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2011/10/12

ビヨンセがケースマイケルの「ローサス・ダンス・ローサス」を盗作、騒動 Anne Teresa De Keersmaeker Responds to Beyoncé Video

ビヨンセの新曲「Countdown」のプロモーションビデオが、現代を代表する振付家の一人、アンヌ・テレサ・ド・ケースマイケルの代表作『ローザス・ダンス・ローザス』(1983年作品)を剽窃しているという件。しばらく前から騒動となっていましたが、海外の大手メディアも報じ、また当事者からのコメントも発表されたのでまとめてみます。

似ている点を30秒のビデオクリップにまとめたStudioBrusselの動画

ビヨンセの「Countdown」のプロモーションビデオ

これの 3:20-3:33のところと、

ケースマイケルの「ローザス・ダンス・ローザス」の0:49-1:03

はたしかに見比べてみるとそっくりです。

さらに問題となっているのは、このビヨンセのPVの共同監督アドリア・ペティが、「いくつかの参照元となる映像をビヨンセが選ぶのを手伝い、その多くはドイツのモダンダンスであった」と言っていることで、ケースマイケルがベルギーのダンス界を代表する振付家であることを念頭に置かないコメントをしてしまったことです。(ピナ・バウシュと混同しているのではないかという指摘があります)

さて、この件に関して、当のケースマイケルはThe Performance Clubというサイト宛に、コメントを寄せています。
http://theperformanceclub.org/2011/10/anne-teresa-de-keersmaeker-responds-to-beyonce-video/

要約すると、ケースマイケルはこう語っています。(同じ文章がケースマイケルのオフィシャルサイトにも掲載されています)

「ビヨンセのPVがRosas danst Rosas (1983) と Achterland (1990)という二つの作品のシーンを使用しているけど、ローサスを商業的に売り出す計画でもあるのか?」というメッセージをFacebookを通じて受け取って驚きました。実際にビヨンセのPVを見てみると、「ローサス・ダンス・ローサス」の動きだけでなく、衣装やセット、そして監督ティエリー・デ・メイによる撮影までもそっくりであると。さらに、30秒のStudio Brusselの動画で比較されているところはほんの一部であり、「Achterland」の動きの多くも取り入れているようです。

人々は私はこのことに対して怒っているのか、それとも名誉に思っているかのどちらか、と私に聞きました。そのどちらでもありません。むしろ、嬉しく思います。なぜなら、1980年代から「ローサス・ダンス・ローサス」がダンスの世界では人気のある作品でしたが、ダンスのパフォーマンスが今回の騒動がきっかけで得られた幅広い新しい観客層にリーチできるかもしれない機会は今までなかったと思われるからです。それにビヨンセは歌も踊りも上手で、趣味がよく、ただの真似っ子ではないからです。

しかしながら、一方ではこのように作品を引用することについては一定の手続きがあるはずであり、ビヨンセや彼女のチームがそのことに気がついていないはずはないと思います。まとめれば、私はこの騒動について怒っているわけではなく、いくつかのことについて考えさせられました。

どうしてポップカルチャーがダンスの実験的な作品を認識するのになぜ30年もかかってしまったんでしょうか。また、1980年代においては「ローサス・ダンス・ローサス」はガール・パワーの表明であり、性的な表現について女性的なスタンスをとった作品でした。その頃私は、「これはフェミニズムについての作品ですか」と聞かれたものです。現代においてビヨンセがこの作品を踊っているのを見て、素敵だとは思うけどエッジを感じられません。商業主義的なエンターテインメントのレベルにおいての誘惑性があるだけです。

作品の類似性を超えて、もうひとつ面白い偶然があります。誰もが、ビヨンセが妊娠4ヶ月でこの作品を踊っていると私に言いました。このティエリー・デ・メイによる映像が撮影された1996年に、私もまた2番目の子供を妊娠していたのです。だから、私はビヨンセには、私の娘がもたらしたのと同じ喜びがもたらされることを祈っています。

アンヌ・テレサ・ド・ケースマイケル
2011年10月10日


一部ではケースマイケルがこれは剽窃である、として怒っているという報道もありましたが、実際には上記の通り、大人の対応をとることにしたようです。


ところで、この剽窃騒動は、「剽窃」と「オマージュ」との差は一体なんだ、という議論を引き起こしています。

Guardianの記事
http://www.guardian.co.uk/stage/theatreblog/2011/oct/11/beyonce-de-keersmaeker-dance-move

まずこの「Countdown」のビデオ自体が、ケースマイケルの作品だけでなく、「パリの恋人」のオードリー・ヘップバーン、「唇からナイフ」のモニカ・ヴィッティ、「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールス、そしてシュープリームス時代のダイアナ・ロスなど60年代、70年代のポップカルチャーを引用しているものであるということがあります。さらにビヨンセのプロモーションビデオの多くが「レザボア・ドッグス」「バンドワゴン」「氷の微笑」などの映画からの引用を多く使っているということもあります。

一方で、ケースマイケルの作品「D'un soir un jour De Keersmaeker」では、彼女はニジンスキーの「牧神の午後」のシーン、そしてアントニオーニの映画「欲望」のシーンを引用しているとのことです。

この境界線は本当に微妙なものではありますが、「オマージュ」を呼ばれる引用を行う際には、オリジナルの作品にきちんと敬意を払って(クレジットをするなどして)作品を作ること、その精神を理解して引用することが必要なのではないかと思われます。

なお、ローサスによる「ローサス・ダンス・ローサス」は最近では2年前にロンドンのサドラーズ・ウェルズで上演されています。
http://www.theartsdesk.com/dance/rosas-danst-rosas-sadlers-wells

果たして、実演を見ていたらビヨンセやそのチームはこの「Countdown」のPVにこれを引用しようと考えただろうか?とThe Art Deskの Ismene Brown氏は問いかけています。
http://www.theartsdesk.com/dance/beyonc%C3%A9-stole-my-moves-says-high-priestess-modern-dance

いずれにしても、この騒動により、ケースマイケルと「ローサス・ダンス・ローサス」という作品が幅広い観客に知られることになったことは確実なようです。

New York Timesの記事
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2011/10/10/beyonce-accused-of-plagiarism-over-video/

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