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2012年12月

2012/12/30

ミハイロフスキー・バレエの2013年ロンドン公演

ミハイロフスキー・バレエは、来年3月25日から4月7日まで、ロンドンのコロシアム劇場で公演を行います。ミハイロフスキーのオフィシャルサイトにキャストが出ていたのですが、かなり豪華です。

http://www.mikhailovsky.ru/en/events/tours/the_mikhailovsky_theatre_on_tour_in_london/

3月26日、28日 「ジゼル」 ポリーナ・セミオノワ、マルセロ・ゴメス
3月27日 「ジゼル」 ナタリア・オシポワ、イワン・ワシーリエフ
3月29日 「ジゼル」 オレシア・ノヴィコワ、レオニード・サラファーノフ
3月30日、31日夜 「ドン・キホーテ」 ナタリア・オシポワ、イワン・ワシーリエフ
3月31日昼 「ドン・キホーテ」 オクサーナ・ボンダレワ、デニス・マトヴィエンコ
4月2日、3日 「ラウレンシア」 ナタリア・オシポワ、イワン・ワシーリエフ
4月5日、6日 「バッハへのオマージュ」 ポリーナ・セミオノワ、レオニード・サラファーノフ
4月7日 「ウィズアウト・ワーズ」「Nunc Dimittis」「プレリュード」 レオニード・サラファーノフ

ロンドン公演だけに気合が入っていて、ここは一体どこのバレエ団?って思うようなキャストです。まだコロシアム劇場のサイトには載っていないのでチケットの売り出しはこれからのようです。

でも、ミハイロフスキー・バレエ、次はいつ日本に来てくれるんでしょうか。ぜひ来て欲しいと思います。

12/30 追記
キャスティングは上記サイトから何故か消されてしまっています…。


ロンドン・コロシアム劇場の2013年は、サイトに載っているだけでも大変豪華なラインアップです。
http://www.eno.org/see-whats-on/see-whats-on.php

~1月5日まで ENB 「くるみ割り人形」
1月9~19日 ENB 「眠れる森の美女」
3月10日 Russian Ballet Icons Gala 2013: Vaslav Nijinsky
3月20日~24日 バーミンガム・ロイヤル・バレエ「アラジン」
4月9日~14日 ペーター・シャウフス・バレエ「ミッドナイト・エクスプレス」(セルゲイ・ポルーニン、イーゴリ・ゼレンスキー出演)
4月18日~21日 ENB 「Ecstasy and Death」(「小さな死」「若者と死」「エチュード」)
7月3日~7日 ボストン・バレエ(Aプロ「セレナーデ」「シンフォニー・イン・スリー・ムーブメンツ」「牧神の午後」エロの「Plan to B」、Bプロ「ポリフォニア」、「ベラ・フュギュラ」、フォーサイスの「The Second Detail」)
7月13日~20日 21世紀のバレエ・リュス(アンドリス・リエパの公演、「クレオパトラ」、「ショピニアーナ」、「シェヘラザード」、「火の鳥」、「ダッタン人の踊り」ほか)
7月25日~27日 ENB 「ヌレエフへのオマージュ」(「ペトルーシュカ」「さすらう若者の歌」「ライモンダ3幕」)
7月30日~8月4日 カルロス・アコスタ 

この他、この夏ロイヤル・オペラハウスでボリショイ・バレエの公演が予定されており(7月29日 – 8月17日)、「パリの炎」「白鳥の湖」「ラ・バヤデール」「眠れる森の美女」、ウェイン・マクレガーの新作「春の祭典」、ポソホフの「クラシカル・シンフォニー」そしてバランシン「ダイヤモンド」が上演される予定とのこと。こちらにも、オシポワ、ワシリエフがゲスト出演するそうです。
http://www.rg.ru/2012/12/26/teatr.html

2012/12/27

彩の国さいたま芸術劇場でのアクラム・カーン「DESH」公演

今年もあと少しで終わりですね。昨日はKAATでNoismの「Solo for 2/中国の不思議な役人」を観てきました。一年の終を締めくくるにふさわしい、研ぎ澄まされたダンサーたちによる美しい動きの数々に心を射抜かれるような、とても面白くて充実した公演でした。いいクリスマスを過ごせたと思います。

さて、来年の1月は、お正月明けのブベニチェク・ニューイヤーガラ、キエフ・バレエ、新国立劇場の貞松・浜田バレエ、ユニバーサル・バレエ、新国立劇場の「ダイナミック・ダンス」など良い公演が目白押しでけっこう忙しい1月になりそうなのですが、中でも楽しみなのが、彩の国さいたま芸術劇場でのアクラム・カーン「DESH」です。

http://saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2013/d0126.html

今ちょうどアクラム・カーンの「DESH」はパリのテアトル・デ・ラ・ヴィルで公演中で、パリ在住の友達が素晴らしかったと興奮気味に伝えてくれました。ロンドンオリンピック開会式での、テロ犠牲者への鎮魂を込めた踊りも、魂に訴え掛ける素晴らしいものでした。

今までに観た彼の作品、どれも、カタックというバングラデッシュの古典舞踊とコンテンポラリーダンスを融合した斬新なもので、彼の圧倒的なダンサーとしての個性と鮮烈なテクニックがものすごいインパクトがあって、心に響くものでした。これが日本で観られるチャンスは絶対に見逃せません。

語り継ぐ、踊る。
自らのルーツをたどる、アクラム・カーン渾身のソロ!

本作のタイトル『DESH―デッシュ』(初演:2011年9月)は、ベンガル語で母国(homeland)を意味する言葉。『ゼロ度』に続き再び、自らのルーツを辿り自身の存在について見つめる旅に出かけます。美術・映像のティム・イップは、ジョン・ウー監督『男たちの挽歌』を皮切りに、数々の映画や舞台で衣裳・美術デザイナー、アートディレクターとして活躍、さらには映画『アイズ・ワイド・シャット』の音楽も手がけたジョスリン・プークなど、名だたるスタッフを擁したファンタジックかつ迫力ある舞台、そしてなにより、アクラム・カーン渾身のソロ、その身体と言葉の中に紡がれる物語にご期待ください。2012年ローレンス・オリヴィエ賞(最優秀新作舞踊品)受賞作品

2011年9月15日に初演された本作品は、大変な評判を呼び、再演が期待されていたものの2012年春にカーンはアキレス腱を切ってしまい、ロンドンオリンピックの開会式での感動的なパフォーマンスでの復帰を経て9月にロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で再演されたものです。全ての公演評が絶賛に包まれており、観客からは「We love you Akram!」という歓声が飛んだそうです。

公演インフォメーション

日時:
2013年1月26日(土) 開演16:00、27日(日) 開演15:00
※演出の都合により、開演時間に遅れますとお席へのご案内ができない場合がございます。予めご了承ください。
上演時間:
約70分/途中休憩なし
会場:
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
演出・振付・出演:
アクラム・カーン
舞台美術・衣裳・映像:
ティム・イップ
音楽:
ジョスリン・プーク
主催:
公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団

アクラム・カーンといえばシルヴィ・ギエムと共演した「聖なる怪物たち」も素晴らしかったですよね。ここに登場するシルヴィが可愛らしくて、大好きな作品です。来年秋に「シルヴィ・ギエムの世界」の公演もありますが、こちらで再演してくれないかな~と思ってしまいます。

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ウィーン国立バレエの「くるみ割り人形」映像

ウィーン国立バレエの「くるみ割り人形」(ヌレエフ版)TV放映されたのがアーカイヴで全幕観ることができます。

クララ:リュドミラ・コノヴァロワ、ドロッセルマイヤー:ウラジーミル・シショフ、フリッツ:ダヴィッド・ダド、パストラルには橋本清香さんと木本全優さんが出演。

メイキング映像も見られます。

http://tvthek.orf.at/programs/4592657-Matinee-am-Feiertag/episodes/5150437-Matinee-am-Feiertag

2012/12/23

12/14 ロイヤル・バレエ「くるみ割り人形」の生中継

10月の「白鳥の湖」に続き、ロイヤル・オペラハウスからの「くるみ割り人形」の生中継(厳密には時差があるため、生ではない)が行われるということでチケットを買い求めて観に行きました。チケットは2週間前に発売ということだったのですが、12月2日の時点ですでに渋谷TOHOシネマズの席は残り少なく、当日はソールドアウトでした。

開演前には、上演の舞台裏についての映像が流れました。これがいつも大変よくできているのです。子役たちのリハーサルの様子などを見ることができます。本番に出演したフリッツ役の子は、サードキャストにも入っていなかったのに抜擢されたようですね。

The Nutcracker: Behind the scenes preparations (The Royal Ballet)

そして休憩時間が終わったあとは、「くるみ割り人形」に登場する手品や魔法の種明かし、クリスマスツリーの秘密など。ロイヤルバレエスクールのアッパースクールの生徒が演じる天使たちは、クララとくるみ割り人形を乗せたそりを運転するため、運転免許を持っている子が採用されるのだそうです。

The Nutcracker: Tricks and illusions (The Royal Ballet)

キャスト

ドロッセルマイヤー:ギャリー・エイヴィス
クララ:ミーガン・グレース・ヒンキス
ハンスピーター/くるみ割り人形:リカルド・セルヴェラ

フリッツ:ジョニー・ランダル
ダンシング・ミストレス:ジェネシア・ロサート
アルルカン:ブライアン・マロニー
兵隊:アレクサンダー・キャンベル
コロンビーヌ:エリザベス・ハロッド
ヴィヴァンデール:エマ・マグワイア
ねずみの王様:デヴィッド・ピッカリング

