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2011/09/30

9/23 シュツットガルト・バレエ「椿姫」Die Kameliendame (Lady of the Camelias) Stuttgarter Ballett

Ballet in Drei Akten von John Neumeier
nach dem Roman von Alexandre Dumas d. J
Operunhaus Freitag, 23. September 2011

Armand Duval: Marijn Rademaker
Monsieur Duval : Nikolay Godunov
Nanina :Anjelika Bulfinsky
Herzog : Dimitri Magitov
Prudence Duvernoy: Oihane Herrero
Olympia : Anna Osadcenko
Graf N : Arman Zazyan
Marguerite Gautier : Sue Jin Kang

Manon Lescaut : Katja Wunsche
Des Grieux : Evan McKie
Gaston Rieux : Jason Reilly

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シュツットガルト・バレエのシーズンオープニング作品は「椿姫」。もちろん、キャストは現在のシュツットガルトの「椿姫」のファーストキャストであるスージン・カンとマライン・ラドマーカー。実はスージンとマラインで全幕観るのは四回目で、もう十分観たでしょと言われながらも、実際観ると毎回違うのでやめられない。しかし困ったコトにこのペアがデフォルトになってしまうと他の人で観られなくなっちゃう。

今、シュツットガルト・バレエのサイトがまだリニューアル中でキャストが全然見られない不便な状態になっているのだが、今後はウィリアム・ムーアやアレクサンダー・ジョーンズなど若手(&見目麗しい)プリンシパルに主役を演じさせる予定のようだ。果たして彼らがどう演じるかは興味があるものの、さすがにそこまではるばるシュツットガルトまで飛んでいけない。

原作のアルマンがそのまま舞台に現れたような、若く純粋で情熱が迸り駆け抜けていくようなひたむきなマラインももちろん素晴らしいんだけ、スージンが凄すぎるんだと思う。身体を楽器のように使い、弦を奏でるように細やかに心情を紡いでいく。時には激しく、時には繊細に。(ハンブルク・バレエの)ジョエル・ブーローニュが引退した今、世界最高のマルグリットは彼女であることは間違いない。裏社交界の名花であることについて誇り高く矜持を持って生きているけれども、一方でマルグリットはそんな自分を後ろめたく思っているところがあって、それを容赦なくマノンに暴かれて心が引き裂かれる。そんな苦しみと病み衰えていく中でもひたむきに世界と立ち向かって散っていったマルグリットの姿には、思わず抱きしめてあげたくなるような愛おしさを感じる。

今回一番泣けたのは白のパドドゥで、この愛が近い未来に終わりを迎えることを解りながらこの儚い一瞬を慈しむ様に噛みしめるマルグリットが切なくて。そんな日が来るとは思っていないけど、未来のことを考えず今のかけがえのない甘美な瞬間を夢見るように生きているアルマン、同じ瞬間を生きる二人の違いがまた悲しい。なんという美しさ、終わりが来ることがわかっているからこその、ガラス細工のようなこわれやすい幸福。

マラインは観る度にどんどん演技が激情的になっている。明日という日は来ないのではないかという位情熱をたぎらせているけど、直情的ですごく怒りん坊で時には冷酷に、だけどナイーブでほの暗さを湛えていて。まぶしいほどに光輝く時があるだけに陰影もまた濃く、ラストに向かってマルグリットの遺した日記のページを手繰り寄せる様子にも、どんどん翳りが現れて行って、日記を開いて俯き立っているだけなのにアルマンの心情の変化が自然と浮かび上がってくる。マルグリットの別れの手紙に対して怒りを炸裂させ、激しい愛憎を炸裂させながら身体を捻じ曲げるような強引な超絶技巧を挟み込んで駆け抜けるソロは圧巻だ。真っ白い炎のようなアルマン役は彼の真骨頂である。アルマンって舞台の上で何回もぶっ倒れる役柄なのだけど、この倒れ方がすごく上手くてさぞかし痛いだろうな、と余計な心配もしてしまうくらいである。3幕でマルグリットを侮辱してしまうところの、アルマンの冷酷な表情の下に隠した傷ついた心、押し殺した感情からにじみ出る後悔と悔恨・・・。

