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2013年5月

2013/05/31

K-BALLET COMPANY 「白鳥の湖」にニーナ・アナニアシヴィリ出演

K-BALLET COMPANYのサイトに、10月~11月公演「白鳥の湖」の予定がアップされていまし

Tetsuya Kumakawa
K-BALLET COMPANY
2013 Autumn Tour
『白鳥の湖』
http://www.k-ballet.co.jp/performances/swanlake2013

11月2日(土)、4日(月:祝)のBunkamuraオーチャードホールでの公演、そして11月10日(日)大阪フェスティバルホールの公演には、ニーナ・アナニアシヴィリが出演してオデット/オディール役を踊ります。相手役は宮尾俊太郎さん。びっくりしました。

先日、WOWOWで放映された「ノンフィクションW 祖国へ捧げるバレエ “世界のプリマ”ニーナ・アナニアシヴィリの道」を観たのですが、3月に50歳の誕生日を迎えたニーナは、久しぶりにグルジアでオデット/オディール役を踊りました。
リハーサル、そして本番の様子を見ても、テクニックは万全で難なく32回転グランフェッテをこなし、またとてもその年齢には見えない若々しさ、可愛らしさを保っていました。ニーナのグルジア国立バレエ芸術監督として過ごす日常、子供時代からの貴重な映像など、大変面白い番組でした。その中で、この調子だったらまだ「白鳥の湖」を踊る自信があると彼女は語っていましたが、また日本で観られるのは嬉しいことですね。

今年のローザンヌ国際バレエコンクールで、熊川哲也さんとニーナはともに審査員を務めたので、そこでこの話が出たのかしら?と考えてしまいました。

2013/05/30

マリインスキー・バレエ「春の祭典」100周年記念公演中継

1913年5月29日、パリのシャンゼリゼ劇場にて、ワスラフ・ニジンスキー振付、イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲の「春の祭典」が初演されました。

客席には、マルセル・プルースト、パブロ・ピカソ、ガートルード・スタイン、モーリス・ラヴェル、クロード・ドビュッシーらがいましたが、オーケストラが演奏をはじめると観客が騒ぎ始め、ダンサーたちが舞台の上で飛び跳ねると騒ぎは拡大し、舞台上のダンサーたちはオーケストラの演奏を聴くのが難しくなるほどの大騒ぎとなり、舞台に向かって野菜がたくさん投げ込まれました。

翌日の新聞は揃って、「狂人による作品」「野蛮だ」と作品を酷評しましたが、クラシック音楽の世界にも、バレエにも「春の祭典」は大革命をもたらしました。レナード・バーンスタイン曰く、「春の祭典」は20世紀で最も重要な曲であるとのことで、同様に考える人は多いようです。

「春の祭典」初演100周年を記念して、今年多くのダンスカンパニーがバレエ版「春の祭典」を演奏し、また「春の祭典」の演奏会も多く行われています。新作バレエ「春の祭典」も今年はたくさん振りつけられました。「春の祭典」をモチーフにしたダンスや映像作品は150にも上り、ディズニー映画「ファンタジア」の中でも使われています。

そして、「春の祭典」の初演が行われたシャンゼリゼ劇場で、ちょうど5月29日に、マリインスキー・バレエがニジンスキー振付(ミリセント・ホドソン蘇演版)の「春の祭典」、そしてサシャ・ヴァルツ新作の「春の祭典」を上演します。この上演は、ARTEのサイトで中継され、パリのオテル・ド・ヴィルではパブリックビューイングが行われます。指揮はヴァレリー・ゲルギエフで、選ばれた乙女を踊るのはダリア・パヴレンコ。
http://www.mariinsky.ru/en/news1/news2/27_230may1/

ARTEの中継はこちらから。(日本時間、30日(木)午前3:50~より)
http://liveweb.arte.tv/fr/video/centenaire_du_Sacre_du_Printemps_Theatre_des_Champs_elysees_mariinsky_Nijinsky_sasha_waltz/

この映像のアーカイヴは183日間視聴できることになっています。日本でも視聴できます。時差の関係で生中継で見るのは難しそうですが、アーカイヴをぜひお試しください。








100年前の”事件”と100周年記念イベントのいくつかを紹介したGuardianの記事
http://www.guardian.co.uk/culture/2013/may/27/rite-of-spring-100-years-stravinsky

100年前の事件についてさらに詳しく書いた記事
http://www.theverge.com/2013/5/29/4375736/igor-stravinsky-rite-of-spring-100-anniversary-paris-riot

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2013/05/28

彩の国さいたま芸術劇場でのマギー・マラン「サルヴズ」

振付・演出家として世界的に活躍す るマギー・マランが2010年に初演した話題作『 Salves- サルヴズ』が、6月15日、16日に彩の国さいたま芸術劇場にて上演されます。大変楽しみにしている公演です。

http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2013/d0615.html

マギー・マランの名前を一躍有名にしたのは、1981年に発表された『メイ・ビー』。リズム、 声、動きをかつてない手法で混合した舞台は 世界の演劇ダンスにとってまさに衝撃。その後の舞台表現の在り方に大きな影響を与えるともに、現代作品の傑作の一つとして、今日も世界各国で上演されています。

また、リヨン・オペラ座バレエ団に振り付け大きな話題を呼んだ『サンドリヨン(シンデレラ)』をはじめ、パリ・オペラ座バレエ団('Lecons de Tenebres''(87))などの世界有数のカンパニーにも多くの作品を提供しています。

そのマギー・マランが2010年に発表した話題作、『Salves-サルヴズ』が、いよいよさいたまに登場します。
人々の日々の営みの中に突如襲いかかる暴力的な破壊、広がる廃墟、人類が飽くことなく繰り返してきた多くの悲惨なできごと。そんな混乱と混沌のなかから、新しい尊厳、新しい美は生まれてくるのか・・・。『サルヴズ』は、荒廃に向かうかのような今日の世界に、大きな問いを投げかけます。


2013年6月15日(土)、16日(日) 各日開演15:00
※ポスト・パフォーマンス・トーク決定!(両日ともトーク出演者は当日発表します)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
演出・振付:マギー・マラン
出演:カンパニー・マギー・マラン
主催:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団

チケットインフォメーション

料金(税込):

券種  S席   A席  学生A席
一般  5,000円 3,500円 2,500円
メンバーズ 4,500円 3,200円

チケット取り扱い・お問い合わせ 財団チケットセンター 0570-064-939 (休館日を除く10:00-19:00)

●上演作品
演目 『Salves―サルヴズ』
演出・振付: マギー・マラン
共同演出: ドゥニ・マリオット
出演: カンパニー・マギー・マラン(7名)
アシスタント: エニオ・サマルコ
照明: アレクサンドル・ベネトー
舞台装置: ミシェル・ルソー
小道具: ルイーズ・グロ、ピエール・トレイユ
衣裳: ネリー・ジェイル
音響: アントワンヌ・ガリー
初演: 2010年 9月 13 日( リヨン・ダンスビエナーレ )
上演時間: 約 70分(途中休憩なし )

埼玉県芸術文化振興座財団 オフィシャルYouTubeの予告映像
http://www.youtube.com/watch?v=rtylbZYsj0Y

Le Maillon Théâtre de Strasbourg のオフィシャルトレーラー


また、マギー・マラン『サルヴズ』 関連企画として、以下のレクチャーが行われます。

レクチャー 《フランス語・日本語通訳付》
フランスのダンス・演劇評論、ジャーナリストとしてめざましい活動を続けてきたジャン=マルク・アドルフ氏を招いて、マギー・マランの作品を中心に、フランスのコンテンポラリー・ダンスに焦点をあて、舞台映像を交えてお話いただきます。

1 『マギー・マランの作品世界-舞踊・演劇・共同体』
日時:2013年6月7日(金)18:30~21:00

2 『芸術と政治―マギー・マランに見るアーティストの政治意識』
日時:2013年6月10日(月)18:30~21:00

会場:早稲田大学文学部(戸山キャンパス)新33号館16階第10会議室
主催:早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点(テーマ研究「舞台芸術 創造とその環境 日本/世界」)
参加:無料(要予約 定員40名)
予約方法:jma.waseda@gmail.comまでお名前・人数・当日連絡先を記したメールをお送りください。

3 『フランスにおけるコンテンポラリー・ダンスの変遷』
日時:2013年6月9日(日)15:00~17:00
会場:アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
主催:アンスティチュ・フランセ東京、埼玉県芸術文化振興財団
参加:無料(要予約 定員100名)
予約方法:電話予約のみ アンスティチュ・フランセ東京 03-5206-2500(代)
お名前・人数・当日連絡先をお伝えください。

4 『マギー・マランとフランス現代ダンスの冒険』
日時:2013年6月11日(火)18:15~20:15
会場:立教大学(新座キャンパス)6号館 N636教室 ロフト2
主催:立教大学 心理芸術人文学研究所 共催:現代心理学部
参加:無料(予約不要 定員170名)

講師
ジャン=マルク・アドルフ Jean Marc Adolphe
(ジャーナリスト・舞台評論/仏雑誌Mouvement編集発行人)
フランスの新聞「ユマニテ」のダンス・コラムを担当したのち、アート誌「Mouvement」を創刊、編集発行人を務めている。ダンスや演劇に関する執筆多数。一方、フランスのフェスティヴァルや劇場へ企画を提案し、日本を含む国外のダンスを積極的に紹介してきた。アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル、ピナ・バウシュ、ヤン・ファーブルなどの現代ダンス・演劇に関する編著書を出版している。

※レクチャー内容詳細、地図等は各会場サイトをご覧ください。


ダンスマガジン最新号(7月号)に、マギー・マランのインタビュー記事が掲載されています。大変読み応えがあります。

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2013/05/26

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013>

シルヴィ・ギエムのマッツ・エック「カルメン」の愛知公演のお知らせを以前掲載しましたが、<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013>の東京公演の概要も発表されました。

日本初演となるマッツ・エック振付「カルメン」、2009年に大きな話題を呼んだ「聖なる怪物たち」の2つのプログラムを上演するということで、とても楽しみです。ワクワクします。


<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013>

◇シルヴィ・ギエムの「カルメン」(マッツ・エック振付)

シルヴィ・ギエムの「カルメン」 
 振付:マッツ・エック 
 音楽:ジョルジュ・ビゼー、
    ロディオン・シチェドリン
 
 出演:カルメン=シルヴィ・ギエム
    ホセ=マッシモ・ムッル
    東京バレエ団

「エチュード」
 振付:ハラルド・ランダー 
 音楽:カール・チェルニー、
    クヌドーゲ・リーサゲル

 出演:東京バレエ団


【公演日】
2013年
11月14日(木)7:00p.m.
11月15日(金)7:00p.m.
11月16日(土)3:00p.m.
11月17日(日)3:00p.m.

