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2011/10/21

東日本大震災復興支援チャリティ・ガラ HOPE JAPAN Sylvie Guillem's The Tohoku Earthquake Relief Gala "Hope Japan"

東日本大震災復興支援チャリティ・ガラ 
HOPE JAPAN

出演者がさまざまなジャンルから来ているものの、みな一流のアーティストであり、彼らが気迫に満ち、心をこめて日本の被災者のために力をあわせて渾身のパフォーマンスを見せてくれた、特別な一夜であった。この場にいることができて幸せだった。

10月19日(水) 6:30p.m. 東京文化会館

【第1部】

現代のためのミサ」より"ジャーク"(バレエ「ダンス・イン・ザ・ミラー」より)
「ピエール・アンリ音楽/モーリス・ベジャール振付
東京バレエ団

ダンサーが、とか振付が、というより電子音がキンキン響いて耳に不快だった。この作品の音楽を作曲したピエール・アンリを追悼するための作品であるため、この音楽を使わなくてはならなかったのだろうが、もう少し録音状態の良いものを使ってほしかった。和太鼓や横笛、アカペラのメゾソプラノ独唱、チェロ、そしてオーケストラ演奏と音楽も質の高いものを全体として使っていたのに、最初のこの音はなんとかならなかったのだろうか。1階席から観ていたので、ガチャガチャしていて何が起きているのかもわからず、ベジャール作品の魅力であるフォーメーションのよさも味わえなかった。唯一、ソリストの松下さんの踊りは生き生きしていて良かったと感じた。ベジャールなら他の作品を上演した方がバレエ団の魅力が生かせたのでは?


ニネット・ド・ヴァロワによる詩「満ち足りた幽霊」「子どもの言うには・・・」
朗読:アンソニー・ダウエル

ダウエル氏が、今までのたびたびの日本訪問で受けた印象と震災へのお見舞いを心のこもった言葉で述べた後、ロイヤル・バレエの創立者である故ニネット・ド・ヴァロワ女史による詩二編が朗読された。まるで今回の震災の犠牲者とその遺族に向けた鎮魂の詩であるかのような、人間の魂とは何かを問いかける美しい詩で、よく通る声で非常に聞き取りやすく(字幕も表示され)さらりと読んでくださったので心にしみた。(ニネット・ド・ヴァロワがこのように詩にもすぐれた才能を発揮し、イェーツと親交があったことは初めて今回知った)


「ルナ」
ヨハン・セバスチャン・バッハ音楽/モーリス・ベジャール振付
シルヴィ・ギエム

実はこの作品を観るのは初めて。ギエムはずいぶんと筋肉質で男前な身体になったものだと思ったけれども、ポワントを履いた足先も長い肢体も美しく凛としてエレガンスがあり、白く輝く月の女神らしい神秘性があった。


「アルルの女」より
ジョルジュ・ビゼー音楽/ローラン・プティ振付
マッシモ・ムッル

前回観た時よりほっそりとして、長く伸びた髪をうしろでまとめたマッシモ。姿の見えないアルルの女の幻に取り憑かれた彼が、狂気にいたるまで苦悩する姿は繊細で、いかにも恋に破滅する男の姿をしている。全編観たくなってしまった。(カーテンコールで東京バレエ団のダンサーと並んだときの、マッシモの顔の小ささには驚いた)


「火の道」
舞踊:花柳壽輔  横笛:藤舎名生  太鼓:林英哲

下手に横笛、上手に太鼓。横笛と太鼓の掛け合いが、太鼓のエネルギッシュな力強さに対して、アヴァンギャルドなまでの笛の響き。インプロヴィゼーションのようだった。古典芸能を聴いているよりはまるでフリージャズのようで、これはこれでとてもかっこいい。途中で真ん中に道が開け、花柳壽輔さんが登場する。その存在感、研ぎ澄まされた一挙一動の重み、小刻みの摺り足。花柳壽輔さんはなんと80歳なのだというけど、とてもとてもその年齢には見えず、色気もあってしびれるほど素敵だった。3人とも気迫が凄い。


