タマラ・ロホがENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)の芸術監督に就任決定 Tamara Rojo becomes English National Ballet's director
コメント欄でも教えていただきましたが(ありがとうございます)、ロイヤル・バレエのプリンシパルであるタマラ・ロホがENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)の芸術監督に就任することが決まったというニュースが流れました。
ENBは、以前お知らせしたように2か月前に電撃的に芸術監督のウェイン・イーグリングが退任することが決定しており、後任に誰が就任するのかが注目されていました。イーグリングの退任は実質的な解任であり、それに反対する活動なども行われており、カンパニーは混乱に包まれていました。また、ENBの最近のプログラムの多くは高い評価を受けていましたが、チケットの売上は苦戦し、大幅な赤字を計上していました。その中で敢えて火中の栗を拾ったのがタマラ・ロホということになります。
タマラ・ロホは以前からバレエ・カンパニーの芸術監督に就任することが目標であると語っており、2009年には1ヶ月間、ナショナル・バレエ・オブ・カナダの芸術監督カレン・ケインのアシスタントとして研修をしたことがありました。また多忙なバレリーナとしての活動の傍ら、大学院で学位も修めています。スペイン出身の彼女は、ヴィクトル・ウリャテのカンパニーで活動した後、スコティッシュ・バレエ、ENBを経てロイヤル・バレエに移籍したため、ENBにはもともと縁があったというわけですね。
現在37歳のタマラは、まだバレリーナとして全盛であるため、ENBの芸術監督に就任しても、ENBのプリンシパルとして活動するとのことですが、ロイヤル・バレエで彼女を観られなくなるのはとても残念ですね。
追記:Guardianの記事
http://www.guardian.co.uk/stage/2012/apr/13/tamara-rojo-english-national-ballet?fb=native&CMP=FBCNETTXT9038
成功できるかどうかは誰も保証できないけれども、タマラは様々な困難な状況と戦う強さを持っているに違いない、と結んでいます。
このBallet Newsのインタビューも非常に興味深いです。
http://balletnews.co.uk/english-national-ballet-announces-tamara-rojo-as-its-new-artistic-director/
さらに追記:イングリッシュ・ナショナル・バレエからのプレスリリースです。
http://www.dancetabs.com/2012/04/tamara-rojo-is-the-new-english-national-ballet-artistic-director/
芸術監督への就任は2012年9月となるとのことで、バレエ団のダンサーとして踊り続けることも書かれています。
ロイヤル・オペラハウスからの、タマラ・ロホ退団についてのプレスリリース
http://www.roh.org.uk/news/tamara-rojo-to-leave-the-royal-ballet
今シーズン限りでのタマラ・ロホの退団を知らせています。今シーズン予定されている彼女の出演は予定通り行われるとのことです。モニカ・メイソン芸術監督のコメントもあり、12年間のタマラの功績を讃えています。
Dance Tabs(旧Ballet.co)のインタビュー
http://www.dancetabs.com/2012/04/tamara-rojo-artistic-director-designate-english-national-ballet/
タマラは、バレエ芸術によって与えられた贈り物、それは芸術監督、教師などの寛大な人々によって惜しみなく与えられた、長年の知恵を、他の人々にも返礼として贈りたいと思った、それは、バレエカンパニーの芸術監督となってダンサーの成長を助け、彼らの夢を実現する手助けをすることで実現できると思ったそうです。そしてこの芸術をより幅広い人々に手に入るようにして、芸術が人々に喜びをもたらす様を見たいと考えたとのことです。踊り続ける意欲は満々で、多くの時間をスタジオで過ごしたいと考えているそうです。新しい変化は怖いところもあるし、ロイヤルでの好待遇やキャリアを捨てることになるけれども、バレエにとってポジティブなことが本当にできると信じており、それができるということは、自分自身のことよりずっと大事なことだと信念を持っているとのこと。
信念を持って芸術監督業という未知の領域に挑む彼女の手腕に期待したいところですね。
さらに追記:このObserverのタマラ・ロホのインタビューが、大変興味深いです。
http://www.guardian.co.uk/theobserver/2012/apr/15/observer-profile-tamara-rojo-english-national-ballet
今までの人生でサインを求めたことは2回しかなくて、それは10歳の時に、舞台で全裸になったマッツ・エックと、13歳の時に、リハーサル中で怒っていたシルヴィ・ギエムにという逸話が面白いです。また、ロイヤル・バレエの芸術監督の募集に応募したもののケヴィン・オヘアに敗れたことも書いてあります。また、ミハイル・バリシニコフ、ルドルフ・ヌレエフ、ペーター・シャウフスなど、踊る芸術監督に多くのインスピレーションを得ていることも語り、芸術監督就任後に自らも踊り続けることに対する懸念を一蹴しています。
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