BlogPeople


2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« ウィル・タケット×首藤康之 『鶴』/映画「今日と明日の間で」/首藤×小野絢子対談 | トップページ | シュツットガルト・バレエのオフィシャルサイトリニューアルオープン »

2011/10/02

10/1 新国立劇場バレエ団によるバレエ・オープニング・ガラ New National Theatre Ballet Opening Gala

新国立劇場バレエ団の新しいシーズンの幕開けを告げるガラ。プログラム構成は変化に富んだもので良かったと思う。ぎりぎりに会場に到着したら、場内でフラッシュが炊かれ拍手が起きて何ごとかと思ったら皇太子殿下が2階席のセンターに着席するところだった。(そういえばかつて新国立劇場バレエ団で吉田都さんとイーサン・スティーフェルが主演した「ライモンダ」を観た時に、美智子皇后陛下が来場されていたと思わず遠い目になってしまったのだった)

[スタッフ]
芸術監督:デヴィッド・ビントレー
照明  :立田雄士
舞台監督:森岡肇
指揮:大井剛史  
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

【第1部】

『アラジン』から「序曲」「砂漠への旅」「財宝の洞窟」 Aladdin
[振付]デヴィッド・ビントレー [音楽]カール・デイヴィス
[装置]ディック・バード [衣裳]スー・ブレイン [照明]マーク・ジョナサン
アラジン:八幡顕光
プリンセス:小野絢子
魔術師マグリブ人:マイレン・トレウバエフ
オニキスとパール:さいとう美帆、高橋有里、大和雅美、江本拓、菅野英男、福田圭吾
ゴールドとシルバー:西川貴子、丸尾孝子、貝川鐵夫、清水裕三郎
サファイア:湯川麻美子
ルビー:長田佳世、厚地康雄
エメラルド:芳賀望、寺島まゆみ、寺田亜沙子
ダイヤモンド:川村真樹

スペクタクル的な舞台展開、華麗なディヴェルティスマンが次々と繰り広げられるこのシーンをオープニングにしたのは良かったと思う。アラジン役に軽妙闊達な八幡さんはぴったりだし、魔法のように変化に富んだこの場面展開には思わず目を奪われてしまう。オニキスとパールは仮面をかぶっていてダンサーの顔がわからないけれども、それぞれきびきびした踊りで良かった。サファイアの湯川さんには華があり、雄弁で非常に魅力的だった。ルビーの長田さん、厚地さんには大人の色香があって思わず目が吸い寄せられてしまった。ダイヤモンドの川村さんは派手さはないけれども正統派のシックな輝きがあったし、コール・ドも美しかった。マイレンがプリンシパル陣で唯一ほとんど踊りがなかったのが残念だけど、このガラの幕を開けるという重要な役割を担ったというわけで。映画音楽的なメロディもよく耳に残るし、めくるめく踊りの展開は楽しさをうまく演出していた。


【第2部】
『眠れる森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ Sleeping Beauty
[振付]マリウス・プティパ [音楽]ピョートル・チャイコフスキー
オーロラ姫:小野絢子
デジレ王子:福岡雄大

小野さんは少々緊張していたのか、いつも以上に丁寧で慎重に踊っていたけれども、初々しさ、清らかさの中に見せる輝きがオーロラ役にぴったり。小柄なのに手脚を長く見せる踊り方ができていて、ラインがとても美しい。福岡さんはサポートはもう少しがんばってほしいところだけど、ヴァリエーションは実に見事で、着地音のしない高い跳躍、きれいなつま先も印象的。これからの新国立劇場バレエ団を代表する王子様ダンサーとなるのは彼だろうなと改めて実感した。


『ロメオとジュリエット』第1幕よりバルコニー・シーン Romeo and Juliet Balcony Scene
[振付]ケネス・マクミラン [音楽]セルゲイ・プロコフィエフ
ジュリエット:本島美和
ロメオ:山本隆之