【会場】東京文化会館

【入場料(税込み)】
 S=\17,000 A=¥15,000 B=¥13,000 C=¥9,000 D=¥6,000 E=¥4,000

【前売開始日】7月27日(土)10:00a.m.より一斉前売開始

クルベリ・バレエによる「カルメン」の映像
http://youtu.be/Am1t3EeLcfg

◇「聖なる怪物たち」

出演:シルヴィ・ギエム、アクラム・カーン
芸術監督・振付:アクラム・カーン
振付(ギエムのソロ):林懐民
振付(カーンのソロ):ガウリ・シャルマ・トリパティ
音楽:フィリップ・シェパード、 
   イヴァ・ビトヴァー、
   ナンド・アクアヴィヴァ、
   トニー・カサロンガの歌より
 
【公演日】
2013年
11月28日(木)7:00p.m.
11月29日(金)7:00p.m.
11月30日(土)3:00p.m.
12月1日(日)3:00p.m.

【会場】ゆうぽうとホール

【入場料(税込み)】
 S=\15,000 A=¥13,000 B=¥9,000  C=¥6,000 D=¥4,000

【前売開始日】7月27日(土)10:00a.m.より一斉前売開始


【お問い合わせ】NBSチケットセンター 03-3791-8888

http://youtu.be/3D5L8QN_ES0


※ところで、この日程は、新国立劇場バレエ団のバレエ・リュスプログラムと思いっきり丸かぶりなので、チケットを購入される際には、ダブルブッキングなどに気をつけましょうね。

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2013/05/25

5/21,22 マラーホフの贈り物ファイナル Aプロ

「マラーホフの贈り物」
マラーホフの贈り物ファイナル

http://www.nbs.or.jp/stages/1305_malakhov/

諸般の事情によって演目がだいぶ変更されていました。

「白鳥の湖」第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・マラーホフ

20歳そこそこの若さでありながら、ブノワ賞を21日に受賞したオルガ・スミルノワは、先日ボリショイで白鳥デビューをしたばかり。早速YTに彼女の白鳥の動画がたくさんアップされていて、どれほど注目されていたかが伺えた。白鳥役はまだあまり踊りこまれていないようで、役を演じるところまでは到達していなかったものの、美しい甲と脚、長い腕は白鳥向きのスタイル。ワガノワ出身者らしい基礎の上に、ボリショイならではの雄弁さのある腕使い。音を非常にたっぷりと使い、手をひらひらさせ過ぎるところが、好き嫌いは出てくるであろう。少し冷たすぎるところも感じる。だが、とてつもない可能性を感じさせる。ちなみに、客席にはリュドミラ・コワリョーワが来ていた。ボリショイに彼女が入団しても、ワガノワから教師がついて来るところがすごい。マラーホフはこのシーンはサポートに徹していたものの、役作りに関しては彼らしい愛と情熱を感じさせるものがあった。

東京バレエ団のコール・ドはかなりレベルが高く、よく揃っていた上に足音も以前よりずっと静かになっていた。有力ソリストが抜けてしまった今、ここの課題はソリストを育てることだろう。女性ダンサーに関しては全体的なクオリティが高いのだから。


「トゥー・タイムス・トゥー」
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

シルヴィ・ギエムが踊ったことで有名な作品の二人版。一人分の動きを、それぞれ照明で作られた箱の中にいる二人のダンサーに振り付けて、シンクロするように踊ったかと思えば、タイミングをずらして踊ったり反対の動きをしてみたり。上半身、特に腕を雄弁に使ってどこか武道を思わせるような動きもある。照明の効果を使い、スポットを手先や足先に当てることによって、魔術的な効果を見せるのだが、どうも光の当て方の問題なのか、ギエムの時ほどのインパクトはなかった。ラカッラのとにかく柔軟かつ強靭な腕の動きは、その中でも鮮烈な印象を残した。


「ギルティー」
振付:エドワード・クルグ 音楽:フレデリック・ショパン
マライン・ラドメーカー

21日当日の朝に日本に到着したシュツットガルト・バレエのペアは、当初予定されていた「伝説(Legende)」を踊らず、マライン・ラドマーカーが、スロヴェニア国立バレエ芸術監督でレイディオヘッドの曲に振り付けた「レイディオ・アンド・ジュリエット」で知られるエドワード・クルグの作品を踊った。今年の春にシュツットガルト・バレエで踊られた「Ssss…」の冒頭のソロであるとのこと。音楽はショパンのノクターン第一番。跳躍などはないが、素早いタンデュや手の痙攣するような動きなど、マラインの切れ味鋭いムーヴメントを見せるタイトな作品で、最後は座って動かなくなった片脚の上にもう片脚を重ねて暗転という幕切れ。(昨年の「Kings of the Dance」では、デニス・マトヴィエンコが踊っているようだ)


「ラ・ペリ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ヨハン・ブルグミュラー
吉岡美佳、ウラジーミル・マラ ーホフ

19世紀にジャン・コラーリがカルロッタ・グリジのために振り付けたロマンティック・バレエを、マラーホフが再振付した作品。マラーホフはスカートを着用していたのだが、この衣装が、彼のボリュームの増加を図らずも目立たせてしまい、また腕にもお肉がついてしまった上、パートナーが華奢な吉岡さんだったのでますます目立ってしまった。アダージオのみのシーンだったため、全体でどのような作品なのかは、ここだけでは判断できないが、王子の衣装ではわからなかったマラーホフの姿がちょっと衝撃的。


「海賊」より奴隷のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:コンスタンティン・フリードリヒ・ペーター
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

ギュリナーラとランケデムのパ・ド・ドゥ。タマズラカルの個性は奴隷商人のキャラクターによく合っているし、ヴァリエーションでの深く柔らかいプリエからの跳躍は美しく魅力的だった。と同時に、ランケデム役といえば、マラーホフがかつてABTの「海賊」のDVDで踊った素晴らしい映像を思い出してしまい、なんとも複雑な気持ちになってしまった。ヤーナ・サレンコはきっちりとした正確な踊りで、特に高速の脚替えピケ&シェネや高い跳躍など、技術の高さを改めて実感。二人ともクラシックバレエのワクワク感をたっぷり見せてくれた。特にサレンコのコーダでのグランジュッテには惚れ惚れ。


シンデレラ
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ

サレンコのドーム型のチュチュのデザインがとても可愛らしくて、小柄で愛らしい彼女の雰囲気にとても合っていた。ここでもクラシックバレエの美しさを見せてくれて、キラキラと輝いていた彼女。王子の衣装を着るとマラーホフはしっかり王子様で、包容力のあるジェントルな様子を見せてくれたけど、1日目ではリフトで危うくサレンコを落としそうになってしまった。2日目は、スムーズで甘い雰囲気でまとめてくれた。


「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:ベンジャミン・ブリテン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー

この作品は、全編を2011年にシュツットガルトで観ている。ハンス・ファン=マーネンは今年のブノワ賞を受賞したばかり。プロットレスのバレエでありながら、男女関係の駆け引きや微妙な感情をうまく見せてくれるファン=マーネンの作品は魅惑的だ。特に、ブリテンの曲を使用したこの作品は、スピード感と、ちょっと人を食った”はずし”の対比が面白い。アイシュヴァルトとラドマーカーの息もよく合っており、特にサポートされている時のアイシュヴァルトのポーズの美しさと、スピード感のあるラドマーカーのシェネ、緩急のつけかたが絶妙できびきびとして音楽に乗った動きが印象的だった。


「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル

やさぐれたサラリーマン風情が実によく似合うタマズラカル。ちょっとおやじが入っているところが特にぴったり。さりげなく540などの超絶技巧を盛り込みながらも、役を演じるのがうまい。最後までしっかりと、酔っ払ってくたびれたおじさんになりきってくれて、楽しかった!何年か前から彼を見ているけど、最近とみにいい男になってくれた気がする。


「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

ルシア・ラカッラは感情表現の豊かなマルグリットを作り上げていた。部屋に入ってくる一つ一つの足取りがすでにマルグリットそのものの歩き方になっているし、病衰えた身体に残された力を振り絞ってアルマンの激情に身を任せ、激しく葛藤し苦悶しながらも愛の炎を燃やす女性の心理を細やかに、そのしなやかで雄弁な肉体を使って表現していた。一方、デイノは、長身で若々しい外見はアルマン役にぴったりだったものの、感情を炸裂させることなく、ひたすら内にこもって悶々とする青年で、ひたむきではあるものの、表現が極めて淡白だった。もっと青白い光を放ち燃え上がったり、怒りを見せたり、様々な感情の相克が見たいのに、それがなかったのが残念。結果的にマルグリットの感情のみが浮かび上がってしまった。実生活でも夫婦なだけにリフトやサポートはよく息があっていたのだが。


