SWAN MAGAZINE Vol.30 2012 冬号
SWAN MAGAZINE Vol.30 2012 冬号が発売されました。
[連載] パリ・オペラ座 エトワールに夢中!は、Vol.14 エルヴェ・モローです。長引く怪我から見事に今年の春、サシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」で舞台に復帰し、来年1月の「ブベニチェク・ニューイヤーガラ」で6年ぶりの来日を果たす彼。「ロミオとジュリエット」での壁を登る象徴的なシーンが、自身の復活のイメージにも重なり、見事なカムバックを果たした時の心境を語っています。今後どの作品に出演するかは未定とはいうものの、「輝夜姫」、ロビンスの「牧神の午後」、「マーラー交響曲3番」「シーニュ」などに出演したいと意欲的。股下110センチもあるという恵まれたプロポーションと容姿の彼が再び舞台に立つ姿が日本で観られるのは本当に楽しみです。「ロミオとジュリエット」「セレナーデ」「オネーギン」などの美しい写真の数々も掲載されていて、ファンの方には必見。
新国立劇場15周年「英国舞台芸術フェスティバル2012」特集とありますが、バレエは「シルヴィア」だけなのでこれを特集にしたのはどうなのかな?とちょっと疑問に思ってしまいました。でも、ビントレー振付の「シルヴィア」は、このバレエ団の実力の高さを見せてくれた作品だし、作品自体大変面白いものだったので、3キャストすべて観た渡辺真弓さんによる批評が載ったのはとても良いことだと思います。写真も沢山載っています。
同じく渡辺真弓さんによる世界バレエフェスティバルの評も。確かに「ロシアン・バレエ・フェスティバル」の感が強い今回のバレエフェスティバルでしたね。
スペイン国立バレエ団芸術監督、アントニオ・ナハーロのインタビューが載っています。とってもかっこいい人なのですが、福井で開催された「ファンタジー・オン・アイス」の振付のために来日していたのですね。ステファン・ランビエールへの振付などで知られているのだそうです。スペイン国立バレエ団の来日公演、チケットは買っていなかったのですがこれを読むと行きたくなってしまいました。
冬に公開されるバレエ関連映画の紹介と合わせて、映画「ファーストポジション」に出演している15歳のミコ・フォーガティのインタビューも載っています。彼女は毎年1,2回、吹田市の地主薫エコール・ド・バレエで1ヶ月ほどレッスンを受けているということで、そのレッスンの模様も。地主薫氏には、ボストン・バレエのプリンシパルとして活躍する倉永美沙さん、ロイヤル・バレエで活躍し「くるみ割り人形」では金平糖の精に抜擢された金子扶生さんなどが師事しています。ミコちゃんは、来年のローザンヌコンクールにも出場するということで、引き続き応援していきたいですね。
さて、前号の有吉京子さんの「葉山通信」で、Noismの『Nameless Voice~水の庭、砂の家』を観た有吉さんが井関佐和子さんのことを「彼女が舞台に出ているだけで空気感が違う、全体が引き締まる」と評し、それを読んだ井関さんが有吉さんに手紙を書いた、ということから生まれたやり取り。井関さんが「私にとってのSWAN」を語ったインタビューは大変興味深いものでした。舞踊家をパートナーにすることについての葛藤なども率直に語られています。今月25,26日に横浜のKAATで上演される「中国の不思議な役人」「solo for 2」公演はとても楽しみです。
そして京都の有馬龍子バレエ団で特別レッスンを開いたパリ・オペラ座エトワールのイザベル・シアラヴォラのインタビューも。「バレエを踊る上で一番大事なのは”情熱”」だという彼女が踊る、来年の「天井桟敷の人々」公演も待ち遠しいですね。
「SWANモスクワ編」では、「アグリー・ダック」の大成功の後、ついに真澄とレオンが結ばれ、そしてリリアナの葬儀、セルゲイエフ先生から二人への贈り物と物語は佳境へと向かいます。詳しくはぜひ本誌をどうぞ。
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コメント
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ひさしぶりにSWAN MAGAZINE見てみました。(結局リリアナさんが死んでしまったと管理者様からうかがったあとも見てなかったんです。すみません)・・・リリアナの葬儀の後「ロシア正教は死者の復活を信じてるんでしょ」みたいなセリフがあるのに、葬儀の教会の様子も神父の服装もカトリックか英国国教会風、少なくとも特徴ありすぎのロシア正教会の聖堂や神父の服装と全く異なるのは、漫画の小さな一場面とはいえ、あれはいただけないですね。いまどきインターネットでロシア正教会の神父の服装も聖堂の様子もいくらでも写真を見られるのにね。・・・とココで小生が吠えたところで何も変わらないのでしょうけど。
(ちなみにもっとマジ意見するなら『ロシア正教会は死者の復活を信じて』はいないそうです。古代エジプトじゃあるまいし!と、ギリシャ正教会の信徒である妻=ギリシャ人クオーターです=が申しておりました。)
投稿: ちょうちょ | 2012/12/27 03:30
ちょうちょさん、こんばんは。
ロシア正教について教えてくださってありがとうございます!ロシア正教は死者の復活は信じていないんですね。ちょっと機会があればそのことについて伝えようと思います。同じキリスト教でも宗派の違いによって神父さんの服装も違うなら、比べてみたいですね。(というのは、今日たまたまルーマニア正教会の神父様カレンダーを見てしまったからであり、これがやたらセクシーなものだったからなんですが(笑)
投稿: naomi | 2012/12/28 02:12
ルーマニア正教会の神父さんたちのカレンダーで「セクシー」ですか???!!!
