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« 世界バレエフェスティバルA,Bプロが10月15日NHKBSプレミアムで放映 | トップページ | リチャード・クラガン逝去 Richard Cragun Passed Away »

2012/08/07

第13回世界バレエフェスティバル  <プログラムA> (まだ途中) World Ballet Festival Program A

■第1部■ 15:00~15:45

「スターズ・アンド・ストライプス」 Stars and Stripes
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ジョン・フィリップ・スーザ
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン Iana Salenko (Staatsballett Berlin) Daniil Simkin (American Ballet Theatre)

明るく溌剌としたこの作品はオープニングを飾るのに相応しく、トップバッターのこのペアは客席を暖める重責を果たした。バレエフェス2回目登場のダニール・シムキンは初登場の時の驚きはないものの、おもちゃの兵隊っぽいルックスもこの作品にマッチしているし、敬礼する仕草もキュート。これみよがしではなくさりげなく超絶技巧を見せてくれるところは好感度大。後半の連続パ・ド・シャとフレックスにしたアントルシャも見事なもの。ビジュアル的な釣り合いがピッタリのヤーナ・サレンコも、ぴったりと決まる回転、安定したテクニックで派手さはないけれどきっちりと決めてくれた。二人とももっとはじけてくれたら、さらに言うことなかったのだが。


「モペイ」 Mopey
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:C.P.E. バッハ
フリーデマン・フォーゲル Friedemann Vogel (Stuttgart Ballet)

この作品は「マニュエル・ルグリの新しき世界」で上演されたのを観たときにはとても面白いと思ったのだが、2回、3回と観ると少々飽きが来る。


「幻想~『白鳥の湖』のように」より第1幕のパ・ド・ドゥ Pas de Deux from Illusions Like Swan Lake
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン Hélène Bouchet(Hamburg Ballet) Thiago Bordin (Hamburg Ballet)

王の婚約者ナタリア姫が愛を求めて王に迫るも、生身の女性に興味のない王は彼女を受け入れられないというシーン。ノイマイヤーの作品の世界観が息づいている二人による渾身の演技が、短い時間の間でもまるで全幕の舞台を観るように心に染み入る。エレーヌ・ブシェの身体で想いを訴えかける姿が切なく、美しくも雄弁なその脚が物語を紡ぎ上げる。リフトを多用しているノイマイヤーの振り付けをよどみなく表現し、狂気を内に秘めながらも見事なサポートを見せたティアゴ・ボァディン。「幻想~『白鳥の湖』のように」はミュンヘン・バレエで一度観ているのだが、ぜひ本家ハンブルク・バレエの生の舞台で観たいものだと改めて思った。


「ドリーブ組曲」 Delibes Suite
振付:ジョゼ・マルティネス/音楽:レオ・ドリーブ
上野水香 マシュー・ゴールディング Mizuka Ueno (The Tokyo Ballet) Matthew Golding(Dutch National Ballet)

マシュー・ゴールディングはパートナーリングの上手いダンサー。即席ペアでもしっかりとサポートできていた。また彼のピルエットは軸がしっかりとしていて、6,7回と軽々と周り緩やかにフィニッシュしていてとても綺麗だ。この作品の特徴である、右回りにジュッテしながら左回りでマネージュするという変則技が出なかったのは少し残念だったがリハーサル時間が不足していたのだろうか。「ドン・キホーテ」や「ラ・バヤデール」、あるいはファン・マーネン作品など、もっと彼が馴染んでいる演目で観たかった気がする。上野さんは、今までの世界バレエフェスティバルでの彼女のパフォーマンスの中では、今回がベストだったと感じた。身長のバランスといい、マシューとの相性がいいのだろう。後半の軸足を替えながらの連続ピルエットが少しもたついたのが惜しい。


■第2部■ 16:00~16:45

「扉は必ず...」 Il Faut Qu'une Porte…
振付:イリ・キリアン/音楽:ダーク・ハウブリッヒ(クープランの「プレリュード」に基づく)
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ Aurelie Dupont(Paris Opera Ballet) Manuel Legris (Wiener Staatsballett)