これは正直まったくいただけなかった。山本さんは今月末からの「パゴダの王子」の王子役を調整不足で降板しているのだが、古典のテクニックを入れたバレエを踊るのはもう無理なのが明らかだった。ロミオのヴァリエーションは踊りやすいように振付を変えてしまっていたし、脚は上がらない、跳べない、リフトできない、パートナーも信頼して身を任せられないのでマクミラン特有のオフバランスのある振付通りに踊れない。そろそろ後進に道を譲るべきである。本島さんはお顔は美しいのだけど、いかり肩の体型ではジュリエットの衣装が似合わず、音楽性に欠けておりしなやかさもないため、そしてパートナーが前述のような体たらくということもあり「ロメオとジュリエット」という作品の疾走感、恋の高揚感がまったく出せていなかった。とにかくマクミランリフトがほとんどまともにできていないバルコニーシーンなんてあり得ない。デヴィット・ビントレーはこの舞台を果たして観ているのだろうか?観ていたらこのクオリティを良しとは決してしないはずである。たとえガラであったとしても、マクミラン財団はこれを観たら怒り心頭に発するだろう。


『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ Don Quixote
[振付]マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴルスキー
[改訂振付]アレクセイ・ファジェーチェフ [音楽]レオン・ミンクス
キトリ:米沢唯
バジル:菅野英男

先シーズン入団した米沢さん、菅野さんは二人とも実力を発揮して正統派のきっちりとしたクラシックバレエを見せてくれた。菅野さんは正確で美しくアカデミックな踊り、安定感のある片手リフト、ゆとりを持ったまっすぐなピルエットで気持ちよかった。米沢さんもテクニシャンで、きちんとしたアンドゥオール、扇子捌きも鮮やかに音にしっかりと合ったヴァリエーションを踊り、グランフェッテでは扇を上下させながらダブルも入れて余裕で回りきった。(途中で観客の手拍子が入ったのには興ざめしたが)彼らのような実力派を主役にどんどん起用できれば、新国立劇場の観客動員も安定するのではないかと思う。


『シンフォニー・イン・C』から最終楽章 Symphony in C
[振付]ジョージ・バランシン [音楽]ジョルジュ・ビゼー
[衣裳]大井昌子 [照明]磯野睦
第1楽章プリンシパル:長田佳世、福岡雄大
同 コリフェ:西山裕子、大和雅美、小口邦明、小柴富久修
第2楽章プリンシパル:川村真樹、貝川鐵夫
同 コリフェ:細田千晶、川口藍、清水裕三郎、田中俊太郎
第3楽章プリンシパル:寺田亜沙子、輪島拓也
同 コリフェ:寺島まゆみ、堀口純、野崎哲也、宝満直也
第4楽章プリンシパル:丸尾孝子、古川和則
同 コリフェ:さいとう美帆、高橋有里、アンダーシュ・ハンマル、原健太

「ジンフォニー・イン・C」の最終楽章は華やかで大好きな場面である。新国立劇場のコール・ドはとてもよく揃っていて精緻で素晴らしく、キラキラ感があった。ところがこのシーンには大問題があった。プリンシパルの中で、明らかにこの役には荷が重いというダンサーが散見されたことである。第4楽章の丸尾さんが不安定だったこともあるが、第3楽章の寺田さんが、誰が見てもわかるような明らかなミスを見せてぐらついただけでなく、終始この舞台の足を引っ張っていたのであった。コリフェ役の西山さんや寺島さん、さいとうさんあたりを起用すべきだったのではないかと思われた。一方、第1楽章プリンシパルの長田さんの切れ味鋭くも軽やかで音楽的なパには惚れ惚れとしたし、パートナーの福岡さんも素晴らしかった。また川村さんも輝かしく、音と戯れるように優雅に踊って目に快かった。コリフェのリーダー的な存在の大和さんが全体をよく引っ張り、群舞の完成度が非常に高かっただけに、一部プリンシパルのひどさが目に付いてしまって残念だった。また男性陣も、コリフェはなかなか見せてくれたのに、プリンシパルレベルでは正直福岡さん以外はちょっと弱かった。

以上、かなり辛口なことを書いてしまったが、新国立劇場に望むのはただ一点、実力に応じたキャスティングをしてほしいということである。このバレエ団のコール・ドは世界に誇れるレベルの高さであるし、ソリストでも八幡さん、長田さん、福岡さん、米沢さん、菅野さんなど素晴らしいダンサーをそろえているのに、なぜか実力不足のソリストが主役に抜擢されているこの状況が歯がゆい。東京のバレエの観客の目は肥えており、「ロメオとジュリエット」は今回最も拍手が少なかったのもはっきりと聞き取れた。デヴィッド・ビントレー芸術監督や、スタッフはしっかりとダンサーの実力を見極めて、その役に本当にふさわしいダンサーの起用を心がけてほしいと願う。

