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« 新国立劇場ビントレー舞踊芸術監督がNHKドキュメンタリー 『NHK TOMORROW beyond 3.11』に登場 | トップページ | 第13回英国ナショナルダンスアワード発表 »

2013/01/27

デヴィッド・ビントレーによる、新国立劇場バレエ団2013/14シーズンラインアップ説明会

26日の昼、夜と新国立劇場バレエ団の「ダイナミック・ダンス」公演を見てきたのですが、とても楽しく、バレエ団の充実ぶりを感じられた公演でした。

さて、この昼と夜の公演の間に、デヴィッド・ビントレー芸術監督による2013/14シーズンラインアップ説明会がありました。

(2013/14シーズンラインアップはこちら

今回新シーズンをみなさんに紹介するのは、少し悲しい。今回が最後の発表会になるから、と始めたビントレーさんは感傷的になっていました。

「来シーズン上演するプログラムはとてもエキサイティングで、それぞれが上演するのに大きな意味がある作品です。私たちは、19世紀と21世紀を行き来する毎日となります。私個人としては21世紀志向が高いけどここのお客様は19世紀志向が高いようで(苦笑)。その中でも全幕ではないプログラムを三つ入れることはできましたが、『白鳥の湖』からは逃れることができませんでした。白鳥の湖やくるみ割り人形について私から敢えて話すことはありません」

ストラヴィンスキー・バレエ・リュスプログラム
「12、3歳の時にディアギレフのバレエ・リュスに完全に魅せられました。ピカソ、ストラヴィンスキー、シュトラウス、ドビュッシー、マティスといったアーティスト、パヴロワやニジンスキーのようなダンサー、バランシン、フォーキン、ニジンスキー、ニジンスカといった振付家たち。バレエ・リュスは20年間しか存続しなかったけど、バレエ、アートの世界のすべてを変えました。19世紀と20世紀をつないで発展させたバレエ・リュスは21世紀の私たちにとっても重要なものです。
今回はストラヴィンスキーの夕べです。バレエ・リュスからストラヴィンスキーを抜いてしまうと大きな穴が空いてしまう。バレエ・リュスの作品の中でもそれぞれ個性が違う三作品を上演します。『火の鳥』はロシアのエキゾチシズム。『アポロ』は新古典主義を彷彿させる傑作です。そして私の一番好きな『結婚』。『結婚』が上演できる劇場は滅多にない。音楽、合唱、オーケストラ、ピアノを提供できる新国立劇場だから実現可能となったプログラムです。
アポロ』を振り付けた時バランシンは24歳だったが、すでに自分のスタイルをここで確立していた。彼のすべての作品に『アポロ』の要素がある。今日『コンチェルト・バロッコ』を観ていて、『アポロ』の要素を見ることができた。『シンフォニー・イン・スリームーヴメンツ』にもその要素はあります。かくも若い振付家がこのようなスタイルを持っていたことは驚くべきことです。
NYCBからの振付指導者ダーラ・フーヴァーは、新国立劇場バレエ団を観て、素晴らしい音楽性と正確性にバランシンの真髄を見たと言ってました。今のNYCBはちょっとだめなので…。」

「『大フーガ』のハンス・ファンマーネンも、若い時にスタイルを確立した振付家です。私は13歳の時に、両親がお金を貯めてマーゴ・フォンテーンの出演する公演のチケットを買ってくれて、30マイル旅して観に行きました。残念ながらマーゴはお年を召していてイマイチでしたが、ファンマーネンの『大フーガ』を観てぶっ飛ぶような感動を得たのです。

ジェシカ・ラングはアメリカでは引っ張りだこの振付家です。二年前にDVDで彼女の作品を観て、バーミンガム・ロイヤル・バレエのために作品を作ってもらって成功しました。お客様も喜んでくれました。彼女に新国立劇場バレエ団に作品を作って欲しいとお願いしたところ、私の過去の作品にも美しいものがたくさんあるわと言われたのですが、説得して、新作を新国立劇場バレエ団のために作ってくれることになりました。皆様も絶対に喜んでいただける作品になるはずです」