これがロシア正教会の神父の儀式のときの服装です。一部、輔祭さんの写真もありますが、厚地のポンチョみたいなのを着て、首から大きな十字架をかけているのが神父さんです。聖堂での葬式のときもこのような服装です。
日本の正教会もロシア系なので真夏でもこの服装なのですが・・・。神父さんたちよくガマンしてると思います。
http://www.svirskoe.ru/ru/letopis/news/2009/2009-02-15.php
このリンクだけで正教会の聖堂内部の特徴は説明しきれないかもしれないですが、横浜の正教会の内部の写真があります(正教会の聖堂はイスが無いのが普通です。ロシアでは高齢のご婦人たちも長いお祈りのあいだずっと立ってらっしゃいます。漫画は列席のお客さんがイスにかけている様子が描かれていましたが)
http://www.orthodoxjapan.jp/annai/t-yokohama.html
正教会と「死者の復活」の教えについては、正教会の教えをここで1から説明しないと説明がつかないので、やめときます。すみません。
投稿: ちょうちょ | 2012/12/28 16:54
すみません・・・
また、やってしまいました。
さきほど投稿したコメントがスパムと認識されて表示されていないようです。
投稿: ちゅうちょ | 2012/12/28 20:55
ちょうちょさん、こんばんは。
ロシア正教会の神父さんの服装、ありがとうございました。確かに厚着で、寒いロシアの冬にはいいかもしれませんが、夏でもこれは厳しいですね~。随分と立派な服装です。
ルーマニア正教会のカレンダーはこれです。
http://www.orthodox-calendar.com/shop/product/orthodox-wall-calendar/
投稿: naomi | 2012/12/29 03:47
ありがとうございます。
うわ・・・ルーマニア正教会の首座主教(教会のトップ)もよくこんなのを許可してますね。
ロシアのあの頭のおかしいロックの女ども同様、(よりによってラフマニノフの「晩祷」のなかの一曲にも含まれる聖歌の替え歌。それだけでも小生はゆるせない。プーチンをバカにしてるのは別にどーでもいいこと)監獄にでも放りこんでやりたいです。妻も激怒してます。
ルーマニア正教会というのは、ちょっと問題アリの教会なんです。サカルトヴェル(Georgia)正教会と同じで単性論(キリストは神の子であり人の子ではないとする異端派の論)を支持していてモスクワやコンスタンチノープル主教からニラまれてるんですよね。
全部の写真がこの写真からだけでは神父と断定できないですね。十字架をつけてないので輔祭か伝教師、あるいは神学校学生の可能性高いです。
写真の2段目の真ん中でリヤサ(神父さんなど聖職者たちの黒い日常着。神学生も着ています)を着た男が首から下げている帯のようなものはエピタラヒリといって神父さんがつけるものです。一番下の左の写真でも男が縫っているのはエピタラヒリです。神父さんは墓地でのお祈りのときこのエピタラヒリだけでお祈りすることもあります。(ただ、リリアナさんの葬儀のような大聖堂と思われる教会での葬儀で神父さんがエピタラヒリだけで現れることはないです)小生がお送りしたリンク(コメント、救出してくださって、ありがとうございます)のなかでポンチョみたいなのの下にエピタラヒリが見えると思います。
投稿: ちょうちょ | 2012/12/29 15:54
ちょうちょさん、こんばんは。
あはは、そう思いますよね!
エピタラヒリという帯のようなもの、とても美しいですね。思わず検索してちょっと調べてしまいました。儀式には重要なものなのですね。
投稿: naomi | 2012/12/29 23:41