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« ボリショイ・バレエの「オネーギン」キャスト/追記あり(ザハロワ降板) | トップページ | ロイヤル・バレエの昇進・入団発表 »

2013/07/03

6/21 シュツットガルト・バレエ「Meisterwerke」

バランシン「フォー・テンペラメント(四つの気質)」、ロビンス「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」、そしてテトリーの「春の祭典」という20世紀作品のトリプルビル。プリンシパルを多数投入した、大変豪華なキャスティングだった。

この日は、18年間シュツットガルト・バレエで活躍したアレクサンドル・ザイツェフの、バレエ団での最後の公演だった。彼は3作品すべてに出演して、渾身の踊りを見せてくれた。引退公演を迎えるにあたってのダンスキューブでのインタビュー記事も併せてお読みください。

グレン・テトリー版『春の祭典』を踊ってシュツットガルトを去る サーシャ・ザイツエフに聞く(エヴァン・マッキーによるインタビュー)
http://www.chacott-jp.com/magazine/world-report/from-stuttgart/stuttgart1305ja.html

Meisterwerke
http://www.stuttgarter-ballett.de/spielplan/2013-06-21/meisterwerke/


DIE VIER TEMPERAMENTE (The Four Temperaments) 「フォー・テンペラメント(四つの気質)」
振付: George Balanchine
音楽: Paul Hindemith: Thema mit vier Variationen für Klavier und Streichorchester, The Four Temperaments 「4つの気質 ピアノと弦楽オーケストラのための主題と変奏」
衣装: Kurt Seligmann
初演: 20. November 1946, Ballet Society, New York
シュツットガルト・バレエでの初演  5. Dezember 1996
ピアノ演奏: Andrej Jussow

1. THEMA Oihane Herrero, Damiano Pettenella
2. THEMA Katarzyna Kozielska, Arman Zazyan
3. THEMA Miriam Kacerova, Roman Novitzky
MELANCHOLISCH (メランコリック=憂鬱) Alexander Zaitsev  Elizabeth Wisenberg, Angelina Zuccarini, Daisy Long, Ji Woon Kwon, Nathalie Guth
SANGUINISCH (サンギニック=快活) Alicia Amatriain, Evan McKie Heather MacIssac, Mariya Batman, Aiara Iturrioz Rico , Ruiqi Yang
PHLEGMATISCH (フレグマティック=無気力) Marijn Rademaker Ami Morita, Alessandra Tognoloni, Rocio Aleman, Anouk van der Weijde
CHOLERISCH (コレリック=癇癪) Rachele Buriassi

1946年初演のこの作品が今もなお、これほどまでにモダンだとは。アカデミックなバレエテクニックを使いつつも、シンプルで洗練されている。変幻自在で構築的なフォーメーションも面白い。なにより、ヒンデミットの音楽の使い方がとても斬新で、バランシンの先進性、天才性を感じる。出演者すべてが非常に音楽性が豊かで、スピーディな音楽にもしっかりと乗って、オフバランスするような大きな動きもぴったりと合っているのが観ていて気持ち良い。メランコリックのサーシャ(ザイツェフ)は、ひねりのある高い跳躍を見せて、若々しく生き生きとしている。サンギニックのアリシア・アマトリアンとエヴァン・マッキーは、サポートを多用したテクニカルな動きで、二人とも長い手脚を速いスピードで見事にコントロール。常軌を逸するほどの柔軟性と身体能力を見せ、そして音楽にぴったりと決めていて見事だった。組み合わせのバランスもとても良い。(余談だけど、この二人は来月のボリショイ・バレエの「オネーギン」に客演する予定) フレグマティックは、4人の女性ダンサーを従えたマライン・ラドマーカー。この人の音楽性も独特で、とてもソリッドで力強いのに不思議な色香がある。エッジの効いた動きを見せる4人のバレリーナたちとの絡み合い方がジャジーで刺激的だ。


DANCES AT A GATHERING 「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」

振付: Jerome Robbins
音楽: Frédéric Chopin
衣装: Joe Eula
照明: Jennifer Tipton
初演: 8. Mai 1969, New York City Ballet
シュツットガルト・バレエでの初演 29. November 2002
ピアノ演奏: Alexander Reitenbach

