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2013/07/09

プーシキン美術館展 フランス絵画300年

7月6日より横浜美術館にて開催されている、「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」の夜間特別観覧会にお招きいただきました。

http://pushkin2013.com/

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本展は2011年4月に開催される予定だったのが、東日本大震災のために中止となった。その後、やっと今回開催できる運びとなったのだった。初日には、オープン前に230人もの人が行列を作ったということで、たいへん待ち望まれていた展覧会。

モスクワにあるプーシキン美術館は、65万点もの収蔵品があり、中でも17世紀から19世紀までのフランス絵画は世界屈指のコレクションを誇る。ロシア革命で国に接収された個人コレクションを、エルミタージュ美術館とともに分け合い、国民的な詩人・作家のプーシキン(「オネーギン」の作者)の没後100年を記念して、1937年に現在の名称に改められた。

その中から、選りすぐりの66点が出展。ロシア人が憧れたフランス文化の遺産、そして印象派最高の肖像画の一つである「ジャンヌ・サマリーの肖像」がこの展覧会の目玉である。

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18世紀の女帝エカテリーナ2世は、フランス人の啓蒙思想家と交流するなどのフランス通で、皇帝となって間もなく、莫大な資金を投じて美術品の収集を開始したのが、ロシアが充実したフランス絵画コレクションを有する理由の一つだ。

そして、19世紀から20世紀初頭にかけて、素晴らしいコレクションを築き上げたのが、イワン・モロゾフとセルゲイ・シチューキンという二人の実業家。繊維業で富豪となった彼らは、1918年のロシア革命で資産を国に接収されるまで、企業家兼大コレクターとして活躍した。シチューキンは無名時代のマティスやピカソを発掘し、マティスに大作《ダンス》と《音楽》を注文して、「マティスルーム」を自宅に作って飾り、本人を招いた。モロゾフは、ルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、ボナール、ドニを中心に、美術史の流れに沿った体系的なコレクションを作り上げた。革命で接収された彼らの自宅は、そのまま第一西洋近代美術館、第二西洋近代美術館となり、23年に国立西洋近代美術館となって、48年にこのコレクションがエルミタージュとプイーシキンに分割されることになったのだ。

(ところで、モロゾフは気の毒に、自分のコレクションが接収されたあと、自宅だった第二西洋近代美術館で学芸員と働いていたとのこと)

印象的な作品をいくつか紹介する。(写真は、夜間特別観覧会のため、特別に主催者の許可を得て撮影しています)

フランソワ・ブーシェ
≪ユピテルとカリスト≫
18世紀ロココ芸術を代表するブーシェの本領が発揮された美しい作品。ニコライ・ユスーポフ公爵が購入してロシアに持ち込んだ。

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ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル
≪聖杯の前の聖母≫
ニコライ皇帝1世の息子、アレクサンドル皇太子(のちのアレクサンドル2世)が、アングルに直接発注した作品。聖母マリアの後ろに、ニコライ1世とアレクサンドルの守護神を描いている。マリアの首を長く、手を大きく描くなど、実際の人体に変形を加えて、優美さを表現した作品。マリアの静謐で気品あふれる表情がとても印象的。

クロード・モネ
≪陽だまりのライラック≫
印象派特有の、きらめく光の効果を追求し色彩のハーモニーを表現した作品。シチューキンの印象派コレクションの中でも最初のほうに購入された。

ピエール=オーギュスト・ルノワール
≪ジャンヌ・サマリーの肖像≫
コメディ・フランセーズの人気女優だった当時20歳のジャンヌ・サマリーを描いた。肖像画に印象派の手法を応用している。暖色系の色彩に、モデルの愛らしさが表現されていて幸福感を与えてくれる作品。モロゾフがパリの画商から購入した。

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エドガー・ドガ
≪バレエの稽古≫
右側に張り出した螺旋階段が独特の効果をもたらしている。床を多めに描き、アラベスク・パンシェをする二人のバレリーナのシルエットが連なっている様子と窓から差し込む光の効果が素敵。

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フィンセント・ファン・ゴッホ
≪医師レーの肖像≫
耳を切って神経症を患い入院したゴッホを治療した医師、フェリックス・レー。彼への感謝の気持ちをこめて、ゴッホは肖像画を描き贈るが、レーはこの絵を気に入らず、鶏小屋の穴を塞ぐのに使っていた。売り払われた絵を、シチューキンが購入。力強い線とバックの地模様が印象的。


ポール・ゴーギャン
≪エイアハ・オヒパ(働くなかれ)≫
左側の人物は男性だと思うのだけど、ちょっと両性具有的な雰囲気があって妖しく魅力的。これもシチューキン所有の作品。

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第4部、20世紀絵画は撮影できなかったのだけど、シチューキンが発掘したマティス、ピカソ、そしてシャガールやレジェなどの素晴らしい作品が並んでいた。


