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2011年10月

2011/10/30

11/5NHKプレミアムシアターでアナニアシヴィリの「ロメオとジュリエット」と「シルヴィ・ギエム 限界への挑戦」が放映

NHKのBSプレミアム「プレミアムシアター」2011年11月 5日(土)午後11:30~ 6日午前3:30(240分)において、以前「芸術劇場」でも放映された「アナニアシヴィリのバレエ『ロメオとジュリエット」(グルジア国立バレエ日本公演)が再放送されます。

ところで、NHKの番組表を見たところ、このアナニアシヴィリのバレエ「ロメオとジュリエット」の後に、「シルヴィ・ギエム 限界への挑戦 バレエ界の至宝を追った密着ドキュメンタリー」が放映される予定となっているとTwitterで教えていただきました。

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2011-11-05&ch=10&eid=19289

プレミアムシアター - アナニアシヴィリの“ロメオとジュリエット” /シルヴィ・ギエム 限界への挑戦 チャンネル :BSプレミアム 放送日 :2011年11月 5日(土) 放送時間 :午後11:30~ 6日午前3:30

「シルヴィ・ギエム 限界への挑戦 バレエ界の至宝を追った密着ドキュメンタリー 新作舞台に挑む貴重なリハーサルシーンや日本で見せた天才ダンサーの素顔」

という内容だそうです。まだプレミアムシアターのサイトには情報は掲載されていません。しかし、公演会場でもNHKのカメラが入っておりましたし(一部はすでにニュース番組で使用)、とても楽しみです。

今日、「シルヴィ・ギエム・オン・ステージ」Bプロを見て来ましたが、特にシルヴィが踊った、マッツ・エック振付「アジュー(Bye)」が言葉にできないくらい素晴らしかったです。果たして私に感想が書けるでしょうか。

マシュー・ボーンの新作は「眠れる森の美女」Matthew Bourne awakens Sleeping Beauty in 21st century

「白鳥の湖」を始め、「くるみ割り人形」「Highland Fling(ラ・シルフィード)」など古典バレエを大胆に翻案した作品を振付けているマシュー・ボーンですが、次の新作は「眠れる森の美女」だそうです。

http://www.guardian.co.uk/stage/2011/oct/26/matthew-bourne-sleeping-beauty

マシュー・ボーンのニューアドベンチャーズは、前身のアドベンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズを含めると今年で25周年を迎えます。その記念のシーズンとなる今シーズン、いくつかの作品をサドラーズ・ウェルズ劇場で上演します。

新作「眠れる森の美女」について、ボーンは以下のように述べています。

「一目で恋に落ちるという設定は今回は採用しない。眠りに落ちて、一度も会ったことのない他人のキスによって起こされてから恋に落ちて結婚するというのは、いい考えだと思っていないんだ。作品の中のもっと早い段階から始まり続いていくラブストーリーにしようと思っている」

この「眠れる森の美女」の世界初演は2012年のクリスマスを予定されており、ボーンはまだアイディアを作っている段階とのことです。しかしながら、すでに彼は、1幕の後においてもっとさまざまな出来事がおきるようにしたいと考えているとのことです。「オリジナルの作品では、オーロラが眠りに落ちた後はたいしたことは起きないでしょう」

また、古典のプロダクションと比較して、100年間の眠りの期間をもっと明確なものにしたいと考えているとのことです。通常、17世紀から18世紀へと移るだけで衣装なども大幅には変更されていません。ボーン版では、1890年にオーロラが洗礼式を受けているという設定となるそうですが、この年は、まさにプティパによる「眠れる森の美女」が初演された年であり、「妖精や吸血鬼、退廃的なものたちがゴシックなイマジネーションを豊かにした」という時代であったとのこと。そして悪の仙女がヒロインを眠らせた後、もっと堅苦しく保守的なエドワード7 世時代 (1901‐10)へと進み、そして2011年にオーロラが目覚めるという物語にするとのことです。

この「眠れる森の美女」のほか、今年のクリスマスには「くるみ割り人形」、5月に初期作品「Town and Country」「Spitfire」「The Infernal Galop」のトリプルビル、そして7月にはオリヴィエ賞を受賞した「プレイ・ウィザウト・ワーズ」を4週間上演するとのことです。


なお、これらのボーン作品が上演されるサドラーズ・ウェルズ劇場のほかのラインアップとしては、アクラム・カーン、ウェイン・マクレガー、バレエ・ボーイズのリバイバル作品のほか、ペット・ショップ・ボーイズとハヴィエル・デ・フルートス、元ロイヤル・バレエのイヴァン・プトロフが参加したコラボレーション「The Most Incredible Thing」が予定されています。

また、サドラーズ・ウェルズ劇場のゲストカンパニーとしては、6月、7月にバービカン・センターと共同で、ピナ・バウシュのヴッパタール舞踊団が彼女の作品10作品を上演するという素晴らしい企画もあります。


こちらのThe Dancing Timesにも、マシュー・ボーンのインタビューが掲載されています。
http://www.dancing-times.co.uk/news/item/712-matthew_bourne_anniversary

それによれば、マシューは、ニュー・アドベンチャーズは世間的には各作品ごとダンサーが集まるプロジェクトのように思われているけれども、実際には毎日クラスレッスンも行っているきちんとしたカンパニーであり、レパートリー作品を持っているし、何年もともに活動をしている、とても忠誠心の高い技術スタッフやパフォーマーによって構成されているということを強調しています。家族的なカンパニーなのだそうです。したがって、この25周年記念公演で、過去の歴史を振り返りつつ、新作も作ることにしたとのことです。

というわけで、マシュー・ボーンによる「眠れる森の美女」は本当に楽しみなプロダクションですね。「白鳥の湖」以外は彼の作品を観る機会は日本ではなかなかありませんが、ぜひ来日公演も実現してほしいものです。

2011/10/29

シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 HOPE JAPAN TOUR Aプロ

シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 
HOPE JAPAN TOUR Aプロ

10月22日(土) 3:00p.m. 東京文化会館

【第1部】

「白の組曲」 Suite de Blanc
シエスト:乾友子、高木綾、渡辺理恵
テーム・ヴァリエ(パ・ド・トロワ): 田中結子、木村和夫、後藤晴雄
セレナード:西村真由美
プレスト(パ・ド・サンク):佐伯知香、松下裕次、氷室友、長瀬直義、宮本祐宜
シガレット:吉岡美佳
マズルカ:木村和夫
アダージュ(パ・ド・ドゥ):上野水香、柄本弾
フルート:小出領子
東京バレエ団

「白の組曲」は前に「ルグリと素晴らしき仲間たち」公演でオペラ座と東京バレエ団との混成で観たことがある。こういう純粋な白い舞台しかも男女のコール・ドでの作品は、東京バレエ団にはちょっときついと思う。女性ダンサーのクオリティは高いものの、ここは男性は小柄な人が多いため、クラシック的な群舞を観るにはつらい。その中で、やはり木村さんは飛びぬけてラインも踊りも美しい人なので、パ・ド・トロワでもう一方の男性が雑でどうしようもない後藤さんだと差がつきすぎてこれがまたつらい。女性ではやはり柔らかく音楽性の豊かな西村さんと、フルートの小出さんが光っていた。これを観ると、オールニッポンチャリティガラでシガレットを踊った藤井美帆さんはさすがパリ・オペラ座の団員だけあって、美しかったなあと思わず遠い目になってしまう。


「マノン」より第一幕(寝室)のパ・ド・ドゥ Manon
シルヴィ・ギエム、マッシモ・ムッル

ロイヤル・バレエの来日公演で「マノン」を上演したときにシルヴィの回をパスしてしまったので、彼女のマノンの寝室のシーンを見るのは初めて。ギエムのマノンはファム・ファタル度は低く少し大人っぽくて賢く成熟したマノンではあったけれども、1幕のマノンらしい幼い無邪気さの中の仄かな魔性は感じさせた。マッシモ・ムッルは甘い雰囲気で、純朴というよりは少し遊び人的な部分があるのはさすがイタリア人?この人は本当に顔が小さくて脚が長くて華奢で綺麗な男性だ。膝をついた状態でのリフトに失敗していたのは惜しい。


「スプリング・アンド・フォール」よりパ・ド・ドゥ Spring and Fall
吉岡美佳、高岸直樹

吉岡さんの透明感があるしなやかな雰囲気はとても素敵だったのだけど、カールした前髪に違和感。(斉藤さんといい、ここの人たちはなんで昭和的な前髪なんでしょう)高岸さんは体型がちょっと崩れてきてしまった。せっかくの美しい演目なのだからもっと初々しい人で観たい。

【休 憩】

―第2部―

「田園の出来事」 A Month in the Country
ナターリヤ:シルヴィ・ギエム
ベリヤエフ(家庭教師):マッシモ・ムッル
ラキティン:後藤晴雄
ヴェラ(養女):小出領子
コーリア(息子): 松下裕次
イスライエフ:アンソニー・ダウエル
カーチャ(メイド):奈良春夏
マトヴェイ(従僕):永田雄大

この日の白眉。この1幕のためにチケット代を払ったといっても過言ではないだろう。オーストラリアバレエから借りてきたという、コスチュームプレイ映画に出てきそうな舞台装置や衣装も素敵だったし、田舎の上流階級の夫人らしい気品をたたえたギエムも美しかった。そして何より、シルヴィ・ギエムの演技者としての成熟振りを見ることができてよかった。彼女は、超人的な身体能力やスーパーウーマンのようなプロポーション、そして賢さが前に出てしまうところがあった印象が今までは強かった。だが、この日の彼女は、養女ヴェラに嫉妬の炎を燃やして激しく平手打ちをしたり、若いベリヤエフに心惹かれる気持ちを隠しきれなくなっておろおろしたり、しかし夫イスライエフの前では、ヴェラの訴えを取り合わないようにさせて取り繕って見せたり、メロドラマの中で平凡な女性の揺らぐ想いや愚かさをごく自然に演じていて、思わずその気持ちに寄り添ってしまった。去っていってしまったベリヤエフの後を追おうとするも追いきれず、ナタリヤは一人そっと涙を流す、その間、彼女の服のリボンに万感の思いを込めてキスをするベリヤリフの姿に気がつくこともなく、彼が去ってしまってから、彼が置いていった花一厘を見て立ち尽くす。その心引き裂かれ静かに涙するナタリヤの姿こそが、ダンスという形をとったドラマというものを象徴するものだとしみじみと思った。

無邪気さの中に女として目覚めつつあるヴェラの色香と少女の頑固さをたくみに演じた小出さん、達者な踊りを見せたコーリアの松下さん、民族衣装的なメイド服も素朴で愛らしい奈良さんは健闘。たまらなく魅力的で軽薄で、でも心優しいベリヤリフ役のマッシモ・ムッルも好演。ラキティンの後藤さんはいつもの巻き毛を撫で付けていたけど、実は相当生え際が後退している?狭量で卑俗な男の感じはよく出ていた。もちろん、この作品に重厚さとドラマティックさを加えていたのが、優しく包み込んでくれるようなイスライエフを演じたアンソニー・ダウエル。彼の指導により、この作品は1幕の中にもさまざまな感情や思惑が交錯し、さざなみのような想いを見る側にも残してくれる良い舞台に仕上がったものだと思われる。時間とお財布に余裕があれば、ぜひもう一度観たかった舞台であった。

指揮: アレクサンダー・イングラム
ピアノ: ケイト・シップウェイ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2011/10/26

新国立劇場バレエ団のブログスタート

土曜日にギエムのAプロを観に行ったり、昨日は東京国際映画祭で首藤康之さんのドキュメンタリー映画「今日と明日の間で」を観て、今日は同じく東京国際映画祭で「PINA」を観て、書くネタはいっぱいあるのですが、ここしばらく体調がすぐれず、なかなか感想を書くことができません。いずれ書きますのでしばしお待ちを。「PINA」は素晴らしかったです。3Dメガネももらったことですし、劇場公開されたらまた観に行きたいです。

予告されていた新国立劇場バレエ団のブログがようやくオープンしました。

http://www.nntt.jac.go.jp/nbj/blog/

30日に初演が迫った「パゴダの王子」の振付も仕上がったとのことで、衣装合わせ、着付けの様子とか、妖怪のイラストとか、いろいろと楽しい写真が載っています。本当に着物を着用するんですね~。できれば継続的に情報を随時提供して行ってほしいですね~。ブログはRSSで登録すると更新されるたびに通知が来るのが便利です。


なお、「没後150年 歌川国芳展」WEBサイトに、ビントレー監督のインタビュー記事が載ったとのことです。「パゴダの王子」の振付にあたり、浮世絵師歌川国芳の作品は振付家ビントレーにとって大きなインスピレーションの源となっているのですが、東京では、2011年12月17日より六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーにて「没後150年 歌川国芳展」が開催されるとのことです。歌川国芳の作品は本当に面白いので、こちらも楽しみですね。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20001696.html

没後150年 歌川国芳展
http://kuniyoshi.exhn.jp/


新国立劇場バレエ団といえば、新国立劇場のWEBショップに予約していた「アラジン」のDVDブックが届きました。まだ観ていないのですが、すごく楽しみです~。アトレ会員は10%引き&送料無料なのでこちらを利用しましたが、Amazonからも買えます。本の方はカラフルで詳しい作品紹介、デヴィッド・ビントレーと作曲家カール・デイヴィスの対談、バックステージツアーの模様などが載っています。

この本の記述によれば、「アラジン」はバーミンガム・ロイヤル・バレエに加え、ヒューストン・バレエでも上演されることが決まっており、新国立劇場から世界的な作品が飛び出したということで嬉しい限りです。

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2011/10/23

サンフランシスコ・バレエ「人魚姫」DVD・Blu-RayAmazon.co.jpでも予約可能に San Francisco Ballet "The Little Mermaid" John Neumeier

こちらもSide B-allet様からいただいた情報なのですが、先日NHKプレミアムでも放映されたサンフランシスコ・バレエの「人魚姫」(ジョン・ノイマイヤー振付)がDVD/Blu-Ray化され、輸入盤がAmazon.co.jpでも予約開始されたとのことです。Amazon.co.jpでの発売予定は10月25日とのこと。

発売元のサイト
http://www.cmajor-entertainment.com/catalogue/show/id/2462

http://www.cmajor-entertainment.com/catalogue/show/id/2462

The Little Mermaid

Composer: Lera Auerbach
Conductor: Martin West
Artists:
Choreography:John Neumeier,
The Little Mermaid:Yuan Yuan Tan,
The Poet : Lloyd Riggins
The Prince : Tilt Helimets
The Princess: Sarah Van Paten
Seawitch : Davit Karapetyan

Run time: 134 minutes
Bonus Material: The little Mermaid- behind the scenes
Subtitles Bonus: G, F
Region Code: 0 (worldwide)
War Memorial Opera House May 2011