ゆっくりとしたテンポで、スローモーションのように動きを見せていくこの作品だが、この男女の間のただならぬ緊張感と巧みな間合いには思わず引き込まれてしまう。長年のパートナーシップを誇ったこのペアならではの息の合い方。ロココ調のドレスが似合って、作品のモチーフであるフラゴナールの絵画「閂」から抜け出たようなオーレリー・デュポン。普段は生真面目そうなのに、この作品では少々やさぐれた様子がセクシーなマニュエル・ルグリ。倦怠感と緊張感、愛憎、躊躇い。扉の内と外を行ったりきたり。後半のルグリの踊りを観ると、芸術監督となった今も彼の踊りはまだまだ衰えを知らない美しさを保っていることが実感できる。二人が椅子を並べてリンゴをかじっては投げるアンニュイな終わり方まで、本当によくできた作品で、見事なパフォーマンス。


「海賊」Le Corsaire
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキ Polina Semionova (American Ballet Theatre) Igor Zelensky (Novosibirsk Ballet/The Mariinsky Ballet)

世界バレエフェスティバル初出演のゼレンスキー、40代というのに美しい上半身を保っていることに驚かされた。若いダンサーのように超絶技巧をバシバシ入れていくというのはさすがにやっていなかったが、ゆっくりとしていながらも軸の美しいピルエット、ふわりと舞い上がる柔らかいジュッテ、マリインスキーらしい正統派の気品あふれる美しいバレエを踊る貴重な存在だ。ポリーナはゼレンスキーと踊ると先生と生徒のようにも見えてしまうところがあるが、きっちりと踊っていて良かったのではないだろうか。ヴァリエーションはガムザッティのヴァリエーションだった。


「セレナータ」 Serenata
振付:マウロ・ビゴンゼッティ/音楽:アメリゴ・シエルヴォ
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ Ivan Vasiliev(Mikhailovsky Ballet) Natalia Osipova (Mikhailovsky Ballet)

オシポワが日によって髪型と衣装を替えてきていた。最初の2日間は髪を下ろしていて下の赤い生地が透けて見えるワンピースだったが、最終日は髪をポニーテールのようにしてスカート付きレオタードのような黒いミニワンピースに。伝統的な音楽の歌に乗って、何かに反抗するか戦っているかのような女性の激しい情念が炸裂して男性がそれを必死に抑えようとする振付。オシポワの圧倒的な身体能力も、それを自在に操るイワン・ワシーリエフの力強いサポートも凄い。決して美しい作品ではないが、パワーは感じさせるし、普段の跳んだり回ったりといったテクニックを封じてこのような表現に果敢に挑戦する二人の姿勢は素晴らしいと思う。


「瀕死の白鳥」 Dying Swan
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウリヤーナ・ロパートキナ Ulyana Lopatkina (The Mariinsky Ballet)

実は演目が発表された時には「また瀕死の白鳥か」と思ってしまったのだが、そう思ってしまったことを深く反省したい。ロパートキナの瀕死の白鳥ほど美しいものは、この世には存在しないのではないかと思ったほどだ。とても人間とは思えない。磨き抜かれた、透徹した芸術とはこの「瀕死の白鳥」のことなのだ。会場の空気を一瞬にして変えて、煙った月の下の、冷たく澄んだ湖の上へと連れて行ってくれる。痛みや苦しみを秘めながらもゆるやかにたゆたう翼。繊細だが凛としていて、運命を受け入れて静かに死んでいく気高く美しい生き物。ロパートキナの「瀕死の白鳥」を観るためだけにAプロを3回観ることにしてよかったと思った。


<休憩15分>


■第3部■ 17:00~17:55

「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ Romeo and Juliet
振付:ジョン・クランコ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー Maria Eichwald (Stuttgart Ballet) Marijn Rademaker(Stuttgart Ballet)

