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2012/10/31

アメリカの新聞に載った日本のバレエ界の現状

日本のバレエ界の現状について、アメリカ、ピッツバーグの新聞に載った記事がとても興味深かったのでご紹介します。

Japanese ballet dancers embracing Pittsburgh
http://www.post-gazette.com/stories/ae/theater-dance/japanese-ballet-dancers-embracing-pittsburgh-659561/

ペンシルバニア州にあるピッツバーグ・バレエ・シアターのカンパニーには現在3人の日本人ダンサーがいますが、付属のバレエ学校のサマースクールには、20人もの日本人が学び、学校公演でも主要な役柄を踊っています。このバレエスクールの共同芸術監督であるデニス・マーシャル氏が、日本のバレエ・コンクールジャパン・グランプリの審査員を務めていることもあって、日本人留学生が多いそうです。

デニス・マーシャルとジャパン・グランプリの芸術監督であるマーティン・フリードマンが長年の友人だそうです。マーティン・フリードマンは、ワシントンのキーロフ・アカデミーの芸術監督であるとともに、2005年に旭日小綬賞受賞を受賞するなど日本のバレエ界の発展に貢献してきました。フリードマン氏は27年間のあいだに100回近くも日本を訪問しており、流暢な日本語でレッスンを行うことができるそうです。

ジャパン・グランプリは10年前に開設されました。「日本人の審査員の多くは、細かいところに目を取られてしまいがちだけど、バレエはインターナショナルな芸術であり、私たちは参加者の本質的な才能、音楽性、そしてプロポーションに注目しています」とのこと。昨年は600人もの参加者がこのコンクールにエントリーしたそうで、日本の伝統文化ではないのにこんなにも多くの生徒がいることに驚いたそうです。

日本では1980年代以来バレエの人気が爆発的に拡大し、1万5千校ものバレエ教室があり、100以上のコンクールが開催され、また大スターが人気を呼び世界バレエフェスティバルは2週間に渡って開催されています。Kバレエを率いる熊川哲也のような日本人のスターもいるけど、彼が怪我をして出演できなくなった時には、チケットはタダ同然で取引されていました。

日本ではおよそ10のプロのカンパニーがあるものの、特に女性のコール・ドのダンサーはほぼ報酬を受け取ることができないのが現状です。フリードマン氏によれば、「彼女たちは自分でチケットを売らなければならず、たくさん売ることができれば大きな役を得ることができます」とのこと。そのため、女性ダンサーは教える経験がほとんどないままにバレエ教室を開きます。多くの場合、コンクリートの床の狭い稽古場で、天井が低いためリフトの練習もままなりません。フリードマン氏によればポワントの練習もできないため、7歳といった低い年齢の子供たちは難しいバリエーションをポワントクラスも受けないままYouTubeで見て練習するそうです。

日本のバレエ教室は、何時間にも渡る発表会を開き、全幕も上演するために男性ダンサーにとっては良い収入になるそうです。バレエの衣装を制作しているアトリエヨシノの吉野勝恵氏は億万長者なのだそうです。バレエ教室の数が多いため、良い生徒を集めるためには外国人の教師を招聘したり、高い参加費を払ってコンクールに参加させるとのことです。「有象無象の外国人がお金のために、日本に来て振りつけたり教えたりしています」とフリードマン氏。

それでも優秀な生徒は頭角を現し、コンクールの実績を活用してビザを獲得し、きちんと報酬が支払われる仕事を目指して海外へと流出します。ピッツバーグ・バレエ・シアターのアプレンティス(見習い)でも、公演に出演すれば報酬と貴重な経験が得られます。日本ではプロの公演の「くるみ割り人形」に出演するのに100万円も払わなければならないのに。

フリードマン氏によれば、キーロフ・アカデミーの生徒を全員日本人にすることだって可能であり、ジャパン・グランプリを利用してピッツバーグ・バレエ・シアターのスカラシップを毎年2,3人分用意しているそうです。このコンクールは、そのままサマースクールの受講オーディションも兼ねているそうです。

この夏、ピッツバーグ・バレエ・シアターのサマースクールを受講した18人の日本人の生徒の中には、何人かの男の子もいました。12歳の男の子は、昨年の東日本大震災で家を津波に流されたとのことだけど、「今は大丈夫」とのこと。