ハンブルク・バレエの来日公演では、この作品の心を引き裂くばかりの圧倒的な力にねじ伏せられ、東京公演全部と愛知公演2回に通い詰めてしまいました。今回はサンフランシスコ・バレエでの上演を収録したものですが、オリジナル・キャストのロイド・リギンスが詩人役でゲスト出演。ヤンヤン・タンの人魚姫は、オリジナルのシルヴィア・アッツォーニとは印象がだいぶ違うものの、素晴らしい演技と踊りでやはり強く心を打たれました。DVD・Blu-Rayには特典映像もあるということなので、とても楽しみです。(楽しみすぎて、間違えてAmazon.ukとAmazon.co.jpと二重で注文してしまい、この記事を書いているときに気がついて一方をキャンセルしました)


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2011/10/22

10/28 ボリショイ劇場再オープンガラの生中継 Gala de réouverture du théâtre du Bolchoï

10月28日に、ボリショイ劇場再オープンを記念しての大々的なガラが行われます。
http://www.bolshoi.ru:81/en/poster/index.php?&hint26=20111028

このリオープニングガラ公演は、ARTEも劇場から生中継することになっていて、それもテレビだけではなく、インターネットで生中継されることになっているので、日本でも視聴することが可能です。しかしながら、日本時間は午前3時40分からです。ただ、159日間アーカイヴとして観ることもできるそうなので、これは楽しみですよね。

http://liveweb.arte.tv/fr/video/Gala_de_reouverture_du_theatre_du_Bolchoi_a_Moscou/

またBel Air が収録することになっているのですが、なぜかBel Airのサイトからは一度載っていたのに消えてしまいました。

オペラの出演者としては、アンジェラ・ゲオルギュー、プラシド・ドミンゴ、ディミトリー・ホフロトフスキー、ナタリー・デセイとスーパースターが予定されています。指揮はディミトリー・テミルカーノフ。
演目としては、「イオランタ」、「イーゴリ公」、「ドン・キホーテ」のパ・ド・ドゥ、「眠れる森の美女」のワルツ、「白鳥の湖」の抜粋などが上演されるとのこと。

ダンソマニに掲載されている、消えてしまったBelAirのサイトに載っていた演目はもっといろいろとあったようなので、たくさんバレエが観られることを期待したいです。


ちなみに、再オープンしたボリショイ劇場で最初に上演されるバレエ作品「眠れる森の美女」のキャストが発表されており、以下の通りとなっています。

http://www.bolshoi.ru:81/en/season/ballet/premieres/detail.php?&id26=442&act26=info

- 18/11 : Zakharova/Hallberg/Allash
- 19/11 : Kaptsova/Volchkov/Shipulina
- 20/11 : Zakharova/Hallberg/Allash
- 23/11 : Alexandrova/Tsiskaridze/Shipulina
- 24/11 : Krysanova/Chudin/Smirnova (!)
- 25/11 : Nikulina/Ovcharenko/Allash

初日をスヴェトラーナ・ザハロワと移籍したばかりのデヴィッド・ホールバーグが踊るほか、今年入団したばかりの注目の新人オルガ・スミルノワが早くも24日にリラの精役で出演します。

毎日新聞の記事によれば、この「眠れる森の美女」のチケットは入手困難なプラチナ・チケットとなることが予測されているそうです。
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2011/09/29/20110929k0000e030036000c.html

追記;ボリショイ・バレエの公演の映画館による中継は以下の作品が予定されています。

Esmeralda (9 October): Maria Alexandrova, Denis Savin
http://www.balletincinema.com/titles/esmeralda-bolshoi/

Bolshoi Reopening Gala (28 October ): Natalia Osipova, Svetlana Zakharova, Ivan Vasiliev, Plácido Domingo, Dmitri Hvorostovsky, Natalie Dessay, Violeta Urmana
http://www.balletincinema.com/titles/the-bolshoi-re-opening-gala/

Sleeping Beauty (20 November): Svetlana Zakharova, David Hallberg
http://www.balletincinema.com/titles/the-sleeping-beauty-bolshoi/

The Nutcracker: Nina Kaptsova, Artem Ovcharenko
http://www.balletincinema.com/titles/the-nutcracker-bolshoi/


ついでに、ロイヤル・バレエの「眠れる森の美女」も映画館による中継が予定されています。
The Sleeping Beauty (15 December): Lauren Cuthbertson, Sergei Polunin
http://www.balletincinema.com/titles/the-sleeping-beauty-royal-ballet/


追記:Arteでアーカイヴを見ることもできますが、YTにもアップされています。

2011/10/21

東日本大震災復興支援チャリティ・ガラ HOPE JAPAN Sylvie Guillem's The Tohoku Earthquake Relief Gala "Hope Japan"

東日本大震災復興支援チャリティ・ガラ 
HOPE JAPAN

出演者がさまざまなジャンルから来ているものの、みな一流のアーティストであり、彼らが気迫に満ち、心をこめて日本の被災者のために力をあわせて渾身のパフォーマンスを見せてくれた、特別な一夜であった。この場にいることができて幸せだった。

10月19日(水) 6:30p.m. 東京文化会館

【第1部】

現代のためのミサ」より"ジャーク"(バレエ「ダンス・イン・ザ・ミラー」より)
「ピエール・アンリ音楽/モーリス・ベジャール振付
東京バレエ団

ダンサーが、とか振付が、というより電子音がキンキン響いて耳に不快だった。この作品の音楽を作曲したピエール・アンリを追悼するための作品であるため、この音楽を使わなくてはならなかったのだろうが、もう少し録音状態の良いものを使ってほしかった。和太鼓や横笛、アカペラのメゾソプラノ独唱、チェロ、そしてオーケストラ演奏と音楽も質の高いものを全体として使っていたのに、最初のこの音はなんとかならなかったのだろうか。1階席から観ていたので、ガチャガチャしていて何が起きているのかもわからず、ベジャール作品の魅力であるフォーメーションのよさも味わえなかった。唯一、ソリストの松下さんの踊りは生き生きしていて良かったと感じた。ベジャールなら他の作品を上演した方がバレエ団の魅力が生かせたのでは?


ニネット・ド・ヴァロワによる詩「満ち足りた幽霊」「子どもの言うには・・・」
朗読:アンソニー・ダウエル

ダウエル氏が、今までのたびたびの日本訪問で受けた印象と震災へのお見舞いを心のこもった言葉で述べた後、ロイヤル・バレエの創立者である故ニネット・ド・ヴァロワ女史による詩二編が朗読された。まるで今回の震災の犠牲者とその遺族に向けた鎮魂の詩であるかのような、人間の魂とは何かを問いかける美しい詩で、よく通る声で非常に聞き取りやすく(字幕も表示され)さらりと読んでくださったので心にしみた。(ニネット・ド・ヴァロワがこのように詩にもすぐれた才能を発揮し、イェーツと親交があったことは初めて今回知った)


「ルナ」
ヨハン・セバスチャン・バッハ音楽/モーリス・ベジャール振付
シルヴィ・ギエム

実はこの作品を観るのは初めて。ギエムはずいぶんと筋肉質で男前な身体になったものだと思ったけれども、ポワントを履いた足先も長い肢体も美しく凛としてエレガンスがあり、白く輝く月の女神らしい神秘性があった。


「アルルの女」より
ジョルジュ・ビゼー音楽/ローラン・プティ振付
マッシモ・ムッル

前回観た時よりほっそりとして、長く伸びた髪をうしろでまとめたマッシモ。姿の見えないアルルの女の幻に取り憑かれた彼が、狂気にいたるまで苦悩する姿は繊細で、いかにも恋に破滅する男の姿をしている。全編観たくなってしまった。(カーテンコールで東京バレエ団のダンサーと並んだときの、マッシモの顔の小ささには驚いた)


「火の道」
舞踊:花柳壽輔  横笛:藤舎名生  太鼓:林英哲

下手に横笛、上手に太鼓。横笛と太鼓の掛け合いが、太鼓のエネルギッシュな力強さに対して、アヴァンギャルドなまでの笛の響き。インプロヴィゼーションのようだった。古典芸能を聴いているよりはまるでフリージャズのようで、これはこれでとてもかっこいい。途中で真ん中に道が開け、花柳壽輔さんが登場する。その存在感、研ぎ澄まされた一挙一動の重み、小刻みの摺り足。花柳壽輔さんはなんと80歳なのだというけど、とてもとてもその年齢には見えず、色気もあってしびれるほど素敵だった。3人とも気迫が凄い。


【第2部】


「ダンス組曲」より
ヨハン・セバスチャン・バッハ音楽/ジェローム・ロビンズ振付
マニュエル・ルグリ  チェロ:遠藤真理

以前「エトワール・ガラ」で同じ演目を踊った時には、チェリストが少々覚束ない感じであったのだが、今日の遠藤真理さんは素晴らしい演奏を聞かせてくれた。「ダンス組曲」はバッハの無伴奏チェロ組曲の中の4曲を使用するが、本日は5番サラバンド、6番プレリュードを使用。赤いベルベットのトップスに異素材の赤いジャージのルグリは、以前観たときよりも若々しく精悍な印象。白い歯を見せてチェリストに笑いかける姿もいたずらっぽくて魅力的だったし、踊りの方も、エレガントで音楽と戯れるように軽やかで、くるくるとグランピルエットを回る姿も正確で美しかった。たったこれだけのために来日してくれて、本当に感謝。(そしてこの日はルグリの誕生日でもあった)


「十五夜お月さん」「五木の子守唄」「シャボン玉」「赤とんぼ」「さくらさくら」
歌:藤村実穂子

藤村実穂子さんの5つの日本の歌はまろやかで豊かな歌声で、日本歌曲の美しいメロディを隅々まで味わうことができた。広い東京文化会館でアカペラの独唱なのに、全体によく響き包み込むようなスケールの大きな声には優しさがあった。歌詞の中からは、日本の四季折々の美しい自然が思い起こされ、日本という国の美しさを改めて思った。


「ボレロ」
モーリス・ラヴェル音楽/モーリス・ベジャール振付
シルヴィ・ギエム  東京バレエ団
指揮:アレクサンダー・イングラム
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

最近は本当に多くのダンサーが「ボレロ」を踊っているけど、やはりこれは特別な作品で、誰も彼も「ボレロ」を踊ってはいけないって思った。今までのギエムは女戦士というイメージ(ドラクロワ「民衆を率いる自由の女神」的)だったけど今日はもっとシンプルで飾り気をいっさいそぎ落としていて優しく、しかし力を込めなくとも高々とぴんと上がる脚や、軽やかな跳躍、その中に凛とした強い祈りと意思がこもっていた。「ボレロ」は踊る人の内面がモロに出る作品なので、いくらテクニックがあっても中身が空っぽだと実に空しい作品となる。今回のギエムの踊りには慈愛、鎮魂とともにある種強い怒りも感じた。インタビューを読んでいたからかもしれないけど、原発事故への怒りと復興への祈りと。そしてクライマックスにむけて、ギエムの視線が客席に送られて、呼びかけられているのを感じた。「さあ、一緒に立ち上がりましょう。あなたたちは一人ではない。私たちがついているわ」という強いメッセージとエールがこめられていた。その想いを感じると、自然に涙があふれて止まらなくなった。3月11日の震災以来日本が味わってきた苦難の日々。なかでも、被災地の人々が未だに苦しめられている現実。そういったさまざまな思いが去来した。


カーテンコールでは、呼びかけ人でギエムが一人カーテンコールの中央に立つことはなく、出演者が勢ぞろいしたときも右の端にいたりして、本当に彼女は謙虚な人なんだと思った。客席に向ける笑顔もとても幸せそうで優しげだった。途中のカーテンコールではルグリと手をつないでいたのも印象的だった。満員の客席は上階にいたるまで総立ちでカーテンコールはとても長く続いた。本当にシルヴィ、そして出演者の皆さん、ありがとう。最初発表されたときには、バレエ作品が意外と少なくて、もっとバレエがあればいいのにと思ったのだが、実際にこの舞台に接してみると、この構成で良かったのだ。(ただし、オープニングだけは別の演目の方が良かったと思うけど)

追記:シルヴィ・ギエムの記者会見のレポートがNBSのオフィシャルにアップされています。
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-369.html

2011/10/20

東京バレエ団<ニジンスキー・ガラ>公演概要決定 Tokyo Ballet & Vladimir Malakhov Nijinsky Gala 2012/1

2012年の幕開けを飾る、東京バレエ団<ニジンスキー・ガラ>の公演概要が決定しました。

ウラジーミル・マラーホフに加え、ベルリン国立バレエ団ソリストのディヌ・タマズラカルがゲスト出演し、「薔薇の精」に出演します。
マラーホフは、「ペトルーシュカ」に全公演出演するほか、「レ・シルフィード」、「牧神の午後」にも日替わりで出演が決定しています。


東京バレエ団<ニジンスキー・ガラ>

●公演日程
2012年
1月12 日(木) 7:00p.m.
1月13 日(金) 7:00p.m.
1月14 日(土) 3:00p.m.

●会場:東京文化会館

●入場料(税込)
S=¥12,000 A=¥10,000 B=¥8,000 
C=¥6,000 D=¥5,000  E=¥4,000 
※未就学児童のご入場はお断りします。

●前売開始日:11月19日(土)10:00a.m.より

●上演作品
 「ペトルーシュカ」
  (振付:M.フォーキン、音楽:I.ストラヴィンスキー)
 「レ・シルフィード」
  (振付:M.フォーキン、音楽:F.ショパン) 
 「薔薇の精」  
  (振付:M.フォーキン、音楽:C.v.ウェーバー)
 「牧神の午後」  
  (振付:V.ニジンスキー、音楽:C.ドビュッシー) 

●ゲスト出演
 ウラジーミル・マラーホフ(ベルリン国立バレエ団芸術監督)
 ディヌ・タマズラカル(ベルリン国立バレエ団ソリスト)

●予定される主な配役

「レ・シルフィード」

 詩人:木村和夫(1/12、14)、ウラジーミル・マラーホフ(1/13)
 プレリュード:吉岡美佳(1/12、13)、小出領子(1/14)
 ワルツ:高木 綾(1/12、14)、佐伯知香(1/13)
 マズルカ:田中結子(1/12、14)、奈良春夏(1/13)

「牧神の午後」

 牧神:ウラジーミル・マラーホフ(1/12、14)、後藤晴雄(1/13)
 ニンフ:上野水香(1/12、14)、井脇幸江(1/13)

「薔薇の精」

 薔薇の精:ディヌ・タマズラカル
 少女:吉川留衣(1/12、14)、高村順子(1/13)

「ペトルーシュカ」

 ペトルーシュカ:ウラジーミル・マラーホフ
 バレリーナ:小出領子(1/12、13)、佐伯知香(1/14)
 ムーア人:後藤晴雄(1/12、14)、森川茉央(1/13)
 シャルラタン:柄本弾

※配役は2011年10月19日現在の予定です。出演者の怪我等の理由により変更になる場合がありますので、ご了承の上チケットをお求めください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、日にちの振替はいたしません。正式な配役は公演当日に発表いたします。


●指揮:ワレリー・オブジャニコフ

●演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

●お問い合わせ:NBSチケットセンター 03-3791-8888

アリーナ・コジョカル・ドリーム・プロジェクト 2012年2月 Alina Cojocaru Dream Project

「アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト」の概要が発表されました。(HOPE JAPANガラの際に簡易チラシ配布あり)

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/archivelist/post-368.html

●公演日時
 <Aプロ>
 2012年
 2月17日(金) 6:30p.m.
 2月18日(土) 3:00p.m.
 2月19日(日) 3:00p.m.

