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2012/11/30

11/16 パリ・オペラ座バレエ「ドン・キホーテ」 Paris Opera Ballet "Don Quichotte"

バレエの感想があまりにも溜まりすぎてどこから手をつけていいのかわからないのですが、さくっと書けそうなところから書いてみます。

11月15日にロパートキナ主演の「ラ・バヤデール」を観た後、その足で羽田空港に向かってパリへと飛び、オペラ座の「ドン・キホーテ」初日を観てきました。今回は現地の友達に泊めてもらって一緒に観ることができてとっても楽しかったです。

バジル: カール・パケット
キトリ: リュドミラ・パリエロ
エスパーダ: クリストフ・デュケンヌ
街の踊り子: エヴ・グランツステイン
ドン・キホーテ: ギョーム・シャルロー
サンチョ・パンサ: ヒューゴ・ヴィグロッティ
ガマーシュ: ステファン・ファヴォラン
森の女王: サラ・コラ・ダヤノヴァ
キューピッド: メラニー・ユレル
ジプシー: アリスター・マダン
キトリの友人: ローラ・エケ、エロイーズ・ブルドン
3幕ヴァリエーション: シャルリーヌ・ジザンダネ

カール・パケットは今回バジル役を12回も踊ることになっており、この日のリュドミラのほか、ドロテ・ジルベール、スヴェトラーナ・ザハロワとも踊る予定になっているそう。エトワール男性の多くが怪我してしまったために、彼が大きな負担を背負うことになってしまって本当にお疲れ様。バジル役は決して彼に向いている役ではないと思うのだが、難しいヌレエフの振り付けもきっちりとこなし、一生懸命に真摯に舞台に取り組んでいる姿にはちょっと感動を覚えた。とにかく人の良さそうなバジルである。1幕では少しセーブしている感じだったが、後半になるに従ってペースを上げて行って最後にはちゃんとクライマックスに持っていくところはさすがだ。

新エトワールのリュドミラ・パリエロは、ほっそりとしていて、やや小柄ながらも脚のラインが恐ろしく美しく、甲の出た足もきれい。アルゼンチン出身の彼女らしく、ラテン的で情熱的、いたずらっぽくてキトリらしいチャキチャキの勢いの良さがある。突き刺さるようなポワントが印象的。テクニック的にも素晴らしく、涼しい顔でダブルを織り交ぜたグランフェッテを回っていた。彼女の勢いに観客も圧倒されていたかのようだった。

森の女王のサラ・コラ・ダヤノヴァは優雅でエレガント。丁寧な動き、フワッとした着地で理想的なクラシックダンサー。キトリの友人の二人、エケとブルドンも負けず劣らず元気よく小気味良い踊り。3幕ヴァリエーションのジザンダネと合わせ、スジェレベルの女性ダンサーが大変充実していることを伺わせた。(どうしてこの中のメンバーから新プルミエールが選ばれなかったのか、観客の誰もが疑問に思ったことだろう)当初キャストでは、森の女王がマリ=アニエス・ジロ、キューピッドがミリアム・ウルド=ブラムと豪華なものだったけど、変更後もレベルダウンした感じはしなかった。夢のシーンのコール・ドも大変美しくて、パステルカラーの衣装ともども大変目に快い。藤井美帆さんの姿も見られた。

エスパーダと街の踊り子はちょっと弱い。この役に必要なアクが薄いように感じられた。一方大変ハードな振り付けのジプシーは、アリスター・マダンが大健闘していて、勇壮に飛び回ってくれた。1幕の闘牛士の中に、後日バジルを踊るピエール・アルチュール・ラヴォーを発見。また街の人々の中には、期待の星のひとり、フランソワ・アリュも。男子はコリフェレベルが充実していると感じた。主役を踊れるダンサー(特にエトワール)は不足しているのだけど(何しろウィーン国立バレエからゲストペアを呼ぶ羽目になっている始末)、若手は育ってきている。

また、ステファン・ファヴォランが演じるガマーシュの可笑しいことといったら!気取った姿で笑いを取る彼の名人芸は見事なもので、ついつい目が引き寄せられてしまう。オペラ座では得難い人材だと思う。彼は引退年齢まであと少しだけだが、ぜひ引退後もキャラクテールとして舞台に立って欲しいものだ。

広々としたバスティーユ劇場も、初日の今日はさすがに満杯だった。カーテンコールが終わると、舞台裏からは主役のふたりを称える盛大な拍手が聞こえた。12月の終わりまで、けが人が出ることなく無事に乗り切って欲しいと思う。特に彼なしではオペラ座が成り立たなくなっているカール・パケットには頑張って、と。

このリンク先でリュドミラ・パリエロが踊る1幕カスタネットのソロ、3幕グラン・パ・ド・ドゥのアダージオ、それから夢のシーンの群舞を観ることができる。
http://www.francetv.fr/culturebox/rencontre-lenvol-de-letoile-ludmila-pagliero-dans-don-quichotte-127835

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

本当にパケットの「無事これ名馬」っぷりには頭が下がります。オペラ座、彼が怪我したら本当やばいと言われてもう何年になるんだろ?。それだけでなく、誠実な踊りっぷりやサポート力、彼にあった役柄での表現力!。ルックスもすてきですし^^。もっと日本の(客演でなく)大舞台で見たいダンサーの一人。天井桟敷は彼が楽しみです。

唐辛子さん、こんばんは。

本当におっしゃる通り、カールの活躍ぶりには頭が下がりますよね。彼はオペラ座から特別に表彰されてもいいくらい。真面目で人柄がいいのは、舞台からもよく伝わってきます。サポートもおっしゃる通り上手いし、ちょっと影のある役での演技力もあるし。天井桟敷の人々はまだ脇のキャストがわからないのですが、彼が観られるといいなあ。(2014年の来日公演はドン・キホーテだからきっと彼の主演があるはずですよね!)