このペアの「ロミオとジュリエット」は2年前の「マラーホフの贈り物」で観て、その後シュツットガルトでマラインがスージン・カンと踊った全幕を観ている。マラインのベストパートナーはやはりスージンなのだが、マリア・アイシュヴァルトのジュリエットもとても可愛らしい。落ち着きはあるのだが、恋心に目をキラキラさせているジュリエットで、ロミオにキスされてクラっとして後ろ向きに倒れこむところは初々しくて、こちらも思わず目を細めてしまう。マラインはシェイクスピアの小説から出てきたような、これぞロミオというロマンティックな容姿で、白い衣装に鮮やかな赤いマントもよく似合う。若さが暴走気味だった2年前に観たときよりは表現が成熟していて、踊りがより精緻になっていた。風を切るようなトゥールザンレール、伸びやかなランベルセ、柔らかい腕の表現、疾走感で、ジュリエットのことで頭がいっぱいの、ひたむきな青年の恋が伝わってくる。そしてクランコダンサーには欠かせない資質、流れるようなサポートのうまさ。階段の上へと大切そうに持ち上げながらキスする姿には優しさが満ちている。アイシュヴァルトのリフトされる空中姿勢も美しく、普段組んでいないパートナーとは思えないような素敵なパートナーシップ。


「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"  Diamonds from Jewels
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス Agnes Letestu (Paris Opera Ballet) Jose Martinez

パリ・オペラ座のエトワールを引退したジョゼ・マルティネスと、2014年に引退するアニエス・ルテステュ。この二人が一緒に踊る姿を観るのも最後かと思うと、じーんとこみ上げる思いがあった。お互いを見つめ合う視線が暖かい。アニエスは寄る年波に勝てないのか、プロポーションが少し衰えていたが、二人の醸しだすパリ・オペラ座ならではの磨き抜かれた気品は健在。今は芸術監督業が中心のジョゼも、相変わらず美しい脚と紳士的なサポートが素敵だったが、このパ・ド・ドゥは男性のソロ部分がほとんどないのが残念。白タイツ姿の彼を見るのもこれが最後かとしみじみと見入ってしまった。


ディスタント・クライズ」Distant Cries
振付:エドワード・リャン/音楽:トマゾ・アルビノーニ
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ Svetlana Zakharova (Bolshoi Ballet) Andrei Merkuriev (Bolshoi Ballet)

台湾出身で元NYCB、NDTの振付家エドワード・リャンには注目していた。彼の作品は先日のバレエ・アステラスでも踊られている。ザハロワの細く長くしなやかな脚の美しさ、そして身体能力を最大限に生かした作品。ザハロワが一人で舞台に登場すると、後ろの暗闇からメルクリエフが現れ、背後から彼がずっとサポートする中、彼女が自由自在にその脚を操り、そして最後にはまた一人舞台の上に取り残される。シャープでミステリアスな雰囲気が魅惑的。ザハロワは、ケレン味が強すぎる古典より、このような現代作品の方が魅力が生きるのではないかと感じた。


「パガニーニ」
振付:マルセロ・ゴメス/音楽:ニコロ・パガニーニ
マルセロ・ゴメス

「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ヨハン・コボー オーギュスト・ブルノンヴィルに基づく/音楽:ヘルマン・S.レーヴェンスヨルド
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー

■第4部■ 18:10~19:10

「ブレルとバルバラ」 
振付:モーリス・ベジャール/音楽:ジャック・ブレル、バルバラ
エリザベット・ロス ジル・ロマン

「明るい小川」よりパ・ド・ドゥ  
振付:アレクセイ・ラトマンスキー/音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

「カンタータ」 (世界初演)
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:ヨハン・セパスティアン・バッハ
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

「オネーギン」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ


指揮:ポール・コネリー 
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 
 
チェロ:遠藤真理、ハープ:田中資子(「瀕死の白鳥」)
ヴァイオリン:チャールズ・ヤン(「パガニーニ」)

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさま、はじめまして、花音と申します。
バレエに興味を持って2年というペーペーの素人ですが、DVDや公演を追う中でnaomiさまのblogに出会い、いつもこっそりお邪魔させて頂いておりました。。
私にとっては初めてのバレエフェスで、演目がどうこう以前に、生でルグリ&オレリー、ザハロワと言ったDVDで何度も見返しているスターを観られることがすでに夢のようでした。
ロパートキナの瀕死の白鳥も勿論初見だったのですが、本当にnaomiさまの感想と同じで・・・あまりに素晴らしく、実はいつの間にか涙が止まらず、自分でも驚いてしまいました。
空気を一瞬で変える力、まるで時間が止まったかのようでした・・・
ハープの演奏も素敵でしたね。
稚拙なコメントで申し訳ないのですが、ロパートキナの白鳥に感動してしまい思わず投稿させて頂きました。
naomiさまのレポートにいつも勉強させられております、これからも楽しみにさせて下さい!!