金平糖の精:ロベルタ・マルケス
王子:スティーヴン・マックレー

スペイン:クリスティナ・アレスティス、デヴィッド・ピッカリング、クレア・カルヴァート、ブライアン・マロニー、ローラ・マッカロック、トーマス・ホワイトヘッド
アラビア:メリッサ・ハミルトン、平野亮一、蔵健太、エリック・アンダーウッド
中国:フェルナンド・モンターニョ、アンドレイ・ウペンスキー、ジョナサン・ワトキンス、ジェイムス・ウィルキー
ロシア(トレパック):ジェイムス・ヘイ、ポール・ケイ
葦笛:エリザベス・ハロッド、エマ・マグワイア、ロマニー・パジャク、サビーナ・ウェストコーム

花のワルツ
薔薇の妖精:ラウラ・モレーラ
おつきの騎士:アレイスター・キャンベル、ベネット・ガートサイド、ヴァレリー・ヒストリフ、ヨハネス・ステパネク
花のワルツのソリスト:崔由姫、ヘレン・クローフォード、小林ひかる、イツァール・メンディザバル

キャスト表でトップに名前が登場しているドロッセルマイヤーが、このピーター・ライト版「くるみ割り人形」の主人公といっても過言ではない。ドロッセルマイヤーが発明したネズミ捕り器が全ての始まりなのだから。そしてここでこの役を演じるのは、堂々とした存在感と演技力、カリスマ性と魅力あふれるギャリー・エイヴィス。子供たちに手品を見せる手つきや動きも鮮やかで、一挙一動がスタイリッシュでスマート。彼をこの役にキャスティングさせたことで、この公演の成功は半分約束されたようなもの。

そしてもうひとりの主役は、ドロッセルマイヤーの甥であるハンス・ピーター。ネズミたちによってくるみ割り人形の姿にされてしまった彼を演じるのは、やはりこの役は得意中の得意であるリカルド・セルヴェラ。少年のようなルックスもさることながら、全編踊りっぱなし、2幕のディヴェルティスマンにも参加して大活躍しながら微塵の疲れも見せず、美しい足先、軽やかな跳躍で魅せてくれる。クララ役のミーガン・グレース・ヒンキスはやや大人っぽいのだけど、リカルドの好サポートもあってよく踊っている。通常の版より、ライト版くるみが楽しいのは、ひとえにドロッセルマイヤーとハンス・ピーター、そしてクララの活躍が多いからというのがあると実感。

雪の精の踊りはやはり、群舞が弱いロイヤルの弱点が出てしまった感じ。衣装もクラシックチュチュではなく、やや丈の長いロマンティックチュチュ。代わりに可愛い天使たちが舞台を賑わせてくれる。

2幕のディヴェルティスマンは、上述の通りくるみ割り人形とクララも一緒に踊って大変楽しい。アラビアでは、妖艶なメリッサ・ハミルトンを高々とリフトする平野さんの存在感の大きさに驚く。花のワルツはなかなか豪華なメンバー。ラウラ・モレーラの踊りのうまさ、音の載せ方の巧さはさすがだし、ソリストの中ではユフィさんがやはり目立って美しい。

グラン・パ・ド・ドゥは、なんといってもスティーヴン・マックレーの素晴らしさ。マックレーの「くるみ割り人形」は、吉田都さんと踊った映像がDVD化されているけれども、それよりも踊りがずっと進化しているのが感じられる。吸い付くような着地、パの一つ一つが切れ味鋭くて美しく、体重などまるでないような軽やかさを見ていると思わず頬が緩む。ロベルタ・マルケスはとても可愛らしく、このペアを見ているととても幸せな気持ちにさせられた。

ライト版の良さはエピローグにもある。楽しい夢から醒めたクララが、ハンス・ピーターとすれ違って恋の予感に胸を高鳴らせ、そしてハンス・ピーターは元の姿に戻ってドロッセルマイヤーの元へと帰ってくるというものだ。とても素敵なエンディング。ロイヤル・オペラハウスでの公演のチケットは全て売り切れという大人気ぶりも納得できる、理想的なくるみ割り人形だ。


なお、年明けの公演では、金子扶生さんが金平糖の精役でデビューするとのことで、リハーサルの映像がロイヤルオペラハウスのYTチャンネルにアップされている。きっと本番も素晴らしいことでしょう。

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マリインスキー・バレエでJ・キャメロン監督の「白鳥の湖」3D版、マリインスキー劇場の労使紛争

マリインスキー劇場の芸術監督ワレリー・ゲルギエフのインタビューがロンドンで12月17日に行われましたが、その中で、彼は映画「タイタニック」「アバター」のジェイムズ・キャメロン監督のスタジオと提携し、「白鳥の湖」3D版を来年2月14日で生中継することを発表しています。「くるみ割り人形」の3D版はすでにアリーナ・ソーモワ、ウラジーミル・シクリャーロフ主演で収録され、現在映画館で上映されています。

http://www.nytimes.com/reuters/2012/12/18/arts/18reuters-russia-mariinsky.html?ref=arts

また、マリインスキー劇場の第二劇場が建設され、来年5月2日にオープンする予定です。こちらは2000席で、子供向けの作品などを中心に上演するとのこと。

さて、このインタビューの中で、ゲルギエフは劇場と所属ダンサーの間の労使紛争について言及しています。ロシアの文化大臣宛に公開書簡がダンサーたちから送られた件についてです。

この件については、この記事を参照。
http://www.sptimes.ru/index.php?action_id=2&story_id=36603
以前にもお知らせをした、劣悪な労働条件に加え、ワガノワアカデミー出身の優秀なダンサーが軒並みマリインスキーに入団せずダンチェンコ、ボリショイ、ミハイロフスキーに入団している件、またサラファーノフ、ロブーヒン、オブラスツォーワといったトップダンサーが移籍をしている件に加え、前芸術監督ワジーエフがゲルギエフに追い出されてからカンパニーのレベルが低下している件です。これについては、ゲルギエフはワジーエフについて厳しく批判をしています。

ゲルギエフは、ロンドンでのインタビューで、バレエ団で給与支払と労働条件について深刻な紛争が起きていることを否定しています。「マリインスキー劇場には深刻な問題はない」。団員の住居状況については、新たに50室の寮を建設するとしています。


さて、同じ時期にロンドンで行われたインタビューでは、ゲルギエフは、プーチンを批判して投獄された女性パンクバンド「プッシー・ライオット」について、彼女たちは有名になるためにこのようなことをした、と批判しています。ゲルギエフは、プーチンがサンクトペテルブルク市の市長を務めていた20年前からの親友であることは有名な話です。
London Symphony Orchestra director takes sides with Putin against Pussy Riot
http://www.independent.co.uk/news/world/europe/london-symphony-orchestra-director-takes-sides-with-putin-against-pussy-riot-8424406.html

ロシア語の記事から(12月5日)
http://www.rosbalt.ru/piter/2012/12/05/1067662.html

6月に、ゲルギエフとダンサーたちの話し合いが行われたとのことです。この話し合いは、行われる20分前に開かれることが発表され、数人のダンサーしか出席しませんでした。ダンサーのあいだで労働組合が結成され、プリンシパルのダリア・パヴレンコがその代表として話し合いに出席したようです。ただし、ゲルギエフは公開書簡への回答は一切行われなかったようです。彼女たちは、ゲルギエフにバレエ団の憂慮すべき現状については話したものの、待遇への不平は話さなかったとのこと。しかし、ゲルギエフは、ダリア・パヴレンコは10年前はスターだったけど今は出番も少ないし、単に彼女がダンサーたちを焚きつけているのではないかと批判。ダンサーたちのあいだでこの件について話し合われた形跡もないとしているとのこと。主に住宅関係の不満があるようだ、としています。(それで、上記の寮の新設、という話につながるのでしょう)
クリスマスまでには、ゲルギエフとの再度の話し合いが約束されたとのことです。


ところが、今のところ、再度の話し合いは行われていないようです。
12月20日付の記事(ロシア語)
http://www.rosbalt.ru/piter/2012/12/20/1073777.html

ゲルギエフはロンドンでの記者会見で、団内の紛争はダンサーたち自身で解決されたと語っていました。数日前に、バレエ団の運営についての投票が行われて、何も変化は行われないという投票結果が出て、すべての問題は解決したと。ところが、マリインスキー・バレエの団員は299人もいる中、投票に参加したのはわずか65人に過ぎませんでした。給料支払いについて、二つの案から選ぶというものです。案1は、月額固定の給与、案2は月1万ルーブル=300ドル(!)の固定給に加えて、毎月の出演毎にギャラを受け取るというもので、51人が案2に投票したとのことです。


