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« 新国立劇場バレエ団2013/2014シーズンバレエ 注目の2公演先行発表 | トップページ | 東京・春・音楽祭でパトリック・ド・バナ新作xウィーン国立バレエ »

2012/10/26

10/24 ロイヤル・バレエ「白鳥の湖」映画館中継

ロイヤル・バレエの公演映像を映画館で上映する「シアタス・カルチャー」、第一弾の「白鳥の湖」の上映に行ってきた。友達と一緒に観るということで、港北ニュータウンのワーナーマイカル港北にて。

http://www.theatus-culture.com/

開映前に吉田都さんのミニトークショーがあったので、簡単に内容を紹介。花束贈呈とかマスコミ向け写真撮影タイムなどがあったので実質的には15分程度だった。

都さんがバレエ団に入って初めてオデット・オディールを踊ったのは20歳の時。そしてロイヤルに移籍して最初に踊ったのもこのダウエル版白鳥だったとのこと。初めて白鳥を踊った時はキャストされていなくてけが人が出たので代役として踊り、ピーター・ライトが教えてくれた。振り返ってみるとその時はただ振りをなぞって踊った。数多くの白鳥をサドラーズ・ウェルズ・ロイヤル・バレエ(現バーミンガム・ロイヤル・バレエ)では踊らせてもらえた。

マイムのところが都さんにとっては難しくて、王子様と会話するようにするのが大変だったため、オデットと王子の出会いの場面はみっちりと教えてもらった。最初の頃は白鳥の方が表現が難しく感じた。出会いの時には怯えて恐怖を見せていたのが、だんだん王子へと心を許していく過程を見せるのが難しかったが、何十年も踊っているうちに感情表現が変わっていった。黒鳥は子供の頃からコンクールで踊っていた。演じ分けは踊りがいがあり、若い時は王子様を誘惑していたが、踊っていくうちに、オディールはオデットと同じように王子への愛があったというふうに変わって行き、根底では二つのキャラクターに共通するものがあったと感じるようになった。

ロイヤル・バレエ学校時代、都さんは3幕の王妃のおつきの役で立っていたので毎晩違うオディールを見ていて、違うダンサーの違う演じ方に驚いて勉強させてもらった。バレエ団に入ってからも「白鳥の湖」のコール・ドを踊った。白鳥、眠りは全部の役を踊り込んでいるので、それが自分の表現につながっていった。
映画館でバレエを観る楽しみについて。都さんが主演した「オンディーヌ」も生中継された。ロイヤル・バレエのダンサーは端から端まで役柄に入り込んで演じているので、映画館で見るとまた違った楽しみ方ができるとのこと。

********

さて本編。前日10月23日に上演された舞台を、時差の関係で生中継は難しいため翌24日に映画館で上映するという趣向。本編の前と休憩時間には、ミニ・ドキュメンタリーと舞台裏の映像もつけて上映された。振付のアンソニー・ダウエル、主演のゼナイダ・ヤノウスキー、ネヘミア・キッシュ、バレエ・マスターでロットバルト役のギャリー・エイヴィスらのインタビュー、主演の二人のリハーサル映像など。2回目の休憩後には、白鳥の湖のコール・ドの大変さについて、コール・ドのサビーナ・ウェストコームらのインタビューもあって大変興味深かった。これらの映像は、ロイヤル・オペラハウスの公式YouTubeにアップされている。

ゼナイダ・ヤノウスキー、ネヘミア・キッシュのリハーサルとインタビュー

コール・ド・バレエのドキュメンタリー

最終幕について(ギャリー・エイヴィス、ゼナイダ・ヤノウスキー、ネヘミア・キッシュのインタビュー)

2幕で数秒間の音声や映像の途切れがあったほかは、不具合もなく、音質も良かった。画質は、最近のハイビジョン放送を見慣れている目からすると若干落ちるところはあったけど十分。映画館の大画面であるため迫力、臨場感はあるし、生の舞台を見ている時には見られないクローズアップもあって(その点は好き嫌いが分かれるかもしれないが)、映画を見ているように大変面白く見ることができた。都さんが述べていたように、ロイヤル・バレエのダンサーは演技力があるため脇役一人ひとりまで演技しているので、とてもドラマティックに感じた。

