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2012/03/13

ナショナル・バレエ・オブ・カナダ「眠れる森の美女」速報 National Ballet of Canada's Sleeping Beauty

トロントに到着してから、気温の上下動に戸惑ったり、海外ではいつもそうなんですがおなかを壊したり、時差ぼけに苦しんだり、カナダはソフトバンクの海外パケ放題適用外でなかなか報告できなかったのですが、一応現地報告です。

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ナショナル・バレエ・オブ・カナダ、ヌレエフ版「眠れる森の美女」3月10日マチネ、ソニア・ロドリゲスとピョートル・スタンツィク、ソワレのヘザー・オグデンとギョーム・コテ、そして11日のグレタ・ホジキンソンとエヴァン・マッキーの回を観て来ました。あとは13日にジリアン・ヴァンストーンとズデネク・コンヴァリーナ、15日にもう一回グレタ・ホジキンソンとエヴァン・マッキーを観てきます。

ヌレエフ版「眠れる森の美女」は、パリ・オペラ座のルグリとデュポン主演の映像しか観たことがなくて、しかも私の記憶力が悪くて細かいところまで覚えていなかったのですが、ナショナル・バレエ・オブ・カナダ版のはオペラ座版とはだいぶ違うらしいです。(ヌレエフ自身とヴェロニカ・テナントが踊った映像のDVDが劇場のショップで売っていたので買ってきました・・まだ観ていませんが)ただ、ヌレエフ版に特徴的な難しい振り付けと、男性のヴァリエーションが2幕の中心となっているところは同じではないかなと思います。

舞台美術と衣装は、ヌレエフやマクミランの作品を多く手がけているニコラス・ジョージアディスによるもので、数年前にリニューアルしたとのことで大変豪華。舞台奥に横向きの大階段があり、登場人物の多くはこの階段を下りて出てきます。衣装は特に頭飾りがすごいことになっていて、妖精たちもそうなんですが、一番すごかったのが3幕の王様の頭飾りで、まるでインディアンの酋長みたいなことになっています。

その王様ですが、10日の公演は2回とも、懐かしいレックス・ハリントンが演じていました。だいぶ恰幅よくなっていましたが、この版は3幕の頭にサラバンドがあり、王様もかなり踊ってくれてハリントンも健在ぶりをアピールしてくれました。やはり王様ならではの威厳が半端なかったです。

このカンパニーは日本人団員がかなり活躍しており、中でも青い鳥役の平野啓一さん(10日マチネ)と江部直哉さん(11日夜)は素晴らしかったです。二人とも長身でラインが美しい上に、跳躍がとても高くて青い鳥を観た!という満足感を感じさせてくれました。特に江部さんは最近「ロミオとジュリエット」「ラ・フィユ・マル・ガルデ」と立て続けに主役に抜擢されているだけあって、すごい才能を感じさせます。また、2006年にローザンヌコンクールでスカラシップを受賞した森志乃さんが白い猫を演じていて、コメディセンスを感じさせました。第4ヴァリエーションもよかったです。また、今回残念ながら観られないのですが、一日だけフロリナ王女を踊る予定です。さらに、平岡珠里さんが妖精の第6ヴァリエーション(通常だとリラの精が踊る役、ヌレエフ版はリラの精は踊らない)で、変形イタリアンフェッテを見事に決めていました。

カンパニーのレベルもなかなか高いと思います。日本人が多いことからもわかるように、カンパニーメンバーが多国籍で、非白人(アジア系、アフリカ系)もかなりいるのですが、みなプロポーションが良く、男性も長身で見栄えする人が多いです。ポール・ド・ブラがあまり綺麗ではないのがやや残念ですが、コール・ドは良く揃っていて、体力のあるカンパニーだと感じました。

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さて、主役についてですが、初日マチネペアはちょっと地味でした。ソニア・ロドリゲスはとても細くて上手なのですが、ローズ・アダージオではかなり緊張していたようです。しかしミスもなくきっちりと踊っていました。ピョートル・スタンツィクも堅実にしっかりと踊る人で、ヌレエフ版の王子の難しいヴァリエーションをヌレエフ版の振り付け通りにきちんと踊っている点ではとても評価できます。