渦中のダリア・パヴレンコへのインタビュー記事もあります(ロシア語)
http://ptj.spb.ru/blog/pochem-u-vas-lebedi/

パヴレンコらが今年の5月に提出した公開書簡では、バレエ団内の労働規約について守られていないという点を指摘しています。劇場が指定している労働規約は1986年というソ連崩壊前に遡るもので、署名が行われていないため無効であると組合側は認識しています。ワジーエフ時代は、給料は固定給で支払われていました。ところがファテーエフが芸術監督となり、怪我などで出演できないダンサーにも給料が払われるのはおかしい、として新しい給与支払の条件を出したのです。(それが、上記投票にかけられた件)組合としても、給与支払方式の変更に反対しているわけではなく、良い働きをしたダンサーに多くの支払いが行われることには賛成だそうです。ボリショイ劇場などは、固定給プラス歩合で支払われているとのこと。ただし、ダンサーは35歳になったら、20歳の時と同じような働きはできない、肉体は老化していく一方、養わなければならない家族ができている、バレエ団に15年以上捧げてきたダンサーにはしかるべき報酬は与えられるべきだと組合では考えているそうです。現在、コール・ドのダンサーの給料は月額1万~1万8千ルーブルであり、それに加えて良い働きをすればひとつの役で出演するたびに歩合給が受けられるということだそうです。しかし劇場側の原資が限られているため、必ずしも歩合給が満額で受けられるわけではないとのこと。ちょっとしたミスや、怪我などにより膝を充分伸ばせていない、さらには単に背が高すぎるなどの難癖をつけられて給料が引かれることもあるそうです。

ところが、ゲルギエフからの回答は、ダンサーの不満は満足なアパートを借りることができないからでしょうから、住居は用意しましょう、ということでした。それに対して、パヴレンコは、私たちはお金のことだけを言っているのではない、毎回、難癖をつけられて給料を引かれるのでは、働く側の意欲が削がれて公演のクオリティが低下すると言っています。例えば、ベテランのダンサーは、自分たちの役が奪われるのを恐れて、若いダンサーに指導するということをしなくなっています。彼女が入団した頃にはそんなことはなかったのに。

カンパニーのダンサーたちはこの件についてどう思っているかということに対しては、大部分は私たちを応援してくれている、ただし、もちろん彼らは直接立ち上がることによって、ツアーに連れて行ってもらえない、舞台に立たせてもらえない、結果として基本給しか払われない、という事態になることを恐れていると感じているそうです。

パヴレンコ自身が舞台への出演が減っていることから、今回の行動に出たのだとゲルギエフが言っていることに対しては、彼女は、もちろんもっと出番は増やしてほしいと思っているけど、そのことをゲルギエフに直訴するなんてことは恥ずかしくてできないと語っています。今回の行動に関係なく、10月には彼女は8回舞台に立つことができ、そのうち2回は初役だったため、十分に出演の機会が与えられて嬉しい、とも言っています。

また、彼女はダンサーの移籍よりも、ワガノワの卒業生がマリインスキーに入団しなくなったことを憂いています。何よりも給料があまりにも少ない、新入団の団員が受け取る給料は月額1万5千ルーブルの固定で、ドルにすると450ドルという金額となります。彼女がマリインスキーに入団した頃は、マリインスキーに入団することは大変な名誉だったのに、今やそれを望まず他のバレエ団に入団しています。このことは、やがてバレエ団のレベルに深刻な影響を与えることになるはずだとしています。

さらに、現在第二劇場として機能しているマリインスキーのコンサートホールについて、床が硬くて満足なクオリティの公演を行うことができなくなってしまい、観客をがっかりさせることになっているとしています。コンサートホールであるため、背後にも客席があるので踊りにくいということもあるそうです。いずれにしても、このままでは観客はマリインスキーのダンサーを観るために高いお金を払って劇場に足を運ばなくなるのでは、と彼女は恐れています。

公開書簡を出したことは、劇場の経営陣に対して宣戦布告をすることではなく、普通の正常な労働条件のもとで働かせて欲しい、アーティストたちは、将来について不安を持つことなく自分たちの芸術を良いものにすることに集中させて欲しいという願いからくるもので、運営側の誰かを辞めさせたい、といったものではないとのことです。運営側は、アーティストたちの芸術活動を促進させる空気を劇場内に醸成することに責任を持つべきであり、彼らの活動を邪魔するものではあってはならないはずだとしています。

*****
マリインスキーの第二劇場建設に7億ドルもの巨額のお金が投入されている一方、ダンサーには、年額わずか4000ドル程度の給料しか支払われていないというのはかなり衝撃的な話です。これではマリインスキーに入団したいと思うダンサーが減ってしまうのも仕方ありません。パヴレンコらの勇気ある行動が報われることを祈ります。

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ロパートキナのガラ、ロパートキナ、ジュエリーブランドの顔に

12月30日にモスクワのMoscow International House of Musicで、ウリヤーナ・ロパートキナのガラ「Ulyana Lopatkina and Stars of Russian Ballet」が開かれます。

http://www.mmdm.ru/afishaDescription/6188

出演者がほかに誰なのかが上記劇場のサイトを見てもわからないのですが、パリ・オペラ座のジャン=ギョーム・バールがロパートキナに振りつけた世界初演作品 "Johann Strauss Ball"が上演されるそうです。1幕物の作品とのことです。


さて、ロパートキナは、ロシアのジュエリーブランドSasonkoのアンバサダーに就任しました。http://ballet.sasonko.com/

ロシアン・バレエというジュエリーラインの発表に合わせてのことです。上記サイトの彼女、とても美しいですね。

このラインの発表会は12月5日にボリショイ劇場で行われ、ロパートキナをはじめ、TV番組「ボリショイ・バレエ」で活躍したオルガ・スミルノワ、アルテム・オフチャレンコとアンナ・チホミロワ(以上ボリショイ・バレエ)、クリスティーナ・シャプラン(モスクワ音楽劇場バレエ)、チホミロワを指導している元ボリショイのナデジダ・グラチョーワらが参加したようで、彼女たちの写真を以下のサイトで観ることができます。

http://visualrian.ru/en/site/feature/238524/

ロパートキナは、12月19日にはマリインスキー劇場で「ジュエルズ」のダイヤモンドを踊ったようで(パートナーはエルマコフ)、YTに動画もアップされていましたが隠し撮りのため、ここでリンクするのはやめておきますね。

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2012/12/21

ミハイロフスキー・バレエの「くるみ割り人形」生中継

ミハイロフスキー・バレエの「くるみ割り人形」がネット中継されます。

12月21日現地時間19時から

Masha — Sabina Yapparova サビーナ・ヤパーロワ
The Nutcracker — Denis Tolmachov デニス・トルマチョフ
Prince — Mikhail Sivakov ミハイル・シヴァコフ
http://mikhailovsky.ru/en/afisha/detail/151622/

ネット中継はここから見られます。
http://mikhailovsky.ru/en/events/live/

サンクトペテルブルクとの時差は65時間なので、日本では午前1時から見ることができると思います。(と思ったら0時からでしたね。すみません!)

12/23追記:現在のところ、まだアーカイブで観ることが可能なようです。マーシャ役のサビーナ・ヤパーロワがとても良かったです。

2012/12/19

英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演 公演概要決定

英国ロイヤル・バレエ団の来日公演の概要が決定したということでお知らせが来ていました。

もう日本では見られないかも?と思っていたカルロス・アコスタが来日メンバーに入っていますね。それから、この招聘元では珍しいことに、「アリス」の主役に、まだソリストに上がったばかりのベアトリス・スティックス=ブルネルが抜擢されていることに、時代の流れを感じます。今までだったらありえないことのような気がします。

あと、内容は未定ですが「ロイヤル・ガラ」があるのが楽しみですね。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/cat16/2013-1.html#001650

「不思議の国のアリス」全3幕   【上演時間:2時間45分】

振付:クリストファー・ウィールドン 台本:ニコラス・ライト 
音楽:ジョビー・タルボット 美術・衣裳:ボブ・クロウリー  照明:ナターシャ・カッツ

●公演日程&予定キャスト

2013年
7/5(金)6:30 p.m.
アリス:ローレン・カスバートソン
ハートのジャック/庭師ジャック:フェデリコ・ボネッリ
白うさぎ/ルイス・キャロル:エドワード・ワトソン
ハートの女王/アリスの母親:ゼナイダ・ヤノウスキー
マッドハッター/マジシャン:スティーヴン・マックレー

7/6(土)1:00p.m.
アリス:ベアトリス・スティックス=ブルネル
ハートのジャック/庭師ジャック:ルパート・ペネファーザー
白うさぎ/ルイス・キャロル:ブライアン・マロニー
ハートの女王/アリスの母親:イツァール・メンディザバル
マッドハッター/マジシャン:未定

7/6(土)6:00p.m.
アリス:サラ・ラム
ハートのジャック/庭師ジャック:スティーヴン・マックレー
白うさぎ/ルイス・キャロル:リカルド・セルヴェラ
ハートの女王/アリスの母親:ラウラ・モレーラ
マッドハッター/マジシャン:アレクサンダー・キャンベル

7/7(日)1:00p.m.
アリス:ローレン・カスバートソン
ハートのジャック/庭師ジャック:フェデリコ・ボネッリ
白うさぎ/ルイス・キャロル:エドワード・ワトソン
ハートの女王/アリスの母親:ゼナイダ・ヤノウスキー
マッドハッター/マジシャン:スティーヴン・マックレー

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「白鳥の湖」全4幕   【上演時間:約2時間40分】

振付:マリウス・プティパ/レフ・イワーノフ 演出:アンソニー・ダウエル 
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 美術:ヨランダ・ソナーベンド  照明:ジョン・B・リード