「日本人の生徒は、悪魔のように真面目に学びます。彼らはバレエに身を捧げており、それは彼らの血の中に流れている勤勉さ、そして家庭環境や学校で身につけたものです。彼らは脇目もふらず、ダンサーになりたいと真剣に考えています」とフリードマン氏。

この記事は、バレエ雑誌Pointeのブログでも紹介されています。
http://pointemagazine.com/blogs/japan/japans-perplexing-relationship-ballet

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バレエ(情報)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは
連投ですみません。
よくぞ翻訳してくださいました!
バレエ教育のどシロウトがバレエ教師でございと教室を開いて教えている、バレエ団で踊っていただけならまだマシなほうで、最近ではあのウンザリくるオバリーナ(ご存知ですか?オバリーナ=大人からバレエを始めた人たちです)が、どシロウトの集まりの「教師コース」の通信制とやらを受けて、出自のあやしい『資格』とやらを取って(どっかのR国立Pバレエ学校日本校あたりが出しているのかな?違うかもしれないけどね~)、ひどい場合は資格も教える技術も学ばず、そこらのお教室のバレエクラスだけ受けただけのデブのオバリーナがバレエ教室を開いているという現状をかねてより苦々しく思っておりました。(本当に教室に通っただけのデブのオバリーナが開いている教室を小生知ってます。生徒に対して失礼ですよ)

ワシントンのキーロフ・バレエ・アカデミーからアナトーリ・クチェルーク先生(以前マールイにいたオクサナ・クチェルークの父親です。ちなみに光藍社がクチュルクとか言っているのは間違い。クチェルークが正しい!)を追い出して、ひたすら学校を金儲けの道具にして、学校そのもののレベルをダメにしてしまったマーチンのキモハゲ野郎に一言言いたいです!
「お金のために、日本に来て振りつけたり教えたりして」いる「有象無象の外国人」の外国人のひとりが、「有象無象の外国人がお金のために、日本に来て振りつけたり教えたりしています」とヌカしている当のマーチン・フリードマンなんですけどね。爆笑
そのうえマーチンこそがいい加減なコンクールを日本で開いて金儲けしている有象無象の外国人の中心人物!!そのマーチンがエッラソーに語っているのはギャグだと思われませんか?

ご無沙汰しています。

まどかちゃんがローザンヌで好成績を収めた直後、某女子大の教授が、
「日本のダンサーの質が高いのは、少人数制の町の教室がていねいな指導をしているから」と、
新聞に発表しました。
どんな調査なんだか、いい加減すぎて怒りを通り越して、あきれました。

日本のバレエ界というか、バレエ教室事情は、ほんとにひどいです。
ろくに基礎もできていない小学校低学年の子に、平気でポアントをはかせる。
子どもたちはへっぴり腰で膝を曲げながらお稽古しています。
曲芸じゃないんだから・苦笑

熊川氏は、「日本の教室は早くからポアントをはかせすぎる」と警告していますが、
親の機嫌を取るために、早くからポアントをはかせる教室は後を絶ちません。

大人から始めるバレエも、お教室にとってはいいカモです。
高い出演料とって、発表会に出させれば満足しているのだから。

>オバリーナ
初めて聞きました、大爆笑!!!
サークル程度の教室が多すぎる実態は、何とかならないものかと思います。

我が家も何度かお教室を変え、最後のお教室はとてもいい先生に恵まれたのは、幸運でした。
(例の純ちゃんの先生です)
バレエを辞めた後も、子どもはダンスを続けていますが、お教室で習ったことが生きています。
一生の財産になるから、親もいい先生を見つける努力をしてほしいですね。

フランスのように、たとえオペラ座のダンサーであっても国家試験に受からなければ教師資格は取れない、そんな制度を作ってほしいけれど、多分無理でしょうねえ・・・・。

古くからある、バレエ界の徒弟制度のようなシステム。
これで水香ちゃんも、モンテカルロに残れなかったわけだし。
松山の風通しの悪さも、これが大きな原因です。

先日Kバレエのチラシに、溝下さんを拝見して驚きました。
彼も北原さんと同じく、傑出した男性ダンサーでした。
「タムタム」の迫力、今でも覚えています。
東京バレエ団からの人材の流出も・・・・・、いろいろあるんでしょうねえ。
かつてのあのレベルの高さを思うと、ちょっと残念です。