 <Bプロ>
 2012年
 2月21日(火) 6:30p.m.
 2月22日(水) 6:30p.m.
 2月23日(木) 6:30p.m.

●会場:ゆうぽうとホール

●入場料(税込)
S=¥14,000 A=¥12,000 B=¥9,000 C=¥6,000 D=¥4,000 

●前売開始日:11月19日(土)10:00a.m.より

●出演
 アリーナ・コジョカル (英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル) Alina Cojocaru
 
 ローレン・カスバートソン(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル) Lauren Cuthbartson
 ダリア・クリメントヴァ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ シニア・プリンシパル、Bプロのみ) Daria Klimentova
 ヨハン・コボー (英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル) Johan Kobborg
 ロベルタ・マルケス(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル) Roberta Marquez
 スティーヴン・マックレー (英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル) Steven McRae
 ワディム・ムンタギロフ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ プリンシパル) Vadim Muntagirov
 セルゲイ・ポルーニン (英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル) Sergei Polunin
 チャーリー・シエム(ヴァイオリニスト、Aプロのみ)Charlie Siem

 東京バレエ団

●予定されるプログラム

<Aプロ>

ラリナ・ワルツ Larina Waltz
振付:リアム・スカーレット/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー Liam Scarlett
全員

未定   
ロベルタ・マルケス、ヨハン・コボー

「眠れる森の美女」よりローズ・アダージオ Rose Adagio from Sleeping Beauty
振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ワディム・ムンタギロフ、セルゲイ・ポルーニン

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ Tchaikovsky Pas De Deux
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ローレン・カスバートソン、ワディム・ムンタギロフ

レ・リュタン Les Lutins
振付:ヨハン・コボー/音楽:ヴィェニャフスキ、バッジーニ Johan Kobborg
アリーナ・コジョカル、スティーヴン・マックレー、セルゲイ・ポルーニン、
チャーリー・シエム(ヴァイオリン)、ピアニスト

エチュード Etudes
振付:ハラルド・ランダー/音楽:カール・チェルニー Harald Lander
アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、セルゲイ・ポルーニン
東京バレエ団


<Bプロ>

ラリナ・ワルツ  Larina Waltz
振付:リアム・スカーレット/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー Liam Scarlett
全員

タランテラ Tarantella
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ルイ・モロー・ゴットシャルク George Balanchine
ロベルタ・マルケス、スティーヴン・マックレー

未定
ダリア・クリメントヴァ、ワディム・ムンタギロフ

ディアナとアクテオン Diana and Actaeon
振付:アグリッピーナ・ワガノワ/音楽:チェーザレ・プーニ Agrippina Vaganova
ローレン・カスバートソン、セルゲイ・ポルーニン

未定  
アリーナ・コジョカル、相手役未定

ザ・レッスン The Lesson
振付:フレミング・フリント/音楽:ジョルジュ・ドルリュー Fleming Flint
ヨハン・コボー、アリーナ・コジョカル、ダリア・クリメントヴァ

「ドン・キホーテ」ディヴェルティスマン Don Quixote Divertissement
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
アリーナ・コジョカル、ローレン・カスバートソン、ロベルタ・マルケス、ダリア・クリメントヴァ
ヨハン・コボー、セルゲイ・ポルーニン、スティーヴン・マックレー、ワディム・ムンタギロフ
東京バレエ団

******
出演者については、当初発表されていた4人に加え、ロベルタ・マルケス、ローレン・カスバートソンという二人のロイヤルの女性プリンシパルが加わり、さらに、ENBで「ヌレエフとフォンテーンの再来」とセンセーションを起こし、BBCのドキュメンタリーでもシリーズで取り上げられたダリア・クリメントヴァとワディム・ムンタギロフが出演して、とても豪華なものになりました。

また、演目については、ロイヤル・バレエのファースト・アーティストにして、振付家として頭角を現しているリアム・スカーレットの作品が初めて日本でお目見えするほか、フレミング・フリントの怪作「ザ・レッスン」、そしてBプロの「ドン・キホーテディヴェルティスマン」ととても興味深いものとなっています。ステーヴン・マックレーの「タランテラ」なんて凄そうですよね。未定の演目は何が入るんでしょうね。アシュトンやマクミラン作品だといいなって思います。

追記:ダリア・クリメントヴァとワディム・ムンタギロフをフィーチャーしたドキュメンタリー番組「Agony and Ecstasy」がYouTubeにアップされているので、ぜひご覧になることをお勧めします。とても面白い内容です。

2011/10/19

新国立劇場バレエ団「アンナ・カレーニナ」のキャスト発表 Boris Eifman's Anna Karenina at New National Theatre Ballet March 2012

2012年3月に新国立劇場バレエ団が上演するボリス・エイフマン振付「アンナ・カレーニナ」のキャストが会報「ジ・アトレ」に出ていました。今回はちゃんと「主要キャスト決定」の告知が出ていましたね。

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/20000450_ballet.html

【3/16(金)・20(火・祝)】
アンナ:厚木三杏
カレーニン:山本隆之
ヴロンスキー:貝川鐵夫

【3/17(土)マチネ・18(日)】
アンナ:ニーナ・スミエヴェッツ(エイフマン・バレエ)
カレーニン:オレグ・マルコフ(エイフマン・バレエ)
ヴロンスキー:オレグ・ガヴィシェフ(エイフマン・バレエ)

【3/17(土)ソワレ】
アンナ:長田佳世
カレーニン:福岡雄大
ヴロンスキー:厚地康雄

ということで、ゲストは、アンナ役、ヴロンスキー役のゲストは前回と同じエイフマン・バレエのキャスト、カレーニン役だけ前回とは別のオレグ・マルコフです。それからファーストキャストは前回と同じですが、17日ソワレには、長田さん、福岡さん、厚地さんという魅力的なキャストとなりました。

「アンナ・カレーニナ」は作品自体とても良かったですし今や新国立劇場に残る数少ないロシア色のある作品なので、とても楽しみにしています。

ウィーン国立バレエ団 名古屋公演 「こうもり」にルグリ出演

あずきくりーむのブログさんからいただいた情報ですが、
http://azukicream.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-32fd.html

ウィーン国立バレエ団 名古屋公演 「こうもり」の公演日程が発表されています。(東京はまだですね)
http://hicbc.com/event/nimf/about/35th/20120505/main.htm

芸術監督 マニュエル・ルグリ(ウルリック役)
振付 ローラン・プティ
管弦楽 日本センチュリー交響楽団
音楽
ヨハン・シュトラウスII世(ダグラス・ガムレイ編曲)

公演日 2012年5月5日(土)15:00
会場 愛知県芸術劇場大ホール
料金 S\17,000 A\15,000 B\12,000 C\9,000 D\6,000

ウルリック役でルグリが出演します!東京公演も同じように期待してよいのでしょうか?

2011/10/18

毎日新聞「ボリショイ最終幕:岩田守弘の新たな挑戦」/追記

購読している毎日新聞の夕刊の1面右側のクローズアップにボリショイ・バレエの岩田守弘さんの写真が載っていました。そして、「ボリショイ最終幕:岩田守弘の新たな挑戦」と題したシリーズが今日から始まったことを知りました。

http://mainichi.jp/select/world/news/20111017dde007040016000c.html

デヴィッド・ホールバーグのボリショイ・バレエ入団が大きな話題となりましたが、彼よりも先に外国人として初めてソリストになったのが岩田さん。166センチと同バレエ団でももっとも小柄で、外国人である彼が世界最高峰の劇場でソリストになったのは本当に凄いことだと思います。そして、岩田さんが退団予定を発表したことは、各紙で大きく取り上げられNHKのニュースでも放映されました。

ボリショイ劇場のソリスト、岩田守弘さん退団へ(実際にはファースト・ソリストです)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20111008-OYT1T00765.htm

Bolshoi Theater principal soloist Iwata to retire
http://www.asahi.com/english/TKY201110110206.html

バレエの世界最高峰の一つボリショイ劇場で唯一の日本人ダンサーが最後のシーズンを迎えた。その心境や新しい挑戦にかける思いに迫った。

今回のシリーズでは、かなり岩田さんの内面に踏み入った内容でとても興味深いものです。「ボリショイは才能あるダンサーの墓場なのよ」。20年来の親交がある千野真沙美さん(国立ロシア・バレエ団ソリスト)の言葉も、真実味があります。


岩田守弘さんのブログ(ボリショイ退団について)
http://ibashika.exblog.jp/16953521/

前向きで明るい人柄が伝わってくる彼のブログは、読んでいてとても楽しく、ポジティブな力をもらえますね。


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追記:岩田守弘さんのブログによれば、来日公演「白鳥の湖」に道化役で出演するとのこと。ボリショイでの来日はこれが最後とのことです。

http://ibashika.exblog.jp/16993834/

ジャパンアーツのブログにも、日本公演出演のお知らせが、上記連載の紹介とともに掲載されていました。
http://ja-ballet.seesaa.net/article/231319368.html

2011/10/17

SWAN MAGAZINE Vol.25 2011 秋号

SWAN MAGAZINE Vol.25 2011 秋号が発行されました。

http://www.heibonsha.co.jp/swanmagazine/

この号は力が入っています。ひとつはローラン・プティの追悼特集。ローラン・プティの生涯を振り返るとともに、彼の作品を豊富な写真やミューズたちを通して語ります。パリ・オペラ座での上演での写真を古くから最近まで多数掲載し、ジジ・ジャンメール、ドミニク・カルフーニそしてニコラ・ル=リッシュら彼の作品を踊ったダンサーにもスポットを当てます。

さらに、日本のバレエ団とプティということで牧阿佐美バレヱ団や新国立劇場での上演、そして日本人として初めてプティ作品を踊った元マルセイユ・バレエ団の宮城昇さんの貴重なインタビューも。

そしてもうひとつの目玉は、「SWAN モスクワ編」。「アグリー・ダック」をリリアナが渾身の演技をこめて踊りますが・・・ここから先はぜひ本誌をお読みください。(ネタばれになってしまいますので)大変ドラマティックな展開が待っています。

他にも、ジョゼ・マルティネスのパリ・オペラ座バレエアデュー公演「天井桟敷の人々」のルポや、海外で活躍する日本人ダンサーのインタビューの小特集など、読み応えがあります。ウィーン国立バレエ団の木本全優さんは、ラコットにより同バレエ団の「ラ・シルフィード」のファーストキャストに抜擢されるなど、本格的に大きく成長されていますよね。また、ノルウェー国立バレエの西野麻衣子さんは、日本人として数少ない「オネーギン」のタチヤーナ役を踊ることを許されたダンサーとして、また今シーズンは「白鳥の湖」のオデット/オディールを踊る予定になっているなど活躍されています。

西野麻衣子さんの記事(ノルウェー語ですが写真が豊富です)
http://www.dagbladet.no/2008/11/30/magasinet/sondag/ballett/3861952/

ジョゼ・マルティネス アデュー公演「天井桟敷の人々」
文・加納雪乃

[パリ・オペラ座に夢中!]
ガルニエ宮にレストランがオープン!!
文・加納雪乃 写真・村松史郎

[特集]
パリ、ジュテーム ローラン・プティの世界 (1924-2011)

舞台の魔術師 ローラン・プティ
文・渡辺真弓

[フォトアルバム]
パリ・オペラ座とプティ/略年譜

-プティ元年1996- 日本のバレエ団とプティ 文・上野房子

[インタビュー]
宮城 昇  文・桜井多佳子

[連載]
SHOKO's story いままで、そしてこれから{3}

海外で活躍する日本人ダンサーたち
文・友沢裕子・菘あつこ
中ノ目知章(キール州立劇場バレエ団)/木本全優(ウイーン国立バレエ)/西野麻衣子(ノルウェー国立バレエ)

[Preview]
東京小牧バレエ団「ペトルウシュカ」「シェヘラザード」
文・渡辺真弓

パリ・オペラ座バレエ学校の四季[夏-秋] 文・上野裕子

[連載 バレエ漫画 第8話]
SWAN モスクワ編


SWAN MAGAZINE―スワン・マガジン Vol.25 2011 秋号SWAN MAGAZINE―スワン・マガジン Vol.25 2011 秋号
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2011/10/16

ハンブルク・バレエのオーストラリア公演2012年8月~9月 Hamburg State Opera, THE HAMBURG BALLET goes Down Under

ハンブルク・バレエは1月~2月はアジアツアーということで北京、香港、上海で公演を行いますが、来年夏には、オーストラリアのブリスベンでの公演を行います。

http://www.hamburgballett.de/e/index.htm

この公演は画期的なもので、38年ぶりにハンブルク州立オペラ劇場とハンブルク・バレエが合同で公演を行います。上演演目はノイマイヤー振付の「ニジンスキー」と「真夏の夜の夢」の2作品。オペラの方は、マーラーの「復活」とワーグナーの「ラインの黄金」を上演します。
http://www.hamburgballett.de/e/gastspiel.htm

Performances of THE HAMBURG BALLET
Nijinsky
August 26, 27 and 28, 2012
A Midsummer Night's Dream
August 30 and 31; September 1, 2 (2x), 3, 4 and 5, 2012

クイーンズランドパフォーミングアーツセンター
http://www.qpac.com.au/

同センターのハンブルク・バレエ情報サイト
http://www.qpac.com.au/waitlist/Hamburg.aspx

なお、ハンブルク・バレエのツアーとしては5月3日~7日にモスクワのモスクワ音楽劇場で、「マーラー交響曲3番」と「ニジンスキー」の公演も行います。

2011/10/15

ABT 2012年アジアツアー(台北、ソウル)/台北 2012 6TH BALLET STAR GALA

ABTの2012年7月のカレンダーを見ていて気がつきました。

http://www.abt.org/calendar.aspx?startdate=7/1/2012

2012年7月12日~15日、台北の国家戯劇院にてミックス・プロと「ラ・バヤデール」を上演

2012年7月18日~22日 ソウルのソウル・アーツセンターにて「ジゼル」を上演

両方とも日本から近いところなので、遠征を考えられる方もいるのでは?来年の夏はおそらく7月下旬~8月に世界バレエフェスティバルが予定されているかと思いますが、7月は今のところは大きな予定はないはずです。

*******
この台北の国家戯劇院では、2012年1月7日、8日に2012 6TH BALLET STAR GALAが開催されます。毎年恒例となってきたこのガラは、出演者がとても豪華です。
http://www.ntch.edu.tw/englishProgram/show/2c908135328ac3660132b4383ebe0389

ガラのオフィシャルサイト(まだ去年の情報)
http://www.balletstargala.com/

Facebookサイト(こちらは写真や情報満載)
http://www.facebook.com/pages/International-Ballet-Star-Gala-in-Taipei-%E5%9C%8B%E9%9A%9B%E8%8A%AD%E8%95%BE%E8%88%9E%E6%98%9F%E5%9C%A8%E5%8F%B0%E5%8C%97/62979118299

Paris Opera Ballet- Isabelle Ciaravola / Yann Saiz イザベル・シアラヴォラ、ヤン・サイズ
Mariinsky Theater- Obraztsova Evgenia / Igor Kolb エフゲーニャ・オブラスツォーワ、イーゴリ・コルプ
Staatsballett Berlin- Polina Semionova / Dmitry Semionov ポリーナ・セミオノワ、ドミトリー・セミオノフ
San Francisco Ballet- Maria Kochetkova  マリア・コチェトコワ
American Ballet Theatern-Daniil Simkin  ダニール・シムキン
The National Ballet of Canada-Sonia Rodriguez / Jiri Jelinek ソニア・ロドリゲス、イリ・イェリネク
Stuttgart Ballet- Alicia Amatriain / Jason Reilly  アリシア・アマトリアン、ジェイソン・レイリー
Universal Ballet of Korea- HyeMin Hwang / JaeYong Ohm ファン・ヘミン、オム・ジェヨン

ロイヤル・バレエ「アシュトン・トリプル・ビル」DVD発売/アシュトン財団設立 Frederick Ashton: Triple Bill DVD & Ashton Foundation Launched

ロイヤル・オペラハウスのサイトで、DVD「アシュトン・トリプルビル」が発売されることが告知されていました。

Royal Ballet Triple Bill DVD available to pre-order
http://www.roh.org.uk/news/royal-ballet-triple-bill-dvd-available-to-pre-order

「Les Patineurs(レ・パティヌール スケートをする人々」「Divertissement ディヴェルティスマン」「Scènes de ballet バレエの情景」の3本立てで、ロイヤル・オペラハウスのサイトでは11月1日発売だそうです。

LES PATINEURS

Music: Giacomo Meyerbeer

Laura Morera, Samantha Raine, Steven McRae, Sarah Lamb, Rupert Pennefather, Christina Arestis, Francesca Filpi, Ryoichi Hirano, Kenta Kura, Liam Scarlett, Andrej Uspenski.