オデット/オディール ゼナイダ・ヤノウスキー
ジークフリート王子 ネヘミア・キッシュ
ロットバルト ギャリー・エイヴィス
女王 エリザベス・マクゴリアン
家庭教師 アレイステア・マリオット
ベンノ ヴァレリー・ヒストリフ
パ・ド・トロワ チェ・ユフィ(崔由姫)、ヘレン・クロフォード、アレクサンダー・キャンベル
小さな4羽の白鳥 エリザベス・ハロッズ、ミーガン・グレース・ヒンキス、エマ・マグワイア、サビーナ・ウェストコーム
大きな2羽の白鳥 小林ひかる、イツァール・メンディツァバル
スペイン ヨハネス・ステパテク、平野亮一、イツァール・メンディツァバル、ディードル・チャプマン
ナポリ ラウラ・モレーラ、リカルド・セルヴェラ
チャルダッシュ ベネット・ガートサイド、?
マズルカ トーマス・ホワイトヘッド、蔵健太、シアン・マーフィほか
(キャスト表はこちら


ロイヤル・バレエの現プロダクションは、アンソニー・ダウエル版、衣装と舞台装置はヨランダ・ソナベントによるもの。1幕、3幕の衣装はたいへん手が込んでいて時代設定も19世紀という雰囲気があって素敵なのだが、大きく賛否が分かれるのが白鳥コール・ドの長いチュチュである。ロマンティック・チュチュのような薄く透ける素材でもないため、群舞の脚が隠れてしまって、コール・ドを観る楽しみの半分位奪われてしまうのがつくづく残念。K-Balletの「白鳥の湖」も同じくヨランダ・ソナベントの衣装で同様に丈の長いチュチュなのだ。体型をごまかせるというメリットはあるのだが。

オデット/オディール役のゼナイダ・ヤノウスキーは、長身であるため今までパートナーが限られており、過去にはケネス・グレーヴやロベルト・ボッレなどの長身の男性ゲストを呼んで「白鳥の湖」を踊ってきた。去年からやはり長身のネヘミア・キッシュが移籍してきたために、ゲストを呼ばなくて済むようになったのは彼女にとってラッキー。その彼女のオデットだが、背が高いだけでなく上半身ががっしりしているため、また美人なのだが男顔ということもあり彼女の表現自身はとても女らしくて情感があるのにどうしてもごつく見えてしまう。脚が長くて細くてとても美しく、身体能力もしっかりとしているし、何より長身であることもあってほかの白鳥たちとかくっきりと際立つ女王様的な要素はあるのだが、鳥ではなくてひとりの女性というふうに見えるオデットだった。マイム含めて演技はドラマティックでしっかりと物語を紡いでいける実力があるのだけど、持って生まれた体格と、ポール・ド・ブラの堅さは致し方ない。

王子役のネヘミア・キッシュは長身だが、ゼナイダがポワントで立つと彼よりも背が高くなる。育ちの良いボンボン的な王子で、いかにも人が良さそうだしオディールにも簡単に騙せてしまうのがよくわかる感じ。恋愛など意識したことは一度もなかったのに、オデットに出会ってあっさりと恋に落ちてしまうのが伝わってきた。パートナーリングはとても上手くて大きなゼナイダを軽々と持ち上げていたし、二人の心が通じ合っているのが感じられていたのは良かった。踊りはところどころいっぱいいっぱいのところがあって3幕のグラン・パ・ド・ドゥのフィニッシュの着地が滑ったように見えたけど、作品の世界観を伝えるところはうまくいっていたと思う。

ゼナイダのオディールは、邪悪さはあまりなくて、高貴さと華で圧倒するタイプ。長い手足をうまく生かして踊りも大きく、またたいへん美しいので存在感は強い。グランフェッテはちょっと不安定で32回転は回りきれなかったが、これもそんなに大きな傷にはなっていなかった。そして4幕、オデットと王子が出ているシーンは短いのだけどその中に、悲劇性が感じられて二人が湖に身を投げるエンディングも説得力があった。