●公演日程&予定キャスト

7/12(金)6:30 p.m
オデット/オディール:アリーナ・コジョカル
ジークフリート王子:ヨハン・コボー

7/13(土)1:00p.m
オデット/オディール:ロベルタ・マルケス
ジークフリート王子:スティーヴン・マックレー

7/13(土)6:00p.m
オデット/オディール:サラ・ラム
ジークフリート王子:カルロス・アコスタ

7/14(日)1:00p.m.
オデット/オディール:マリアネラ・ヌニェス
ジークフリート王子:ティアゴ・ソアレス

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今をときめくロイヤルスターたちによる、一夜限りの華やかな競演!
<ロイヤル・ガラ>

●公演日程:7月10日(水)6:30p.m.[予定]
 
 ※演目&出演者、発売方法等の詳細は追って発表します。

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●会場:東京文化会館

●演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

●入場料(税込み):[3演目共通]
  S=\22,000 A=\20,000 B=\18,000 C=\13,000 D=\10,000 E=\7,000
 ※未就学児童のご入場はお断りします。
 ※エコノミー券はイープラスのみで5/31(金)より発売。お一人様2枚まで。
 ※学生券はNBS WEBチケットのみで5/31(金)より発売。25歳までの学生が対象。公演当日、学生証必携


 ◇NBSチケットセンター(電話)だけで申込みいただけるお得なチケット

  ◆「不思議な国のアリス」「白鳥の湖」2演目セット券[S, A, B席]  2枚で2,000円お得! 
   ※2演目が同枚数であれば、日にちと券種は自由な組み合わせでお求めいただけます。

  ◆ペア割引券[S, A, B席]  2枚で1,000円お得! 
   S券ペア割=\43,000  A券ペア割=\39,000  B券ペア割=\35,000
   ※2演目セット券とペア割引券の併用はできません。

  ◆親子ペア券 お子様が半額! ※3/12(火)より発売。
   親子S券ペア割=\33,000  親子A券ペア割=\30,000  親子B券ペア割=\27,000
   ※お子様は小学生~高校生が対象。日にちによってはチケットをご用意できない場合があります。

  ◆7/6(土)1:00p.m. 公演限定 「アリス」ファミリー券 
   ※3月12日(火)より、NBS電話予約とイープラスのみで受付開始
   大人=\18,000(B券相当) + 子ども1名様につき¥3,000 
   ※お席は2階席~3階席エリアになります。座席指定はできません。
   ※お子様は小学生~高校生が対象。大人1名様につきお子様2名まで。


●前売開始日: 2月16日(土)10:00a.m.より

●NBS WEBチケット先行抽選予約[S、A、B券]:1月11日(金)10:00~1月25日(金)18:00

●前売所
 ・e+(イープラス) http://eplus.jp/ (PC&携帯)*プレオーダー:2月7日(木)~2月13日(水) 
 ・チケットぴあ 0570-02-9999、http://pia.jp/t/ (PC&携帯)*プレリザーブ:2月7日(木)~2月13日(水) 
 ・CNプレイガイド 0570-08-9990
 ・東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
 ・ローソン・チケット 0570-000-407(10時~20時)[Lコード:34017]

●お問い合わせ:NBSチケットセンター TEL03-3791-8888


※表記の配役は2012年12月20日現在の予定です。出演者の怪我や病気、英国ロイヤル・バレエ団の都合等により変更になる場合があります。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。正式な配役は公演当日に発表いたします。

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ユニバーサル・バレエ来日公演「白鳥の湖」とワークショップ

韓国を代表するバレエ団、ユニバーサル・バレエが1月に来日公演を行います。

■開催日時・場所
1月19日(土) ゆうぽうとホール (東京・五反田)
1月20日(日) 同上
-19日- 19時00分開演(18時00分開場)
-20日- 15時00分開演(14時00分開場)
チケット料金:S席10,000円 A席8,000円 B席6,000円 C席4,000円

主催:MCJ Holdings
主催 連絡先:047-329-6120(月~金AM9:30~PM6:00)
info@universalballet.jp

■チケットのお申込
・ぴあ 0570-02-9999
 【東京公演】(Pコード:423-735)
各チケットぴあ店舗、サークルK・サンクス、セブン-イレブンにて購入いただけます。

・イープラス (PC、モバイル共通)
サイトから"座席選択"いただけます。

http://www.universalballet.jp/www/information/index.html

キャストがなかなか発表されなかったので情報を載せていなかったのですが、ようやく決まりました。

19日 王子:オム・ジェヨン/オデット:ファン・ヘミン、
20日 王子:イ・スンヒョン/オデット:キム・チェリ、オディール:イ・ヨンジョン

うーん2日目はオデット、オディールは別の人を期待していたのでちょっと残念です。でもこのバレエ団、全体的なレベルはとても高いので見ごたえはあると思います。初日のファン・ヘミンは素晴らしいバレリーナですし。


併せて、2013 年『NBA 全国バレエコンクール』にて審査員を務める 現ユニバーサル・バレエ芸術監督ブライアン・ユを迎えてワークショップを行なうこととなりました。ローザンヌに送り出す韓国人はほとんど彼がみてるそうです。

『ユニバーサル・バレエ ワークショップ in Tokyo』
日時:2013年1月18日(金)19:00~20: 30
会場:ゆうぽうとホール
参加費:5000円

<ワークショップ内容>
バー&センター レッスン
対象:中学生以上のバレエ経験者(5年以上)
講師:ユニバーサル・バレエ芸術監督ブライアン・ユ(Bingxian Liu)
定員:20~30名まで
持ち物:バレエシューズ&レオタード

詳細はこちらです。
http://ameblo.jp/universalballetjapan/entry-11429084621.html

しかも公演のチケットを買ったら2000円オフの3000円で受けられるそうです(さらにゲネプロ見学も)。申し込みは、info@universalballet.jpまで。

2012/12/18

SWAN MAGAZINE Vol.30 2012 冬号

SWAN MAGAZINE Vol.30 2012 冬号が発売されました。

[連載] パリ・オペラ座 エトワールに夢中!は、Vol.14 エルヴェ・モローです。長引く怪我から見事に今年の春、サシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」で舞台に復帰し、来年1月の「ブベニチェク・ニューイヤーガラ」で6年ぶりの来日を果たす彼。「ロミオとジュリエット」での壁を登る象徴的なシーンが、自身の復活のイメージにも重なり、見事なカムバックを果たした時の心境を語っています。今後どの作品に出演するかは未定とはいうものの、「輝夜姫」、ロビンスの「牧神の午後」、「マーラー交響曲3番」「シーニュ」などに出演したいと意欲的。股下110センチもあるという恵まれたプロポーションと容姿の彼が再び舞台に立つ姿が日本で観られるのは本当に楽しみです。「ロミオとジュリエット」「セレナーデ」「オネーギン」などの美しい写真の数々も掲載されていて、ファンの方には必見。

新国立劇場15周年「英国舞台芸術フェスティバル2012」特集とありますが、バレエは「シルヴィア」だけなのでこれを特集にしたのはどうなのかな?とちょっと疑問に思ってしまいました。でも、ビントレー振付の「シルヴィア」は、このバレエ団の実力の高さを見せてくれた作品だし、作品自体大変面白いものだったので、3キャストすべて観た渡辺真弓さんによる批評が載ったのはとても良いことだと思います。写真も沢山載っています。

同じく渡辺真弓さんによる世界バレエフェスティバルの評も。確かに「ロシアン・バレエ・フェスティバル」の感が強い今回のバレエフェスティバルでしたね。

スペイン国立バレエ団芸術監督、アントニオ・ナハーロのインタビューが載っています。とってもかっこいい人なのですが、福井で開催された「ファンタジー・オン・アイス」の振付のために来日していたのですね。ステファン・ランビエールへの振付などで知られているのだそうです。スペイン国立バレエ団の来日公演、チケットは買っていなかったのですがこれを読むと行きたくなってしまいました。

冬に公開されるバレエ関連映画の紹介と合わせて、映画「ファーストポジション」に出演している15歳のミコ・フォーガティのインタビューも載っています。彼女は毎年1,2回、吹田市の地主薫エコール・ド・バレエで1ヶ月ほどレッスンを受けているということで、そのレッスンの模様も。地主薫氏には、ボストン・バレエのプリンシパルとして活躍する倉永美沙さん、ロイヤル・バレエで活躍し「くるみ割り人形」では金平糖の精に抜擢された金子扶生さんなどが師事しています。ミコちゃんは、来年のローザンヌコンクールにも出場するということで、引き続き応援していきたいですね。

さて、前号の有吉京子さんの「葉山通信」で、Noismの『Nameless Voice~水の庭、砂の家』を観た有吉さんが井関佐和子さんのことを「彼女が舞台に出ているだけで空気感が違う、全体が引き締まる」と評し、それを読んだ井関さんが有吉さんに手紙を書いた、ということから生まれたやり取り。井関さんが「私にとってのSWAN」を語ったインタビューは大変興味深いものでした。舞踊家をパートナーにすることについての葛藤なども率直に語られています。今月25,26日に横浜のKAATで上演される「中国の不思議な役人」「solo for 2」公演はとても楽しみです。

そして京都の有馬龍子バレエ団で特別レッスンを開いたパリ・オペラ座エトワールのイザベル・シアラヴォラのインタビューも。「バレエを踊る上で一番大事なのは”情熱”」だという彼女が踊る、来年の「天井桟敷の人々」公演も待ち遠しいですね。

「SWANモスクワ編」では、「アグリー・ダック」の大成功の後、ついに真澄とレオンが結ばれ、そしてリリアナの葬儀、セルゲイエフ先生から二人への贈り物と物語は佳境へと向かいます。詳しくはぜひ本誌をどうぞ。