Conductor: Paul Murphy

DIVERTISSEMENT

Tchaikovsky: Awakening Pas de deux「眠れる森の美女 目覚めのパ・ド・ドゥ」 (1968) - Darcey Bussell and Jonathan Cope

Massenet: Thaïs Pas de deux (1971) 「タイス パ・ド・ドゥ」- Mara Galeazzi and Thiago Soares

Paganini: Devil's Holiday Variation (1939) 「悪魔の休日」-Viacheslav Samodurov

Brahms: Five Brahms Waltzes in the manner of Isadora Duncan (1975)「イザドラ・ダンカン風の5つのブラームスのワルツ」 - Tamara Rojo

J Strauss: Voices of Spring Pas de deux (1977)「春の声」 - Leanne Benjamin and Carlos Acosta

Tommasini after Paganini: Devil's Holiday Pas de deux (1939)「悪魔の休日」 Laura Morera and Ricardo Cervera

Conductor: Barry Wordsworth


SCÈNES DE BALLET

Music: Igor Stravinsky

Miyako Yoshida, Ivan Putrov, Edward Watson, Lauren Cuthbertson

Conductor: Barry Wordsworth

Plus: Interviews with dancers from Les Patineurs

Running Time: 96 mins
Picture Format: 16:9 Anamorphic
Sound: 2.0LPCM + 5.1(5.0) DTS
REGION CODE: 0 NTSC
More info: ensure DVD player and TV are NTSC compatible

発売元はOpusArteで、Opus Arteのサイトからも購入予約可能です。
http://www.opusarte.com/en/ashton-les-patineurs-divertissement-scenes-de-ballet-royal-opera-house.html

主に2004年に上演された「バレエの情景/ディベルティスメント/ダフニスとクロエ」のアシュトン・ミックスビルを映像化し、それとともに昨年上演された「レ・パティヌール」を加え、「ダフニスとクロエ」を抜いた映像のようです。「ダフニスとクロエ」はアリーナ・コジョカル、フェデリコ・ボネッリ、マリアネラ・ヌニェスという豪華なキャストで英国ではTV放映されていたはずなのですが、今回入らないのは別途発売予定があるからなのかしら?

いすれにしても、今回収録されている映像は、吉田都さんの「バレエの情景」を始め、スティーヴン・マックレーらが出演した「レ・パティヌール」、ダーシー・バッセルとジョナサン・コープの「眠れる森の美女 目覚めのパ・ド・ドゥ」、タマラ・ロホの「イザドラ・ダンカン風5つのワルツ」など、ロイヤルのスターを満喫できる映像ですね。


いつもDVD発売情報に関してはどこよりも早くて詳しいSide B-alletさんによれば、Amazon.ukでも予約開始されているとのことです。Amazon.ukは他国のアマゾンよりも送料が安いため、一番お得に買えるというメリットがあるので、私もよく利用しています。

Meyer/ Strav: Les Patineurs/ Divertissment/ Scenes De Ballet (Opus Arte: OA1064D) [DVD] [NTSC]Meyer/ Strav: Les Patineurs/ Divertissment/ Scenes De Ballet (Opus Arte: OA1064D) [DVD] [NTSC]
Various Artists

OPUS ARTE 2011-10-31
Sales Rank : 2400

See details at Amazon
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なお、同じくロイヤル・オペラハウスのプレスリリースで、フレデリック・アシュトン財団が設立されたという発表がありました。
Frederick Ashton Foundation Launched
http://www.roh.org.uk/news/frederick-ashton-foundation-launched

この財団は現存するアシュトンのバレエ作品の著作権者および遺志と密接に連携し、ともに将来にわたってアシュトンのバレエ作品を振付指導したり舞台化する教師たちのスキルを向上させることにより、アシュトンの遺産を来るべき世代にも引き継ぐ役割を果たすものです。

近年、振付家の死去に伴いその振付家の作品をどう引き継いでいくかということが大きな課題となっています。たとえばマース・カニンガムの死去に伴い、マース・カニンガム舞踊団は彼の遺志に基づき活動を停止することを発表しています。ピナ・バウシュやモーリス・ベジャール、ローラン・プティら20世紀を代表する振付家たちが相次いで亡くなっていることもあり、彼らの作品をどうやって正しく保存していくかは改めて問われていることでしょう。

また、振付家が存命中であっても、ケースマイケルの作品をビヨンセのPVが剽窃するという事件もおきたりしているため、作品を守るための機能は重要となってきます。

アシュトン財団では、以下の活動を予定しています。

11月1日 ロイヤル・アカデミー・オウ・アーツでのドガ展関連イベントで、ロイヤル・バレエのバレエミストレス、ウルスラ・ハゲリがアシュトンの「 Foyer de danse (1932)」の復元について語ります。
11月10日 ロイヤル・バレエの「エミグマ・ヴァリエーションズ」の公開リハーサル
2012年3月 バーミンガム・ロイヤル・バレエの「二羽の鳩」のリハーサルの映像収録(バーミンガム・ヒッポドロームにて)
2012年4月11日 ロイヤル・バレエの「ラ・フィユ・マル・ガルデ」の公開リハーサル

2011/10/14

ABT2012年METシーズンのラインアップ ABT ANNOUNCES 2012 SPRING SEASON

ABT2012年METシーズンのラインアップが発表されました。

http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=371

目玉としては10年ぶりの上演となる「オネーギン」(クランコ振付)の新制作。Santo Loquastoによる衣装デザインと舞台装置は、ナショナル・バレエ・オブ・カナダと同じプロダクションです。

また、ラトマンスキー振付の「火の鳥」のニューヨークプレミアが予定されています。こちらは先立って3月にカリフォルニア州オレンジカウンティの Segerstrom Center for the Arts in Costa MesaでのABT公演で初演されます。

他には、以下のラインアップが予定されています。

「火の鳥」と同時上演はバランシンの「アポロ」とウィールダンの「13デヴァージョン」、もしくはアシュトンの「真夏の夜の夢」
「ジゼル」
「ラ・バヤデール」(マカロワ版)
「明るい小川」(ラトマンスキー)
「ロミオとジュリエット」(マクミラン版)
「白鳥の湖」
「海賊」

全体的には無難な路線で落ち着いたという感じです。

キャストはすでにかなり発表されています。
http://www.abt.org/calendar.aspx?startdate=5/1/2012

また、相変わらずプリンシパル不足に悩まされているABTですが、今のところソリストからプリンシパルへの内部昇進は発表されていません。それどころか、このシーズンはゲストアーティストだらけの出演です。

まずナタリア・オシポワがゲストアーティスト扱いからゲストプリンシパル扱いに。それから「明るい小川」のバレエダンサー役(!)と「ロミオとジュリエット」にヨハン・コボー。同じく「ロミオとジュリエット」「ラ・バヤデール」にアリーナ・コジョカル。「ジゼル」のミルタ(!)役と「ラ・バヤデール」のニキヤ、「白鳥の湖」にポリーナ・セミオノワ。「明るい小川」と「海賊」のアリ役、「ラ・バヤデール」のソロル役にイワン・ワシーリエフと、去年のけが人を埋めたメンバーがそのままゲストで再登場です。ケヴィン・マッケンジーはカンパニーを成長させるというつもりがあるのでしょうか??まだ未定の部分もありますが。

注目のオネーギンのキャストですが、
オネーギン マルセロ・ゴメス、デヴィッド・ホールバーグ、コリー・スターンズ、ロベルト・ボッレ
タチヤーナ ディアナ・ヴィシニョーワ、ヒー・セオ、イリーナ・ドヴォロヴェンコ、ジュリー・ケント
レンスキー ジャレッド・マシューズ、ジェフリー・ゴラック、ダニール・シムキン、ブレイン・ホーヴェン
オルガ ナタリア・オシポワ、イザベラ・ボイルストン、加治屋百合子、マリア・リチェット

となっています。シムキンのレンスキーにはちょっと驚きましたが、大体予想通りのメンバー。

デヴィッド・ホールバーグはMETシーズンはフルに出演する予定のようで、「ジゼル」「ラ・バヤデール」「白鳥の湖」「ロミオとジュリエット」「明るい小川」「オネーギン」に出演します。(だって他に出る人いないですものね・・・)

また、注目すべきキャスティングとしては、「白鳥の湖」でダニール・シムキンとイザベラ・ボイルストンが主演デビューをすることです。また、ソリストではヒー・セオが「ジゼル」「ラ・バヤデール」「オネーギン」「ロミオとジュリエット」とずいぶん主役にキャスティングされているので、次のプリンシパル候補で一歩抜け出た感じでしょうか。

オーストラリアの新聞のインタビューで、来シーズンがABTのプリンシパルとしての最後のシーズンになるかもしれないと語っていたイーサン・スティーフェルは、「白鳥の湖」と「海賊」のアリ役に1回ずつキャスティングされているのみです。また、「白鳥の湖」のイリーナ・ドヴォロヴェンコの相手役が未定ということで、夫君マキシム・ベロツェルコフスキーが今シーズンも「ラ・バヤデール」しか出演予定がないため、このままフェードアウトする可能性も考えられます。さらに、アンヘル・コレーラが「ジゼル」「白鳥の湖」「海賊」各1回のみで、それ以外にはまったくキャスティングされていないのも心配なことです。

いずれにしても、ABTが危機的な状況にあり、その打開策を全然打ち出せていないことが明らかになってしまったMETシーズンの発表でした。このままゲスト頼みの状況になってしまうんでしょうか?

2011/10/13

ローマ・オペラ劇場バレエの2011-2012シーズン/ミラノ・スカラ座のヴィハレフ復元版「ライモンダ」

ローマ・オペラ劇場バレエが2011-2012シーズンを発表しています。このバレエ団は以前から、ポリーナ・セミオノワやロバート・テューズリー、ロベルト・ボッレなど豪華なゲストを客演で呼んでいます。

http://www.en.operaroma.it/stagione/stagione_2011_2012/balletti


2011年12月20日~30日 「くるみ割り人形」プティパ、Slawa Muchamedow振付
http://www.en.operaroma.it/stagione/stagione_2011_2012/lo_schiaccianoci

出演は、シュツットガルト・バレエのアンナ・オサチェンコ&エヴァン・マッキー、他にサンカルロ歌劇場バレエのアレッサンドロ・マカーリオ他の名前もあります。


2012年2月3日~8日 「コッペリア」Attilio Labis振付
http://www.en.operaroma.it/stagione/stagione_2011_2012/coppelia

出演は、パリ・オペラ座のレティシア・プジョル&マチュー・ガニオ、そしてなんとマチューの父のデニス・ガニオです。


2012年3月6日~10日「グラハム、ハンフリー、リモン、エイリー」
http://www.en.operaroma.it/stagione/stagione_2011_2012/graham_humphrey_limon_ailey

マーサ・グラハムの「天使の戯れ」他、ホセ・リモン、アルヴィン・エイリーらの作品を上演


2012年4月14日~19日 Abbondanza / Bertoni, Bigonzetti, Rossi
http://www.en.operaroma.it/stagione/stagione_2011_2012/abbondanza_bertoni_bigonzetti_rossi

ビゴンゼッティ振付作品他、作品名は未定


2012年5月2日~6日 「ベジャールの夕べ」
http://www.en.operaroma.it/stagione/stagione_2011_2012/serata_maurice_bejart

「ゲテ・パリジェンヌ」他
出演は、パリ・オペラ座のクレールマリ・オスタ、ニコラ・ル=リッシュほか


2012年9月26日~10月7日 「ロミオとジュリエット」ジョン・クランコ振付
http://www.en.operaroma.it/stagione/stagione_2011_2012/romeo_e_giulietta

出演は、パリ・オペラ座のドロテ・ジルベール&アレッシオ・カルボーネ、シュツットガルト・バレエのアンナ・オサチェンコ&マライン・ラドマーカー。


ちなみに、今年の10月19日~30日に上演される「ラ・バヤデール」ですが
http://www.en.operaroma.it/stagione/stagione_2010_2011/la_bayadere

こちらも豪華ゲストで、スヴェトラーナ・ザハロワ(ボリショイ・バレエ)、ポリーナ・セミオノワ(ベルリン国立バレエ)、アンナ・ツィガンコーワ(オランダ国立バレエ)、アレクサンドル・ヴォルチコフ(ボリショイ・バレエ)、マシュー・ゴールディング(オランダ国立バレエ)、ウラジーミル・シショフ(ウィーン国立バレエ)が出演します。ガムザッティ役でも、ウィーン国立バレエのオルガ・エシナがゲスト出演していますね。

また、10月31日のイタリア・ロシアガラの出演者もものすごく豪華です。
http://www.en.operaroma.it/stagione/stagione_2010_2011/italia_russia_gala_2011
アレッシオ・カルボーネ、ドミトリー・グダーノフ、エカテリーナ・クリサノワ、ウラディスラフ・ラントーラトフ、ヴャスチェスラフ・ロパーチン、ウリヤーナ・ロパートキナ、スヴェトラーナ・ルンキナ、エフゲーニャ・オブラスツォーワ、ジュゼッペ・ピコーネ、マラト・シェミウノフ、アナスタシア・スケーシヴィッチ、ヴィクトリア・テリョーシキナ、スヴェトラーナ・ザハロワ、そしてイーゴリ・ゼレンスキーほかです。