こんにちは、お久しぶりです!
私も同じキャストで見てきました。
で、正直な感想は、「オペラ座ってこんなに下手だっけ?」というものでした。
この二人が初日の主役を踊ったなんて信じられません。
ケガ人が多すぎるのか、新旧交代がうまく行ってないのか。
おっしゃるとおり、スジェのダンサーたちは充実してるな、と思いましたが
メインキャストは二軍、という感じが拭えませんでした。
海外のバレエカンパニーが日本にくる時は、たいてい一軍を連れてきてくれるので
日本にいる方がレベルの高い公演に当たる確率が高いのかも、と思ってしまいました。

ポチさん、こんにちは。

この公演いらしていたんですね。カール・パケットは決してものすごく素晴らしいダンサーではないですが、頑張っていたと思うし、彼がいなければオペラ座は困ってしまうほどの状態であるようです。マチアス・エイマンの怪我が長引いているのが大きいんでしょうね。ステファン、ジョシュアもケガだし。しかしリュドミラ・パリエロ、下手ですか?確かにオペラ座伝統のフレンチな気品はちょっと足りないと思いますが、彼女のテクニックは素晴らしいと思うので、こういう見方は正直、かなり意地悪なんじゃないでしょうか?彼女がエトワールに昇進した時にはメディアなどにいろいろと言われたようですが、でもそういう批判をはねのける、素晴らしいパフォーマンスだったと私は思います。女性エトワールにしても、ミリアムが怪我で出演できていないので、キトリ役を踊るのはあとはドロテだけ、というのは確かに手薄だと思いますが、日本公演でこれ以上のキャストは厳しいと思いますよ。(マチアス、ミリアムは期待できると思いますけど)日本公演だから豪華なキャスト、ってことはないです。(ただし12月下旬は、プルミエが主役の公演が多く、正直うーんってキャストもありますけど)

現地のファンのみなさんはスジェのペア、マチルド・フルステとピエール・アルチュール・ラヴォーに期待しています。この二人、昇進試験で昇格が期待されていたのに昇進できず、残念でした。オペラ座の昇進試験の制度も見直したほうがいいのかもしれませんね。

naomiさま 

こんにちは。以前にコメントさせて頂き、また厚かましくもお邪魔いたいます。
今年の5月、びわ湖ホールで有馬龍子バレエ団の「ドンキホーテ」が上演され、ゲストでバジル役を踊ったカール・パケットさんを拝見いたしました。
見るからに、誠実で人の良さそうな雰囲気で、急きょ、ドロテ・ジルベールさんの代役となったエロイーズ・ブルドンさんをとても丁寧に優しくサポートされていたのが印象的でした。
私はパートナーを大切にする彼を素敵なダンサーさんだと思いました。
テクニックなどについては、素人なためあまりよく分かりませんが、そこにいるだけで空気が華やぐような彼のオーラは稀有のものではないかと感じております。
2014年の来日公演も、今からとても楽しみにしています。

ゆっきーさん、こんにちは。

お返事が遅くなりました。有馬バレエ団でカール・パケットとエロイーズ・ブルドンがゲスト出演した「ドン・キホーテ」をご覧になったのですね!いいな~!
カール・パケット、サポートはとてもうまいですし、いかにも誠実そうでパートナーを大事にするダンサーだと感じられます。自分のソロの時だけ張り切るダンサーよりよほど好感度が高いですよね!それに加えてハンサムですし~。きっと2014年来日公演の「ドン・キホーテ」でも素敵な舞台を見せてくれるに違いありません。彼は、脇役でも光る人ですよね。

こんにちは。私も初日、観ました。リュドミラとアリスターとステファンがとても印象的でした。ステファンは、とっくに舞台の中心は別のところにいっているのに観客が観ていないような最後まで手を抜かずしっかり演技するので、中央でおこっていることを置いといてじっと注目してしまいました(笑)

マチルド・フルステとピエール・アルチュール・ラヴォーはリハーサルで観ました。マチルドは安定感には欠けていましたがとってもキトリらしくて彼女にあっていると思いましたし、ピエールはジャンプがすごかったです。

なぜかもう1枚チケットを買ってしまっているので、また観に行きます。これもカールくんです。本当にオペラ座、大丈夫かと心配してしまいますね。カールくん、がんばれ!

りおさん、こんにちは。

初日ご覧になったんですね。本当にステファン・ファヴォランのガマーシュが可笑しくておっしゃる通り、中心にいない時にも思わず目がいってしまいました。怪我をしてしまったそうですが大丈夫なのかしら?

ラヴォーも一回踊った後怪我をしてしまったみたいですが、代役でフランソワ・アリュがマチルドと踊ったみたいで素晴らしかったみたいですね。ラヴォーとアリュはオペラ座の希望の星ですね。カールも頑張れ!

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