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2011/10/11

ロイヤル・バレエ「不思議の国のアリス」Blu-Ray "ALICE’S ADVENTURES IN WONDERLAND" The Royal Ballet

ALICE’S ADVENTURES IN WONDERLAND

Alice Lauren Cuthbertson
Jack/The Knave of Hearts Sergei Polunin
Lewis Carroll/The White Rabbit Edward Watson
Mother/The Queen of Hearts Zenaida Yanowsky
Mad Hatter Steven McRae
The Dutchess Simon Russell Beale

Orchestra of The Royal Opera House

Music Joby Talbot
Choreography Christopher Wheeldon
Conductor Barry Wordsworth

Recorded live at the Royal Opera House, 9th March, 2011

今年2月にロイヤル・バレエで初演されたばかりの「不思議の国のアリス」は、ロイヤル・バレエの全幕新制作としては16年ぶりの作品である。(ナショナル・バレエ・オブ・カナダとの共同制作、カナダでは6月にスティーヴン・マックレーをゲストに迎えて上演) 巨額の予算をかけたプロダクションが大きな話題を呼び、チケットは早々にソールドアウトとなり、今シーズンの再演も決まっているなど成功を収めた。

Amazon.ukから取り寄せたBlu-rayで早速観てみると、なるほどとても楽しい作品に仕上がっている。まず、カラフルでポップで世界観が統一されたプロダクションデザインが秀逸。ボーナストラックのメイキング映像(BBCのドキュメンタリー「Being Alice」)を観ると、ハイテクノロジーを駆使して魔術的な視覚効果を高め、不思議の国の様子を再現することで大人から子供まで楽しめるエンターテインメントとして作られたのが良くわかる。

アリス役のローレン・カスバートソンはまさにイングリッシュ・ローズという感じの清楚さの中にも、アリスの好奇心の強さが伝わってくる役作りで適役。すらりとしていて手足が長く、テクニックも確実な彼女は、ロイヤル・バレエが第二のダーシー・バッセルとして売り出そうとしているわけだけど、見事期待に応えている。アリス役は全編出ずっぱりで体力的にも大変な役だったと思うけど、ローレンの持つ独特のスウィートさの中にも元気のよさがあって好演だった。また、登場シーンはそれほど長くないけれどもスティーヴン・マックレーがマッドハッター役で素晴らしいタップの腕前を10分間にわたって披露して鮮烈な印象を残す。

だがこの作品の成功を決めて、途中からはすっかり場をさらってしまうのが女王役のゼナイダ・ヤノウスキーの怪演ぶり。彼女が登場して急に作品が面白く生き生きしだすのだ。2幕冒頭のローズ・アダージオのパロディシーンはYouTubeでも流れて大きな話題を呼んだが、改めて観るとやはり爆笑モノというか可笑しすぎて笑い声を上げてしまうほど。長身で表情も豊かでものすごい存在感の彼女に対して、処刑されようとしている気の毒な庭師たちと王様の弱弱しく情けない姿といったら、もう。首切り人とタンゴを踊ったり、フラミンゴの首でクロッケー(ゲートボールに似た競技の一種)をやってズルをしたり、王様を叱り付けたり、やりたい放題でコメディエンヌぶりを発揮し、面白すぎる。セカンド・キャストはタマラ・ロホが演じたとのことだが、ゼナイダがこれだけはまり役だっただけに、逆にタマラはどう演じたのか知りたいところだ。

この作品、1幕の最初の40分ほどは導入部のティーパーティを除けばアリスが孤軍奮闘する感じで、他のキャラクターが登場する場面もガチャガチャしていてやや単調だ。1幕は後半ほどのはちゃめちゃな面白さはないのだけど、肉屋のシーンに登場する公爵夫人役を有名なシェイクスピア俳優だというサイモン・ラッセル・ビールが女装して演じており、アクセントをつけることには成功した。彼はバレエ作品に出演するのも女装するのも初めてだというが、笑いの間の取り方もダンス的な動きも見事だ。ラジャ/キャタピラー役のエリック・アンダーウッドのセクシーな踊り、魚に扮して飛び回る蔵健太さん、ルイス・キャロル/白うさぎ役のエドワード・ワトソンのジェントルな演技など、ロイヤル・バレエの多彩な才能が発揮されている。1幕終盤の群舞を従えてのハートのジャック役セルゲイ・ポルーニンとアリスのパ・ド・ドゥは、ミュージカル的な楽しさに、甘酸っぱい感じが加わってとてもわくわくさせられる。(群舞の中には、小林ひかるさん、チェ・ユフィさん、平野亮一さんの姿も)

先日のデヴィッド・ビントレーのトークショーにおいても、ロイヤル・バレエでは作曲を委嘱して作られた全幕作品でレパートリーに残った作品はほとんどないという話が出てきた。この「不思議の国のアリス」は、ものすごく目新しいところもなければ、振付的にウィールダンの才能が発揮された新鮮なところもなく、もっとも印象的だったのが前述の「ローズアダージオ」のパロディだったということで、手放しでは賞賛できない。「不思議の国のアリス」のファニーでポップで少しだけダークな世界観を伝える音楽は耳に残るけどあくまでも劇伴音楽という位置づけにとどまるだろう。だけど、ポップな美術とわかりやすいストーリーでバレエになじみのない観客層を引き付け、幅広い年代に楽しめる作品ということでは、成功していると思う。今後この作品がロイヤルのジンクスを破って、レパートリーに定着することを祈りたい。

http://www.opusarte.com/en/alices-adventures-in-wonderland-roh-blu-ray.html

Amazon.co.jpでは10月25日発売予定。

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コメント

naomiさん、こんにちは。
マックレーくんのタップ、10分間もあるんですか~。これから日本のAmazonで予約しますが楽しみです♪
レパートリーに定着していつか日本でも生の舞台を見られるようになればいいなと思います。

プリマローズさん、こんばんは。

きちんと測ったわけではないのですが、おそらくそれくらいの長さはあったかと思います。1幕の40分過ぎくらいからあります。かなり長くて彼の足技を堪能できますので、ファンの方には必見ですね~。メイキング映像の中でも、ウィールダンはこの振付はマックレーを念頭にして作ったと語っています。楽しい作品だし馴染みのある題材なので、日本でも上演できるといいですよね!(舞台装置はけっこう大掛かりだから大変そうだけど)

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