BlogPeople


2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« バランシンのミューズ、マリア・トールチーフ死去 | トップページ | 第41回ローザンヌ国際バレエコンクール入賞者の入団先 »

2013/04/14

ロイヤル・バレエ 映画館上映「眠れる森の美女」

シアタス・カルチャー」で映画館上映されているロイヤル・バレエの上演、DVDと同じ映像の「マノン」、そして先日の「アリス」は体調不良でパスしたけど、それ以外はなんだかんだとほとんど見に行っている。公演の映像はもちろんだけど、インタビューや舞台裏など特典映像が楽しめるのがいい。今回の「眠れる森の美女」の上映は、2011年12月の公演の収録ということもあり、特典映像は本編前に少しローレン・カスバートソンとジョナサン・コープ、レスリー・コリアなどのインタビューがあった5分程度のものだった。

Tchaikovsky: The Sleeping Beauty

http://www.roh.org.uk/productions/the-sleeping-beauty-by-marius-petipa

Choreography Marius Petipa
Additional Choreography Frederick Ashton, Anthony Dowell, Christopher Wheeldon (Based on Ninettte de Valois, Nicholai Sergeyev)
Production Monica Mason
Production Christopher Newton
Original designs Oliver Messel
Additional designs Peter Farmer
Lighting design Mark Jonathan
Staging Christopher Carr

Princess Aurora Lauren Cuthbertson
Prince Florimund Sergei Polunin
Carabosse Kristen McNally
Lilac Fairy Claire Calvert

King Florestan XXIV Gary Avis
His Queen Genesia Rosato
Cattalabutte Alastair Marriot

Fairy of the Crystal Fountain Yuhui Choe (崔由姫)
Fairy of the Enchanted Garden Beatriz Stix-Brunell
Fairy of the Woodland Glade Fumi Kaneko (金子扶生)
Fairy of the Song Bird Iohna Loots
Fairy of the Golden Vine Emma Maguire

The English Prince Nehemiah Kish
The French Prince Johannes Atepanek
The Indian Prince Eric Underwood
The Russian Prince Andrej Uspenski

Florestan and his Sisters Dawid Trzensimiech, Emma Maguire, Helen Crawford
Puss-in-Boots and the White Cat Paul Kay, Elizabeth Harrod
PrincessFlorine and the Bluebird Yuhui Choe, Alexander Campbell
Red Riding Hood and the Wolf Sabina Westcombe, Ryoichi Hirano((平野亮一)

Conductor Boris Gruzin

2011年12月に収録されたこの映像、2007年のDVD(コジョカル主演)からプロダクションが変更されていて、特にプロローグの妖精の衣装が大幅に変わっている。下の映像で新しい衣装の製作について衣装担当者の説明があるが、リラの精の衣装がこのピンクと白のチュチュになっているのは少々違和感を感じてしまう。

プロローグに登場する5人の妖精の中では、ユフィさんと金子さんの踊りが際立っている。ユフィさんの美しいポール・ド・ブラ、金子さんの気品と正確さにはうっとり。今度来日公演「アリス」で主演するベアトリスはどうも丁寧さに欠けてこの映像では今一歩に感じられてしまった。リラの精のクレア・カルヴァートは、「ラ・バヤデール」ではガムザッティ役に抜擢されている(収録当時23歳の)新星。目力の強い美人できちんと踊ることはできているのだけど、リラの精にふさわしい威厳や包容力には欠けていて、ピンクの衣装も相まってちょっとギャルっぽい。王様のギャリー、女王様のジェネシアなどいつものロイヤルのキャラクテール陣は演技が達者で、特にカタラビュット役のアレイスター・マリオットは笑わせてくれる。カラボス役のクリスティン・マクナリーは初役とのことで、このような役柄も世代交代しているのだが、モニカ・メイソン直伝の邪悪で美しいカラボスだった。

ローレン・カスバートソンは見るからに鷹揚そうで、おっとりとしたお姫様が合っていると思っていたが、実際にはそうでもなかった。前回の劇場上映のジュリエット役の方が等身大の女の子らしくて似合っていた。ローレンは初々しいのだけど、同時にややおとなしそうな雰囲気があり、また長身で顔がとても小さいのが、落ち着いた雰囲気を作っている。ローズアダージオでは、とても緊張していたようでバランスが不安定で手に汗を握ってしまい、その後のパンシェも硬かった。舞台が進むにつれて踊りも演技もほぐれてきたようで、2幕の少し切ない叙情性、3幕の愛らしい中でも柔らかさと伸びやかさのある踊りはとても好感が持てた。彼女はピルエットがとても正確で何回転でもきれいに回ることができるし、手脚が長いのにコントロールがきっちりと折り目正しく、それでいて柔軟性もあるので、とても品が良い。素敵なバレリーナだが、現在は怪我に見舞われているのが残念。早く良くなって、来日公演の「アリス」で活躍して欲しいと願った。