が、動くに動けなかった時代よりも、いいのかもしれません。

ちょうちょさん、こんばんは。

お返事が遅れてしまって大変申し訳ありません。体調を崩しておりました。
日本ではバレエ教師のきちんとした資格がないので、確かに誰でも教えようと思えば教えられてしまうのはありますよね。大人からバレエを始めた人でも、教師をしている人がいるというのはちょっとびっくりですが。まあ、私なども、子供の時にちょっと習っていたとは言え、実質大人からに近いものがありますが、とても人に教えようなんて考えはできません。

オクサナ・クチェルークは今ボルドー・バレエにいるんですよね。お父さん、いつのまにかキーロフ・アカデミーからいなくなってしまったんですね。

マーシーさん、こんばんは。

お返事が遅くなってしまってごめんなさい。

確かに日本では小さい時から早すぎる段階でポワントを履かせがちですよね。私は子供の時にロンドンでバレエを習っていたのですが、9歳までは絶対に履かせないというのがあちらの方針でした。

大人バレエ、私もやっていますが、発表会は最近は出ていないです。大した踊りをしないのに出演料をいっぱい払わされるので割に合わないと思って。

日本のバレエはお教室文化なので、なかなかプロとして生活できるようにならないというのがあると思います。もちろん、小さいところできちんと教えてくれるところはたくさんあると思いますが(私の通っているところもそうです)、徒弟制度の狭い世界というのは、国際化が進む今では時代遅れに感じますよね。教室を移るのも大変なようですし、自由にオープンクラスも受けられない雰囲気がありますから。

私はフランスに住んでいます。オペラの先生も日本に来て
稼いでいますよ。もう 偉そうですから、お金の為ではないと 言いながら日本に来て稼ぎまくりです。
フランスの先生のオープンクラスを受けても無駄ですよ!
本気で教えてません。バカンスの為に来ているだけですよ。
先生の免許制度がありますが、それも不思議 機能しているのかしらと
思うばかり とにかくフランスでバレエ留学はあまり意味がないと思います

こんにちは。
横から失礼いたします。naomi様、いつも記事を拝読し、勉強させて頂いております。
私はバレエは鑑賞と、初心者ですが趣味で楽しんでおります。(オバではない年ですが大人からです)

オバリーナ、私も初めて聞きました。
子供から習うか大人から習うかでは確かに雲泥どころか埋めようの無い溝が存在します。
確かに中にはその点をわきまえない方も自分の通う教室にいらっしゃいます。
(発表会の役に対する不満ならまだしも教えをするなど言語道断だと思います。)
しかし、笑ってあげつらうのは読んでいて少々不愉快になりました。

ただの憧れや美容目的で習い始めてバレエの魅力に開眼し、鑑賞するようになる方もたくさんおられます。
慣習やコネで閉じたバレエの世界の裾野がそういった方々によって広がり一般に浸透してきた側面もあるのではないでしょうか。

大抵の場合踊りが醜いことは重々承知で、それでも子供のようにはいかない自分の身体と付き合いながら真剣にレッスンに励んでいるはずです。
こちらでバレエ好きの人間を笑うような発言を目にするとは思わず、悲しくなり、書かせて頂きました。

naomi様、不適当であれば削除して下さいませ。

parisさん、こんにちは。

フランスでもオープンクラスなどが開かれていますよね。友達でパリに旅行に行ったついでに受けてくる人もたくさんいます。ダンス教師の免許制度があるフランスでもそうなんですね…。

minamoさん、こんにちは。そしてはじめまして!

私も、子供の時にはほんの数年バレエを習っていて、実質的には大人になってからと同じって感じです。そして年齢的には、おばさんと言っていい年です(笑)。もちろん、そういうわけなので、大して踊れるわけではありません。発表会にも出ないし…でもバレエのレッスンは楽しいですよね!