「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

スミルノワの白鳥は、ワガノワらしさも見せていたのだが、黒鳥に関しては完全にボリショイ流。威圧的で、獰猛な悪女ぶりを前面に出していた。アダージオでの動きは大きくて、高い身体能力を見せてくれたけど、もう少したおやかさが欲しいと感じたのも事実。グリゴローヴィチ版の独特の音楽に乗せてのアティチュードでの回転など、高度なテクニックを使うところは易易と決まり、ポーズはアカデミックで美しい。1日目のグランフェッテは、非常に速いスピードでシングルで回っていたところ、ずれてきてしまいポワントが落ちてしまったののの、めげずにもう一度回転を始めてフィニッシュさせた根性は素晴らしい。2日目はグランフェッテも綺麗に決まった。

チュージンは、悪くはないし、特にコーダのマネージュのダイナミックなスピード感、高く伸びた前脚のつま先などは目を見張るものだったけど、もう少しラインが美しくあって欲しい、時々膝がゆるみ気味のところがあった。彼はちょっと口が歪んでいるように見えてしまうのも惜しいところ。


「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア 音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ

マラーホフが踊る「瀕死の白鳥」は今までも何回か観たことがあるのだが、今回は特に想いがこもっているのが感じられ、胸に訴えかけるものがあった。ショートパンツ一枚ですべてを晒した彼の、踊りに捧げた真っ白で崇高な想いに触れられた気がする。アームスの動きはなめらかで繊細で美しく、天に向けた視線はまっすぐで、様々な葛藤を持ちながらも研ぎ澄まされて死を迎える白鳥の死は、まもなく舞台生活を終える彼の姿と重なった。彼への感謝の思いとともに、このような稀有なダンサーをもたらしてくれたバレエの神様に感謝したい、そんな気持ちにさせられた。

2013/05/23

ミラノ・スカラ座バレエ2013/14シーズン発表

ミラノ・スカラ座バレエの2013/14シーズンが発表されました。

http://www.teatroallascala.org/en/season/opera-ballet/2013-2014/opera-balletto-1.html

From 17 December 2013 to 16 January 2014
「ラトマンスキーの夕べ」 
「コンチェルトDSCH」(スヴェトラーナ・ザハロワ)、「ロシアン・シーズン」(スヴェトラーナ・ザハロワ)、「オペラ」新作(ロベルト・ボッレ、マッシモ・ムッル)

From 9 March to 4 April 2014
ジュエルズ」
「エメラルド」「ルビー」(ナタリア・オシポワ、イワン・ワシーリエフ)、「ダイヤモンド」(ポリーナ・セミオノワ、フリーデマン・フォーゲル)

From 15 April to 11 May 2014
白鳥の湖
スヴェトラーナ・ザハロワ、ポリーナ・セミオノワ、デヴィッド・ホールバーグ

From 28 May to 20 June 2014
プティの夕べ
「若者と死」(ロベルト・ボッレ、イワン・ワシーリエフ)、「ピンク・フロイド・バレエ」

From 17 to 29 September 2014
ドン・キホーテ
スヴェトラーナ・ザハロワ、ナタリア・オシポワ、デニス・マトヴィエンコ、レオニード・サラファーノフ、イワン・ワシーリエフ

From 10 to 23 October 2014
ロミオとジュリエット」(マクミラン版)
スヴェトラーナ・ザハロワ、マッシモ・ムッル、ロベルト・ボッレ、マリアネラ・ヌニェス、ナタリア・オシポワ、イワン・ワシーリエフ


例年になくゲストが多い一年ですね。しかし「ロミオとジュリエット」は3人のエトワール、ザハロワ、ムッル、ボッレを投入しているのが羨ましいです。「ラトマンスキーの夕べ」がなかなか魅力的ですが、それ以外は古典や有名作品が多い感じです。


追記 オペラの方に、バレエとオペラの両方が入っているプログラムもありました。

Le Spectre de la rose - La rose malade - Cavalleria rusticana
「薔薇の精」(レオニード・サラファーノフ、イワン・ワシーリエフ)、「薔薇の死」(病めるばら)(マリア・アイシュヴァルト)、「カヴァレリア・ルスティカーナ」(オペラ、ダニエル・ハーディング指揮)

キャピトル・トゥルーズバレエ団のベラルビ版「海賊」ネット視聴

元パリ・オペラ座のエトワール、カデル・ベラルビが芸術監督を務めるフランスのキャピトル・トゥルーズバレエ団。ベラルビが再振付した「海賊」が初演されましたが、この全編映像をARTEのサイトで視聴することができます。

http://liveweb.arte.tv/fr/video/Ballet_du_Capitole_de_Toulouse_Le_Corsaire_Lord_Byron_Kader_Belarbi_Joseph_Mazelier/

振付に相当手を入れているというか、最初から新たに振り付けし直したほど、プティパ版とは異なっていて、大変興味深いです。振付はクラシックですが、舞台装置がすっきりとしているので、現代的な印象も。








2013/05/22

ブノワ賞受賞者発表

バレエ界でもっとも権威がある賞の一つであるブノワ賞が発表されました。


http://ria.ru/culture/20130521/938647739.html (RIA Novosti)
http://benois.theatre.ru/massmedia/news/

振付家賞を受賞したのは、ハンス・ファン=マーネン「Variations for Two Couples」と、クリストファー・ウィールダン「シンデレラ」。

女性ダンサー賞は、現在「マラーホフの贈り物ファイナル」で来日中のオルガ・スミルノワ(ボリショイ・バレエ) 「ラ・バヤデール」「ファラオの娘」「ダイヤモンド」「イワン雷帝」

男性ダンサー賞は、デンマーク・ロイヤル・バレエのアルバン・レンドルフ(「椿姫」)と、ENBのワディム・ムンタギロフ(「眠れる森の美女」)

そして、ダンスに対する功績賞は、ジョン・ノイマイヤー(ハンブルク・バレエ芸術監督)が受賞しました。皆様おめでとうございます。

ブノワ賞に関連して、2013年の候補者によるチャリティ・ガラが5月21日に行われ、過去の受賞者が出演してのガラ公演も22日に行われます。

出演者については、こちらで。

ブノワ賞2013年候補者たちによるチャリティ・ガラ
http://jictheatre.exblog.jp/19434581/(日本語)

ブノワ賞2013年:過去の受賞者たちによるコンサート
http://jictheatre.exblog.jp/19448287/(日本語)

2013/05/21

ロイヤル・オペラハウスのバックステージツアー

5月3日は、ロイヤル・オペラハウスの10:30~からのバックステージツアーに参加してから、「マイヤリング」のマチネ公演を観てきました。

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ROHのバックステージツアーに参加するのは2010年10月に続き2度目。そういえばバックステージツアーのチケットを取っていなかった!と気がついたのが1ヶ月前で、サイトを見たら滞在期間中全部ソールドアウトでした。(1日3回くらい開催しています)それから毎日戻りを見ていたら、2週間くらい前に10枚くらい戻りチケットが出たので買いました。12ポンドです。

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バックステージツアーは、毎回案内される場所が違うので、リピートしても楽しいです。10人程度のグループが2組に別れ、客席で劇場の概要を話してもらった後、いよいよバックステージへ。前回は、舞台装置を作っている部屋を見せてもらって、そこでバーミンガム・ロイヤル・バレエの「シンデレラ」や、「アリス」の装置などを製作しているところを見せてもらいました。今回は、最上階にある衣装の染色をしている部屋に連れて行ってもらい、鍋でグツグツ生地を煮ているところや、大型プリンタでテキスタイルの印刷をしているところ、「アリス」「メタモルフォシス」などの生地見本を触らせてもらったりしました。

それから、ダンサーたちのいるエリアへと。そこらへんを、ゼナイダ・ヤノウスキー、ネマイア・キッシュ、ギャリー・エイヴィスらダンサーたちがレッスンウェアで歩き回っています。レスリー・コリアも通り過ぎていきました。15分程度ですが、男子のクラスレッスンをしているところを覗かせてもらいました。センターのレッスンで、スティーヴン・マックレー、エドワード・ワトソン、カルロス・アコスタ、ヴァレリー・ヒストリフら男性ダンサーたちがジャンプを見せていました。中でもやはりマックレーの足さばきは凄い。とても小柄だけど強靭な女性ダンサーがいて、誰だろうと思ってよく見たらリアン・ベンジャミンでした。今49歳で今年引退する彼女ですが、とてもそんな年齢には見えません。サラ・ラムの姿もありました。前回のツアーでは、ウォームアップ中の姿しか見られなかったので、かなりラッキーでした。

ロイヤルらしいな、と思ったのは、各スタジオの名前が、アシュトン、マクミラン、フォンテーンなどゆかりの振付家やダンサーの名前がつけられているところです。先ほどのリハーサル室は、自然光が天井からたっぷりと差し込む、天井が高くて明るい部屋でした。リノリュームが敷いてあるため、松脂は禁止なのだそうです。長時間をスタジオで過ごすダンサーたちのために、自然光がたくさん入るようにしているとのことでした。

迷路のようなバックステージを歩いていくと、舞台装置の裏側を見ることができます。ROHでは、バレエは「マイヤリング」と「ラ・バヤデール」、さらにオペラは「ドン・カルロ」「魔笛」を上演していて、この日は昼が「マイヤリング」、夜は「魔笛」の上演ですが、「ドン・カルロ」の舞台装置が舞台上にあり、それを12:30からの「マイヤリング」の公演のために換えているところでした。四面舞台となっているために、このようなことができるとのことです。

