イーサン・スティーフェルがABTのプリンシパルを引退 Ethan Stiefel to Retire as Principal Dancer with ABT
ABTのプリンシパルとして1997年から活躍してきたイーサン・スティーフェルが、5月からのMETシーズンをもってABTを引退することが発表されました。
http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=384
イーサンのABTでの最後の公演は、7月7日の「海賊」で、アリを踊る予定となっています。ABT引退後は、すでに昨年より就任しているロイヤル・ニュージーランド・バレエの芸術監督としての仕事に専念するとのことです。
スクール・オブ・アメリカン・バレエを経て16歳でNYCBに入団したイーサンは、89年にローザンヌ国際コンクールに出場してシルバーメダルを得ます。95年にNYCBのプリンシパルに昇格し、97年にはABTにプリンシパルとして移籍。マリインスキー・バレエ、ロイヤル・バレエ、オーストラリア・バレエ、新国立劇場などにゲスト出演するなど国際的に活躍すると共に、2000年には映画「センターステージ」に主演して一般的にも高い知名度を得ます。(2008年にはその続編にも出演)。また、2006年に始まった「キングス・オブ・ダンス」のスタート時のメンバーでもありました。ホセ・カレーニョ、アンヘル・コレーラ、ウラジーミル・マラーホフとDVD「素顔のスターダンサーたち(Born To Be Wild)」に出演したほか、DVD化された「海賊」と「真夏の夜の夢」にも主演しています。
ABTで活躍する傍ら2007年にノースカロライナ芸術大学の教師に就任したイーサンは、2011年にロイヤル・ニュージーランド・バレエの芸術監督に就任し、ダンサーよりも芸術監督業としての仕事に比重を移していました。
去年のABTの来日公演では「ドン・キホーテ」に主演する予定でしたが、その年のMETシーズンでは、教師としての仕事を優先させるために全公演の出演をキャンセルし、来日できませんでした。そのことがとても惜しまれます。イーサンのダンサーとしての記憶は、新国立劇場で吉田都さんと共演した「ライモンダ」と、志賀三佐枝さんと共演した「シンデレラ」が鮮烈に残っています。バランシン作品を軽々と踊りこなすテクニックと、明るくアメリカンな個性が魅力だったイーサンは、早速ロイヤル・ニュージーランド・バレエで様々な新機軸を打ち出し、意欲的に仕事に取り組んでいます。
イーサンのABTでの引退は残念ですが、ニュージーランドでの活躍を祈りたいです。
![]() | 真夏の夜の夢(アシュトン版) [DVD] 日本コロムビア 2011-07-20 売り上げランキング : 46610 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
![]() | 隔週刊 バレエDVDコレクション 2012年 1/17号 [分冊百科] デアゴスティーニ・ジャパン 2011-12-20 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
![]() | アメリカン・バレエ・シアター「素顔のスターダンサーたち」Born To Be Wild [DVD] TDKコア 2003-09-26 売り上げランキング : 56666 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
« パリ・オペラ座バレエ2013年5~6月来日公演「天井桟敷の人々」Paris Opera Ballet Japan Tour 2013, Les Enfants du Paradis | トップページ | 新国立劇場バレエ団2012/13年シーズンのラインアップ National Ballet of Japan's 2012/13 Season(追記あり) »
「ABT(アメリカン・バレエ・シアター)」カテゴリの記事
- アメリカン・バレエ・シアター(ABT)で アラン・ベル、カサンドラ・トレナリー、カルヴィン・ロイヤル3世、トーマス・フォースター、ジュウン・アン、スカイラー・ブラントがプリンシパルに(2020.09.11)
- アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の2019年METシーズン、ボッレのABTフェアウェル(2018.10.27)
- マルセロ・ゴメスがABTを退団(2017.12.22)
- ABTの2018年METシーズン、マクレガーの新作(2017.10.30)
- ABTの昇進発表、サラ・レーン、デヴォン・トゥッシャー、クリスティーン・シェフチェンコがプリンシパルに(2017.07.08)
コメント
« パリ・オペラ座バレエ2013年5~6月来日公演「天井桟敷の人々」Paris Opera Ballet Japan Tour 2013, Les Enfants du Paradis | トップページ | 新国立劇場バレエ団2012/13年シーズンのラインアップ National Ballet of Japan's 2012/13 Season(追記あり) »
やはりそうでしたか。
一度生の舞台を観たかったので、残念です。
私は映画とDVDしか観たことがなかったので、ほんとに残念。
ABTのプリンシパルは、ますます貧弱になりますね。
ゲストばかりだと、つまらない・・・そう思う人は多いと思うのですが。
投稿: ショコラ・ショー | 2012/01/24 22:35
ショコラ・ショーさん、こんばんは。
イーサンはキャリアの後半は怪我が多くて出演がキャンセルになってしまうことが多々で、なかなか日本では観られない人になってしまいましたよね。前回の来日公演のトワイラ・サープ作品での活躍ぶりはまだ心に残っていますが・・・。
それにしても、おっしゃるとおり、外部ゲストばかりに頼っているABTの方向性は私も賛成できません。自分たちのカンパニーのダンサーにチャンスを与えないで、外から手っ取り早くスターを呼んでくると、内部のモチベーションにも大きく影響が出ると思います。内部にも良いダンサーはたくさんいるのに。
投稿: naomi | 2012/01/25 02:40