デ・グリュー役がエヴァンで、この演目でのエヴァンとマラインの共演は初めてとのこと。実はアルマンとデ・グリューが一緒に踊る場面は一つしかなく視線を交わすのは一度だけなのだけどその一瞬に電流が走ったみたいで。ユニゾンで踊るところで踊りのタイプが全然違っていて面白かった。エヴァンはこの世のものではないくらい、怖い位に美しい、耽美的なほど。エヴァンは何が美しいって脚ももちろん美しいんだけど、手が大きくて手先の動きが優雅でものすごくきれい。故ペストフ先生の弟子だけあってすごくしなやかでロシアンな踊り。マラインは身体能力の高さとアクセントのきかせ方が独特で、もっと直線的というか踊りにシャープさがある。

マノンのカーチャはほとんど初役だったとのことだけどハマり役。彼女の持つ強さ、特に大きな瞳の力には吸い寄せられそうになるし、最後の弱った姿の中にも輝く生命力が感じられていて良かった。マノン役を演じるのはこのシーズンではこれっきりだそうでちょっともったいないけれども、したたかなプリュデンス役もとても似合う彼女なので、残りの公演はプリュデンス役で活躍するのだろうか。

ジェイソン・レイリーのガストンは相変わらずセクシーな中に茶目っ気があり、頼りがいがあってかっこいい。こんな彼がアルマン役もこなせるというのだから、驚くべき芸達者さだ。おそらく「椿姫」全公演でN伯爵を演じているアルマン・ザジャンもNの持つ哀しさと優しさが感じられて、なんともいえないペーソスを作品の中に加えている。オランピアのアンナ・オサチェンコの軽薄さもすごく合っている。彼女の素晴らしいカーヴを描く美しい足の甲と膝下のラインは、どんな男でも夢中になってしまうことだろうし、自分の魅力を十分知り尽くした小悪魔加減がこの役にぴったりだ。

6人ものプリンシパルを投入し、今のシュツットガルト・バレエの最強メンバーをそろえたこの舞台、本当に多くの人に見てもらいたい。できればDVDなどの発売を望みたいところではあるのだが。。。

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シュツットガルト・バレエ」カテゴリの記事

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomi 様

こんにちは。素敵なレポありがとうございます。
少し肌寒くなってきたからか、「椿姫」とか「オネーギン」とか
観たくなりますね。

マラインとスージン、それにエヴァンで「椿姫」、豪華ですね!
これがデフォだと他のキャストではちょっと物足らなくなるん
じゃないでしょうか。

話題になっていたABTと比べると、芸監とか方針が違うと
いわれればそれまでですが、シュツットガルトの男性陣は
充実していますね。

権利の問題など複雑なのかもしれませんが、「椿姫」にしろ
「オネーギン」にしろ、ベストキャストでDVDを出して欲しいですけど、
やっぱり難しいのでしょうか。 

sandyさん、こんばんは。

なぜか私がシュツットガルト~パリに行った時期はヨーロッパ大陸は暑かったようで、パリなど気温が25度もあって長袖だと暑いくらいでした。帰ってきて東京がいきなり秋になってきてちょっとびっくりでした。秋になるとヨーロッパの劇場もシーズンが始まり、バレエ本番って感じですよね。そして秋はおっしゃるとおり、物語バレエが観たくなる季節でもあります。

シュツットガルト・バレエのサイトがずっと工事中で、工事中になる前にサイトに出ていたので23日の公演はスージンとマラインが主役であることはわかっていたのですが、マノンとデ・グリューのキャストまでは覚えていなくて、直前に本人から教えてもらってびっくりしたのでした。アレクサンダーやウィリアムなどの若手プリンシパルはデ・グリュー役を経験しないままいきなりアルマンにキャストされているようで、これからデ・グリューは誰がやるのかしら?バランキエヴィッチとエヴァンしかいないじゃない、って感じなんですが。

ABTの来日公演のガラで、ジュリー・ケントとマルセロ・ゴメスの「椿姫」の二つのパ・ド・ドゥを観たのですが、シュツットガルトで観た後だとかなり違和感がありました。(私は一応マルセロのファンなんですが、ジュリーの方がまだ合っている気がしました)「椿姫」も多くのバレエ団のレパートリーに入っていますが、なかなか他では観られなくなっちゃうんじゃないかなって気がしてしまいます。