そして、「TO JAPAN」と書いてある衣装箱がたくさん置いてありました。来日公演のために送る衣装が箱に詰められているのです。

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アンフィテアトルのバーがある場所に案内してもらって、1時間のツアーは終了です。このフロアや、フローラル・ホールと呼ばれる大きな吹き抜けのカフェは、舞台が上演されていない時は一般のお客さんも利用することができます。天気の良い日には最高な、テラス席もあります。友人がフローラル・ホールの席を予約しておいてくれたので、開演時間までそこで軽食をいただきました。天気もよく、広々とした吹き抜けは大変気持ち良かったです。

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(バックステージツアー中は撮影は禁止のため、公演の休憩時間などに撮影した写真です)

なお、ロビーでは、1940~60年代に活躍した往年のプリマ・バレリーナでヌレエフやエリック・ブルーンなどとも共演したナディア・ネリーナの衣裳展を行っていました。かなり多くの衣装が展示してあって、大変興味深かったです。
(ネリーナが2008年に亡くなった時の追悼記事

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「コッペリア」

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「オンディーヌ」

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「Boleras de la Cachucha」

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「The Dragonfly」

2013/05/18

5/2 ロイヤル・バレエ「ラ・バヤデール」 Royal Ballet La Bayadere

http://www.roh.org.uk/productions/la-bayadere-by-natalia-makarova

PERFORMERS
Conductor Valeriy Ovsyanikov
Nikiya Sarah Lamb
Solor Thiago Soares
Gamzatti Claire Calvert

The High Brahmin Alastair Marriott
Rajah Gary Avis
Magdaveya Valentino Vucchetti
Aya Genesia Rosato

The Shades Akane Takada, Hikaru Kobayashi, Laura McCulloch

The Bronze Idol Alexander Campbell

Orchestra Orchestra of the Royal Opera House

「ラ・バヤデール」2日目は、オーケストラストールズ2列目で鑑賞。この場所は足先まで見えないのであまりおすすめできない。もう少し後ろに下がったほうが見やすいと思う。

サラ・ラムのニキヤは、華奢でしなやかな身体の中に強い意志と崇高さを秘めた舞姫だった。儚さがあり、表現は繊細だがテクニックは強く、とても安定していて素晴らしい表現を見せてくれた。容姿だけでなく、アラベスクもとても美しい。大僧正の愛の告白を凛とはねつけるところにも、控えめさと強さが同居していて説得力があった。影の王国での踊りは、音楽によく寄り添っていてとてもリリカルで清らかだった。

一方、ソロルのティアゴ・ソアレスは、一言で言えば背中が硬い。サラ・ラムが柔軟性に富んでいるので余計にそれが目立ってしまう。サポートテクニックは悪くないし、ジュッテの着地も長身のわりには音はしないのだけど、全体的に丁寧さに欠けているしバレエの美しさが足りない。ただ、彼は演技派なので、1幕の逢瀬のシーンで見せる熱情や、ニキヤを失ったときの狼狽ぶりなど、ソロルの勇壮な中の情けなさや後悔の念などを演じるのは上手かった。彼は、やはりキャラクテール的な役どころで生きるダンサーだろう。

ガムザッティ役は、最近ソリストに上がったばかりで注目されている若手のクレア・カルヴァート。映画館上映の「眠れる森の美女」でリラの精を踊った彼女だ。2幕のグランフェッテなどテクニック面はもう少し磨かれると良いと思うけど、ガムザッティにふさわしいゴージャスさ、高慢さ、迫力はあるので十分役割は果たしたと言える。化粧映えするルックスで、目力も強いし、ソロルににじり寄ったり、終幕の結婚式のシーンで彼への執念を見せる演技なども達者だ。数少ない英国人バレリーナとして今後も注目されていくだろう。

影のヴァリエーションは、高田茜さん、小林ひかるさんと3人のうち2人が日本人。ひかるさんは、「マイヤリング」でラリーシュ夫人、「ラ・バヤデール」も別の日にはガムザッティを演じるなど多忙の様子だったが、きっちりと決めて円熟味のある踊りのレベルがとても高かった。第一ヴァリエーションの高田さんも、技術的に見せるところが多いこの踊りで、クラシックテクニックの強さ、ラインの美しさを見せて逸材ぶりを披露。ただ、影のヴァリエーションなのに笑みを浮かべて踊っているのは若干違和感があった。

ブロンズ・アイドルにはアレクサンダー・キャンベル。バーミンガム・ロイヤル・バレエの来日公演で素晴らしいパックを踊っていたので期待していたのだけど、前日のジェームズ・ヘイの方が良かった。跳躍が低くやや重たい感じの踊りだったので、疲れていたのかもしれない。

コール・ドはこの日は頑張っていた。パ・ダクシオンには高田茜さん、金子扶生さん、平野亮一さん。中でも金子さんの踊りは観るたびに惚れ惚れとする美しさと音楽性。まだファースト・アーティストであるにもかかわらず来シーズンにはキトリデビューする彼女からは目を離せない。ロイヤル・バレエは日本人ダンサーが本当にレベルが高い。影の王国のコール・ドも、予想していたよりは揃っていた。ただ、マカロワ版はスロープが一段しかないのが物足りない。

アラステア・マリオットの煩悩あふれる大僧正、迫力のあるギャリー・エイヴィスのラジャとキャラクテール陣は相変わらず見ごたえがある。やはりドラマティックなのがロイヤル・バレエの持ち味だ。

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2013/05/17

マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」日本の映画館でも上映

6月6日に世界で3D生中継されるマリインスキー・バレエ「白鳥の湖」。生中継ではなく、2Dでの上映にはなりますが、日本の映画館でも観られることになりました。

http://www.liveviewing.jp/contents/079_mariinsky.html

■白鳥の湖
 作 曲:ピョートル・チャイコフスキー 振 付:マリウス・プティパ、レフ・イワノフ
 指揮者:ワレリー・ゲルギエフ
 主 演:エカテリーナ・コンダウーロワ

開催日 : 2013年6月23日(日)16:00開演
会  場 : 全国の映画館 ※開場時間は会場により異なります。
会場リストはこちら
料 金 : 全席指定 ¥3,500(税込み)

チケット :
【プレオーダー】 5月18日(土)12:00 ~ 5月26日(日)23:59
イープラス http://eplus.jp/mariinsky-lv/ (PC、モバイル共通)

【一般】 6月1日(土)12:00 ~ 6月21日(金)12:00
イープラス http://eplus.jp/mariinsky-lv/ (PC、モバイル共通)
または、全国のファミリーマート店内のFamiポートにて
※先着順での受付となりますので、予定枚数に達し次第、受付終了となります。
お問合せ:イープラス 0570-07-5050(10:00~18:00)オペレーター対応

マリインスキーの映画館上映のオフィシャルサイト
http://www.mariinskycinema.com/

1日だけの上映ではもったいないので、また別の日程の上映も行ってくれると嬉しいと思います。東京だけでなく全国の映画館で上映するのは良いですね!

追記:キャストが出ていました。

http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2013/6/6/1_2130/

Odette-Odile: Yekaterina Kondaurova
Siegfried: Timur Askerov
von Rothbart: Andrei Yermakov
The Prince’s Friends: Maria Shirinkina, Nadezhda Batoeva, Xander Parish
The Jester: Vasily Tkachenko

予告編では王子はイワンチェンコでしたが、実際にはアスケロフが踊る予定のようですね。ロットバルトはエルマコフ、パ・ド・トロワで注目の英国人ザンダー・パリッシュが登場します。

2013/05/15

写真集 「Dancers: Behind the Scenes with The Royal Ballet」

ロイヤル・バレエのファースト・アーティストであるアンドレイ・ウスペンスキーが撮影した写真をまとめた写真集「Dancers: Behind the Scenes with The Royal Ballet」をロイヤル・オペラハウスのショップで買ってきました。バックステージツアーを見学しに行くと、その半券でショップの商品が1割引で買えるのです。かなり大判の本ですが、厚みはそんなにないので思ったほど重くなかったです。

こちらのサイトで何枚かの写真は見ることができます。
http://www.dailymail.co.uk/home/you/article-2296304/Behind-scenes-Royal-Ballet-graft-grace.html

http://www.roh.org.uk/news/royal-ballet-dancer-releases-book-of-behind-the-scenes-photography

こちらのGuardian紙のサイトでは、写真のスライドショーにかぶせて、アンドレイのコメントも聴けます。
http://www.guardian.co.uk/stage/interactive/2013/may/08/dancers-royal-ballet-reveals-all

今回も「マイヤリング」でハンガリー将校の役で出演するなど10年以上ロイヤル・バレエで活躍しているアンドレイは、カンパニーのダンサーだからこそ撮影できる、親密なショットをたくさん撮っています。朝のクラスレッスン、リハーサル、ソファーで居眠りをする様子、疲れて横たわる姿。そして衣装合わせ、メイクなど舞台の準備、本番の舞台、そしてカーテンコールとダンサーの一日、ひいては彼らの人生が切り取られています。彼らがコーヒーを飲んだり携帯をいじったり、私たち一般人と同じような素顔を見せる一方で、超人的なジャンプや驚くべき柔軟性を発揮し、そして美しい衣装をまとってメイクアップしたグラマラスな舞台上の姿へと変貌していくプロセスを見ることができるのです。

現在ロイヤル・バレエで活躍するダンサーたちの他、吉田都さんやタマラ・ロホなどすでにバレエ団を去った人たち、指導者となったジョナサン・コープらの写真も載っています。大判で美しい写真が満載されています。

ふとした笑顔がとてもキラキラしているマリアネラ・ヌニェス、はにかんだアリーナ・コジョカル、チュチュを運ぶタマラ・ロホ。メークをしていない素顔、稽古着の姿は新鮮です。実際の舞台の映像も、正面ではなく舞台袖から撮影されているところが、観る者にも舞台裏を覗いている気持ちになって楽しいです。ロイヤル・バレエならではの特殊メイクを施された姿のダンサーたちも面白いし、カーテンコールの裏側はこんなになっているんだという発見も。跳躍している姿が美しいのは、マリアネラ・ヌニェスとスティーヴン・マックレーが際立っているけど、躍動感、つくりものではない生っぽい感じのする写真が多くて楽しめます。ロイヤル・バレエのダンサーが好きな人には、ぜひおすすめの1冊。

