SWAN MAGAZINE Vol.29 2012 秋号
SWAN MAGAZINE Vol.29 2012 秋号が発売されました。
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[連載] パリ・オペラ座 エトワールに夢中!はVol.13、 エトワールのジョシュア・オファルトです。新しいエトワールが増えたためにエトワール用の楽屋がなく、コール・ド男子の大きな控え室の奥にあった物置部屋を改装して楽屋にしたたとのこと。スニーカーのコレクションが飾ってあるところが今時の若者らしいですね。今シーズン思い出に残った作品は、ジャン=ギョーム・バールの「泉(ラ・スルス)」。「フレンチスタイルをきっちり守った上で、それを今の時代に適応させた素晴らしい作品」とのことで、この作品をいつか日本でも観たい!という気持ちになります。オペラ座同期入団はヴァンサン・シャイエ、マチルド・フルステやローラ・エケだったのですね。
[特集]は振付家を育むカンパニーとして、ハンブルク・バレエとシュツットガルト・バレエを取り上げています。ハンブルク・バレエは6月の「バレエ週間」で上演された「リリオム」「RENKU」「ニジンスキー・ガラ」を中心に紹介。ハンブルク・バレエの若手カンパニー、ナショナル・ユース・バレエに入団することになった菅井円加さんのインタビューも。そして一番興味深かったのが、このたび「RENKU」をオーカン・ダンと振りつけて、たいへん好評を博した大石裕香さんのインタビュー。特に音楽をどうやって選び振りつけていったかという話は面白かったです。
シュツットガルト・バレエの方は、ヴァルナ、モスクワの国際バレエコンクールにおいて上位入賞後、かつてシュツットガルト・バレエとミュンヘン・バレエで活躍していた深川秀夫さん(現振付家)に、今回の来日公演で上演された「じゃじゃ馬ならし」や「白鳥の湖」に関するエピソードを伺うという趣向。ジョン・クランコ存命時に直接指導されていたという話は大変興味深いものでした。また、超絶技巧が要求される「イニシャルR.M.B.E」の2番目のパートのソリストを踊られたというエピソードにも驚きました。
ダンサー・インタビューは、「ブベニチェク・ニューイヤーガラ」に出演するドロテ・ジルベールとヤニック・ビトンクール(パリ・オペラ座)。細野晋司さんによる撮影は、二人をとても魅力的に捉えています。二人とも、イリ・ベニチェクの振り付けが好きで、今回新作を振り付けるということに惹かれて出演を決めたということで、とても楽しみな公演です。
新国立劇場バレエ団の「マノン」のレビュー、そして「シルヴィア」にゲスト出演する佐久間奈緒さんのインタビューも載っています。1993年に吉田都さん主演でバーミンガム・ロイヤル・バレエにて初演された作品ですが、2009年の再演まで上演されることがなく、ほとんど新作のような作品だったとのことです。佐久間さんの話を読むと、コメディタッチの部分もあったり、シルヴィアは家庭教師であり現代から始まっていたり、とても魅力的な作品のようで、ますます楽しみとなってきました。
有馬龍子バレエ団にカール・パケットとエロイーズ・ブルドンがゲスト出演した「ドン・キホーテ」のレビューと、ブルドンのインタビューもあるのは嬉しいことです。「ラ・バヤデール」ではニキヤ役に抜擢されたブルドンは現在21歳のスジェで、次期エトワール候補として注目されています。この新星をキトリ役でいち早く観られた観客は幸せでしたね。
さらに「パリ・オペラ座学校の四季」では、ピアニストの土屋裕子さんによる、パリ・オペラ座学校入団試験の結果や「ラ・フィユ・マル・ガルデ」公演のレポートも。パリ・オペラ座学校の日本公演で活躍したピエール・アルチュール・ラヴォーがコーラス役デビューをしたのですね。
また、ユニバーサル・バレエが来年に予定している「白鳥の湖」日本公演に先駆け、プリンシパルのファン・ヘミンとイ・スンヒョンのインタビューを掲載。 スロバキア国立バレエ団で活躍する佐藤玲緒奈さんのインタビューもあったりと、この号はずいぶんたくさんのインタビューを載せていて読み応え抜群でした。
そして「SWANーモスクワ編」第12話では、「アグリー・ダック」を踊った真澄が、自分ならではの表現に目覚める様子が丹念に描かれています。真澄が役の内へ、内へと入り込むことで、自分自身を発見していくさまがとてもリアルに描写されているので、作品のファンの方はぜひ本誌をお読みください。
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