いつもレポート楽しみにしています。

私は、Aプロ最終日に行きましたが、「あ~、せめてもう1日チケットとっておけばよかった」と思いました。
naomiさまと同じくロパートキナの瀕死の白鳥を観た時、特にそう思いました。
思わず泣けてくるような踊り。彼女と同時代に生きていて彼女の瀕死がみられるなんて、
なんて幸せなんだろう、と思いました。

あと、「幻想~「白鳥の湖」のように」、私もミュンヘンで観てるんです。
去年のゴールデンウィークのことだったのですが。
ハンブルグでも全幕でみたいなあと思っています。

naomi様の評は作品をきちんと理解されたうえで明解に書かれているので読みごたえがあり、勉強になります。私の感じたことと異なるご意見もありますが、それもまたバレエの奥深さゆえ。だから興味は尽きないのですね♪
舞台という一期一会にどう向き合うか、自問自答の日々です。そのなかでnaomi様のブログも一助になっています。
三部以降の評、楽しみにしています(^^)

花音さん、こんばんは。

お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。しかもまだ半分までしかかけていない記事で恐縮です。

世界バレエフェスティバルは綺羅星の如きスターを一度に見られるすごい機会ですよね~この時ばかりは、日本に住んでいてラッキーだと思います。

中でも、バレエフェスに参加するのは初めてのロパートキナを観ることができたのは幸せでしたね!まさに空気を一瞬に変えてしまい時間を止めていたと思います。舞台上でハープとチェロが生演奏されたのも良かったですよね。ロパートキナと同じ時代に生きることができて良かったと思います。

また今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

めめぺんぎんさん、こんにちは。

Aプロの白眉は「瀕死の白鳥」と、マルセロ・ゴメスの「パガニーニ」だと思います。特に「瀕死の白鳥」は何回観ても新たな発見があって心から感動できました。

ミュンヘンの「幻想 白鳥の湖のように」、私も去年のゴールデンウィークに観に行ったのですよ。ラカッラが素晴らしかったですよね。ミュンヘンで「幻想」、シュツットガルト・バレエで「椿姫」、ウィーンで「ドン・キホーテ」そしてシュツットガルトに戻ってクランコ、ファン・マーネンとボレロを観るという夢のような旅行でした。

ふじこさん、こんばんは。

ありがとうございます。本当に私は素人で大した感想も書けていないし、独断と偏見ばかりですが、楽しんでいただいて嬉しいです。3部の感想が遅れてしまっていてごめんなさい。明日は公演のない日なので、頑張って続きを書こうと思います。

naomiさん
Aプロ鑑賞4時間超え3回とはすごいですね。お尻が痛くなってしまって1回見ただけでメゲた私とは、エネルギーが随分と違います。さすがですね。
そうはいっても今回見納めになるかもしれない人たちがいることと、若手が入ってきているので、頑張ってAとB両方を見ようと思っていたのですが、Aはチケットがとれずにガックリ。でもレポートを読ませていただいて、どんな感じだったかがわかり良かったです。

プログラムは当初発表より、少し変更があったようですね。マクレイに代わったので、持ち味を生かすという意味でタマラは演目を変えてくるだろうと思っていましたが、それ以外にもフォーゲルのソロ追加があり、オシポワ/ワシリーエフ組も当初Bプロに予定していたものをAに持ってきていたんですね。ということは、見逃してしまったと思ってガッカリしていた「パリの炎」をBプロで見られるかもしれないですね。Aプロで見たいと思っていた「瀕死の白鳥」と、セミオノワと組んだゼレンスキーの「海賊」を、NHKプレミアムで見ることができるといいのですが。

ビゴンゼッティという振付家は、今年2月のエトワールガラで「カラヴァッジオ」を見たときに初めて知ったのですが、男女の愛をとても繊細な美しいタッチで描き出していた(ガニオとウルド=ブラームの演技力によるところも大きいとは思うけれど)振付で、素敵だったのを思い出します。全幕では、苦悩という人生の暗い面を描き出している作品ですが、この部分だけはホッと息をつく美しい場面。でも「セレナータ」のようにエネルギーを感じさせるものも作る人なんですね。今後の注目株です。レポートの続きを楽しみにしています。