*****
イタリアつながりで、10月11日にミラノ・スカラ座バレエがセルゲイ・ヴィハレフ復元による1898年版プティパ原典版「ライモンダ」の初演を行いました。

主演は、ライモンダ役をマリインスキーのオレシア・ノーヴィコワ、ジャン・ド・ブリエンヌをシュツットガルト・バレエのフリーデマン・フォーゲル、当初アブデラクマン役はマッシモ・ムッルが出演する予定でしたが、マッシモ・ムッルはみなさんご存知のようにシルヴィ・ギエムの「HOPE JAPAN」公演とシルヴィ・ギエム・オン・ステージで来日することになっているため、スカラ座のほうはキャンセルしており、ミック・ゼーニが代わりを務めています。

この初日の様子が早速ミラノ・スカラ座のサイトに写真で紹介されています。
http://www.teatroallascala.org/en/season/opera-ballet/2010-2011/raymonda_cnt_19487.html

リハーサルの動画も。
http://www.teatroallascala.org/en/season/opera-ballet/2010-2011/raymonda_cnt_18451.html

衣装が非常に変わっていてびっくり、なのですが上演そのものの評価は非常に高かった様子です。また、オレシア・ノーヴィコワがFacebookで書いていたことによれば、この日はイタリアの放送局RAIの映像収録が入っており、DVD化される可能性も高いそうです。

これはイタリアのテレビ局のレポート映像。イタリア語ですが、リハーサルシーンがたっぷり観られます。
http://www.ilsole24ore.com/art/cultura/2011-10-09/raymonda-cortese-profana-081536.shtml?video&uuid=Aaa3iQBE&mccorr=AatsXpAE

ノーヴィコワのソロがYouTubeで上がっていますが素晴らしいテクニックですね。

2011/10/12

ビヨンセがケースマイケルの「ローサス・ダンス・ローサス」を盗作、騒動 Anne Teresa De Keersmaeker Responds to Beyoncé Video

ビヨンセの新曲「Countdown」のプロモーションビデオが、現代を代表する振付家の一人、アンヌ・テレサ・ド・ケースマイケルの代表作『ローザス・ダンス・ローザス』(1983年作品)を剽窃しているという件。しばらく前から騒動となっていましたが、海外の大手メディアも報じ、また当事者からのコメントも発表されたのでまとめてみます。

似ている点を30秒のビデオクリップにまとめたStudioBrusselの動画

ビヨンセの「Countdown」のプロモーションビデオ

これの 3:20-3:33のところと、

ケースマイケルの「ローザス・ダンス・ローザス」の0:49-1:03

はたしかに見比べてみるとそっくりです。

さらに問題となっているのは、このビヨンセのPVの共同監督アドリア・ペティが、「いくつかの参照元となる映像をビヨンセが選ぶのを手伝い、その多くはドイツのモダンダンスであった」と言っていることで、ケースマイケルがベルギーのダンス界を代表する振付家であることを念頭に置かないコメントをしてしまったことです。(ピナ・バウシュと混同しているのではないかという指摘があります)

さて、この件に関して、当のケースマイケルはThe Performance Clubというサイト宛に、コメントを寄せています。
http://theperformanceclub.org/2011/10/anne-teresa-de-keersmaeker-responds-to-beyonce-video/

要約すると、ケースマイケルはこう語っています。(同じ文章がケースマイケルのオフィシャルサイトにも掲載されています)

「ビヨンセのPVがRosas danst Rosas (1983) と Achterland (1990)という二つの作品のシーンを使用しているけど、ローサスを商業的に売り出す計画でもあるのか?」というメッセージをFacebookを通じて受け取って驚きました。実際にビヨンセのPVを見てみると、「ローサス・ダンス・ローサス」の動きだけでなく、衣装やセット、そして監督ティエリー・デ・メイによる撮影までもそっくりであると。さらに、30秒のStudio Brusselの動画で比較されているところはほんの一部であり、「Achterland」の動きの多くも取り入れているようです。

人々は私はこのことに対して怒っているのか、それとも名誉に思っているかのどちらか、と私に聞きました。そのどちらでもありません。むしろ、嬉しく思います。なぜなら、1980年代から「ローサス・ダンス・ローサス」がダンスの世界では人気のある作品でしたが、ダンスのパフォーマンスが今回の騒動がきっかけで得られた幅広い新しい観客層にリーチできるかもしれない機会は今までなかったと思われるからです。それにビヨンセは歌も踊りも上手で、趣味がよく、ただの真似っ子ではないからです。

しかしながら、一方ではこのように作品を引用することについては一定の手続きがあるはずであり、ビヨンセや彼女のチームがそのことに気がついていないはずはないと思います。まとめれば、私はこの騒動について怒っているわけではなく、いくつかのことについて考えさせられました。

どうしてポップカルチャーがダンスの実験的な作品を認識するのになぜ30年もかかってしまったんでしょうか。また、1980年代においては「ローサス・ダンス・ローサス」はガール・パワーの表明であり、性的な表現について女性的なスタンスをとった作品でした。その頃私は、「これはフェミニズムについての作品ですか」と聞かれたものです。現代においてビヨンセがこの作品を踊っているのを見て、素敵だとは思うけどエッジを感じられません。商業主義的なエンターテインメントのレベルにおいての誘惑性があるだけです。

作品の類似性を超えて、もうひとつ面白い偶然があります。誰もが、ビヨンセが妊娠4ヶ月でこの作品を踊っていると私に言いました。このティエリー・デ・メイによる映像が撮影された1996年に、私もまた2番目の子供を妊娠していたのです。だから、私はビヨンセには、私の娘がもたらしたのと同じ喜びがもたらされることを祈っています。

アンヌ・テレサ・ド・ケースマイケル
2011年10月10日


一部ではケースマイケルがこれは剽窃である、として怒っているという報道もありましたが、実際には上記の通り、大人の対応をとることにしたようです。


ところで、この剽窃騒動は、「剽窃」と「オマージュ」との差は一体なんだ、という議論を引き起こしています。

Guardianの記事
http://www.guardian.co.uk/stage/theatreblog/2011/oct/11/beyonce-de-keersmaeker-dance-move

まずこの「Countdown」のビデオ自体が、ケースマイケルの作品だけでなく、「パリの恋人」のオードリー・ヘップバーン、「唇からナイフ」のモニカ・ヴィッティ、「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールス、そしてシュープリームス時代のダイアナ・ロスなど60年代、70年代のポップカルチャーを引用しているものであるということがあります。さらにビヨンセのプロモーションビデオの多くが「レザボア・ドッグス」「バンドワゴン」「氷の微笑」などの映画からの引用を多く使っているということもあります。

一方で、ケースマイケルの作品「D'un soir un jour De Keersmaeker」では、彼女はニジンスキーの「牧神の午後」のシーン、そしてアントニオーニの映画「欲望」のシーンを引用しているとのことです。

この境界線は本当に微妙なものではありますが、「オマージュ」を呼ばれる引用を行う際には、オリジナルの作品にきちんと敬意を払って(クレジットをするなどして)作品を作ること、その精神を理解して引用することが必要なのではないかと思われます。

なお、ローサスによる「ローサス・ダンス・ローサス」は最近では2年前にロンドンのサドラーズ・ウェルズで上演されています。
http://www.theartsdesk.com/dance/rosas-danst-rosas-sadlers-wells

果たして、実演を見ていたらビヨンセやそのチームはこの「Countdown」のPVにこれを引用しようと考えただろうか?とThe Art Deskの Ismene Brown氏は問いかけています。
http://www.theartsdesk.com/dance/beyonc%C3%A9-stole-my-moves-says-high-priestess-modern-dance

いずれにしても、この騒動により、ケースマイケルと「ローサス・ダンス・ローサス」という作品が幅広い観客に知られることになったことは確実なようです。

New York Timesの記事
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2011/10/10/beyonce-accused-of-plagiarism-over-video/

2011/10/11

ロイヤル・バレエ「不思議の国のアリス」Blu-Ray "ALICE’S ADVENTURES IN WONDERLAND" The Royal Ballet

ALICE’S ADVENTURES IN WONDERLAND

Alice Lauren Cuthbertson
Jack/The Knave of Hearts Sergei Polunin
Lewis Carroll/The White Rabbit Edward Watson
Mother/The Queen of Hearts Zenaida Yanowsky
Mad Hatter Steven McRae
The Dutchess Simon Russell Beale

Orchestra of The Royal Opera House

Music Joby Talbot
Choreography Christopher Wheeldon
Conductor Barry Wordsworth

Recorded live at the Royal Opera House, 9th March, 2011

今年2月にロイヤル・バレエで初演されたばかりの「不思議の国のアリス」は、ロイヤル・バレエの全幕新制作としては16年ぶりの作品である。(ナショナル・バレエ・オブ・カナダとの共同制作、カナダでは6月にスティーヴン・マックレーをゲストに迎えて上演) 巨額の予算をかけたプロダクションが大きな話題を呼び、チケットは早々にソールドアウトとなり、今シーズンの再演も決まっているなど成功を収めた。

Amazon.ukから取り寄せたBlu-rayで早速観てみると、なるほどとても楽しい作品に仕上がっている。まず、カラフルでポップで世界観が統一されたプロダクションデザインが秀逸。ボーナストラックのメイキング映像(BBCのドキュメンタリー「Being Alice」)を観ると、ハイテクノロジーを駆使して魔術的な視覚効果を高め、不思議の国の様子を再現することで大人から子供まで楽しめるエンターテインメントとして作られたのが良くわかる。

アリス役のローレン・カスバートソンはまさにイングリッシュ・ローズという感じの清楚さの中にも、アリスの好奇心の強さが伝わってくる役作りで適役。すらりとしていて手足が長く、テクニックも確実な彼女は、ロイヤル・バレエが第二のダーシー・バッセルとして売り出そうとしているわけだけど、見事期待に応えている。アリス役は全編出ずっぱりで体力的にも大変な役だったと思うけど、ローレンの持つ独特のスウィートさの中にも元気のよさがあって好演だった。また、登場シーンはそれほど長くないけれどもスティーヴン・マックレーがマッドハッター役で素晴らしいタップの腕前を10分間にわたって披露して鮮烈な印象を残す。

だがこの作品の成功を決めて、途中からはすっかり場をさらってしまうのが女王役のゼナイダ・ヤノウスキーの怪演ぶり。彼女が登場して急に作品が面白く生き生きしだすのだ。2幕冒頭のローズ・アダージオのパロディシーンはYouTubeでも流れて大きな話題を呼んだが、改めて観るとやはり爆笑モノというか可笑しすぎて笑い声を上げてしまうほど。長身で表情も豊かでものすごい存在感の彼女に対して、処刑されようとしている気の毒な庭師たちと王様の弱弱しく情けない姿といったら、もう。首切り人とタンゴを踊ったり、フラミンゴの首でクロッケー(ゲートボールに似た競技の一種)をやってズルをしたり、王様を叱り付けたり、やりたい放題でコメディエンヌぶりを発揮し、面白すぎる。セカンド・キャストはタマラ・ロホが演じたとのことだが、ゼナイダがこれだけはまり役だっただけに、逆にタマラはどう演じたのか知りたいところだ。

この作品、1幕の最初の40分ほどは導入部のティーパーティを除けばアリスが孤軍奮闘する感じで、他のキャラクターが登場する場面もガチャガチャしていてやや単調だ。1幕は後半ほどのはちゃめちゃな面白さはないのだけど、肉屋のシーンに登場する公爵夫人役を有名なシェイクスピア俳優だというサイモン・ラッセル・ビールが女装して演じており、アクセントをつけることには成功した。彼はバレエ作品に出演するのも女装するのも初めてだというが、笑いの間の取り方もダンス的な動きも見事だ。ラジャ/キャタピラー役のエリック・アンダーウッドのセクシーな踊り、魚に扮して飛び回る蔵健太さん、ルイス・キャロル/白うさぎ役のエドワード・ワトソンのジェントルな演技など、ロイヤル・バレエの多彩な才能が発揮されている。1幕終盤の群舞を従えてのハートのジャック役セルゲイ・ポルーニンとアリスのパ・ド・ドゥは、ミュージカル的な楽しさに、甘酸っぱい感じが加わってとてもわくわくさせられる。(群舞の中には、小林ひかるさん、チェ・ユフィさん、平野亮一さんの姿も)

先日のデヴィッド・ビントレーのトークショーにおいても、ロイヤル・バレエでは作曲を委嘱して作られた全幕作品でレパートリーに残った作品はほとんどないという話が出てきた。この「不思議の国のアリス」は、ものすごく目新しいところもなければ、振付的にウィールダンの才能が発揮された新鮮なところもなく、もっとも印象的だったのが前述の「ローズアダージオ」のパロディだったということで、手放しでは賞賛できない。「不思議の国のアリス」のファニーでポップで少しだけダークな世界観を伝える音楽は耳に残るけどあくまでも劇伴音楽という位置づけにとどまるだろう。だけど、ポップな美術とわかりやすいストーリーでバレエになじみのない観客層を引き付け、幅広い年代に楽しめる作品ということでは、成功していると思う。今後この作品がロイヤルのジンクスを破って、レパートリーに定着することを祈りたい。

http://www.opusarte.com/en/alices-adventures-in-wonderland-roh-blu-ray.html

Amazon.co.jpでは10月25日発売予定。

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「不思議の国のアリス」のエピソードや写真もたくさん載っているロイヤル・バレエのイヤーブック

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2011/10/10

10/8 新国立劇場バレエ研修所 第7期生・第8期生秋の発表公演

研修所2年次を迎えた第7期生、この春に研修所に入所した第8期生を中心とした、秋の定例発表公演。

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◎クラシカル・バレエ小品
『海賊』より “オダリスクの踊り”
 第1ヴァリエーション 島田沙羅<8期生>
 第2ヴァリエーション 中西夏未<8期生>
 第3ヴァリエーション 佐藤愛香<8期生>

『ラ・シルフィード』より 第2幕のパ・ド・ドゥ
 シルフィード 鈴木 優(8日)<8期生>
 ジェームズ 小野寺 雄(8日)<7期生>

研修生振付作品
『Light of the flower』
振付・出演:直田夏美<7期生>
音楽:小瀬村 晶「Light Dance(with Violin)」

『また明日へ』
振付・出演:横山 翼<7期生>
音楽:坂本龍一「東風(とんぷう)」

◎映像上映(日々の研修の様子)

◎『パキータ』より “グラン・パ・クラシック”
 パキータ  西成雅衣<7期生> (8日)
 リュシアン 菅野英男<新国立劇場バレエ団 ソリスト>
 男性ヴァリエーション 横山 翼<7期生> (8日)
 第1ヴァリエーション 直田夏美<7期生>
 第2ヴァリエーション 三宅里奈<7期生>
 第3ヴァリエーション フルフォード佳林<7期生>
 第4ヴァリエーション 榎本朱花<8期生>

  7期生、8期生、予科生
  朝枝尚子、広瀬 碧<新国立劇場バレエ団登録アーティスト>

◎スパニッシュ・ダンス(振付・指導:小島章司)
『Fandangos y Bulerias』(ファンダンゴス・イ・ブレリアス)・・・7期生、8期生


直前のリハーサル見学会に、友達の厚意で参加できたので、ついでに見てこようとチケットを取った公演。先週のガラで素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた菅野英男さんも出演されるとのことで楽しみにしていた。

