続11・震災とパフォーミングアーツ界関連の動き
4月9日(土)、10日(日)に、東京・春・音楽祭「~東北関東大震災 被災者支援チャリティー・コンサート~」が東京文化会館大ホールにて開催されます。多くのアーティストの賛同を得て、9日は、「室内楽マラソン・コンサート」、そして10日には、ズービン・メータ氏が来日し、NHK交響楽団とともに第九を上演します。
これらのコンサートの収益は全額、被災地への義援金として寄付するとのことです。
http://www.tokyo-harusai.com/news/news_787.html
4月10日「~東北関東大震災 被災者支援チャリティー・コンサート~」開催に寄せて、指揮者ズービン・メータよりメッセージも寄せられています。
フィレンツェ歌劇場の来日公演中に震災に遭遇したメータ氏は、フィレンツェ歌劇場が本国の要請により帰国することとなっても、日本に残ってチャリティコンサートを行いたいと希望を持っており、その時は実現しなかったものの(その経緯は3月20日の日本経済新聞に掲載されています)、今回のチャリティコンサートが実現したというわけですね。この時期に来日してくださるとは、本当にありがたい限りです。
■~東北関東大震災 被災者支援チャリティー・コンサート~
室内楽マラソン・コンサート
【日時】2011年4月9日(土)12:00開演(17:15終演予定)《三部構成》
【会場】東京文化会館 大ホール
■~東北関東大震災 被災者支援チャリティー・コンサート~
ズービン・メータ指揮/NHK交響楽団 特別演奏会
【日時】2011年4月10日(日)16:00開演
【会場】東京文化会館 大ホール
【曲目】ベートーヴェン:交響曲 第9番 二短調 op.125
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日本フィルハーモニー交響楽団は大震災当日の3月11日と翌12日、サントリーホールの定期演奏会を会場の安全を確認した上で行いましたた。16~20日には予定通り香港の第49回香港芸術節(アーツ・フェスティバル)へ出かけ、日本再生への誓いを音楽で伝えました。
香港の聴衆に響いた日本復興への思い 日本フィル、震災にひるまず公演決行(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/life/culture/article/g=96958A90889DE0E7E7E1EBE6E4E2E0E6E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E3E3E0E0E2E2EBE0E5E6E3?n_cid=TW001
11日夜、日本フィル専務理事の平井俊邦は、困難を乗り越えてホールへ集まった聴衆の姿に打たれ「すべて続行でいく」と腹をくくり、香港公演への出発に踏み切ったとのことです。
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東京、北品川の商店街では、伊藤キムさんらコンテンポラリーダンスのダンサーたちが、4月2日に、東日本大震災の義援金を募るコンテンポラリーダンスのチャリティー公演を行います。商店街の中で、最低限の電力でこんな公演が実現するのは素敵なことですね。
http://shinagawa.keizai.biz/headline/1250/
発起人は、品川在住で舞台音響の仕事を行っている牛川紀政さん。「節電や公共スペースの利用禁止などが原因で公演が軒並み中止になっている。表現をする場が少なくなっている中で、何かできないか考えていた。以前からコンテンポラリーダンスを広めたいと思っており、商店街にある楽間で舞台公演が行えればと考えていたことが結びついた」という。タイトルは「作業灯、ラジカセ、あるいは無音」。使用する機材はラジカセと備え付けの照明のみ。世界的に評価されているコンテンポラリーダンサー・伊藤キムさんのほか、井上大輔さん、辻田暁さん、神村恵さん、カワムラアツノリさんのユニット「初初期型」、酒井幸菜さん、鈴木ユキオさん、田畑真希さん、栩秋太洋さん、東野祥子さん、深見章代さんら国内外で活躍するダンサーたちが、牛川さんの考えに賛同して出演を決めた。
入場料は2,000円(中学生以下無料)。会場費を除いた全額を日本赤十字社などに寄付する。席数は70席前後(立ち見20席を含む)を用意し、入退場は自由。
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一方でこんなニュースも。NHKで放映されたニュースから。
被災者に最後のバレエを披露(映像もあり)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110329/k10014972081000.html
東北関東大震災で建物が壊れ閉鎖することになった、福島県いわき市のバレエ教室の子どもたちが、避難所で避難生活を送る人たちに最後の演技を披露しました。 バレエを披露したのは、いわき市にあるバレエ教室に通う小・中学生の子どもたち合わせて9人です。この教室は、震災で建物が壊れ、閉鎖することになりましたが、子どもたちは、地元にある藤原小学校の体育館で、避難生活を送る人たちを励まそうと、29日、教室のメンバーとして最後となるバレエの演技を披露しました。
この子どもたちが、再びバレエを踊ることができる日が早く来ますように。
