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2011/09/21

デヴィッド・ホールバーグがボリショイ・バレエに移籍 David Hallberg joins Bolshoi Ballet/追記あり

ABTのプリンシパルで先日の来日公演でも大活躍したデヴィッド・ホールバーグがボリショイ・バレエに移籍することになったと、ニューヨークタイムズの記事で記述がありました。

A Ballet First: An American to Join the Bolshoi
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2011/09/20/a-ballet-first-an-american-to-join-the-bolshoi/

デヴィッド・ホールバーグの移籍話は、来日公演の際に行われたホールバーグのトークショーで彼自身が語っており、それ以降、移籍先はどこなのか、ゲスト出演もしているマリインスキーなのか、はたまたボリショイなのか、ということが周囲では噂になっていました。そして最近になって移籍先はボリショイという情報が本国から入ってきました。

ボリショイ・バレエで外国人のプリンシパルが誕生するのは初めてのこととなります。セルゲイ・フィーリンが芸術監督に就任してから、セミョーン・チュージンがダンチェンコから移籍してきましたし、即戦力となる男性プリンシパルを強化しようとしているのが感じられます。(余談ですが、実現しなかったものの別のカンパニーのプリンシパルにも移籍の打診があったようです)時代は確実に変わっていますね。

デヴィッド・ホールバーグは引き続き、ABTにも出演するとのことで、12月の「くるみ割り人形」やMETシーズンにも出演するようです。

しかしながら、このブログで何度も取り上げているトピックではありますが、ABTは深刻な男性プリンシパル不足に見舞われています。来シーズンからイーサン・スティーフェルがロイヤル・ニュージーランド・バレエの芸術監督に就任し、ABTには籍は置くものの出演する機会は激減すると思われます。ホセ・カレーニョは引退し、アンヘル・コレーラもコレーラ・バレエでの芸術監督業が忙しいわけです。そこへ来てデヴィッド・ホールバーグの移籍となると、ABTのプリンシパルはマルセロ・ゴメス、エルマン・コルネホ、コリー・スターンズの3人しか実質的に期待できなくなります。

先シーズンはシーズン中にエルマン・コルネホ、デヴィッド・ホールバーグが怪我をしたため、実際問題として主役を演じられる人がいなくなるという事態に陥り、ヨハン・コボー、イワン・ワシーリエフが急遽代役を務めることになったりしました。ABTの問題として、ゲストに頼りすぎて生え抜きのダンサーの育成を怠り、ソリストに主演をさせてみるという賭けに出ることも極めて少なかったため、今までのバレエ団を支えてきたプリンシパルたちからの世代交代が上手く行かなかったということがあります。

男性ダンサーだけでなく、女性ダンサーについても同じことが言えます。ジリアン・マーフィが婚約者のイーサン・スティーフェルとともにニュージーランドに移ってしまうため、やはり引き続きABTにも出演するとは言うものの、今までほどの出演回数が期待できなくなってしまうという問題があります。ミシェル・ワイルズも突然カンパニーを去ってしまい、ジュリー・ケントもそろそろ引退年齢が近づいていることですし。

ソリストのサシャ・ラデツキー、ダニール・シムキン、サラ・レーン、ミスティ・コープランドのうちの誰かがプリンシパルに昇格する可能性はあると思います。また最近主演する機会が出てきたヒー・セオの可能性もなきにしもあらず。また、来日公演のガラでヴェロニカ・パールトのパートナーを務めてパ・ド・ドゥを踊ったアレクサンドル・ハムーディは未だコール・ド・バレエなので彼がソリストに昇格する可能性は高いでしょう。

なお、NYTimesの別の記事で、少しだけ、ABTの来年METシーズンの予告が出ています。
http://www.nytimes.com/2011/09/18/arts/dance/congo-and-kabuki-and-salutes-to-mr-b.html
この記事の真ん中へん。

「真夏の夜の夢」「ジゼル」「アポロ」「明るい小川」のタイトルがあります。また、ラトマンスキー振付の新作「火の鳥」が上演されることも決まっているほか、ディアナ・ヴィシニョーワがインタビューで、ABTで「オネーギン」のタチヤーナ役を演じると語っていることから「オネーギン」、また来年2月のケネディ・センターでの公演で「ラ・バヤデール」が上演されることからこれもおそらくはMETで上演されることでしょう。

