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« ハイディ・リオムが逝去 | トップページ | ユニバーサル・バレエ2014年1月来日公演 »

2013/10/11

10/3 シュツットガルト・バレエ「Made In Germany」

10/2~7の日程でシュツットガルトに行ってきました。

http://www.stuttgart-ballet.de/schedule/made-in-germany/

コンテンポラリー作品のミックスプロ。ゲッケ、シュプック、ビゴンゼッティなどある程度知名度のある作品から、若手振付家、現役のダンサーの作品までバラエティに富んだプログラム構成。このプログラムは、11月にロンドンのサドラーズ・ウェルズでの公演でも上演される予定だが、まったく同一の作品というわけではなくて、いくつか作品の入れ替えがあり、クランコの「イニシャルR.M.B.E」や「椿姫」の黒のパ・ド・ドゥなどを上演する予定だとのこと。

シュツットガルト・バレエは、Noverre-Societyという組織が主催する「若手振付家の夕べ」を毎年行っており、その中から、ノイマイヤー、キリアン、フォーサイスなどの振付家が育っていったという伝統がある。コンテンポラリー作品もカンパニーの重要な柱の一つであり、今回の12作品はすべてシュツットガルト・バレエのために振りつけられた作品であり、そして振付家の多くがこのバレエ団のダンサーであったという意味でも、非常にユニークな公演であった。


Ssss... (Solo) ギルティ
Choreography: Edward Clug
Music Frédéric Chopin
Dancer:
Marijn Rademaker

今年の「マラーホフの贈り物」でも上演されたソロ。今年の2月に初演されたばかりの作品「Ssss... 」の一部で、デニス・マトヴィエンコのためにエドワード・クルーグが振付を手直ししたものにさらに修正を加えている。ショパンの美しいピアノ生演奏に合わせて、ラドマーカーのクールでありながら抑制された熱情が伝わってくるような、上場的かつスピーディな動きが映える一品。


Fancy Goods ファンシー・グッズ
Choreography: Marco Goecke
Music Sarah Vaughan
Dancers:
Freidemann Vogel
Jesse Fraser, Clemens Fröhlich, Fabio Adorisio, Roger Cuadrado, Cédric Rupp

2009年4月のリード・アンダーソン誕生日記念公演のために振りつけられた作品で、2010年にはシュツットガルト・バレエ50周年記念ガラでも上演された。サラ・ヴォーンのジャジーな歌声に合わせてマルコ・ゲッケらしい痙攣系の動きが見られる前半、後半にはショッキングピンク色のファン(扇)を持った群舞が現れて華やかにしていくというもの。フォーゲルの動きはしなやかなのだが、多分彼はゲッケの踊りを踊った時が一番似合っているし生き生きしているのではないかと思う。


Kazimir’s Colours (Pas de deux) カジミールの色
Choreography: Mauro Bigonzetti
Music Dmitri Schostakowitsch
Dancers:
Rachele Buriassi
Arman Zazyan

ビゴンゼッティ振付のこのパ・ド・ドゥは、日本でも多く踊られているのでおなじみ。ショスタコーヴィッチのピアノ・コンチェルトに合わせて、彫刻的な形を作りながら、ゆっくりとしたよどみない動きが展開される。非常に音楽的な振付なのだけど、この二人はややぎこちなかったか。


Little Monsters リトル・モンスターズ
Choreography: Demis Volpi
Music Elvis Presley
Dancers:
Elisa Badenes
Daniel Camargo

「クラバート」の大成功で、専任振付家となったデミス・ヴォルピ。これは、2011年のエリック・ブルーン・プライズのためにバデネス、カマルゴのために振りつけられた作品で、このコンクールで振付賞を受賞したことで、一躍彼の名は有名となった。エルヴィス・プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」など3曲を使用した作品で、長身の男性と小柄な女性のミスマッチも楽しむ、かわいらしくてユニークな作品。とても個性的で魅力的だ。男性ダンサーの真後ろに隠れるように登場した女性ダンサーの腕だけが現れてなぞったりひらひらしたり。エリサ・バデネスのコケティッシュな魅力も大きい。


