Clara for Boys Dancin' ダンシン vol.1
初めての男の子向けのバレエ雑誌「ダンシン」が創刊されました。
http://www.shinshokan.co.jp/mag/dc001/
男の子がバレエを習って踊ることがカッコイイことだというメッセージが込められている雑誌で、とてもよく作られていると感じました。まだバレエを始めていない子でも、思わず背中を押されるような。
男性バレエダンサーといえば熊川哲也さん、というわけでまずは熊川さんのインタビュー。少年時代、バレエを始めた頃の話から、体型の話。彼にとってのヒーローはやはりバリシニコフとヌレエフでした。自分に与えられた条件の中で100%の力を出し、「唯一無二の尊者になるんだ!」と心を決めた人は強い、というメッセージを最後に出してくれました。
インタビューは、他に、新国立劇場バレエ団の厚地康雄さん(秋からバーミンガム・ロイヤル・バレエに移籍)、牧阿佐美バレエ団の篠宮佑一さん、そして「ドリアン・グレイ」に主演した大貫勇輔さん。長い脚の厚地さんはひときわかっこいいです。大貫さんは20歳からクラシックバレエを始めたとのことですが、脚もターンアウトするようになったそうです。
そして真打は、もちろん、ロイヤル・バレエのスティーヴン・マックレー。90ページのこの雑誌の約半分のページ数を占めるコミック「バレエヒーロー・ファンタジー ダンの冒険」(足立たかふみ作、監修:スティーヴン・マックレー)の構想について語ってくれています。スティーヴンの方から、足立さんに「バレエの漫画を描いて欲しい、それもバレエヒーローが出てくるファンタジーを」とお願いしたとのこと。もともとスティーヴンは足立さんの漫画のファンだったそうです。バレエの持つマジカルな力とファンタジーは相性が良いと考えていたそうで。この作品にこめたスティーヴンと足立さんのメッセージは一つ、読者に「希望」を与えたいということ。子供たちには「夢」「成長」「チャレンジ」などのポジティブなことを考えて欲しいという願いを込めているそうです。
その「バレエヒーロー・ファンタジー ダンの冒険」ですが、荒唐無稽ながらも、とても楽しめる作品で、しかも作り手がバレエのことをよく理解し、愛していることが伝わってきます。幻想の世界「ダンスワールド」を破壊しようとする邪悪な「虚無」の手下たちと、ダン、そしてマックレー先輩が戦います。虚無-イビルアイは、感動しない冷めた心。ダンスワールドを救うためにダンスの力でイビルアイと闘う、選ばれたダンサーがバレエヒーロー、というわけ。1回目では、ダンスワールドの中の「くるみ割り人形」の世界が舞台となっています。子供から大人まで楽しく読めるエンターテインメント性あふれる作品なので、幅広い読者層に読んでもらった方がいいかな、とも思うのですが、この雑誌の目玉であることは間違いありません。
また、バレエを習う上で実際に役に立つ情報もたくさん。K-Balletスクールや東京バレエ学校などの生徒たち、そしてボーイズクラスを設置している各地のバレエ教室で学ぶ子たちの様子を伝えてくれています。テクニック図鑑では、付録のDVDでも、バレエテクニックのハウツーの解説をしていて、スローモーションの映像も見せてくれているので参考になりそうです。ストレッチの方法も、誌面だけでなく動画で見ることができます。特別付録DVDには、「マチュー・ガニオのノーブルバレエクラス」のダイジェスト映像も収録。というわけで、盛りだくさん、とてもお得な感じで力の入った一冊。3ヶ月に一回の発行だそうですが、ぜひずっと続けて欲しいと思います。
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コメント
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まさか男性バレエダンサー向けの雑誌が刊行されようとは隔世の感です。
男性といっても対象は男の子なのでしょうけれど。
バレエ教室の敷居をまたごうか悩んでいる少年の勇気になるといいですね。
妄想中年おやじダンサーも思わずポチしましたw
投稿: F | 2013/08/12 22:11
Fさん、こんばんは!
ほんと、男性向けバレエ雑誌が誕生するとは、隔世の感ですね~。世界でも初めてのことでしょうね。これを見て、バレエを習い始める男の子が増えるといいですよね。私の教室にも、私と同年輩の男性の方が来ていますよ。Fさんは最近はおケイコはいかがですか?
投稿: naomi | 2013/08/12 23:09