おっしゃる通り、大人バレエを揶揄するのは私も正直言うとちょっと不愉快に思いました。極力コメントなどは削除しないようにしているのでそのままにしていますけど。バレエって、かなりの高齢になっても楽しめるものですし(私の師匠は元プロのバレリーナですが、現在78歳でもガンガン踊っています)、踊る喜びは万人のためのものだと思います。もちろん、大人からで教えをやるのはちょっと、ですけど、踊りたい人が踊って人に迷惑をかけていないわけですしね。私は、自分の通っている教室の発表会を見て、子供バレエから大人バレエまで観たら、大人の踊るバレエって表現としては子供バレエより見応えがあったりするなと思ってちょっと感動したことがあります。大人である分、精神性が高い表現になっているんですよね。

おっしゃる通り、バレエを趣味として習い始めて鑑賞に目覚めることも多いですし、そういう大人が増えることによって、バレエは単なる子供のための習い事ではなくて高度な文化であるということが多くの人に知られるというのは素晴らしいことだと思います。

はじめまして!
日本のバレエ界について検索していて、こちらのページにたどり着きました。
私は現在アメリカに住んでおり、13歳の息子がバレエをやっていますが、
日本の現状は本当に厳しいのですね…
この記事を読むと、やはり息子は将来的にアメリカまたはヨーロッパでプロを目指すのが
良いのだろうなと思いました。

英語原文の記事も併せて読みましたが、とてもスムーズな翻訳で分かりやすいですね。
が、1点だけ間違いに気づいてしまいました。
『プロの公演の「くるみ割り人形」に出演するのに100万円も払わなければならない』
の「100万円」は、正しくは「10万円」ですね。原文では$1000となっているので。
それにしても、出演するのに10万円も払うなんて驚きです。

バレエを習ってもプロになれるかどうか分からない…もしプロになれたとしてもまともな収入が
得られるかどうか分からない…それでも頑張っている人がたくさんいらっしゃる日本で、
プロのダンサーがせめて普通のサラリーマン並みの収入を得られるようになる日が早く来ると良いですね。

げんさん、こんにちは。

息子さんがバレエをやっていらっしゃるんですね!13歳で続けられているということは、かなり有望なんでしょうね。

そうなのです、なかなか日本でバレエで食べていくのは難しいようです。男性ダンサーの方が人数が少ない分希少価値があるのでましかもしれませんが。少し前に、NHKで新国立劇場バレエ団の主役も踊るソリストの方(男性)にインタビューをしていて、年収が約300万円だとおっしゃっていました。日本で多分待遇が一番いい新国立劇場で、そんな感じなので、かなり厳しいですよね。社会保険や怪我をした時の保障などを考えても、海外でバレエ団に入れるようだったら、それに越したことはないようなのが現状です。新国立劇場バレエ団はレベルが高く素晴らしいバレエ団ですが、公演数が少ないのも残念です。

間違いのご指摘、ありがとうございました!お恥ずかしい限りです。修正しておきますね。

息子さんの将来が輝かしいことをお祈りしています!

naomiさん、レスをありがとうございます。

新国立劇場で年収300万円というのはかなりショッキングなお話です。ソリストでその金額なら、コールドの方々は一体いくらもらっているのでしょうか。なぜバレエダンサーはこんなに収入が少ないのでしょう?不思議です。

昨日、息子の教室のディレクターと将来に関する話をしました。息子は5歳からバレエを習っているのですが、
「体型や股関節、柔軟性などが完璧にバレエ向きで、プロになる資質は十分あるけれど、問題は身長ですね」
と言われました。現在162cmの身長がどこまで伸びるかによって、将来ダンサーとして就職できるかどうかが決まる、と…。アメリカの女性ダンサーは大柄な人が多くて、170cm超えも当たり前らしく、背が低い男性ダンサーを雇ってくれるバレエ団は少ないのだそうです。夫が175cm、私が164cmなのですが、せめて夫の身長を超えるくらいになって欲しいと思っています。今年の春から月に1cmペースで伸びているので、タンパク質とカルシウムをしっかり摂取させればなんとかなるかも…と期待しています。

ところで、バレエ情報満載のこのブログ、本当にすばらしいですね。naomiさんがどれほどバレエがお好きなのかがよく分かります。私はまだまだバレエに関しての知識に乏しく、息子の成長と共に一緒に学んでいるという感じなので、またここに来ていろいろと読ませていただきたいと思います。