Le Grand Pas de Deux ザ・グラン・パ・ド・ドゥ
Choreography: Christian Spuck
Music Gioacchino Rossini
Dancers:
Alicia Amatriain
Jason Reilly

これはもちろん、いろんなダンサーが踊っているので有名な作品。でもジェイソンとアリシアが踊った時が一番面白いし笑える気がする。特にアリシアのユーモアのセンスは抜群で、彼女の可愛さとドジっ子ぶりにはだれもが笑ってしまうことだろう。ジェイソンも、ちゃんと踊っているところでは本当に踊りが美しいんだけど、この二人で組むと可笑しくてたまらない。ジェイソンが牛と対話するところも、絶妙の間が最高。


Symph シンフ
Choreography: Katarzyna Kozielska
Music Ludwig van Beethoven, Antonio Vivialdi u.a.
Dancers:
Myriam Simon, Oihane Herrero Magdalena Dziegielewska Jelena Bushuyeva
Constantine Allen, Daniel Camargo, Pablo von Sternenfels, Robert Robinson

カタルツィナ・コツィエルスカは、女性デミ・ソリストなのだが、いくつか作品を振りつけている。こちらの作品は、今年の1月の若手振付家の夕べのために初演されたもの。いきなりベートーヴェンの「運命」を使っていてびっくりするが、この音楽に合わせるものとは思えない振付にまたびっくり(他にヴィヴァルディも使用)。4組の男女が繰り広げる作品で、構成は巧みで面白い。

Allure アリュール
Choreography: Demis Volpi
Music Nina Simone
Dancers:
Hyo-Jung Kang

ヴォルピの作品をもう一つ。ヒョジュン・カンが踊ったスタイリッシュなソロ。コンテンポラリーに強い彼女らしい、スピーディで、それなのに女らしくてセクシーさもある。こちらの作品はそれほど個性が際立っているわけではないのだが、ヒョジュンの新たな魅力を見せてくれた。


Are you as big as me? アー・ユー・ビッグ・アズ・ミー?

Choreography: Roman Novitzky
Music Hazmat Modine
Dancers:
Matteo Crockard-Villa
Jesse Fraser
Alexander McGowan

これも現役ダンサー、ソリストのロマン・ノヴィツキーによる作品。3人の若い男性ダンサーがそれぞれスポットライトに立ち、三馬鹿大将って風情でユーモラスな動きを見せてくれる。半分コントみたいだけど、とてもキュートだ。(この作品はロンドンでは上演しないとのこと)


Äffi エフィ 
Choreography: Marco Goecke
Music Johnny Cash
Dancer:
Marijn Rademaker

去年の世界バレエフェスティバルで上演され、テレビ放映もされたので観た人も多いだろう。少し振付に手を入れたようで、少々違っていたところがあった。口笛を吹くところも少し長くなっている。マライン・ラドマーカーは少し痩せたようだった。この作品、長すぎる、背中ばかり見せていて面白くないと感じた人が日本では多かったようなのだが、なんとも言えないせつなさ、哀しみと熱情がこもっていて私は好きなのだ。観客の拍手もとても熱かった。


Fanfare LX ファンファーレLX 
Music Michael Nyman
Choreography and stage design: Douglas Lee
Dancers:
Anna Osadcenko
Alexander Jones

こちらもガラでよく踊られているし、日本でも上演されたことがあるので知っている人もいるだろう。非常にスピーディでダイナミックでパワフルで、ダンサーの柔軟性とパートナーシップが求められる。アンナ・オサチェンコはこれを踊ると強靭でしなやかで大胆で本当に素晴らしい。ただアレクサンダー・ジョーンズは、この作品には向いていないかもしれない。彼はもう少し王子様系のダンサーで、テクニックもしっかりしているのだけど、いい意味で品がありすぎてちょっと違和感があった。

