バーミンガム・ロイヤル・バレエ関連いろいろ Birmingham Royal Ballet in Japan
5月17日のチャリティ公演アシュトン・プロに続き、21日の夜と22日の「眠れる森の美女」とバーミンガム・ロイヤル・バレエの来日公演を満喫しています。どれも本当に素敵なパフォーマンスで、バレエを観られる幸せを実感しています。あとは最終日のアシュトン・プロを観るだけの予定ですが、あと1回なのは寂しいので、もう一回観ようかなってちょっと思っているくらいです。
バーミンガム・ロイヤル・バレエは演劇性に優れたバレエ団で、物語がするっと伝わってくるので観ていて本当に楽しめますね!もうすっかり感想を溜め込んでしまってなかなか追いつけないのですが、とにかく多くの公演がキャンセルする中で、心を込めて私たちに素敵な時間を贈ってくれたカンパニーや関係者に深く感謝したいと思います。その一瞬しかない生の舞台のきらめきのかけがえのないことといったら。
「眠れる森の美女」は主演陣が素晴らしかったのはいうまでもないことですが、カラボスを演じたマリオン・テイトの演技が実に迫力満点でカリスマ性にあふれており、一挙一動から目が離せませんでした。彼女を観ることができただけでもものすごい収穫でした。現在チャリティオークションにかかっている「真夏の夜の夢」のタイターニアの衣装は、彼女が着用したものとのことですね。
それから喜びの精を踊った(他にも2幕、ガーランドダンスや3幕にも出演)セリーヌ・ギッテンスの美しいアラベスク、柔軟でのびのびとした肢体、飛びぬけた身体能力には目を惹きつけられました。まだファースト・アーティストですが、将来がとても楽しみです。2006年のローザンヌ・コンクールのファイナリストです。
さて、今回のバーミンガム・ロイヤル・バレエのツアーについては、NBSのTwitterでも随時写真レポートが上がっていますが、本国のツアーブログもこまめに更新されていて、早速昨日の公演の様子などもアップされています。チャリティ公演で千羽鶴を贈ってくれたエルムハーストバレエ学校の生徒たちの目を通した東京の様子も興味深いものですし、本国の方たちにも今の日本の様子を伝えてくれていますね。また、マリオン・テイトのサービス精神も素晴らしい!
http://brbontour.wordpress.com/
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そして、The Ballet Bagでは、Japan Timesにもバーミンガム・ロイヤル・バレエの記事を書いているKris Kosakaさんによるレポートがアップされています。吉田都さんとオベロン役セザール・モラレス、ボトム役ロバート・パーカーとのリハーサルの模様、吉田都さんのインタビュー、そしてチャリティ公演の様子が写真入で掲載されています。
http://www.theballetbag.com/2011/05/20/birmingham-royal-ballet-miyako-yoshida-in-japan/
このインタビューの中で、都さんは、今年日本で「コッペリア」を踊る予定があると語っています。東京文化会館の50周年記念ガラのほかにも、出演予定があるのですね!