それではまた。

げんさん、こんにちは。

日本のバレエダンサーは本当に収入が少ないですよね。この間、マツコ・デラックスが出ている番組で、別の男性ダンサーがゲストで出演していて、結局発表会のゲストなどで稼いでいて年収500万くらいだと言ってました。でも新国立劇場でソリストで300万円はとにかく少ないですよね。海外のバレエ団だとさすがにずっと収入は良いものだと思われます。

息子さん、13歳なのですね。まだその年令だと身長は伸びると思うのですが。今も月に1センチ伸びられているということなら。最近「ダンシン」という男の子に向けたバレエ雑誌が日本で創刊されたのですが、発売中の第二号では、カラダすくすく大作戦という特集記事で、身長をどうやって伸ばすか、ということについての記事が載っているようです。
http://www.fairynet.co.jp/SHOP/4910132021230.html
ちなみに、新国立劇場バレエ団のオーディションでは、男性は173cm以上だそうです。実際にはそれより小さい人もいるようですが。

ブログ、読んでくださってありがとうございます。私もまだまだ勉強不足なのですが、読んでくださっている皆さんに励まされ、一緒に勉強させていただいています。

二年ほど前からバレエに興味を持って、バレエに関するブログなども時々覗いたりするようになった者です。そんなふうにしてバレエのアレコレについて勉強してきて疑問に思っていたことが幾つかあるのですが、その内の一つがバレエ教師の資格です。
ロシアやフランスなどではバレエ教師の資格は国家資格だそうで、しかも相当な狭き門とのこと。
つまり無資格でバレエを教えることが違法行為だということで、バレエ教師が誇るにたる職業として成立し、文化としてのバレエを下支えする基礎条件だという認識が国の側にあるということだと思います。
なぜ日本には国家資格にしようという動きがないのでしょうか。
あちこちのブログにはバレエ教室の選び方とか、良い教室教えてといった記事を目にすることがしばしばです。
私はど素人なのでバレエ教室の実態は全く知りませんが、指導環境の質にそうとうな開きがあるからこその悩みや質問であろうと思います。
国家資格にさえなれば、各種学校の認可に際して当然、教育内容や施設その他付帯設備などにも一定の線引きがなされるはずで、最低限の教育環境が担保されるとおもうのですが・・・。
公園の遊具ひとつにも細かな安全基準を設定する国なのですから、たとえば怪我をした子の親がバレエ教室に対して訴訟を起こすようなことになればお役所も動き出すかもしれません。
バレエの業界の内部事情はまるで解りませんが、国に対してこうした働きかけはされているんでしょうか。それとも私の知らない不都合でもあるのでしょうか。
バレエ教室が万を超えるとは知りませんでしたが、おそらくそうした教室が連合しているとも思えませんので、圧力団体化しているはずもないでしょう。
どんな場合でも官権の介入は不愉快なものですが、万余の教室で十万単位の子供たちがバレエの真似事をしているかと思うと複雑な気分です。

ネモさん、こんにちは。

私はバレエ教育についてはそれほど詳しくないのですが、おっしゃっていることはその通りだと思います。日本と、ロシアやフランスなどではバレエ教育は全く違った成り立ちなのですよね。ロシアなどはそもそも子供の時に才能があると見出された子だけが、国の後ろ盾でバレエ教育を受けることができたわけで、習い事としてポピュラーでバレエを習っている子供がものすごく多い日本とは違いますよね。日本はお教室文化、独特の師弟関係が強力なわけで(
圧力団体というほどではないですが、多くの教室は系列などもありますし、市町村ごとに組織があったりします)、国自体はバレエなど芸術の教育にまったく関わってこなかったということもあります。国立のバレエ学校もないわけで。(新国立劇場バレエ研修所や予科は最近できたけど、純粋に国立ではないし予科でも高校生くらいの年齢なわけで)そもそも、芸術文化予算を国がほとんど出していない、国際的に見ても先進国では最低の割合で、民間がその任を果たしてきたという側面が大きいと思います。

このままでいいわけはないですが、いきなり、資格がある人しか教えられないということにしても、国家資格などがない以上、そうすることはできないわけで、困った状況ですよね。万単位の教室があるということは、それ以上の数の教師もいるわけです。その人たちが、みんな教えられなくなったらそれはまたそれで困ったことでしょう。というわけで、結局は口コミなどでどこの教室や先生がいいかということを調べるしかないですよね。国家資格化するということは残念ながら多分日本では無理なのではないかと思います。

