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« 新国立劇場バレエ団のブログスタート | トップページ | マシュー・ボーンの新作は「眠れる森の美女」Matthew Bourne awakens Sleeping Beauty in 21st century »

2011/10/29

シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 HOPE JAPAN TOUR Aプロ

シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 
HOPE JAPAN TOUR Aプロ

10月22日(土) 3:00p.m. 東京文化会館

【第1部】

「白の組曲」 Suite de Blanc
シエスト:乾友子、高木綾、渡辺理恵
テーム・ヴァリエ(パ・ド・トロワ): 田中結子、木村和夫、後藤晴雄
セレナード:西村真由美
プレスト(パ・ド・サンク):佐伯知香、松下裕次、氷室友、長瀬直義、宮本祐宜
シガレット:吉岡美佳
マズルカ:木村和夫
アダージュ(パ・ド・ドゥ):上野水香、柄本弾
フルート:小出領子
東京バレエ団

「白の組曲」は前に「ルグリと素晴らしき仲間たち」公演でオペラ座と東京バレエ団との混成で観たことがある。こういう純粋な白い舞台しかも男女のコール・ドでの作品は、東京バレエ団にはちょっときついと思う。女性ダンサーのクオリティは高いものの、ここは男性は小柄な人が多いため、クラシック的な群舞を観るにはつらい。その中で、やはり木村さんは飛びぬけてラインも踊りも美しい人なので、パ・ド・トロワでもう一方の男性が雑でどうしようもない後藤さんだと差がつきすぎてこれがまたつらい。女性ではやはり柔らかく音楽性の豊かな西村さんと、フルートの小出さんが光っていた。これを観ると、オールニッポンチャリティガラでシガレットを踊った藤井美帆さんはさすがパリ・オペラ座の団員だけあって、美しかったなあと思わず遠い目になってしまう。


「マノン」より第一幕(寝室)のパ・ド・ドゥ Manon
シルヴィ・ギエム、マッシモ・ムッル

ロイヤル・バレエの来日公演で「マノン」を上演したときにシルヴィの回をパスしてしまったので、彼女のマノンの寝室のシーンを見るのは初めて。ギエムのマノンはファム・ファタル度は低く少し大人っぽくて賢く成熟したマノンではあったけれども、1幕のマノンらしい幼い無邪気さの中の仄かな魔性は感じさせた。マッシモ・ムッルは甘い雰囲気で、純朴というよりは少し遊び人的な部分があるのはさすがイタリア人?この人は本当に顔が小さくて脚が長くて華奢で綺麗な男性だ。膝をついた状態でのリフトに失敗していたのは惜しい。


「スプリング・アンド・フォール」よりパ・ド・ドゥ Spring and Fall
吉岡美佳、高岸直樹

吉岡さんの透明感があるしなやかな雰囲気はとても素敵だったのだけど、カールした前髪に違和感。(斉藤さんといい、ここの人たちはなんで昭和的な前髪なんでしょう)高岸さんは体型がちょっと崩れてきてしまった。せっかくの美しい演目なのだからもっと初々しい人で観たい。

【休 憩】

―第2部―

「田園の出来事」 A Month in the Country
ナターリヤ:シルヴィ・ギエム
ベリヤエフ(家庭教師):マッシモ・ムッル
ラキティン:後藤晴雄
ヴェラ(養女):小出領子
コーリア(息子): 松下裕次
イスライエフ:アンソニー・ダウエル
カーチャ(メイド):奈良春夏
マトヴェイ(従僕):永田雄大

この日の白眉。この1幕のためにチケット代を払ったといっても過言ではないだろう。オーストラリアバレエから借りてきたという、コスチュームプレイ映画に出てきそうな舞台装置や衣装も素敵だったし、田舎の上流階級の夫人らしい気品をたたえたギエムも美しかった。そして何より、シルヴィ・ギエムの演技者としての成熟振りを見ることができてよかった。彼女は、超人的な身体能力やスーパーウーマンのようなプロポーション、そして賢さが前に出てしまうところがあった印象が今までは強かった。だが、この日の彼女は、養女ヴェラに嫉妬の炎を燃やして激しく平手打ちをしたり、若いベリヤエフに心惹かれる気持ちを隠しきれなくなっておろおろしたり、しかし夫イスライエフの前では、ヴェラの訴えを取り合わないようにさせて取り繕って見せたり、メロドラマの中で平凡な女性の揺らぐ想いや愚かさをごく自然に演じていて、思わずその気持ちに寄り添ってしまった。去っていってしまったベリヤエフの後を追おうとするも追いきれず、ナタリヤは一人そっと涙を流す、その間、彼女の服のリボンに万感の思いを込めてキスをするベリヤリフの姿に気がつくこともなく、彼が去ってしまってから、彼が置いていった花一厘を見て立ち尽くす。その心引き裂かれ静かに涙するナタリヤの姿こそが、ダンスという形をとったドラマというものを象徴するものだとしみじみと思った。