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なお、5月12日にサドラーズ・ウェルズにてアリーナ・コジョカルのチャリティガラAn Evening for Hospices of Hope(彼女の故国ルーマニアのホスピスを援助するための資金を集めるための公演)のリハーサルの様子も、アンドレイは撮影しており、彼のFacebookのサイトで見ることができます。コジョカル、ヨハン・コボーの他、スティーヴン・マックレー、ワディム・ムンタギロフ、イザベル・シアラヴォラ、高橋絵里奈さん、マシュー・ゴールディング、アンナ・ツィガンコワ、セルゲイ・ポルーニン、高田茜さん、ザンダー・パリッシュ、そしてヴァイオリニストのチャーリー・シエムらが出演しました。

本番
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.174896392674299.1073741831.110186705811935&type=1

リハーサル
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.174438136053458.1073741830.110186705811935&type=1

公演のレビュー
http://www.theartsdesk.com/dance/evening-hospices-hope-sadlers-wells-theatre

2013/05/13

ABT(アメリカン・バレエ・シアター)2014年来日公演詳細

コメント欄で公演オフィシャルサイトを教えていただき、またジャパンアーツからのDMでも告知がありましたが、ABTの2014年来日公演の詳細が明らかになりました。

http://www.japanarts.co.jp/abt2014/index.html

「くるみ割り人形」 ラトマンスキー振付

Bunkamura オーチャードホール

2月20日(木) 19:00
ヴェロニカ・パールト/マルセロ・ゴメス

2月21日(金) 13:00
シオマラ・レイエス/エルマン・コルネホ

2月21日(金) 19:00
サラ・レイン/ダニール・シムキン

2月22日(土) 13:00
加治屋 百合子/アレクサンドル・ハムーディ

子役協力(全日):K-BALLET SCHOOL


「オールスター・ガラ」

 Bunkamura オーチャードホール

  Aプロ
2月25日(火)18:30
「チェンバー・シンフォニー」》 日本初演
 振付:アレクセイ・ラトマンスキー/音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
  ジェームズ・ホワイトサイド / ジュリー・ケント
 パロマ・ヘレーラ / イザベラ・ボイルストン

「眠れる森の美女」よりパ・ド・ドゥ
  振付:ケヴィン・マッケンジー/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
  ヒー・セオ / アレクサンドル・ハムーディ

「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ
  振付:マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴルスキー/音楽:レオン・ミンクス
  ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

「ロミオとジュリエット」よりパ・ド・ドゥ
  振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
  シオマラ・レイエス / エルマン・コルネホ

ソロ(演目未定)
 ダニール・シムキン

テーマとヴァリエーション
  振付:ジョージ・バランシン/音楽: ピョートル・I.チャイコフスキー
  ポリーナ・セミオノワ / コリー・スターンズ

  Bプロ
2月26日(水)18:30
「チェンバー・シンフォニー」
 振付:アレクセイ・ラトマンスキー/音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
  カルヴァン・ロイヤル / ヒー・セオ
 加治屋 百合子 / サラ・レイン

《「クリア」よりパ・ド・ドゥ
  振付:スタントン・ウェルチ/音楽:J.S.バッハ
  パロマ・ヘレーラ / ジェームズ・ホワイトサイド

「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ
  振付:マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴルスキー/音楽:レオン・ミンクス
  ジリアン・マーフィー / コリー・スターンズ

「オネーギン」第1幕よりパ・ド・ドゥ
  振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
  ジュリー・ケント / ロベルト・ボッレ

「パリの炎」よりパ・ド・ドゥ
  振付:ワシーリー・ワイノーネン/音楽:ボリス・アサフィエフ
  ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

テーマとヴァリエーション
  振付:ジョージ・バランシン/音楽: ピョートル・I.チャイコフスキー
  イザベラ・ボイルストン / ダニール・シムキン


「マノン」マクミラン振付

東京文化会館

2月27日(木) 18:30
ディアナ・ヴィシニョーワ/マルセロ・ゴメス

2月28日(金) 13:00
ポリーナ・セミオノワ/コリー・スターンズ

2月28日(金) 18:30
ジュリー・ケント/ロベルト・ボッレ

3月1日(土) 13:00
ディアナ・ヴィシニョーワ/マルセロ・ゴメス


料金:≪くるみ割り人形≫
 S\20,000 A\17,000 B\14,000 
 C\11,000 D\8,000 E\5,000

 [夢倶楽部会員]
 S\19,000 A\16,000 B\13,000
 C\10,000 D\7,200 E\4,500

 S\22,000 A\19,000 B\16,000
 C\13,000 D\10,000 E\7,000

料金:≪オールスター・ガラ≫ ≪マノン≫
 [夢倶楽部会員]
 S\21,000 A\18,000 B\15,000
 C\12,000 D\9,000 E\6,300

お得な2演目セット券のご案内
 「くるみ割り人形」&「マノン」セット券
 Sセット \40,000 Aセット \34,000 Bセット \28,000

 [夢倶楽部会員]
 Sセット \39,000 Aセット \33,000 Bセット \27,000

 ※ジャパン・アーツぴあのみで受付

≪くるみ割り人形≫限定!親子券
 S\29,000 A\24,500 B\20,000 

 [夢倶楽部会員]
 S\28,000 A\23,500 B\19,000


2演目セット券の発売日程
① ジャパン・アーツ夢倶楽部会員 WEB 先行抽選販売
    受付期間:5月25日(土)10:00~5月29日(水)23:00
    抽選期間:5月30日(木)~6月4日(火)午後
    結果配信:6月4日(火)夜
   

② ジャパン・アーツ夢倶楽部会員 TEL
    受付期間 6月7日(金)10:00~

③ ジャパン・アーツぴあネット会員 先行抽選販売
    受付期間 6月8日(土)10:00~6月10日(月)23:00
    抽選期間 6月11日(火)~6月13日(木)午後
    結果配信 6月13日(木)夜
   

④ 一般発売 6月22日(土)10:00a.m.


    ジャパン・アーツぴあコールセンター (03)5774-3040

単券の発売日程
① ジャパン・アーツ夢倶楽部会員WEB
    受付開始 6月8日(土)10:00~

② ジャパン・アーツ夢倶楽部会員TEL ★≪くるみ割り人形≫限定!親子券発売開始
    受付開始 6月9日(日)10:00~

③ ジャパン・アーツぴあネット会員
    受付開始 6月15日(土)10:00~

④ 一般発売 6月22日(土)10:00a.m.

【WEB】 「くるみ割り人形」http://ja.pia.jp/event.do?eventCd=1318539
「オールスター・ガラ」http://ja.pia.jp/event.do?eventCd=1318540
「マノン」http://ja.pia.jp/event.do?eventCd=1318541


【電話】 ジャパン・アーツぴあコールセンター (03)5774-3040

【その他プレイガイド】
Bunkamuraチケットセンター http://www.bunkamura.co.jp/online/ 
03-3477-9999 (10:00~17:30)※ オーチャードホール公演のみ                       

チケットぴあ pia.jp/t 0570-02-9999
≪Pコード≫ くるみ割り人形:429-118 / オール・スター・ガラ:429-119 / マノン:429-120

ローソンチケット l-tike.com 0570-000-407
≪Lコード≫ くるみ割り人形:39033 / オール・スター・ガラ:39033 / マノン:39032
 
東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650

イープラス eplus.jp

*********
「くるみ割り人形」「マノン」には出演しない、ジリアン・マーフィー、パロマ・ヘレーラ、ナタリア・オシポワ、イワン・ワシーリエフもオールスター・ガラには出演し、またチケット販売がやや苦戦しそうな「マノン」にはディアナ・ヴィシニョーワ、ポリーナ・セミオノワ、ロベルト・ボッレとスターを投入しているので、今回の来日公演はかなり豪華な感じがします。デヴィッド・ホールバーグの名前が無いのは残念ですが。

しかしチケット発売が早いですね…公演9ヶ月前とは。

2013/05/12

5/1 ロイヤル・バレエ「ラ・バヤデール」 Royal Ballet La Bayadere

La Bayadere 「ラ・バヤデール」

http://www.roh.org.uk/events/69kch

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Choreography Natalia Makarova
Music Ludwig Minkus
Orchestrated by John Lanchbery
Production Natalia Makarova
Set designs Pier Luigi Samaritani
Costume designs Yolanda Sonnabend
Lighting design John B Read
Revival staging Olga Evreinoff

PERFORMERS
Conductor Valeriy Ovsyanikov
Nikiya Zenaida Yanowsky
Solor  Matthew Golding
Gamzatti Itziar Mendizabal

High Brahmin Eric Underwood
Rajah William Tuckett
Magdaveya Valentino Zuchetti
Aya Genesia Rosato

The Shades Emma Maguire, Claire Calvert, Laura McClloch

Bronze Idol James Hay

ロイヤル・オペラハウスのアンフィテアトル(天井桟敷)センター一列目という、バヤデールを観るにはとても良い席を取ったのだけど、飛行機に乗る前にオペラグラスを紛失してしまったようで、細かいキャストの判別ができなかった。でも、とても見やすい席である。

