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« 新国立劇場バレエ団6月公演「マノン」のキャスト National Ballet of Japan "Manon" casting | トップページ | ナショナル・バレエ・オブ・カナダ 2012/13シーズン National Ballet of Canada announces 2012/13 Season »

2012/02/07

1/28(ソワレ)Love from Paris エトワール ~フランス・バレエのエレガンス~ Aプロ

http://www.fujitv.co.jp/events/etoiles/index.html
昭和女子大学 人見記念講堂

パリ・オペラ座
ETOILES エトワール
イザベル・シアラヴォラ、ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ
バンジャマン・ペッシュ
PREMIERS DANSEURS プルミエ・ダンスール
ミリアム・ウルド=ブラーム、ジョシュア・オファルト、フロリアン・マニュネ
SUJETS スジェ
マチルド・フルステ、シャルリーヌ・ギゼンダナー、ヤニック・ビトンクール

実は人見記念講堂でバレエを観るのは初めて。横幅の広めな劇場で、前方がフラット。優先発売で買ったにもかかわらずちょっと後ろのほうの席だったのだけど、これくらい離れていた方が見やすかったと思う。クロークなし、カフェなしなのはちょっと寂しい。

ソナチネ “Sonatine” Balanchine
振付:バランシン 音楽:ラヴェル ピアノ:榎本真弓
ドロテ・ジルベール/フロリアン・マニュネ Gilbert / Magnenet

下手にピアノが置いてあり、ピアニストによる生演奏での上演。この榎本真弓さんはコレペティということなのだが、非常に良い演奏だった。実はバランシンの「ソナチネ」を観るのは初めて。ドロテ・ジルベールは音楽性豊かで、伸びやかでアブストラクト・バレエの中に込められた物語性を見せてくれるような素敵な踊りで成長ぶりを堪能した。一方フロリアン・マニュネはエレガントな雰囲気で健闘しているものの、細かいところの詰めが少々甘くて雑なところが感じられた。


ロミオとジュリエット(マドリガル)“Roméo et Juliette (Madrigal)” Noureev
振付:ヌレエフ 音楽:プロコフィエフ
シャルリーヌ・ギゼンダナー/ジョシュア・オファルト Giezendanner/ Hoffalt

「エトワール・ガラ」ではシャルリーヌ・ジザンダネと表記されていたと思うのだが、正しい発音はどちらなのだろうか。この「マドリガル」のシーンは、その「エトワール・ガラ」でもメラニー・ユレル&マチュー・ガニオで上演されていた。シャルリーヌは前髪を下ろしていて初々しく可愛らしいジュリエット。パ・ド・ブレするときのコツコツというポワント音が少々響いていたが、ヌレエフ版の難しい振り付けを易易とこなしていた。そしてパリ・オペラ座の若手では個人的に一番期待しているジョシュア・オファルトは、ここで輝かしいテクニックを披露。高く跳躍するマネージュのスピード感、よく伸びたきれいなつま先、足さばきの美しさ。やはり彼は逸材であり次のエトワール候補の筆頭だと確信。


狼 “Le Loup” Petit
振付:プティ 音楽:デュティユー
ミリアム・ウルド=ブラーム/バンジャマン・ペッシュ Ould-Braham / Pech

パリ・オペラ座本拠地で上演された時より、ペッシュの狼メイクが控えめだった。席が少々離れていたので、オペラグラスで確認しないとわからないくらい。今回は、昨年逝去したローラン・プティへのオマージュということでプティ作品が2作品上演されたのだが、さすがプティを尊敬してやまないペッシュの演技力は素晴らしく、狼である自分を憐れむ様子やそれでも抑えられない愛、苦悩を表現するのが巧みだ。狼を象徴させるように頭のところに手を置いて耳を表現する仕草はちょっと可愛い。一方、ミリアムは愛らしいし、踊り自体はクラシック的で美しいのだけど、ちょっとお人形さんっぽくてプティらしいエスプリを表現できていなかったのが惜しい。彼女に向いた演目で観たかった。


チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ “Tchaikovsky pas de deux” Balanchine
振付:バランシン 音楽:チャイコフスキー
マチルド・フルステ/ヤニック・ビトンクール Froustey / Bittencourt