*********
New York Timesに、デヴィッドのコメント入りのより詳細な記事が掲載されました。
http://www.nytimes.com/2011/09/21/arts/dance/american-to-join-the-bolshoi-ballet.html

「このような歴史を持つカンパニーに加入することを誇らしいと感じると同時に、個人的に、アメリカ人として責任感を感じるよ」と彼は火曜日に語りました。「僕はカンパニーに何か新しいものをもたらすけれども、同時にボリショイの伝統にも敬意を払うだろう」

ボリショイ・バレエの新芸術監督セルゲイ・フィーリンは、Kings of the DanceのツアーとABTのモスクワ公演でデヴィッドの踊りを観て、彼に白羽の矢を当てたとのことです。「彼は傑出したロマンティックでクラシカルなダンサーです」と電話インタビューでフィーリンは語りました。

芸術監督に就任して2週間後、フィーリンはABTのモスクワ公演中のデヴィッドを昼食に招き、ボリショイのプリンシパルもしくはゲストのポジションをオファーしたとのことです。「かごの鳥にはさせないし自由に他でも踊っていい。でも、真剣にボリショイでの活動に取り組んでほしい」

デヴィッドのボリショイでのデビューは、11月4日の「ジゼル」となる予定です。そして「眠れる森の美女」と「ドン・キホーテ」にも出演します。また、来年1月、2月にもモスクワでボリショイの公演に出演します。

デヴィッドはABTでの踊る予定のうち4つは断らざるを得なくなりました。しかし12月の「くるみ割り人形」と、5月から7月までのMETシーズン、そしてその前のシカゴとオレンジ・カウンティでの公演には出演するそうです。

デヴィッドは、ナタリア・オシポワと踊ったことや、マリインスキー・バレエに客演したことが自身に大きな影響を与えたと語っています。「ロシアではどこへ行っても、踊ることは高尚な芸術であると評価されていると感じます。そしてカンパニー内での仕事はとてもインテリジェントで美しく行われています。ぼくがボリショイでの公演に参加されたときには、圧倒されてしまった。劇場の歴史はあまりにも重い。でも、おかげで少し成長することができました」

ボリショイに移籍した後のデヴィッドのパートナーは、オシポワのほか、スヴェトラーナ・ザハロワも予定されているそうです。

「ボリショイのスタイルは大きく、僕が好きな方向性において情感豊かです」とデヴィッドは語った。「踊るとともに演技も要求される役柄において僕が達成しようとしていた方向性に沿った、新鮮さと緊張感があります」

また、ボリショイの団員であることのメリットとしては、主役級のダンサーはマリインスキーと同様に、元ダンサーがフルタイムで教師を務めてくれることがあります。デヴィッドの教師は、アメリカでもカンパニーを率いていて英語を話すことのできる、元スターダンサーのアレクサンダー・ヴェトロフが務めることになります。

ボリショイは他の西洋人のダンサーを招くことがあるだろうかと聞かれたとき、フィーリンは「それはすごくいいね」と語りました。

早速ボリショイの公式サイトにも、デヴィッドの名前が登場しています。

http://www.bolshoi.ru/ru/theatre/people/detail.php?act26=info&id26=1422

******
そして実際、80年代にはもう一人アメリカ人のダンサーがボリショイに加入することになりました

http://articles.latimes.com/1989-11-18/entertainment/ca-1313_1_bolshoi-ballet

今年の春にボリショイ・アカデミーを卒業したマイケル・シャノンが、ソリストとしてボリショイ・バレエに入団しました。ロサンゼルス出身の彼は、ロシアスタイルでは従来8年間のカリキュラムを4,5年でマスターし、ボリショイのアメリカ公演に参加した後、入団が決定したとのことです。ブダペストのハンガリー国立バレエ学校で学んだ後、1年半前にボリショイ・アカデミーに転入し、このたび卒業とともに晴れて入団となったわけです。

これからのバレエの世界地図が大きく変わる一歩となりそうですね。

Twitterでのデヴィッドの報告もあわせて載せておきます。

David Hallberg

"The word is out. I will be joining the Bolshoi as a premier, marking an important step in my career and the Bolshoi's history. It has been....

