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« 7/20 ボリショイ・バレエ「オネーギン」 Bolshoi Ballet "Onegin" | トップページ | セルゲイ・フィーリンの復帰予定 »

2013/08/02

7/21 ボリショイ・バレエ「オネーギン」 Bolshoi Ballet "Onegin"

ボリショイ・バレエの「オネーギン」の最終公演にして、ボリショイ劇場でのシーズン最後の公演。ザハロワが降板したため、キャストがかなりシャッフルされてしまい、当初ザハロワと踊る予定だったデヴィッド・ホールバーグは、結局この1公演のみ、オネーギン役を踊った。

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21 July 2013

Onegin David Hallberg
Lensky, Onegin’s friend Ivan Alekseev
Madame Larina, a widow Anna Antropova
Tatiana, Larina’s daughter Evgeniya Obraztsova
Olga, Larina’s daughter Dariya Khokhlova
Their Nurse Irina Semirechenskaya
Prince Gremin, a friend of the Larina family Alexander Vodopetov

「この時代のロシアの貴族は口髭を生やさない」のがロシアでの正しい解釈らしくて、ボリショイ・バレエの団員でこの役を演じた人は全員髭をつけなかったようである。(ゲストのマルセロ・ゴメス、およびエヴァン・マッキーは最終幕で髭をつけていた)

デヴィッド・ホールバーグは、すらりとしていて脚のラインがきれいで、踊りもクラシックでエレガントなダンサーだ。最初のソロを観て、しなやかな踊り、伸びたつま先はとても美しいと感じた。ボリショイに移籍したためか、以前のパリ・オペラ座学校で学んだ経験から得られるエレガンスが少し影を潜め、ボリショイ的な、大きな踊りに変化しているように見受けられた。彼は大変な美貌の持ち主ではあるのだけど、少々こわもてで、金髪のために眉毛も薄いこともあり、表情を読み取るのが最初のうち特に困難であった。そして彼のオネーギンは、非常に美しく貴族的なのだけど、とても真面目そうで遊びの部分がすくない。ものすごく気合を入れて演じているのが感じられるのだが、それが少々息苦しく感じられた。シリアスすぎて、余裕がなくて、鏡のシーンなどでも笑顔がほとんど見られないのだ。幕が進むにつれて、その表情の硬さは取れて来て、演技もオネーギンらしくなってきたのだが。2幕の決闘でレンスキーを殺めてしまったあとの呆然とする表情は、彼の大きな青い目が訴えかけるようで、強いインパクトがあった。

3幕でエフゲニーが少し年をとって登場したところでは、髭がない上、金髪のため白髪が混じったかどうかがわからなかった。原作通り、3幕でもオネーギンはまだ20代だったという設定で進めたようであった。エフゲニーがタチヤーナに寄せる絶望的な愛、その愛の持つ重みに彼は苦しんでいたようで、あの青い大きな瞳を見開き、タチヤーナへの想いを必死に伝えようとしていた。だが、このペアの最大の問題は、ケミストリーがほとんど感じられなかったことである。急にザハロワが降板することになってしまって、パートナーが変更になってしまったホールバーグにとっては、不運だったとしか言いようがない。

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オブラスツォーワは、別キャストでもタチヤーナを演じているのだけど、今回のホールバーグとの相性はあまり良くなかったように感じられた。長身の彼と並ぶと彼女は小柄すぎて、非常にサポートしづらく見えてしまい、息があっていなくて鏡のパ・ド・ドゥのパートナーリングも今ひとつに感じられた。クールな持ち味のデヴィッドと、やや暑苦しい演技のオブラスツォーワでは、最終幕の手紙のパ・ド・ドゥでの演技もしっくりこないところがあった。オブラスツォーワはとても熱演しているし、デヴィッドも愛を迫っているのに、お互いへの愛というよりは、この状況に酔っている二人、特にオブラスツォーワはそう見えてしまったのだ。音楽の演奏のテンポもとても遅くて、特に鏡のパ・ド・ドゥでの高揚感や疾走感が損なわれていた。

一幕のオブラスツォーワは大変可愛らしく、まるでジュリエットのようなタチヤーナだった。本の虫の少女には全然見えないのだけど、一方でロマンティックな妄想を抱きそうな、夢見る夢子さんにはしっかりと見えた。なので、鏡のパ・ド・ドゥでの彼女は伸びやかで魅力的に見えたけど、違うストーリーの作品を見ているようにも思えた。2幕でエフゲニーに振られて泣いている様子は可哀想には見えたし、決闘シーンのあとで彼を問い詰める姿にある変貌ぶりは良かった。3幕での貴婦人姿も、若々しいものの美しく成長した姿は伺えた。だが、長い手脚を誇るデヴィッドと踊るには、彼女はやはり四肢が短すぎて彼とのバランスが悪いので、パ・ド・ドゥを踊っても映えないのだ。踊りそのものは、テクニックはとてもしっかりしていて、身体はしなやかでよく歌っているのだけど、あまりにもスタイルが古典的すぎて、古典バレエ作品ではない「オネーギン」には合わない部分が見受けられた。そしてラストでの、微妙に感情がすれ違っていて燃え上がらない感じが惜しい。熱演していたのはとてもよく伝わってきたものの、二人とも、別のパートナーで観たらきっと良かったんだろうなと感じたのであった。