これはサドラーズ・ウェルズのサイトにアップされている映像。アンナ・オサチェンコとエヴァン・マッキー。


Mono Lisa モノ・リサ 
Choreography: Itzik Galili
Musical concept and composition Thomas Höfs with Itzik Galili
Dancers:
Alicia Amatriain
Jason Reilly

去年の世界バレエフェスティバル、それからマラーホフの贈り物でも踊られている、タイプライターの音を使ったハイパーパワーの作品。いろんなダンサーが踊っているけど、これに関しては、このアリシア・アマトリアンとジェイソン・レイリーが最強。アリシアの驚異的な柔軟性、よく開く股関節と突き刺さるようなエクステンションそしてエキセントリックさ。シャツを脱いだ時のジェイソンのセクシーな肉体とサポート力の強さ、スピード感。二人とも音感が抜群なのもいい。この日一番多くの喝采を集めたパフォーマンスだった。


das siebte blau (Finale) The seventh blue
Choreography: Christian Spuck
Music Franz Schubert
Dancers:
Rachele Buriassi, Oihane Herrero, Miriam Kacerova, Anna Osadcenko Alessandra Tognoloni, Elisa Badenes, Angelina Zuccarini
Damiano Pettenella, Roland Havlica, David Moore, Jesse Fraser, Robert Robinson, Arman Zazyan, Roman Novitzky

クリスチャン・シュプックの作品で、基本的にはよくあるネオクラシックの作品だが、ブルーをベースにした衣装が素敵。パ・ド・ドゥも登場する。四重楽奏は生演奏で非常に耳に快く、振付もとても音楽的。14人のダンサーが登場するので、群舞の処理が非常にうまい。今回上演された作品の中では古い部類に入る、2000年の作品だけどやはり少々の古さは否めない。

今回のガラで一番面白いと感じたのは、デミス・ヴォルピの「リトル・モンスター」。とても個性的でかわいらしく、音楽の使い方も実にうまいし、若い二人のダンサーの魅力を生かしている。まだ20代半ばの彼が今後どんな作品を創っていくのか、非常に楽しみだ。ダンサーで言えば、今このバレエ団のスターはやはりアリシア・アマトリアンとジェイソン・レイリーなんだと実感。(出ていないプリンシパルも何人もいるけど)彼らの魅せる力というのは圧倒的。シュツットガルト・バレエは積極的に若手を起用する方針ということなので、これからどんどん若い人が出てくるのだろうけど、彼らレベルはそう簡単に出てこないだろう。その中でもちろん注目は、エリサ・バデネスとダニエル・カマルゴだ。

公演の舞台写真
http://www.stuttgart-ballet.de/schedule/made-in-germany/images/

休憩込みで3時間半にも及ぶ公演は楽しくて、振付も一定のレベルが保たれているので退屈する時間はほとんどなかった。英国のサドラーズ・ウェルズの観客にもウケることだろう。

なお、この公演は、15年以上シュツットガルト・バレエで活躍してきたソリスト、オイハネ・ヘレーロの最後の公演だった。この日のプログラムでも強靭なテクニックと表現力を見せたし、ロミオとジュリエットの3人の娼婦やジゼルのミルタ、じゃじゃ馬ならしの街の女などで個性的な演技を見せてくれた魅力的なバレリーナが舞台を去るのは寂しい。最後にカーテンコールで団員たちからも温かい拍手を浴びていた。

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コメント

お久しぶりです。
シュツットガルトは昨年の《白鳥の湖》公演で非常に感銘を
受けたのですが、現地で見てこられるとは羨ましいかぎりです。

《7番目の青》という作品はカルテット演奏ということですが、
シューベルトのどの曲が使われたのでしょうか?
もしご存知ならお教えください。

パドドゥも登場して、題名に(Finale)が加えられているのも
気になるところです(一部使用?)。
たぶん7番目のペアがパドドゥを踊るんでしょうねえ(笑)