無邪気さの中に女として目覚めつつあるヴェラの色香と少女の頑固さをたくみに演じた小出さん、達者な踊りを見せたコーリアの松下さん、民族衣装的なメイド服も素朴で愛らしい奈良さんは健闘。たまらなく魅力的で軽薄で、でも心優しいベリヤリフ役のマッシモ・ムッルも好演。ラキティンの後藤さんはいつもの巻き毛を撫で付けていたけど、実は相当生え際が後退している?狭量で卑俗な男の感じはよく出ていた。もちろん、この作品に重厚さとドラマティックさを加えていたのが、優しく包み込んでくれるようなイスライエフを演じたアンソニー・ダウエル。彼の指導により、この作品は1幕の中にもさまざまな感情や思惑が交錯し、さざなみのような想いを見る側にも残してくれる良い舞台に仕上がったものだと思われる。時間とお財布に余裕があれば、ぜひもう一度観たかった舞台であった。

指揮: アレクサンダー・イングラム
ピアノ: ケイト・シップウェイ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。naomiさんは、Aプロ、初日をご覧になったんですね。私は26の最終日に行きました。この日の白眉は、何と言っても、マノンのパドドゥでした。演技者としてのギエムの円熟ぶりに舌を巻きました。
ギエムは純クラを踊ると、どうしても理性が先に立って、「姫や妖精なんて、本気で役作りしてられないわ」という想いが透けて見える気がするのですが、こういうドラマチック・バレエでは、別人のように役になりきるのはさすがです。
先日教えていただいたスージン・カンもそうですが、椿姫やオネーギンやマノンといった作品は、その辺の若いお姉ちゃんには踊れない、というか、味わいを出せない作品だと改めて思いました。

それにしても、東バはひどかったです。学芸会みたいな踊りを延々と・・・。私は国内のバレエ団はよく知らないのですが、時々、ゲストに釣られて東バや新国を観に行くと、まずヴィジュアルの悪さにがっかりして、次に踊りのひどさに失望する、ということの繰り返しです。
Aプロの田園でも、ギエムと絡んで踊る場面では、同じ動きをしてるのに、「振り」と「踊り」は違うんだ、と痛感させられました。
まあ、ギエムと比べちゃうのは、気の毒ですけどね。

19日のチャリティガラは、私にとっては、ボレロを観るためだけの公演でした。ギエムの強い想いがダイレクトに伝わってきて、崇高な踊りに涙があふれました。
他の出演者は、その心意気には心から感謝するものの、パフォーマンスとしては並、というか、私にはつまらなかったです。でも、いいんです。生演奏でギエムのボレロを観られるなんて、めったにないことですし、これが最後かもしれないし。
ボレロこそ、naomiさんのおっしゃるとおり、誰でも踊っていい作品じゃないですね。
過酷な全国ツアーの日程を、ギエムがケガなく終えられるよう、祈らずにはいられません。

こんにちは

私も出かけてきました。Bプロは土日なので、たぶん行けないと思います。
ところで
>オーストラリアバレエから借りてきたという
知りませんでした。汗
カーテンが上がった瞬間、ロイヤルのテイストを感じたのですが、違うのですねえ。
しかし、アシュトン、本当に、きれいな瞬間を作り上げますね。
なんというか、ヒッチコックの「ロープ」のように気の抜けない50分だったと思いますが
すべてに心、気持ちが行き届いた、素晴らしい舞台だったと思います。
また観たい。
同感です。でも最終日でしたので終わってしまいました。
かなりの空席です。一昨年くらいから感じていたのですが、マラーホフやギエムで空席なら、
シムキン以外は無理でしょう。

こんにちは
ポチさん

>それにしても、東バはひどかったです。学芸会みたいな踊りを延々と・・・。

私は、それに慣れているので、我慢している部分はあるのです。
実際に、同じ日に私も拝見いたしましたが、
東京バレエ団よりも、あの手の演目なら、新国立劇場バレエ団の方がうまいと思いました。
これ言うとなかなかいけないことなんですが、
おしゃるとおりのことを感じました。

あと、スレ主さまがおっしゃっていた
高岸さん、の体型

というより全体のオーラからして、はじめ「誰かなあ」と思ったほどです。
本音言うと小出さんも雰囲気が変わってきたし、もっと言ってしまうと
上野さん、ここで終わってしまうのかという感さえ受けて、少し恐怖感を持ちました。このことは自分のブログでの感想にも書いていないことなんですが。
勘違いであってほしいです。