【第2部】


「ダンス組曲」より
ヨハン・セバスチャン・バッハ音楽/ジェローム・ロビンズ振付
マニュエル・ルグリ  チェロ:遠藤真理

以前「エトワール・ガラ」で同じ演目を踊った時には、チェリストが少々覚束ない感じであったのだが、今日の遠藤真理さんは素晴らしい演奏を聞かせてくれた。「ダンス組曲」はバッハの無伴奏チェロ組曲の中の4曲を使用するが、本日は5番サラバンド、6番プレリュードを使用。赤いベルベットのトップスに異素材の赤いジャージのルグリは、以前観たときよりも若々しく精悍な印象。白い歯を見せてチェリストに笑いかける姿もいたずらっぽくて魅力的だったし、踊りの方も、エレガントで音楽と戯れるように軽やかで、くるくるとグランピルエットを回る姿も正確で美しかった。たったこれだけのために来日してくれて、本当に感謝。(そしてこの日はルグリの誕生日でもあった)


「十五夜お月さん」「五木の子守唄」「シャボン玉」「赤とんぼ」「さくらさくら」
歌:藤村実穂子

藤村実穂子さんの5つの日本の歌はまろやかで豊かな歌声で、日本歌曲の美しいメロディを隅々まで味わうことができた。広い東京文化会館でアカペラの独唱なのに、全体によく響き包み込むようなスケールの大きな声には優しさがあった。歌詞の中からは、日本の四季折々の美しい自然が思い起こされ、日本という国の美しさを改めて思った。


「ボレロ」
モーリス・ラヴェル音楽/モーリス・ベジャール振付
シルヴィ・ギエム  東京バレエ団
指揮:アレクサンダー・イングラム
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

最近は本当に多くのダンサーが「ボレロ」を踊っているけど、やはりこれは特別な作品で、誰も彼も「ボレロ」を踊ってはいけないって思った。今までのギエムは女戦士というイメージ(ドラクロワ「民衆を率いる自由の女神」的)だったけど今日はもっとシンプルで飾り気をいっさいそぎ落としていて優しく、しかし力を込めなくとも高々とぴんと上がる脚や、軽やかな跳躍、その中に凛とした強い祈りと意思がこもっていた。「ボレロ」は踊る人の内面がモロに出る作品なので、いくらテクニックがあっても中身が空っぽだと実に空しい作品となる。今回のギエムの踊りには慈愛、鎮魂とともにある種強い怒りも感じた。インタビューを読んでいたからかもしれないけど、原発事故への怒りと復興への祈りと。そしてクライマックスにむけて、ギエムの視線が客席に送られて、呼びかけられているのを感じた。「さあ、一緒に立ち上がりましょう。あなたたちは一人ではない。私たちがついているわ」という強いメッセージとエールがこめられていた。その想いを感じると、自然に涙があふれて止まらなくなった。3月11日の震災以来日本が味わってきた苦難の日々。なかでも、被災地の人々が未だに苦しめられている現実。そういったさまざまな思いが去来した。


カーテンコールでは、呼びかけ人でギエムが一人カーテンコールの中央に立つことはなく、出演者が勢ぞろいしたときも右の端にいたりして、本当に彼女は謙虚な人なんだと思った。客席に向ける笑顔もとても幸せそうで優しげだった。途中のカーテンコールではルグリと手をつないでいたのも印象的だった。満員の客席は上階にいたるまで総立ちでカーテンコールはとても長く続いた。本当にシルヴィ、そして出演者の皆さん、ありがとう。最初発表されたときには、バレエ作品が意外と少なくて、もっとバレエがあればいいのにと思ったのだが、実際にこの舞台に接してみると、この構成で良かったのだ。(ただし、オープニングだけは別の演目の方が良かったと思うけど)

追記:シルヴィ・ギエムの記者会見のレポートがNBSのオフィシャルにアップされています。
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-369.html