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昨日ご紹介した朝日新聞の記事に続き、今日の毎日新聞の夕刊でも、「東日本大震災と演劇」と題して、震災がどのような影響を演劇に与えたかという記事が掲載されています。無名塾の「炎の人」のすべての公演の自粛や堂本光一の座長公演「エンドレス ショック」の月末までの公演中止、日本芸術文化振興会の主宰公演を月末まですべて中止など、公演中止が相次いでいます。「エンドレス・ショック」の場合は、客席上のフライングなど複雑な舞台機構を多用している以上、安全面を考えると中止はやむをえないことと思われます。
一方で、震災当日こそ休演したものの、翌12日には再開したパルコ劇場、三谷幸喜作演出の「国民の映画」、そして東京芸術劇場でのNODA MAP「南へ」などの例もあります。野田秀樹さんのコメントについては以前もこちらでご紹介していますが、あらためてコメントを転載します。
「日ごろ『ロウソク一本あれば、どんなときでもやれる・それが演劇だ』といってきました。現実にはそのロウソク一本も危険だと思い込み、自分の首をしめるような自主規制下に置かれている気がします」『私は何も劇場にだけ電気を使わせろと言っているのではありません・ただ、劇場で守る『ココロ』というのは、人間の営みに欠かせないものだと申し上げたい。日常の営みを消してはならないように、劇場の灯も消してはいけない」
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最後に、産経新聞のこの記事を紹介します。
NY紙「日本は自粛という強迫観念にとらわれている」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110329/amr11032920100008-n1.htm
米紙ニューヨーク・タイムズは28日付で「津波後の日本は自粛という新たな強迫観念に襲われた」との見出しの記事を掲載し、日本国民の多くが地震や津波の犠牲者への弔意から日常の活動を縮小するようになり、国民経済への悪影響が懸念されると伝えた。東京発の同記事は、日本で「地震、津波、原発で何十万という国民が被害を受けたことから、被災地以外でも、少しでもぜいたくにみえる活動はすべて非難されるようになった」とし、日本国民のすべての層が生活面での「自粛」をするようになったと報じた。 (中略) 同記事は自粛が過剰になっていることを示唆し、企業や学校の行事のキャンセルが日本の経済全体の60%に及ぶ消費支出を大幅に減らし、「もともと停滞していた日本経済に浸食効果をもたらし、倒産を急増させるだろう」と述べている。
こちらの記事が書かれている現象は実際に起こっていると思います。消費活動が停滞することによって、被災者の皆さんを支えていかなければならない人たちまで倒れてしまっては、まさに共倒れというか、日本経済が立ち行かなくなってしまうのではないでしょうか。
某都知事候補は花見は自粛すべきだ、戦争の時はみんな自分を抑え、こらえたと言っていますが・・・。
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naomiさん、いつもたくさんの情報を本当にありがとう!今宵はもう遅いのでひとつひとつのリンクは明日にでも拝見しますね。
自粛という発想には既に窒息しそうな気分です。自分の日常にはせめて消費を縮小しないように、と思っていますが、大きな消費先(バレエ公演とか)の中止が相次ぐとそれもかなわず苦しいですね。
投稿: ほみ | 2011/03/30 00:50
花見の自粛って、どうしたらそんな考えになってしまうのでしょうか・・・?そして、それでも支持者がいることにも驚きです。
公演中止や自粛もありますが、チャリティーイベントもたくさんあってすぐ行動できる人は強いなーと思います。しかも収益をすべて寄付した場合、演者は生活できるのか。といらない心配もしてしまいます(笑)舞台は収入ギリギリのところでやっているイメージがあるのです・・・
私は見に行くという事しかできませんが、小さな力が集まれば強くなりますね。昨日のサッカーチャリティーマッチを見に行って、選手、スタッフ、サポーターが一体になった時は、こんなに力強くなるものか。と感動しました。
投稿: k | 2011/03/30 10:48
ほみさん、こんばんは。
そうなんですよ、自粛の動きには息苦しさを感じてしまいます。もちろん被災者の方々のことを考え心を痛めながらも、でも私たちが気持ちを強く持たなければ、世界は動いていかなくなってしまうのですから。
バレエ公演がほとんど中止になってしまうと、お金の使い道が限定されてしまいますよね。デパートなども早くしまってしまうから買い物もしにくいですし・・・。せめて開催される公演にはできるだけ足を運びたいものです。
投稿: naomi | 2011/04/01 01:00
Kさん、こんばんは。
チャリティマッチのカズのゴールすごかったですね!グラウンドまで足を運ばれたのですか?素敵!
確かに収益を寄付したら完全に赤字になってしまいますよね。今日発売されてほぼ売り切れたという大阪フィルのチャリティコンサートなど、チケット代が2000円という破格で、通常の公演との差額を義援金にしてくださいという趣旨だそうですが、2000円はどう考えても赤字で、すごい太っ腹だと思いました。公演の実現のスピードも凄い。
本当に小さな力が集まれば、大きなものになりますよね。2000人を動員するイベントで一人千円寄付すれば200万円になりますものね。今回は被災者の方も凄く多いから、たくさん義援金を送らなくては、って思うわけですが。
投稿: naomi | 2011/04/01 01:11