ディアナ・ヴィシニョーワとマルセロ・ゴメスによるラ・バヤデールを見てきました。naomiさんもご覧になったかしら。一点残念だったのは、第二幕の最後の盛り上がりシーンで、オーケストラが音をはずしたこと。えぇー?この大事なところで音がずれるって何?「ジュッテ」が「ずっこけ」になるんじゃないかと思いましたよ。

でも主役二人は期待にたがわず、素晴らしい出来でした。
ディアナの意志の強いニキヤと、マルセロの精悍にして端正で思いやりあふれる戦士。
彼は目を見張るようなテクニックがあるというよりは、動きやポーズの美しさ、パートナーに対する思いやりあるリードぶりが持ち味で、大人の女はイチコロです。

ニキヤと奈良さん演じるガムザッティとの対決は、圧倒的ニキヤの勝利。奈良さんのガムザッティは、おとなしく世間知らずのお嬢さんで、この役に必要なある種のアクどさがなかったように思いました。もっと高慢ちきにやらないと、説得力がないように思います。もちろんソロルの前ではネコかぶって大人しくしとやかにしているのもいいのですが、対決場面では今まで何も拒否されたことのない傲慢さがでるような演技をしないと、この演目のドラマ性を生かせないと思いました。

ソロルとガムザッティの関係性については、ダンサーによっては、ガムザッティの美しさにもちょっと引かれ、かつ領主の娘をもらうという打算も少しあり、でもニキヤも忘れがたいというように演技する人もいますよね。
でもマルセロの場合は、ニキヤ一途なんだけれど、領主に娘との結婚を言い出され、「好きな人がいるので」と言う暇もなく、本人に引き合わされてしまい、断ることもできず、ひとまず礼を尽くしていたら、領主と娘はすっかりその気。
立場上、むげにもできない苦悩があるようで、彼ほどの美貌と才能の戦士がいたら、それは領主も娘もニキヤもぞっこんになるでしょうよと思ってしまいました。

会社の上司に「娘はどうか」と言われ、断らずに一応会い、同時進行させて都合のいい方をとるという、男の風上にも置けないタイプもいるようだけれど、マルセロ演じるソロルは「打診」されるというより、「一方的に確信的にすぐ引き合わされて、逃げ場がない」上に、誠心誠意悩んでいるので、他にどうしようもなかったし仕方がなかったと思わせてしまいます。

群舞もよく揃って、美しかったです。
金の銅像役のシムキンは、銅像役が初日のせいか、ちょっと精彩に欠けているように見えました。もちろん彼ほどの才能になると、「失敗」ということにはならないけれど、どうも本調子ではないという感じがしました。
この役に関しては、ビデオで見る熊川さんの方が圧倒的。彼を超えるのは、難しいでしょうね。真夏の夜の夢のパックもそうですが、「○○といえば」というのにすぐ連想がいく稀有な世界に誇れるダンサーです。

はじめまして。いつも楽しく拝見しています。

7日のラ・バヤデール(ヴィシニョーワ&ゴメス)、観てきました。
naomiさんもご覧になりましたでしょうか。
すばらしい舞台でした。数日、興奮から冷めることができませんでした。

何より、ヴィシニョーワの輝きがすばらしかった。
そしてゆりかさんがおっしゃることに激しく同意で本当にゴメスが最高で、胸キュンです。
バレエの主人公(男)はダメ男キャラが多くて、役柄に心理的に入り込めないことが多いのですが、ゴメスのソロルはニキヤへの愛が真摯に伝わってきて胸を打ちました。
ソロルという人物像にすごくリアリティがあった。「二股行動」を含め、全てが仕方のない流れの中で起きた悲劇という説得性がありました。偉丈夫な姿ながらノーブルで抑制された動き。丁寧で誠実なサポートがヴィシニョーワを一層輝かせたことが客席からも分かりました。

また私も、ガムザッティはやはり高慢なくらいの華がなければ、という部分で残念に感じたことは事実ですが、同時に、この場合、奈良さんの(ある意味地味な)ガムザッティは、この主役二人だからこその、むしろ考え抜かれた役作りだったのかも知れない、とも思いました。

