヴォルピの「リトル・モンスター」。とても個性的でかわいらしく、音楽の使い方も実にうまいし、若い二人のダンサーの魅力を生かしている。まだ20代半ばの彼が今後どんな作品を創っていくのか、非常に楽しみだ。ダンサーで言えば、今このバレエ団のスターはやはりアリシア・アマトリアンとジェイソン・レイリーなんだと実感。(出ていないプリンシパルも何人もいるけど)彼らの魅せる力というのは圧倒的。シュツットガルト・バレエは積極的に若手を起用する方針ということなので、これからどんどん若い人が出てくるのだろうけど、彼らレベルはそう簡単に出てこないだろう。その中でもちろん注目は、エリサ・バデネスとダニエル・カマルゴだ。

公演の舞台写真
http://www.stuttgart-ballet.de/schedule/made-in-germany/images/

休憩込みで3時間半にも及ぶ公演は楽しくて、振付も一定のレベルが保たれているので退屈する時間はほとんどなかった。英国のサドラーズ・ウェルズの観客にもウケることだろう。

なお、この公演は、15年以上シュツットガルト・バレエで活躍してきたソリスト、オイハネ・ヘレーロの最後の公演だった。この日のプログラムでも強靭なテクニックと表現力を見せたし、ロミオとジュリエットの3人の娼婦やジゼルのミルタ、じゃじゃ馬ならしの街の女などで個性的な演技を見せてくれた魅力的なバレリーナが舞台を去るのは寂しい。最後にカーテンコールで団員たちからも温かい拍手を浴びていた。

2013/10/10

ハイディ・リオムが逝去

デンマーク・ロイヤル・バレエで活躍し、91年の世界バレエフェスティバルや93年のデンマーク・ロイヤル・バレエ来日公演にも出演したハイディ・リオムが亡くなりました。58歳の若さで、脳の動脈瘤による急死だったとのことです。

http://danceviewtimes.typepad.com/eva_kistrup/2013/10/heidi-ryom-dies-suddenly-.html

デンマーク語による訃報記事
http://www.b.dk/navne/den-skoenneste-svane-er-doed

93年のデンマーク・ロイヤル・バレエ来日公演では、現ハンブルク・バレエのロイド・リギンスと共演して「ラ・シルフィード」に主演。ニコライ・ヒュッベとのパートナーシップでも知られました。97年に引退してからは、キャラクターダンサー、およびバレエミストレスとしてデンマーク・ロイヤル・バレエで活躍し、最近のデンマーク・ロイヤル・バレエの来日公演「ロミオとジュリエット」でも振り付け指導を担当しています。若いころはブルノンヴィル作品で活躍し、後年は「オネーギン」のタチヤーナ役などドラマティックな作品でも実力を発揮しました。

ここで彼女の舞台写真を見ることができます。
http://www.ballerinagallery.com/ryom.htm

「ナポリ」での素晴らしい踊り
http://youtu.be/bGCFcZIv3Do

ABTの2014年METシーズン発表

ABTの2014年METシーズンが発表されました。

http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=465

http://www.abt.org/calendar.aspx?startdate=5/1/2014

<新作>
「シンデレラ」(アシュトン振付)がABTで初演されます。(6月9~14日)

ABTの今年の秋シーズンで世界初演される「テンペスト」(ラトマンスキー振付)と「真夏の夜の夢」(アシュトン振付)の「シェイクスピア・セレブレーション」【6月30~7/2)


<リバイバル>
「ゲテ・パリジェンヌ(パリの喜び)」(レオニード・マシーン振付)、「テーマとヴァリエーション」「デュオ・コンチェルタント」(バランシン振付)(5月20日~22)

「マノン」(マクミラン振付) (6月2~7)

<全幕作品>
「ドン・キホーテ」(プティパ/ゴルスキー振付)(5月13日~19)

「ラ・バヤデール」(マカロワ振付)(5月23日~29)

「ジゼル」(6月16日~21)

「白鳥の湖」(マッケンジー振付)(6月23日~28)

「コッペリア」(セルゲイエフ/フランクリン振付)(5月30,31、7月3~5)


5月12日は、恒例のガラ公演です。


<ゲスト出演>
アリーナ・コジョカル、マリア・コチェコトワ、デニス・マトヴィエンコ
(ちなみに、ナタリア・オシポワの出演はなし)


キャストは以下のようになります。(日ごとの個別キャストは、上記リンク先へ)

ドン・キホーテ
セミオノワ&スターンズ(2回)、パルト&ホワイトサイド、マーフィ&マトヴィエンコ、コチェトコワ&コルネホ、ヘレーラ&ワシリエフ、ボイルストン&シムキン、レイエス&ワシリエフ

