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2012/02/13

1/31 ボリショイ・バレエ「スパルタクス」 Bolshoi Ballet "Spartacus"(まだ途中)

ボリショイ・バレエ「スパルタクス」Bolshoi Ballet "Spartacus"
http://www.japanarts.co.jp/html/2012/ballet/bolshoi/spartacus.htm

全 3 幕 12場、9つのモノローグ
台本:ユーリー・グリゴローヴィチ
(ラファエロ・ジョヴァニョーリの小説と古代史に基づく。ニコライ・ヴォルコフのシナリオを使用。)
音楽: アラム・ハチャトゥリアン
振付: ユーリー・グリゴローヴィチ
美術: シモン・ヴィルサラーゼ
音楽監督・共同制作: ゲンナージー・ロジェストヴェンスキー
指揮: パーヴェル・ソローキン
管弦楽: ボリショイ劇場管弦楽団

スパルタクス(剣奴、反乱の指導者) : イワン・ワシーリエフ(ミハイロフスキー劇場プリンシパル・ダンサー)
クラッスス (ローマ軍の司令官) : アレクサンドル・ヴォルチコフ
フリーギア(スパルタクスの妻) : スヴェトラーナ・ルンキナ
エギナ(娼婦、クラッススの愛人) : エカテリーナ・シプーリナ
剣奴: アントン・サーヴィチェフ

2002年のボリショイ・バレエの来日公演を残念ながら見逃してしまった私にとって、念願の「スパルタクス」の生の舞台に接する貴重な機会だった。スパルタクス役をイレク・ムハメドフ、クラッスス役をアレクサンドル・ヴェトロフ、フリーギア役をリュドミラ・セメニャカが踊った1990年の映像が大好きで、もう何回観たことか。ムハメドフが素晴らしいのは言うまでもないけれども、ヴェトロフのクラッススは鮮烈で、彼が登場するオープニングシーンを観るだけでも大興奮なのであった。

今回は夢倶楽部会員招待でゲネプロを見せて頂いてからの鑑賞。ゲネプロは1幕はワシーリエフ&ヴォルチコフ&ルンキナ&シプーリナのファーストキャスト(衣装付き)、2,3幕は稽古着姿のドミトリチェンコ&バラーノフ&ニクーリナ&アレクサンドロワ。特に普段着姿で通し稽古をしているのが非常に興味深かった。

ボリショイの「スパルタクス」、とにかく凄いとしか言いようがない。タイトルロールのイワン・ワシーリエフは言うまでもなく、主要キャストから群舞、そしてボリショイ劇場管弦楽団の演奏まで驚きのクオリティとぐいぐい惹きつけられる圧倒的なパワー、ドラマ性、美しいパ・ド・ドゥ、華麗な超絶技巧まで満載で、うちのめされるほどの凄さだった。

ワシーリエフがミハイロフスキーへ移籍してしまったこと、スパルタクスを代表的な役としているけれどもボリショイの中では彼はやや小柄であること、そして彼がテクニックに関しては凄いんだろうけど演技力は果たしてどうなのかということなど、不安要素はないわけではなかった。しかしながら、これらはすべて杞憂に終わった。

まずは冒頭の強烈なシンバル一発から始まる勇壮なメーンテーマでアドレナリンがぐっと上がり、スポットライトに照らされるクラッスス=ヴォルチコフのヒール役としての鮮烈な登場シーン。彼を担ぐローマ軍の行進、それに続くクラッスス役ヴォルチコフが見せる重厚さと軽やかさが共存するCの字連続ジャンプ、こんなにもしびれるオープニングのバレエ作品は他にはないだろう。このテーマ音楽を奏でるボリショイ管弦楽団の爆音がまた素晴らしい。

ワシーリエフは上記のとおり決して大柄ではないが、太ももの発達したマッチョな肉体から繰り出されるゴムマリのような跳躍は度肝を抜くものであり、全編通して踊りっぱなしであるにも関わらず最後までその勢いは衰えず、足先と頭がくっついてしまいそうなほど大きく反りながらのディアゴナルの連続グランジュッテ、空中に止まっているかのような跳躍、10回転ものピルエット、540(ファイブフォーティ)や斜めにきりもみ状態で回転するトゥールザンレールなどを鮮やかに見せてくれた。一つ一つの動きに英雄らしいカリスマ性がみなぎっており、クラッスス側の反攻に遭って力尽き磔のように串刺しにされるところまで、後世まで語り継がれるヒーロー、スパルタクスそのものとして舞台の上に存在していた。