モーヴ Anna Osadcenko
ピンク Alicia Amatriain
グリーン Sue Jin Kang
アプリコット Angelina Zuccarini
ブルー Myriam Simon

ブラウン Alexander Zaitsev
グリーン Filip Barankiewicz
パープル Jason Reilly
ブリック(れんが色) Arman Zazyan
ブルー Alexander Jones

ショパンのピアノ演奏に乗せて、カラフルな衣装の男女5人ずつが繰り広げるプロットレスの作品。ストーリーはないのだけど、恋の鞘当て的なところがあり、時にロマンティック、時にユーモラスで時にはメランコリックに展開される。この舞台も、10人の出演者のうち実に8人がプリンシパルという豪華キャスト。ショパンらしく、ちょっとポーランド風のステップが入れられたり、同じ曲を使っているノイマイヤーの「椿姫」2幕に似た、バレリーナを投げてキャッチする振り付けがあったり、ソロ、ペア、トリオ、5人、など組み合わせも変幻自在で楽しい。光っていたのは、最初の方のアンナ・オサチェンコとフィリップ・バランキエヴィッチが、とても情感があって音楽性も豊かでロマンティック、素敵だった。後半になってからソロを踊るスージン・カンもさすがに魅せる踊りで、特に腕の柔らかさ、しなやかさは他の追従を許さない。女性3人が並んで踊るところでは、アリシア・アマトリアンの身体能力が目を引く。そしてサーシャ!ノリノリでジャンプも高く、元気いっぱいに音楽と戯れており、ジェイソン・レイリーとのポーランド舞踊の掛け合いも楽しい。出番は少ないものの、アレクサンダー・ジョーンズの優雅さと伸びやかさも好ましい。技巧系ソリストの二人、ブリックのアルマン・ザジャンとアンジェリーナ・ズッカリーニの闊達な動きは楽しかった。


LE SACRE DU PRINTEMPS 「春の祭典」

振付: Glen Tetley
音楽: Igor Strawinsky: Le Sacre du Printemps
衣装、装置: Nadine Baylis
初演:18. April 1974, Bayerische Staatsoper
シュツットガルト・バレエでの初演 14. April 1976

SOLO Alexander Zaitsev
PAS DE DEUX Anna Osadcenko, Jason Reilly
SOLO-PAARE Alessandra Tognoloni, Damiano Pettenella Oihane Herrero, Roman Novitzky

アレクサンドル・ザイツェフが最後の舞台に選んだのが、クランコ亡き後バレエ団の芸術監督に就任したグレン・テトリーの「春の祭典」。あまたあるバレエ「春の祭典」の中でも、特に激しい動きが多く爆発的なエナジーが放出される。3演目すべてに出演して、最後をこれで締めくくったサーシャの矜持を感じる。この「春の祭典」では持てるすべての力を出し切って、力強く、カリスマ性たっぷりに生贄役を踊った。ショートパンツ1枚の肉体も引き締まっている。特に最初のソロは背中を反らせての大きな跳躍の連続があって目を見張った。身体能力だけでなく、上半身のしなやかな動きを使い、身体で生命力を表現する表現力も必要な役柄なのだが、サーシャは、踊りに全てを捧げたような渾身の、魂のパフォーマンス。リフトの多いパ・ド・ドゥを繰り広げたアンナ・オサチェンコとジェイソン・レイリーも鮮烈な印象を残し、ソリスト陣始め、壮絶なこの作品を体力の限界まで踊った群舞まで、圧倒的な力でねじ伏せられるような舞台体験だった。

生贄が殉教者として高く捧げられ絶命するまで一瞬たりとも気が抜けないこの作品、数ある「春の祭典」の中ではこれより優れた振付はたくさんあると思う。ただ、ストラヴィンスキーのこの音楽の持つ原始的で根源的なパワーはすみずみまで感じられた。

カーテンコールでは、たくさんの花束を捧げられたサーシャ。芸術監督リード・アンダーソンが出てくると、後ろに大きな看板が降りてきて、彼のシュツットガルト・バレエでの18年間を讃えた。満員の観衆は総立ちとなり、誰もに愛されたサーシャとの別れを惜しんで拍手はいつまでも鳴り止まなかった。シュツットガルト・バレエでの舞台はこれが最後だが、引き続きダンサーとしては活動するとのこと。今後の彼に幸い多いことを祈る。

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