« ウィル・タケット×首藤康之 『鶴』/映画「今日と明日の間で」/首藤×小野絢子対談 | トップページ | シュツットガルト・バレエのオフィシャルサイトリニューアルオープン »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんにちは
フランスとドイツに行かれたみたいで、ご苦労様です。しかし強行軍ですねえ。
また、いまの日本では、来日予定になっていても来るかどうかわからないので
意外と、好きなものを見るには仕方ないことになるのかもしれません。
ちょうど
昨日、新国立劇場のガラがあったので
立ち寄りました。
うわさで、2階席をかなりクローズしていたのが完売の理由だったみたいですね。
あと
ロミジュリ、そんなへろへろの舞台って逆に興味がわいてしまいました。
あと
最後の「シンフォニー・イン・C」
評価が高いのが、ザハロワの代役をやって、私がめちゃくちゃ書いた、川村さんというのも
なんとなく出来がわかる気がします。
もしかして今年がこのバレエ団の今後を左右する年になりそうな予感がします。がんばってもらいたいですねえ。

せっかくの歯切れ良い批評が台無しになってしまいます・・・怒り心頭に発する、でお願いします。

zuikouさん、こんばんは。

本当はもっとゆっくり行きたかったのですが、この時期ってシルバーウィークで本当に航空券が高かったんですよね。円高もありさすがに行き、帰りとも飛行機は満席でした。

確かに、今の日本の状況では積極的に日本に来てとも言えず、どうしても観たいものは観に行くっていうのもひとつの手ではあります。とはいってもみんなが行きたがる時期は結局高いわけなのですが。

そうですね、2階席を来賓と報道陣用に貸し切っていたため、チケットの販売枚数が少なかったというのもあります。お値段もその分安かったのですが、休憩1回入れて2時間弱で終わってしまったので、もう少しあっても良かったかな、という気がします。(パ・ド・ドゥをもう2つくらい入れてみるとか。でも、今月末に「パゴダの王子」初演があるから大変なのかしら)

新国立劇場バレエ団は、全体の水準はとても高いので、ソリストの育成が課題となっているのではないかと思います。何がひとつきっかけがあれば、もっとお客さんも入るんだろうなって思うんですよね。小野さんが次代のスター候補筆頭なのですが、この日のできは彼女にしては今ひとつだったかもしれません。

mimiさん、こんばんは。

ご指摘ありがとうございます。修正しました。もっと日本語を勉強しなければなりませんよね。

私もいきました!二次販売のS席をゲットして・・
16列目なので端っこでも楽しかったです。

米沢さん、今後期待できそうですね。その前の本島さんよりよかったです。若さで勢いあまるというようなことはあっても、期待できそう!という印象が強い舞台でした。

Cでは丸尾さんが不満。彼女が設立当初からがんばっているのはわかるのですが、魅力を感じたことがないので、ここは西山さんかまゆみさんに〆てもらいたかったと思います。西山さん、まゆみさんファンとしては彼女らの出番が少ないこのごろのキャストには不満だったりします。

寺田さんはこの日ほとんど見ていなかったのですが、とはいってもエメラルドで不満だったのですが、力量以上のキャストが継続しているように思っていて、疑問。
まゆみさん、西山さんの出番が多いことを望んでいます。

長田さんについては、彼女の魅せ方に感動。好きなので、活躍してほしいのですが、まゆみさん、西山さんのほうがもっと好きなので、彼女らの主演や重要なキャストを切望しています。

buminekoさん、こんばんは。

私は会員先行でチケットを買ったのですが、前の方の端っこだったのでちょっと観づらかったですね。バランシンはやっぱり上から見たほうがきれいなので・・・16列くらいだとかえって端でも観やすいんですよね。

本当に米沢さんは今後にとても期待できそうです。これからどんどん華を身につけてほしいですね。そして西山さんやまゆみさんをインCのソリストで起用してほしかったというのも同感。

エメラルドは、「アラジン」の初演のときの中村誠さんと、寺島姉妹のトリオが素晴らしかったので、どうしても見方が厳しくなっちゃいますよね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ウィル・タケット×首藤康之 『鶴』/映画「今日と明日の間で」/首藤×小野絢子対談 | トップページ | シュツットガルト・バレエのオフィシャルサイトリニューアルオープン »