そういえば、ヒップホップに関しては資格みたいなのができたらしいですよね、それはある意味また新たな権益ビジネスということで批判されていると思いますが…

昨年度から中学校保健体育において、武道・ダンスなどが必修化されました。ダンスはともかく時に死亡事故さえ珍しくない柔道の指導においてすら、まともな指導者教育もされない現状を思えば、バレエの国家資格などタワゴトかも知れませんね。

かつてのソ連には数百のバレエ団があったということを何処かで読んで驚いたことがありますが、ボリショイ劇場などの公演に集まってくる観客層の幅の広さを見るとなるほどと妙に納得したり、羨ましく思ったりもします。なにより男の客が多いのがイイ・・・。

昨年或る人から「ご趣味は」と聞かれて、つい「いまバレエにこってます」と答えたところ「バレーボールですか」と聞きなおされ、しまったと思いつつも「いえ、踊りのほうです」というと、何となく軽蔑するような眼で「ほぉー・・」と言われました。以来このような質問には「囲碁と短歌を少々」と答えるようにしています。バレエは婦女子のものでいい年をした男の観るものではない、といった空気があるのは確かで、男の場合バレエよりは、まだ宝塚歌劇のほうが好事家としての市民権があるようです。

ともあれ、ソ連時代、バレエは国家の外交カードの一つでしたから、数百のバレエ団の頂点にあるバレエ団員の養成機関として、アカデミーのレベルにこだわったのでしょう。
ソ連崩壊後オリンピックの金メダル獲得数が激減しましたが、近頃のボリショイやマリインスキーのゴタゴタを見ていると、同様のことがバレエ界にも起きているように思えます。
つまり、タガが外れた。

私は日本に芸術品のようなバレエ団は不可能だし必要もないと思っています。ただ将来の夢に向かって励んでいる子供たちの邪魔をしないようになって欲しいと思うだけです。

“みんな教えられなくなったらそれはまたそれで困ったことでしょう”

困りません、条件付で仮免許を交付すればいいのです。期限を設け講習その他の方法で仮免許から本免許のレベルにあげてやればいいのです。報酬額に差をつければ自然とレベルの差は解消していくはずです。

ご存知と思いますが、国家資格の目的は野放図な新規参入の排除にあります。ですから現在活動されているバレエ教師を保護することにもなるのです。新規に国家資格が導入される時には、たいていこのような措置が採られます。
国家資格には技術水準の検定的側面と、業務の総量からくる有資格者の必要人数を確保する側面とがあります。前者の代表的な資格が運転免許であり、後者のそれが公認会計士など難関とされる国家資格で、自然減のの補充を主な目的とします。

日本では古来ワザ(眼には見えない隠れた神意)というものを怖れ敬ってきました。たとえばワザハヒ(災)ワザモノと呼ぶようにです。
そしてそうしたワザを体現した人を芸を極めた人として尊敬し、人が集まり、芸事の伝承がなされてきました。これを家元制といいますが、日本の文化の継承の殆どがこのシステムによっています。(江戸期には木登りの家元までいたそうです)

ですからバレエ教室に系列があるのは当然で、流派の看板は掲げずとも、ワガノワ流、オペラ座流を名のるのはむしろ自然かと思います。

えらそうなことを言ってすみません。これ以上は書き込みませんのでご容赦ください。

ネモさん、こんばんは。

柔道が中学で必修化されたのは、良くないことと私も思っています。おっしゃる通り、柔道に関しては死亡/大けがをする事故も多いわけですし…柔道の競技人口は日本よりずっと多いフランスでは、死亡・大けがをするような事故はほとんど起きていないそうです。ダンスに関しても、結局、ヒップホップ中心になってしまっているらしくて。

バレエに関しても、怪我をする危険性のあるものですから、しっかりとした教師がついていないと、というところがあるのはご指摘の通りです。

先日、YAGPの審査員として、アメリカのダンスマガジンのウェンディ・ペロン氏が来日して、日本のコンクール参加者についての分析をされていました。この記事を紹介しようと思って機会を逸してしまいましたが、やはり日本では、早い時期からポワントを履かせてしまう、基礎がしっかりしていないのにヴァリエーションの練習ばかりさせてしまうという傾向がみられるようです。
http://www.dancemagazine.com/blogs/wendy/5497