「最後に紹介する二つのプログラムについては、自己陶酔させてください。

2005年に初めてこのカンパニーで仕事をしたのが、『カルミナ・ブラーナ』で、この時のダンサーたちにも大きな思い入れがあります。今回はロンドンオリンピックを記念した作品『Faster』と組み合わせて上演します。『Faster」は今回上演されている『イン・ジ・アッパー・ルーム』よりも速い作品です。

私のさよなら公演となるのが『パゴダの王子』です。この作品で私の長年の二つの夢を実現することができました。日本をテーマにした作品を作りたかったという夢です。うまくいくか心配だったのですが、結果はなかなかのものだったでしょう?また、ベンジャミン・ブリテンの曲を復活させたかったのです。この曲に日の光を当てたかった。2つの要素を組み合わせて日本風のバレエを作りたかった。その結果には満足しています」


以下は司会者との質疑応答となります。

「オープニング作品に何を持ってこようかと考えられて、ストラヴィンスキー作品を持ってきた理由は?」
「一年のプログラミングを組み合わせるにあたって、『ジゼル』『ドン・キホーテ』『白鳥の湖』だけにさせたくなかったのです。特に私の最後のとしという大事な一年なので、今後カンパニーが行くべき道筋、どんなルーツを持つべきであるかということを明確にしたかったのです。特にディアギレフは重要です。19世紀と21世紀を組み合わせたモノになるからです。ディアギレフの唯一の19世紀作品は「眠れる森の美女」でしたが、これは成功しませんでした。芸術は常に革新を求めるものであり、カンパニーはこういった姿勢を失ってはいけません」

「『Faster』はロンドンオリンピックにインスピレーションを得た新作です。バレエ・リュスがバレエに残した影響はあまりにも大きい。多くの作品の委嘱振り付けが行われました。クラシックバレエの中に、新しい音楽、デザイン、ステップを求めていく勇気が必要です。スキル、そして勇気を持つ振付家も必要です。作曲家と仕事をすることもとても大切なことで、CDを買ってそこに入っている音楽に合わせて振付をするのではなく、新しい音楽を委嘱して作品を作って行くのはエキサイティングなことだし、スリリングだけどリスキーな経験で、このリスクを取ることは必要なことです。

「今シーズンでは『First Steps』という企画でバレエ団ダンサーによる振付作品を紹介しましたね」
「来シーズンは、『Second Steps』という第2弾を開催します。また、ダンスでは中村恩恵さんの新作も上演します。バレエでは常に前に向かって進むことが必要です。ダンサーに振付作品を作ってもらうのは必要なことです。作品を作ってみてどう思うかということを感じること。ダンサーはクリエイティブなアーティストです。与えられた解釈を再現するだけではなく、体験をして、より幅広いセンス、視野を持って欲しいと思います。バレエの中で作る苦しみを感じる、新作を踊ってみるのは大きな意味を持ちます。」

「ジェシカ・ラングと新作を振りつけてもらうために話しました。彼女は大変忙しい人で、過去に自分が振り付けした作品を上演するのはいかがでしょうかと言われましたが、『アラジン』『パゴダの王子』のように、このバレエ団のための作品を作って欲しいと、説得して新作を作ってもらうことにしました」

「今回の『ダイナミック・ダンス』のプログラムを楽しんでくれたら、来シーズンのプログラムも楽しんでもらえると思います。『白鳥の湖』を観に来てくれる人たちが、私たちの給料を払ってくれているわけですが、敢えて今回のプログラムを観ようする人たちが、私たち新国立劇場を支えてくれているのです」

「来シーズンの公演のキャストについて、ヒントを教えていただければ。ゲストは呼ばれるのでしょうか」
「キャストは私自身でもまだ想像できません。私はこのバレエ団のダンサーたちが好きなのです。『アポロ』のアポロ役については、NYCBと話し合ってゲストを招待することになると思います」


来シーズン、2013-14年シーズンがビントレーにとって最後のシーズンとなることもあり、ビントレー氏は時々胸に熱いものがこみ上げていたようでした。ユーモアのある語り口でしたが、その中で、彼が愛情を持ってこのバレエ団と接してきたのが伝わってきました。彼が芸術監督を離れたあとも、ぜひとも、今後の新国立劇場バレエ団のよきサポーターとして、指導をしたり、彼の振付作品が上演されることを祈っています。彼の先進性のあるスピリットが今後も引き継がれますように。

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