シュツットガルトは本当に男性陣が充実していますね~。他のバレエ団が喉から手が出るほどほしがっている長身で踊れる男性ダンサーがたくさんいますからね。(ABTもロイヤルも絶対的に不足していますものね)本当にABTのことは心配です。というか、シュツットガルト・バレエから引き抜かれる人が絶対いるんじゃないかと心配にもなってしまいます。

こんにちは。
私、シュツットガルト・バレエは見たことがなくて、よく知らないんですが、Naomiさんのブログを読んでスージン・カンというダンサーが気になり、YouTubeで踊りを見てみました。
いや~素晴らしいですね~。
私は基本的に東洋人のダンサーが苦手で(日本人で見てもいいと思うのが中村祥子とロイヤルの金子扶生くらい)最初は韓国人かあ…とガッカリしたのですが、見ているうちにどっぷり引き込まれていきました。まるで一編の映画を見るような美しいパドドゥでした。
スージンは白人に混ざると顔の大きさやのっぺり感は否めませんが、それが途中から全く気にならなくなるのがすごいです。(この人もともと美人なんですね(^_^;)
本当に楽器のように音を紡いでゆく踊りに圧倒されました。

私は韓国ドラマやKポップにはアレルギーがあって、見るのも聞くのも嫌なんですが、韓国の映画は素晴らしい作品がたくさんあるし(オールドボーイとか!)バレエではこんなダンサーもいるし、文化的に色んなベクトルがあるんですね。

Naomiさんのおかげで素敵なダンサーを知りました。ありがとうございました!

ポチさん、こんにちは。

スージン・カンはシュツットガルト・バレエの来日公演くらいでしか日本で観る機会はなかなかありませんが、本当に素晴らしいバレリーナです。現役の女優バレリーナでは最高のひとりではないでしょうか。もう44歳だというのに全然衰えも見えませんね。確かに西洋人の中にあっては容姿は東洋的ですが、実際とてもきれいな人です。東洋人は若く見えるというメリットもありますが、ローザンヌコンクールで入賞してからずっとヨーロッパで生活されてきているので東洋と西洋が上手い具合にブレンドされているのですよね。特に「椿姫」のマルグリットと「オネーギン」のタチヤーナはドラマティックな表現力が本当に凄いです。

私も韓流ドラマは観ないし音楽は聴きませんが、韓国映画は、挙げられた「オールドボーイ」はじめ凄い作品もあって好きな方です。そして金子扶生さんは素晴らしいですよね。早くもロイヤルでも頭角をあらわし始めてきているそうです。

お返事ありがとうございました!
44歳なんてウソみたいですー。彼女が現役のうちに「椿姫」を見に行きたくなりました。naomiさんがドイツまで足を運ばれる気持ちがわかります。
金子さんは日本人で唯一の、西洋人に見劣りしない容姿を持つダンサーだと思うのです。お顔も可愛いし、何より頭が小さくて手足が長い。そして踊りものびやかでエレガントです。
私見ですが、この「エレガンス」というのも、これまでの日本人ダンサーには見出だせない要素だったので、金子さんには期待してます。
まったく才能というのは石油と同じで、ある所にはあって、ない人にはないんだ、と痛感させられます。

ポチさん、こんにちは。

本当におっしゃるとおり、金子さんは日本人でも数少ない、容姿とテクニックと優雅さを持ったバレリーナだと思います。モスクワ音楽劇場バレエのガラに出演した彼女の「グラン・パ・クラシック」は本当に素晴らしかったですね。まだ10代と若いのに大人っぽくてびっくりしました。モスクワコンクールの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」の動画がYouTubeにあるのですが、こちらも素晴らしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=cx5d4AnuSdM
バランシン財団がうるさいと思うので、消される前にぜひご覧くださいね。

これ見ました!この時彼女は17歳くらいですよね?信じられません。
持って生まれた華とルックス、これから技術が磨かれていけば、どんなバレリーナに成長することか本当に楽しみです。
また注目の若手が出てきたら教えてくださいねー。

ポチさん、こんばんは。

この映像をご覧になっていたとはすごい!題名がロシア語表記だからまだ削除されていないのかなって思っていました。

本当に彼女の将来が楽しみです。Ballet.coのフォーラムでは、すでに彼女は将来のプリンシパル候補に挙がっているのではないかということになっているみたいです。

この間のオルガ・スミルオワもそうですが、注目すべきダンサーが出てきたらご紹介しますね。

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