今ではすっかりナショナル・バレエ・オブ・カナダの看板ペアとなっているヘザー・オグデンとギョーム・コテ。ヘザーのオーロラはとても良かったです。見るからにお姫様的な華のある美しい容姿は言うまでもなく、テクニックがとても強くて、ローズアダージオのバランスも長くて完璧。16歳の姫らしい闊達さも見せてくれる生き生きとしたヴァリエーションと、オーロラの資質を持っていました。ギョーム・コテはスターオーラはあるのだけど、マチネのピョートルと比較すると踊りが全然ヌレエフじゃないのが残念でした。3幕のヴァリエーションも、ヌレエフらしい複雑なマネージュではなく、身体を斜めに倒して豪快に高く跳躍するもので、テクニックはしっかりしているんだけどこれはヌレエフじゃないでしょう、と隣に座っていた評論家も言っていました。細かいロン・ド・ジャンブなども省略しており、これはありなのだろうかと疑問に思ってしまいました。へザーとギョームは実生活でも夫婦なだけあって、パートナーシップは鉄璧だったし、この日のチケットは完売だったそうなので、華やかさは感じられたペアでした。

今回のメーンの目的であるグレタ・ホジキンソンとエヴァン・マッキーのペア。グレタ・ホジキンソンは現在42歳とベテランなのですが、落ち着きがある中にも初々しさもあり、また技術的にもとても安定していました。ローズアダージオのバランスも完璧だったし、3幕のヴァリエーションで観た音楽性の豊かさも素晴らしく、とても女らしく素敵なオーロラでした。エヴァンは、登場して踊り始めると、まずは脚長!っと再確認。この版では、登場するところでは大きな帽子に鮮やかな水色のちょっといけていない上着、さらにはブーツを穿いているのですが、ヴァリエーションでそれらを脱ぐと長く美しい脚を高く上げてとても印象的でした。ヌレエフ版では、2幕で伯爵夫人たちがいなくなった後、ヴァイオリン・ソロに合わせて王子が憂愁のソロを踊ります。2幕の王子のソロは3つもあるのです。単なるおとぎ話の中の王子ではなく、憂いと悲しみを内に秘めていて、その悲しみを一つ一つのパが物語るのですが、この表現がドラマティックで思わず王子に感情移入してしまいます。2幕コーダのソロは、跳躍する間に身体の向きを変えつつ脚でも細かい技を駆使するのですが、これも綺麗に決めていました。(ピョートル・スタンツィクもここがきっちりできていました)

3幕のグラン・パ・ド・ドゥでは、このペアのもつ気品に圧倒されました。グレタは、時々サポートつきピルエットが斜めってしまうところがあったけど、それ以外は素晴らしく、身体で音楽を奏でているようで輝いていました。そしてエヴァンの一挙一動の中にあるノーブルさ。つま先やポールドブラの隅々まで行き届いた美しさ。ヴァリエーションでのマネージュに毎回しっかりとヌレエフならではのロンドゥジャンブを入れ、またアティチュードでのバランスしたポーズの華麗なこと。パートナーリングもとてもしっかりしていて、二人の息がとてもよく合っていました。観客も総立ちで、故郷に錦を飾ったエヴァンをたたえていました。

ヌレエフ版「眠れる森の美女」は、高度な技術の駆使のほかに演技力を要求されるところもあり男性ダンサーにとっては夢の役柄だといいます。これが踊れればどんな古典作品も踊ることができるでしょう。それだけに、シュツットガルト・バレエでの来日公演「白鳥の湖」のエヴァンの主演の日が貸し切り公演となってしまったのが残念です。

エヴァン出演日のレビュー 
Dancer Evan McKie triumphs in Sleeping Beauty
http://www.theglobeandmail.com/news/arts/theatre/dancer-evan-mckie-triumphs-in-sleeping-beauty/article2366612/

National Ballet of Canada’s The Sleeping Beauty awakens, excites Toronto fans
http://www.toronto.com/article/716745--national-ballet-of-canada-s-the-sleeping-beauty-awakens-excites-toronto-fans

Backstage at The Sleeping Beauty (ナショナル・バレエ・オブ・カナダのオフィシャルチャンネルから)

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