奈良さんのガムザッティは驚いたことに早くからある種の諦念と悲しみがありました。ソロルが自分を愛していないことを知っていて、でも自分はソロルを愛してしまった、という。奈良さんの(愛されていないと知っている)ガムザッティと、ゴメスの一途なソロルとが合わせ鏡となって、ソロルのニキヤへの愛情がよりリアルなものとして客席に伝わってきたように思うのです。

そしてだからこそ一層、ヴィシニョーワの強さ、美しさが舞台で真実となって生きた。そんな気がしました。7日のヴィシニョーワは半端なくすばらしかった。
従って、終盤は、勧善懲悪的に神の怒りに触れてしまう、というよりも、誰もが仕方のない運命の流れに飲み込まれてしまった悲劇として終わりを迎え、より現代的な舞台になっていたと思います。

そんなヴィシニョーワはAプロ(5日)も見たのですが、マラーホフさまの胴回りの衝撃に動揺攪乱してしまい(あれは衣装も悪かったと思いません?)、作品に全く集中できず、全く覚えてません・・・。世界初演だったのに~。Bプロは、「ル・パルク」になるのでしょうかね。ロパートキナとゴメスのダイヤモンドも、サレンコとシムキンのドンキもみんな楽しみです。

naomi様、こんにちは!ご体調にあわせて、ゆっくり更新なさってくださいませ。楽しみにしています。
みなさまに便乗して、naomi様のレポを待たずにヴィシ&ゴメス版「バヤデール」の感想をば・・・

ヴィシニョーワ、巫女というより女っぽさが高かったように感じましたが、それだけに激しい情念を感じさせるすごいニキヤでした!ながーい腕と強靭な脚が印象に残っています。高速のピルエットなど、技術もさすがですね。幻になってからは、ジゼルを思わせる幽玄さでした。
奈良さんのガムザッティは健闘していたと思います。私も実は見ていてガムザッティがすごくかわいそうになってしまいました。いくら想っても報われない悲しさを感じさせ、単に勝気なお姫様というよりも感情移入しやすかったです。
ゴメスのソロル、皆様のおっしゃるように、とっても素敵でした!真摯で紳士な彼は、公的な立場もあるし基本女性に優しい(と思います)ので、ガムザッティを無碍にできず、でもニキヤについて思い悩む、という彼の苦悩が手に取るように伝わってきました。結局は大人の選択をするのですが、それを激しく後悔する様子も胸がつまりました。これは現実にもおおいにありうるシチュエーション(自分の意志と無関係にことが進行し、やむなく世間の常識に合わせた行動をしたために激しく後悔する)であり、彼の演技にとても共感と感銘を受けました。
ジャンプも回転も素晴らしく、ストーリーに合わないような派手な技術のみせびらかしはしないものの、高位の貴族戦士としての優雅さと雄々しさに満ちてました。
Aプロの「パガニーニ」では、さりげなく技術を誇示していましたが、演目に合わせて抑制的にふるまうところがぐっときます。でもソロの部分ではその力強さと迫力にうなりました。

ゆりかさん、こんばんは。

本当にお返事が遅くなってしまってごめんなさい。

Aプロはプログラム変更が色々とありましたね。テレビの収録は2日、3日にありました。著作権上難しそうな「オネーギン」とバランシン演目以外は放映されるのかな、という気がします。

ビゴンゼッティはイタリアの振付家なので、ほかの国出身の振付家とはいろいろと違って個性的なところがあって面白いですね。私は彼がシュツットガルト・バレエに振りつけた「兄弟:若者のすべて」を観ました。ヴィスコンティの映画のバレエ化で、彼の唯一の物語バレエですが、とてもよくできた作品でした。「ロミオとジュリエット」も振りつけていて、これはDVDで観たんですが、ロミオとジュリエットというタイトルではあるものの、かなり抽象的な作品です。いずれにしても才人であることには間違いありません。

ゆりかさん、こんばんは。

ヴィシニョーワとゴメス、それからコジョカルとコボーの「ラ・バヤデール」、両日とも観ました。ただ、ちょっと色々とあって1日目は舞台に集中できず、感想は書けそうにありません。特に私はマルセロ・ゴメスの大ファンなので、楽しむことができなくて残念でした。もちろん、ヴィシニョーワもゴメスもパフォーマンスは本当に素晴らしかったと思います。