オダリスクの踊りは8期生3人。研修所のほか予科が設立され、8期生6人のうち5人までもが予科出身とのこと。頭角を出している子は中学卒業の段階で海外へと行ってしまうために作られたと思うのだけど、オダリスクの3人ともしっかりとした技術を持っていた。中でも第3ヴァリエーションの佐藤愛香さんが特に良かったと思う。

「ラ・シルフィード」は、新国立劇場公演「ラ・バヤデール」のつぼの踊りなどに出演していた鈴木優さん、舞さんの双子のうち、この日は優さんが出演。怪我明けとのことで本調子ではなかったようだけど、とにかく愛らしい容姿の持ち主でプロポーションも美しくスター性がある。ジェームズ役小野寺 雄さんもしっかりとアントルシャ・シスをきめてきれいに跳んでいた。

研修生振付作品は、直田夏美さんの自作自演はクラシックな動きを中心としたもので流れるような動きが美しい。横山 翼さんの自作自演作は衣装や全体の雰囲気が「レ・ブルジョワ」に似てきたけど溌剌としていた。

「パキータ」は、第2ヴァリエーションの三宅里奈さん、第3ヴァリエーションのフルフォード佳林さんが特に良かった。この二人、特にフルフォード佳林さんには要注目だと感じた。男性ヴァリエーションの横山 翼さんはトゥールザンレールがきちんと5番に降りられていなかったのが残念。パキータ役の西成雅衣さんは、プロポーションには恵まれていて、腕の優雅な使い方はとても美しかったのだけどテクニックは少し弱いようで、グランフェッテでは音が余ってしまった。ゲストの菅野英男さんは、ここでも胸のすくような、正統派の美しいクラシックバレエを見せてくれて素晴らしかった。

そして今回の研修所発表会で一番見ごたえがあったのがスパニッシュ・ダンス。第一人者の小島章司さんの指導によるものだけに、本格的なスパニッシュで、ギターと歌には本場のミュージシャンを投入。この音楽がとにかく素晴らしく、これだけでも2000円のチケット代の元が取れたと思うほど。研修生たちもスパニッシュの動きがきちんと身についていたようで、見せ方を心得ていた。ソロを踊った小野寺 雄さんの動きがとてもスタイリッシュで良くて、ジェームズよりこっちの方が魅せてくれた。やはりフルフォード佳林さん、三宅里奈さんが見せ方を心得ていると感じた。

全体的な研修生のレベルは高かったと思うし、未来に向けてキラキラした光を放っていて素敵だったのだが、気がかりなことがひとつ。2年間大事に育てた研修生たちのうち、最近の2期を見ると新国立劇場バレエ団に正団員で入団できる比率が減っているということ。たとえば以前研修所の発表公演でとても光っていた山田蘭さんは準コール・ドでしか入団できず、K-Balletに移ったところ、早速「白鳥の湖」の4羽の大きな白鳥に抜擢されたとのことす。新国立劇場バレエ団の芸術監督がデヴィッド・ビントレーに代わり、しかし引き続き研修所の所長は牧阿佐美氏が務めているとのことで、研修所が良い生徒を集めてもバレエ団の求める人材を育てられていないのではないかという危惧がある。特に日本のバレエ界はクラシックバレエ重視で、この研修所公演を観ても、スパニッシュや自作自演があったとはいえ古典中心であったので、もう少しコンテンポラリーの教育も強化したほうが良いのではないかという点。

それともうひとつの懸念、新国立劇場バレエ団がビントレー体制になってから観客動員に苦戦しているのは、クラシックバレエの上演比率が低いということが考えられる。来シーズン以降、観客の需要も考慮してクラシックバレエの上演を増やした方が良いのではないかと思うとともに、以前行っていたナチョ・ドゥアトなどのコンテンポラリー系の再演をすることで、コンテンポラリー作品への対応力も高めていかなければならないのではないかと思われる。新国立劇場でもコンテンポラリーダンス部門では、平山素子さん、金森穣さん、中村恩恵さん、森山開次さんらの作品を取り上げているので、このあたりの作品を研修所時代から取り組めたらよいのではないかと思う。

新国立劇場のダンス部門で行っている、新国立劇場バレエ団が出演する「Dance to the Future」は、今まではどうもピントのずれた方向性の上演が多かったのだが、次回は平山素子さん作品のトリプルビルを行うとのことで、こちらはとてもいい選択ではないかと思う。

2012年4月公演『DANCE to the Future 2012』上演概要決定のお知らせ
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20001653.html
[平山素子振付によるトリプル・ビル]

1.「新作・題未定」
出演者10名程度を予定

2.「Butterfly」
2005年9月の初演以来、再演を重ね絶賛を浴びている男女のデュオ

音楽:マイケル・ナイマン、落合敏行
共同振付:中川 賢


『兵士の物語』 撮影:鹿摩隆司
3.「兵士の物語」          
2010年12月「ストラヴィンスキー・イブニング」で初演された衝撃作。ピアノ・ヴァイオリン・クラリネット三重奏による上演

公演情報
http://www.nntt.jac.go.jp/dance/20000461_dance.html

2011/10/09

新国立劇場バレエ団「パゴダの王子」ビントレーのトークイベント David Bintley & Rae Smith Talk Session, Creation of "Prince of the Pagodas"

10月30日に世界初演を迎えるデヴィッド・ビントレー振付の「パゴダの王子」(新国立劇場バレエ団)。公演に先立ち、振付のデヴィッド・ビントレー舞踊芸術監督と舞台美術を手掛けたレイ・スミスの二人が、作品のみどころや舞台制作に関わる話などを語る国際連携プロジェクト「パゴダの王子」トーク・イベントが、本日開催されました。

「パゴダの王子」特設サイト
http://www.atre.jp/11pagodas/

トーク・イベントの模様はUstreamで配信され、アーカイヴも見ることができますがトーク・イベントに参加してきましたので、報告をしてみます。

その前日にリハーサル見学会にも参加し、少しだけですがビントレーがダンサーに振付を行う様子も見ることができました。ビントレーは自分で身体を動かし、演技しながら振付指導するので、ダンサーにとってもとてもわかりやすいのではないかと思いました。リハーサルの中で印象的だったのは、エピーヌ役の湯川さんで、トリプル・キャストの3人が並んで参加しているのですが、彼女の演技力が断然光っていました。また、さくら姫役の小野絢子さんの輝きは稽古場でも眩いほどで、福岡さんとのパ・ド・ドゥの練習には目を引き付けられました。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20001674.html

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(注:これはテープ起こしをしたわけではなく、聞き取りによるものなので不正確なところもあるかもしれません。正確な内容についてはUStreamの動画でご確認ください)

デヴィッド・ビントレー談

<ジョン・クランコをもってしても失敗した作品「パゴダの王子」>

「パゴダの王子」はジョン・クランコが1957年に30歳のときに振付けた長編バレエ第一作で、20世紀でもっとも偉大な作曲家の一人であるブリテンに音楽も委嘱した作品。その作品のために作曲された音楽を使った作品で全幕を作ることはとても難しいことであった。ロイヤル・バレエの歴史をたどってみても、マクミランやアシュトンなどの振付家をもってしてもロイヤル・バレエが委嘱された曲を使っての新作でレパートリーに残った例は少なく、たとえば「オンディーヌ」は最近になってようやく復活上演された。

ジョン・クランコは、ブリテンとともにこの物語を創ったのだが、「美女と野獣」「眠れる森の美女」の要素も入っている御伽噺であり、音楽的にもチャイコフスキーやストラヴィンスキーの影響がある。紙に書いて見ると成功したように見えたが、結局ロイヤルのレパートリーとして定着しなかったためその一部すら残されておらず、私はクランコの「パゴダの王子」は観ていない。ドラマティックなオペラの作曲家として知られるブリテン、そして「オネーギン」など物語の名手として知られるクランコの手腕をもってしてもわずか一シーズン半でまったく日の目を見ない作品となってしまったのには、何か問題があったわけだ。

クランコの「パゴダの王子」は2回も上演が延期され、ブリテンは作曲を中断した。その間ブリテンは日本、そしてバリ島に行ってバリでガムランに出会った。結果的にバリでのインスピレーションが第2幕に使われた。「パゴダの王子」の音楽の長さはブリテン作品の中でももっとも長く色彩豊かであって素晴らしいのだが、バレエとしては長すぎる上、ストーリーも人々にとって意味がわからないものだった。ブリテンはクランコともうまくコミュニケーションがとれず、クランコの意味するところがわからないと愚痴り、クランコは彼に「くるみ割り人形」のパ・ド・ドゥを見せてパ・ド・ドゥとはこういうものだとわからせようとしたが、ブリテンがパ・ド・ドゥ用に作った曲は「くるみ割り人形」とは似ても似つかぬ作品に仕上がった。ボタンの掛け違いもあった。ダンサーがリハーサルに使うために聴くのはピアノ譜であり、オーケストラで演奏された曲を聴くことがないまま本番に当たってしまってうまくいかなかった。

1979年にブリテンはロイヤル・オペラハウスのオーケストラを使って全曲のおよそ70%の楽曲の部分を録音した。きちんとした作品として保存しようという動きもなく、プログラムノーツを読んでもストーリーのあらすじしか載っておらず、音楽は70%しか聴けずピンとこなかった。音楽を聴いてもこの曲を使ってバレエ作品を創ろうとは思っていなかった。この音楽を使って振付をすべきだと、ロイヤル・バレエの創始者であり芸術監督だったニネット・ド・ヴァロワが私に対して勧めてきた。1980年代後半に「パゴダの王子」全曲の録音が発売されたが、それでもこの作品は一貫性のない矛盾を抱えていた。また、すべての音符をそのまま使わなければならないという縛りもあった。9ヶ月前にこの作品を創ることになったときにも、そのことは大きな問題として横たわっていた。

<マクミラン版と日本の浮世絵に得たインスピレーション>

どうやってこの「パゴダの王子」を作ろうかと思っていたら、1990年にケネス・マクミランがこの音楽を使って自分の振付作品を創った。マクミランはクランコが創った当時の振付を知っていたので、もっと筋が通る作品となっていた。だが、このプロダクションでもっとも記述すべきことは、当時19歳だった、素晴らしいダーシー・バッセルを人々に知らしめたことである。私自身は、この「パゴダの王子」という作品としては心は揺さぶられなかった。ロマンス抜きのロマンティックバレエのようだった。東洋の国という設定であるにもかかわらず、英国、それもエリザベス1世の時代に舞台をおいているかのようであった。「リア王」の物語のように、意地悪な娘に国を譲ってしまうということへの納得いかない作品となっていた。マクミランが振付けた作品を見た後、それは40年以上も心に引っかかりとして残っていたことだが、2幕のディベルティスマンをどう振付けるかということだった。

(自身が振付けた)「アラジン」が新国立劇場で上演されたときに、2幕のディベルティスマンが観客にとても受けたことがヒントとなり、「パゴダの王子」のディベルティスマンもそうやって創ろうと思いついた。パゴダの国を東の国、それも日本を舞台と使用と思った。早速上野の美術館に行き、浮世絵の本を買って見たところ、求めていたことのすべてがそこにあった。海、雲、擬人化された動物たち、侍、そして当時の日本から見た西洋の人々が描かれていた。英国に戻るとロイヤル・アカデミーで歌川国芳の素晴らしい展覧会が開かれており、それらを通してイメージを膨らませた。また、日本の歴史を読む機会にも恵まれた。

<勇気あるお姫様と家族の愛の物語>

そして、全面的に物語を変えることにした。ロマンスの物語をやめて、サラマンダー(とかげ)に変えられた王子は姫の兄という設定にした。意地悪な姉妹たちという設定は、邪悪な女王に買えた。兄を求め、兄を取り返し国の新しい形を求めた姫の物語として、日本人の精神世界、家族愛を大事なものとする日本人の絆の物語、国そのものの回復に繋がるという物語にした。歌川国芳の「源頼光公館土蜘蛛作妖怪図」に登場するような物の怪が登場し、海のシーンでは蛸、火の中では炎に変身するなど4回も衣装を変える。浮世絵のデザイン性の高さが私は好きで、特に稲光の描き方などは素晴らしい。オリジナルの「パゴダの王子」では、東西南北の4人の王子が登場するが、浮世絵に出てくるような、日本の鎖国時代に襲ってくる邪悪な外国のイメージで創った。北はロシア、南はアフリカ、東は中国、西はアメリカのイメージで、中国からはアヘン、アメリカからは銃、アフリカからは象牙、そしてロシアからは石油というように問題のある贈り物を持ってくる。これらのイメージとストーリーを、美術担当のレイ・スミスに投げかけて、デザインしてほしいと依頼した。彼女がどんなデザインをしてくるか見当がつかず、一緒に仕事をするのは今回が初めてだったが、まったく新しい人と仕事をしたかった。それも経験豊富な人と。レイ・スミスはつい先ほどミュージカル「War Horse」でローレンス・オリヴィエ賞、そしてそのブロードウェイ版でトニー賞を受賞している。

舞台装置の模型
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美術:レイ・スミスの談話

(ストーリーボードを見せながらの説明)
この作品は、ブリテンの音楽のイメージ、そして現代性、日本に根ざした精神性、バレエならではの神秘な世界の4つのイメージからデザインをしました。プロローグの幕では、ロイヤルファミリーでの小さな王子の死が洞窟の絵で表現され、つらい思い出として描かれています。ビアスリー、そしてウィリアム・モリスのデザインのイメージを使いました。この洞窟が消えると宮廷が現れ、階段の向こうには富士山があり、そして昼は太陽、夜は月が現れます。そこからドラマティックな暗い場となります。妖怪が出てくる暗黒の世界です。サラマンダー(とかげ)の王子が姫を、海を越えたパゴダの国への旅へと連れ出します。サラマンダーがシルクに描かれているので、風で動き、息づいているかのように見えます。

2幕では、空を飛んでいるので富士山が遠くに見えます。悪い物の怪に囲まれながらエピーヌ女王が現れます。ここでは歌舞伎から発想を得ました。空から水の中、海の中へと飛んでいくと波が炎に変わり稲妻が走ります。それぞれの場所でさくら姫は海の怪物と出会いますが、勇気のある姫は新しい国へと到着します。パゴダの国で、姫はパゴダの王子、サラマンダーと出会います。そして彼が兄であることに気がつきます。すべてが今まであったのと誓うものになり、ジャングルのようなところへと到達します。

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3幕では、日本の宮廷に戻ります。悪い王妃が国を乗っ取り、西側の悪い影響を得てデカダンスが支配しています。王妃は現代風に短く髪を切っています。その後宮廷は昔の姿を取り戻し、愛に満ちた強く美しい兄と妹が新しい王国を治めます。春をイメージさせるための花たちに、新しい時代を象徴させます。

実際の製作はロイヤル・オペラハウスの工房で作られました。国芳のデザインをロイヤル・オペラハウスで行い、英国の画家が国芳の絵を描き、英国の技術を導入しています。バックライトを後ろから当て、妖怪が襲ってくる感じ、妖怪の目が光るようにしています。ロイヤル・バレエスクールの生徒たちに実際に衣装を着せて、物の怪の感じを見て調整しました。幕にサラマンダーの姿があることにより、休憩時間においてもサラマンダーのことを観客が思い出すようにしています。また、ビアズリーの絵のように縁取りがあってその中に形があるように枠組みの中に話を形作っていきました。この枠組みの中に、自然の中、花や蝶の中に宮廷の物語が展開し、国芳、ビアズリー、ウィリアム・モリスの3人のアーティストが融合するのです。切り紙の手法を用いて、これらが自然と物語を語っていくことが必要だと考えました。切り絵が物語を進めていく上での重要な要素となっています。

ロイヤルファミリーのイメージは、王子が葬られる場所である洞窟、パゴダの国はバリをイメージしています。パゴダ(塔)は切り絵だけで立体的に表現し、同時にジャングルのイメージを出しています。巨大な花はステンドグラスのように見えます。バリのダンサーのデザインについては、実際にバリのダンサーを見に行き、木のイメージも重ねています。照明デザイナーとは緊密なコラボレーションを行いました。白のカットには光を当て、黒のカットはシルエットで表現しています。

(質疑)
Q.あらすじを聞いてみると、どうしても日本の震災をイメージしてしまうが、この作品と震災との関係性はあるのか?