奴隷として囚われ自由を奪われた怒りと哀しみ、愛する妻を侮辱された屈辱、知らずに剣闘士として友人を殺してしまった悲しみと苦悩、その苦悶を昇華させて一転リーダーとして戦う姿勢から殉教者としての死を迎えるまで、単なる英雄ではなく、自らの度量の大きさとは表裏一体の人間としての弱さ、自信のなさも垣間見せたワシーリエフは、心を打つドラマティックで時には繊細な演技も見せていた。中でも、終盤のクライマックスである妻フリーギアとのパ・ド・ドゥは心を打った。妻に対するとめどない包み込むような愛情の中に見せる、やがて来るだろう永遠の別れへの予感には胸が掻きむしられた。見せ場の片手リフトでは、フリーギア役のルンキナを高々とリフトしながらワシーリエフはルルヴェでつま先立ちし、さらにアラベスクまで見せるという超絶技巧を披露したのには驚かされた。

そのヒーロー、スパルタクスに対する強烈なアンチヒーローがクラッススである。パリ・オペラ座「ライモンダ」にアレクサンドル・ヴォルチコフが客演したした時には、あまり踊りが冴えていなくて残念だったのだが、今回の来日公演で、彼は大きな進化をしていることを見せてくれた。まずはローマ人の扮装が実によく似合う、彫りが深く華のある容姿を持っていること。クラッススが「スパルタクス」という作品の幕開けを飾るキャラクターであるから、これは重要な要素である。体をCの字に曲げての連続跳躍も軽々と披露して着地もきれい、難しいことを涼しい顔でこなしてしまう、これでこそ憎々しいクラッススだ。そしてどうだ!という勢いで登場するのに、スパルタクスとの一騎打ちではあっさりと負けて屈辱にまみれて敗走する、そのヘタレぶりがまたヒール役らしい。惨めな負けっぷりにもんもんとする中で、愛人である猛女エギナに「こんなのではダメじゃないの!リベンジしてらっしゃい!」ってハッパをかけられて、ようやく逆襲にとりかかる情けなさ。クラッススのそういった弱い部分をきっちりと演じられてこそ、スパルタクスのヒーローぶりが際立つわけなのであって、立派で堂々とした容姿の持ち主でありながら、人間の負の側面をきっちりと演じられたヴォルチコフの演技力は大したものだ。

クラッススの愛人、悪女エギナもまた強烈なキャラクターだ。エギナが必死に心の折れかけたクラッススにハッパをかけ、その謀略と暗躍によって、一度は敗走したローマ軍が反撃し、ついにはスパルタクスを死へと追いやるのだ。昨年12月にプリンシパルに昇格したばかりのシプリーナは、柔らかい肢体と確実なテクニックに加え、高慢ちきな女王ぶりや、クラッススを尻に敷いてしまうほどの猛女ぶりも見せつけ、一方で一人の娼婦に過ぎない自分自身が生き残るために奸計を働く必死さも演じることで、この時代の女性が持つ寄る辺ない憐れな生き方と、その運命に抗う強さを表現していた。3幕で羊飼いたちを誘惑して骨抜きにするシーンのエロティックさは相当なもので、エロスの女王ヴェヌス降臨といった風情で強烈な印象を残した。勝ち誇った姿でローマ軍に担がれ退場していく姿は堂々たるもので、この役にぴったりであった。

(続く)

