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2013/05/10

4/30 ロイヤル・バレエ「マイヤリング(うたかたの恋)」Royal Ballet Mayerling

ゴールデンウィークを利用して、オットとロンドンへと旅行してきました。「マイヤリング」と「ラ・バヤデール」を2回ずつ、さらにバックステージツアーにも参加して、充実した旅でした。

4/30 マイヤリング Mayerling
http://www.roh.org.uk/productions/mayerling-by-kenneth-macmillan

Choreography Kenneth MacMillan
Music Franz Liszt
arranged and orchestrated by John Lanchbery
Designs Nicholas Georgiadis
Scenario Gillian Freeman
Lighting design John B Read
Staging Grant Coyle
Staging Monica Mason

Crown Prince Rudolf Bennet Gartside
Mary Vetsera Marla Galeazzi
Countess Larisch Hikaru Kobayashi
Princess Stephanie Emma Maguire
Empress Elisabeth Kristen McNally
Bratfisch James Hay
Mitzi Caspar  Helen Crawford
Hungarian Officers Alexander Campbell, Brian Maloney, Andrej Uspenski, Valentino Zucchetti

マイヤリングの人間関係は複雑なので、ぜひこちらの家系図で予習を。
http://www.roh.org.uk/news/whos-who-in-mayerling-our-family-tree-guide

当初この日は、ヨハン・コボーとアリーナ・コジョカルが予定されていたが、コボー、コジョカルとも怪我で降板し、タイトルロールの代役として、ファーストソリストで全幕の主役は初めてのベネット・ガートサイドが抜擢された。今シーズン限りで引退するマーラ・ガレアッツイがコジョカルの代役に。

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「マイヤリング」は、この作品を振りつけたマクミランが、まさに上演中にロイヤル・オペラハウスのバックステージで心臓発作を起こして亡くなったという曰くつきの作品。これをここで観るのは特別の感慨がある。来日公演でのヨハン・コボーの狂気に満ちた演技がとても印象的だったので、もう一度観られるのを楽しみにしていたのだが、降板でベテラン・ソリストのベネットに。このベネットのルドルフが全身全霊を込めた演技だった。

ベネットは、主役を踊ること自体が初めて(注:その前の週の木曜日が彼の主演の一回目)のベネットで、最初は少し緊張していたようだったが、さすがはロイヤル・バレエで長年踊っていただけあって演技力は折り紙つき。厭世観に取り憑かれ、宮廷での居場所をどんどんなくしていき、母エリザベートの影響力から逃れられないヘタレ青年ながら、皇族ならではの威厳も持ち合わせた男の姿を体現していた。コボーほどの狂気、エドワード・ワトソンの繊細ながらエキセントリックなところはないけど、その分、とても真実味があって自然な演技であるように感じられた。ルドルフ役は、マクミランならではの複雑なリフトの数々、しかもこのバレエだと、マリー・ヴェツェラだけでなく、ラリーシュ夫人、ステファニー王女、ミッツィー・キャスパーとのパ・ド・ドゥがある上、ほぼ舞台上に出ずっぱりの役で、本当にハードだが、ベネットはパートナーリングも実にうまくてスムーズに流れていった。追い詰められ、死に魅せられ、じりじりと破滅していく様子が手に取るように伝わってきた彼の渾身の演技は、ずしんと胸に響いた。遅ればせながらやっと花開くことができたベネット、おめでとう!

マリー役のマーラは、6月にこの役で舞台を去ることが決まっている(来日公演のガラには出演する予定)。昨年出産した彼女は、子育てに専念するために引退するのだけど、表現力、技術とも現在が頂点であることを実感した。「マイヤリング」のDVD(エドワード・ワトソン主演)でも彼女は同じ役を演じているのだが、DVDよりもさらに演技に磨きがかかっている。映像だと細かいところまで見えてしまうので、どうしても17歳の少女には見えないけど、舞台なら、しっかりマリー・ヴェツェラらしい、挑発的な魔性の美少女に見える。そこに彼女の演技力が発揮されていると感じた。踊りもとても強靭で生命力に溢れ、とても今期限りで引退するようには見えない。彼女は別の日にワトソンとの出演もあったとはいえ、ベネットとの息もぴったり合っていて、ふたりが一緒に死へと駆け抜けていく様がリストの音楽に乗って情熱的に綴られていた。特に2幕で、下着姿でルドルフを挑発する奔放さ、銃と戯れる無邪気な中の小悪魔ぶりは魅惑的だった。

ラリーシュ夫人役には小林ひかるさん。彼女もこの役を演じるのは今シーズンが初めてとのこと。今までひかるさんは、このような演技が重要な役柄を演じたことはあまりなかった印象があったが、堂々とした演じっぷりだった。ラリーシュ夫人は、ルドルフの元愛人でありながら、17歳のマリーをマリーの母を通じて引き受け、ルドルフに取り持つというしたたかな女。ルドルフに心中の教唆をし、さらに彼に殺されてしまうと知りつつマイヤリングへとマリーを送り込むことまでした悪女だけど、元愛人として彼への愛も残っている、そんな複雑な女心の襞をひかるさんは巧みに演じていた。出演回数を重ねれば、もっとこなれてきて、より解釈が深められるだろうと感じたが、わざとらしさのない演技は賞賛されていい。

1幕の幕切れでルドルフと凄惨なパ・ド・ドゥを踊るステファニー王女役のエマ・マグワイヤは、怯える小鳥のような演じ方、アクロバティックなリフトをされている姿と、この役に必要とされている資質を備えていた。コミカルな踊りでルドルフを元気づけようとするも、思いっきりすべってしまうブラットフィッシュ役には、翌日にはブロンズ・アイドルを演じていたジェームズ・ヘイ、小柄ながらも軽やかなテクニックの持ち主だった。ミッツィー・キャスパー役ノヘレン・クロフォードだけが、体が重そうで切れ味がなく残念だった。

2010年の来日公演の時とは、脇キャスト含めてだいぶメンバーが入れ替わっていたが、退廃的でダークな世界観は息づいている。埋葬のシーンから始まり、ラストシーンも、遺体が服を着せられて歩かされ闇から闇に葬られるマリーの埋葬で終わる陰鬱な作品だが、舞台を観た、という満足感で満たされた。役者ぞろいのアンサンブルもさることながら、主演二人の、舞台の神に身を捧げたような演技と踊りにねじ伏せられた気がする。

この日のキャストと同じ出演者の舞台写真をこちらで見ることができます。
Gallery – Royal Ballet in Mayerling
http://dancetabs.com/2013/04/gallery-royal-ballet-in-mayerling/

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