やすのぶさん、こんにちは。

「7番目の青」なのですが、プログラムにはどの曲なのか解説はありませんでした。この演目に関する記事を調べてみたところ、おそらく「死と乙女」からのようです。私はあまり音楽に詳しくないので、確信は持てないのですが、聴いてみたところ、やはりそのようでした。かなりスピーディな振付になっています。

ちなみに、今回踊られた部分ではないですが、ごく短い動画がアップされています。
http://youtu.be/49YWYs03BcI

早速のご回答ありがとうございます。
動画の方は《死と乙女》第1楽章の第2主題の部分です。

というと
das siebte blau (Finale)
という標題から見て《死と乙女》第4楽章が踊られたんでしょうかねえ・・・
登場人物から推測すると《7つ(7組)の青》みたいに思えるのですが、
なぜ《7番目の青》なのかダンスの中から推測できますか?

ダンサーの中に去年日本でオデット・オディールを踊ったオサチェンコがいますねえ。

さらに、上の動画では、あのときの相手役マッキーとのデュエット。《白鳥の湖》
の時と違ってなんか生き生きしてるよう!最後の決めポーズなんてすごい!
こんな風にオディールをやったら日本でも大喝采だった・・・かも・・・・(笑)

やすのぶさん、こんにちは。

そうですね、やはり「死と乙女」でした。第4楽章だったかと思います。7番目の青なのはなぜだったかは、ちょっとわかりません。女性の衣装はすべて青ベースで、2パターンありました。一つのソリストカップルがあるわけではなくて、3組のペアはそれぞれパ・ド・ドゥを踊るものとなっています。

アンナ・オサチェンコは、来日公演の時は調子が悪かったようですね。一昨年12月に白鳥を見たときにはちゃんと32回グランフェッテを回っていましたし。今回の「ファンファーレLX」もガンガン踊って見事なものでした。素晴らしく美しい脚の持ち主なんですよね。

僕はnaomiさんのようには豊かな鑑賞体験も該博な知識も
全く持ち合せてはいませんが、あのときの印象(びわ湖)と
わずかな映像からみて、この団は非常にクランコに傾倒し
クランコを踊ることに矜恃を持っているように感じています。
(だから装置や振付を当時のまま一切変えようとしないという印象)
それで32回転はあのように踊るようにクランコが振付けた
のだと理解していたのですが、御当地ではちゃんと32回廻って
いたというお話からすると、あれは本当に不調でああなった
と理解すべきなのでしょうか?

びわ湖ではただ回るだけでなく、どんどん移動して行き
あと数回転でオケピに落ちそうなくらいだったですよ。
それに今回見せていただいたオサチェンコの映像から見ても、
あるいは、東京では不調のアイシュヴァルトの代役を彼女が
務めたということからしても、有能なプロのダンサーにとって
32回転というのはそんなに難しくて行き当たりばったり
なものなんでしょうかねえ?疑問です。

やすのぶさん、こんにちは。

シュツットガルト・バレエの場合、大体4本くらいの柱があって、クランコ作品、古典、それ以外の物語バレエ、そして現代作品の新作です。今シーズンは、特に現代作品の新作に力を入れていて、古典は「ジゼル」しか踊りません。もちろん、古典も踊るカンパニーですし、今回は公開クラスレッスンも見たので、毎日行うクラスレッスンは古典のテクニック中心に行います。公開レッスンだったので、アリシア・アマトリアンが特別サービスでグランフェッテを64回も回ってくれました。

アンナ・オサチェンコも、基本的にはテクニックはしっかりしている方なので、普段はグランフェッテ32回くらい全然問題ないわけですが、来日公演のときにはいろいろあって特に不調だったようです。(アイシュヴァルトが降板したのは不調というわけではなかったようで、いろいろ事情があったようですが、詳しくは知りません)グランフェッテはプロのバレリーナでもかなり緊張するテクニックのようで、先日の「マラーホフの贈り物ファイナル」でも、オルガ・スミルノワが黒鳥のグランフェッテで途中でトウが落ちてしまっていったん中断し、再度やり直すということがありました。

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