SWAN MAGAZINE 2012 冬号 Vol.30SWAN MAGAZINE 2012 冬号 Vol.30
有吉 京子

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2012/12/16

12/7、9 ナショナル・バレエ・オブ・カナダ「ジゼル」 National Ballet of Canada "Giselle"

先週の水曜日から月曜日まで、カナダのトロントに行って、ナショナル・バレエ・オブ・カナダの「ジゼル」を観てきました。全部で全4キャスト(ジリアン・ヴァンストーンと江部直哉、ソニア・ロドリゲスとズデネク・コンヴァリーナ、シャオ・ナン・ユとエヴァン・マッキー、グレタ・ホジキンソンとギョーム・コテ)を観たのですが、とりあえずはゲスト出演したエヴァン・マッキーの回の感想を書きますね。

この時期のトロント、さぞかし寒いことだろうと思っていたのですが、寒いことは寒いけど日本よりちょっと寒いくらいで、パリなどよりは暖かいのではないかと。最終日には雪も降りましたが、予報されていた雪嵐にはならなくてよかった。

Giselle

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(写真は、ジゼル役シャオ・ナン・ユ)

Choreography and Production : Peter Wright after the choreography of Jean Coralli, Jules Perrot and Marius Petipa
Music : Adolphe Adam, revised by Joseph Horovitz
Set and Costume Design : Desmond Heeley

Albrecht : Evan McKie
Wilfred : Brett van Sickle
Hilarion : Jiri Jelinek
Giselle : Xian Nan Yu

Giselle's friends: Jenna Savella, Tina Pereira, Dylan Tedaldi, Skylar Campbell

Myrtha : Heather Ogden (12/7), Stephanie Hutchinson (12/9)
Moyna and Zulme : Alexandra MacDonald, Alejandra Perez-Gomez

ナショナル・バレエ・オブ・カナダの「ジゼル」はロイヤル・バレエでもお馴染みのピーター・ライト版。ライト版ジゼルの初演はなんとシュツットガルト・バレエなのだそうだ(現在はシュツットガルト・バレエのジゼルはライト版ではない、リード・アンダーソン演出によるもの)。
ライト版の特徴としては、2幕のウィリのフォーメーションが独特なものがあり、ヒラリオンににじり寄っていくところや、ひとりひとりのウィリがそれぞれの意思を持って動いて行くところに独特の怖さがある。2幕冒頭のミルタのソロもほかの版と少し違うところがある。ピーター・ライトによれば、ジゼルの死は明らかに自殺であると解釈しており、それもアルブレヒトの剣で自らを刺して命を絶ったものとして描かれている。

ジゼル役は中国出身のシャオ・ナン・ユ。産休から復帰したばかりだという。このバレエ団の中でももっとも長身のバレリーナで、かなり大柄である。身長バランスからいっても彼女をパートナーできるダンサーがバレエ団内にいないので、ゲストでエヴァンが呼ばれたものだと思われる。大柄なジゼルってどうしたものだろうか、と思ったのだが、1幕での演技は愛らしく、とても内気で東洋人ならではの繊細さが現れたジゼルだった。2幕でウィリとなった後も、足音をさせず、とても浮遊感があり、透明感のある踊りを見せてくれてくれた。今回4人のジゼル役を観たのだが、狂乱のシーンではやや壊れ方が大きかったように感じられた。とはいえ、それでもさほど激しいわけではなかったのだが。際立って凄かったわけではないのだけど、長い手足を生かした綺麗なライン、儚さの感じられる演技、すみずみまで行き届いた丁寧な踊りだったと感じた。

エヴァンのアルブレヒトは、1幕では彼の持ち前の人柄の良さが現れた、優しくてロマンティックな、甘い青年だ。ジゼルに対してもとても温かい笑顔を注いでいて、恋する雰囲気が漂ってきている。村人に扮していてもその優雅な立ち居振る舞いの端々に、高貴な出自が垣間見える。ヒラリオンと口論になった時に、思わず腰にあるはずの剣を手にするところには威厳があって、この人の正体は貴公子だというのがはっきりと見える。ライト版では1幕にアルブレヒトの短いソロがあり、ここで軽やかでエレガントな舞いを見せてくれる。その正体がヒラリオンに見破られ、ジゼルが狂乱するところでは、取り乱すことはないものの、自分の行った行為の愚かさに愕然としてジゼルの亡骸にすがりついて悲しむ様子を観ると、本当にジゼルのことを真摯に愛していたのだというのが伝わってくる。

2幕のアルブレヒトのヴァリエーションは、実に端正なものだった。後ろへと体を反らせるカンブレをあまり入れず、垂直方向への高さとバランスを重視した踊りになっていた。高く上がるアントルラッセのつま先にはうっとりさせられたが。テクニックを見せつけるより、踊りとしての美しさ、エレガンスを損ねないことを第一に考えて、余裕を持って踊っているの感じられた。自己憐憫の情もナルシズムもなく、ただひたむきな貴公子としての姿を見せていた。シュツットガルトでは、アントルシャ・シスは32回跳ぶのだそうだけど、ライト版はアントルシャは10回と決まっているとのことで、アントルシャの後はソ・ド・バスク、アッサンブレによるマネージュという決められた振り付けでアルブレヒト役は4人ともこのお約束を守って踊っていた。エヴァンはとにかくどんな時でも足先が美しいことこの上ない。そして、サポートもとても丁寧で壊れ物のようにジゼルを扱っているところが素敵。そのあまりに長い手脚といい、比類なく美しいラインといい、エヴァンのアルブレヒトはある意味美しすぎて怖いという感覚に襲われた。幕切れでは、アルブレヒトはジゼルを優しく抱き上げ抱擁を交わすものの、いつのまにかジゼルはアルブレヒトの背後で消えていき、アルブレヒトは彼女の残した花一輪を拾い上げてその別れを噛み締めるという終幕。静かな余韻が残っていい終わり方だ。

ヒラリオン役には、元シュツットガルト・バレエのイリ・イェリネク。長身でかっこよく、演技力にも優れた彼のヒラリオンは、ドラマに深みを与えている。冒頭、ベルタに獲物をプレゼントする演技から、好感度の高い男らしい人物というイメージを与え、ジゼルにも一途な愛情を持っているのが、その一途で熱い演技から感じられる。ライト版では2幕、ジゼルの粗末なお墓で嘆き悲しむ彼の様子をたっぷりと描き、またウィリたちに追い立てられて死に至るまで、踊りの見せ場も存分にあるので、テクニックを発揮するところもたくさんある。ほかの版よりもボリュームたっぷりにいたぶられ、ドゥ・ウィリによってポイッと湖に放り投げられて絶命するところまでしっかりと描かれてしまうヒラリオンの哀れさが際立つ。ヒラリオン役とアルブレヒト役が同じくらいの身長で、存在感も対照的ではあるけど拮抗していると物語も盛り上がるものだと実感。

ミルタ役は、7日のヘザー・オグデンが圧倒的な存在感と場を支配するようなカリスマ性、冷徹さを感じさせて出色だった。彼女は大柄ではないが美しく、元の金髪を黒く染めて立ちはだかる姿は恐ろしい。細やかなパ・ド・ブレから大きな跳躍、一つ一つの動きが大きくてなめらかで素晴らしい。手下のドゥ・ウィリは、ソロの時のポール・ド・ブラが機械的な動きだったが、全キャストともそうだったので、ライト版はそのような振り付けなのかもしれない。6日のマチネにミルタ役を演じた平岡珠理さんも、非常に威厳があって力強いミルタだった。

ナショナル・バレエ・オブ・カナダのコール・ド、最初に観た6日マチネではバラバラな印象が強かったものの、8日夜に5階席から観たところ、なかなかしっかりと揃えられており、また舞台照明の美しさもあって静けさの中に魔術的な印象があった。ライト版は、ウィりたちが登場するしてからしばらくはヴェールをかぶっているため、とても幽玄で怖いけど幻想的で引き込まれるものがある。1幕ペザントは、パ・ド・カトルとなっており、音楽もほかの版とはやや異なっている。中でも若手のスカイラー・キャンベルの跳躍力や美しい足さばきは目を引いた(サポートはもう少し)。彼は来年3月のノイマイヤー振付「ニジンスキー」でタイトルロールに抜擢されているらしい。

なお、他キャストに目を向けると、なんといってもグレタ・ホジキンソンのジゼルが素晴らしくて、5階席から観ていたというのに目が釘付けになり、一つ一つの感情のゆらぎが細かく伝わってきて心を揺さぶられた。動きがしなやかで軽やか、透明感に溢れ、とても愛らしくイノセントで最後までぬくもりを残した彼女のジゼルが観られて良かった。できればもっと良い席で観たかったし、3月の「眠れる森の美女」で共演したエヴァンとの組み合わせで観たかった。そしてアルブレヒト・デビューを果たした江部直哉さん。貴公子姿が大変良く似合っていて、若さに満ちていながらも気品があり、ひたむきな青年を演じていて良いデビューを飾れていた。

ジゼルは上演時間が短い作品ではあるけど、その中で見せ場とドラマがぎゅっとつまっていて、何回観ても飽きない作品である。ジゼル役、アルブレヒト役とも、作品を引っ張っていく力量が問われる作品でもあり、特にアルブレヒト役は本物のダンスール・ノーブルしか踊ってはいけない役だと思う。エヴァン、今度はぜひ日本でもアルブレヒトを踊ってほしい。