....and will be an unforgettable ride, full of challenges and hopefully triumphs as well. I am so thrilled and honored... upwards and onwards."

http://twitter.com/#!/DavidHallberg

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コメント

こんばんは、ビッグニュースですね!
ホールバーグ、ボリショイに似合うんじゃないかしら。
ABTはエネルギッシュで楽しいバレエ団だけど、品には欠けるし、技術的にもヨーロッパの一流バレエ団と比べると粗いな、というのが前回の来日公演で得た感想でした。
ボリショイの水に磨かれて、さらにいいダンサーになってほしいと思います。
ボリショイには彼の大好きなオシポワもいますしね。インタビューで「彼女と踊ると電流が走る」って言ってました。
ワシリエフやばし。実生活ではオシポワの婚約者だけど、バレエでは強烈なライバル出現ですね。
ボリショイの来日公演にホールバーグも来てくれたら嬉しいのになー。

ボリショイに客演したジゼルの映像をYouTubeで見てから、ファンです。
移籍はフィーリンの手腕なのでしょうか、アメリカ人がボリショイなんて、
隔世の感がありますね。でも、彼のヨーロッパ的なテイストに合ってると思うので、
うれしいです。ボリショイの「プリンス」的役柄を制覇して欲しいです。
さしあたって、ライモンダなんか見たいな−。

naomiさま
素晴らしい情報ありがとうございます。ボリショイどは驚きです。アメリカからロシアですか?時代でしょうね?ウヴァーロフが抜けて寂しいと思ってましたので、嬉しい驚きですが。来年早々の来日公演にも参加ということですよね?未だジャパンアーツのメンバーは変更になっていませんが楽しみに待ってます。

ABTは日本公演にもちゃんと来てくれたし、初夏のNYは気持ちがいいしチケットも取りやすいのでMETシーズンは毎年必ず観に行きたいくらい、ABTはとっても好きなカンパニーなのですが、naomiさんのおっしゃる通りプリンシパル不足は深刻な問題ですね。ホールバーグ&マーフィーのキラキラ感溢れるゴージャスペアも大好きなので、これからあまり観られなくなるのは残念です。バレエ団にとって自前でスターを各年代育てていくのは本当に大変なことなんですね・・・。アメリカの景気の後退とともに、世界中からスターを集めてくるほどの資金力がなくなってしまったのでしょうかね。
それでも私は大好きなゴメスとヴィシニョーワがいる限りABTはやっぱり一番好きなカンパニーかも。オネーギンもこのペアなんでしょうかね。ゴメスのオネーギンて、これまためっちゃカッコ良さそうですよね?

naomiさま、はじめまして。ボリショイ好きの、まこ、と申します。
いつも貴重な情報をありがとうございます。
この夏、安い席があったというだけの理由で、「ABTもいちどは観ておくか」と、たまたまホールバーグ@バジルに当たった私は、即、彼のファンになってしまいました。そして、オーシポワとのロミジュリも行ったのですが、その素晴らしかったこと! オーシポワ&ワシーリエフも楽しくて好きですが、&ホールバーグとは何か、こう、別格の素晴らしさがあると思いました。どうして同じカンパニーではないのだろう(まるでロミオとジュリエットのよう・・・なんて)、どちらか移籍しないかな、と思っていたので、私は、「Yes!」、という気分です。
しかし、ABTは本当に大変ですね。そしてフィーリン芸術監督、なかなかやり手でいらっしゃいますね^^;
来日公演、ちょっぴり期待してしまいますけれど、できればまた、&オーシポワで観たいです。でも、&ザハロワもいいかも・・・(美しいだろうなあ)

ポチさん、こんばんは。

私自身はというと、ホールバーグがボリショイに移籍したのは勇気ある決断ですごいって思う反面、ABTファンの立場からするとちょっと残念です。記事に書いたとおり人材不足のABTを背負って立つのはデヴィッドとマルセロというわけなので、デヴィッドが移籍してしまうのは(たとえ今後も出演し続けるとはいうものの)寂しいです。コール・ドの頃から、シティセンターでコンテンポラリーなども踊っている所などを観てきたわけなので。
しかも、ご存知の通り私はオシポワが苦手で、この二人はビジュアル的には到底つりあわないと思っているので、オシポワは引き続きワシーリエフと踊って、デヴィッドはザハロワと踊って美男美女の二人でバレエ界を盛り上げてほしいって思います。(ザハロワも長年のパートナーのウヴァーロフが引退してしまったわけですから、ちょうどデヴィッドがぴったりだと思うし)

さえさん、こんにちは。

私もボリショイに客演した「ジゼル」の映像は観ました。素敵でしたよね~。うっとり。
本当に、かつてはソ連から西側に亡命するダンサーたちはいたのに、アメリカからロシアに移るダンサーが現れるとは時代も変わったものです。
ウヴァーロフが引退してしまって、王子系ができるダンサーがボリショイには少なかったのですが、チュージンとともに、王子系は彼が担うんでしょうね。確かに白いマントをなびかせるジャン・ド・ブリエンヌは似合いそうです!