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

ほんとうにすばらしい公演でした。

ギエムは行動力と才能をいかんなく発揮し、人としてあるべき姿を改めて知らしめてくれたと思いました。心から感謝しています。

一つ一つ総てが感動的でしたが、ダウエル氏のさりげなく、でも堂々とした存在感と誠実にメッセージを伝える姿が特に心にしみました。naomiさんがおっしゃるようにまるでこの災害の鎮魂のために書かれた詩のようでしたね。

ずずさん、こんばんは。

昨日お会いできて嬉しかったです!本当にギエムは自分の行動をもって強い意志をしめしてくれて、愛情を感じましたね。
そしてダウエル氏の朗読も本当に心を打ちましたね!ニネト・ド・ヴァロワがこんな詩を書いていたとは。

naomiさん初めまして、いつも素敵な情報をありがとうございます。
バレエへの愛情ある時に辛口なコメントを楽しみに読ませていただいています。

HOPE JAPAN素晴らしかったですね。
ギエムのルナは日本への祈りが込められているようでとても感動しましたし、
3階席からの鑑賞でしたが、出演した方々のパフォーマンスからは魂が伝わって来るようでした。
ギエム、ムッル、ルグリはもちろん、お恥ずかしいのですが今まで存じ上げなかった日本からの出演者に心から感謝しています。

これからも遊びに来させていただきます、よろしくお願いします。

kaoさん、こんにちは。

本当にHOPE JAPANのガラは素晴らしく、チケット代は正直高いと思っていましたが、これだけのものを見せていただいたら満足です。私も伝統芸能については興味はあるものの疎いので、彼らのこんなに素晴らしいパフォーマンスを観ることができて、企画してくださったギエムとNBSに感謝です。

今後ともよろしくお願いいたします!

こんばんわ。ロンドンのNaoko Sさんのブログ経由で何度か拝見しています。

 19日の舞台の模様が手に取るように判り、アップしてくださってありがとうございます。ガラは無理にしても、Aプロだけは1泊3日の弾丸一時帰国で観たいと思っていたのですが。

 ご迷惑でなければ、こちらのエントリをアップさせていただきたく。

 

守屋さん、こんにちは。

私も守屋さんのブログは時々拝読しています。もちろん、シェアしてくださってOKです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします!Aプロのシルヴィも素晴らしかったです。

こんにちは

素晴らしい公演だったみたいで、良かったです。
私は、このごちゃ混ぜが好きではないのと
「ボレロ」を踊るようになってからギエムを見なくなったので
なんとも言えないのですが、
確かに「ボレロ」は誰でも自由に踊るという演目ではないと思います。
私は、ドンでしかないのです。
それで、けっきょく、このコンサート、なにが「HOPE JAPAN」だったんでしょうか?そのコンセプトがわからないのです。もう一度日本の美しさを思い出そう、ならバレエはいらないと思うし。。。笑い(どうでもいいか)
しかし、感動を与えてくれたということ、
それは、とても良い時間を過ごされたということですね。
今度Aプロだったか、
ギエムの公演に行ってきます。それが多分、最後になるんでしょうねえ、という感慨があります。
私はギエムはこの数十年で一番の女性バレエダンサーだと思っております。

zuikouさん、こんにちは。

私は残念ながら、生ではジョルジュ・ドンのボレロを観ていないんです・・・。

ギエムが「HOPE JAPAN」にどういう思いを込めて公演を実現させたかということについてはリンクを貼ったインタビューを読まれたらお分かりになるのではないかと思いますよ。(それでも否定されるのでしたら、行かれる意味はないと思います)ボレロという作品自体に、人を鼓舞させるものがあったということもあったのではないかと思います。
パリで行った「HOPE JAPAN」公演でも、マルタ・アルゲリッチやナタリー・デセイ、ローランド・ヴィリャソン、鼓堂などが出演されていますし、私自身は、ミックスジャンルの公演というのは観客層を広げるということもあって意味はあると思います。まったく関係のないものを共演させるのはどうかと思いますけど、日本舞踊や歌はダンスと関係のないものではないですし、私としては今回これらがあったのはとても良いことだったと思います。

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