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(会場のフォーシーズンズ・センター・フォー・パフォーミング・アーツ。看板は既に「くるみ割り人形」ですが)

2012/12/13

12/13深夜 ミュンヘン・バレエ「くるみ割り人形」ネット生中継

12月13日(木)現地時間19時25分(日本時間は金曜日早朝3時25分)より、ミュンヘン・バレエの「くるみ割り人形」がネットで生中継されます。

http://www.bayerische.staatsoper.de/867-ZG9tPWRvbTI-~staatsballett~staatsballett_aktuell~aktuelles_ballett.html

こちらの「くるみ割り人形」はノイマイヤー版。主役のルイーザ役にはポリーナ・セミオノワをゲストに迎え、ドロッセルマイヤー役はティグラン・ミカエリヤン。パ・ド・ドゥはガラでもおなじみの「パヴロワとチェケッティ」です。

中継はここで観ることができます。しかし日本時間のこの時間だとちょっと観るのがつらいですよね。
http://www.bayerische.staatsoper.de//tv

*********
この時間に起きていることが難しい大部分の方には、もっと見やすい時間でのバレエ関連番組があります。

2013年12月13日(木) 23:00~23:30
フジテレビ(地上波) 「オデッサの階段」
#10 平山素子の現象
http://www.fujitv.co.jp/odessa/

幅広く活躍し、最近ではフィギュアスケートの村上佳菜子さんの振付も手がけているダンサー、振付家の平山素子さんが登場します。彼女の作品「Butterfly」を踊った関係で、番組には新国立劇場バレエ団の本島美和さん、奥村康祐さんも出演します。また、今月23日に初日を迎える演劇「音のいない世界で」に出演する近藤良平さんも登場するそうです。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/30000320.html

2012/12/12

2013年10月ニューヨーク・シティ・バレエ来日公演/牧阿佐美バレエ団「眠れる森の美女」にコレゴワ、コールプ出演

ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)が4年ぶりに来日公演を行うことが発表されていました。

http://www.bunkamura.co.jp/topics/orchard/index.html

「ニューヨーク・シティ・バレエ 2013」

日程:2013年10月21日(月)~23日(水) ※全4回
料金:S¥19,800 A¥15,800 B¥9,800 2演目S席セット券 ¥37,600(税込)
発売:2013年春予定

<プログラムA>10/21(月)19時、10/23(水)14時
セレナーデ
(振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・チャイコフスキー)
シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ
(振付:ジョージ・バランシン 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー)
タランテラ
(振付:ジョージ・バランシン 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク)
ウエスト・サイド・ストーリー組曲
(振付:ジェローム・ロビンズ 音楽:レナード・バーンスタイン)

<プログラムB>10/22(火)19時、10/23(水)19時
白鳥の湖〜バランシン版 (1幕バージョン)
(振付:ジョ−ジ・バランシン 音楽:ピョートル・チャイコフスキー)
フォー・テンパラメンツ
(振付:ジョージ・バランシン 音楽:ポール・ヒンデミス)
シンフォニー・イン・C
(振付:ジョージ・バランシン 音楽:ジョージ・ビゼー)

管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

【お問合せ】
Bunkamura:03-3477-3244(10:00-19:00)
キョードー東京:0570-064-708 ※2013/1/7より0570-550-799に変更(平日12時-18時/土日祝10時-18時)

※前回の来日公演は3プログラムあったと思うのですが、今回は2プログラムの4公演でちょっと少ないですよね。作品も、ロビンスのウエスト・サイド・ストーリー組曲以外は全部バランシンで、ちょっと保守的かな。でも、本場バランシンを観られるとても貴重な機会なので、楽しみです。

<12/18追記>
オフィシャルサイトがオープンしていました。大阪公演も行われます。招聘元はキョードー東京なのですね。
http://nycb2013.jp/

大阪公演 10月26日(土)、27日(日) 大阪フェスティバルホール

******
牧阿佐美バレヱ団の3月公演「眠れる森の美女」に、マリインスキー・バレエのイーゴリ・コールプとアナスタシア・コレゴワがゲスト出演します。

眠れる森の美女

http://ambt.jp/schedule.html#sleeping1303

日 時
3月8日(金) 18:30開演、21:40終演予定
3月9日(土) 15:00開演、18:10終演予定
3月10日(日) 14:00開演、17:10終演予定

会 場 ゆうぽうとホール
(品川区西五反田8-4-13 TEL.03-3494-1840)
指 揮 アンドレイ・アニハーノフ
管弦楽 東京ニューシティ管弦楽団
料 金 S 10,000円 A 8,000円 B 6,000円 C 4,000円(税込・全席指定)
※4歳以上ご入場可。チケットはお一人1枚必要となります。

☆A席3枚セット券 24,000円→18,000円
☆シルバー割引(S席、70歳以上の方) 10,000円→9,000円
☆当日学生席(要学生証提示、24歳まで) お一人につき1枚、全席種を半額(*当日券販売がある場合のみとさせていただきます。)

発 売 12月19日(水)朝10時より一般前売り開始
牧阿佐美バレヱ団 
TEL.03-6276-3451(チケット予約・問い合わせ専用)

イープラス、チケットぴあ(Pコード 425887)
ローソンチケット(Lコード 33928 )

主 催 公益財団法人橘秋子記念財団
後 援 東京バレエ協議会 

配 役
8日(金)18:30/9日(土)15:00
オーロラ姫 アナスタシア・コレゴワ
(マリインスキー・バレエ ファースト・ソリスト)
フロリモンド王子 イーゴリ・コルプ
(マリインスキー・バレエ プリンパル)

10日(日)14:00 
オーロラ姫 伊藤友季子
フロリモンド王子 京當侑一籠

マリインスキーバレエの来日公演で活躍してくれたイーゴリ・コールプと、今回の来日では本拠地居残り組のアナスタシア・コレゴワ、この二人の出演とはなかなか豪華です。しかも指揮はアンドレイ・アニハーノフというのがちょっと楽しみですね。

*****
もう一つ。スターダンサーズ・バレエ団のサイトから。
http://www.sdballet.com/schedule/index.html

スターダンサーズ・バレエ団5月公演
「シンデレラ」全2幕  (演出・振付:鈴木稔)
主演:吉田都 ほか
テアトロ・ジーリオ・ショウワ
5月2日(木)
5月4日(土・祝)

スターダンサーズ・バレエ団8月公演
20世紀のマスターワークス
ジョージ・バランシン振付「フォー・テンペラメント」
ジョージ・バランシン振付「スコッチ・シンフォニー」
ジェローム・ロビンス振付「牧神の午後」
ゲスト:吉田都 ほか
テアトロ・ジーリオ・ショウワ
8月24日(土)
8月25日(日)

5月、8月と吉田都さんの出演が予定されています。特に8月の演目は魅力的ですよね。

2012/12/05

ブベニチェク・ニューイヤー・ガラ Skypeミーティング

2013年1月にBunkamuraオーチャードホールにて上演される「ブベニチェク・ニューイヤー・ガラ『カノン』」。この公演に出演するイリ・ブベニチェク、ドロテ・ジルベール、そしてエルヴェ・モローとSkypeで回線を結び、公演に対する意気込みを伺うというイベントに招待していただきました。

ブベニチェク・ニューイヤーガラ
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/12_canon/index.html

3名は現在、このガラのためにパリでリハーサル中とのこと。この日はパリ・オペラ座バレエのフォーサイス・ブラウンプロの公演日でエルヴェ・モローの出番がある日であり、またドロテ・ジルベールは「ドン・キホーテ」への出演を控えてリハーサルで多忙な中、時間を割いていただいたものです。ちなみにオペラ座での会議室の手配はエルヴェが行ってくれたそうです。

まず、イリ・ブベニチェクからは、今回の公演プログラムの簡単な説明がありました。前回彼の作品を上演した彩の国さいたま芸術劇場での公演では、彼の作品は2演目の上演(もう一演目はフォーサイス)だったけど、今回は5演目とパワーアップしました、とアピール。

「ル・スフル・ドゥ・レスプリ~魂のため息(「カノン)」はロングヴァージョンを見せてくれる。
「トッカータ」はNYCBに振付けた作品。オットー・ブベニチェクが作曲した複雑な音楽のネオクラシックな作品で、ピアノ一台では弾けない曲なのでピアノ2台、ヴァイオリンとチェロで演奏される。
「ドリアン・グレイの肖像」は物語バレエであり、この新しい作品をみなさんに見せることはとても嬉しい。
「牧神の午後」はドビュッシーの音楽を使用。出演者は男性ダンサーのみで、ドレスデン・バレエの初演ダンサーを連れてくる。
「プレリュードとフーガ」はショスタコーヴィチの音楽(「24のプレリュードとフーガ」)に振り付けた。今回のBunkamuraの公演のために創作した作品。

エルヴェ・モローからは、東京に戻ってこられるのは大変嬉しく思います。「トッカータ」のリハーサルが始まっており、また新作のクリエーションも始まっているので楽しみにしています、とのこと。

ドロテ・ジルベールは、イリの作品をこの中で踊れることを楽しみにしています、というメッセージ。そしてエルヴェに対して、ドロテはどんなダンサーか?という質問がありました。「長いこと一緒には踊っていなかったけど彼女はとても良い友人です。彼女は素晴らしいダンサーであり、自分自身が踊るのが大好きなのです」とのことでした。