テーマとヴァリエーション
セミオノワ&スターンズ、レーン&コルネホ、マーフィ&ホワイトサイド、ボイルストン&シムキン

ラ・バヤデール
ヴィシニョーワ&ゴメス&マーフィ、パルト&未定&アブレラ、コジョカル&コルネホ&コープランド、セミオノワ&スターンズ&未定、セオ&マトヴィエンコ&ボイルストン、ヘレーラ&ホワイトサイド&コープランド、未定、マーフィ&未定&ボイルストン

コッペリア
コープランド&コルネホ、レーン&シムキン、マーフィ&マシューズ(5月)
レイエス&未定、加治屋&ゴラック、マーフィ&マシューズ(7月)

マノン
ケント&ボッレ(2回)、ヴィシニョーワ&ゴメス(2回)、未定2回、セミオノワ&スターンズ(2回)

シンデレラ
セオ&スターンズ(2回)、ケント&ゴメス(2回)、レイエス&ホワイトサイド(2回)、未定2回

ジゼル
ヴィシニョーワ&ゴメス、セミオノワ&ホールバーグ、ボイルストン&ホワイトサイド、ケント&ボッレ、レイエス&マトヴィエンコ、レイエス&スターンズ、セオ&ハムーディ、コジョカル&コルネホ

白鳥の湖
マーフィ&ゴメス、ヘレーラ&ホワイトサイド、パルト&スターンズ、セミオノワ&ホールバーグ(2回)、ボイルストン&シムキン、コジョカル&コルネホ、セオ&ボッレ

シェイクスピア・セレブレーション
真夏の夜の夢 マーフィ&ホールバーグ(2回)、未定2回
テンペスト ゴメス(2回、スターンズ(2回)


なお、ABTでは、ジェイムズ・ホワイトサイドのプリンシパル昇格が発表されています。
http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=463

2012年9月にボストン・バレエから移籍してきたホワイトサイドは、METシーズンでも随分多くの主演が予定されています。JBDubsというアーティストとしてもよく知られています。

スティーヴン・マックレーとサラ・ラムの映像をiTunesで

以前もお知らせをした、ロイヤル・バレエ、ENBのダンサーたちのダンス映像をiTunes他で提供するCrystal Ballet。ついに、4部作のうちの一作目、Genesis SpringがiTunesストアでダウンロード可能となりました。

https://itunes.apple.com/gb/music-video/genesis-01-spring/id703966045

この映像は、スティーヴン・マックレーとサラ・ラムがキム・ブランドストラップの振付で踊るものです。音楽はブラームスのカプリッチョのピアノ演奏。さっそくダウンロードしてiPadの画面でみていますが、とても画面は鮮明で画質も良く、スティーヴンやサラのファンにとっては必見のものとなっています。ネオクラシックの美しいパ・ド・ドゥですが、二人の表情もしっかりと見られるし、ドラマティックな雰囲気があります。ひげを生やしたスティーヴンが男っぽくて素敵。リフト技術も素晴らしいです。

5分14秒の映像で、お値段は200円。とてもお得だと言えます。

引き続き、Summer, Autumn, Winterの映像も購入可能になることが待ち遠しい限りです。

http://www.crystalballet.com/

2013/10/09

NINA FOR FUKUSHIMA チャリティーパーティー

ニーナ・アナニアシヴィリの東日本大震災復興チャリティーパーティー「NINA FOR FUKUSHIMA」が2013年11月5日(火)に開催されます。

http://entame.knt.co.jp/nina_for_fukushima/

NINA FOR FUKUSHIMAでは、ニーナ・アナニアシヴィリ自家製オーガニックワイン(「LA NINA」の売上の5%をグルジア健康ご長寿3点セットにして福島の被災地に寄付するものです。国際人道支援組織「ジャパン・プラットフォーム(JPF)」の協力のもと、被災地域の町内会、青年団、商工会議所、役所などと連携して、復興イベントやお祭りなどに提供します。

パーティの内容ですが、
【通常プラン】 立食パーティへの参加、グルジア大使挨拶、ニーナ・アナニアシヴィリへの質問コーナー、チャリティーオークション(ニーナの貴重なティアラや衣装、トウシューズなどが出品される予定)

【スペシャルプラン】 チャリティーパーティー参加、ニーナ・アナニアシヴィリ自家製オーガニックワイン(「LA NINA」6本セット※ワインはご自宅にお送りいたします。)、私物にサイン、ニーナと握手、2ショット撮影。

<イベント日時>
2013年11月5日(火)  19:00~21:00(予定)

<お食事>
立食ビュッフェ

<イベント会場>
ハイアットリージェンシー東京 スカイルーム
〒160-0023 東京都新宿区西新宿2-7-2

<イベント参加代金>
【通常プラン】お一人様:12,900円
【スペシャルプラン】お一人様:38,900円 

<お問い合わせ>
近畿日本ツーリスト(株) トラベルサービスセンター東日本
「NINA FOR FUKUSHIMA チャリティーパーティー」係
〒130-0022 東京都墨田区江東橋3-4-2錦糸町マークビル3F
TEL:0570-064-826 FAX:03-6730-3230
※ひかり電話・PHSからはご使用いただけません。お持ちの携帯電話よりお問い合せください。
E-mail:tourdesk46@or.knt.co.jp