A.(ビントレー)この作品のストーリー自体は震災の前に作りました。震災の後すぐにミーティングを行い、悲惨な最悪のニュースが続く中で、震災の影響を避けることはできない、日本の再生への強いメッセージを打ち出した作品となりました。

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<感想>
この作品の構想を聞いたときに、日本のイメージを使い、姫の名前はさくら姫となると聞いて、外国人から見た日本の奇妙なイメージのまま製作されたらちょっと嫌だなと正直思いました。しかしながら、こうやってビントレー、そして美術のレイ・スミスさんの話を聞くと、しっかりとしたコンセプト、日本文化に対する理解と敬意を払って創られた作品なのだとはっきりしました。トニー賞に輝くレイ・スミスのデザインは、歌川国芳、ビアズリー、ウィリアム・モリスの融合という、文字通り受け止めたら何だろうというものを美しくスタイリッシュにまとめたもので、とても期待が持てるものです。さらに、ビントレーが話すあらすじから、震災で傷ついた日本の復興への強いメッセージが感じられて、このような作品を今発表することの意義も感じられました。

ストーリーボードや衣装デザインの過程、実際にロイヤルバレエスクールの生徒が物の怪の衣装を着用した写真や製作中のスタッフの写真なども見せてくれて、大変面白いトークショーでした。このように振付家だけでなく、製作スタッフから直接話を聴けたことは本当に貴重なことであったし、こういった催しはどんどん開催してほしいと思います。しかもこのトークショーがUStreamで中継し、後日もアーカイヴで視聴できることも素晴らしいことです。

ただ、日本側(新国立劇場サイド)からどのように国際共同制作を行ったかということについて質問する人がいなかったのが少しだけ残念でした。ちょうど当日3時からオペラ劇場での「サロメ」の上演、中劇場での新国立劇場バレエ研修所の発表公演もあるということで、時間に制限があるので仕方ないことでしたが、もっといろいろと聞けたらさらに面白いものになったと思います。

とにかく、この公演を観られるのがとても楽しみになりました。2回観る予定なのですが、残念ながら初日はシルヴィ・ギエムの公演のチケットを取ってしまっていて行けないのです。


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2011/10/07

9/24昼 パリ・オペラ座バレエ「フェードル」「プシュケ」 Paris Opera Ballet "Phedre", "Psyche"

Soirée Lifar - Ratmansky

Samdei 24 Septembre 2011 a 14:30

Phedre  67 Representation
Musique : Georges Auric
Action Dansee : Serge Lifar
Redeau, decor et cotumes : Jean Cocteau
Choreograpie regulee par : Claude Bessy
Ballet cree par Le Ballet de L'Opera de Paris le 14 Juin 1950

Phedre: Marie-Agnes Gillot
Thesee : Nicolas Le Riche
Oenone: Alice Renavand
Hippolyte : Karl Paquette
Aricie : Myriam Ould-Braham

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(「プシュケ」の緞帳)

Psyche 2 Representation
Musique : Cesar Franck
Choreographie: Alexei Ratmansky
Decors : Karen Kilimnik
Costums : Adeline Andre
Lumiers : Madjid Hakimi

Psyche: Clairemarie Osta
Eros : Benjamin Pech
Venus : Amandine Albisson
Les Duex Soeurs : Caroline Bance, Christelle Granier
Quatre Zephirs : Mallory Gaudion, Daniel Stokes, Simon Valastro, Adrien Couvez

Île-de-France National Orchestra and the Radio France choir, conducted by Koen Kessels

パリ・オペラ座の2011/12シーズンオープニングはセルジュ・リファールの1950年作品「フェードル」と、アレクセイ・ラトマンスキーが新しく振付けた「プシュケ」。初日がストで中止となってしまったため、この日の上演は2日目であった。

ギリシャ神話をテーマとして、61年前の作品と出来立てほやほやの新作を対比させるというのが今回の趣向。「フェードル」に関しては、パリ・オペラ座の歴史上にこんな作品があったという歴史を振り返るための、博物館的な上演だったのではないかと感じた。バレエ・リュスの流れを汲むタマラ・トゥマノワが初演し、かつてはマリシア・ハイデも主演した作品、しかもデザインはジャン・コクトーだったという事実自体に価値があったというか。その売り物であるはずのコクトーのデザインが現代から見るとえらく古色蒼然としていて趣味がよろしくなく、また振付も当時としては斬新だったかもしれないけれど今ではかえって古臭く、マイムを多用しカクカクとしていて非バレエ的な動きが多いことから、今回の上演に対する批評は芳しくなかった。

参考:Fedephotoのギャラリー
オペラ座のギャラリー
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/actualites/index.php?lang=fr#news4374

しかしながら、個人的にはこの作品の持つ大時代的な大袈裟さとか、60年代のアニメのようなキテレツでキッチュな色彩感覚の衣装、横向きのポーズを多用したギリシャ的というよりはエジプト的な動き、どことなく漂うバレエ・リュスの香りなどけっこう楽しめたのである。この作品専用の幕(コクトーがデザイン)の写真がFedephotoにないのは残念だけどこれはおしゃれ。幕が開くと、舞台後方中央にはギリシャ文字を配し、青いカーテンで覆った舞台のようなものがあり、そこで別の場所で進行する物語とか、人物の登場でジャーンと幕が開いたりするのが面白い。でも、事前にストーリーを予習していかないとちょっとついていけないかもしれない。

原作はラシーヌ。王妃フェードルが夫である王テゼーの留守中に、義理の息子であるイポリートに邪な恋愛感情を抱いてしまっている。一方でイポリートはテゼーに反逆した一族の生き残りであるアリシーに恋をしている。テゼーが死んだと聞いてフェードルは愛をイポリートに告白してしまうが、唖然とするイポリート。そこに夫テゼーの帰還の知らせを聞いて、フェードルは生きることに絶望して死のうとするが、乳母のエノーヌに止められ、エノーヌはイポリートこそフェードルに邪な欲情を抱いていたということにしようと提案。結局その通りに帰還したテゼーにフェードルが話したところ、イポリートは呆れて弁解もしない。イポリートは追放される。フェードルは良心の呵責からイポリートへの命令を取り消してもらえるようテゼーに頼むが、逆にテゼーから、イポリートがアリシーを愛しているという話を聞き、激しく嫉妬する。エノーヌは海に身を投げ、イポリートも津波に飲み込まれて死ぬ。フェードルは己の罪をテゼーに対して認め、毒を呷って死ぬ。(参考:Wikipedia

ギリシャ悲劇のヒロインにふさわしく、堂々とした女王の姿にひそむ怪物性を表現したマリ=アニエス・ジロは適役。己が義理の息子に抱いた欲望ゆえに周囲の人間も巻き込みながら破滅していく様子を圧倒的な表現力で熱演していた。フェードル役は実際に踊る場面は比較的少なく、上半身、特に腕の動きで女王らしさや苦悩を表現しなければならず演技力が問われる役で、カリスマ性がなければ演じられないがその点マリ=アニエスは完璧であった。

イポリートは輝かしく美しい若者という設定のようで、キレンジャーのような真っ黄色の全身タイツにマント、金髪のカツラをつけたカール・パケットはなるほど美しかった。同じような扮装の若者たちを従えてカクカクと跳ね回る動きはかなり可笑しいが、大きな跳躍としっかりとしたダンステクニックには貫禄もあり。その恋人アリシー役にミリアム・ウルド=ブラム。こちらは薄いピンクの全身タイツに白いミニスカート、長い金髪のポニーテールかつら。フランス人が「まるでセーラームーンみたい」と評していたが本当にこの二人が並ぶとアニメのようである。イポリットとアリシーのパ・ド・ドゥは美しく、ミリアムのクラシックダンサーとしての端正さと優雅さ、軽やかさが発揮されていて踊りの見せ場としては一番だった。

乳母エノーヌ役は踊るシーンも多くて実際はかなり重要な役。コンテンポラリーに関してはオペラ座一の実力を持つアリス・ルナヴァンが、リファールによる独特の大時代的で大仰ながらもギリシャ的な動きをものにしていて、目を引き付けるものがあった。しなやかなでプロポーションに恵まれた身体から繰り出すテクニックもコントロールが効いていて素晴らしく、これだけの実力を持つ彼女が未だスジェなのが理解できないほどである。

テゼー役のニコラ・ル=リッシュは舞台の後半になって、青い幕の中からでーんと登場。紫のボディタイツに、まるで肉襦袢のような甲冑を身につけ(一歩間違えたらプルシェンコの「Sex Bomb」の衣装みたい)、白塗りの姿なのだが、それでも様になるのはさすがニコラというべきだろう。王としての威厳あふれる踊りであった。

波に飲み込まれて死んでしまったイポリートの姿を舞台の上に映し出すところなどかなり間抜けな感じで、悲劇的なシーンなのにドリフターズのコントみたいと思ってしまったくらい。テディベアの着ぐるみの衣装をつけた女性ダンサーたちが登場するシーンなどは時代考証などを考えてもまったくもって意味不明だし、評判が芳しくないのもわかる気がするが、世にも珍しいものを観ることができたということでは、大変面白い経験であった。アヴァンギャルドなオーリックの音楽も楽しめた。

パリ・オペラ座のサイトに掲載されている動画
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/opera_video/index.php?lang=fr&video_id=484

一方の「プシュケ」は今回のために新たに振付けられた新作。今や世界でももっとも売れっ子の振付家となったラトマンスキーが初めてオペラ座に創った作品だ。同じギリシャ神話でもこちらはハッピーエンドのラブストーリー。ニンフのプシュケの美しさに嫉妬した女神ヴィーナスが、息子のエロスをプシュケが決して見てはならぬとしたにもかかわらず二人は恋に落ち、そしてついにプシュケは彼の姿を見てしまう、しかし結局愛は勝つというストーリー。

ラトマンスキーの振付は、クラシック・バレエのボキャブラリーを巧みに使いながらも、現代的なタッチで再構築してオリジナルな形態をつくりあげていくというもの。群舞の使い方が上手で、ある時は神秘的な神話の世界、そしてある時は動物や花たちとともにある地上の世界、さらには恋人たちの人間世界というふうに多彩な世界観を表わすのに、めくるめくフォーメーションの変化をつけていて目を楽しませてくれる。プシュケの恋路を邪魔する二人の姉たちはパンクな服装ではっちゃけた踊り。動物の着ぐるみ(着ぐるみというよりはもっとボディラインを明確にするデザイン)を着た男性ダンサーたちと、花びらの形を模した鮮やかな色合いのキュートなチュチュに身を包んだ女性ダンサーたち。時には優しく、時には力強い、空気のように軽やかな4人の西風(ゼファー)。

そしてラトマンスキーはパ・ド・ドゥの振付に才能を発揮している。眠るプシュケが目覚める瞬間。プシュケがエロスを見てはならぬことから最初は視線を交わさない二人。見たいけど見てはならない、そのもどかしさ。しかし思わずその姿を見てしまってからの驚きと恋の燃え上がりを表現する甘美なパ・ド・ドゥには心も吸い寄せられる。複雑なサポートも多いけれども、そんなに複雑そうに見えなくて流れるようなのがいい。

何よりもこのパ・ド・ドゥを美しくたらしめているのが、セザール・フランクのさざなみのようでいて、徐々に盛り上がっていく音楽。大所帯のコーラスを使用したものなのだが、人間の声の持つ力が、他愛のない物語のこの作品にミステリアスさと深みを加えていてうっとりさせられる。コーラスの姿は舞台を観ている最中には見えないのでカーテンコールで幕が開くと、大人数のコーラス隊が登場したのに驚かされたのだが、間違いなくこの作品を素敵なものにした功労者であろう。この音楽は本当に素晴らしい。

衣装とデザインに関しては賛否両論が出ているようだ。鮮やかな色使い、独特の着ぐるみ、長いひげとかつらをつけた西風たち、金色に輝くドレスのヴィーナスに関しては好き嫌いは出るだろう。オペラ座のダンサーはあまり着ぐるみ系の作品に慣れていないのか、動きもちょっと恥ずかしげだ。舞台美術についても、ヴィヴィッドでアヴァンギャルドで、背景に巨大な動物や城、森が登場し大きな木が降りてきたりするセンスは大胆でキッチュであり、好みが分かれるところだ。舞台美術のデザイナーはアメリカ人とのことだが、なんとなくラトマンスキーのロシア的な、現代性と土着性が感じられて私は結構気に入った。

クレールマリ・オスタの小柄な体躯はニンフには向いていて、なかなか愛らしいと思ったのだが、動きはカウントをしっかりと取りながらやっているのがちょっとわかってしまった。段取りどおりにきっちりと踊っている印象。今シーズンで彼女は引退とのことだが、テクニック的には衰えは見られない。バンジャマン・ペッシュはセクシーな印象のあるエロスで、魅力的なれど二人のケミストリーを感じさせるまでにはいたらなかった。ヴィーナスという大役に抜擢された若手のアマンディーヌ・アルビッソンには威厳があり、堂々とした女神ぶりだった。

オペラ座のサイトで少しだけ映像を見ることができる。
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/opera_video/index.php?lang=fr&video_id=483

ラトマンスキー作品の持つロシア的な気質が、果たしてパリ・オペラ座というカンパニーに向いているのかは疑問の余地を残すところではあるが、美しく楽しくオリジナリティのある作品を創ることができる彼の才能は本物だと思う。この「プシュケ」は他のカンパニーで上演してみると、またまったく違う味わいが出てきて面白いのではないだろうか。

2011/10/05

ユニバーサル・バレエの「オネーギン」にエヴァン・マッキーがゲスト出演 Evan McKie guests in Universal Ballet's Onegin

韓国のユニバーサル・バレエは、11月12日~19日にソウルのLGアートセンターにて「オネーギン」(ジョン・クランコ振付)の上演を行います。

このたび、この「オネーギン」のキャストが発表され、ゲストに、シュツットガルト・バレエのエヴァン・マッキーと、同じくシュツットガルト・バレエの新プリンシパル、ヒョジュン・カンを迎えることになりました。