ブベニチェク&フレンズの公演はプラハ、ローマ、さいたまでも行われ、今ではガラというよりはひとつのパフォーマンスとなっていると語るイリ。だんだん公演としても進歩してきていて、集まった人達は友人だし、もっと豊かにフィーリングがパフォーマンスの形にすることができるようになっている。ドレスデン・バレエからはベストのダンサーを選び、元ハンブルク・バレエのアルセン・メグラビアンはイリのハンブルク・バレエ時代の友人である。それぞれのダンサーのキャラクターが違うことが素晴らしいとのことです。

今回、「トッカータ」はエルヴェ・モロー、ドロテ・ジルベール、ヨン・ヴァイエホで踊ることになっていますが、エルヴェにこの作品を踊ってもらおうとイリが考えたきっかけは、この作品はNYCBのダンサーのために振りつけたネオクラシカルな作品であること。クラシックテクニックで毎日踊っているパリ・オペラ座のダンサーに是非踊って欲しいと思ったからだそうです。

「プレリュードとフーガ」の踊りのイメージはどのように作られたかということについては、ショスタコーヴィチからインスピレーションを得たとのことです。ショスタコーヴィチがこの曲(24の前奏曲とフーガ)を作曲した時には、J.S.バッハの没後200年を記念して、ライプツィヒで開催された第1回国際バッハ・コンクールの審査員に選ばれ、ソ連代表団長として参加し、そこで若く美しい女性タチアナ・ニコラーエワに出会い、二人で練習のためにモスクワに行ったというエピソードから着想したとのこと。全曲初演はニコラーエワによって1952年12月23日行われたとのことで、ちょうど60周年記念として日本に持っていくことにしたそうです。物語性のある作品ではなく、ヴァリエーションを主とした作品だそうです。

イリはドレスデン・バレエにハンブルクから移籍して6年が経ち、ドレスデンでの7シーズン目ということで、ハンブルク時代からはダンサーとしてかなり変化をしているとのこと。しかしブベニチェク&フレンズのグループとしては一つであり、またオットーとのパーソナリティも違うので興味深いと考えているそうです。ダンサーとしてそれぞれのキャラクターを持って踊ってもらうことは必要なことだけど、同時に二人とも特別な関係であり、今日、こうやって一緒に踊ることができるのは本当に嬉しいと感じているとのことです。

最後にイリから日本のファンへのメッセージがありました。日本のみなさんのために、オットーは今回新しいセットデザイン、音楽も作っています。私たちは100%力を全開にしてこのガラに注入したい、とのことでした。


ドロテはリハーサルが、そしてエルヴェは本番が控えていたために、あまり時間がなくて話を充分聞けなかったのですが、その分イリがたっぷりとこのガラについて語ってくれました。終始和やかな雰囲気で、ケラケラと明るく笑っていたドロテ、穏やかなほほえみを浮かべた元気そうなエルヴェの姿も印象的。きれいな英語を話すイリの知的な感じも素敵でした。

公演日程
2013/1/5(土)19:00開演
2013/1/6(日)15:00開演
2013/1/7(月)19:00開演

会場
Bunkamura オーチャードホール


こちらは、今回上演される「牧神の午後」のリハーサルと本番の映像です。なかなか官能的な雰囲気で期待できそうですね!

こちらは、「トッカータ」がNYCBで初演された時のNew York Timesのレビュー。辛口で知られるアレイスター・マコーリー氏が絶賛しています。
http://www.nytimes.com/2009/05/15/arts/dance/15gala.html

2012/12/04

12月8日~28日《魅惑のバレエ映画祭》名作バレエ映画の上映

12月8日~28日迄の期間、
東京都写真美術館ホール(恵比寿ガーデンプレイス内)において、《魅惑のバレエ映画祭》と題して、名作バレエを映画化した作品の特集上映が開催されます。

《魅惑のバレエ映画祭》

・期間  2012年12月8日(土)~28日(金)  ※休館日 12/10,17,25は休映

・場所  東京都写真美術館ホール(恵比寿ガーデンプレイス内)

・上映作品、上映スケジュールなど詳細は「魅惑のバレエ映画祭」公式HP
http://gakugakai.com/2012fes/

・上映5作品概要
「草刈民代 最後の“ジゼル”」 ※劇場初公開作品
現在女優として活躍する草刈民代の、古典バレエ最後の公演となったジゼル。
2009年にマールイ(レニングラード国立バレエ、現ミハイロフスキー・バレエ)との共演で行われた舞台を、周防正行が映像化!

「白鳥の湖」
ヌレエフ&フォンテーンの最盛期の踊りを映像化した伝説的な映画!

「眠れる森の美女」
キーロフ・バレエによる64年制作の歴史的な名作!
伝説のプリマ、アーラ・シゾーワのオーロラ姫が銀幕に甦る!

「ヌレエフ I AM A DANCER」
絶頂期のヌレエフの舞台と素顔に迫った、貴重なドキュメンタリー!

「アンナ・カレーニナ」
トルストイの名作を、プリセツカヤがバレエ芸術に昇華し、映画化した傑作!

・上映作品、上映スケジュールなど詳細は「魅惑のバレエ映画祭」公式HP
http://gakugakai.com/2012fes/

・チケット 発売中 期間中1回有効前売券2,500円(当日2,800円)

・問合せ先 樂画会(がくがかい)Tel:03-3498-2508(平日9:30-17:30)


クオリティには定評のある名演を大きなスクリーンで観る貴重な機会ですね。私もぜひぜひ足を運びたいと思っています。

TV番組「ボリショイ・バレエ」完結と投票結果

ロシア・バレエファンの話題を独占していた感のある、バレエコンテスト番組「ボリショイバレエ」(ボリショイは、「ボリショイ劇場」のことではなく、”大きい”という意味)。全7回の放映が終了しました。

番組のサイト
http://tvkultura.ru/brand/show/brand_id/22545

出場者

Andrei Yermakov(マリインスキーバレエ)
Viktoria Tereshkina(マリインスキーバレエ)←特別参加

Anna Tikhomirova(ボリショイバレエ)
Artem Ovcharenko (ボリショイバレエ)

Larissa Lyushina (エカテリンブルグバレエ)
Andrey Sorokin (エカテリンブルグバレエ)

Xenia Barbasheva(ペルミバレエ)
Alexander Taranov(ペルミバレエ)

Kristina Shapran (モスクワ音楽劇場バレエ) 
Sergey Polunin (モスクワ音楽劇場バレエ)

Olga Smirnova(ボリショイバレエ)
Vladislav Lantratov (ボリショイバレエ)

Kristina Andreeva (タタールバレエ)
Oleg Ivenko (タタールバレエ)

ディアナ・ヴィシニョーワ、ナチョ・ドゥアト、ウラジーミル・マラーホフ、アンドリアン・ファジェーエフらの審査員が点数をつけていき、さらに視聴者も投票するという番組です。各回の放送内容はいろいろな方々がYouTubeにアップされていますので、”Большой балет”で検索されると動画もご覧になれるかと思います。

視聴者からのSMSによる投票結果も発表されており、ダントツ1位はクリスティーナ・シャプラン、次にセルゲイ・ポルーニン、アンドレイ・エルマコフ、そしてアレクサンドル・タラノフ(ペルミ・バレエ)となっています。

そして審査員による審査結果は、
http://tvkultura.ru/article/show/article_id/68061/brand_id/22545/type_id/3

ベストダンサーはセルゲイ・ポルーニン(モスクワ音楽劇場バレエ、男性ダンサー部門)、オルガ・スミルノワ(ボリショイ・バレエ、女性ダンサー)、ベストペアは、アンナ・チホミロワ&アルテム・オフチャレンコ(ボリショイ・バレエ)、そしてクセーニャ・バルバシェヴァとアレクサンドル・タラノフのペルミバレエペアが受賞しました。

最終回は特別ゲストを交えての放送で、マリインスキー・バレエの来日公演で大活躍していたアンドレイ・エルマコフはウリヤーナ・ロパートキナと「マルグリットとアルマン」を、ボリショイからはアンナ・ニクーリナとパーヴェル・ドミトリチェンコが「スパルタクス」を、そして審査員だったディアナ・ヴィシニョーワがアンドレイ・メルクリエフと「シンデレラ」を、変わったところではシュツットガルト・バレエのアンナ・オサチェンコとアレクサンドル・ザイツェフが「ファンファーレLX」を踊ったりしています。

2012/12/03

NHKバレエの饗宴 2013

NHKバレエの饗宴 2013が今年も実施されます。

http://pid.nhk.or.jp/event/PPG0180481/index.html

主催 NHK、NHKプロモーション

日時 平成25年3月16日(土)
 開場:午後4時
 開演:午後5時
 終演予定:午後7時30分

会場 NHKホール (東京都渋谷区神南2-2-1)

出演・演目

小林紀子バレエシアター「コンチェルト」島添亮子ほか

東京シティバレエ団「コッペリア3幕より」志賀育恵、キム・セジョンほか

東京バレエ団 (演目未定)

橋本清香、木本全優 「ドニセッティ・パ・ド・ドゥ」

吉田都 (演目、パートナー未定)

入場料 〔S席〕 12,000円
〔A席〕  9,000円
〔B席〕  6,000円
〔C席〕  3,000円  (消費税込)

*就学前のお子様の同伴・入場はご遠慮ください。
前売開始 平成25年1月12日(土)午前10時

・e+(イープラス)
 http://eplus.jp/〔インターネット・携帯受付〕

・チケットぴあ (Pコード 425-837)
 http://t.pia.jp/ 〔インターネット・携帯受付〕
 0570-02-9999 〔音声応答電話予約 無休〕

・ローソンチケット (Lコード 33307)
 http://l-tike.com/
 0570-084-003 〔音声応答電話予約 24時間・無休〕
 0570-000-407 〔オペレーター受付〕(午前10時~午後8時)

※発売日初日特別電話
 0570-084-634 〔音声応答予約〕(午前10時~午後6時)
 0570-084-647 〔オペレーター受付〕(午前10時~午後0時)
放送予定 未定

NHKでも放映されますし、楽しみですね!