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レンスキー役のイヴァン・アレクセーエフは、オルガ役のダリア・コホロヴァとよくコミュニケーションをとっていて、1幕で登場した時には心温まるペアだった。若々しく少し不器用でまっすぐなレンスキーは、オネーギンに挑発されてカッとする演技も、朴訥さが表れていて好感が持てたが、決闘前のソロは少し不安定なところがあった。ボリショイのダンサーならではの、長い脚や柔軟な上体は好ましかったので、今後の成長に期待したい。コホロヴァもテクニックがあって上手いダンサーではあるけど、前日のオサチェンコのようにこの役を踊りこんでいるわけではない。二人とも、伸びしろのある活きの良いダンサーなので、これからを見守っていければと思う。

全体的には、ロシアのバレエ団ならではのロシアン・フレーバーが「オネーギン」の物語に漂っていることは魅力的だったし、群舞のクオリティも非常に高かったので、出来はよかったのではないかと思う。しかし、ホールバーグに似合うのはやはりザハロワだったと感じてしまった。ザハロワ自身は、前日のシュツットガルト組の上演の時には客席で観ていたらしいので、来シーズンの「オネーギン」上演の際には、彼女が踊るという機会もあるかもしれない。つくづく、この作品は、個別のダンサーが良くても、組み合わせ、そしてパートナーシップが良くなければ魅力が半減すると思った次第である。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

「オネーギン」続報、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、ホールバーグにはザハロワがぴったりでしょうね。ほんとに美しいカップルですから。
次回はぜひこのふたりの「オネーギン」が実現してくれることを祈ります。
ドラマ性が高い作品なので、共演するカップルの相性がポイントになるんでしょうね。
オブラスツォーワは、パリ・オペラ座での「ラ・シルフィード」では絶賛されたようですが、
古典以外の作品にもどんどんチャレンジして、幅を広げてほしいです。
それにしても、モスクワの空気はいかがでしたか。
ロシアの豊潤な文化に触れられて、リフレッシュされましたか?
うらやましい限りです。
日本は猛暑が続いています。お体ご自愛くださいね。

ショコラ・ショーさん、こんにちは。

どうも来シーズン、次回の「オネーギン」ではザハロワが出演するんじゃないかという噂が流れていますね~。蓋を開けてみないとわからないけど。

オブラスツォーワは、基本ロマンティックバレエのバレリーナだと思います。「ラ・シルフィード」などはまさにハマり役で評価が高いのもうなずけるけど、コンテを踊っているところは全く想像できないし、手脚がすごく短いので白鳥などは踊ることがあっても彼女の役ではない気がします。タチヤーナ役を見ても、とにかく手脚が短くてちょっとバレリーナとしてあるまじきと思うほどでした。本人は女優バレリーナを目指しているようだけど、うーん…。イクサーノフが辞めさせられて彼女の立場もどうかな、と思ったけどやはりフィーリン派ですからね。

モスクワは例年に比べて気温が低いらしく、雨ばかりに見舞われました。時々晴れ間はあったのですが…。でも、とにかく文化遺産がものすごく充実しているところなので、芸術的な空気はいっぱい吸えて良かったです。英語表記など皆無なのでちょっと苦労しましたが、また行きたいと思う場所でした。

写真見ての感想ひとこと「うわ、、、オブラスツォーワのタチヤーナ、似合わねえ~!」

ボリショイ劇場バレエがオネーギンをレパートリーにすることは大きな意味があるし、素晴らしいことだと思います。クランコ版オネーギン自体、バレエ史に残る素晴らしい作品です。

しかし、、、最近の世界中のバレエ団の風潮、流行り言葉でいうところの「なんだかな~」と感じるんです。ジェーンとリード・アンダソンが何を考えているか知らないけれど、どっこもかしこも(例えば中国国家中央バレエ団みたいな「オネーギン」を演じるのに相応しくないアホ団員ぞろいのバレエ団までが!)クランコのオネーギン、クランコのオネーギン・・・。つまらない世の中ですね。どこも同じ→これが芸術の世界で良いことのわけがないんです。


ちょうちょさん、こんばんは。

おっしゃる通りなのではないかと思います。ほかにも、オネーギンを上演するのにふさわしくないカンパニーはありますよね。ボリショイがオネーギンを上演することは、プーシキンの国であることからも、もちろん意義はあると思います。でも、せっかくボリショイまで観に行くんだったらほかのバレエを観れば良かったかも、と一瞬思いました(笑)。オブラスツォーワは上手で良いバレリーナだと思いますが、タチヤーナはちょっと違っていたと思います。

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