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« ロパートキナのガラ、ロパートキナ、ジュエリーブランドの顔に | トップページ | 12/14 ロイヤル・バレエ「くるみ割り人形」の生中継 »

2012/12/23

マリインスキー・バレエでJ・キャメロン監督の「白鳥の湖」3D版、マリインスキー劇場の労使紛争

マリインスキー劇場の芸術監督ワレリー・ゲルギエフのインタビューがロンドンで12月17日に行われましたが、その中で、彼は映画「タイタニック」「アバター」のジェイムズ・キャメロン監督のスタジオと提携し、「白鳥の湖」3D版を来年2月14日で生中継することを発表しています。「くるみ割り人形」の3D版はすでにアリーナ・ソーモワ、ウラジーミル・シクリャーロフ主演で収録され、現在映画館で上映されています。

http://www.nytimes.com/reuters/2012/12/18/arts/18reuters-russia-mariinsky.html?ref=arts

また、マリインスキー劇場の第二劇場が建設され、来年5月2日にオープンする予定です。こちらは2000席で、子供向けの作品などを中心に上演するとのこと。

さて、このインタビューの中で、ゲルギエフは劇場と所属ダンサーの間の労使紛争について言及しています。ロシアの文化大臣宛に公開書簡がダンサーたちから送られた件についてです。

この件については、この記事を参照。
http://www.sptimes.ru/index.php?action_id=2&story_id=36603
以前にもお知らせをした、劣悪な労働条件に加え、ワガノワアカデミー出身の優秀なダンサーが軒並みマリインスキーに入団せずダンチェンコ、ボリショイ、ミハイロフスキーに入団している件、またサラファーノフ、ロブーヒン、オブラスツォーワといったトップダンサーが移籍をしている件に加え、前芸術監督ワジーエフがゲルギエフに追い出されてからカンパニーのレベルが低下している件です。これについては、ゲルギエフはワジーエフについて厳しく批判をしています。

ゲルギエフは、ロンドンでのインタビューで、バレエ団で給与支払と労働条件について深刻な紛争が起きていることを否定しています。「マリインスキー劇場には深刻な問題はない」。団員の住居状況については、新たに50室の寮を建設するとしています。


さて、同じ時期にロンドンで行われたインタビューでは、ゲルギエフは、プーチンを批判して投獄された女性パンクバンド「プッシー・ライオット」について、彼女たちは有名になるためにこのようなことをした、と批判しています。ゲルギエフは、プーチンがサンクトペテルブルク市の市長を務めていた20年前からの親友であることは有名な話です。
London Symphony Orchestra director takes sides with Putin against Pussy Riot
http://www.independent.co.uk/news/world/europe/london-symphony-orchestra-director-takes-sides-with-putin-against-pussy-riot-8424406.html

ロシア語の記事から(12月5日)
http://www.rosbalt.ru/piter/2012/12/05/1067662.html

6月に、ゲルギエフとダンサーたちの話し合いが行われたとのことです。この話し合いは、行われる20分前に開かれることが発表され、数人のダンサーしか出席しませんでした。ダンサーのあいだで労働組合が結成され、プリンシパルのダリア・パヴレンコがその代表として話し合いに出席したようです。ただし、ゲルギエフは公開書簡への回答は一切行われなかったようです。彼女たちは、ゲルギエフにバレエ団の憂慮すべき現状については話したものの、待遇への不平は話さなかったとのこと。しかし、ゲルギエフは、ダリア・パヴレンコは10年前はスターだったけど今は出番も少ないし、単に彼女がダンサーたちを焚きつけているのではないかと批判。ダンサーたちのあいだでこの件について話し合われた形跡もないとしているとのこと。主に住宅関係の不満があるようだ、としています。(それで、上記の寮の新設、という話につながるのでしょう)
クリスマスまでには、ゲルギエフとの再度の話し合いが約束されたとのことです。


ところが、今のところ、再度の話し合いは行われていないようです。
12月20日付の記事(ロシア語)
http://www.rosbalt.ru/piter/2012/12/20/1073777.html

ゲルギエフはロンドンでの記者会見で、団内の紛争はダンサーたち自身で解決されたと語っていました。数日前に、バレエ団の運営についての投票が行われて、何も変化は行われないという投票結果が出て、すべての問題は解決したと。ところが、マリインスキー・バレエの団員は299人もいる中、投票に参加したのはわずか65人に過ぎませんでした。給料支払いについて、二つの案から選ぶというものです。案1は、月額固定の給与、案2は月1万ルーブル=300ドル(!)の固定給に加えて、毎月の出演毎にギャラを受け取るというもので、51人が案2に投票したとのことです。