欧米でバレエを見に行くと、男性の観客の多さにある意味驚かされますよね。また、観光客の多いガルニエなどは別にして、地方などの劇場ではバレエが生活に根付いている部分があったりするように感じられます。日本では本当に女性に偏っていて(休憩時間の女性用お手洗いの行列で実感します)、男性の方は肩身狭く感じられてしまっているのでは、と思います。もっと男性の観客、幅広い観客の方に来てほしいと思います。私のバレエ鑑賞友達の中には、男性も少なくないのですけどね。

旧ソ連圏のバレエに関するごたごたは、そうですね、まさにタガが外れた状態になってしまったのではと思います。たとえば、かつてはロシアではバレエダンサーは徴兵を免除されていたのですが、今はそのような優遇がなくなってしまったので、男性でバレエダンサーを目指す人が減ってしまったようです。旧ソ連の国が資本主義化されて、以前ほどバレエダンサーが花形職業ではなくなってしまい、それどころか薄給でこき使われてしまうようになってしまったようですね。

本来はきちんとしたバレエ教育ができる人のみがバレエ教師をできるようにすべきだとは思います。ただ、バレエ教師を育てるためのカリキュラムのある学校というのが本当に日本にはありませんからね…。実現するには長い時間がかかると思いますが、それを目標に動き出すことは関係団体はするべきなんでしょうね。

今後も、ぜひコメントなどをしてくださいね。よろしくお願いいたします。

naomi さん こんばんは

前回のコメントで、これ以上は書き込みません・・・なんて言っておいて、再度発言するのはイササカ気が引けるのですが、少し言葉足らずな点もあったので補足しておきます。
日本ではバレエ公演の観客に男性が非常に少ないのを、残念に思っている趣旨のことを書きました。

私は常々日本のバレエが健全な文化として定着するためには、男の力は欠かせないものと思っています。
女性の時代などと言ってはみても、世の中を動かしているのは男たちなわけで、彼らの認識が変わらない限り変化は望めません。現状はどうかといえば、認識以前の無関心に近い状態のように思えます。

バレエが西洋貴族社会の生活習慣(ダンス・マナー等)の延長として発達してきたことからして、日本人の美意識になじまないのも無理からぬことで、西洋文化に密かな劣等感を忍ばせている我々の心情からすると、敬して遠ざけておくにしくはないことも確かです。
最近はだいぶ慣れましたが、男性ダンサーのタイツ姿には今もって気恥ずかしさを禁じえません。(女性にとってはそれが魅力の一つなのかもしれませんが)
日本の大相撲が欧米での公演を始めたころ、マワシの下にパンツを履かされていたことは有名な話で、結局慣れるしかないことなのでしょう。

私が始めてバレエを見たのは、ベジャールが20世紀バレエ団を率いて来日した時の公演を、教育テレビで放送した時です。なぜか(正月で他にみたいものがなかったのかも)ボレロと魔笛をビデオにとっておいたのです。
バレエといえば、クラシックチュチュを身にまとってする踊り(それすら見た事がなかった)程度の認識しかなかったので、ショナ・ミルクの踊ったボレロには驚かされました。バレエにもこんなものがあるのか・・・と。
認識を新たにしはしても、熱心なファンとは言えず、ローザンヌの記録映像を見る程度でした。
3年ほど前、転居によりインターネット環境が変わり、動画がサクサク見られるようになってバレエの動画を見ているうち、贔屓のダンサーなども出来てあちこちのブログを覘いたりするようになったのです。

私はバレエ公演に出かけられるご婦人方にお願いしたい。3回のうち1回はご主人を誘って一緒に観るような習慣を付けて欲しい。幸い日本には毎年のように、世界の一流バレエ団がやってきます。男性のバレエファンを増やすためには、まず見せてどんなものなのかを知らしめること。それが第一だろうと思います。

先日新聞のコラムに、ロシアのマフィアのボスが、ある女性ダンサーの指先の美しさについてトウトウと語った云々、という文章を読んで、ほほえましく思いました。このエピソードはロシアでのバレエ事情を端的に語っています。男たちの会話の中に、時々はバレエの話が気恥ずかしくなく語れるようになったなら、日本のバレエは随分と変わっているはずです。