隣のハミーさん、こんばんは。

本当にアメリカからロシアのカンパニーに移るなんて時代が来るとは思いませんでした。すごく勇気がいることだったと思います。ボリショイの来日公演ですが、多分出演ということはないと思います。彼と組むであろうオシポワもザハロワも来日メンバーに入っていないからです。ですが、今の原発の事態が収束したらザハロワさまと一緒に来日することを期待したいって思います!

ぶうたさん、こんにちは。

私もABTは、いろいろと欠点がありながらも長年NYに通っていたこともあり、愛着があるカンパニーです。今回カンパニー全員が来日してくれたわけですしね!本当に景気後退がカンパニーに影を落としているのかもしれません。確実にお客さんを呼べるゲストダンサー中心になってしまうのでしょうか。

マルセロはヴィシニョーワのお気に入りのパートナーのようなので、このペアでの「オネーギン」の可能性は高いと思いますよ。

まこさん、こんにちは。

ボリショイファンから観ても、デヴィッドが素敵に見えたのは嬉しいことです。往年の名ダンサー、ヴェトロフが彼の教師となるとのことなので、きっとアーティストとしても大きな成長ができることでしょうね。

私としては、デヴィッドはザハロワと踊っているところを観たいです。本当に美しいでしょうね。

naomiさん、こんばんは。
2回目コメントのclipと申します。
このホールバーグ氏のニュース、「ボリショイかぁ、、、。」「ロシアに住むのかぁ、、、。」などと思いながら読みました。
新しい時代の到来とさえ感じますが、なんだか一抹の寂しさも覚えますね。
どこかでABTをひっぱっていく若手、であって欲しかったような気もします。
けれど本当にこういう時代になったんですねぇ。。
いっぱいボリショイで吸収して、将来アメリカのバレエをひっぱっていって欲しいなと思います。

デヴィッド&ザハロワはものすごくきれいでしょうね。私もみたいです。
オシポワの顔が私も苦手なのでよくわかります。お姫様キャラではないですよねえ。
ネリーちゃんとも踊ってほしいなあ。クールビューティ競演がみたい!
ライモンダあたりをみたいですねえ。今度の来日公演にキャストされていないのは残念です。

ヴェトロフが先生というのも万歳!って感じです。デヴィッドは甘いだけの王子ではなく、冷たく美しい魅力も発揮できると思います。甘いだけの王子ではない王子を演じるならば、先生はこの人がぴったりですよねえ。本当に期待できます。

とても魅力的な記事でした!!
また遊びにきます。
ありがとうございます!!

clipさん、こんにちは。

旅行に行っていたもので、お返事が遅くなり申し訳ありません。NYというモダンな場所で生活してきたデヴィッドがモスクワに住むのか、と思うと本当に時代が変わった感じがしますね。

>どこかでABTをひっぱっていく若手、であって欲しかった

これは私も同感です。おっしゃる通り、ロシアで多くのことを学んで、またアメリカに戻ってきたときにその経験をバレエ団やさらに若いダンサーに伝えていってほしいなって思いました。

buminekoさん、こんにちは。

ネリーちゃんとデヴィッドという組み合わせも素敵でしょうね!彼女のライモンダはきれいでしょうね~。

そうなんです、ヴェトロフが先生というのがまた楽しみです(ダンマガ最新号のチュージンのインタビューによれば、彼の教師もヴェトロフが担当するようです)。デヴィッドはABTの「白鳥の湖」での美しき悪魔ロットバルトがすごく素敵だったし、悪役も似合いますよね。クラッススとかやったりするのかしら?

はじめまして、ホールバーグを検索していてこちらにお邪魔しました。
記事の内容で気になったことが一つ・・・ マイケルシャノンがボリショイにいたのはかなり昔の話で、今はベルギー王立バレエ学校の芸術監督をしていますよ。

まちょさん、こんばんは。

お返事が遅くなりました。ご指摘の通りでしたね。記事を修正しておきます!申し訳ありません。

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