この日は、オランダ国立バレエのマシュー・ゴールディングがソロル役でゲスト出演。ロイヤルバレエスクール出身の彼にとっては、いわば凱旋公演。マカロワ版の「ラ・バヤデール」は、東日本大震災後まもない一昨年に代役で東京バレエ団に彼がゲスト出演したことが記憶に新しい。あの時も素晴らしいパフォーマンスをマシューは見せてくれたのだが、今回は一層スケールアップされた彼を観ることができた。持ち前の美しいピルエットは言うまでもなく、高くフワリとした跳躍、特に影の王国のコーダの連続アッサンブレのマネージュで際立っていた、ピタッときれいに柔らかく決まる着地、スピード感とエレガンスを持ち合わせた動きと、理想的なソロルになっていた。ソロルという戦士役にふさわしいワイルドさもあるし。ニキヤの死で見せる後悔の深さなど演技面も充実していた。何より、今回はゼナイダ・ヤノウスキーという素晴らしいパートナーと踊る姿を観ることができたのが幸運だった。

ゼナイダ・ヤノウスキーは、映画館で上映された「白鳥の湖」を観たときには、非常に大柄に感じられ、一生懸命細やかに情感を出そうと頑張っているのはわかったのだが、オデット役を踊るには繊細さに欠ける気がしてしまった。ところが、今回のニキヤに関して言えば、役にマッチした雰囲気があり、彼女の心の揺れ動きや歓び、悲しみが細やかに的確に表現されていて、心に響く舞台を作り上げることに成功していた。上述したように、マシュー・ゴールディングとの、特にビジュアル面でのバランスがとてもよく取れていたことが一つの理由である。長身で大きく見えてしまう彼女であるのだが、やはり長身のマシューと並ぶと、それほど大きく見えないという利点があり、また演技のレベルも貫禄も同じくらいに見えたので、収まりがとても良かった。その上、長い手脚を生かした表現の豊かさ、軽くて飛距離の大きなグラン・ジュッテと踊りも美しく、恋人とその婚約者を目の前にして踊らなければならない苦悩、ソロルへと向ける強い想いも痛切に演じていた。影の王国の難しいヴェールを使っての回転のシーンも、見事に踊りきっていた。マシューがゲストなので、ケミストリーを生み出すところまでは至っていなかったけど、この日の公演は1回目だったので、見た目のバランスが合っているので共演を重ねればいい感じになると思われる。

一方、ガムザッティ役のメンディツァバルは今二歩だった。ガムザッティは、ソロルが見たとたんにクラっと来てしまう美貌と華がなければいけないのだが、それはまったくないし、迫力という点でも、ヤノウスキー演じるニキヤに負けている。特にマカロワ版の「ラ・バヤデール」は、影の王国のシーンが終わったあとで目覚めたソロルに向かってガムザッティがにじり寄るシーンがあるため、王家の娘らしい貫禄が必要なのだ。さらにテクニックにおいても、イタリアンフェッテはきちんと踊っていたもののグランフェッテは頼りなかった。翌日に同じ役を踊った若手ソリストのクレア・カルヴァートの方がずっと良かった。

ジャンベやパ・ダクシオンは、上階から観ているとあまりにも揃っていなくて唖然としてしまった。パ・ダクシオンはメリッサ・ハミルトンや高田茜さん、クレア・カルヴァートも投入されているのに。個々のダンサーが良くても、全体の調和がまったく取れていない。なので、影の王国はまったく期待できないと思ったのだが、意外にも影の王国はちゃんと揃っていてそれなりにきれいだった。ただ、ここではヴァリエーションの3人が、一番目のエマ・マグワイア(前日のマイヤリングのステファニー王女役!)以外は良くなかった。

一方でロイヤルの良さが出ていたのは、踊りのないキャラクテールの演技。若いエリック・アンダーウッドが大僧正を演じていたが、彼の煩悩をよく表現していたし、演技のアンサンブルは全体的にクオリティが高かった。ブロンズ・アイドルのジェイムズ・ヘイは見事なピルエット、軽やかな跳躍で鮮やかな印象を残してくれた。

マカロワ版の「ラ・バヤデール」は、ロシアなどで上演されているオーソドックスな版やヌレエフ版と比較すると、ニキヤが花かごを持って踊るシーンのアップテンポな踊りがないのが非常に物足りない。さらに、壺の踊りや太鼓、インドの踊りもないので舞踊的な楽しみが少ないし、ニキヤの亡霊が結婚式を邪魔する4幕は蛇足に感じられる。よりストーリー性に配慮して構成された版だと思われるし、この版を上演しているバレエ団も多いため観る機会も多いのだが(ロイヤル、ABT、ハンブルク・バレエ、キエフ・バレエ、東京バレエ団など)、ロシアのバレエ団による上演を観たくなってしまった。とにかく主演のふたりが素晴らしかったので、楽しめた公演ではあったが。

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小林紀子バレエシアター「マノン」

小林紀子バレエシアターは、一昨年に引き続き「マノン」を上演します。ゲストに、ロイヤル・バレエのエドワード・ワトソンが出演してデ・グリュー役を演じます。

http://www.nkbt-tokyo.com/perform.html

第104回公演
ケネス・マクミラン振付「マノン」全3幕
2013年8月24日(土)/ 8月25日(日)
於:新国立劇場 オペラ劇場(オペラパレス)

開演時間:24日(土)5:00PM / 25日(日)3:00PM
※両日とも、開場は開演の45分前です。
【振付】ケネス・マクミラン
【音楽】ジュール・マスネ
【編曲】マーティン・イエーツ
【監修】デボラ・マクミラン
【美術】ピーター・ファーマー
【照明】五十嵐正夫
【衣裳・装置提供】オーストラリアン・バレエ
【芸術監督】小林紀子
【ステイジド・バイ】アントニー・ダウスン
【主な出演者】島添亮子、エドワード・ワトソン(英国ロイヤル・バレエプリンシパル) 後藤和雄、大塚礼子、高橋怜子、奥村康祐、中尾充宏、冨川直樹、萱嶋みゆき、真野琴絵、 喜入依里ほか
【指揮】アラン・バーカー
【演奏】東京ニューフィルハーモニック管弦楽団

S券 12,000円|A券 10,000円|B券 8,000円|C券 6,000円|D券 5,000円

お申込み ~発売開始日5月18日(土)~
※小林紀子バレエ・シアターでのチケットお申込みは、5月18日(土)12:00~となります。

小林紀子バレエ・シアター TEL 03-3987-3648
チケットぴあ TEL 0570-02-9999
イープラス http://eplus.jp/ (パソコン・携帯)
CNプレイガイド TEL 0570-08-9990

一昨年の上演も演技等全体のアンサンブルが素晴らしかったので、今回も、演技力に定評のあるエドワード・ワトソンを迎え、充実した舞台を見せてくれることでしょう。

2013/05/10

4/30 ロイヤル・バレエ「マイヤリング(うたかたの恋)」Royal Ballet Mayerling

ゴールデンウィークを利用して、オットとロンドンへと旅行してきました。「マイヤリング」と「ラ・バヤデール」を2回ずつ、さらにバックステージツアーにも参加して、充実した旅でした。

4/30 マイヤリング Mayerling
http://www.roh.org.uk/productions/mayerling-by-kenneth-macmillan

Choreography Kenneth MacMillan
Music Franz Liszt
arranged and orchestrated by John Lanchbery
Designs Nicholas Georgiadis
Scenario Gillian Freeman
Lighting design John B Read
Staging Grant Coyle
Staging Monica Mason

Crown Prince Rudolf Bennet Gartside
Mary Vetsera Marla Galeazzi
Countess Larisch Hikaru Kobayashi
Princess Stephanie Emma Maguire
Empress Elisabeth Kristen McNally
Bratfisch James Hay
Mitzi Caspar  Helen Crawford
Hungarian Officers Alexander Campbell, Brian Maloney, Andrej Uspenski, Valentino Zucchetti

マイヤリングの人間関係は複雑なので、ぜひこちらの家系図で予習を。
http://www.roh.org.uk/news/whos-who-in-mayerling-our-family-tree-guide

当初この日は、ヨハン・コボーとアリーナ・コジョカルが予定されていたが、コボー、コジョカルとも怪我で降板し、タイトルロールの代役として、ファーストソリストで全幕の主役は初めてのベネット・ガートサイドが抜擢された。今シーズン限りで引退するマーラ・ガレアッツイがコジョカルの代役に。

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「マイヤリング」は、この作品を振りつけたマクミランが、まさに上演中にロイヤル・オペラハウスのバックステージで心臓発作を起こして亡くなったという曰くつきの作品。これをここで観るのは特別の感慨がある。来日公演でのヨハン・コボーの狂気に満ちた演技がとても印象的だったので、もう一度観られるのを楽しみにしていたのだが、降板でベテラン・ソリストのベネットに。このベネットのルドルフが全身全霊を込めた演技だった。

ベネットは、主役を踊ること自体が初めて(注:その前の週の木曜日が彼の主演の一回目)のベネットで、最初は少し緊張していたようだったが、さすがはロイヤル・バレエで長年踊っていただけあって演技力は折り紙つき。厭世観に取り憑かれ、宮廷での居場所をどんどんなくしていき、母エリザベートの影響力から逃れられないヘタレ青年ながら、皇族ならではの威厳も持ち合わせた男の姿を体現していた。コボーほどの狂気、エドワード・ワトソンの繊細ながらエキセントリックなところはないけど、その分、とても真実味があって自然な演技であるように感じられた。ルドルフ役は、マクミランならではの複雑なリフトの数々、しかもこのバレエだと、マリー・ヴェツェラだけでなく、ラリーシュ夫人、ステファニー王女、ミッツィー・キャスパーとのパ・ド・ドゥがある上、ほぼ舞台上に出ずっぱりの役で、本当にハードだが、ベネットはパートナーリングも実にうまくてスムーズに流れていった。追い詰められ、死に魅せられ、じりじりと破滅していく様子が手に取るように伝わってきた彼の渾身の演技は、ずしんと胸に響いた。遅ればせながらやっと花開くことができたベネット、おめでとう!