かって評論家江藤淳氏が、日本には観劇やパーティなどに夫婦で出かける習慣がないことについて書いておられたことを思い出します。
日本では、酒席は無礼講と称して下品なものに陥りがちですが、女性が同席することでそれを避けることが出来る・・・と。
日本の文化について考える時、このことは重要な問題を含んでいるように思われます。

では、また。

ネモさん、こんにちは。

確かに日本のバレエ公演の客席を見ると、観客の8割くらいは女性ですよね。男性のお客さんが少ないのはやはり残念だと思います。どうも日本ではバレエは習い事の延長みたいな感じで観ている人も多いので、男性もバレエは言い方は悪いですが女子供のものと思ってしまっているのではないでしょうか。

今の新国立劇場のWebサイトやチラシも、ピンクばかり使ってひらひらしたイメージ、お姫様のイメージばかりで、それでは男性は抵抗があって近づけないと思います。あれは非常に良くない傾向だと思います。(デヴィッド・ビントレー監督時代は、男性が活躍するような現代的な作品を多く上演していたのに)男性が観ても楽しめる作品はたくさんあるはずです。オペラファンは男性が多いのにね。それと、クラシック音楽ファンにももっと来てほしいし、演劇やミュージカルが好きな人にも見て欲しいなとも思います。

欧米の劇場では、夫婦が着飾って劇場に出かけるというのはよく見かけました。日本ではなかなかカップルで行動するという文化がないので難しいところもあるのかもしれません。私も、何回か夫をバレエ公演に連れて行きましたが、残念ながら彼はあまり興味を持てなかったようです。でも、欧米では、バレエは知識人のたしなみというところもありますよね、もっとそうなればいいのに、って思います。ロシアのマフィアの記事は私も読みました。

こんにちは。
先日イタリアのバレエ事情の記事でコメントをさせてもらったものですが、またまた別の事を調べているうちにこの記事に出会いまして今更のコメントです、ごめんなさい。
といいますのも、うちの娘が2009年だか2010年だかにジャパングランプリコンクールに出たのですが、予選落ち…しかし暫くたってからまさにこのピッツバーグのバレエ学校からサマースクールに来ないか?という連絡が分厚い封書で来たのです。
いまだにどうやって連絡先を?と思うのですが。
ただ、完全無料ではなかったことと、娘はアメリカのバレエにはあまり興味がなかったこと、などから辞退したのですが。

で、そのジャパングランプリに出た時確か中3だったか高1だったかなのですが、うちの娘はトウシューズを履いて舞台に立つようになったのは実は中3からなのです。
中1でポワントレッスンは始めましたが、舞台で履くのはその時期でした。
先生はヨーロッパで教師資格を取った方でした。
予選に落ちても目にかけていただいたこと、それから周りが6年も7年も前からポワント履いていたことへの焦りみたいな不安みたいなものもこのことでかなり解消され、さらに自分のことに集中して向き合えた一件でした。

それで、いまヨーロッパで踊り続ける中で、娘の強みは怪我がないことにもあるのですが、それは大切に大切に、身体が出来上がるまでポワントの時期を考慮してくださった先生がたのおかげだと今でも思っております。

Keikoさん、こんにちは。

こんなに古い記事なのですが、今もとてもよく読まれているようで恐縮してしまいます。。。

私の知り合いのお子さんの中では、このジャパングランプリに出場したことで有名バレエ学校のスカラシップを頂いた方もいたりします。しかし、今本当に日本ではバレエコンクールはものすごい数に上っていて、玉石混交なんでしょうね。

ポワントの時期ですが、確かに日本は履かせるのが早い傾向にあるようですね。本当に大昔のことになりますがロンドンに住んでいた子供時代、バレエを習っていたのですがやはりポワントは10歳から、ということになっていて、私はポワントを履く前に転勤で帰国となり、そしてそこでバレエを辞めてしまったんですよね。お嬢さん、良い先生に恵まれて良かったですね!舞台で中三からポワントというのは遅いと思われる方が多いと思いますが、でもじっくり脚を強くしてからということで、結果的には本当に良かったですね。怪我がないのが本当に一番だと思いますし。

いろいろと興味深く貴重なお話、ありがとうございます!勉強になります。

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