一方、フロリムント役のセルゲイ・ポルーニンは、3幕グラン・パ・ド・ドゥのヴァリエーションでは、目の覚めるような踊りを見せてくれる。ふわっと浮かび上がるような高い跳躍、5番にきちっと収まる着地、余裕があって輝かしいテクニック。ウクライナ人の彼でも、ロイヤルバレエスクール育ちなので、踊りはロシア的ではないということを再確認。ロシア人だったらもっとアントルラッセの後ろ脚を上げるだろうけどやらない、とかポール・ド・ブラに柔らかさがないとか。彼がモスクワ音楽劇場で踊っている今、メソッドの違いが浮かないのかな、とふと思った。彼の持ち味には暗さがあるので、3幕の結婚式の場面よりも、2幕の幻影を追い求めたり、ふと憂愁に沈んだところの方が似合っている。残念なのは、サポートがあまりうまくなくて、時々ローレンの軸が傾いてしまったり、持ち上げたり下ろしたりするときの優しさや丁寧さが足りないこと。そして、特に3幕では顕著だったのだが、心ここにあらずという時があり、結婚式なのに浮かない顔をしていることがあること。パートナーとのコミュニケーションをとるのが苦手なようで、愛がほとんど感じられなかった。ただ、踊りそのもののテクニックは素晴らしいので、サポートやメンタリティー、そして演技などについてはきっと今後は改善していくことだろう。ただ、この人の暗さは、王子役にはあまり向いていないことを感じさせた。モスクワ音楽劇場で踊った「マイヤリング」のルドルフ役なら似合っているのかもしれないが。

この収録の2ヶ月後にはポルーニンはロイヤル・バレエを電撃的に退団してしまうのだが、収録時にもきっといろいろと思うことはあったに違いない。先日、ペーター・シャウフスの「ミッドナイト・エクスプレス」を直前で降板したり、相変わらずお騒がせな彼なのであるが、どうかメンタル面を克服して、その才能を生かして欲しいと思うのであった。

3幕のディヴェルティスマンでは、フロレスタン役のダヴィッド・トルゼンシミエッチが目を引いた。脚がとても美しくてきれいに伸びており、特にバットゥリーが明確だ。コーダで捌けていくところのまっすぐに伸びた脚でのジュッテの軌跡がハッとさせるものがあった。「ラ・シルフィード」でジェームズ役を踊っていることも納得できる。青い鳥役のアレクサンダー・キャンベルは、体型は非常にムチムチしているのだが、動きはとても鳥っぽく、特にコーダのブリゼ・ボレはよく体が動いていた。最後に手をついてしまったのが惜しい。ユフィさんのフロリナは実に愛らしく、軽やかでとても素敵だった。かぶりもので顔がわからなかったが、平野さんの狼も演技が楽しくてすごくいい。こういう被りもの系はロイヤルのダンサーはとても達者だ。

主役二人のパートナーシップがしっくりこなかったのと、リラ始め妖精たちが弱かったので、全体的な満足度はやや低めだったが、ロイヤルらしい演劇性は味わえるプロダクションである。来シーズンもロイヤルでは「眠れる森の美女」を上演するそうで、しかも再び「眠れる森の美女」が映画館で上映される予定なので、日本でもまた映画館上映をして欲しいと思った。映画館の大画面と音響でバレエを観ることができるのは、やはり楽しい。「眠れる森の美女」でオーロラ役に金子さんやユフィさんが抜擢されるといいな、と思った。

ちなみに、品川プリンスシネマでは、4月19日まで、1日2回12:45~、19:30~で「眠れる森の美女」の上映があるので、ご興味のある方はぜひ。

英国ロイヤル・バレエ団「眠れる森の美女」(プロローグ付き・全3幕) [DVD]英国ロイヤル・バレエ団「眠れる森の美女」(プロローグ付き・全3幕) [DVD]

日本コロムビア 2010-11-17
売り上げランキング : 7198

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

« バランシンのミューズ、マリア・トールチーフ死去 | トップページ | 第41回ローザンヌ国際バレエコンクール入賞者の入団先 »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんにちわ。
舞台裏まで観られちゃう楽しい上映、来日公演はパスしようと思っていたのが逆に観たくなりました。

ローレンのジュリエット、観たかった、かわいいでしょうね、アリスまでに怪我治るといいけど。
3幕、今一つキラキラしてないと感じたのは、やはり王子の視線か、、、気だるかった。
Dawid Trzensimiechは、本当にハッと惹きつけられました!
劇場でないからよく観られず残念(笑)。期待したいと思いました。

マーキーさん、こんばんは。

マーキーさんも映画館でご覧になったんですね!
私も、「白鳥の湖」観に行った時に、中継だった(実際には違うけど)こともあったり、舞台裏映像が豊富で結構気持ちが盛り上がり、ロイヤルの来日で白鳥なんて、と思っていたのに面白いかも、って思いました!
ローレンのジュリエットは、DVD化されているので観られますよ(^^)とても愛らしかったし、彼女は演技もうまいと思いました。ロミオはイタリア人のフェデリコ・ボネッリなので、とてもロミオらしかったし。
ダヴィッドは、これから期待できそうな人ですよね。