2012/12/02

「ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!」 First Position

世界中から5千人を超す応募がある、世界最大のバレエ・コンクール「YAGP(ユースアメリカグランプリ)」の2010年大会に出場した6人の少年少女を追ったドキュメンタリー。

http://firstposition-movie.com/index.html

6人の子供たちは様々なバックグラウンドを持っている。海軍の軍医を父に持つためナポリに住んでいるアメリカ人の少年アランは、マチュー・ガニオの父デニス・ガニオに師事している。その彼と親しいイスラエル人少女のガヤの母親は、コンテンポラリーの振付家だ。日英ハーフの少女ミコは、天真爛漫な弟ジュールズとともにステージママにお尻を叩かれながらバレエを学ぶ。シエラレオネの内戦で両親を失ったミケーラはアメリカ人の夫妻に養子に迎えられて、黒人には難しいと言われながら憧れのバレリーナを目指す。金髪美人のレベッカは高校生活を楽しみながらもバレエに打ち込む。そしてコロンビア出身のジョアンはニューヨークでホームシックと戦っている。どの子もダンサーとして大変魅力的で、彼らが踊るシーンを見ているだけでもとても楽しい。

監督のベス・カーグマンは14歳までバレエに打ち込んでいたとのことでバレエをよく知っている。2年間子供たちに密着していたことからも、ディテールを捉えてそこから家族らの愛情をすくい取って見せるのがとても上手い。黒人の養女ミケーラのために、養母が彼女のチュチュに縫い付けらる肌色の当て布を茶色く染めているところなどは、ちょっとホロリとするシーン。

舞台裏を通るためにチュチュの端を持ち上げて歩く女の子、楽屋に置いてある日本製のつけまつげなどは、バレエのことをよく知っている監督ならではの視点だ。そしてバレエ少年少女たちの、ボロボロに痛めつけられ、変形し血が滲んだ足の痛々しいこと。彼ら彼女たちはいろんなことを犠牲にしてバレエに取り組んでいる。ミコは12歳の時から学校に通うのをやめて家で勉強している。バレエ学校のほかは、友達には会えず、家族と飼い犬とだけ接触する毎日。それでも、皆バレエを踊りたいというひたむきな情熱のために、すべてを捧げているのだ。(そうではない子もいるけど)

チュチュ1着のお値段、ポワント1足の値段、振付を創ってもらうための料金、とにかくバレエにはお金がかかる。車が何台も買えるほどのお金をつぎ込むことになる。そのため、賞よりもスカラシップ(奨学金)を求めているダンサーが多いのも納得できる。

バレエはその瞬間だけの芸術であり、コンクールともなると5分間だけで自分を表現しなくてはならない。どんなに日頃努力を重ねていても、本番で成功しなければどうにもならない。コンクール本選でも、失敗して泣いている出場者の姿がたくさん映し出されている。敗者に対しても暖かい視線を送っているのがこの映画だ。一番胸を打ったのは、本番の前にミケーラが足を怪我してしまい、悪化すればもう二度と踊れないかもしれないという中、痛みをこらえて本選で見事な踊りを見せたこと。彼女がどれだけ努力し、そして養親の愛情に支えられてきたかを見てきただけに、彼女が成功した時には思わず涙がこぼれた。

子供達だけでなく、彼らを取り巻く家族や教師たちの姿も大変興味深い。ジョアンのように故国を離れて一人で頑張っている子も、遠い祖国にいる両親の強い想いに支えられて頑張ってこれた。大変な教育ママであるミコとジュールズの母親(日本人)の姿は時には滑稽だけど、彼女の後押しがあるからますます子供たちは頑張る。厳しくも時にはひょうきんなデニス・ガニオ。そしてミコ、ジュールズ姉弟を指導するヴィクトル・カバニアエフの表情豊かな様子、ジョアンを指導する、やはりコロンビア出身の元ABTのダンサー・フラヴィオ・サラザールと、教師は厳しいだけでなくて、人間的な魅力にも溢れている人が多いことを感じた。姉ほどの才能はないけれど、とっても無邪気なジュールスの存在には思わず頬も緩む。また、アランとガヤの幼い恋人同士の様子もとても微笑ましい。

往年のバレエファンにとっては、デニス・ガニオを始め、オペラ座学校校長のエリザベット・プラテル、ロイヤルバレエスクール校長のゲイリーン・ストック、YAGPの司会者を務めていた元ABTプリンシパルのスーザン・ジャフィの姿が見られるのもちょっと嬉しい。

YAGPで受賞したりスカラシップがもらえても、それはプロのバレエダンサーへの第一歩に過ぎない。映画のタイトル「ファーストポジション」は、バレエの5つのポジションの一つであるとともに、第一歩という意味も持っているのだと思う。映画の最後には、この子供たちのその後の様子も少し紹介されている。見事に念願のロイヤル・バレエ・スクールのスカラシップを獲得したジョアン、ワシントン・バレエと契約したレベッカ、ABTジョクリーヌ・オナシス・アカデミーに入学したミケーラ。

だが、この映画が撮影されて2年が経ち、さらにその後のことを調べると、さらにほろ苦い感傷が感じられる。ダンス・シアター・オブ・ハーレムに入団を果たしたミケーラ、今年のヴァルナコンクールで銅賞を受賞したミコ、今年はYAGPジュニア部門でグランプリを受賞したアランなど成功した例もあれば、正団員の地位をオファーされたのに断りバレエを辞めてしまって普通の大学生になったレベッカ。監督は、この子供たちの10年後の姿を追ったドキュメンタリーも撮影してみたいとのことだけど、それは大変興味深いものとなることだろう。

ミコ・フォガティの今年のヴァルナ・コンクールでの「エスメラルダ」の素晴らしい演技。映画からは見違える程大人っぽくなっている。

予告編

12月1日からBunkamuraル・シネマほかで全国順次公開。

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2012/12/01

ボリショイ劇場での「春の祭典」100周年記念フェスティバル他「春の祭典」記念公演

1913年5月29日に初演された「春の祭典」100周年を記念して、ボリショイ劇場では2013年3月27日から4月21日までフェスティバルを開催します。

このストラヴィンスキーの音楽に振り付けられた3つの最も有名な「春の祭典」、ニジンスキー版、ベジャール版、そしてピナ・バウシュ版が上演されます。

またウェイン・マクレガーが新作「春の祭典」をボリショイ・バレエのために振り付け(初演は3月27日)、これは3月31日に世界中の映画館にて生中継されます。(同時上演はマッツ・エックの「アパートメント」)

4月1日から7日までは、ベジャール・バレエ・ローザンヌがベジャール版の「春の祭典」、そしてジル・ロマン振付の「シンコペ」、ベジャール振付「カンタータ51」を上演します。

4月8日から14日までは、ピバ・バウシュが「春の祭典」のリハーサルを行っている30分のドキュメンタリー映画の世界初演と、ヴッパタール舞踊団によるバウシュ版「春の祭典」の上演

4月15日から21日までは、フィンランド国立バレエが、フォーサイスの「WorkWithinWork」、ヨハン・インガーの「Walking Mad」、オハッド・ナハリンの「マイナス7」、キリアンの「ベラ・フィギュラ」、ヨルマ・エロの「Double Evil」、そしてニジンスキーの「春の祭典」を上演します。

芸術監督セルゲイ・フィーリンの記者会見
http://english.ruvr.ru/2012_07_18/Bolshoi-Theater-unveils-new-plans/


なお、「春の祭典」については、アクラム・カーンも新作を振り付け、来年の春にサドラーズ・ウェルズ劇場にて初演するとのことです(5月28日~6月1日)。題名は「iTMOi(in the mind of igor) 」といい、12人のダンサーが出演するとのこと。ストラヴィンスキーの音楽を使うのではなく、 Nitin Sawhney, Jocelyn Pook、 Ben Frostが作曲し、ストラヴィンスキーが「春の祭典」を作曲した時の内面にスポットを当てたものとなるそうです。

http://londondance.com/articles/news/a-string-of-rites-at-sadlers-wells/

サドラーズ・ウェルズ劇場では「A String of Rites」と題して、やはりこの「春の祭典」100周年を記念したシリーズが予定されており、Michael Keegan-Dolanが2009年に振りつけた「春の祭典」と、彼の新作「ペトルーシュカ」をFabulous Beast Dance Theatreが上演します。また、80人のプロではない、様々な年代のダンサーによる「RIOT Offspring」が同劇場のクリエイティブ・ラーニング・プログラムの一環として行われます。


また、「春の祭典」が初演されたパリのシャンゼリゼ劇場では、まさに初演された5月29日より6月1日まで、マリインスキー・バレエが、ニジンスキー版「春の祭典」、そしてサシャ・ヴァルツによる新作の「春の祭典」、バランシン振付「放蕩息子」を上演します。
http://www.theatrechampselysees.fr/danse/ballet-du-theatre-mariinsky


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