マリー役のマーラは、6月にこの役で舞台を去ることが決まっている(来日公演のガラには出演する予定)。昨年出産した彼女は、子育てに専念するために引退するのだけど、表現力、技術とも現在が頂点であることを実感した。「マイヤリング」のDVD(エドワード・ワトソン主演)でも彼女は同じ役を演じているのだが、DVDよりもさらに演技に磨きがかかっている。映像だと細かいところまで見えてしまうので、どうしても17歳の少女には見えないけど、舞台なら、しっかりマリー・ヴェツェラらしい、挑発的な魔性の美少女に見える。そこに彼女の演技力が発揮されていると感じた。踊りもとても強靭で生命力に溢れ、とても今期限りで引退するようには見えない。彼女は別の日にワトソンとの出演もあったとはいえ、ベネットとの息もぴったり合っていて、ふたりが一緒に死へと駆け抜けていく様がリストの音楽に乗って情熱的に綴られていた。特に2幕で、下着姿でルドルフを挑発する奔放さ、銃と戯れる無邪気な中の小悪魔ぶりは魅惑的だった。

ラリーシュ夫人役には小林ひかるさん。彼女もこの役を演じるのは今シーズンが初めてとのこと。今までひかるさんは、このような演技が重要な役柄を演じたことはあまりなかった印象があったが、堂々とした演じっぷりだった。ラリーシュ夫人は、ルドルフの元愛人でありながら、17歳のマリーをマリーの母を通じて引き受け、ルドルフに取り持つというしたたかな女。ルドルフに心中の教唆をし、さらに彼に殺されてしまうと知りつつマイヤリングへとマリーを送り込むことまでした悪女だけど、元愛人として彼への愛も残っている、そんな複雑な女心の襞をひかるさんは巧みに演じていた。出演回数を重ねれば、もっとこなれてきて、より解釈が深められるだろうと感じたが、わざとらしさのない演技は賞賛されていい。

1幕の幕切れでルドルフと凄惨なパ・ド・ドゥを踊るステファニー王女役のエマ・マグワイヤは、怯える小鳥のような演じ方、アクロバティックなリフトをされている姿と、この役に必要とされている資質を備えていた。コミカルな踊りでルドルフを元気づけようとするも、思いっきりすべってしまうブラットフィッシュ役には、翌日にはブロンズ・アイドルを演じていたジェームズ・ヘイ、小柄ながらも軽やかなテクニックの持ち主だった。ミッツィー・キャスパー役ノヘレン・クロフォードだけが、体が重そうで切れ味がなく残念だった。

2010年の来日公演の時とは、脇キャスト含めてだいぶメンバーが入れ替わっていたが、退廃的でダークな世界観は息づいている。埋葬のシーンから始まり、ラストシーンも、遺体が服を着せられて歩かされ闇から闇に葬られるマリーの埋葬で終わる陰鬱な作品だが、舞台を観た、という満足感で満たされた。役者ぞろいのアンサンブルもさることながら、主演二人の、舞台の神に身を捧げたような演技と踊りにねじ伏せられた気がする。

この日のキャストと同じ出演者の舞台写真をこちらで見ることができます。
Gallery – Royal Ballet in Mayerling
http://dancetabs.com/2013/04/gallery-royal-ballet-in-mayerling/

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2013/05/09

バレエ・アステラス★2013 出演者決定

新国立劇場で最近恒例となっているバレエ・アステラス★2013の出演者が発表されていました。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/30000690.html

【海外で活躍する日本人バレエダンサー】
 海老原由佳(ポーランド国立歌劇場バレエ団)
 大川航矢(ウクライナ国立オデッサ歌劇場バレエ団)
 小笠原由紀(ドレスデン・ゼンパーオーパー・バレエ団)
 オニール八菜(パリ・オペラ座バレエ団)
 唐沢秀子(バレエ・メンフィス)
 佐久間奈緒(バーミンガム・ロイヤル・バレエ団)
 高橋絵里奈(イングリッシュ・ナショナル・バレエ団)
 寺田 翠(ウクライナ国立オデッサ歌劇場バレエ団)

【新国立劇場バレエ研修所修了生】
 寺田亜沙子(第2期修了生、新国立劇場バレエ団ソリスト)
 堀口 純(第2期修了生、新国立劇場バレエ団ソリスト)

【海外のバレエ養成機関】
 カザフスタン共和国 A.V.セレズニョーフ記念アルマティ舞踊学校

【新国立劇場バレエ研修所】
 第9期生・第10期生・修了生


指揮:デヴィッド・ガルフォース
演奏:新国立劇場アンサンブル
※一部録音音源による上演あり

公演の概要はこちらです。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/30000089_ballet.html

2013年7月21日(日)
3:00開演予定 
新国立劇場 オペラ劇場


佐久間奈緒さん、高橋絵里奈さんなどお馴染みの方もいる一方で、パリ・オペラ座バレエで活躍するオニール八菜さん(ハナ・オニール)や、2011年のローザンヌ国際バレエコンクールに出場し、ボリショイ・バレエ学校を卒業した大川航矢さん、やはりボリショイ出身でコンクールで活躍してきた寺田翠さんなどの若手の出演も楽しみなところです。

去年のバレエ・アステラスでは、サンフランシスコ・バレエ学校のパフォーマンスが素晴らしかったので、今年のカザフスタン共和国のアルマティ舞踊学校にも期待します。(ここは、シュツットガルト・バレエのマリア・アイシュヴァルトが卒業した学校なのですよね)

なお、オニール八菜さんの最新のインタビュー記事が載っていました。

http://balletnews.co.uk/cupcakes-conversation-with-hannah-oneill-paris-opera-ballet/

現在「マーラー交響曲3番」の舞台に立っている彼女、数学を考えるときは、日本語で考えているのだそうです。7月の入団試験で正式入団が叶いますように。

2013/05/08

モンテカルロ・バレエ「LAC(ラック)~白鳥の湖~」 ARTEでネット視聴可

3月にNHKのBSプレミアムで放映されたモンテカルロ・バレエ「LAC(ラック)~白鳥の湖~」 ジャン・クリストフ・マイヨー振付が、ARTEのサイトで全編視聴可能となっています。見逃された方は、ぜひ。とてもスタイリッシュで面白い作品です。

モナコ公国 モンテカルロ・バレエ              
「LAC(ラック)~白鳥の湖~」              

http://liveweb.arte.tv/fr/video/Le_Lac_Jean-Christophe_Maillot_Ballets_de_Monte_Carlo/








                              
バレエ音楽「白鳥の湖」チャイコフスキー作曲
                              
ベルニス・コピエテルス
アニヤ・ベーレント
エープリル・バール
ステファン・ボルゴン
アルバロ・プリエト
小池ミモザ
イェルン・フェアブルッヘン
モンテカルロ・バレエ団
                              
(管弦楽)セントルイス交響楽団
(指揮)レナード・スラットキン
                              
~モナコ モンテカルロ グリマルディ・フォーラムで収録~(2013/1)                      
                              
 【美術】エルネスト・ピニョン・エルネスト         
 【台本】ジャン・ルオー                  
 【衣装】フィリップ・ギヨテル               
 【照明】ジャン・クリストフ・マイヨー           
     サミュエル・テリー                
 【振付】ジャン・クリストフ・マイヨー     

2013/05/06

NHKバレエの饗宴、6月プレミアムシアターのパリ・オペラ座バレエ特集、ニーナ・アナニアシヴィリドキュメンタリー放映予定

5月~6月にかけていくつかテレビのバレエ放映予定があります。すでにご存知の方も多いかもしれませんが、一応念の為にキャッチアップ。

ローザンヌ国際バレエコンクール

2013年5月11日(土) 午後3:00~午後5:00(120分)NHK Eテレ

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2013-05-11&ch=31&eid=08153

若手バレエ・ダンサーの登竜門として世界的に有名なローザンヌ国際バレエ・コンクール。今年も日本人の4人が決選に進んだ。今年2月に行われたコンクール決選の模様を紹介
【ゲスト】小山久美,【出演】熊川哲也,山本雅也,【司会】礒野佑子


クラシック音楽館 - NHKバレエの饗(きょう)宴2013

5月19日(日)午後9時00分~午後11時26分 NHK Eテレ

http://www4.nhk.or.jp/ongakukan/x/2013-05-19/31/14217/

「コンチェルト」小林紀子バレエ・シアター (ピアノ)菊池洋子
「ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」橋本清香,木本全優
「春の祭典」東京バレエ団
「ラプソディ」吉田都,ロバート・テューズリー
「コッペリア」東京シティ・バレエ団
「白鳥の湖」中村祥子,ヴィスラウ・デュデック

(指揮)大井剛史,(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団

ノンフィクションW 祖国へ捧げるバレエ
“世界のプリマ”ニーナ・アナニアシヴィリの道

5/24(金)よる10:00 WOWOWプライム、 5/26(日)午前10:00 WOWOWプライム

http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/103181/

世界を魅了し続けてきたバレリーナ、ニーナ・アナニアシヴィリ。現役として世界中で活躍するかたわら、激動の祖国グルジアの国立バレエ団再建に尽力する姿を追う。


NHKBSプレミアム プレミアムシアター
◇パリ・オペラ座バレエ学校 創立300年記念ガラ公演
◇パリ・オペラ座バレエ公演 「マリ・アニエス・ジロ×マース・カニングハム」
◇パリ・オペラ座バレエ団公演 トリシャ・ブラウンの「オ・コンポジト」