上京した折に暇があったので、品川へご紹介の映画を見に行ってきました。
映像が大きく衣装も細部まではっきり見えました。
naomiさんの本文を思い出しながら見ましたが、
あまりにも、いちいちが述べられていた通りなので笑っちゃいました。
リラは全く仰る通りで、同感でした。
カラボスも若い女性ですので、チュチュで出てきて派手に踊れば良いのに
と思いました。

やすのぶさん、こんにちは。

品川の映画館は、昼夜と上映していて、スクリーンも大きくていい環境で見られていいですよね。

衣装、ちょっと?って思うところもありましたが、大変手が込んでいて繊細なもので、こうやって大画面で見られるのは良いです。リラは若い人が演じていることもあって、ちょっと貫禄が足りませんでしたね。バヤデールではガムザッティを踊るらしくて、私も観に行くのですが、もしかしたらガムザッティ役なら合っているのかもしれません。確かに、もっとカラボスとリラの対決が観たかったかも!

ロシア語、僕は全く駄目ですが、ロシア語で説明された映像のダンサー名くらいは読みたいなあといつも思っています。
ちなみにウイキのロシア語を見ると
オデッタとオディーリアは↓
Одетта и Одиллия
ハムレットを見るをオフェーリアは↓
Офелия (англ. Ophelia)
オディーリアは<лл=ll>と<エル>が重なっていて、オフェーリアは<л=l>と<エル>が1つのようですね。
ロシア語を探すのにヨツベを見ていたら次のような映像に出会いました。naomiさんはバレエをよくごぞんじですから、ひょっとしたらこれのオデット=オディールのダンサーをご存じではないですか?
http://www.youtube.com/watch?v=k27wb1DTfeM
映像の下のロシア語を暗号解読みたいにやってみると<ノボシビルスクなんとかアカデミー劇場オペラとバレエ>みたいです。なんか田舎っぽい(笑)感じですが、今年収録のようで映像は結構綺麗です。

やすのぶさん、こんにちは。

私ももちろんロシア語はだめで、一時期勉強しようと思ってテキストブックは買ったのですが、キリル文字も全く覚えられていません。

ご紹介の映像、美しいですね。ノボシビルスク・バレエは、シベリアにあるロシア有数のバレエ団で、芸術監督はイーゴリ・ゼレンスキー、レベルが高いと聞いています(日本で公演をしたことも過去にあります)。主演のダンサーはわかりませんが、このバレエ団に詳しい友人がいるので、聞いてみますね。

項目の違うところで、余計なお手数をおかけして申し訳ありません。
よろしくお願いします。
これは、ゼレンスキーが監督したものなんですね。踊りが豊富で楽しめます。
↓のミハイロフスキーのドアトの《眠りの森の美女》なんか、いろんな工夫が
凝らされて面白いんですが、僕にはどこか違和感があります。ゼレンスキーの
《白鳥の湖》方では長い伝統に基づいているように見え違和感が少ない。

例の、ユニヴァーサルの3・4幕の幕間の王子ソロ、ここでは1幕パドトロアの前!に
やっていました。こういう位置は初めて見ましたが、そういう伝統もあるんでしょうね?

http://www.youtube.com/watch?v=qam-L79X_y4
ペレンとサラファーノフ、ザハロワやオシポワの名がロシア語で読めて嬉しくなります。
ただ、オーロラの目覚めの場面(16:20)は二人だけを強調したかったのでしょうが、
ここは最高に嬉しい場面ですのに、ザハロワが彫像のように見えてしまい怖かった。
照明を最高に明るくすべきではなかったでしょうか?

やすのぶさん、こんばんは。

ドゥアト版ミハイロフスキーの「眠れる森の美女」は、インターネット中継をやったので、私もほかのことをしながらざっとですが観ました。ミハイロフスキーのYTでけっこうたくさん映像を紹介してくれていたんですね。
確かに、ドゥアトはコンテンポラリーの振付家なので、ちょっと違和感がある部分もあります。この3幕グラン・パ・ド・ドゥは、去年の世界バレエフェスティバルのガラ公演で、ノヴィコワとサラファーノフが踊ったんですが、このふたりのラブラブな雰囲気があったので、とても感じは良かったです。ザハロワとサラファーノフで中継で見たときには、やはり私も違和感を感じてしまったんですけどね。

そうそう、おっしゃる場所、確かに照明が暗いので、ザハロワ、あまりにお顔が整いすぎていて綺麗なので怖い、というのもわかりますね。私もここはもっと明るく演出すべきじゃないかなって思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« バランシンのミューズ、マリア・トールチーフ死去 | トップページ | 第41回ローザンヌ国際バレエコンクール入賞者の入団先 »