ポチさん、まあ、そういう東京バレエ団ですが、この母体があって、佐々木さんの感性からして
いまの来日アーティストの招へいと、東京バレエ団込みでの公演があるので
大目に見てあげてやってください。言っていることすごく良くわかりますが。汗

ポチさん、こんばんは。

例によってお返事が遅くなってしまってごめんなさい。

本当に残念なことに、今までギエムは演技系の作品をほとんど観ていなくて、バレエフェスで椿姫と「マノン」の沼地の方しか見ていなかったのです。残念!こんなに素晴らしいものを見せてくれるとは。そして、今日Bプロも行きましたがエックの「アジュー」も本当に人生の哀歓を感じさせてくれて感動モノでした。

新国立劇場は東京バレエ団よりはかなり良いほうだと思います。東京バレエ団でも、私の好きな西村さんや小出さんは良いと思うんですけどね。。。新国立は小野さんや長田さん、米沢さんといった優秀なダンサーもいますし、コール・ド美しいし。いずれにしても、問題は男性ダンサーなんですよね。優秀な男性ダンサーはみんな海外に行ってしまいますから。それに、ご指摘の通り、演技という面ではなかなか日本人のダンサーですぐれた人は少ないですよね。クラシック偏重、テクニック偏重の教育ということもあると思うのですが。最大の問題はやはり良い教師がいないことなのだと思います。

zuikouさん、お返事が遅くなってしまってごめんなさい。

オーストラリア・バレエは確かロイヤルとはかなり縁が深いカンパニーのはずなんです。すごく英国的な感じのセットや衣装でしたよね。

私も、初日で観たのですが、できればもう一回は観たかったです・・・(もれなくついてくる他の演目をパスしたかったというのが勝ってしまって行けませんでしたが)

こんな素晴らしい舞台だったのに、ギエムですら平日は空席が目立ってしまうというのは残念でしたね。土日のみのBプロは完売だったようですが。やはり平日のバレエ興行は難しいってことなんでしょうか。ギエムというアーティストの方向性がコンテンポラリーに向いているということを敏感な観客が察知しているというのもあると思います。

教師の不在!まさに目から鱗のお言葉です。
ロシアにワガノワあり、フランスにオペラ座学校あり。
日本が一番力を入れるべきは教育者の育成かもしれないですね。

naomiさんがいいとおっしゃるなら新国は見てみようと思います。パゴダが取れたら行こうかしら。

今日、休憩時間にnaomiさんらしきお綺麗な方をお見かけしたのですが、お友達に囲まれてらしたので、悪いかなと思い、お声をかけずにいました。
次に公演でご一緒する機会があれば、ぜひご挨拶させてくださいませね。

今日のアデューは圧巻でしたねー。まさにギエムのための、ギエムにしか踊れない作品ですね!
中年女をテーマにして、あれほどスタイリッシュな、そして深い作品を作り上げるとは…マックとギエムの才能に脱帽です。
ボレロ、マノン、田園、今日のアデューと、凄まじいまでの才能とエネルギーを集中砲火で浴びて、もうヘロヘロです。
これができるのは、おそらく世界で彼女だけでしょうね。本当にワンアンドオンリーのダンサーなんだって、泣きそうになりながら実感しました。
Bプロの感想、ぜひアップしてください。楽しみにしてますね!

ポチさん、こんにちは。

そうなんですよね、結局才能のある日本人のバレエダンサーの卵はみんな海外に行ってしまうというのは、教師の差が大きいのではないかと思います。ロシアにしてもフランスやイギリスにしてもバレエ教師には資格が必要ですが日本では誰でもなれますしね。もちろん日本にも素晴らしい教師の方はたくさんいるとは思いますが、ようやく日本で新国立劇場のバレエ研修所ができたくらいですが、そこを卒業しても新国立劇場バレエ団に入れるとは限らないわけで(もちろん、たとえばワガノワを卒業してもマリインスキーには入れないしPOB学校を卒業してもPOBには必ず入れるわけではないですが)

機会があればぜひご挨拶してくださいね!

そして「アデュー」は本当に圧巻でした!何と言葉で表現していいのかわからないのですが、ギエムが長いダンサー人生の間にたどり着いた境地と、これから先の彼女を暗示しているかのようで万感迫るものがありました。普通のダンサーだったら引退しているような年齢なのに、テクニックも未だバリバリ出、新しい境地へと進んでいき新しいダンスや芸術を生み出して行く彼女は、本当に100年に一度のバレリーナ、いや芸術家だと実感した次第です。落ち着いたら感想は書きたいです。

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