もうひとりの主役は、ものすごく強烈な存在感のロットバルトを演じたギャリー・エイヴィス。この版では邪悪な梟という設定であるため、2幕と4幕はボロのような衣装をまとっているのだが、マイムがキメキメで切れ味鮮やか、4幕では実はオデットを彼が愛しているという設定のため、必死で王子に彼女を奪われないように戦う場面で思わず彼に肩入れしてしまったりして。そして3幕では、モヒカンにピアス、まるでパンクロッカーのような出で立ちで登場して、この扮装の似合うことといったら。カッコよすぎる。来日公演の「白鳥の湖」は、ギャリーがロットバルト役で出演する日を観たいと思ったのだった。カーテンコールでロットバルト役にブーイングするのは英米ではお約束のようだが、そのブーイングすらも嬉しそうな彼、実に鮮烈なカリスマ性があった。

パ・ド・トロワでは、ユフィちゃんの優雅さ、音楽性、上品さに思わず目が惹きつけられてしまった。もう一人のヘレン・クロフォードは華奢なユフィちゃんと並ぶと明らかにごつくて踊りも冴えず引き立て役に。センターを踊ったアレクサンダー・キャンベルは跳躍力があって元気いっぱい。1幕では、王子の友人役が平野亮一さん、蔵健太さん、ブライアン・マロリーと大変豪華な面々なのだが、酔っ払って倒れこむ平野さんの演技が楽しめた。女王役のエリザベス・マクゴリアンの華やかな美しさにはうっとり。

3幕の民族舞踊では、なんといってもナポリのラウラ・モレーラとリカルド・セルヴェラの素晴らしさに舌を巻く。ここだけ、フレデリック・アシュトンが振りつけたそうだが、特に女性のポワントワークが難しく、それをきっちりと踊るラウラの実力に恐れ入った。ロットバルトの手下という設定のスペインは、平野さん、ヨハネスともキメキメでかっこよかった。チャルダッシュのベネット・ガートサイドも良かった。

白鳥の群舞は、ロイヤルなのであまり揃っていないけど、でも気になるほどの不揃い加減ではない。体型については、あの丈の長い衣装なのでわかりにくいが、今は美しいダンサーが多くなったのではと思った。群舞の中には、金子扶生さんや、「アリス」で主役に抜擢されているベアトリス・スティクス・ブルネルもいた。2羽の白鳥は、小林ひかるさんとイツァール・メンディツァバルの踊りが異質であまり揃っていない。小林さんは優雅でたおやかな踊りなのだが、イツァールは大きくてダイナミック。タイプが似通っている二人にしたほうが良かったのでは、と思った。

ロシア的な一糸乱れぬ、体型の美しいコール・ドによるひたすら美しく精神性の高いバレエ、とは全く別物だが、ロイヤルらしいドラマティックさのあるこの「白鳥の湖」は、大変楽しく観ることができた。来日公演も楽しみである。

また、今後の「シアタス・カルチャー」でのロイヤル・バレエの中継もとても楽しみ。このライブ感を堪能できるなら、3000円払って観る価値があった。特に中継の「くるみ割り人形」「不思議の国のアリス」は必見であると感じた。

こちらは、同じプロダクションだが、マリアネラ・ヌニエスとティアゴ・ソアレス主演の「白鳥の湖」。1幕パ・ド・トロワのチェ・ユフィ、ラウラ・モレーラ、スティーヴン・マックレーがとにかく素晴らしい。

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コメント

写真で丈の長いチュチュを見た時K-Balletみたいだなと思いましたが、やはり衣装は同じヨランダさんなのですね。私も短いほうが好きです。4羽の白鳥なんて脚がちゃんと見えたほうが絶対面白いと思うのですが。

4羽の白鳥にはマックレーくんの奥様(エリザベスさん)が出ていたようですね。どんなダンサーなのか気になります^^

今後の上映作品も見たいな~と思う作品はいろいろありますが、1日だけだと見に行けるかどうか微妙です。。

プリマローズさん、こんにちは。

そうなんです、この腰ミノのような長いチュチュはちょっと苦手なのですよね~。四羽の脚の動きがよく見えないんですもの。Ballet.coのフォーラムや批評家にも、このチュチュは評判が悪いようです。

エリザベス・ハロッズはとっても可愛らしいですよ~。私もあんまりちゃんと見分けはつかないのですが、彼女は上手だと思いました。

一日だけだとなかなか都合をつけるのが難しいのですよね。私は水曜日がバレエのお稽古日なのですが、水曜日の上映が多いのがちょっと個人的にはネックです。スティーヴンが主演するくるみはぜひ観たいんですけどね!

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