福島の復興支援に貢献しつつ、ニーナ・アナニアシヴィリと交流できる素晴らしいイベントですね。LA NINAのワインは6本セットで25,920円するので、スペシャルプランはかなりお得なのではないかと思います。


なお、こちらの近畿日本ツーリストさんでは、現在実施されている「マチュー・ガニオに出逢うパリ・オペラ座の夕べ」も旅行企画・実施されています。こちらのイベントの模様は「DANCE MAGAZINE」「クロワゼ」でレポートされるとのことで、それも楽しみですね。

近畿日本ツーリストのエンタメ専用サイト
http://entame.knt.co.jp/


また、ニーナ・アナニアシヴィリは、K-BALLET COMPANYの「白鳥の湖」に出演します。
http://www.k-ballet.co.jp/performances/swanlake2013

11月2日(土) 昼公演、11月4日(月)昼公演 Bunkamuraオーチャードホール
11月10日(日)昼公演 大阪フェスティバルホール

もう二度と見られないと思われたニーナの白鳥全幕を観る貴重な機会です。

2013/10/01

ボリショイ・バレエの「海賊」、10/15にイオンシネマで上映/追記 ボリショイバレエの映画館上映予定(さらに追記あり)

イオンシネマのサイトに、ボリショイバレエ 「海賊」の上映情報が掲載されています。

http://www.aeoncinema.com/cinema2/all/movie/E0000292/index.html


10月15日(火)公開予定と記載されています。上映予定映画館のリストも上記サイトにあります。
(みなとみらい ・むさし村山 ・ユーカリが丘 ・茨木 ・浦和美園 ・海老名 ・各務原 ・熊本 ・御経塚 ・港北ニュータウン ・広島 ・弘前 ・高の原 ・三田ウッディタウン ・市川妙典 ・守谷 ・春日部 ・新潟西 ・新百合ヶ丘 ・西大和 ・多摩センター ・大高 ・津 ・板橋 ・福岡 ・福島 ・名取)

また、公式サイトのリンク先が「シアタス・カルチャー」のサイトになっているため、英国ロイヤル・バレエ&オペラを上映している「シアタス・カルチャー」の上映なのではないかと思われます。

現地ですでに上映され、また今年の11月にも映画館で上映されるこちらの「海賊」(ラトマンスキー振付)の映像だと思います。

http://www.pathelive.com/fr/sp/spectacles/le-corsaire-1

Musique Adolphe Adam
Chorégraphie originale Marius Petipa
Reconstitution Alexeï Ratmanski et Yuri Burklava
Nouvelle version chorégraphique: Alexeï Ratmanski

Avec Svetlana Lunkina (Médora), Ruslan Skvortsov (Conrad), Nina Kaptsova (Gulnare) ルンキナ、スクヴォルツォフ、カプツォーワ出演。

ロイヤル・バレエの作品のように、イオンシネマ以外の系列でも上映されるかどうか、また何時からの上映なのか気になりますね。さらには、ボリショイ・バレエの他の作品の映画上映もあるのかどうかも。ぜひこの「海賊」、大きなスクリーンで観たいです。


なお、英国ロイヤル・バレエの「ドン・キホーテ」の上映は10月17日に予定されています。こちらは、本日(9/30)が初日であり、またカルロス・アコスタによる新版でゲネプロの評判も上々だったので、とても楽しみです。マリアネラ・ヌニェスとアコスタ主演。

http://youtu.be/F52rC2skqSA

追記:コメントで情報を頂きました。(ありがとうございます!)

映画館で配布していた別冊シアタスマガジンによると、
ロイヤルオペラハウスの中継は、
12月13日くるみ割り人形 1月28日ジゼル 3月20日眠れる森の美女 4月30日 冬物語

ボリショイの収録上映は、10月15,16,20日の3日間が海賊
11月13,14,17日がスパルタクス 
27,28,30日が眠れる森の美女
2月26,27日がジュエルズ 
3月5、6日 ロスト・イリュージョン(「幻滅」、ラトマンスキー振付の新作) 
5月14,15日黄金時代

ロイヤルは3500円([前売券] 3枚セットで9000円)、ボリショイは3000円([前売券] 3枚セット7,500円)だそうです。

ということで、ボリショイの上映は素晴らしいラインアップですね。シアタスカルチャーの公式サイトでの発表が待たれます。

追記:。シアタスカルチャーの公式サイトにも出ました。
http://www.theatus-culture.com/bolshoi/

海賊以外は新しい収録です。
上演演目の詳しい解説はこちらです。
http://www.pathelive.com/fr/saisons/ballet-du-bolchoi-2013-2014

予告編
http://youtu.be/MwDsddvPo2E

「スパルタクス」の出演は、ロブーヒン、ニクーリナ、ヴォルチコフ、ザハロワの予定です。

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