マチルド・フルステって自己主張がすごく強くて、この「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」を観ていても、バランスをすごく長く取ってみせたり、ピルエットで5回転してみたり、テクニックがすごく強いのはわかったからもう少し元の振付を大事にしようよ、と言いたくなった。ただ、ここまで見せつけられると逆に面白いというか、笑えるというか、サービス精神が豊富なのかもしれない。一方ヤニックは、サポートに不安があって、特にコーダで女性が飛び込んでくるところをうまく受け止められていないというか、女性側が勢いを加減しなくてはならないように見受けられてしまった。でもソロではとても生き生きとしており、アントルシャ・シスの足先も美しいし、何よりエレガントで美しい容姿、長い脚は貴公子にふさわしいもの。いずれにしても、今後のパリ・オペラ座を背負っていく若手としてこの二人には期待したい。


オネーギン より第3幕手紙のパ・ド・ドゥ“Onéguine” Cranko
振付:クランコ 音楽:チャイコフスキー 
イザベル・シアラヴォラ/マチュー・ガニオ Ciaravlola/ Ganio

現在発売されている「ダンスマガジン」最新号がほとんどマチューのオネーギン特集みたいになっていて、ジェラール・マノニ氏が彼を絶賛しているのだが、このガラで観た結果は非常に残念なものだった。YTにこのパ・ド・ドゥの動画がアップされていて、それを観る限りでは健闘していたようだったのに。オネーギンの手紙のパ・ド・ドゥはガラで上演されることが多いのだが、ガラで上演すると全幕の時の感情を表現するのが難しく、マニュエル・ルグリくらいの役者でないと、感動的なパフォーマンスにはならないということを実感した。セットが非常に簡素で音源も録音であることも災いした。

マチューのオネーギンは若くて、一生懸命にタチヤーナに対する未練と絶望的な愛をぶつけようとしているのだが、その感情が非常に表面的でとってつけたように見えた。イザベル・シアラヴォアラは、パリ・オペラ座で「オネーギン」が初演された時にタチヤーナ役を演じたのを観ており、この役でエトワールに昇進したのも納得できる、揺れ動く感情を繊細に演じて最後には激しく嗚咽する様子が心を揺さぶった。だが、今回でも観られた彼女の熱演をもってしても、マチューの演技が今ひとつだったために、感動するには至らず。マチューについては、サポートの安定感も不十分であったために演技に集中できないということもあったし、見た感じのバランスも、イザベルよりずっと若く見えるために良くなかった。彼のオネーギンについては、あと5年後くらいの上演に期待するべきだろう。


ジゼル 第2幕より ”Giselle”
振付:プティパ/コラーリ/ペロー 音楽:アダン
ミリアム・ウルド=ブラーム/ジョシュア・オファルト Ould-Braham/Hoffalt

当初予定は「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥだったが、「ジゼル」に変更。ジョシュア・オファルトは本来だったらこのガラの直前に開催されたシンガポール公演でアルブレヒト役デビューをする予定だった薄さは仕方なかっただろう。サポートは慎重になっていたけど、ヴァリエーションは跳躍が大きくて上体の反らし方も美しく、つま先も鮮やかで端正だった。ミリアムはピュアな雰囲気がジゼルにぴったりで、定評のある美しいアラベスクは健在。まだ波のぬくもりを残した、情感あふれるジゼルだった。ただ、彼女はアダージオでデヴェロっぺするときに少しぐらついたのが残念。ミリアムとジョシュアは、オペラ座のプルミエの中でもトップでエトワール候補筆頭だと思われるので、この二人で組んで「ジゼル」の全幕が観られたらいいだろうな、と感じた。


ドリーブ組曲 “Delibes Suite” Martinez
振付:マルティネス 音楽:ドリーブ
マチルド・フルステ/フロリアン・マニュネ Froustey /Magnenet