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バーミンガム・ロイヤル・バレエの来日公演については、バーミンガムの地元紙でも東京発の記事となっています。
Birmingham Royal Ballet keeps its promise to Japan
http://www.birminghampost.net/life-leisure-birmingham-guide/birmingham-culture/theatre-in-birmingham/2011/05/20/birmingham-royal-ballet-s-eastern-promise-65233-28716467/
この中で、デヴィッド・ビントレー芸術監督のインタビューが掲載されていますが、彼はこのように語っています。
「震災と福島の状況を巡って、来日公演をどうするのかと多方面から聞かれましたが、最初から私たちは、安全性が確保されればツアーを行うことを決意していました。多くのカンパニーが来日公演をキャンセルしており、そのことにより日本人は傷ついていました。
すぐに、チェルノブイリのような状況下ではないこと、東京から避難するような状況ではないことがはっきりしました。私たちは注意深く状況を観察しており、この国が元の姿を取り戻していることにすぐに気がつきました。
震災後一日目から、日本の人々がストレスに晒されており、私たちのようなカンパニーが訪れることを求めていることを感じました。日本にとって、私たちが彼らを応援することは大事なことなのです。
そしてバーミンガム・ロイヤル・バレエはそれを確かに行っています。もともとの過密なスケジュールに加えて、アシュトンの「真夏の夜の夢」と「ダフニスとクロエ」の2演目の追加ガラ公演をチャリティ目的で行うことにして、すべての収益を震災と津波被害の義援金として寄付することにしました。
このガラ公演は、単にBRBが日本で3週間のツアーを行うことよりも大きな意味があります。私たちは日本を信じており、彼らがこの悲劇から立ち直る力を持っていることも信じています。これは単なる定期的なツアーではなく、友情についての公演なのです」
日本にとって、デヴィッド・ビントレーというかけがえのない友人を得ることができたのは本当に幸いなことだったと思います。
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コメント
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naomiさん、こんばんは。
ビントレーの心温まる素敵なメッセージ、ご紹介くださってありがとうございます。
震災直後のフィレンツェやチェコ・フィルはともかくとして、外国人アーティストが
次々と来日中止、公演キャンセル。
ただでさえ、TV画面に映し出される悲惨な状況に心を痛めている私たちの心に
塩を塗りつけられるような・・・深い傷となっていました。
そんな中、カンパニーそろって来日を決めてくれたBRBには本当に感謝です。
もちろん、「こんな時だからこそ」と予定通りに来日してくれたドミンゴや
チャリティのために駆けつけてくれたメータ、日本のために動いてくれている
世界中のアーティストに感謝しなければなりませんね。
投稿: Odette | 2011/05/23 01:22
Odetteさん、こんばんは。
そうなんです、震災などの悲惨な状況のニュースに晒されているだけでも、すごいストレスの上に原発の不安もあるし、その中でアーティストのキャンセルが相次いでいると、日本にはもう誰も来てくれないのだと悲しい気持ちになってしまいます。
そんなときに来てくれたBRBやドミンゴ、メータには本当に感謝しなければならないし、彼らのことは決して忘れてはならない、真の友人とは彼らのことを言うのだと思いました。
投稿: naomi | 2011/05/23 02:08
naomiさん、こんにちは。
ビントレー氏のコメントの紹介ありがとうございます!!
日本をここまで思ってくださるのかと、とても胸が熱くなりました。
本当にBRBをはじめ、この状況の中、来日してくださる方には感謝の気持ちでいっぱいです。
この気持ちはずっと色褪せないでしょう。
そして、彼らのことをずっと応援していくでしょう。
今回のBRBの舞台を観て、改めて、芸術は生きていくうえで、必要なものだと感じました。
なんと、心が救われたことか!
私も、なるべく劇場に足を運び、拍手で彼らの気持ちに応えたいと思っています!
日本の文化水準を上げるのは、私たち観客の務めですよね(^^)
投稿: Teramax | 2011/05/23 21:17
Teramax さん、こんばんは。
私もこの記事のビントレーの言葉を読んで思わず胸が熱くなって、これは紹介しなくては!って思いました。本当にここまで思ってくれてありがたいことです。思わず、結局「真夏の夜の夢」のチケットを一枚追加してしまいました。
公演中止の知らせがたくさん届いていたこともあり、久しぶりに本格的な舞台を観て、芸術の持つ力を改めて感じましたね。お互い、頑張って劇場に通いましょう!
投稿: naomi | 2011/05/24 01:13
ビントレーの言葉、原文を読んで大意は掴んでいたのですがやはり、乏しい理解力にて。ありがとうございます。本当にひたすら感謝ですし、舞台も素晴らしく幸せでした。セリーヌ・ギッテンス、私もすごくいいなと思いました。17日の群舞で目に留まり、22日に喜びの精を踊ってくれたので確定出来た次第。次の来日で進化した姿を見たいですね。NBSにはまた呼んでもらわなくては。
投稿: ほみ | 2011/05/24 19:25
ほみさん、こんばんは。
本当にビントレーにはひたすら感謝です。舞台も、今回の件とは別にしても素晴らしかったですね~やっぱりバレエは楽しい!思わず得チケでアシュトンプロをもう一回足してしまいました。セリーヌ・ギッテンスは「真夏~」でも目に付いたんですよね。また週末にチェックしてみます。
投稿: naomi | 2011/05/25 23:24