ところで、今回は音声ガイドも貸していただいた。ナビゲーターは水谷豊さん。落ち着いた口調でとても聞きやすい。

http://pushkin2013.com/goods/

そして、物販コーナーも充実していた。なんといっても、このロシア製マトリョーシカが可愛い~。

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これまた可愛いチェブラーシュカも売っている。

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Tシャツ、ピンズなどもとてもキュートなオリジナルグッズが製作されていたけど、時間がなくてゆっくりできず買えなかったのが残念!ポストカードとマグネット、一筆箋は買ったけど。

さて、この展覧会のオフィシャルサイト、スペシャルコンテンツ「プーシキン 秘められた物語」がとても充実している。
http://www.i-museumtalk.com/special/pushkin2011.html

中でも、鹿島茂さんの「女優の肖像」では、ジャンヌ・サマリーと当時の女優たちの生活や彼女たちを取り巻く社会について書かれていて興味深いし、池田理代子さん書き下ろしの「三都物語」では、サンクトペテルブルク、モスクワ、パリ。この3都市を舞台に、コレクターや画家、モデルが織りなす物語「三都物語」を書き下ろしている。現在公開中なのは、コレクター、シチューキンの実生活上の悲劇についての「モスクワの悲劇」で、ロシア革命前の激動の時代に彼の私生活を襲った数々の悲劇についてドラマティックに描かれている。彼がなぜこれほどまでの情熱を持ってコレクションに打ち込んだのかがよくわかる。

こちらの公式ガイドブックでは、この「三都物語」も読める。

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<開催概要>
プーシキン美術館展 フランス絵画300年
Masterpieces of French Paintings from the State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow

会期
2013年7月6日(土)~9月16日(月・祝)

会場
横浜美術館
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1 アクセス

開館時間
10:00~18:00
(8月、9月の金曜日は20:00まで開館、入館は閉館の30分前まで)

休館日
木曜日(ただし8月1日、15日は開館)

お問い合わせ
ハローダイヤル03-5777-8600
(8:00~22:00 無休)

主催
横浜美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日、プーシキン美術館、ロシア連邦文化省

(2013年9月28日(土)~12月8日(日)には神戸市立博物館へ巡回)


※追記
そういうわけで、7月、モスクワに旅行して、本場のプーシキン美術館ヨーロッパ館(本館は長蛇の列で入れなかった)と、トレチャコフ美術館にも行ってきた。両方共本当に素晴らしいコレクションで、美術好きの方なら、一生に一度は行くべきところだと思う。プーシキン美術館、あれだけの名品60数点を横浜美術館に貸出しているのに、それを全く感じさせないくらいの圧倒的にすごいコレクションはなんなんでしょう。シチューキンおよびモロゾフの目利きは尋常ではなかったということなのか。トレチャコフ美術館のロシア絵画コレクションも鮮烈だった

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コメント

明日行って参りますのでしかと堪能致します。本当に震災で流れてしまったのが
惜しい展覧会でしたが2年越しの来日であり、気になっておりました「由来」も明記
されているようで一安心(実は横浜美術館宛に誰の由来かを明記して欲しいと言う
旨のメールをお送りしていたのです)
セルゲイ・シチューキンさまですが、亡命先のパリでもまだ売れる前のデュフィを
部屋に飾っていたというからどれだけの目利きだったのか怖ろしくなります。

大倉さん、こんばんは。

きっと大倉さんは気に入られる展覧会なんじゃないかなって、見ながら思っていたんですよ。そうなんです。始まる前のレクチャーでシチューキンとモロゾフの話を聞いて大変ワクワクしちゃって、さらに池田理代子様のコミックで、シチューキンの悲劇的な生涯の一端を知ることができてよかったです。まさに大河ドラマですね。彼が亡命先のアパートで売れる前のデュフィを部屋に飾っていたというエピソードも素敵ですね!

おはようございます。日本、特に東京は様々な美術展が続いていていいですね。2011年開催予定だったことを知らなかったので、見出しを読んだとき、「プーシキンでは今ラファエル前派展が巡回展示さて居るからかな」としか思いませんでした。

守屋さん、こんにちは。

そうなのです、最近東京は美術展が大変充実しているんですよ。今プーシキン美術館にラファエル前派が来ているのですか?(実は明日からモスクワでして…)ラファエル前派、来年初めに東京にもやってくるので、ラファエル前派好きとしては、これも言うまでもなく楽しみです。また、V&Aのラファエル前派も来年やってくる予定です。

プーシキンで開催されているのは、今年の1月までテイト・ブリテンノアとワシントンに巡回したものです。東京に行くのも同じです。モスクワも暑いかもしれないですね。

守屋さん、こんにちは。

モスクワから帰ってきました。プーシキンのヨーロッパコレクションに行ってきたのですが、想像以上の素晴らしさでした!となりの本館の方で、テートのラファエル前派展をやっていたのですが、こちらの方はものすごい行列ができていて、時間がなく、日本に来年来るし、ということで断念しました。

プーシキン展はテートブリテンでもやっていたのですね。そうやって世界中の美術館がお互いに企画展をやりとしている様子はとても興味深いですね。

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