ヴィシニョーワのニキヤは、映像では観たことがあったのですが舞台で観るのは初めて。もっと生々しいかと思ったら意外と抑え目でした。私は「ラ・バヤデール」のマカロワ版は、キャラクターダンスが少ない、それから婚約式でのニキヤの花かごの踊りの振り付けが違っていてちょっと地味なので、実は好みではなかったりします。11月のマリインスキー・バレエの「ラ・バヤデール」は、ヴィシニョーワの日とロパートキナの日の両方のチケットを買ったので、こちらも楽しみにしています。マルセロは世界中の女性ダンサーから所望されているサポート技術のうまさが光るし、とても踊りはノーブルなんですよね。もう少しケミストリーがあればさらにいうことはなかったかなと思いました。あと、東京バレエ団の影の王国はとてもよく揃っていて美しかったです。バヤデールはこのバレエ団にはとても合っていると思います。

しゃぴろさん、こんばんは。

本当にお返事が遅くなってしまっていて申し訳ありません。ヴィシニョーワは絶好調でしたね。随分とアクが抜けて、純粋に踊りの美しさを追求するバレリーナになったなと感じました。マルセロのソロルは、おっしゃる通り、ダメ男というよりは立場上仕方なくこういうことになってしまって追い詰められてしまった苦悩が感じられましたね。ただ、マカロワ版の演出だと、ニキヤが死ぬ前にソロルはガムザッティとその場を立ち去ってしまうので、彼女の死に衝撃を受ける描写がないのが物足りなく感じます。これはもちろん演出上のことで、ダンサーとは関係のないことですが。彼は容姿はいかにもラテン系ですが、実に踊りは端正でつま先も綺麗でノーブルで素敵だと思います。神の怒りに触れたというよりは、誰も悪い人がいないのにこんなことになってしまったという、運命的な悲劇だったという解釈は、私も正しいのではないかと感じます。

Aプロの「カンタータ」は、私もマラーホフの衝撃のお姿に驚いているうちに終わってしまって、ヴィシニョーワの印象は、とても細くて美しいという以外にありませんでしたが、Bプロの「ル・パルク」では彼女のものすごい妖気に圧倒されました。バレエフェスも気がつけばあと少しで終わりですね。

はなはなさん、こんばんは。

本当にお返事が遅くなってしまってごめんなさい。

ヴィシニョーワは私は個人的には、影の王国での踊りの方が印象的でした。マカロワ版ということもあって1幕が意外と演技が薄かったと感じたのですが、影の王国では、その幽玄で実体を感じさせないような踊りが素晴らしいと思いました。ヴェールのパ・ド・ドゥもとてもなめらかでしたね。マルセロは、とても立派な戦士という風情がこの役に合っていましたよね。サポートのうまさは言うまでもありませんが、ダイナミックさがありながらも端正な踊りで、文句のつけようもありません。おっしゃる通り、彼の踊りは技術の見せびらかしではなく、美しく見せることに重点を置いていて、それでいて男らしさもあるのがいいですよね。それにしても、ご指摘されていたとおり、このラ・バヤデールでは、ガムザッティは全然ソロルに愛されていないのが明らかで気の毒です。

naomiさん
いつも丁寧なレスありがとうございます。naomiさんのブログ/日記なのですから、どうぞ返事のタイミングなど気にせず、レポートやニュースなど、好きなことを好きなタイミングで書いてくださいね。私たちは、お邪魔させていただいているだけなので、ご自分のペースで書かれるのが一番だと思います!
今回は何年ぶりかの世界フェスで気持ちが高ぶり、思わず沢山書き込んでしまいましたが、基本的には拝見するだけにとどめようと思います。もちろん、時々エールをおくらせていただきますが。しゃびろさん、はなはなさんのご意見もいいですね。なるほどナルホドと思いながら読みました。だからこそ対決場面では、もう少し気持ちの高ぶりを表現して欲しかった(諦観→殺そうと決意するまでの過程を納得がいくように)ですが、それについてコメントしていると、本当に長くなるし適当でもないのでやめます。
いづれにしてもバレエの解釈って、どれが正しいというより、それぞれが違う見方ができるところが、いいところだし、ワクワク感も倍増するところですよね。