この作品を一番最初に観たのは世界バレエフェスティバルで、この作品を振りつけたジョゼ・マルティネスがルテステュと踊った。そしてその次には、ルグリのガラでマチアス・エイマンがミリアム・ウルド=ブラムやエレオノラ・アッバニャートと踊ったのを観ているのだけど、どうしてもこのジョゼやマチアスの幻影が脳裏に焼きついているのがいけない。特に、マチアスのキレキレのテクニックと活きの良さは鮮烈な印象があり、それと比較してしまうとフロリアンの踊りは技術的に弱いだろうというのは観る前から予測がついていた。特にコーダの逆回転マネージュの高さが全然なくて、難しい振り付けだろうとは思うのだが、拍子抜けしてしまった。マチルドは、彼女の持つ勝気さがいい意味で出ていて、途中で軸足を替えながらのフェッテもスムーズだったが、ペアとしてのバランスが悪いように見受けられた。マチアスが怪我の治療のためにこのガラに出演できなかったことが改めて惜しまれる。マチアスとマチルドだったら、お互い認めるベストパートナーだし、きっと似合っていたことだろう。


ドガの小さな踊り子 “La Petite Danseuse de Degas” Bart 【日本初演】
振付:バール 音楽:ルヴァイヤン
シャルリーヌ・ギゼンダナー/ヤニック・ビトンクール Giezendanner / Bittencourt

こちらでも、シャルリーヌは前髪を下ろしていて可愛らしく、ドガが造形した小さな踊り子がそのまま絵画か彫刻から出てきたかのような立ち姿で登場する。貧しい家の出である踊り子が、幼いながらも定期会員(アボネ)である裕福な男性を誘惑して、パトロンになってもらおうとする場面を描いている(私は全幕は観ていない)。シャルリーヌは、不器用ながら一生懸命媚態を見せているところがなんとも切なさを感じさせて良い。ヤニックはその若い年齢(23歳)に似合わない裕福なパトロンの姿をしていて、燕尾服がこれ以上似合う人はいないんじゃないかと思うくらいにセクシーでスタイリッシュ。彼の役は、長くまっすぐで美しい脚でグランバットマンを見せるくらいで踊りの見せ場はあまりないのだが、こういうフランスのエスプリを感じさせる作品が、今回のガラに入っているのはアクセントとして良いのではないだろうか。


ランデブー ”Le Rendez-vous"
振付:プティ 音楽:コスマ
イザベル・シアラヴォラ/バンジャマン・ペッシュ Ciaravola / Pech

Aプロは当初「アルルの女」の予定だったはずが、Bプロで上演される予定の「ランデブー」に変更。この作品は、NHKで放映された、イザベルとニコラ・ル=リッシュが踊った全編と、あるガラでやはりイザベルとヤン・サイズが踊っているのを見ている。背景には、夜のパリを写し取ったブラッサイによるモノクロの写真が配置され退廃的な雰囲気を作り上げている。イザベル演じる”世界一の美女”のデカダントで美しいこと。ポワントではなく黒いストッキングにハイヒールを穿いているのだが、それだけで物語を語る脚線美と、40年代のパリのモードらしいショートボブの髪型が良く似合っていて、死すべき運命を告げられた青年の死神たるファム・ファタルそのもの。青年の胸ポケットに入れてあったナイフを取り出して彼の喉を切り裂くときの勝ち誇った強烈な視線はくらくらするほど魅惑的だ。ペッシュはこの作品の青年役としては少々草臥れた感じがするものの、プティ作品を得意とする彼ならではの情熱的でドラマティックな表現は心を打つものだった。特に美女に喉を切り裂かれてから死に至るまでの、エクスタシーを感じながらも、もがき苦しみ死んでいく姿には、彼らしい死への欲望とパッションが込められていた。この日のガラの白眉であったことは間違いないし、彼ら二人は本当にエトワールの称号にふさわしい特別な存在であることを実感。
(だから、Bプロで、ペッシュが腰を痛めたことによりペッシュだけでなくイザベルが出演できなくなったのは、本当に残念だった)


マノンより寝室のパ・ド・ドゥ “L’Histoire de Manon (scene de La Chambre)” MacMillan
振付:マクミラン 音楽:マスネ
ドロテ・ジルベール/マチュー・ガニオ Gilbert / Ganio