渦中のダリア・パヴレンコへのインタビュー記事もあります(ロシア語)
http://ptj.spb.ru/blog/pochem-u-vas-lebedi/

パヴレンコらが今年の5月に提出した公開書簡では、バレエ団内の労働規約について守られていないという点を指摘しています。劇場が指定している労働規約は1986年というソ連崩壊前に遡るもので、署名が行われていないため無効であると組合側は認識しています。ワジーエフ時代は、給料は固定給で支払われていました。ところがファテーエフが芸術監督となり、怪我などで出演できないダンサーにも給料が払われるのはおかしい、として新しい給与支払の条件を出したのです。(それが、上記投票にかけられた件)組合としても、給与支払方式の変更に反対しているわけではなく、良い働きをしたダンサーに多くの支払いが行われることには賛成だそうです。ボリショイ劇場などは、固定給プラス歩合で支払われているとのこと。ただし、ダンサーは35歳になったら、20歳の時と同じような働きはできない、肉体は老化していく一方、養わなければならない家族ができている、バレエ団に15年以上捧げてきたダンサーにはしかるべき報酬は与えられるべきだと組合では考えているそうです。現在、コール・ドのダンサーの給料は月額1万~1万8千ルーブルであり、それに加えて良い働きをすればひとつの役で出演するたびに歩合給が受けられるということだそうです。しかし劇場側の原資が限られているため、必ずしも歩合給が満額で受けられるわけではないとのこと。ちょっとしたミスや、怪我などにより膝を充分伸ばせていない、さらには単に背が高すぎるなどの難癖をつけられて給料が引かれることもあるそうです。

ところが、ゲルギエフからの回答は、ダンサーの不満は満足なアパートを借りることができないからでしょうから、住居は用意しましょう、ということでした。それに対して、パヴレンコは、私たちはお金のことだけを言っているのではない、毎回、難癖をつけられて給料を引かれるのでは、働く側の意欲が削がれて公演のクオリティが低下すると言っています。例えば、ベテランのダンサーは、自分たちの役が奪われるのを恐れて、若いダンサーに指導するということをしなくなっています。彼女が入団した頃にはそんなことはなかったのに。

カンパニーのダンサーたちはこの件についてどう思っているかということに対しては、大部分は私たちを応援してくれている、ただし、もちろん彼らは直接立ち上がることによって、ツアーに連れて行ってもらえない、舞台に立たせてもらえない、結果として基本給しか払われない、という事態になることを恐れていると感じているそうです。

パヴレンコ自身が舞台への出演が減っていることから、今回の行動に出たのだとゲルギエフが言っていることに対しては、彼女は、もちろんもっと出番は増やしてほしいと思っているけど、そのことをゲルギエフに直訴するなんてことは恥ずかしくてできないと語っています。今回の行動に関係なく、10月には彼女は8回舞台に立つことができ、そのうち2回は初役だったため、十分に出演の機会が与えられて嬉しい、とも言っています。

また、彼女はダンサーの移籍よりも、ワガノワの卒業生がマリインスキーに入団しなくなったことを憂いています。何よりも給料があまりにも少ない、新入団の団員が受け取る給料は月額1万5千ルーブルの固定で、ドルにすると450ドルという金額となります。彼女がマリインスキーに入団した頃は、マリインスキーに入団することは大変な名誉だったのに、今やそれを望まず他のバレエ団に入団しています。このことは、やがてバレエ団のレベルに深刻な影響を与えることになるはずだとしています。

さらに、現在第二劇場として機能しているマリインスキーのコンサートホールについて、床が硬くて満足なクオリティの公演を行うことができなくなってしまい、観客をがっかりさせることになっているとしています。コンサートホールであるため、背後にも客席があるので踊りにくいということもあるそうです。いずれにしても、このままでは観客はマリインスキーのダンサーを観るために高いお金を払って劇場に足を運ばなくなるのでは、と彼女は恐れています。

公開書簡を出したことは、劇場の経営陣に対して宣戦布告をすることではなく、普通の正常な労働条件のもとで働かせて欲しい、アーティストたちは、将来について不安を持つことなく自分たちの芸術を良いものにすることに集中させて欲しいという願いからくるもので、運営側の誰かを辞めさせたい、といったものではないとのことです。運営側は、アーティストたちの芸術活動を促進させる空気を劇場内に醸成することに責任を持つべきであり、彼らの活動を邪魔するものではあってはならないはずだとしています。

*****
マリインスキーの第二劇場建設に7億ドルもの巨額のお金が投入されている一方、ダンサーには、年額わずか4000ドル程度の給料しか支払われていないというのはかなり衝撃的な話です。これではマリインスキーに入団したいと思うダンサーが減ってしまうのも仕方ありません。パヴレンコらの勇気ある行動が報われることを祈ります。

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