(以下主要キャスト)
道化役者たち: :チナーラ・アリザーデ、アンナ・オークネワ、
マリーヤ・ヴィノグラードワ、マリーヤ・ジャルコワ、
ヤニーナ・パリエンコ、アンナ・レベツカヤ、
バティール・アナドゥルディーエフ、アレクセイ・マトラホフ
エゴール・シャルコフ、アレクサンドル・プシェニツィ
3人の羊飼いたち:
ディミトリ・ザグレービン、デニス・メドヴェージェフ、アレクサンドル・スモリャニノフ
4人の羊飼いたち:
アレクサンドル・ヴォドペトフ、エフゲニー・ゴロヴィン、
ウラディスラフ・ラントラートフ、デニス・ロヂキン
羊飼いの女性たち:
スヴェトラーナ・パヴロワ、ダリーヤ・コフロワ、
ジュ・ユン・ベ、クセーニャ・プチョルキナ、ユリア・ルンキナ
娼婦たち:
アンナ・レベツカヤ、アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ、
マリーヤ・ジャルコワ、アンナ・オークネワ、
ユリア・グレベンシコーワ、クリスティーナ・カラショーワ、ヤニーナ・パリエンコ

The Bolshoi Ballet & The Bolshoi Orchestra
初演:1968年4月9日


これが超・おすすめの映像(ムハメドフ主演の映像は二つあるのでご注意を!)

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こちらは最新映像。ただしスパルタクス役はゲストのカルロス・アコスタで、ガルニエでの公演のため、ボリショイ管弦楽団による演奏ではないのが残念。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんにちは

萌え萌えの内容ですね。
確かにすごかった。一生忘れないと思います。

すでに、私はコジョカルの感想を確認しに来ております。
これも想像以上に良くて驚いております。

悪い人誰もいないという信じられない結果。セール中どう抜け出すかだけが課題です。
セット券割引で確保しております。

今年の2月はバレエ界において、画期的な2月になりそうですね。

管理人さまの、萌え萌えの内容を見ても、私がボリショイのサインをもらいに行ったの、理解してもらえましたでしょうか・笑い
コジョカルもほしいけど、わざわざ行かないです。
今回のボリショイは、すべてにおいて永遠のツアーでした。

zuikouさん、こんにちは。

「スパルタクス」結局ゲネプロを含めると4回見ちゃいました。その価値はありましたね~しかし例によって感想は時間がかかってしまって申し訳ありません。

コジョカルAプロ私も譲渡掲示板経由で安席を一枚入手して買い足しました。とても充実した内容で楽しかったですね。こちらは早く感想を書かなければ(汗)

な、、、なんか、東京の1月から2月、スゴくね?いや、バレエ愛好家いそがしくなりすぎですな。なんと贅沢な!ロンドンにいても、パリにいても、こんないい想いはできないでしょう。わずか1ヶ月ほどの間に、ボリショイバレエ、パリオペラ座のダンサーのコンサート、そのうえロイヤルのダンサーたちのよるコジョカルさんのプロジェクト、ちょっと目を離したスキにマーシャ・アレクサンドロワは牧バレエ団で主役張ってるし!(ぜいたくな代役だ!!)

KEさん、こんにちは。

そうなんです、1月の終から2月は東京は大変なことになっていて、私も大変でした(大汗)公演の感想を書く余裕がなかったのも分かっていただけるかもです。集中しすぎていて、お財布的にも時間的にも厳しかったです。アレクダンドロワの「ノートルダム・ド・パリ」も観たかったけどコジョカルと重なってしまって無理でした。本当に残念です、アレクサンドロワのエギナもライモンダも素晴らしかったので・・・。

今週も、コジョカルBプロ2回にシェルカウィの「Tezuka」、さらに週末にはNBAの「アレキナーダ」という感じで、本当にどうなることやら、です・・・もっと分散して欲しいです。

おまけに一昨日でしたっけ?(お金はそんなにかかりませんが)BSでボリショイの「眠り」「パリの炎」(しかも興味深いキャストで)

NBAが終わったら、2日後にUBC=しかも、オハド・ナハリン、キリアン、フォーサイス!!

たまりませんな・・・(お財布に何も貯まりません)!!!!

KEさん、こんにちは。

そうなんです、録画するために、故障していたBlu-Rayのセットトップボックスを交換してもらいました(お金はかからなかったけど)。

そして一瞬忘れていたのですが、「アレキナーダ」の後はユニバーサル・バレエなのでお財布が底なしになってしまうんです・・・。(そしてその週末はスターダンサーズバレエ団のトリプルビルもあるし!)

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