7月1日(月)【6月30日(日)深夜】午前0時~午前4時

http://www.nhk.or.jp/bs/premium/

◇パリ・オペラ座バレエ学校 創立300年記念ガラ公演

<振 付>
ピエール・ラコット
ジャック・ガルニエ
レオ・スターツ
ジャン・ギヨーム・バール

<出 演>
パリ・オペラ座バレエ団のエトワールたち
〃 プルミエールたち
パリ・オペラ座バレエ学校の生徒たち
ほか

収録:2013年4月15日
パリ・オペラ座ガルニエ宮
パリ・オペラ座、フランソア・ルシオン


◇パリ・オペラ座バレエ公演 「マリ・アニエス・ジロ×マース・カニングハム」

<演 目>
ス・ザパランス(見かけの裏に)

<振 付>
マリ・アニエス・ジロ

<音 楽>
ブルックナー
フェルドマン
リゲティ

<指 揮>
ローランス・エキルビー

<出 演>
ヴァンサン・シャイエ
レティシア・ピュジョル
アリス・ルナヴァン

パリ・オペラ座バレエ団


<演 目>
アン・ジュール・ウ・ドゥ

<振 付>
マース・カニングハム

<音 楽>
ジョン・ケージ

<出 演>
エミリー・コゼット
エルヴェ・モロー
ファビアン・レヴィヨン

パリ・オペラ座バレエ団

収録:2012年11月
パリ・オペラ座ガルニエ宮


◇パリ・オペラ座バレエ団公演 トリシャ・ブラウンの「オ・コンポジト」

<演 目>
オ・コンポジト

<振 付>
トリシャ・ブラウン

<音 楽>
ローリー・アンダーソン

<出 演>
オーレリ・デュポン
ニコラ・ル・リッシュ
ジェレミー・ベランガール

パリ・オペラ座バレエ団

収録:2012年11月1日
パリ・オペラ座ガルニエ宮

なお、パリ・オペラ座バレエ学校 創立300年記念ガラ公演は、ARTEのサイトで映像を視聴することができます。

http://liveweb.arte.tv/fr/video/Le_Gala_du_Tricentenaire_de_l_ecole_Francaise_de_Danse/








フレデリック・フランクリンが逝去 Frederic Franklin, ballet dancer, coach and director, dies at 98

バレエ・リュス・ド・モンテカルロなどで活躍し、バランシンら振付家たちにインスピレーションを与え、90代を迎えてもなおABTの舞台に立つ傍ら、バレエ界の生き字引として振付指導やバレエの歴史保存に活躍したダンサー、フレデリック・フランクリンが亡くなりました。享年98歳。

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ワシントン・ポスト
http://www.washingtonpost.com/local/obituaries/frederic-franklin-ballet-dancer-coach-and-director-dies-at-98/2013/05/05/9b69f642-0e3a-11e1-a560-dfb7ccea65aa_story.html?wprss=rss_obituaries

ニューヨーク・タイムズ
http://www.nytimes.com/2013/05/06/arts/dance/frederic-franklin-inventive-ballet-star-dies-at-98.html?hp&_r=0

ほとんどのダンサーが引退する年齢を過ぎてなお、フランクリンは、ダンサー、生き字引、歴史家としてバレエ界に重要な貢献を果たしました。細かいことまで覚えられる優れた記憶力を持ち、重要な振付家やダンサーたちとの経験をしている彼は、若い世代へとそれを伝えていくことで、バレエ界の至宝として崇められる存在となったのです。映像などの記録が少ない時代のバレエが今に伝わっているのは、彼の大きな功績です。

1914年に英国、リバプールで生まれたフレデリック・フランクリンは、英国バレエの草創期に育ちました。当時は、バレエといえばロシアのもので、英国人の男性が踊るのは非常に珍しいことでした。17歳でパリに渡り、ジョセフィーヌ・ベーカーが看板として踊っていたカジノ・ド・パリでアンサンブル・ダンサーとして踊るようになりました。タップの技術もここで身につけました。

1938年にバレエ・リュス・ド・モンテカルロに参加した彼は、理想的なプロポーションと美しい容姿、そして振付をすぐに覚えられる素晴らしい記憶力の持ち主としてスターダンサーとなり、45本もの作品に主役で出演し、何本かのハリウッド映画にも出演しました。彼が出演した「ロデオ」(初めてのアメリカン・バレエと呼ばれる作品)の振付家アグネス・デ・ミルは、「私が初めて一緒に仕事をすることができた偉大な男性テクニシャンでした。私は人間の体ができるすべてのことをやってみたけど、彼はムスタングのように強靭で、スピーディで、疲れを知りませんでした」と彼を評しました。

アリシア・マルコワ、アリシア・アロンソ、マリア・トールチーフなど多くの同世代のバレリーナと共演した彼ですが、最も有名なパートナーシップは、アレクサンドラ・ダニロワとのものでした。「ジゼル」から「コッペリア」まで、彼らの共演は幅広い作品にわたりました。中でも映像化された、レオニード・マシーン振付「ゲテ・パリジェンヌ」での踊りは有名です。

1950年代初頭にバレエ・リュス・ド・モンテカロが解散した後は、自らのバレエ団を率いて、52年には「欲望という名の電車」を踊り、それが元で、マーロン・ブランドの同名の映画が制作されたのです。1957年から61年には、ワシントン・バレエの共同芸術監督を務めました。また、84年にダンス・シアター・オブ・ハーレムに振り付けた「ジゼル」は、「クレオール・ジゼル」の異名を取って有名になりました。2007年には、ジョフリー・バレエのために古典版「ジゼル」を振り付けています。

彼の活動は、ダンサーから指導者、演出家へとシフトしていったものの、90代になってもABTで「白鳥の湖」の家庭教師役、「ロミオとジュリエット」のローレンス神父役、「ラ・シルフィード」などで舞台に立ち続けました。私も幸運にも何度か彼の舞台姿を見ることができましたが、それはそれはエレガントで美しく、とても90代とは思えないほどピンと張った背筋が印象的でした。

2011年には、フランクリンはバレエ界に対する長年の功績を讃えられて、ベッシー賞を受賞しています。その時ですらも、彼は足腰が立つ限り舞台に立ち続けるとインタビューで語っていました。

映画「バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び」でも、80代になっても、かくしゃくとしたフランクリンがアレクサンドラ・ダニロワと踊る姿を、インタビューとともに見ることができます。

20世紀バレエに大きな貢献をした、偉大なダンサーのご冥福をお祈りします。

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2013/05/05

マリインスキーII オープニング・ガラ

4月29日から5月4日まで、GWでロンドンに旅行に行っていました。ロイヤル・バレエの「マイヤリング」と「ラ・バヤデール」を2回ずつ観ることができ、またお天気にも恵まれてとても楽しかったです。その間、ブログをお休みしてしまいました。

すでにご存知の方も多いと思いますが、5月2日のマリインスキー劇場の新劇場、マリインスキーIIのオープニングガラが行われ、ARTEで中継されました。この録画全編を、ARTEのサイトで見ることができます。(今日から180日間)指揮はゲルギエフ、彼の誕生日でもあったようです。

http://liveweb.arte.tv/fr/video/Gala_Inauguration_Theatre_Mariinsky_II_Saint_Petersbourg/








[演目]

「ロミオとジュリエット」の音楽に合わせての新劇場のビデオツアー

「ラ・バヤデール」の影の王国の導入部

グノー「アヴェ・マリア」(児童合唱)

オペラ「セビリアの理髪師」より"La calunnia"「悪口はそよ風のように」 Ildar Abdrazakov

オペラ「セビリアの理髪師」より"Largo al factotum"デニス・マツーエフによるピアノ演奏

オペラ「ボリス・ゴドノフ」戴冠シーン、エフゲニー・ニキーチンとコーラス

ノイマイヤー振付「くるみ割り人形」(パヴロワとチェケッティ)、ウリヤーナ・ロバートキナ、ヴィクトール・バラノフ(演奏、Leonidas Kavakos)

「エチュード」、アナスタシア・コレゴワ、キム・キミン、フィリップ・スチョーピンとワガノワ・バレエ学校の生徒

オペラ「カルメン」よりEkaterina Semenchuk

「カルメン組曲」ディアナ・ヴィシニョーワ

オペラ「イオランタ」より Alexei Markov

「瀕死の白鳥」エカテリーナ・コンダウーロワ、ユーリ・バシュメトのヴィオラ演奏

「ヴォルガの船曳き歌」"Song of the Volga Boatmen"ミハイル・ペトレンコ

「春の祭典」(ニジンスキー振付ホドソン再振付)に続き、サシャ・ヴァルツの新作「春の祭典」

オペラ「ファウスト」よりルネ・パーペ

オペラ「ランスへの旅」より"Fra dolci e cari palpiti"

オペラ「サムソンとデリラ」より「あなたの声で心は開く」Olga Borodina

プティ振付「レダと白鳥」オルガ・エシナ、アレクサンドル・セルゲイエフ

オペラ「ワルキューレ」より「春と愛の歌」、プラシド・ドミンゴ

「ダイヤモンド」のフィナーレ、オクサーナ・スコリク、ウラジーミル・シクリャーロフ

オペラ「マクベス」より「来たれ、急いで」アンナ・ネトレプコ

オペラ「ドン・ジョヴァンニ」より「お手をどうぞ」」アンナ・ネトレプコ、ペトレンコ、パーペ、Abdrazakov、ドミンゴ アレクセイ・マルコフ

オペラ「イオランタ」のフィナーレ ネトレプコほか

プログラムを見ればわかるように、オペラの時間が長くてバレエはずいぶん少ない印象があります。これもゲルギエフ路線のためなのでしょうか。しかしその中でも、ロパートキナの「くるみ割り人形」の素晴らしさには、思わず心が震えました。

近代的でガラス張りのマリインスキーII劇場には賛否両論があるようです。劇場の座席はこんな感じのようです。
http://www.telegraph.co.uk/culture/theatre/dance/10034976/Mariinsky-2-opens-with-a-seamless-gala.html

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