折角贔屓のマルセロの舞台だったのに、それほど楽しめなかったのは残念でしたね。私もそういうときがあります。平日仕事の後に駆けつけると、仕事上でのストレスやら体調やらで、最初の15分ぐらいはどうしても入り込めないということが。チケット代もったいないと思いながらも、切り替えがうまくできなかったりします。受け取り方もそれで随分違ってきたりしますよね。でも、そうはおっしゃりながら、ちゃんと見ていらっしゃる様子がうかがえて、さすがだと思いました。
アリーナの方のラ・バヤデールやBプロの方の感想、気のむいたときにでもお書きになってくださいね。

こんにちは。
私もご多分にもれず、A,B,ガラ、「ドン・キホーテ」「ラ・バヤデール」と出かけてきました。

本当に楽しい2週間でした。どれが良いかというと難しいと思いますが、
全幕での会場にバレエダンサーが来ている状況など、お祭りぽくて良かったと思います。
全幕の場合は前の方でしたので、後ろを振り返らないと誰が来ているのかわからなかったのですが。。。
しかしロイヤル・チームの「ドン・キホーテ」以外は出かけたのですが、かなり全幕物は満足度が高かったです。
A,B,ガラでは
自分のブログでも書いたのですが、1.ゼレンスキーの「海賊」 2.ロパートキナの「瀕死の白鳥」
くらいがすごく心の中には残りました。
しかし、お祭りとして、ガラ自体と、ファニーガラはとても意味のあるものだと思いました。
あと
ゴメスに関しては、昨年のABTの「ロメオとジュリエット」のジュリー・ケントをリフトする力強さから、私ははまっております。あれも奇跡的な公演だったと思います。

しかし終わってみると、やはり全体的には、今年のボリショイの公演は本当に奇跡だったんだというのが、記憶に残りました。
まあ、バレエフェスは楽しめれば良いという感じです。それなりに私は楽しめたし、いまのご時勢
ガラみたいにチケットが買えないという公演も珍しいので満足しております。
そして、タオル投げ、ゲットいたしました。これが唯一の成果かなあ。
そして、ヴィシの出来栄えが11月のマリインスキーの公演を楽しくしてくれそうです。オケも後半の東京フィル悪かったから、
バレエ専門の編成でも満足できそうな予感がします。
まるっきり感想になっておりませんが、タオル投げをゲットできたことが一番の思い出です。はい

ゆりかさん、こんにちは。

またまたたいへんお返事が遅くなってしまってごめんなさい。なかなかバレエの感想を書こうという気持ちに今はなれずに、随分と時間が経ってしまいました。

ラ・バヤデールの対決場面については、確かに2キャストとも弱いな、というのは感じました。やはりニキヤとガムザッティは同格のバレリーナが踊るべき役であるし、例えば今年のABTのMETシーズンでは、コジョカルがニキヤを演じた時にオシポワがガムザッティ役だったりした日があったんですよね。それくらいのことをやってもいいじゃない、って思いました。(ポリーナ・セミオノワはABTではニキヤとガムザッティの両方を演じていたと思います)演技という面では、2日目の田中さんの方がよかったのではないかと思います。ガムザッティ役で今まで一番印象的だったのは、映像だとプラテル、生で観た舞台だとアレクサンドロワでした。

zuikouさん、こんにちは。

A,Bプロ、ガラ、そして私はバヤデール2回だったのですが、プログラム全体から言って良かったのはBプロだったでしょうか。Bプロの4幕は素晴らしかったですね。単体のパフォーマンスだと、やはりロパートキナの「瀕死の白鳥」と「ダイヤモンド」を筆頭に、ゴメスの「パガニーニ」、ハンブルク組の「幻想 白鳥の湖のように」、ザハロワとメルクリエフの「コール・ペルドゥート」、シュツットガルト組の「椿姫」、ノーヴィコワとサラファーノフのドゥアト版「眠り」、ロホとマックレーの「ライモンダ」がとても良かったのではないかと思います。

残念ながら、手ぬぐい撒きを行った日は、手ぬぐいが届く範囲の席ではなかったので入手できませんでした。私が唯一手ぬぐいを入手できたのは席番号で当たった2003年のものなのですが、今やその手ぬぐいもどこへ行ってしまったことやら、です。

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