また、先日の来日公演「ジゼル」で心を打つ素晴らしいジゼル役を演じたファン・ヘミンもタチヤーナ役を演じます。

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Hyemin Hwang、JAE-YONG OHM

Saterday, November 12 - Saterday 19, 2011
Mon day off / Tue-Fri 20:00/ Sat (Nov.12) 19:00 / Sat (Nov.19) 15:00, 19:00 / Sun 15:00
LG Arts Center (Seoul, Korea)
Tickets open! http://ticket.interpark.com/Ticket/
VIP 100,000 Won, R 70,000 Won , S 50,000 Won, A 30,000 Won

ONEGIN
Ballet in three acts
Choreography and libretto JOHN CRANKO
(after a novel by Alexander Pushkin)
Music by Pyotr Ys. Tchaikovsky
Arranged and orchestrated by Kurt-Heinz Stolze
Staged by Jane Bourne
Supervised by Reid Anderson
Set Design: Thomas Mika
Costume Design: Maren Fischer
Lighting Design: Steen Bjarke
Copyright: Dieter Graefe

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Hyemin Hwang、JAE-YONG OHM

キャスト(韓国語)
http://www.universalballet.com/community/notice_view.asp?p=1&cd=1223&g=1223&l=0&n=0

Leading Roles of ONEGIN
DATE          TATIANA                      ONEGIN
NOV.12 (SAT)19:00 Hyemin Hwang(Principal of Universal Ballet) JAE-YONG OHM(Principal of Universal Ballet
NOV.13 (SUN)15:00 HYOJUNG KANG(Principal of Stuttgart Ballet) EVAN MCKIE(Principal of Stuttgart Ballet)
NOV.14 (MON) Day off
NOV. 15 (TUE)20:00 HYOJUNG KANG(Principal of Stuttgart Ballet) EVAN MCKIE(Principal of Stuttgart Ballet)
NOV. 16 (WED)20:00 MISUN KANG(Senior Soloist of Universal Ballet) HYONJUN RHEE(Principal of Universal Ballet)
NOV.17 (THUR)20:00 YENA KANG(Principal of Universal Ballet) EVAN MCKIE(Principal of Stuttgart Ballet)
NOV. 18 (FRI)20:00 Hyemin Hwang(Principal of Universal Ballet) JAE-YONG OHM(Principal of Universal Ballet)
NOV. 19 (SAT)15:00 MISUN KANG(Senior Soloist of Universal Ballet) HYONJUN RHEE(Principal of Universal Ballet)
NOV. 19 (SAT)19:00 YENA KANG(Principal of Universal Ballet) EVAN MCKIE(Principal of Stuttgart Ballet)

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Evan McKie as Onegin (courtesy of Stuttgart Ballet)

エヴァンのオネーギン・デビューは昨年1月にシュツットガルトで観ることができました。素晴らしいオネーギン像を初役で作り上げていたので、また観ることができるのがとても楽しみです。

シュツットガルト・バレエのオフィシャルサイトリニューアルオープン

2010/2011シーズンが7月に終わってからずっと工事中だったシュツットガルト・バレエのサイトがやっとリニューアルオープンしました。

http://www.stuttgart-ballet.com/

トップページには「椿姫」のプロモーション映像というか紙芝居形式の映像も掲載されています。(ミリアム・サイモンのマルグリットとウィリアム・ムーアのアルマン)

各ダンサーのプロフィールページも掲載され、プロフィールのところには舞台画像もたくさん掲載されています。
http://www.stuttgart-ballet.com/company/dancers/

公演のキャストは、「椿姫」と「じゃじゃ馬ならし」の11月の公演までは掲載されていますが、従来は準主役まで掲載されていたのに、今度のリニューアルでは残念ながら本当の主役しか掲載されていません。

10月11日の「椿姫」ではエリザベス・メイソンとアレクサンダー・ジョーンズが主役デビューします。また、10月31日の「じゃじゃ馬ならし」ではカーチャ・ヴュンシュがカタリーナ役のシュツットガルトでの役デビュー、11月4日の「じゃじゃ馬ならし」ではミリアム・サイモンとアレクサンダー・ジョーンズがシュツットガルトでの主役デビューをするとのことです。(ミリアムとアレクサンダーは「じゃじゃ馬ならし」のマカオ公演で役デビューしていますね)


またツアーのサイトもできており、ちゃんと2012年には日本公演と韓国公演が予定されているとあります。
http://www.stuttgart-ballet.com/schedule/on-tour/

カレンダーを見ると、6月1日、2日、5日、6日、7日、9日、10日に日本公演、6月15日~17日に韓国公演が予定されているとありますが、詳細は今後発表されるとのことです。
http://www.stuttgart-ballet.com/schedule/2012-06/

2011/10/02

10/1 新国立劇場バレエ団によるバレエ・オープニング・ガラ New National Theatre Ballet Opening Gala

新国立劇場バレエ団の新しいシーズンの幕開けを告げるガラ。プログラム構成は変化に富んだもので良かったと思う。ぎりぎりに会場に到着したら、場内でフラッシュが炊かれ拍手が起きて何ごとかと思ったら皇太子殿下が2階席のセンターに着席するところだった。(そういえばかつて新国立劇場バレエ団で吉田都さんとイーサン・スティーフェルが主演した「ライモンダ」を観た時に、美智子皇后陛下が来場されていたと思わず遠い目になってしまったのだった)

[スタッフ]
芸術監督:デヴィッド・ビントレー
照明  :立田雄士
舞台監督:森岡肇
指揮:大井剛史  
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

【第1部】

『アラジン』から「序曲」「砂漠への旅」「財宝の洞窟」 Aladdin
[振付]デヴィッド・ビントレー [音楽]カール・デイヴィス
[装置]ディック・バード [衣裳]スー・ブレイン [照明]マーク・ジョナサン
アラジン:八幡顕光
プリンセス:小野絢子
魔術師マグリブ人:マイレン・トレウバエフ
オニキスとパール:さいとう美帆、高橋有里、大和雅美、江本拓、菅野英男、福田圭吾
ゴールドとシルバー:西川貴子、丸尾孝子、貝川鐵夫、清水裕三郎
サファイア:湯川麻美子
ルビー:長田佳世、厚地康雄
エメラルド:芳賀望、寺島まゆみ、寺田亜沙子
ダイヤモンド:川村真樹

スペクタクル的な舞台展開、華麗なディヴェルティスマンが次々と繰り広げられるこのシーンをオープニングにしたのは良かったと思う。アラジン役に軽妙闊達な八幡さんはぴったりだし、魔法のように変化に富んだこの場面展開には思わず目を奪われてしまう。オニキスとパールは仮面をかぶっていてダンサーの顔がわからないけれども、それぞれきびきびした踊りで良かった。サファイアの湯川さんには華があり、雄弁で非常に魅力的だった。ルビーの長田さん、厚地さんには大人の色香があって思わず目が吸い寄せられてしまった。ダイヤモンドの川村さんは派手さはないけれども正統派のシックな輝きがあったし、コール・ドも美しかった。マイレンがプリンシパル陣で唯一ほとんど踊りがなかったのが残念だけど、このガラの幕を開けるという重要な役割を担ったというわけで。映画音楽的なメロディもよく耳に残るし、めくるめく踊りの展開は楽しさをうまく演出していた。


【第2部】
『眠れる森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ Sleeping Beauty
[振付]マリウス・プティパ [音楽]ピョートル・チャイコフスキー
オーロラ姫:小野絢子
デジレ王子:福岡雄大

小野さんは少々緊張していたのか、いつも以上に丁寧で慎重に踊っていたけれども、初々しさ、清らかさの中に見せる輝きがオーロラ役にぴったり。小柄なのに手脚を長く見せる踊り方ができていて、ラインがとても美しい。福岡さんはサポートはもう少しがんばってほしいところだけど、ヴァリエーションは実に見事で、着地音のしない高い跳躍、きれいなつま先も印象的。これからの新国立劇場バレエ団を代表する王子様ダンサーとなるのは彼だろうなと改めて実感した。


『ロメオとジュリエット』第1幕よりバルコニー・シーン Romeo and Juliet Balcony Scene
[振付]ケネス・マクミラン [音楽]セルゲイ・プロコフィエフ
ジュリエット:本島美和
ロメオ:山本隆之

これは正直まったくいただけなかった。山本さんは今月末からの「パゴダの王子」の王子役を調整不足で降板しているのだが、古典のテクニックを入れたバレエを踊るのはもう無理なのが明らかだった。ロミオのヴァリエーションは踊りやすいように振付を変えてしまっていたし、脚は上がらない、跳べない、リフトできない、パートナーも信頼して身を任せられないのでマクミラン特有のオフバランスのある振付通りに踊れない。そろそろ後進に道を譲るべきである。本島さんはお顔は美しいのだけど、いかり肩の体型ではジュリエットの衣装が似合わず、音楽性に欠けておりしなやかさもないため、そしてパートナーが前述のような体たらくということもあり「ロメオとジュリエット」という作品の疾走感、恋の高揚感がまったく出せていなかった。とにかくマクミランリフトがほとんどまともにできていないバルコニーシーンなんてあり得ない。デヴィット・ビントレーはこの舞台を果たして観ているのだろうか?観ていたらこのクオリティを良しとは決してしないはずである。たとえガラであったとしても、マクミラン財団はこれを観たら怒り心頭に発するだろう。


『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ Don Quixote
[振付]マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴルスキー
[改訂振付]アレクセイ・ファジェーチェフ [音楽]レオン・ミンクス
キトリ:米沢唯
バジル:菅野英男

先シーズン入団した米沢さん、菅野さんは二人とも実力を発揮して正統派のきっちりとしたクラシックバレエを見せてくれた。菅野さんは正確で美しくアカデミックな踊り、安定感のある片手リフト、ゆとりを持ったまっすぐなピルエットで気持ちよかった。米沢さんもテクニシャンで、きちんとしたアンドゥオール、扇子捌きも鮮やかに音にしっかりと合ったヴァリエーションを踊り、グランフェッテでは扇を上下させながらダブルも入れて余裕で回りきった。(途中で観客の手拍子が入ったのには興ざめしたが)彼らのような実力派を主役にどんどん起用できれば、新国立劇場の観客動員も安定するのではないかと思う。


『シンフォニー・イン・C』から最終楽章 Symphony in C
[振付]ジョージ・バランシン [音楽]ジョルジュ・ビゼー
[衣裳]大井昌子 [照明]磯野睦
第1楽章プリンシパル:長田佳世、福岡雄大
同 コリフェ:西山裕子、大和雅美、小口邦明、小柴富久修
第2楽章プリンシパル:川村真樹、貝川鐵夫
同 コリフェ:細田千晶、川口藍、清水裕三郎、田中俊太郎
第3楽章プリンシパル:寺田亜沙子、輪島拓也
同 コリフェ:寺島まゆみ、堀口純、野崎哲也、宝満直也
第4楽章プリンシパル:丸尾孝子、古川和則
同 コリフェ:さいとう美帆、高橋有里、アンダーシュ・ハンマル、原健太

「ジンフォニー・イン・C」の最終楽章は華やかで大好きな場面である。新国立劇場のコール・ドはとてもよく揃っていて精緻で素晴らしく、キラキラ感があった。ところがこのシーンには大問題があった。プリンシパルの中で、明らかにこの役には荷が重いというダンサーが散見されたことである。第4楽章の丸尾さんが不安定だったこともあるが、第3楽章の寺田さんが、誰が見てもわかるような明らかなミスを見せてぐらついただけでなく、終始この舞台の足を引っ張っていたのであった。コリフェ役の西山さんや寺島さん、さいとうさんあたりを起用すべきだったのではないかと思われた。一方、第1楽章プリンシパルの長田さんの切れ味鋭くも軽やかで音楽的なパには惚れ惚れとしたし、パートナーの福岡さんも素晴らしかった。また川村さんも輝かしく、音と戯れるように優雅に踊って目に快かった。コリフェのリーダー的な存在の大和さんが全体をよく引っ張り、群舞の完成度が非常に高かっただけに、一部プリンシパルのひどさが目に付いてしまって残念だった。また男性陣も、コリフェはなかなか見せてくれたのに、プリンシパルレベルでは正直福岡さん以外はちょっと弱かった。

以上、かなり辛口なことを書いてしまったが、新国立劇場に望むのはただ一点、実力に応じたキャスティングをしてほしいということである。このバレエ団のコール・ドは世界に誇れるレベルの高さであるし、ソリストでも八幡さん、長田さん、福岡さん、米沢さん、菅野さんなど素晴らしいダンサーをそろえているのに、なぜか実力不足のソリストが主役に抜擢されているこの状況が歯がゆい。東京のバレエの観客の目は肥えており、「ロメオとジュリエット」は今回最も拍手が少なかったのもはっきりと聞き取れた。デヴィッド・ビントレー芸術監督や、スタッフはしっかりとダンサーの実力を見極めて、その役に本当にふさわしいダンサーの起用を心がけてほしいと願う。

2011/10/01

ウィル・タケット×首藤康之 『鶴』/映画「今日と明日の間で」/首藤×小野絢子対談

今日、明日と新国立劇場で中村恩恵さんと「Shakespeare THE SONNETS」に出演する首藤康之さん。(私も明日観に行きます)

次回作品は、ウィル・タケット(「兵士の物語」」演出・振付のNIPPON文学シリーズ『鶴』をKAAT(神奈川芸術劇場)で上演するそうです。

演出・振付/ウィル・タケット
出演/首藤康之、他 英国バレエダンサー4人、日本バレエダンサー1人、ストーリーテラー:日本人キャスト

主催/KAAT 神奈川芸術劇場(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)
制作/株式会社パルコ
※詳細はkaat.jpで10月中旬以降発表予定

公演期間
2012.3.16(金)―3.18(日)

これはまた大変興味深いコラボレーションになりそうです。タケットの演出した「兵士の物語」はとても面白かったですし、日英のバレエダンサーが出演するということでも、どんなものになるのか興味を惹かれます。この日程だとまたチケットが瞬殺!の予感がしますね。

http://www.kaat.jp/pf/the-crane-maiden.html

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なお、首藤康之さんを追ったドキュメンタリー映画「今日と明日の間で」は、東京国際映画祭<ある視点>部門で上映されるそうです。テーマ音楽を椎名林檎さんが手がけていることも話題を呼んでいますね。2012年1月7日より東京都写真美術館ホールと銀座テアトルシネマほかで公開されるそうです。

映画公式サイト
http://kyo-asu.com/

東京国際映画祭での上映予定
http://2011.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=143

予告編(素敵ですね・・・)

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さて、新国立劇場のサイトでは、「Shakespeare THE SONNETS」に出演する首藤さんと、新国立劇場バレエ団で「パゴダの王子」に主演する小野絢子さんという異色の対談が掲載されています。首藤さんは今まで小野さんが出演した舞台を3回も観ているんですね。

パート1
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20001649.html

パート2
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20001650.html

特に新国立劇場バレエ団と東京バレエ団の違いみたいな話題や、新しい振付家にどうアプローチするか、新作を踊るときの心がけなどについて、とても面白い話が読めますので、興味のある方はぜひ読まれることをお勧めします。

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