「マノン」は今年の5月にオペラ座で久しぶりに再演されることになっており、ドロテもマチューもこの役は初めてのもの。二人とも容姿的には「マノン」という作品にぴったりだろうと期待していたが、上手のテーブルで手紙を書いているマチューの姿が麗しく、このパ・ド・ドゥを観ている時のもっとも幸福な時間であったというのはいささか問題があるのではないだろうか。ドロテは、マノンの魔性の美少女的な、蠱惑的な雰囲気がたっぷりでとても魅力的だったと思うし、この二人を包む甘い空気感は素敵なのだけど、いかんせんマチューのサポートが頼りなくて作品の中に集中できなかった。双方とも、一つ一つのパはきちんと正確に踊っているのに、なぜかちぐはぐで、特にこのパ・ド・ドゥの終わりの方でデ・グリューがマノンをリフトし、マノンの脚がまるでハサミのように上下するところがサポートの失敗でうまくいかなった。本公演で踊る前にパ・ド・ドゥをガラで披露することの難しさを改めて感じた。このペアの持つ甘美さは余人には代えがたいものがあるので、オペラ座での本番までには、スムーズなパ・ド・ドゥを見せて、踊りで物語を語れるようになって欲しいと生意気ながらも思ってしまったのだった。

(話はずれるが、新国立劇場バレエ団で今年予定されている「マノン」も、ファーストキャストの小野さん、福岡さんはそれぞれ素晴らしいダンサーだと思うし「マノン」は雰囲気的にも似合っているだろうと思うけど、福岡さんが決してサポートの達人ではないため、今回のドロテ&マチューを見ていささか不安を感じてしまった)


以上、全体的にかなり辛口なことを書いてしまったが、今回はパリ・オペラ座のダンサーの中でも若手を中心に構成されており、これからのダンサーを見せてくれるということに主眼が置かれていたため、今後に期待できる逸材がたくさんいることはよく見て取れた。そして、イザベル、バンジャマン、ドロテというエトワールは、エトワールならではの突出した芸術性を持っているものだと実感した。ただ、もう一人のエトワールであるマチューが、素晴らしいテクニックと甘く美しい容姿を持っているにもかかわらず、致命的にサポートやパートナーリングが下手なため、踊りで物語を語ることができていないことを非常に残念に思った。

若手については、圧倒的に素晴らしいのがジョシュア・オファルトで、彼は近いうちに必ずやエトワールに昇進するであろうことを確信した。ミリアムも良いのだけど、あともう少しでエトワールの座が届きそうで届かない理由が見えた気がした。最年少のヤニック・ビトンクールはとにかくエレガンスとプロポーションと美貌(少しフレディ・マーキュリーに似ているんだけど!)に恵まれている上、素質も感じられるので今後すごく期待できそう。シャルリーヌはきちんとオペラ座のエレガンスを身につけているので、大化けする可能性も感じられる。フロリアンは若く見えるけどもう30歳なので、伸びしろがなさそうなところが気になる。マチルドは、テクニックはあるのだから、強烈な自己主張をもう少し抑えましょう。その気の強さは彼女の魅力ではあるのだけど、なんとももったいない感じがする。

なんだかんだ言って、やっぱりほぼ同じスクールできっちりと育てられた若いダンサーたちの踊りを観るのは楽しいものであった。この時期に沈みがちな日本を勇気づけてくれようとするペッシュ他オペラ座のダンサーたちの心意気には感じ入るものがあったし、美しいものを見て心が癒されるというのはこういうことだというのも実感した。あとは、せめてボリショイなどほかの公演と重なっていない時期に観たかった!

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

ドリーブ組曲はヴァルナ国際コンクールでマチルダ(金賞)とジョシュア(銀賞)が踊った様に記憶してますが、記憶違いでしたらごめんなさい。その後二人でパリ郊外のルテステュのガラなどで幾度も踊ってるので、Bプロ最終日にマチルダとビトンクールではなく、このペアで全部踊ってくれてたら、もう少し楽しめたのではと思っています。

shioさん、こんにちは。

確かにヴァルナ2004年の映像で、マチルドとジョシュアの「ドリーブ組曲」がありました。
http://youtu.be/3hDTj3C1gOA
難しい技巧を組み込んでいて、コンクール向きの作品ですよね。そして二人とも若い!が、ジョシュアはこの時からすごく上手いですね。(マチルドもですが)思わず真剣に見入ってしまいました。
踊ったのはヤニック・ビトンクールではなく、マニュネだったのですが、もともとはマチアスが踊る予定でのプログラムだったのでしょうか。やはりフロリアンはテクニック的にはちょっとまだ物足りない感じがします。

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